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青い光が見えたから 16歳のフィンランド留学記

 かなり前に出て、フィンランド関係で読みたいと思っていたが読めずにいた本。ようやく読めました。


青い光が見えたから 16歳のフィンランド留学記
高橋絵里香/講談社/2007


 小学生の時に読んだ「ムーミン」シリーズがきっかけでフィンランドに興味を持った筆者。いつしか「フィンランドに行きたい。フィンランドで暮らしてみたい。フィンランドの学校に通いたい」と思うようになった。高校生になったらフィンランドの学校に留学する、と目標を立てた。しかし、中学生になり、上級生下級生の上下関係が厳しく、先生は絶対であり、体罰や脅しもあることに疑問を持つようになった。親しくなった先生にも裏切られ、いつしか皆と同じ、自分を押し殺し、他者の顔色を伺いビクビクしながら暮らすようになった。フィンランドへ留学することも諦めていたが、中学2年の時に下見とフィンランドへ家族で旅行し、受け入れてくれそうな学校を探す。見つかったのはロヴァニエミのリュセオンプイスト高校。留学といっても、1年間ではなく3年間。入学して、卒業するまで。留学への壁は厚い。フィンランドの滞在許可が下りるか。フィンランド語も満足にできないのに留学できるのか。フィンランドの高校の卒業試験はとても難しく、突破できるのか…。精神的に不安定になりながらも、やっぱりフィンランドの高校に行きたい。ホストファミリーも無事に見つかり、滞在許可が下り、中学を卒業した筆者は、フィンランドへ旅立った…。


 この本が出た頃、フィンランドの教育が注目されていたのだったっけ?よく覚えていない。フィンランドの教育はいい、日本の学校との比較はあまりしないように書きます。日本の学校でも、フィンランドほどではないが自由でおおらかな校則・校風の学校はある。あくまで、高橋さんが体験したフィンランドでの高校生活について書きます。

 きっかけなどは異なるが、フィンランドに興味を持っていて、フィンランドに行ってみたいと思っている…私も同じだ。フィンランドに行くなら、できるだけゆっくり滞在して、フィンランドの人々と触れ合ったり、森と湖の自然を満喫しながら、私がフィンランドに興味をもつきっかけになったシベリウスの作品を聴きたい、と思っている。だが、私がそんなことを思うようになったのは社会人になってから。仕事もある、生活費から旅行資金を繰り出すのはなかなか難しい。体調面でも不安がある。ゆっくりとフィンランドに滞在する…少なくとも2週間…時間も取れない。もしかしたら、行けないままかもしれない。届かないまま、憧れのままで終わるかもしれない。そう思いながら、シベリウスやフィンランドの音楽を聴いたり、「ムーミン」シリーズを読んだり、フィンランドの写真をネットで探してみたり…。

 この本を読んで、若いっていいなとまず思った。エネルギーがある。窮屈な中学校、日本から飛び出したい。1年間の交換留学じゃ短い、とフィンランドの高校に留学というよりは入学することを目指す。精神的に不安定になりながらも、それでもフィンランドに行きたい!!とひとつひとつ厚い壁を乗り越えていく。若さもあるし、両親の理解と支援が何よりも心強い。恵まれている。学校で先生に反対されても、両親は理解して背中を押してくれる。いいなぁと、正直羨ましく思った。

 そして入学。フィンランドの高校は単位制。移民や留学生のための外国人のためのフィンランド語の授業もある。本ではさらっと書いてあるが、実際、筆者がフィンランド語をマスターするのはとても大変だったのだろう。フィンランド語は名詞も動詞も格変化が多くとても難しい。しかも、日本語で書かれたフィンランド語の本は今は少しは増えてきたが、筆者がフィンランドに渡った2000年ごろはほんの少ししかなかったはず。フィンランドで筆者が買ったのは、フィン英・英フィン辞書。ストレートに母国語でマスターできない難しさは相当のものだったろう。だが、間違えてもいいからフィンランド語をマスターして、国語の読書感想文を発表したり、試験も受ける。試験はレポート記述式のような形で、最初はほとんど何も書けなかった。その試験は0点でも、成績は…試験の結果だけじゃない。高校の先生も、友達も、高橋さんの努力する姿、前向きに学ぼうとする姿勢を評価し、ほんの少しのことでも誉めてくれる。間違っていることや足りないことははっきり言うが、いいところもちゃんと見る。子どもも大人もそんな考え方が出来ていて、それで学校が成り立っていていいなと思う。

 フィンランドの人たちに日本のことを紹介することも何度かあった。日本語、食べ物、文化…。普段でも、外国にいく時には特に、日本のことをちゃんと紹介出来るようにしておきたい。
 高橋さんがフィンランドで迎えたクリスマスも印象的。ロヴァニエミはサンタクロースが住んでいる村がある町としても有名。クリスマス前には、世界中にプレゼントを配りに出発するサンタさんのニュースを観たことがある。フィンランド人にとってクリスマスは、家族で過ごす大事な日。日本のようなわいわい賑やかなパーティーは1ヶ月前に済ませておくそうだ。フィンランドにも一応ワイワイ騒ぐクリスマスパーティーもあることは初めて知った。そして、この頃はフィンランドは暗く寒さの厳しい季節。ロヴァニエミは北の方の町なので、日中はほとんど真っ暗。気温もマイナス30度を下回る。厳しい自然の中だからこそ、よりクリスマスの暖かさが際立つのだろう。

 勉強は難しいが、高橋さんはフィンランドで閉ざした心を徐々に開いてゆく。厳しい上下関係も、体罰や脅しをする先生もいない。先生は親しみを込めてファーストネームで呼び(寧ろ呼ばれないと親しみをもたれていない証拠なのだそうだ)、髪を染めたりピアスも開けていい。高橋さんも髪を染め、ピアスも開けた。日本では先生は絶対だし、校則も厳しく、ピアスは禁止されていると言うと、理解できない、と。私がもし何故禁止されているのかと聞かれたら「風紀を乱すから。日本ではピアスは好ましくないもの、学校や大人、社会への反抗とみなされるから」と説明するだろうが、これで理解されるだろうか。
 そして、フィンランドに来た頃はフィンランドの人々から見れば、高橋さんはとても暗い表情をしていたという。シャイな日本人、では説明しきれないほどの。1年も経たないうちに、表情も、服装も明るくなった、と。3年では元々得意なドラムを生かして友達とバンドを組み、学校で演奏もした。「自分の居場所」と言えばいいのだろうか。自分を素直に表現できる環境。人も場も受け入れてくれる。高橋さんにとってフィンランドはそんな場だった。自分を押し殺し、苦しんだ中学とは全く異なる世界。そんな環境に出会えた…というよりも、自分で切り拓いて見つけたことに、いいなぁと思いながら読んでいた。

 フィンランドの高校は、3年と決まっていない。学びたいことの進度・深度や自分のペースによって、3年半や4年の人も少なくない。高橋さんも4年で卒業することを目指す。卒業するための最大の難関…卒業試験。これは学校ごとではなく、フィンランドの国全体で行われるもの。卒業できるかどうかは国が決める。試験も長文の記述式のものがほとんどで、試験時間は1教科最大で6時間。厳しく徹底しているというか、丁寧だなと思った。高校生ひとりひとりの答案を読んで、採点して、相対評価で成績・合否を出す。フィンランドは日本よりも人口が少ないけれど、それでも大変なことだろう。高校で何を学んだか、どれだけ学んだか、国が見守っているという印象を受けた。

 その卒業試験前の最後の登校日の「アビの日」が凄い。ここで鬱憤を晴らして、厳しい試験に臨むのか…。

 フィンランド語が満足にできなかった高橋さんは、フィンランドに来る前に卒業試験に合格するのは無理だと学校では思われていた。しかし、信じて挑戦し努力していれば、道は拓ける。味方してくれる。試験の成績発表の最後あたりは胸が熱くなった。
 最初から最後まで、「いいなぁ」という思いで読んでいた。実際はもっともっと大変だったはず。この本には書ききれないことが沢山あったはず。それでも、フィンランドという環境は高橋さんに合っていたからこそ、苦労も乗り越えて、挑戦し努力し続けて、ここまで来ることができた。そして挑戦することから遠ざかっていた私は、読んだ後、「私はどうしたい?」「何がやりたい?」「難しそう?でもやってみたい?」と自分自身に問いかけている。

 この本、文庫化しないのが不思議である。出版社も講談社だし、様々な選定図書にも選ばれているし、文庫化して、中学生や高校生、若い人にもっと読んでほしいと思うのだが…。
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by halca-kaukana057 | 2015-07-02 23:10 | 本・読書

スオミの澄んだ雨、もしくは白夜色のグラス

 今日は夏至。当地は今日も晴れ。暑く夏のような夏至でした。こんな日にはのどが渇く。夏至に合いそうなグラスを先日見つけました。

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 イッタラ(iittala)の「アイノ・アアルト(AINO AALTO)」。フィンランドデザインの巨匠・アルヴァ・アアルトの奥様のアイノさんによるデザイン。限定カラーの「レイン(rain)」。雨。この深い澄んだ青に一目惚れして、買ってしまったのですよ…。「アイノ・アアルト」シリーズはずっしり、しっかりとしていて、波紋のようなデザインが美しく、持ちやすい。ちなみに、アアルト(aalto)はフィンランド語で「波」の意味。
 イッタラの「i」のマークもいいですねぇ。

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 以前買ったグレーと並べてみる。グレーも落ち着いた色で好きですが、レインのこの青…たまりません。これで「アイノ・アアルト」2個目。

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 底のラベル。「Made in Finland」とちゃんと書いてあります。rainの横の「sade」フィンランド語で「雨」の意味です。フィンランド語でも書いてある。でも、「Made in Finland」の横には「Valmistettu Suomessa」とは書いてないのね。

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 底にはもうひとつ、「AINO AALTO IITTALA」の文字。

 見ている・飾っているだけじゃない、使ってこそのフィンランドデザインプロダクト。使います。はがしたラベルは手帳に貼って保存しています。
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 カフェオレを入れてみたが…これでは透明感が伝わらない…。
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 氷も入れて、リンゴジュースを入れてみた。入れた飲み物で表情も変わる感じがします。

 フィンランドで夏至は、短い夏を謳歌する夏至祭(Juhannus)の季節。そして緯度の高い地方では白夜の季節。一方、日本は夏至でも梅雨の季節(当地は今年は晴れておりますが…)。暗い深い澄んだ青は雨の色でもあるけれども、フィンランドの夏至の宵の色にも見える。「雨」という名のこのグラスの色は、日本の梅雨とフィンランドの夏至祭を結びつけてくれるようなものに感じました。
 その名の通り雨の日に使えば、雨の暗さも楽しめそう。晴れた暑い日には涼しげに感じさせてくれる。「アイノ・アアルト」の「rain」いい色です。とても気に入りました。ずっと大切に使いたいです。

【過去記事】
フィンランドデザイン製品の良さを自分で確かめる
 イッタラ「アイノ・アアルト」のグレーを買ったのがこの記事。初めてのマイ・フィンランドデザインプロダクト。
イッタラ、買ったら…?
 同じイッタラでも「カルティオ(Kartio)」のウルトラマリンブルー。カルティオはシンプル・イズ・ベストの極みです。
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by halca-kaukana057 | 2015-06-22 21:20 | フィンランド・Suomi/北欧

続・ムーミンの魅力を切手で+特印(押印機)

 今月1日に発行されたムーミン切手。その特印(絵つき消印)の押印機版を郵頼で頼んでいたのが届きました!(数日前)。連休を挟んだので、発行から1週間ぐらいかかりました。数も多かっただろうな…。

・前の記事:ムーミンの魅力を切手で+特印(手押し印)

 押印機の特印は、設置している郵便局がかなり限られます。大都市の大きな郵便局でないと無い。発行日にその郵便局に行けない場合は、「郵頼」といって、あらかじめ郵便で頼んでおくことができます。この際、郵便局は東京中央局と日本橋局に限られます。

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 押印機はイラストの細かい部分も再現できるのがポイント。82円切手のムーミンと仲間たちが図案。こちらも可愛い…!
 特印にはハトのワンポイントが付いているのですが、ムーミンにも。ムーミンと日本の郵便のハト印…合う。

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 手押しと押印機のを並べてみた。満足ですw
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by halca-kaukana057 | 2015-05-14 21:41 | フィンランド・Suomi/北欧

ムーミンの魅力を切手で+特印(手押し印)

 この日を楽しみに待っていました。今日は「ムーミン」切手の発行日!
日本郵便:グリーティング切手「ムーミン」の発行

 昨年はトーヴェ・ヤンソン生誕100年。今年は「ムーミン」シリーズ出版から70年。「ムーミン」メモリアルイヤーが続いています。これまで、「ムーミン」の切手は本国フィンランドでしか発行されなかったのだそう。この度、フィンランド以外で初めて「ムーミン」の切手が発行されるとのこと。日本郵便さん、GJです!

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 52円切手と手押し印特印。ムーミンが可愛い。52円は各キャラクターごと。82円はムーミン谷の仲間たちのイラストになっています。52円切手の花のイラストが可愛らしい、フィンランドだなと感じます。

 今日は、東京中央局のあるKITTEでイベントもあったそうで、フィンランドのムーミン切手を購入すると、ナーンタリ局のムーミン消印(特印?風景印?)も押してもらえたそうです。日本でフィンランドの切手の販売だけでなく、消印も押してもらえるなんてなかなかない。まずない。東京いいなぁ(遠い目)。

 ちなみに、今回は押印機の郵頼も頼んでおいています。届くのが楽しみです。連休明けになるかな?その時続報を書きます。
【追記】届きました:続・ムーミンの魅力を切手で+特印(押印機)
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by halca-kaukana057 | 2015-05-01 21:48 | フィンランド・Suomi/北欧

ムーミン谷の名言集

 昨年は「ムーミン」の作者・トーヴェ・ヤンソン生誕100年。今年は「ムーミン」シリーズ第1作「小さなトロールと大きな洪水」が出版されてから70年。2年続けてのムーミンメモリアルイヤーです。全国各地でトーヴェ・ヤンソンやムーミン関連の展覧会が開催されていたり、フィンランド発の新作映画「劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス」が公開されたりと、ムーミン尽くしです(映画は上映館があまりにも遠いため、観にいけていません…DVD待ち…)。
 そんな「ムーミン」の物語のエッセンスをぎゅっと集めたのがこの本。



ムーミン谷の名言集
トーベ・ヤンソン:文・絵/ユッカ・パルッキネン:編/渡部翠:訳/講談社・講談社文庫/2014

 タイトルの通りの「ムーミン」シリーズからの名言集です。文庫本なので、机のすぐ手に取れるところに置いておいて、ちょっとした時間にパラパラと読んでいます。「ムーミン」シリーズの小説全9作だけでなく、漫画「ムーミン・コミックス」、絵本と、「ムーミン」の世界からキャラクターたちの言葉を選りすぐりで掲載しています。ただ選んで載せているわけではなく、なるべく作品をつなげて物語の流れがわかるようにもなっています。ヤンソンによるイラストも一緒に。「ムーミン」シリーズには、ヤンソンの絵は欠かせません。

 この本が面白いところは、元はフィンランド語だったところ。「ムーミン」シリーズは、元々スウェーデン語で書かれています。ヤンソンがスウェーデン系フィンランド人だったため。しかし、この本は、フィンランド語訳の「ムーミン」から日本語訳にしてあります。なので、原語のスウェーデン語から訳した日本語訳の物語の文とはちょっと表現が異なるところがあると思います。本のタイトル、並びに各章のタイトルもフィンランド語というのが面白い。

 この、「ムーミン」とヤンソンとスウェーデン、フィンランドの関係について、以前、「ほぼ日刊イトイ新聞」にて、「ムーミン」とヤンソンについての特集がありました。
ほぼ日刊イトイ新聞:トーベ・ヤンソンの人生を、ぼくたちはもう一度生きる。
 「ムーミン」研究者の森下圭子さんに、作家の重松清さんがお話を聴いています。
 これを読んで、フィンランドにおけるスウェーデン系の人々とはどんな立場に置かれているのかを知りました。シベリウスだってスウェーデン系。スウェーデン系と言うより、「スウェーデン語系」という表現にはなるほどと思いました。

 そんな細かい話はさておき、「ムーミン」の物語の言葉は、人に寄り添う言葉だなぁ、と読んでいて感じます。読みながら、付箋をつけたり、書き出したいところがたくさんあります。その時の気分、心の状態によっても違います。「ムーミン」の世界は不思議な世界。そこで、ムーミンたちは不思議な世界の自然や動きに合わせて、その時を生きて、暮らしている。憂鬱なこと、心配なこと、困ったこと、嘆きや悲しみもあるけれど、流れに任せている。その一方で、果敢に出る時は"冒険"する。そんな「ムーミン」の世界の物語は、何度読んでも面白い。

 名言集とまとめてあるのを読んでいると、実際に自分が「ムーミン」シリーズの物語から好きな言葉、気になった言葉(センテンス)を選ぶとしたら、どれを選ぶだろう?とも思いました。しかし、小説9作でも結構あるのに、絵本と「ムーミン・コミックス」は読んだことがなく、まとめるのは大変だろうなぁ…。「ムーミン」の世界の広大さも実感する一冊です。選ぶのに、迷っただろうなぁ…。
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by halca-kaukana057 | 2015-04-08 22:44 | 本・読書

春を待つシベリウス交響曲第2番 フィンランド人指揮者でシベリウス・生誕150年記念リターンズ

 今日は二十四節気で「雨水」。雪から雨に変わる頃、とされています。当地も、一日中氷点下の真冬日で大雪・猛吹雪という日は少なくなってきました。先日は猛吹雪、短時間の大雪に見舞われましたが、その後は穏やかで、春が少しずつ近づいていることを感じます。それでも、そのうちまた真冬に戻ったりする…まさに「三寒四温」。

 こんな季節になると、シベリウスの交響曲第2番を聴きたくなります。まさに冬から春に移り変わる今の季節を描いているかのような交響曲。シベリウスの交響曲の中で最もメジャーなので、録音もたくさんあります…。その中から、この演奏を。
HMV:シベリウス:交響曲第2番 サカリ・オラモ&フィンランド放送交響楽
 フィンランド人指揮者とフィンランドのオーケストラコンビによる演奏。2006年、シベリウス没後50年の時のライヴ録音です。この演奏会はシベリウス・チクルス(交響曲全曲演奏会)で、部屋の中を探したら、NHKFMで放送されたのを録音したMDが出てきました。でもCD買っちゃった。
 オラモは、以前バーミンガム市交響楽団とのシベリウス交響曲全集で聴いています。バーミンガム市響とのは2000年。それから6年後。オケも違う、録音環境も違う、フィンランド放送響の方はライヴ。そしてオラモも6年とは言え年齢と経験を重ねてきた。しかもこのオーケストラはオラモがコンサートマスターを務めていた古巣、故郷のようなオケ。音楽だけ聴こうと思っても、こんなことも考えてしまいます。

 これまで私が2番で気に入っている箇所は、第1楽章の冒頭、せせらぎのような弦の澄んだ音。あと、第3楽章終盤で弦楽器も管楽器もうねうねとしながら雄大な第4楽章に入っていくあたり。第4楽章も朗々としているけれども明るさと暗さを繰り返して、輝かしいフィナーレを迎える。この辺りが好きなのですが、このオラモ&フィンランド放送響の演奏でいいなと思ったのが第2楽章。全体的に暗い楽章。時に、雲間から陽が差すようなうっすらとした明るさもある。トランペットのソロが印象的。メリハリがあってキリリと冷たく引き締まったテンポとトーン。強い音の部分も強過ぎない。シベリウスの音楽は、音楽そのものは暗くても、感傷的な陰鬱・メランコリーとは違うと思っている(後期交響曲・作品は特に)のですが、オラモ&フィンランド放送響の2番の第2楽章はまさにそんな感じ。

 第1楽章の弦のささやきも、第4楽章のファンファーレも澄んでいる。第4楽章は少しテンポ速いところも。メリハリ効かせてます。弱音から強音までの幅が広い。盛り上げるところは盛り上げて、抑えるところは抑える。第4楽章の最後のあたり、短調で盛り上げて長調に変わるあたりから最後にかけても、冷静でいて内面の熱さがある感じ。いい演奏です。
 バーミンガム市響のと聴き比べてみましたが、こっちのほうが落ち着いているかな?

 今年はシベリウス生誕150年。本国フィンランドは気合入ってます。日本でも、年明け前からあちらこちらでシベリウス作品が演奏されています。ああ、せっかくのアニバーサリーイヤーだし、何かひとつでもいいから生でシベリウスを聴きたいなぁ。

 ということで、現在フィンランド放送響のサイトでは、この2番を含む、オラモ指揮の2006年のシベリウス交響曲全曲を無料で配信しています。シベリウス気になっているんだけど聴いたことない。聴いてみたい。そういう方には是非。
◇1番~3番: yle.fi:Elävä arkisto:Sibeliuksen sinfoniat nro 1-3
◇4番~7番: yle.fi:Elävä arkisto:Sibeliuksen sinfoniat nro 4-7
 フィンランド語ですが、番号さえわかれば大丈夫

yle.fi:Klassinen:Jean Sibelius 150v
 フィンランド国営放送YLEのシベリウス生誕150年記念サイト。フィンランド語ですが…。
Sibelius 150
 こちらは英語のシベリウス生誕150年記念サイト。

・過去関連記事:さらに フィンランド人指揮者でシベリウス
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by halca-kaukana057 | 2015-02-19 22:15 | 音楽

スオミ&クインテットバレンタイン

 バレンタインデー、皆さんいかがお過ごしですか?チョコ食べてますか?はい、今年もばっちり自分用チョコをもぐもぐ食べています。
 今年のチョコレートはこれにしました。テーマはフィンランド!
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 銀座コージーコーナーのチョコレート「SÖPÖ HUONE」(ソポ フオネ)。フィンランド語で「かわいいお部屋」の意味です。見た瞬間「何故フィンランド語!?」と棚を凝視してしまいました。パッケージも北欧風のデザイン。可愛い。自分用に即決定したのは言うまでもありません。
 でも、このデザインだと自分用か女の子同士の友チョコだな。フィンランドでは、2月14日は「友達の日(Ystävänpäivä ユスタヴァンパイヴァ)」。友達同士でカードや花やお菓子を贈り合う。フィンランド式なら、これを友チョコにできるのか!そこまで考えたのかコージーコーナー!?(真相は知らないw)

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 日記帳型の箱の中には、これまた北欧風な雰囲気のかわいいチョコレートが。美味しいです。右の切手風シールのチョコは板型です。

 バレンタインのチョコレートと言えば、「クインテット」のアリアさんが歌う「ひみつのチョコレート」。キュートな声でアリアさんが乙女心を歌います。好きな歌です。それを聴きながらイラスト描いてました。
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 フィンランド式「友達の日」のカードということで。皆様、いつもありがとうございます。Kiitos!

 クインテットのイラストと言えば、コーヒーシリーズが未完だった…。下描きは描いてます。近いうち…落ち着いたら…(確定申告とか色々…)
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by halca-kaukana057 | 2015-02-14 22:16 | 日常/考えたこと

フィンランドのサーモンスープ、アレンジしてみた

 冬になると食べたくなるもの。フィンランドのサーモンスープ「Lohikeitto」(ロヒケイット)。生の鮭とディルさえ手に入れば、簡単に作れるので冬の定番メニューになりました。

【これまでの記事】
・レシピもあります:フィンランドのサーモンスープ「Lohikeitto」を作ってみた
フィンランドのサーモンスープ、再び

 今日、グラタンを作ろうとしたのだが、ふと、ロヒケイットをアレンジしてグラタンにしたら合うんじゃないかと思いついた。グラタンのホワイトソースと牛乳、タマネギも入るし、ジャガイモも入れる。具に鮭を入れて、ディルで味付けしたら、サーモンスープ・ロヒケイット風のグラタンになるんじゃないかと。

 やってみました。グラタンの作り方は普通のホワイトソースを使ったグラタンと同じ。具は、タマネギ、ジャガイモ、きのこ(マッシュルームとまいたけ)、そして鮭。味付けにディルを入れる。後はまた普通のグラタンと同じように耐熱皿にバターを塗って、具とソースを煮込んだものを入れて、チーズをふりかけオーブンで焼く。

 こうなりました。
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 見た目、普通のグラタンです。食べてみたら、確かにサーモンスープ・ロヒケイットと同じ味。鮭とディルと牛乳があればロヒケイットになるのか…こんな単純でいいのか…?と思いつつ、こんなアレンジも出来たのか、面白いなぁと食べていました。何故今まで思いつかなかったのか。

 肉や魚、野菜をオーブンで焼く"キャセロール"は、フィンランドでも定番の料理のひとつ。キャベツとひき肉のキャセロールがフィンランドではメジャーらしいです。他にも様々なキャセロールがあって、それぞれの家庭の味のようになっているらしい。その中に、ロヒケイット風のものがあってもおかしくないなと思いましたが、実際どうなんだろう?
 私の作ったのは、具とソースを煮込んでから焼いたので、グラタンに分類されるのかな。キャセロールは先に煮込まない、らしい。(あまり詳しくないので曖昧です…)
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by halca-kaukana057 | 2014-12-10 21:40 | フィンランド・Suomi/北欧

金管がうたう「歴史的情景」 シベリウス生誕149年に

 今日12月8日はシベリウスのお誕生日。1865年。今年で149年。来年はいよいよ生誕150年です。シベリウスは私にとって、最も(と言ってもいい)親しみ深い作曲家。7曲(プラス「クレルヴォ交響曲」)の交響曲、ヴァイオリン協奏曲、管弦楽曲や劇音楽。室内楽や合唱、ヴァイオリンやピアノ曲は交響曲とはまた違った面が伺えて、どんどん聴きたくなる。でも、シベリウスも結構多作で、まだまだ知らない曲、聴いたことのない曲があります。CDは持っているのに聴いてない曲も。今日はそんなCD持ってるのに、今まであまり聴いてこなかった作品を。

 シベリウスの作品で有名な作品と言えば?と聞かれたら、多くの人は交響詩「フィンランディア」op.26と答えると思います。フィンランドの作曲家・シベリウス。ロシアの統治下にあるフィンランドの独立を願って書かれたという、力強く、美しい作品。中間部の「フィンランディア讃歌」は合唱曲にもなり、フィンランド第二の国歌として親しまれています。フィンランド語で歌えるようになるんだ、いつかきっと。

 その「フィンランディア」は元々、「愛国記念劇」という歴史劇の音楽の7曲目から生まれたもの。元々の題名は「フィンランドは目覚める」というタイトルでした。その「愛国記念劇」の曲も残ってはいるのですが、あまり演奏されない。ただ、シベリウスは「フィンランディア」発表後、「愛国記念劇」の中から3曲を選んで編曲し再発表。それが、この記事で取り上げる組曲「歴史的情景」第1番op.25.

 3曲にはそれぞれタイトルが付いていて、第1曲「序曲風に(All'Overtura)」、第2曲「情景(Scena)」、第3曲「祝祭(Festivo)」。どれも聴いていてとても楽しい。「フィンランディア」よりも牧歌的。聴いていると、シベリウスは金管楽器を使うのがうまいなと思う。弦楽器も木管楽器もだけれども、ここぞというところで金管が出てくる。時には高らかに歌うように、時には厳かに、時には勇ましく。第2曲「情景」は木管で静かに始まるけど、この曲も金管がポイント。ファンファーレのように登場する。第3曲「祝祭」は明るく朗らかに、リズミカル。「祝祭」と言っても、どんちゃん騒ぎのお祭りにならないところはシベリウスらしい。「アンダンテ・フェスティーヴォ(邦題:祝祭アンダンテ)」にも通じてゆくのかな。カスタネットとタンバリンが出てくるのが面白い。シベリウスがカスタネットを使うのは珍しいんじゃないのか?

 シベリウス作品は交響曲第4番、第6番、第7番のような幽玄で独特の暗さも、澄んだ弦も魅力的。でも、こんな明るいシベリウス作品もある。お誕生日お祝いにはちょうどいい、と聴いています。こんないい曲があったんだなぁ。しかも、「フィンランディア」と元は同じだったとは。
 ちなみに、私が聴いたのは、ネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ響。

 この「歴史的情景」、演奏会用の第2番もあるそうで。そちらも聴いてみたい。
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by halca-kaukana057 | 2014-12-08 23:49 | 音楽

ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソン

 今年は、「ムーミン」の作者・トーヴェ・ヤンソン生誕100年。「ムーミン」関連の書籍が次々と出版されたりと盛り上がっています。その中からこの本を。


ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソン
冨原 眞弓/芸術新潮編集部:編/新潮社/2014

 「芸術新潮」2009年5月号のムーミン&トーヴェ・ヤンソン特集を再編集して書籍化した本です。その「芸術新潮」は読んでいたのですが、あらためて書籍化されるのは嬉しい。
 

 「ムーミン」の原画や版画、それぞれのシリーズの解説、トーヴェ・ヤンソンの生涯と、「ムーミン」以外の作品や「ムーミン」とは異なる面について。フィンランドのムーミンやトーヴェ・ヤンソンの作品に出会えるガイドにもなっています。とにかく原画やイラストが豊富で、それを眺めるだけでも楽しい本です。「ムーミン」シリーズを研究してきた冨原さんのインタビューがとても興味深いです。

 「ムーミン」やそのほかのヤンソン作品の解説でも、フィンランド人だからフィンランド語で…と思うところを、スウェーデン系フィンランド人で、「ムーミン」ももともとはスウェーデン語で出版されたので、スウェーデン語が登場してきます。ここは、フィンランドの歴史・文化の奥深く面白く、難しくもあるところなのですが、ヤンソンの中にあるスウェーデンの部分とフィンランドの部分が、「ムーミン」でも垣間見える。スウェーデン語で書かれていても、自然の描写はフィンランド的な部分もあり…。そんな部分が、「ムーミン」の面白いところでもあります。

 「ムーミン」は、9つの物語・小説だけじゃない。イギリスの夕刊「イヴニング・ニュース」に「ムーミンコミックス」を連載。このムーミンは、物語の「ムーミン」とは異なる世界、設定になっている。「コミックス」はまだ全部読めていない。ああなんて広くて深いんだ「ムーミン」の世界!(アニメ「楽しいムーミン一家」のムーミンパパ(CV:大塚明夫)風に読んでくださいw)

 以前青森県立美術館他で開催され行ってきた「フィンランドのくらしとデザイン展」。その初日のトークセッションで、ヤンソンは「ムーミン」の作者、というよりも”画家”である、という話がありました。この展覧会ではヤンソンの油絵も展示されていて、観てきました。ヤンソンがもともと画家を目指していたことは、この本でも書かれています。油絵やフレスコ画の写真もあり、その時のトークセッションの内容を更に深められました。ヤンソンの画家への道は、険しいものだった。魅入ってしまったのが、ヘルシンキのスウェーデン語系職業訓練学校のロビーにあるという2枚のフレスコ画。色鮮やか。このフレスコ画にも、ちょこんとムーミントロールがいるのには、微笑んでしまいました。

 「ムーミン」シリーズは読んでも読んでも、キリがない。終わりが無い。惹き込まれてしまう。キャラクターとしても可愛いが、物語はもっと暗いものも含んでいる。その辺は、上記「フィンランドのくらしとデザイン展」でも解説されていたのですが、戦争の影でもあり、フィンランドの暗く長い冬でもある。それでも、けなげに毎日を暮らすムーミン谷の仲間たち。ヤンソンの心や、置かれている状況を反映している部分もあるという。これから、秋も深まり、寒くなり、冬になり、私の住む地域も雪に閉ざされる。その中で、「ムーミン」の物語をまた読もうと思う。

 ヤンソンの「ムーミン」以外の作品も読んでみたいと思っている…ああ、また、まだまだ読みたい本が増え続ける!!(悲鳴

ユリイカ 2014年8月号 特集=ムーミンとトーベ・ヤンソン

トーベ・ヤンソン / 青土社


 こちらも入手しました。また読んでません。これも秋から冬にかけて、ゆっくりと読みます。

【「フィンランドのくらしとデザイン展」:過去記事】
自然と暮らしが生んだもの 「フィンランドのくらしとデザイン展」トークセッション
自然も空気も味もスオミ気分 フィンランドのくらしとデザイン展・序章
”心地よい”を求めて 「フィンランドのくらしとデザイン展」本編
この土地で生きてゆくという意志の”design” 「フィンランドのくらしとデザイン展」を観て
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by halca-kaukana057 | 2014-10-14 22:11 | 本・読書


好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


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