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カエデ騎士団と月の精

 フィンランドの児童文学を読みました。図書館で探すと結構出てきます。翻訳が増えてきて嬉しいです。


カエデ騎士団と月の精
リーッカ・ヤンッティ(Riikka Jäntti):作・絵/末延弘子:訳/評論社/2010(フィンランド語原書は2005)

 リスのノコと兄のヴィリ、ハリネズミのトイヴォはカエデの木の家に住んでいる。大きなカエデの木にくっついて建っている。ヴィリは家のリフォームに、ネズミのイーリスをお手伝いに雇い、どこかへ行ってしまった。家に残った3匹は、掃除の途中、台所のオーブンが気になった。ヴィリが以前、オーブンを開けないようにとノコとトイヴォに強く言っていた。何故オーブンを開けてはいけないのか。でも、大掃除をするならオーブンも開けて掃除しようと3匹はオーブンを開ける。すると中には書類の包みがあり、さらに壁に小さな扉がついていてほら穴があった。3匹は調べてみようと秘密結社・カエデ騎士団を結成する。帰って来たヴィリは、ノコとトイヴォに明日はウサギおばさんの家に泊まるように告げる。誰かお客が来るらしい。隠してあった書類と何か関係があるはず。さらに、ウサギおばさんからカエデの木の過去とある秘密を聞く。3匹は再びカエデの木に行き、オーブンの中で見つけたほら穴に入り、ヴィリとお客の様子を伺う。お客はごろつきと噂のネズミやモグラだった。そして、彼らはドブネズミ主人の何かを狙っているらしい…。3匹もドブネズミ主人の屋敷へ行くことにした…。


 挿絵がとてもきれいだったのが、この本を手に取ったきっかけです。薄めの本ですが、物語はそれなりにボリュームがあります。森に住んでいる動物たち。秘密があるらしいカエデの木の家。湖のそばのウサギおばさんの家。ベリーが沢山採れる川辺の茂み。フィンランドの自然を感じられます。

 物語はどんどん大きくなっていきます。3匹がたどり着いたのは、「ヒーリヴオリ伝説」という村に伝わる伝説。ウサギのおばさん、ドブネズミ主人が真相を知っている。その伝説に関して、ヴィリはごろつきたちと悪だくみをしている。3匹は、伝説が悪だくみに使われないように奔走する。可愛い絵の、最初はのんびりとした雰囲気の物語が、一気にスリリングなファンタジーに。ドブネズミ主人が伝説にどんな関わりがあるのか。さらに物語は急展開。この急展開が、とても辛い。本当に急過ぎて…。3匹にもピンチが。「伝説」は本当に起こるのか…。最後まで手に汗握るように読みました。

 「伝説」という本当にあるのかないのか不可解なもの、見えないものを信じること。自分にとって何が大事なのか。大切な人たちのために何が出来るのか。「伝説」は心に問いかける。私欲に走らず、皆の、大切な人たちとの幸せを大事にする。自己犠牲のようにも読めます。フィンランドにも人のためなら自分のことは犠牲にする、自己犠牲の精神はあるのだろうか。日本の自己犠牲とはちょっと違うのだろうな。もっと、ちょっと失うものはあるけど自分は幸せ、皆も幸せという意味なんだろうな。

 児童文学ではありますが、深いです。多分、子どもが考えながら読むお話なんだろうかなぁ。自分で考えることを大事にするフィンランドの教育のような。

 この本は、フィンランドでは「カエデの木の仲間たち」というシリーズになっているそうです。これが1作目なのかな?翻訳されていたら読みたいです。
 あと、ウサギおばさんの家でパイを食べた…とあるのですが、挿絵ではカレリアパイが描かれています。フィンランドの伝統的なパイ・カレリアンピーラッカ(karjalan piirakka)のこと。ミルクかゆ(お米を使います)のパイ。ミルクでお米を炊くって美味しいのだろうか…といつも思ってしまいます。フィンランドらしいレモンケーキやベリーのパイも出てきます。

 少し前から、フィンランド語を少しは読めるようになりたいと思っているのですが、なかなかわからない。単語すら覚えられない。もっと簡単なフィンランド語の絵本を英語のリーダー教材のように和訳して読んでみたい(出来れば日本語訳も出ている本がいい)のですが、フィンランド語の絵本の原書はなかなかないですね。「カレワラ」はフィンランド語、日本語訳(岩波文庫の。またはシベリウスのカレワラ由来の声楽作品の対訳付きのもの)もありますが、難し過ぎる…。「牧場の少女カトリ」で、カトリが「カレワラ」で読み書きを学んだ(しかも独学!)のを思い出します。フィンランド語ネイティヴとはいえ、凄いよカトリ…。
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by halca-kaukana057 | 2016-02-05 22:28 | 本・読書

フィンランド語マグボトル

 イオンに行ったのですが、食器・調理道具売り場で動けなくなりました。水筒、マグボトルの棚に、こんなデザインのマグボトルが…気がついたら手にとってレジに向かっていました。

 これは回避不能です!!
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 フィンランド語がデザインされてます!他に480mlのものもありました。

 中身を開けて見ましょう…
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 全面フィンランド語です!!フィンランド語の挨拶や単語が書かれています。
 色も青に白。フィンランド国旗カラーじゃないですか!!(青というより紺色に近いけど…)

 「Moi!」や「Hei!」、「Kiitos!」、「Mitä kuuluu?」「Nähdään!」といった定番の挨拶から、「Hyvää ruokahalua!(召し上がれ!)」「Hei ystävä!(Hello friend…うまい日本語にどう訳そう?)」といったものも。
 単語は「Siili(ハリネズミ)」、「Teetä aikaa(お茶の時間)」「Piknik puistossa(公園でピクニック)」「Mehu(ジュース)」などなど。フィンランド語の勉強になります。そして何より、フィンランド好き、スオミスキーを主張できます。今の季節、飲み物は出来るだけ長い時間あたたかさを保っておきたい。家で、出先で使えます。マイボトル、タンブラー持参OK、しかも割引になるカフェで使うとお得。まだまだマイナーなフィンランド語の普及にも繋がる、はず。というお得だらけのこのフィンランド語デザインマグボトル。愛用します。
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by halca-kaukana057 | 2016-01-29 22:52 | フィンランド・Suomi/北欧

もうひとつの「クレルヴォ」

 シベリウス生誕150年記念(2016年になっちゃいましたが続けます)、「クレルヴォ交響曲」を聴こうシリーズの途中ですが、今回はシベリウスから離れて、別の作曲家の「クレルヴォ」を聴こうと思います。フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」の中でもドラマティックな悲劇の英雄・クレルヴォをテーマにした作品は、シベリウス以外のフィンランドの作曲家も書いています。

 先日、BBC Radio3の北欧特集のオンデマンドを聴いて見つけたのが、レーヴィ・マデトヤ(Leevi Madetoja : 1887-1947)の交響詩「クレルヴォ」op.15.15分程度の管弦楽曲です。

Leevi Madetoja Kullervo (1913)

 指揮演奏のクレジットがないのでどこのオーケストラの演奏なのか不明。ただ、調べてみたらCDはセーゲルスタム指揮フィンランド放送響、ストゥールゴールズ指揮ヘルシンキフィルぐらいしかない模様…フィンランドでも滅多に演奏されないのか!?
 ちなみにそのBBCで配信されていたのは、Jurjen Hempel(ジュリアン・ヘンペル)指揮BBCスコティッシュ響の演奏でした。さすがシベリウス、北欧もの大好きイギリスオケ。

 重々しく曲は始まりますが、金管のファンファーレがヒロイック。前半はシベリウスよりも明るめ?な感じ。弦も雄大でヒロイック、勇ましい英雄クレルヴォを強調しているかのよう。マデトヤはシベリウスよりも少し年下。シベリウスに師事したこともありました。シベリウスとは違う方向からクレルヴォの物語を描いているよう。金管に強さを感じます。過酷な運命に次々と立ち向かうクレルヴォの姿でしょうか。
 ただ、ラスト、クレルヴォが何もかも失い、自害するのを描いたと思われる部分は一気に暗くなります。そして静かに終わる。孤独なクレルヴォの最期のように。シベリウスの、クライマックスは主題に男声合唱も入れてフォルテで劇的に終わるのと対照的です。マデトヤの終わり方は好みです。曲の展開も。

 大体同じ時代に、同じテーマを、違う作曲家が書く(シベリウス、フォーレ、ドビュッシーの「ペレアスとメリザント」とか)…他にも様々な例がありますが、「クレルヴォ」もそういう楽しみ方が出来るんだなと思うと、また聴く楽しみが増えます。作品を聴く際の視点も増えます。マデトヤのも聴けてよかった。願わくばCD,録音、演奏機会が増えて欲しいところですね…。

 「クレルヴォ」は他にも、フィンランドの現代の作曲家・アウリス・サッリネン(Aulis Sallinen)による歌劇もあるそうで。
Kullervo 2014 Savonlinna Opera Festival

 サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル2014のオペラ「クレルヴォ」ダイジェストがありました。歌詞はカレワラから取っているようですが、現代的な演出?不思議な感じ。
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by halca-kaukana057 | 2016-01-19 22:56 | 音楽

2015.12.8 Sibelius 150 !!

 この日を待っていました。本日、2015年12月8日は、フィンランドの作曲家・ジャン・シベリウスの生誕150年…150回目のお誕生日です。1865年12月8日、フィンランドのハメーンリンナ生まれ。おめでとうございます!!

 ということで、12月に入ってからは「まいにちシベリウス」(某元テニスプレーヤーの日めくりカレンダーから連想しましたw)と自分で勝手に題して、毎日何かしらシベリウス作品を聴いています。ちょうどNHKFMのラジオでも、先日記事を書いたハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送響の来日公演の他、シベリウスの交響曲・管弦楽曲を日本に紹介した指揮者・渡邉暁雄先生のご子息のピアニスト・渡邉規久雄さんのオール・シベリウス・ピアノ作品の演奏会、そして今週は9月のラハティ・シベリウス音楽祭から、ユッカ=ペッカ・サラステ指揮ラハティ響、レイフ・セーゲルスタム指揮ヘルシンキフィル、オッコ・カム指揮ラハティ響の回、木曜にはサイモン・ラトル指揮ベルリンフィルのシベリウスを放送とのこと。今年のラハティ・シベリウス音楽祭は過去記事でも書きましたが、毎日演奏を聴くのが楽しかった。オンデマンドでたっぷり楽しみましたが、また聴けるとは嬉しい。そして木曜のラトル&ベルリンフィルも楽しみです。あと、4日のBSプレミアムで放送していた「クラシック倶楽部」シベリウスのピアノ曲、歌曲、ヴァイオリン曲もよかった。シベリウスというと交響曲にまず目がいってしまいますが、器楽曲・歌曲も特集してくれて嬉しい。この放送のラストは舘野泉さんの左手のための「フィンランディア賛歌」(吉松隆:編曲)舘野さんもシベリウスのピアノ作品を日本に紹介し続けている方。吉松先生の編曲はじわりと来ます。

 今日は手当たり次第シベリウス作品を聴きまくっています。交響曲、管弦楽曲、声楽付き管弦楽曲、器楽曲、編曲もの…。一日じゃ勿論聴ききれない。シベリウス作品の幅の広さを実感します。

 シベリウスの音楽に出会って、好きになって、ハマって、あれこれと聴いて…約10年。まだまだシベリウスの世界は広くて深いです。しかも、シベリウス作品を演奏するフィンランド指揮者・フィンランドオーケストラ・フィンランド演奏家とフィンランドは音楽家にも恵まれている。勿論フィンランドだけではない、国籍関係なく心に残る演奏はたくさんあります。まだまだシベリウスを聴いていきたいと思っています。

 今日がシベリウスの生誕150年のお誕生日…つまり、厳密には生誕150年は今日から…?まだまだ聴き足りないので、来年の12月7日までシベリウスイヤー延長してもよろしいでしょうか?(勝手にやりなさいw)「クレルヴォ」を聴こうシリーズはまだ始めたばかり、絶対来年になってもやってるなぁ…。

 ちなみに、シベリウス没後60年は2017年(1957年没)。またシベリウス記念年演奏会などありそう。あと、2019年は日本とフィンランドの国交樹立100年だそうで、フィンランドオケ来日とかありそうだなぁ。楽しみにしておきます。

 今日聴いたシベリウス作品をメモしておきます。
・カンタータ「わが祖国(Oma maa)」op.92 / アカデミー合唱協会、パーヴォ・ベルグルンド指揮ヘルシンキフィル
・火の起源 op.32 / ヨルマ・ヒュンニネン(バリトン)、ソヴィエト・ロシア国立アカデミー・エストニア男声合唱団、ヘルシンキ大学男声合唱団、パーヴォ・ベルグルンド指揮ヘルシンキフィル
・5つの小品op.75「樹の組曲」 / マリタ・ヴィータサロ(ピアノ)
・カレリア組曲op.11(ピアノ、ヴァイオリン、チェロ編曲版) / スザンナ・ミエスコネン-マッコネン(Vn)、ユッシ・マッコネン(Vc)、Nazig Azezian(P)
・アリオーソ op.3 / ソイレ・イソコスキ(ソプラノ)、ハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送響
・タピオラop.112/
・ルオンノタールop.70/アヌ・コムシ(ソプラノ)
・レンミンカイネン組曲(四つの伝説)op.22
/レイフ・セーゲルスタム指揮ヘルシンキフィル
・クッレルヴォ交響曲op.7 /Marianne Rörholm(メゾソプラノ)、ヨルマ・ヒュンニネン(Br)、ヘルシンキ大学男声合唱団、エサ=ペッカ・サロネン指揮ロスアンジェルス・フィル
  /フィンランド国営放送YLEのクラシック専門ラジオ「YLE Klassinen」でちょうど放送していました。第2楽章の途中から聴いたのですが、よかった、いい演奏でした。今日はシベリウスやフィンランドの作曲家が多めです。そのまま聴いてしまって、フィンランドの18世紀の作曲家・ベルンハルト・クルーセルのクラリネット協奏曲第3番変ロ長調op.11(カリ・クーリック(Cl)、サカリ・オラモ指揮フィンランド放送響)まで聴いてしまいました。シベリウス以前のフィンランドの作曲家。朗らかでいい曲でした。
・ルオンノタールop.70/アヌ・コムシ(ソプラノ)、サカリ・オラモ指揮フィンランド放送響
  /同じくYLE Klassinenから。今日2回目の「ルオンノタール」、しかもソプラノソロも同じくアヌ・コムシさん。今度はオラモ&FRSOで(調べてみたらこのお二人はご夫婦、夫婦共演です!)。
・交響曲第5番 変ホ長調 op.82(初稿) / ユッカ=ペッカ・サラステ指揮フィンランド放送響
 /今日は、交響曲第5番(初稿)の初演の日でもあります。100年前、シベリウス50歳の誕生日に。ご存知の通り、この初演に満足できなかったシベリウスは、曲を改訂、1919年に現行版の5番を出版します。これまで5番初稿はオスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ響のCDでしか聴いてこなかった。いち資料としか聴いてこなかったのですが(おい)、初稿も何度かあちこちのオーケストラで演奏されてきました。時々聴くと、新鮮な気持ちになります。この曲を100年前に聴いていたんだなぁ…と。
・水滴 / ヤーッコ・クーシスト(Vn)、タネリ・トゥルネン(チェロ)
・アンダンテ・カンタービレ ト長調
・ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調
/ヤーッコ・クーシスト(ヴァイオリン)、フォルケ・グレースベク(ピアノ)
・響け、神への栄誉を讃えて op. 23-6a
・吹け、風よもっと優しく op.23-6b
/エルッキ・ポホヨラ指揮タピオラ合唱団、ヨルマ・パヌラ指揮タピオラ・シンフォニエッタ
・アンダンテ・フェスティーヴォ / オスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ響
・フィンランディア賛歌 / フィンランドの皆さん
 /YLE Uutiset:Näin huikeasti Sibeliuksen Finlandia kajahti Helsingin Senaatintorilla – video
 ヘルシンキ大聖堂の前で、1000人以上で「フィンランディア賛歌」を合唱。皆さん一般の方々なんですよね…?声が美しい。さすがは北欧合唱大国…!!

 以上です。日付が変わってしまいました…。勿論、明日も、来年も聴きますよ。聴けば聴くほどたくさんの発見がある、フィンランドの森のような奥深さと、フィンランドの湖のような澄んだ美しさ。シベリウス作品に出会えて本当によかったなぁと思う一日でした。

 最後に、こんなものを書いてみた。
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 フィンランド語でバースデーカード。おめでとうございます。

【過去関連記事】
Proms2015 シベリウスプログラム&シベリウス音楽祭 まとめ
受け継がれるオーケストラの音 フィンランド放送響来日公演(テレビ・ラジオ放送)
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by halca-kaukana057 | 2015-12-09 00:27 | 音楽

受け継がれるオーケストラの音 フィンランド放送響来日公演(テレビ・ラジオ放送)

 一昨日、Eテレ(NHK教育テレビ)「クラシック音楽館」で、そして今日はNHKFM「ベスト・オブ・クラシック」で放送された、ハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送交響楽団来日公演のオール・シベリウス、ライヴ録音を聴きました。テレビとラジオの両方で放送って気合入っていますねNHKさん。

 シベリウス生誕150年アニバーサリーイヤーで、フィンランドからはフィンランド放送響とラハティ響が来日。勿論指揮者はフィンランド人(フィンランドの指揮者の充実っぷりは相変わらず…むしろ更に勢い増してる!!)。リントゥも2013年からフィンランド放送響の首席指揮者に。フィンランド国営放送・YLEの映像オンデマンドサイトにはコンサート映像がたくさんありますが(後でリストアップします)、そんなに聴いてこなかった。なので、今度はどんな指揮者さんなのかな、どんな演奏なのかなと楽しみにしていました。ちなみに1967年生まれ、今年で48歳。背がとても高い…180、190cmあるのか…?

 プログラムは「フィンランディア」、ヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン:諏訪内晶子)、交響曲第2番のシベリウスの代表的名曲。これはサントリーホールでの公演でしたが、その前にすみだトリフォニーホールで交響曲第5番、7番、「タピオラ」をやっていたので、せっかくテレビとラジオの両方で放送するなら、ラジオではこっちのほうを聴きたかった…。

 「フィンランディア」の最初の音…吼える金管を聴いた瞬間、ああ!フィンランド放送響の音だ!と感じました。フィンランド放送響は、実演を聴きに行ったことはありませんが(涙)、CDやラジオ放送、オンデマンドで結構聴いてきた、親しんできたフィンランドのオーケストラです。前の前の首席指揮者のユッカ=ペッカ・サラステ、前の首席指揮者のサカリ・オラモ。指揮者は変わっても、オーケストラのメンバーも変わったはずなのに、ほぼ同じ音がする。指揮者それぞれの個性やアプローチ、解釈は異なりますが、根底にあるもの、オケの伝統のようなものは変わってないのかも、と感じました。
 ちなみに、フィンランド放送響の「フィンランディア」は、最後一瞬弱音にして一気にクレッシェンドしてジャン!と終わるのが伝統のようです。サラステでも、オラモでもそうでした。そして今回リントゥでも。この終わり方が爽快で好きです。

 ヴァイオリン協奏曲…思えば、フィンランド放送響でシベコンはあまり聴いたことなかった、かも…?いや、ラジオで放送されたものを録音したとか、図書館から借りてきたMDとか、どこかにあるかもしれない。探してみます(大丈夫かw)
 今回のヴァイオリンソロは諏訪内晶子さん。溜めるところは溜めて、さらっと流すところは流して、オケともいい感じだったと思います。テレビでは演奏前にリントゥさんおインタビューがあったのですが、第3楽章を「白熊のポロネーズ」と表現していました。独特の表現ですね…

 で、本題。シベリウス2番。今回のリントゥ指揮のを聴く前に、CDでサラステ盤(93年サンクトペテルブルクでのライヴ盤)、オラモ盤(2006年ノルウェー・ベルゲンでのライヴ盤)を聴いて、聴き比べしてみた(全部ライヴ録音だ!)。
 冒頭の雪解け水のせせらぎのような弦…微妙なニュアンスや強弱は異なりますが、澄んだ、清々しい音色は変わっていませんでした。背が高くて大柄、振りも大きめのリントゥの指揮では、ダイナミック、迫力満点でした。第2楽章、弱音とフォルテの幅がとても大きい。第2楽章・第3楽章は明と暗で揺れ動くのですが、その差が激しい。ダイナミックだけれども、繊細なところは繊細。第3楽章もメリハリが強く、そのまま第4楽章へ。弦も管も打も一緒にあのメロディーを歌い上げる。シベリウスの交響曲は後期作品、特に4番、6番、7番が好きですが(あと、今は「クレルヴォ」も好き!)2番もやっぱりいいなぁ~と思える演奏でした。
 テレビでは、「日本では2番が何故こんなに人気があるのかわからない…」と仰っていたリントゥさんw私もなぜかはわかりません。でも、美しくて崇高で、冷たいけれども情熱を内に秘めていて、荒々しく野生的なところもあり、厳しくて、優しくて、最後は高らかに大円団で終わる。そんなシベ2が好きです。そしてぶれることのないフィンランド放送響のシベ2も好きです。ああ、だから5番7番タピオラも聴きたいですよ!

 現在のフィンランド放送響には、日本人演奏者が4人いらっしゃいます。フルートの小山裕幾さん、トランペットの櫻木厚子さん、ティンパニの森田和敬さん、打楽器の安田直己さん。安田さんはこの日の演奏会にはいらっしゃいませんでしたが、小山さん、櫻木さん、森田さんは大活躍。アンコール「ベルシャザールの饗宴」第3曲「夜想曲(ノクターン、NHKでは「夜の音楽」)」はフルートがメイン、ソロで活躍する曲。小山さんの美しいフルートに聞き惚れました。「フィンランディア」での櫻木さんもかっこよかった。フィンランド放送響で日本人奏者が活躍している、とても嬉しく思いました。
 もうひとつのアンコール、「四つの伝説(レンミンカイネン組曲)」より第4曲「レンミンカイネンの帰郷」も疾走感あふれるダイナミックな演奏にテンションが上がりました。いい演奏でした!!

 日本ではテレビとラジオで放送されましたが、本国フィンランドでもラジオ放送されました。フィンランド国営放送・YLEのオンデマンドでまだ聴けます。
YLE Areena Radio:Radion sinfoniaorkesteri ja Hannu Lintu konsertoivat Japanissa
 11月4日放送なので、多分12月4日までだと思います。公開終了が近くなると赤文字で「○h(○時間)」とあと何時間か表示されるので注意してください。

 シベリウスイヤーに、本場フィンランドのシベリウスを届けに来てくださったリントゥさんとフィンランド放送響の皆さんに感謝です!ありがとう、Kiitos!
 リントゥさんは首席指揮者になってまだ2年。これからもっと関係も深まって、演奏も変わっていくはず。見守りつつ、応援したいです。
 フィンランド放送響も勿論、ヘルシンキフィルにラハティ響、フィンランドにはたくさんのオーケストラがあります。フィンランド指揮者もそこで活躍しています。同じく見守りつつ応援したいです。

 さて、先述したフィンランド国営放送にあるリントゥ指揮のシベリウス作品のコンサート映像をまとめました。PCからはこのまま観られますが、スマホからは「YLE Areena」というアプリを入れてくださいね。
フィンランディア
 混声合唱付きです。合唱はタピオラ室内合唱団。
ヴァイオリン協奏曲
 今シーズン初めの演奏会より。ヴァイオリンは、先日オスモ・ヴァンスカ指揮読売響と共演したエリナ・ヴァハラ。
大洋の女神(波の娘)
 これも今シーズン初めの演奏会より。
ポホヨラの娘
四つの伝説(レンミンカイネン組曲)
歌曲集
 夕べに(Illalle)op.17-6、春はすばやく過ぎ去る(Våren flyktar hastigt)op.13-4、でも私の鳥は帰ってこない(men min fågel märks dock icke)op.36-2、それは夢か?(Var det en dröm?)op.37-4 
 /ソプラノ:ソイレ・イソコスキ
 歌曲をオーケストラ伴奏で。
アリオーソ op.3
 同じく、イソコスキのソプラノで。初期のマイナーな作品です。

 ついでに、歴代首席指揮者のシベリウスも。
交響曲第5番(初稿)
 つい先日の演奏会より。サラステがFRSOに帰って来ましたよー!しかも、5番の初稿!!フィンランド放送響も5番初稿やりました!

森の精(The Dryad) op.45-1
 1月の演奏会より。オラモも帰ってきましたよー!交響曲第2番の後、徐々に後期作品に移りゆくマイナーな作品。この曲でもフルート小山さんが活躍してます。

 ちなみに、メロドラマ版が元となったop.15も「森の精(The Wood Nymph)」と訳され、ややこしいです…。声楽独唱版、語りの入ったメロドラマ版、オーケストラ演奏だけの交響詩版と奥の深い作品です。
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by halca-kaukana057 | 2015-12-02 23:36 | 音楽

[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1

 もう11月も終わり…。12月…2015年が終わってしまう。今年はシベリウス生誕150年記念年。CDに加え、オンデマンドのライヴ録音も色々と聴いています。シベリウスの誕生日の12月8日も近い。
 来年になっても、シベリウスは聴く気満々なのですが(むしろ12月8日で150年。来年の12月7日まで延長でもいいんじゃないかと前にも書きましたが、本当そう思ってます…w)、何か特集企画をやりたい。

 ということで、「クレルヴォ交響曲」op.7の聴き比べをやります!

 これまで、シベリウス作品の中でもとっつき難いと感じていた「クレルヴォ」。交響曲なのか、どうなのかともよく議論になるみたいですが…。演奏時間は大体70分(ベートーヴェンの第九と同じぐらいと考えればそれほどでもないか)。ソプラノ(またはメゾソプラノ)とバリトンの独唱と男声合唱が入る、声楽つきの規模の大きな曲。シベリウスというと私は4番以降の後期の交響曲を真っ先に思い浮かべるので、初期の、しかも規模の大きな曲はなかなか親しめずにいたのです。シベリウスイヤーなのに、この「クレルヴォ」はあまり演奏されていないし…(フィンランド語の声楽ソロと男声合唱が難しいのかなぁ。フィンランドは声楽・合唱も強いんだけどなぁ)
 それが、今年のPromsとラハティ・シベリウス音楽祭で演奏された「クレルヴォ」を聴いて、この曲いい!もっと聴きたい!と思うようになり、持っていてもあまり聴かずにいたCDを聴き始めました。

 第1回、取り上げるのは、
パーヴォ・ベルグルンド指揮ボーンマス響
ライリ・コスティア(ソプラノ) 、ウスコ・ヴィータネン(バス・バリトン)、ヘルシンキ大学男声合唱団


 フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」の「クレルヴォ」の章に基づく作品。クレルヴォはカレルヴォの息子。父の兄・ウンタモに一族を滅ぼされ、幼い頃から復讐を誓う。力も精神力も強い。成長したクレルヴォは、鍛冶師のイルマリネンの家で働くことになるが、イルマリネンの妻の悪戯に激怒して殺してしまう。その後、クレルヴォは死んだはずの両親と再会、妹も生きていると聞かせれる。両親と暮らし、ある日、森の中で可愛らしい少女と出会う。その少女はクレルヴォの妹だった。それを知らず…。真実を知ったクレルヴォの妹は自殺。クレルヴォも激しく後悔、自分を責め、ウンタモ一族を滅ぼす旅に出る。ウンタモ一族を滅ぼしたものの、両親も亡くなり、家もなく…クレルヴォはこれまでの人生を振り返り、自殺する。

 この救いようのない物語も、「クレルヴォ」は親しみにくいと感じていた理由だったと思います。悲劇の英雄。英雄扱いになっていますが、実際にフィンランドの人々はクレルヴォをどんな人物と見ているのだろう?第3楽章「クレルヴォとその妹」で男性合唱とソプラノ・バリトン独唱、第5楽章「クレルヴォの死」で男声合唱が入ります。

 シベリウスの出世作になったのに、シベリウスは演奏されることを嫌がり、スコアも出版しない。シベリウスが死去した後に全曲演奏され、1970年、このベルグルンド&ボーンマス響盤が初めての録音になりました。今私が接することのできる最初の「クレルヴォ」がこのCDというわけです。さすがはベルグルンド先生。

 第1楽章「序章」、第2楽章「クレルヴォの青春」と重々しい音楽が続きます。第2楽章の静かな雰囲気は、やわらかさもあるが、やはり緊迫している。そして第3楽章。「カレワラ」をカンテレで歌う「カンテレンタル」と同じように5拍子で、軽快に明るめに始まり、「Kullervo Kalervon poika」と男声合唱が。このヘルシンキ大学男声合唱団の歌が、人の声の呼吸、やわらかな「人間の声」を感じられていい。それでいて、クレルヴォとその妹の悲劇を語る険しさ、迫力や緊張感も十分。フィンランド語の歌詞も聴きやすい。「カレワラ」は元々韻を踏むように書かれているのですが、その韻のリズムが心地いい。いい合唱だなと思いながら聴いています。

 声楽ソロの2人もいい。妹役のソプラノは甘さも持ちつつも、悲しみに。バリトンの「クレルヴォの嘆き」の部分の重さ、迫力もたまりません。

 この合唱が、第5楽章ではただならぬ雰囲気に。冒頭、オケの音は小さくひっそりとしていて、合唱がメインで聴こえる。幼い頃から誓っていた復讐を果たしたのに、何もかも失ってしまったクレルヴォの計り知れない悲しみがストレートに伝わってきます。徐々にクレッシェンドしてゆき、クレルヴォの最期が…。とても重い。重い演奏です。聴いた後、ぐったりとしてしまいます。いい意味で。クレルヴォの悲劇は救いようがないけれども、救いがなくても、過酷な運命を背負っていても、歯を食いしばり生き、そして劇的な最期を迎えるクレルヴォの生涯をちゃんと聴きたいと思う。やはり「クレルヴォ」はオペラのような部分があります。

 第4楽章「クレルヴォの出征」も、颯爽としているけれども突き刺さるような鋭さがある。弦のざわめきがいいです。シベリウスの弦のざわめき(ささやき)はいい。角笛のようなホルンや、ファンファーレのような金管もアクセントになっている。

 あと、打楽器陣も、迫力があり、演奏をビシッと引き締めている。

 「クレルヴォ」という作品を世に広めることになったこの録音に感謝です。この後に続く録音もどんどん聴いていきます。そのうち聴きどころや魅力をどんどん見つけられたらいいな。
 ちなみに、ベルグルンドはヘルシンキフィルとも「クレルヴォ」を録音しています。こちらも聴けたらいいな。

・関連記事:Proms2015 シベリウスプログラム&シベリウス音楽祭 まとめ
 このPromsとシベリウス音楽祭で演奏された、サカリ・オラモ指揮BBC響の演奏が「クレルヴォ」をもっと聴きたいと思ったきっかけでした。迫力と疾走感満点のいい演奏です。声楽陣もいい。この記事のリンク先(「動画その2」)、まだ聴けます。(BBC Radio3のは11月29日まで。中身は同じです)
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by halca-kaukana057 | 2015-11-28 23:20 | 音楽

オンネリとアンネリのおうち

 久々にフィンランドの児童文学を読みたくなりました。

オンネリとアンネリのおうち
マリヤッタ・クレンニエミ:作/マイヤ・カルマ:絵/渡部翠:訳/プチグラパブリッシング/2005

 小学生の女の子、オンネリとアンネリはとても仲が良いお友達。オンネリの両親は別々に暮らし、アンネリは9人きょうだいの5番目。夏休みに入った朝、2人がバラ横町の道を歩いていると、「正直なひろいぬしさんにさしあげます。」と書かれた封筒を拾う。交番に持って行き、中を見るとたくさんのお金が。おまわりさんは封筒に書いてある通り、このお金は2人のものだと言って手渡すが、困った2人は元あったところに戻すことに。封筒が置いてあった家の門の前に、こっそりと置こうとすると、家の主・バラの木夫人がその家に「売家」の張り紙を。2人に気付いたバラの木夫人は2人を呼び、この家は「ふたりの小さな女の子」が住む家として建てられてしまったものだと説明する。2人も、お金の入った封筒のことを話すと、そのお金でこの家が買える。この家が欲しくない?と聞かれてしまう。2人は家を買うことにする。2人だけで住むお家は、とても素敵なお家だった…

 物語の内容からずれるのだが、フィンランドには「レイキモッキ(Leikkimokki:「レイッキモッキ」の方がフィンランド語の発音に近い?)」というものがある。日曜大工で子どものために庭に作ってあげる小さな家のこと。主にお父さんが娘に作ってあげるらしく、男の子は自分で隠れ家を作るそうだ。そこに子どもたちで集まって、おやつを食べておしゃべりをしたり、パーティを開いたり…。子どもたちは自分で家の中を装飾する。私も子どもの頃、友達と秘密基地を作ったことがあるが、フィンランドでは親公認だけど子どもたちのプライバシーが守られる隠れ家がある。これを知った時、いいなぁと感じました。
All About:フィンランド発!子どものための家「レイキモッキ」

 読んでいて、その「レイキモッキ」を思い浮かべました。自宅の庭に小さな家…ではなくちゃんとした一戸建てですが。フィンランドは家族を大事にする…とはいえ離婚率も高い(日本とは考え方が違う)。アンネリの両親は別居中ということなのだろう…。オンネリも家に居場所がない。そんな2人が買ってしまった家。家の中も、2人が住むことを予想?して何もかも用意されている。バラの木夫人は魔法使いか何かなんだろうか…と思ってしまう。素敵なおばあさんです。
 家に帰っても、アンネリの両親はそれぞれ旅行に行ってしまったし、オンネリの家は相変わらずきょうだいがたくさんで、オンネリはその中に馴染めない。夏休みの間、2人は自分たちの「家」で暮らし、様々なご近所さんに出会う。このご近所さんたちがいい。

 冒頭で出てきたおまわりさんも再登場し、かなり重要な登場人物になります。お隣さんのロシナおばさん…児童文学で、こんな細やかに心の傷と喪失、再生を描くなんて、とても素敵なお話だなと読んでいてやさしい気持ちになりました。そして何よりも、最後が…。やっぱり「家族」なんですね…。

 まだ小学生ですが、オンネリとアンネリは料理もうまいようで、食事も自分たちでつくります。フィンランドの料理が次々と出てくるので、フィンランドの食文化の雰囲気を味わえる物語でもあります。

 この「オンネリとアンネリのおうち(Onnelin ja Annelin talo)」には続編があるということ。「オンネリとアンネリの冬(Onnelin ja Annelin talvi)」、「オンネリとアンネリとみなし子たち(Onneli, Anneli ja orpolapset」、「オンネリとアンネリと眠り時計(Onneli, Annelin ja nukutuskello)」と全4作あるとのこと。読みたいと思って探したら、ない。日本語訳なんて出てない。この「オンネリとアンネリのおうち」も絶版。とても残念です…。

【追記】
 この本も絶版…と思ったら、復刊されてました!!
福音館書店:オンネリとアンネリのおうち
 せっかくなので、全4作日本語訳出版を希望します!続編も読んでみたい。
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by halca-kaukana057 | 2015-11-15 23:09 | 本・読書

Proms2015 シベリウスプログラム&シベリウス音楽祭 まとめ

 何度も書きますが、今年はシベリウス生誕150年の記念年。世界各国でシベリウス作品が演奏会でいつも以上に取り上げられています。いいことだ…。その中でも、イギリスで現在開催中の音楽祭「BBC Proms2015」、そして現地時間8月31日から9月6日まで開催されたフィンランド・ラハティ・シベリウス音楽祭での交響曲チクルスは気合が入っています。どちらも、オンデマンドでまだ演奏が聴けるものがあります。ということで、自分用メモも兼ねてまとめておきます。

【BBC Proms2015】
Prom 1: First Night of the Proms
・組曲「ベルシャザールの饗宴」op.51
 /サカリ・オラモ指揮BBC響 (こちらでどうぞ)
 プロムスの初日、幕開けの「ファーストナイトコンサート」。今年メモリアルイヤーのシベリウスと、同じく生誕150年(同い年)のデンマークの作曲家・カール・ニールセンの「仮面舞踏会」序曲も取り上げられています。北欧コンビを指揮するのが、BBC響の首席指揮者のフィンランド出身、サカリ・オラモ。昨年のラストナイトコンサートはめちゃくちゃ楽しかったw
 「ベルシャザールの饗宴」、初めて聴きました。組曲版は4曲から構成されていて、第1曲はこれもシベリウスの作品?と思うようなエキゾチックなメロディー。2曲目以降はシベリウスだなぁ、と感じます。第3曲のフルートがしんみりといい。
 このファーストナイトは先日NHKFMでも放送されました。ばっちり録音しました。

Prom 40: Sibelius – Symphonies Nos. 1 & 2
・交響詩「フィンランディア」op.26
・交響曲第1番 ホ短調 op.39
・交響曲第2番 ニ長調 op.43
/トーマス・ダウスゴー指揮BBCスコティッシュ交響楽団
 プロムスでのシベリウス交響曲チクルスその1.デンマーク出身のダウスゴーの指揮。「フィンランディア」に始まり、1番、2番。
 オンデマンドは9月15日まで公開中。

Prom 42: Sibelius – Symphonies Nos. 3 & 4
・交響曲第3番 ト長調 op.52
・ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47
・交響曲第4番 イ短調 op.63
/イラン・ヴォルコフ指揮BBCスコティッシュ交響楽団
 ヴァイオリン・ソロ:ジュリアン・ラクリン
 シベリウス交響曲チクルスその2.指揮のヴォルコフも、ヴァイオリンのラクリンも存じ上げませんでした。プロムスはこんな今まで聴いたことのない演奏家にも出会えるのがいいところ。
 オンデマンドは9月16日まで。

Prom 43: Sibelius – Symphonies Nos. 5, 6 & 7
・交響曲第5番 変ホ長調 op.82
・交響曲第6番 (ニ短調) op.104
・交響曲第7番 ハ長調 op.105
/オスモ・ヴァンスカ指揮BBC響
 シベリウス交響曲チクルスその3.待ってましたヴァンスカ!!しかも5,6,7番とはわかっていらっしゃる!!これはもう聴いたのですが、1曲目の5番から凄かった。これ1曲目だよね、この後6番7番と続いたらどうなるの?と思ってしまう演奏でした。6,7番もよかった!

Prom 47: Sibelius, Jón Leifs, Anders Hillborg & Beethoven
・交響詩「タピオラ」op.112
/サカリ・オラモ指揮BBC響
 再びオラモ&BBC響。1曲目に「タピオラ」。「タピオラ」の荘厳な雰囲気がたまりません。
 オンデマンドは9月21日まで。

Prom 58: Sibelius – Kullervo
・交響詩「エン・サガ」op.9
・「クレルヴォ」交響曲op.7
/ヨハンナ・ルサネン=カルタノ(ソプラノ)、ワルテッリ・トリッカ(バリトン)、ポリテク合唱団、BBCシンフォニー合唱団(男声合唱)、サカリ・オラモ指揮BBC響
 交響曲チクルスにはこれも入れていいと思う、「クレルヴォ」交響曲。と、「エン・サガ」。初期の作品を再びオラモ&BBC響で。声楽ソロの2人とポリテク合唱団もフィンランド出身。「エン・サガ」を聴いたのですが(「クレルヴォ」に関しては後で書きます)、躍動感あふれる演奏。あの大太鼓のリズムには心躍ります。
 オンデマンドは9月29日まで。
 プロムスは以上。交響詩・管弦楽曲をもっと演奏してもいいのにな。
 スマートフォンから聴く際は、BBCの再生アプリを入れると聴けます。iOSは「BBC iPlayer」、androidは「BBC Media Player」を入れてください。

【ラハティ・シベリウス音楽祭】
 交響曲チクルス・管弦楽作品はオンデマンドで配信されています。しかも動画で。演奏会後すぐに公開。フィンランド国営放送YLEさん、素晴らしい…!!でも、休憩時間の指揮者インタビューなどは全てフィンランド語。全くわかりませんw
 ちなみに、こちらもYLEのアプリを入れるとスマートフォンからも観られます。「YLE Areena」というアプリを入れてください。ブラウザで観たい動画を選択するとアプリが起動します。ただし、アプリもフィンランド語です…。

◇1日目:レイフ・セーゲルスタム指揮ヘルシンキ・フィル
交響詩「タピオラ」op.112(動画:こちらでもどうぞ)
コンサート全編(音声のみ)
ルオンノタール op.70(動画)
(ソプラノ:アヌ・コムシ)
レンミンカイネン組曲(4つの伝説)op.22(動画)
・アンコール:「カレリア組曲」より第3曲「Alla marcia(行進曲風に)」
 幕開けはセーゲルスタム指揮ヘルシンキ・フィルによる管弦楽曲集。「タピオラ」で始まるとはいいですね。そういえば、どれもフィンランドの民族叙事詩「カレワラ」にちなんだ作品。

◇2日目:オスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ響
森の精op.15 / 動画その2
交響曲第3番 / 動画その2
交響曲第4番 / 動画その2
・アンコール:伯爵夫人の肖像
コンサート全編
 ラハティ響にヴァンスカが帰ってきました!1曲目の「森の精」は演奏されるのはなかなか珍しい作品。4番はラハティ響の緻密な音に聞き入ります。時に熱いヴァンスカ。アンコールの「伯爵夫人の肖像」、初耳の作品です。さすがヴァンスカ&ラハティ響。マニアックです!

◇3日目:サカリ・オラモ指揮BBC響
エン・サガ / 動画その2 / BBC radio3での放送(11月26日まで)
クレルヴォ交響曲 / 動画その2 / BBC radio3での放送(11月29日まで)
コンサート全編
 (ソプラノ:ヨハンナ・ルサネン、バリトン:ワルテッリ・トリッカ、男声合唱:ポリテク合唱団)
 BBC Promsと同じく、オラモ&BBC響で「エン・サガ」と「クレルヴォ」。ソプラノさんと、合唱の規模(BBCシンフォニー合唱団はいない)が違いますね。Promsと違うのは、やはり動画で観られるところ。「エン・サガ」は初めて演奏風景を観たのですが、思った以上に難しい曲なんだなと感じました。ヴィオラソロが何度もあったのが嬉しかった。この演奏はかなり好き。
 「クレルヴォ」はこれまであまり聴いてこなかった。この際だからお近づきになりたいと聴いてみた。「カレワラ」のクレルヴォの章を読んで頭に入れてから。救いようがない物語ですが、聴いていて、過酷な運命にも立ち向かう毅然としたたくましいクレルヴォの姿をイメージしていました。ドラマティック。3楽章は「カレワラ」の5拍子で、合唱と独唱(ソプラノ:クレルヴォの妹、バリトン:クレルヴォ)の歌に引き込まれる。「クレルヴォ」面白い!好きになった、少し距離を縮められたかも。今度は持っているCDを聴きます。

◇4日目:オッコ・カム指揮BBC響
ヴァイオリン協奏曲 / 動画その2 / BBC radio3での放送(11月25日まで)
 (ヴァイオリンソロ:セルゲイ・マーロフ)
交響曲第2番 / 動画その2 / BBC radio3での放送(11月27日まで)
・アンコール:悲しきワルツ
コンサート全編
 BBC響を、今度はオッコ・カムが指揮します。ヴァイオリン協奏曲のソロ、マーロフさんの服装がかなりラフで、カッコイイ兄ちゃんという雰囲気。演奏もスリリングです。一方の2番はしみじみしてしまう。第4楽章がじんわり味わい深い。
 BBC響はPromsで忙しいところを駆けつけてくださってありがたいですね(オラモが連れてきた?)

◇5日目:ユッカ=ペッカ・サラステ指揮ラハティ響
交響曲第1番 / 動画その2
吟遊詩人 / 動画その2
交響曲第5番 / 動画その2
・アンコール:鶴のいる情景
コンサート全編
 再びラハティ響に戻って、今度はヴァンスカの後にラハティ響を率いたサラステで。1番はシベリウスの交響曲の中でも私はあまり聴かない曲です。でも、この演奏で1番もいいなと思いました。メリハリがあって、第4楽章はじわじわときました。やっぱり1番もいい。ハープがどこか物寂しい「吟遊詩人」。5番は今年は何度も聴いています。聴く度に好きになってます。

◇6日目:オッコ・カム指揮ラハティ響
大洋の女神(波の娘) / 動画その2
ポホヨラ(ポヒョラ)の娘 / 動画その2
交響曲第6番 / 動画その2
交響曲第7番 / 動画その2(アンコールのフィンランディア付き)
・アンコール:フィンランディア
コンサート全編
 最後は、現在のラハティ響の首席指揮者のオッコ・カム。「ポホヨラの娘」の疾走感がたまらない。6,7番はもう言葉は要らない…。アンコール、交響曲チクルスの最後に「フィンランディア」。胸が熱くなります。

 以上、交響曲、管弦楽曲のまとめでした。いつまでオンデマンドで聴けるのかちょっとわからないのですが、お早めに。全員世界で活躍中のフィンランド人指揮者。それぞれ指揮や解釈、音遣いの個性が出ていて面白いなと観ていました。ラハティ響だけでなく、ヘルシンキフィル、BBC響とオーケストラの個性も違う。毎日動画がアップされると観て、聴いて、毎日楽しかった!ありがとうございました!
 ちなみに、交響曲・管弦楽曲の他にもピアノ曲や室内楽も公開されています。更に、同じ頃演奏会をしていたハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送響の演奏会も。大変ですw
【追記】
 個別の動画のなかった1日目・セーゲルスタム指揮ヘルシンキフィルの動画があったので追加しました。あと、昨年2014年のシベリウス音楽祭(オッコ・カム指揮ラハティ響)、12月6日のフィンランド独立記念日コンサートの「フィンランディア」(男声合唱付き)、「吟遊詩人」「クリスティアン王二世」の動画もあるサイトもありました。素晴らしいです。「エン・サガ」を聴いたら、あれ、音が違う…いや、これは初稿だ!!「エン・サガ」の初稿は初めて聴きました。ヴァイオリン協奏曲も初稿です。気になってたけど聴いたことない…という方は是非。
ClassicLive:Sibelius 150 years

【追記その2】
 フィンランド国営放送(YLE)のサイトで公開されていた動画は、1ヶ月間の公開だったようです。10月15日現在は残念ながら観られません。しかし、別に公開しているサイトがあったので、そちらでどうぞ。「動画その2」のリンク先で観られます(追記その1に書いてあるサイトと同じです)。ラハティ響を中心に演奏会の動画を載せているサイトのようです。

【追記その3】
 BBC radio3で、BBC響による演奏が放送され、オンデマンドで聴けるのでリンクを貼っておきます。期間限定なのでお早めに。

【追記その4】
 ラハティ響のコンサート映像を中心にアップしているサイト(「動画その2」のサイト)で、シベリウス音楽祭全ての演奏動画がアップされました。高画質で嬉しいです。あと、12月7日から9日まで、NHKFMでも放送しています。(サラステ&ラハティ、セーゲルスタム&ヘルシンキフィル、カム&ラハティ)

 この秋・冬にはオッコ・カム&ラハティ響や、ハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送響、ヴァンスカも読売響と、来日公演もあります。日本フィル次期首席指揮者となったピエタリ・インキネンも、交響曲チクルスはもう終わったので今年は交響詩・管弦楽曲を取り上げています。10~12月の間に、フィンランド指揮者が4人(既に上半期にはサロネン&フィルハーモニア管、サラステとストルゴーズがN響に客演。計7人!!相変わらずフィンランドの指揮者の勢いが凄い…)、フィンランドオケが2つ来日…なんてこった!!
 私は行けないので、テレビ放送、ラジオ放送があるといいなぁ…。(追記:リントゥ&フィンランド放送響は既に11月末のEテレ「クラシック音楽館」で放送が決まっています。やった!カム&ラハティ響もお願いします!!)
YLE:Areena radio:Radion sinfoniaorkesteri ja Hannu Lintu konsertoivat Japanissa
 一足お先に、音源だけならフィンランド国営放送YLEでも放送され、オンデマンドで聴けるようになっています。海外ツアーでの演奏を演奏会のすぐ後にラジオ放送し、ネットでオンデマンドで聴けるYLE…本当に凄い。公開期間はいつまでなのか不明ですが、多分1ヶ月あたり?お早めにどうぞ。

 まだまだシベリウスイヤーは続きます!
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by halca-kaukana057 | 2015-09-07 23:14 | 音楽

フィンランド人指揮者でベートーヴェン+α N響演奏会に行ってきた

 久々にオーケストラのコンサートが近場であったので行ってきました。オケはお馴染みN響。久々の国内プロオケ。N響は2008年に一度行った以来。
・その時の記事:悲愴交響曲の重さ
 ↑N響と一言も書きませんでしたが、N響だったんです。

【プログラム】
・ベートーヴェン:「エグモント」序曲 op.84
ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37
交響曲第5番 ハ短調 <運命> op.67
 ピアノ:アリス・紗良・オット
 ヨーン・ストルゴーズ指揮NHK交響楽団

 指揮のヨーン・ストルゴーズ(John Storgårds)さん。何も知らずにチケットを取り、北欧っぽいお名前だけどどこの方だろう?と後から調べたら、なんとフィンランドのご出身。シベリウス音楽院指揮科ヨルマ・パヌラ門下です。なんと…!スウェーデン語のお名前でしたか。ついにフィンランドの指揮者の演奏を聴く機会に恵まれた!プロフィールを読むと、エサ=ペッカ・サロネンの元でスウェーデン放送交響楽団のコンマスを務めていた。その後指揮に転向したとのこと。そういえば、サロネンの指揮でデビューした演奏家ってそれなりに多い気がする。パヌラ門下生が更に新しい指揮者や演奏家を発掘・育成している。フィンランドの指揮者・音楽家が引き継がれていっているのだなぁ。嬉しいことです。
音楽事務所 ジャパン・アーツ:アーティスト情報:ヨーン・ストルゴーズ(指揮)
 ↑ストルゴーズさんプロフィール。検索すると「ストゥールゴーズ」との表記も。スウェーデン語も難しい…。
BBC Proms 2015:Prom 5: Haydn, HK Gruber & Stravinsky
 今年のプロムスにも、BBCフィルハーモニックを指揮していました。動画はこちら(「ペトルーシュカ」)

 私の席は2階の後ろのほう。開演前から、楽団員さんの何人かは舞台で音出ししていたり、舞台裏からも金管楽器の練習している音が聴こえてきました。コンサート開演前のこの雰囲気が好きです。そして開演。N響の皆さんが登場。コンサートマスターは「まろさん」篠崎史紀さん。おお!いつもテレビで観ているまろさんがコンマスとは嬉しい!N響はFMでの定期演奏会生中継や、Eテレ「クラシック音楽館」の放送もよく観ているので、団員さんもそれなりにお名前は覚えている。しかし…私の席からはお顔が判別できない…。木管もどなたが乗っているのかわからないぞ…。いつもはオーケストラ全体を見渡せて、音の響きもいいなら後ろの席でも構わない、と思ってきたのですが…今回は団員さんたちのお顔、表情が確認できる席を取ればよかったとちょっと後悔。または双眼鏡持ってくればよかった。

 指揮のストルゴーズさんが登場して、1曲目、「エグモント」序曲。有名だけど、私はあまり聴いたことがありませんでした。配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ。この曲ではトロンボーンはなし。最初の音から、N響の音の厚みに驚きました。普段ラジオやテレビでよく接しているオーケストラのはずなのに、生の音は違う。これから壮大なドラマが始まると予感させるドラマティックな音楽。刻む弦が印象的。最後は長調で終わるのは5番交響曲に通じるところがある。好きな曲だなと思いました。
 そして、ストルゴーズさんの指揮が熱い。身体全体でダイナミックな指揮。フィンランドの指揮者はスマートでクール(でも熱い時は熱い)、キリッとした指揮をするイメージがありました。キリッとしているのだけれども、動きが大きくて、熱い。でも熱過ぎる、暑苦しい感じはしない。フィンランド人指揮者の個性の幅、そして層の厚さに感心しました。拍手拍手。

 ピアノをセッティングして、2曲目、ピアノ協奏曲第3番。ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中でも一番好きな作品です。アリス・紗良・オットさん、明るい緑のドレスが素敵です。アリスさんの演奏も初めて聴きます。後から知ったのですが、アリスさんはコンサートではいつも靴を履かず裸足なのだそう。このコンサートでもそうでした。ロングスカートで、私の席からは確認できなかった。確かに、靴によってペダリングも微妙に変わってしまうし、女性ならヒールの高い靴だと尚更。合理的だな、と感じました。
 いつもCDで聴いている曲ですが、生で聴かないとわからないことが沢山ありました。編成が小さい。ホルンは2管。やっぱりトロンボーンはいない。大きなホールで聴くとちょっと地味なようにも感じました。ピアノの音域が広い。オーケストラとの掛け合いが何度もあり、お互いを引き立てたり、競い合ったり、一緒に渾身の演奏をしたり…オケもピアノもとても楽しい。
 大きなホールで聴くとちょっと地味?と書きましたが…演奏はピアノもオーケストラもダイナミック、迫力があり、華麗でした。第1楽章のカデンツァの華麗さ、難しさも見て聴かないとわからない。アリスさん、難しい箇所も華麗に弾いてしまう。細いのに力強くて、凄いなと見ていました。第2楽章の弱音もきれい。ピアノもオケも魅力的な曲だと再確認。ますます好きになりました。
 演奏後、大きな拍手にこたえてアンコール。
・ショパン:ワルツ イ短調 遺作
 ベートーヴェンとは打って変わって、愛らしくやさしい演奏。本当に弱音がきれい。この曲は私もかつて弾いてみたいなと思っていた曲。ピアノを弾く人ならよく知っている曲ほど、プロが演奏するのは難しいと思うのですが、魅力的な演奏でした。アリスさん、ありがとうございました!

 休憩を挟んで、後半は交響曲第5番。トロンボーンも出てきて、ヴィオラとコントラバスも人数が増えていた。ホルンも4管に戻りました。第1楽章、速い!テンポはかなり速めです。でもN響の音色は相変わらず厚いし、乱れない。暗く悲劇的なイメージの強い第1楽章ですが、そんなに悲劇という感じがしない。疾風怒濤という感じ。繰り返しもきっちり演奏してます。ストルゴーズさんの指揮はやっぱり動きが大きく熱いのですが、「エグモント」序曲と同じく、熱過ぎず暑苦しくない。速いけど速過ぎない。重過ぎず、軽すぎず。第2楽章以降はそんなに速めには感じませんでした。2・3楽章はヴィオラとチェロのみせどころ。ここで、チェロの首席が藤森さんだったことに気がつきました。動きが大きく、活き活きと演奏されてました。ヴィオラもいい音が出ていて、ヴィオラ好きとして嬉しい。第4楽章は、ベートーヴェン5番ではここでしか出番のないトロンボーンを自然と応援してしまいます。全体を通して、明るく迫力があって、活き活きとして、希望を感じさせる5番でした。第4楽章を聴きながら、楽しいな、かっこいいな、でももうすぐ終わっちゃうのが寂しいな…と感じていました。フィナーレは圧巻でした。会場大拍手。私も手が痛くなるまで拍手していました。ストルゴーズさん、何度もお辞儀をして、コンマスのまろさんや首席の皆さんと握手したり、各パートを立たせて挨拶したり。演奏後のこのカーテンコール、挨拶も好きです。N響の皆さん、ありがとう!ストルゴーズさん、Kiitos!(せっかくなのでフィンランド語で)と心の中で叫んでいました。

 そして、アンコール。ストルゴーズさん、一言言って、指揮台に立ちます
・シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ
 最初の音を聴いた瞬間、何の曲かわかりました。シベリウス!!アンダンテ・フェスティーヴォ!!!この曲を生で聴けるとは…もう胸がいっぱいになりました。プロオケでシベリウスの作品を生で聴くのは初めてです。しかも、「アンダンテ・フェスティーヴォ」とは!!嬉しくて嬉しくて…!澄んだ美しい、やさしくあたたかいけれども威厳もある弦楽合奏。N響の弦はいいなぁ。コントラバスの低音がまたいい。ヴィオラも普段は陰に隠れがちだけど、いい音が聴こえる。いとおしむように、耳に焼き付けるように聴いていました。涙腺攻撃容赦ないです。
 ストルゴーズさんがフィンランドのご出身と知って、ならばシベリウスが聴きたいなと思っていました。ベートーヴェンはピアノ協奏曲第3番はいいけど、メインはシベリウスの交響曲2番とか…せっかくの来日なのに、そして今年はシベリウス生誕150年のメモリアル・イヤーなのに。そんなことを思っていましたが、このアンコールで吹き飛びました。
 最後、ティンパニも入って最後の音…ここでストルゴーズさんが右手を上にふわりとあげる指揮を。音もふわりと広がって、曲が終わっても余韻が。この音がとてもきれいでした。その余韻をたっぷりと味わってから大拍手。ストルゴーズさん、Kiitos paljon!!(やっぱりフィンランド語が出てしまうw)最高に嬉しいアンコールでした。

 思えば、N響でシベリウス「アンダンテ・フェスティーヴォ」…思い出があります。昨年2月。東京へ旅行に行った時。ちょうどN響定期公演が、尾高忠明さん指揮のオール・シベリウス・プログラム。1曲目が「アンダンテ・フェスティーヴォ」で、これは行きたい!と同行の友人たちに説明して、でも私一人で行くことに。しかし、その日、東京は大雪。雪の中でシベリウス、いいじゃないか、雰囲気出るじゃないか、シベリウス日和じゃないか!と逆にテンションが上がるw雪国在住、雪なら任せろ!雪靴、コート、雪対策・防寒対策も完璧だ!…しかし、交通等の関係で、渋谷NHKホールまで行けませんでした…。その悔いを晴らしました。きっちりN響で。東京まで行かなくても晴らせたよ!しかもフィンランドの指揮者さんの演奏で!
・その時の記事:大雪の東京へ
・代わりにムーミンカフェでフィンランド成分補充?:雪降る街、ムーミンたちとお茶をしよう

 本当に楽しい演奏会でした。ホールから出ると、薄雲に半月が。やっぱりシベリウス「アンダンテ・フェスティーヴォ」の余韻に浸りつつ帰途へ。
 N響の皆さん、またいらしてくださいね。ツアーも明日が最後。盛況になりますように。ストルゴーズさんも、また来日してくださいね。Hyvää matkaa!(よい旅を!)
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 この秋から、N響の首席指揮者にはパーヴォ・ヤルヴィさんが就任します。今年の就任前のコンサートもよかった。パーヴォさんと更にレベルを上げたN響を聴きたいです。今度はパーヴォさんとの演奏も是非生で聴きたい。パーヴォさんと全国行脚してくださらないかな…。
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by halca-kaukana057 | 2015-08-30 23:21 | 音楽

青い光が見えたから 16歳のフィンランド留学記

 かなり前に出て、フィンランド関係で読みたいと思っていたが読めずにいた本。ようやく読めました。


青い光が見えたから 16歳のフィンランド留学記
高橋絵里香/講談社/2007


 小学生の時に読んだ「ムーミン」シリーズがきっかけでフィンランドに興味を持った筆者。いつしか「フィンランドに行きたい。フィンランドで暮らしてみたい。フィンランドの学校に通いたい」と思うようになった。高校生になったらフィンランドの学校に留学する、と目標を立てた。しかし、中学生になり、上級生下級生の上下関係が厳しく、先生は絶対であり、体罰や脅しもあることに疑問を持つようになった。親しくなった先生にも裏切られ、いつしか皆と同じ、自分を押し殺し、他者の顔色を伺いビクビクしながら暮らすようになった。フィンランドへ留学することも諦めていたが、中学2年の時に下見とフィンランドへ家族で旅行し、受け入れてくれそうな学校を探す。見つかったのはロヴァニエミのリュセオンプイスト高校。留学といっても、1年間ではなく3年間。入学して、卒業するまで。留学への壁は厚い。フィンランドの滞在許可が下りるか。フィンランド語も満足にできないのに留学できるのか。フィンランドの高校の卒業試験はとても難しく、突破できるのか…。精神的に不安定になりながらも、やっぱりフィンランドの高校に行きたい。ホストファミリーも無事に見つかり、滞在許可が下り、中学を卒業した筆者は、フィンランドへ旅立った…。


 この本が出た頃、フィンランドの教育が注目されていたのだったっけ?よく覚えていない。フィンランドの教育はいい、日本の学校との比較はあまりしないように書きます。日本の学校でも、フィンランドほどではないが自由でおおらかな校則・校風の学校はある。あくまで、高橋さんが体験したフィンランドでの高校生活について書きます。

 きっかけなどは異なるが、フィンランドに興味を持っていて、フィンランドに行ってみたいと思っている…私も同じだ。フィンランドに行くなら、できるだけゆっくり滞在して、フィンランドの人々と触れ合ったり、森と湖の自然を満喫しながら、私がフィンランドに興味をもつきっかけになったシベリウスの作品を聴きたい、と思っている。だが、私がそんなことを思うようになったのは社会人になってから。仕事もある、生活費から旅行資金を繰り出すのはなかなか難しい。体調面でも不安がある。ゆっくりとフィンランドに滞在する…少なくとも2週間…時間も取れない。もしかしたら、行けないままかもしれない。届かないまま、憧れのままで終わるかもしれない。そう思いながら、シベリウスやフィンランドの音楽を聴いたり、「ムーミン」シリーズを読んだり、フィンランドの写真をネットで探してみたり…。

 この本を読んで、若いっていいなとまず思った。エネルギーがある。窮屈な中学校、日本から飛び出したい。1年間の交換留学じゃ短い、とフィンランドの高校に留学というよりは入学することを目指す。精神的に不安定になりながらも、それでもフィンランドに行きたい!!とひとつひとつ厚い壁を乗り越えていく。若さもあるし、両親の理解と支援が何よりも心強い。恵まれている。学校で先生に反対されても、両親は理解して背中を押してくれる。いいなぁと、正直羨ましく思った。

 そして入学。フィンランドの高校は単位制。移民や留学生のための外国人のためのフィンランド語の授業もある。本ではさらっと書いてあるが、実際、筆者がフィンランド語をマスターするのはとても大変だったのだろう。フィンランド語は名詞も動詞も格変化が多くとても難しい。しかも、日本語で書かれたフィンランド語の本は今は少しは増えてきたが、筆者がフィンランドに渡った2000年ごろはほんの少ししかなかったはず。フィンランドで筆者が買ったのは、フィン英・英フィン辞書。ストレートに母国語でマスターできない難しさは相当のものだったろう。だが、間違えてもいいからフィンランド語をマスターして、国語の読書感想文を発表したり、試験も受ける。試験はレポート記述式のような形で、最初はほとんど何も書けなかった。その試験は0点でも、成績は…試験の結果だけじゃない。高校の先生も、友達も、高橋さんの努力する姿、前向きに学ぼうとする姿勢を評価し、ほんの少しのことでも誉めてくれる。間違っていることや足りないことははっきり言うが、いいところもちゃんと見る。子どもも大人もそんな考え方が出来ていて、それで学校が成り立っていていいなと思う。

 フィンランドの人たちに日本のことを紹介することも何度かあった。日本語、食べ物、文化…。普段でも、外国にいく時には特に、日本のことをちゃんと紹介出来るようにしておきたい。
 高橋さんがフィンランドで迎えたクリスマスも印象的。ロヴァニエミはサンタクロースが住んでいる村がある町としても有名。クリスマス前には、世界中にプレゼントを配りに出発するサンタさんのニュースを観たことがある。フィンランド人にとってクリスマスは、家族で過ごす大事な日。日本のようなわいわい賑やかなパーティーは1ヶ月前に済ませておくそうだ。フィンランドにも一応ワイワイ騒ぐクリスマスパーティーもあることは初めて知った。そして、この頃はフィンランドは暗く寒さの厳しい季節。ロヴァニエミは北の方の町なので、日中はほとんど真っ暗。気温もマイナス30度を下回る。厳しい自然の中だからこそ、よりクリスマスの暖かさが際立つのだろう。

 勉強は難しいが、高橋さんはフィンランドで閉ざした心を徐々に開いてゆく。厳しい上下関係も、体罰や脅しをする先生もいない。先生は親しみを込めてファーストネームで呼び(寧ろ呼ばれないと親しみをもたれていない証拠なのだそうだ)、髪を染めたりピアスも開けていい。高橋さんも髪を染め、ピアスも開けた。日本では先生は絶対だし、校則も厳しく、ピアスは禁止されていると言うと、理解できない、と。私がもし何故禁止されているのかと聞かれたら「風紀を乱すから。日本ではピアスは好ましくないもの、学校や大人、社会への反抗とみなされるから」と説明するだろうが、これで理解されるだろうか。
 そして、フィンランドに来た頃はフィンランドの人々から見れば、高橋さんはとても暗い表情をしていたという。シャイな日本人、では説明しきれないほどの。1年も経たないうちに、表情も、服装も明るくなった、と。3年では元々得意なドラムを生かして友達とバンドを組み、学校で演奏もした。「自分の居場所」と言えばいいのだろうか。自分を素直に表現できる環境。人も場も受け入れてくれる。高橋さんにとってフィンランドはそんな場だった。自分を押し殺し、苦しんだ中学とは全く異なる世界。そんな環境に出会えた…というよりも、自分で切り拓いて見つけたことに、いいなぁと思いながら読んでいた。

 フィンランドの高校は、3年と決まっていない。学びたいことの進度・深度や自分のペースによって、3年半や4年の人も少なくない。高橋さんも4年で卒業することを目指す。卒業するための最大の難関…卒業試験。これは学校ごとではなく、フィンランドの国全体で行われるもの。卒業できるかどうかは国が決める。試験も長文の記述式のものがほとんどで、試験時間は1教科最大で6時間。厳しく徹底しているというか、丁寧だなと思った。高校生ひとりひとりの答案を読んで、採点して、相対評価で成績・合否を出す。フィンランドは日本よりも人口が少ないけれど、それでも大変なことだろう。高校で何を学んだか、どれだけ学んだか、国が見守っているという印象を受けた。

 その卒業試験前の最後の登校日の「アビの日」が凄い。ここで鬱憤を晴らして、厳しい試験に臨むのか…。

 フィンランド語が満足にできなかった高橋さんは、フィンランドに来る前に卒業試験に合格するのは無理だと学校では思われていた。しかし、信じて挑戦し努力していれば、道は拓ける。味方してくれる。試験の成績発表の最後あたりは胸が熱くなった。
 最初から最後まで、「いいなぁ」という思いで読んでいた。実際はもっともっと大変だったはず。この本には書ききれないことが沢山あったはず。それでも、フィンランドという環境は高橋さんに合っていたからこそ、苦労も乗り越えて、挑戦し努力し続けて、ここまで来ることができた。そして挑戦することから遠ざかっていた私は、読んだ後、「私はどうしたい?」「何がやりたい?」「難しそう?でもやってみたい?」と自分自身に問いかけている。

 この本、文庫化しないのが不思議である。出版社も講談社だし、様々な選定図書にも選ばれているし、文庫化して、中学生や高校生、若い人にもっと読んでほしいと思うのだが…。
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by halca-kaukana057 | 2015-07-02 23:10 | 本・読書


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