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ニールセンの描いた風景

 昨日はシューマンの誕生日でしたが、今日はデンマークの作曲家・カール・ニールセン(ニルセン)の誕生日。昨年、シベリウスと同い年で生誕150年。その生誕150年が終わってしまいました。でも、昨年の今頃はそんなにニールセンを聴いていなかった。今は手持ちの交響曲全集も少し増えました。ヘルベルト・ブロムシュテット指揮サンフランシスコ響と、ミハエル・シェンヴァント指揮デンマーク国立放送響。ブロムシュテット&サンフランシスコ響は以前から評判は聴いていたので聴いてみた。管弦楽曲、オペラ「仮面舞踏会」全幕も入っていてお徳でした。シェンヴァント&デンマーク国立放送響は、ナクソスで安かったのですが、よかった!引き締まったいい演奏です。あと、パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響の演奏会で5番を取り上げてましたが、これもよかった。テレビ放送もされ、ニールセンの魅力が多くの人に伝わったようで嬉しいです。まだまだ交響曲全集は聴きたいのがあるので、ちまちまと聴いていきます。

 今日は管弦楽曲を中心に聴いています。特に好きなのが、序曲「ヘリオス」op.17。ニールセンの作品は、和音のぶつけ方やメロディーが独特です。以前も書きましたが、ショスタコーヴィチに繋がっていくよう。近現代の響きが苦手でちょっと…という方もいるかと思います。この「ヘリオス」はそんな方に是非。交響曲4・5番のような響きはそんなに出てきません。ギリシャ旅行中にエーゲ海の日の出に感動して作曲したという作品。エーゲ海の日の出から日の入りまでが音楽で描かれます。静かな弦のざわめきの中、ホルンや木管楽器などで日の出が描かれ、ゆったりとした朝の風景。日が昇るように、雄大に、徐々に盛り上がっていく様がとても美しい。そして、日の入りへ。また静かになり、夕暮れ、日の入り、宵の情景に。12分程度の作品です。とにかく美しい。

 もうひとつ、好きでおすすめなのが「フェロー諸島への幻想の旅」。フェロー諸島は、イギリス、ノルウェー、アイスランドの間の北大西洋に浮かぶ島々のこと。そのフェロー諸島へ向かう船、海や波、海鳥の鳴き声が最初は静かに、靄がかかるように、徐々にはっきりと聴こえてきます。中盤に出てくるメロディーは、フェロー諸島が起源の古い歌、後半は、フェロー諸島の民族舞曲で賑やかに。ひんやりとした空気と、海の情景のスケールが大きな作品です。

 ニールセンは交響曲を先に聴いて、独特の和音に病みつきになってしまったのですが、この2作品の情景描写もまた魅力的です。今日から生誕151年。まだまだニールセン、聴いていきたいです。

・前回の記事:生誕150年 ニールセンの交響曲を聴こう
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by halca-kaukana057 | 2016-06-09 22:50 | 音楽

色とりどりの島の景色 ペッテション=ベリエル:フレースエーの花々

 5月の連休恒例、3~5日に東京で開催されていた『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 「熱狂の日」音楽祭』。その開催に合わせて、クラシック音楽配信サービス・ナクソス・ミュージック・ライブラリーを期間限定で無料公開するイベントが開催されていました。その時、聴いてみて気に入ったのがこの曲。

ペッテション=ベリエル:組曲「フレースエーの花々」
小川典子/BIS








ニクラス・シーヴェレフ/NAXOS


 スウェーデンの作曲家、ヴィルヘルム・ペッテション=ベリエル(Wilhelm Peterson-Berger)。1867年生まれ。フィンランドのシベリウス、デンマークのニールセン、同じスウェーデンのステーンハンマルと同年代の作曲家です。名前は聞いたことはあったけど、曲を聴いたことがなかった。5曲の交響曲や歌曲などを残していますが、有名なのがこのピアノ曲集「フレースエーの花々」なのだそうだ。

 フレースエー(Frösö)は、スウェーデン中部の山岳地イェムトランド(Jamtland)のストゥーシェン(Storsjon)湖に浮かぶ島の名前。ペッテション=ベリエルはイェムトランドに魅せられ、フレースエー島に別荘を建て住むようになった。

 「花々」とタイトルにあるけれども、それぞれのタイトルに花の名前があるのは少ない。フレースエー島の景色を彷彿させるようなものが多い。曲はどれも愛らしくて美しい小曲。フレースエーでの情景そのものが、花々のように色とりどりで愛らしいという意味なのだろうか。ウィキペディアにある通り、グリーグの「抒情小曲集」の雰囲気。シベリウスのピアノ曲のような愛らしさにも似ている。でも、ペッテション=ベリエルは全体的に明るめで朗らか、おおらかに感じました。「花々」の明るめだけれども派手とは違うやさしい色鮮やかさ。

 第1巻第2曲「夏の歌」は北欧の爽やかな夏をイメージします。心地よい風が吹いてくるよう。第3曲「ローンテニス(Lawn Tennis)」何のことだろう?と思って調べてみたら、テニスのこと。試合ではなく、ゆったりとラリーを楽しんでいるのだろうか。第2巻第3曲「森の奥深く」は薄暗い森の中を歩いているよう。中盤で曲調ががらりと変わって、愛らしい雰囲気になるのはグリーグやシベリウスとは違う点だなと思う。スウェーデンの森とフィンランドの森、隣同士だけど違うのだなと感じます。
 第3集第7曲、曲集の最後のタイトルは「何年も過ぎ」。フレースエーでの年月をいとおしむよう。感慨深い締めです。

 ピアノ曲ですが、抜粋で管弦楽編曲もあります。

スウェーデン管弦楽名曲集

オッコ・カム:指揮、ヘルシンボリ交響楽団/ Naxos


 オッコ・カムがスウェーデンのヘルシンボリ響を指揮しているスウェーデン管弦楽曲集です。
 第3巻第2曲「夏の隠れ家に入居して」、第1巻第2曲「夏の歌」、第5曲「お祝い」、第6曲「フレースエーの教会で」の4曲を収録しています。オーケストラで演奏されると、また情景が鮮やかに浮かぶようです。

 ペッテション=ベリエルの他の作品、交響曲なども聴いてみたくなりました。北欧クラシックは探せば色々な作曲家や作品が出てきて興味深いです。

第1巻


 体調もよくなってきたので、止まってしまっているシベリウス:クレルヴォ交響曲シリーズをまた再開したいです。体調がよくない時に「クレルヴォ~」は重い、ヘヴィーです…。
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by halca-kaukana057 | 2016-05-17 22:12 | 音楽

近況報告&北国の春 2016

 4月はブログをお休みしました。体調も少しずつ回復しているので、5月はぼちぼちとブログを更新していけたらいいなと思っています。体調が悪いと精神面にも影響する。これ本当ですね。

 連休ですが、まだ体調がパッとしないのでのんびりと過ごしています。お供は音楽。イギリスBBCやフィンランドYLEのクラシックネットラジオ、オンデマンド配信を聴いたり、5日まではナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML)が聴き放題なので、これまで聴きたかった曲を聴いています。聴きたいと思ってもCDを買えずにいたシベリウスや、フィンランド・北欧作曲家作品も聴き放題。廃盤も聴き放題。以前からNMLは入会を考えていたので、お試しのように使えるのが嬉しいです。これは本気で入会しようかな。

 北国にも春が来ました。春の花をどうぞ。
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 満開の頃に撮影した桜。今は5割程度散っています。桜が散るのは寂しいですが、桜吹雪は美しいです。これから、八重桜も咲きます(今日はまだ咲いてなかった)。

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 道端に咲いている菜の花。黄色が鮮やかでまばゆいです。
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by halca-kaukana057 | 2016-05-03 22:13 | 日常/考えたこと

耳の渚

 読むクラシック音楽もいいものです。クラシック音楽エッセイを読みました。

耳の渚
池辺晋一郎/中央公論新社/2015

 かつての「N響アワー」、クラシック音楽ダジャレでお馴染みの作曲家・池辺晋一郎先生によるエッセイです。読売新聞夕刊に月一で掲載していたものをまとめた本です。2000年に始めて、2015年の分まで収録。15年。15年でクラシック音楽界も随分と変わりました。その変化も思い出しながら読みました。

 聴いた音楽のこと、知り合った音楽家とのこと、作曲・作曲作品の演奏会でのこと、日本国内や海外のクラシック音楽事情、観た舞台や映画のこと…話題は多岐にわたります。でも、どれも音楽と繋がっている。音楽は様々なもの、この世にあるあらゆるものと繋がっている。それを実感します。

 また、音楽の懐の広さも実感します。朝比奈隆先生が「楽譜に忠実に」指揮することを信条としておられたのに、実際の演奏では楽譜と違う演奏をしていたことに関して、楽譜というものがどんなものか、そして音楽は生もの(なまもの・いきもの)なんだなと思う。「楽譜は絶対の答えではない」。浜松国際ピアノコンクールを聴いた話でも、そんな楽譜をどれだけ読み込んで演奏に反映できるか。
楽譜という不完全なものを超えて、そこに自分の音楽を確立させ、説得力ある主張を貫徹させる(233ページ)

クラシック音楽というと、何かと堅苦しいイメージがあるが、このあたりを読むと、やわらかく懐の広く深いものなのだなと思う。「音楽の父」と呼ばれるJ.S.バッハも、"神格化"されて迷惑だったのではないか、とも。オペラも大きなものだけでなく、小さな「人民のオペラ=フォルクスオパー」をやりたい、と。池辺先生の代名詞「N響アワー」についても語られていて、クラシック音楽はこうあるべき、コンサートには音楽だけがあるべき、という概念を捨て、アットホームな雰囲気を目指した。
棚の上に鎮座している「音楽」をこたつに持ち込んでしまえ。(173ページ)
現役の作曲家の先生がおっしゃるのだから心強い。

 海外のクラシック音楽事情では、ベネズエラのエル・システマとグスターボ・ドゥダメル、フィンランドの指揮者・作曲家、シベリウス音楽院やフィンランドのオーケストラの取り組みも紹介されている。フィンランドクラシック好きとして嬉しい(シベリウスがフィンランドから年金を貰って、晩年作曲をしなかった…と書かれていたのは残念。自己批判が強くなり過ぎて書けなくなってしまった)。そのフィンランドで演奏会を聴きに行った時のエピソードも興味深い。客席には様々な人がいるが、皆聴くことに集中している。「集中の相乗」「芸術の享受」「同じ時、同じ場所に居る者の連帯」(151ページ)…フィンランドの聴衆の音楽の受け止め方が、フィンランドのクラシック界の盛況に繋がっているのかもしれない。

 池辺先生の作曲の話も面白い。同時進行で作品を仕上げるのがいいのかどうなのか。エジプトのオーケストラのために作曲した話。オペラ「鹿鳴館」の作曲。「鹿鳴館」は作曲者の手を離れ、意図を超えて成長しているというのも面白い。作曲家ならではの視点。大河ドラマでも音楽を手がけていた池辺先生。ドラマの音楽の話、そして「音楽にも注目して欲しい」と。大河ドラマの音楽は私もとても重要だと思っています。また池辺先生が音楽担当にならないだろうか。なって欲しい。

 音楽を様々な方向から楽しめるエッセイです。最後に、エッセイではダジャレはあまり出さないのかな…(寂しい)。
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by halca-kaukana057 | 2016-03-25 22:23 | 本・読書

もうひとつの「クレルヴォ」

 シベリウス生誕150年記念(2016年になっちゃいましたが続けます)、「クレルヴォ交響曲」を聴こうシリーズの途中ですが、今回はシベリウスから離れて、別の作曲家の「クレルヴォ」を聴こうと思います。フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」の中でもドラマティックな悲劇の英雄・クレルヴォをテーマにした作品は、シベリウス以外のフィンランドの作曲家も書いています。

 先日、BBC Radio3の北欧特集のオンデマンドを聴いて見つけたのが、レーヴィ・マデトヤ(Leevi Madetoja : 1887-1947)の交響詩「クレルヴォ」op.15.15分程度の管弦楽曲です。

Leevi Madetoja Kullervo (1913)

 指揮演奏のクレジットがないのでどこのオーケストラの演奏なのか不明。ただ、調べてみたらCDはセーゲルスタム指揮フィンランド放送響、ストゥールゴールズ指揮ヘルシンキフィルぐらいしかない模様…フィンランドでも滅多に演奏されないのか!?
 ちなみにそのBBCで配信されていたのは、Jurjen Hempel(ジュリアン・ヘンペル)指揮BBCスコティッシュ響の演奏でした。さすがシベリウス、北欧もの大好きイギリスオケ。

 重々しく曲は始まりますが、金管のファンファーレがヒロイック。前半はシベリウスよりも明るめ?な感じ。弦も雄大でヒロイック、勇ましい英雄クレルヴォを強調しているかのよう。マデトヤはシベリウスよりも少し年下。シベリウスに師事したこともありました。シベリウスとは違う方向からクレルヴォの物語を描いているよう。金管に強さを感じます。過酷な運命に次々と立ち向かうクレルヴォの姿でしょうか。
 ただ、ラスト、クレルヴォが何もかも失い、自害するのを描いたと思われる部分は一気に暗くなります。そして静かに終わる。孤独なクレルヴォの最期のように。シベリウスの、クライマックスは主題に男声合唱も入れてフォルテで劇的に終わるのと対照的です。マデトヤの終わり方は好みです。曲の展開も。

 大体同じ時代に、同じテーマを、違う作曲家が書く(シベリウス、フォーレ、ドビュッシーの「ペレアスとメリザント」とか)…他にも様々な例がありますが、「クレルヴォ」もそういう楽しみ方が出来るんだなと思うと、また聴く楽しみが増えます。作品を聴く際の視点も増えます。マデトヤのも聴けてよかった。願わくばCD,録音、演奏機会が増えて欲しいところですね…。

 「クレルヴォ」は他にも、フィンランドの現代の作曲家・アウリス・サッリネン(Aulis Sallinen)による歌劇もあるそうで。
Kullervo 2014 Savonlinna Opera Festival

 サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル2014のオペラ「クレルヴォ」ダイジェストがありました。歌詞はカレワラから取っているようですが、現代的な演出?不思議な感じ。
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by halca-kaukana057 | 2016-01-19 22:56 | 音楽

クリスマスと年越しの祈りの歌 シャルパンティエ:テ・デウム、真夜中のミサ

 クリスマスもシベリウス…クリスマスの歌曲もありますが、「クレルヴォ交響曲」の続きを聴こうかと思いましたが、さすがにクリスマスにあの悲劇はないよなぁ…と思ったので、クリスマスだからこその音楽を。

 17世紀、バロック時代に活躍したフランスの作曲家、マルカントワーヌ・シャルパンティエ(Marc-Antoine Charpentier/マルク=アントワーヌと表記することも)。以前声楽・オペラ特集で少し取り上げた作曲家です。オペラ(音楽劇)も「オルフェウスの冥府下り」(こと座の星座物語の元となったギリシア神話、オルフェウスの物語)、「アクテオン」(こいぬ座の星座物語の元、猟師アクタイオンが女神アルテミスの水浴びを見てしまい、アクタイオンは鹿に変えられてしまい…というお話)など、悲劇から喜劇まで幅広いです。
 一方、宗教曲も多く書いており、その中で有名なのが、「テ・デウム」ニ長調H.146、「真夜中のミサの曲」H.9。

 「テ・デウム」の前奏曲は、元日恒例、ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートの生中継のオープニングの曲として使われています。去年、M-A・シャルパンティエの「テ・デウム」の前奏曲だと知りました。金管楽器の軽快で華やかな音色が、まさに新年の特別なコンサートにピッタリ。選んだ人、さすがです。

 以降、8人の独唱と合唱の歌が入ります。歌詞はローマ・カトリック教会の賛美歌のひとつ。「テ・デウム」とは、「Te deum, laudamus(神よ、私たちはあなたをたたえます)」という歌い出しからつけられているのだそう。仏教徒だが、キリストへの祈りの歌詞を読んでいると、祈るという行為、感情の崇高さを思う。それが音楽になると、とても美しく、さらに崇高なものになる。M-A・シャルパンティエのニ長調の「テ・デウム」(他にもあるらしい)は明るく華やかで、やわらかくやさしい。祈りの歌ではあるけれども、身近に感じられるような音楽。伸びやかなソプラノやテノールの独唱・重唱とオルガンと木管の穏やかな、心落ち着く歌もあり、バロックの金管やティンパニの溌剌とした音楽にハリのあるバリトン・バス独唱・重唱もあり。合唱も美しい。色とりどり。J.S.バッハよりも前の時代(J.S.バッハは18世紀)。宗教音楽入門にいいかもしれないと思いました。

 「真夜中のミサの曲」は「リコーダーと弦楽器のためのクリスマスのミサ曲」と副題が付いている。リコーダーが大活躍します。やわらかくあたたかいリコーダーの音色と、「テ・デウム」よりは荘厳な雰囲気な曲調の弦楽器、オルガン、声楽独唱と合唱。クリスマスの夜、ろうそくの明かりの中で奏でられ歌われているであろう光景をイメージすると、クリスマスの夜に教会で聴いてみたいなと思いつつ…でも実際に演奏されているのだろうか?いや、どこかでは演奏されているんだろうなぁ。

 年末、1年を振り返り、思うことは沢山あります。また、平和な世界になってほしい…とも思います。様々な祈りが、この2曲の音楽には込められ、奏で歌われるのだと思います。ミサ曲など宗教音楽が数多くの作曲家によって書かれ、演奏され歌われ続けてきた理由がわかる気がしました。

 ちなみに聴いたのは、マルク・ミンコフスキ指揮、レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルの演奏。

・過去関連記事:オペラ事始 その3 序曲・前奏曲は楽しい水先案内人
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by halca-kaukana057 | 2015-12-25 22:34 | 音楽

[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤

 今年の年末はベートーヴェンの交響曲第9番(第九)でもなく、ヘンデル「メサイア」でもなく、シベリウス「クレルヴォ交響曲」で過ごすことになりそうです…。先日のふたご座流星群観測の際も、観測時間の目安になると聴いてたし…。「クレルヴォ」で年越しって、かなり暗い…いや、フィンランドの日照時間の短く暗い寒い冬を思い浮かべる…フィンランドは今の季節はクリスマス(Joulu)シーズンですよ…やっぱり合わない…。
 でも聴きます。シベリウス生誕150年記念「クレルヴォ交響曲」を聴こうシリーズ第2弾。今回の演奏はこちら。

 パーヴォ・ヤルヴィ指揮 ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
 ランディ・シュテーネ(ソプラノ)、ペーター・マッティ(バリトン)、エストニア国立男声合唱団


 前回、第1回でパーヴォ・ベルグルンド指揮ボーンマス響の演奏を取り上げましたが、そのフィンランドの名指揮者ベルグルンドにちなんで名前を貰ったというパーヴォ・ヤルヴィ。N響の首席指揮者に就任して、日本でも演奏機会が更に増えますね。そして、ちょっと過ぎてしまいましたが、12月10日のノーベル賞受賞式、その前のノーベル賞コンサートで演奏するロイヤル・ストックホルム・フィル(なので、時々「ノーベル賞オーケストラ」と呼ばれる…)。前の記事、今の季節に関連させた演奏を選んでみました。合唱はパーヴォさん(ヤルヴィだとお父様のネーメさん、弟さんのクリスティアンさんと紛らわしいので、ファーストネームで呼んでいます)の故郷エストニアの男声合唱団。エストニアは合唱大国だもんなぁ(北欧・バルト諸国の合唱は本当凄い)。

 この演奏、録音が1997年。20年近く前のものです。パーヴォさんはまだ30代。そんな前のものなのに、新鮮に感じます。30代のパーヴォさんの若さか。テンポ強弱もも全楽章ちょうどいい感じで、クレルヴォの物語を鮮明にイメージできます。低音の響きもどっしりと迫力があって、物語の重さが伝わってくる。そういえば、先日のEテレ「クラシック音楽館」でパーヴォさんが日本人若手アーティストとの対談で、音楽には物語がある、と仰っていたのですが、まさに「クレルヴォ」もそうだなぁ(ただ、当時30代のパーヴォさんがどう思っていたかはわかりませんが…)。

 第2楽章「クレルヴォの青春」、入り方が静かにそっと、テンポ遅めで入るのが凄くいいなと思いました。第1楽章「序章」はクレルヴォの物語の始まり、第2楽章からクレルヴォの悲劇が「カレワラ」クレルヴォの章で次々と語られていく。「青春」というと明るく爽やかなものを想像してしまいますが、クレルヴォの少年時代はそんなものは一切ない。ウンタモへの復讐と、奴隷として働いていたイルマリネンの家での恵まれない生活。木管はのどかなようで緊張感がある。金管も華やかなようで重く悲劇的。2楽章もいいなと思えるのが、この演奏です。第3楽章の合唱が病みつきになるのに、この演奏だと第2楽章も病みつきになります。

 第4楽章「クレルヴォの出征」の引き締まった弦も印象的です。その弦で、戦いをイメージさせる金管が映える。最後のほう、クレルヴォの勝利の部分だけは明るく。力強さが満ち溢れています。

 やはりエストニアの合唱はうまい。第3楽章、第5楽章の合唱の響きが緻密。特に第5楽章。人の声、しかも何十人もの合唱で、こんな緻密な歌い方も出来るんだ。第5楽章、合唱もオケもとても静かに入ってくる。何もかも失い、荒涼とした家があった場所で絶望に暮れているクレルヴォをイメージします。「カレワラ」のクレルヴォの章を読んでいなくてもわかるような。じわじわと破滅の時へ悲しくクレッシェンドしていくのが、心身に突き刺さります。

 現在、50代のパーヴォさんならどんな「クレルヴォ」を描くだろう?シベリウス作品でも規模やフィンランド語による独唱・合唱のため?かなかなか演奏されない「クレルヴォ」。オケや声楽独唱・合唱は変わるでしょうが、現在のパーヴォさんの「クレルヴォ」も聴いてみたいです。


・第1回:[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド指揮ボーンマス響
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by halca-kaukana057 | 2015-12-17 22:05 | 音楽

受け継がれるオーケストラの音 フィンランド放送響来日公演(テレビ・ラジオ放送)

 一昨日、Eテレ(NHK教育テレビ)「クラシック音楽館」で、そして今日はNHKFM「ベスト・オブ・クラシック」で放送された、ハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送交響楽団来日公演のオール・シベリウス、ライヴ録音を聴きました。テレビとラジオの両方で放送って気合入っていますねNHKさん。

 シベリウス生誕150年アニバーサリーイヤーで、フィンランドからはフィンランド放送響とラハティ響が来日。勿論指揮者はフィンランド人(フィンランドの指揮者の充実っぷりは相変わらず…むしろ更に勢い増してる!!)。リントゥも2013年からフィンランド放送響の首席指揮者に。フィンランド国営放送・YLEの映像オンデマンドサイトにはコンサート映像がたくさんありますが(後でリストアップします)、そんなに聴いてこなかった。なので、今度はどんな指揮者さんなのかな、どんな演奏なのかなと楽しみにしていました。ちなみに1967年生まれ、今年で48歳。背がとても高い…180、190cmあるのか…?

 プログラムは「フィンランディア」、ヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン:諏訪内晶子)、交響曲第2番のシベリウスの代表的名曲。これはサントリーホールでの公演でしたが、その前にすみだトリフォニーホールで交響曲第5番、7番、「タピオラ」をやっていたので、せっかくテレビとラジオの両方で放送するなら、ラジオではこっちのほうを聴きたかった…。

 「フィンランディア」の最初の音…吼える金管を聴いた瞬間、ああ!フィンランド放送響の音だ!と感じました。フィンランド放送響は、実演を聴きに行ったことはありませんが(涙)、CDやラジオ放送、オンデマンドで結構聴いてきた、親しんできたフィンランドのオーケストラです。前の前の首席指揮者のユッカ=ペッカ・サラステ、前の首席指揮者のサカリ・オラモ。指揮者は変わっても、オーケストラのメンバーも変わったはずなのに、ほぼ同じ音がする。指揮者それぞれの個性やアプローチ、解釈は異なりますが、根底にあるもの、オケの伝統のようなものは変わってないのかも、と感じました。
 ちなみに、フィンランド放送響の「フィンランディア」は、最後一瞬弱音にして一気にクレッシェンドしてジャン!と終わるのが伝統のようです。サラステでも、オラモでもそうでした。そして今回リントゥでも。この終わり方が爽快で好きです。

 ヴァイオリン協奏曲…思えば、フィンランド放送響でシベコンはあまり聴いたことなかった、かも…?いや、ラジオで放送されたものを録音したとか、図書館から借りてきたMDとか、どこかにあるかもしれない。探してみます(大丈夫かw)
 今回のヴァイオリンソロは諏訪内晶子さん。溜めるところは溜めて、さらっと流すところは流して、オケともいい感じだったと思います。テレビでは演奏前にリントゥさんおインタビューがあったのですが、第3楽章を「白熊のポロネーズ」と表現していました。独特の表現ですね…

 で、本題。シベリウス2番。今回のリントゥ指揮のを聴く前に、CDでサラステ盤(93年サンクトペテルブルクでのライヴ盤)、オラモ盤(2006年ノルウェー・ベルゲンでのライヴ盤)を聴いて、聴き比べしてみた(全部ライヴ録音だ!)。
 冒頭の雪解け水のせせらぎのような弦…微妙なニュアンスや強弱は異なりますが、澄んだ、清々しい音色は変わっていませんでした。背が高くて大柄、振りも大きめのリントゥの指揮では、ダイナミック、迫力満点でした。第2楽章、弱音とフォルテの幅がとても大きい。第2楽章・第3楽章は明と暗で揺れ動くのですが、その差が激しい。ダイナミックだけれども、繊細なところは繊細。第3楽章もメリハリが強く、そのまま第4楽章へ。弦も管も打も一緒にあのメロディーを歌い上げる。シベリウスの交響曲は後期作品、特に4番、6番、7番が好きですが(あと、今は「クレルヴォ」も好き!)2番もやっぱりいいなぁ~と思える演奏でした。
 テレビでは、「日本では2番が何故こんなに人気があるのかわからない…」と仰っていたリントゥさんw私もなぜかはわかりません。でも、美しくて崇高で、冷たいけれども情熱を内に秘めていて、荒々しく野生的なところもあり、厳しくて、優しくて、最後は高らかに大円団で終わる。そんなシベ2が好きです。そしてぶれることのないフィンランド放送響のシベ2も好きです。ああ、だから5番7番タピオラも聴きたいですよ!

 現在のフィンランド放送響には、日本人演奏者が4人いらっしゃいます。フルートの小山裕幾さん、トランペットの櫻木厚子さん、ティンパニの森田和敬さん、打楽器の安田直己さん。安田さんはこの日の演奏会にはいらっしゃいませんでしたが、小山さん、櫻木さん、森田さんは大活躍。アンコール「ベルシャザールの饗宴」第3曲「夜想曲(ノクターン、NHKでは「夜の音楽」)」はフルートがメイン、ソロで活躍する曲。小山さんの美しいフルートに聞き惚れました。「フィンランディア」での櫻木さんもかっこよかった。フィンランド放送響で日本人奏者が活躍している、とても嬉しく思いました。
 もうひとつのアンコール、「四つの伝説(レンミンカイネン組曲)」より第4曲「レンミンカイネンの帰郷」も疾走感あふれるダイナミックな演奏にテンションが上がりました。いい演奏でした!!

 日本ではテレビとラジオで放送されましたが、本国フィンランドでもラジオ放送されました。フィンランド国営放送・YLEのオンデマンドでまだ聴けます。
YLE Areena Radio:Radion sinfoniaorkesteri ja Hannu Lintu konsertoivat Japanissa
 11月4日放送なので、多分12月4日までだと思います。公開終了が近くなると赤文字で「○h(○時間)」とあと何時間か表示されるので注意してください。

 シベリウスイヤーに、本場フィンランドのシベリウスを届けに来てくださったリントゥさんとフィンランド放送響の皆さんに感謝です!ありがとう、Kiitos!
 リントゥさんは首席指揮者になってまだ2年。これからもっと関係も深まって、演奏も変わっていくはず。見守りつつ、応援したいです。
 フィンランド放送響も勿論、ヘルシンキフィルにラハティ響、フィンランドにはたくさんのオーケストラがあります。フィンランド指揮者もそこで活躍しています。同じく見守りつつ応援したいです。

 さて、先述したフィンランド国営放送にあるリントゥ指揮のシベリウス作品のコンサート映像をまとめました。PCからはこのまま観られますが、スマホからは「YLE Areena」というアプリを入れてくださいね。
フィンランディア
 混声合唱付きです。合唱はタピオラ室内合唱団。
ヴァイオリン協奏曲
 今シーズン初めの演奏会より。ヴァイオリンは、先日オスモ・ヴァンスカ指揮読売響と共演したエリナ・ヴァハラ。
大洋の女神(波の娘)
 これも今シーズン初めの演奏会より。
ポホヨラの娘
四つの伝説(レンミンカイネン組曲)
歌曲集
 夕べに(Illalle)op.17-6、春はすばやく過ぎ去る(Våren flyktar hastigt)op.13-4、でも私の鳥は帰ってこない(men min fågel märks dock icke)op.36-2、それは夢か?(Var det en dröm?)op.37-4 
 /ソプラノ:ソイレ・イソコスキ
 歌曲をオーケストラ伴奏で。
アリオーソ op.3
 同じく、イソコスキのソプラノで。初期のマイナーな作品です。

 ついでに、歴代首席指揮者のシベリウスも。
交響曲第5番(初稿)
 つい先日の演奏会より。サラステがFRSOに帰って来ましたよー!しかも、5番の初稿!!フィンランド放送響も5番初稿やりました!

森の精(The Dryad) op.45-1
 1月の演奏会より。オラモも帰ってきましたよー!交響曲第2番の後、徐々に後期作品に移りゆくマイナーな作品。この曲でもフルート小山さんが活躍してます。

 ちなみに、メロドラマ版が元となったop.15も「森の精(The Wood Nymph)」と訳され、ややこしいです…。声楽独唱版、語りの入ったメロドラマ版、オーケストラ演奏だけの交響詩版と奥の深い作品です。
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by halca-kaukana057 | 2015-12-02 23:36 | 音楽

生誕150年 ニールセンの交響曲を聴こう

 今年はシベリウス生誕150年でもありますが、もうひとり、生誕150年・1865年生まれの作曲家が。デンマークのカール・ニールセン。「ニルセン」と表記されているのも多く、一体どっちがデンマーク語の発音に近いんだ?一応「ニールセン」の表記で書くことにします。ということで、シベリウスばっかり聴いてないでニールセンも聴こう、と以前から交響曲全集を聴いていました。ニールセンは6曲書いています。
 ちなみに、シベリウスとニールセン、フィンランドとデンマーク、会ったこともあるし、お互いの作品について言及したこともあるそうな。

 聴いたのは、パーヴォ・ベルグルンド指揮デンマーク王立管弦楽団の全集。シベリウスもベルグルンドから入りましたが、ニールセンもベルグルンドからになりました。間を置きながらちょこちょこと聴いてきましたが、ようやく全部聴き終わりました。

 聴いてみて、ニールセンもいい!
 シベリウスのように、聴いていて北欧の自然を思う…ということはあまりありません。フィンランドとデンマーク、「北欧」とひとくくりにされますが結構違う。ことばも全然違う、民族も国民性も文化も歴史も違う。ただ、ニールセンの音楽そのものが面白くて聴き入ります。

 どの交響曲も勢いがあって、リズミカル。弦も管も打楽器も独特で面白い。特に気に入ったのが、2番、3番、4番、5番。
 2番「四つの気質」…短気で怒りっぽい胆汁質の第1楽章、鋭く冷静、知的な粘液質の第2楽章、陰気でメランコリックな憂鬱質の第3楽章、陽気で活発な性格の多血質の第4楽章という意味で「四つの気質」(表題音楽ではないらしい)。それぞれ個性的で、特に第3楽章はきれいだなと感じました。

 第3番「ひろがりの交響曲(大らかな交響曲)」は第2楽章でソプラノとバリトンのヴォカリーズが入ります。舞台裏で歌っているらしい。何とも不思議な感じ。第1楽章の最初、金管の和音連打もかっこいい。そこから壮大なテーマ、さらに木管と弦のささやくようなメロディーが。かと思うとまた盛り上がる。この変化が気に入りました。第2楽章は木管がゆるやか、美しい。そこにヴォカリーズが入ってきて、やっぱり不思議な魅力のある曲です。第3楽章の溌剌、第4楽章は荘厳。第4楽章の弦の響きがじわりと来ます。

 第4番は「不滅(滅ぼし得ざるもの)」、ニールセンの交響曲の中では一番有名。作曲当時、世は第一次世界大戦真っ只中。ニールセンの戦争交響曲とも分析も。聴きどころは何と言っても第4部(単一楽章の曲ですが、4つの部分に分かれてCDには収められている模様)のティンパニバトル。2対のティンパニが激しい連打を繰り広げます。とてもかっこいい。第4楽章以外でもティンパニは大活躍。第3楽章の暗い弦にティンパニが映える部分が印象的です。何か不吉なものを予感させます。
 
 第5番は2楽章の交響曲。第一次世界大戦の後の暗さ、第二次世界大戦への予感などを表現している…との分析も。他の交響曲が速いテンポとフォルテの強い音で始まるのに対して、5番は静かに始まります。聴きどころは第1楽章の小太鼓(スネア)のアドリブ。これは演奏するのが大変だろうな…いや、打楽器奏者の腕のみせどころ?第2楽章のメロディーの暗いうねりも印象的。

 メロディーや響きがどこかしらショスタコーヴィチに似たところもあるとも感じました。ショスタコの方が後か。
 まだ聴き込んでいないので、これからもっと聴けば更に面白さを見つけられると思う。今回はベルグルンド盤を聴きましたが、ブロムシュテット指揮サンフランシスコ響のがいいらしい。新しい録音も出てきている。なかなか実演が聴けないけれども、もっと聴いてみたいなぁと思っています。
 実演といえば、今年4月にストックホルムで「シベリウス/ニールセンフェスティバル」なるものがあったそうで…シベリウスとニールセン、更に2人に関係する作曲家の作品を組み合わせて、北欧オーケストラ・北欧指揮者が勢ぞろい…というもの凄い企画。オンデマンドはもう聴けなくなってしまっていました…。日本でまだラジオ放送されてないよね?聴きたい…!
Sibelius-Nielsen Festival 2015 | Stockholm Concert Hall

 ニールセンの作品は、協奏曲はヴァイオリン、クラリネット、フルートの3作品。管弦楽曲も「ヘリオス」「アラディン」など。室内楽やピアノ曲もある。色々と聴いてみたいところです。
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by halca-kaukana057 | 2015-11-18 23:02 | 音楽

やわらかく、やさしく、自然に、バロックのイタリア歌曲 波多野睦美:イタリア歌曲集

 声楽を始めて、イタリア歌曲集に初めて出会いました。最初は南の方の音楽・詩に馴染めない(音楽はとりわけ北…北欧が好き。ドイツあたりも日本と比べたら北だ)と感じることもあったのですが、歌ううちにこれが魅力なのかなと、徐々に好きになっていきました。

イタリア歌曲集(1)中声用 [新版] (声楽ライブラリー)

全音楽譜出版社



 作品に取り組む前に、録音を探して聴きます。動画サイトだったり、MP3販売だったり。でも、一枚ぐらいイタリア歌曲集のCDを持っていたい。日本盤の、日本語解説のついたものがいい。あと、私の声域に合ったもの…メゾソプラノがいい。そのうち、このCDが出ていることを知りました。


TOWER RECORDS ONLINE : 波多野睦美/イタリア歌曲集
 メゾソプラノ歌手の波多野睦美さんによるイタリア歌曲集。カッチーニ、A.スカルラッティ、カルダーラ、フレスコバルディ、モンデヴェルディ、ヘンデル…とイタリア歌曲集ではお馴染みの作曲家の作品が収められています(でも、私はまだ1巻)。カッチーニ「アマリッリ」やヘンデル「私を泣かせてください」、カルダーラ「つれない人よ」あたりは声楽をやったことがなくても聴いたことがあるかも。

 聴いてまず思ったのが、波多野さんの歌がとてもやわらかくてやさしい。とても穏やかでやわらかい、ゆったりと、ふわりとした、でも響くメゾソプラノ。私が歌うと力んでキンキンした声になってしまう高音(オクターブ上のミより上)も、自然で無理がなくやわらかい。無駄な力が入っていない。高音をこんな風に自然に歌いたいと思いました。フォルテも、ただ強い大きな声ではなく、表情が様々。ピアノでもそうだった。自分の声が楽器になるのだから、もっと多彩な表情を付けられるはず。付けられるようになりたい。波多野さんの歌声は、人間の声であり、管楽器のようなところもあるし、弦楽器のような響きもあります。
 あと、いつもはオペラ歌手が大舞台で堂々とアリアを歌うように私は歌っているのですが、元々オペラアリアでも「歌曲」になっているのだから、声を張り上げずに、弱音と響きを大事にした歌い方の方が自然なのかな、と感じました。

 伴奏は、バロックハープやチェンバロ、バロックチェロ、弦楽アンサンブルによるもの。ポコポコと打楽器の音もする曲もあるのだが、楽器を叩いているのだろうか。波多野さんの歌をやさしく引き立てつつ、それぞれの楽器も存在感がある。伴奏も自然で素朴でやさしい。ピアノ伴奏もいいけれど、元々はこんなバロックアンサンブルで演奏されていたのだろうなと思うと、イタリア歌曲集の深さを実感します。

 楽譜とは異なる演奏をしていたり、歌い方も楽譜と違うところも多くありました。このCDは声楽・イタリア歌曲集の「お手本」ではない。ひとつの芸術作品だ。歌そのものの「お手本」としては難しいものがありますが、発声、発音、トリルやヴィヴラート、響かせ方…たくさんの学ぶところがあります。そして、私自身、レッスンで取り組んでいる曲という考え方でいたことを思い知りました。ずっと歌い継がれてきた芸術作品であることを、少しも考えたことがありませんでした。波多野さんの歌から、これは芸術作品なんだと実感させられました。発表会で歌う歌も、普段のレッスンで取り上げられる歌も、イタリア歌曲集の楽譜に収められている曲はレッスン用の教則本(教則本であるコンコーネ50番練習曲も歌っていて楽しいです)ではなく芸術作品であるという自覚を持って取り組もうと感じました。イタリア歌曲集に対する考え方がまた変わりました。

 やっぱり声が楽器になるって面白いな、深いな。私はまだ入り口のあたりにいる。もっと先に進んでみたいです。

 試聴できます。
Le Violette (A.Scarlatti) すみれ( A.スカルラッティ) 波多野睦美 Mutsumi Hatano


Selve amiche Antonio Caldara 優しい森よ(伝カルダーラ)波多野睦美 Mutsumi Hatano

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by halca-kaukana057 | 2015-11-13 23:06 | 音楽


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