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フィンランド 白夜の国に光の夢

 図書館で見つけて、面白そうだと借りてきた本。タイトルだけで気になりました。


フィンランド 白夜の国に光の夢 (世界・わが心の旅)
石井幹子/日本放送出版協会/1996

 NHKBS2で放送された「世界・わが心の旅」シリーズのフィンランド編の書籍化です。番組は見たことはありません。照明デザイナーの石井幹子さんが大学卒業後の1965年、北欧デザインを紹介した本を読んだことがきっかけで、フィンランドで働きながら留学したいと考える。特に気になった女性デザイナー・リーサ・ヨハンソン・パッペさんの下で照明デザインの勉強をしたいとフィンランドへ。ヘルシンキにある、ストックスマン・オルノ社で働きながら、フィンランドの自然や人々、そして光に対するフィンランド人の感性に触れ暮らす毎日。


 本を読んで、これは番組を観たかったなぁ。本にも写真はいくつが掲載されているのですが、季節や時間で変化する光とヘルシンキの町並み、石井さんがどのようにデザインの仕事を手がけていったのか、作られた照明器具などは映像で観たかった。書籍では、石井さんがフィンランドに仕事をしながら留学した時のこと、フィンランド人の光に対する捉え方や暮らし、番組で30年ぶりにフィンランドを訪れたエッセイになっています。

 北欧デザインというと、フィンランドだとマリメッコのようなカラフルなテキスタイル、アルテックのような木のぬくもりを感じられるシンプルな椅子、イッタラやアラビアのような生活に溶け込む食器を思い浮かべますが、照明も忘れてはいけません。石井さんがフィンランドに留学した後の作品ですが、ハッリ・コスキネンの「ブロックランプ」…氷のようなガラスに電球を閉じ込めたようなライトなど、やわらかくあたたかい光を演出するデザインの照明機器が多いです。シンプルで、木やすりガラスを使っているあたりは日本と似ているような感じもします。そんな照明デザインがどのように生まれたのか。フィンランドの人々の暮らし、フィンランドの気候にヒントがありました。

 春分を過ぎ、昼の時間が長くなってきましたが、夜の時間が長く、さらに雪雲で日照時間も少ない冬場は暗く、冬季うつ病になりやすい…わかります。雪明りでまだ明るいとも思えますが、吹雪の日は本当に暗い。さらに寒い。これだけでもう気分は落ち込み、憂鬱になります。北日本でもこの有様なので、フィンランド・北欧諸国ではもっと厳しいのだろうなと思います。冬をなるべく明るく暖かく過ごそうと、照明やキャンドルで光を演出し、大事にするフィンランドの人々。一方、夏になり、白夜の季節でも、その明るさの中で思う存分楽しむ。自然の中の光と闇の狭間で、フィンランドの人々の光への感性が磨かれていくのだなと感じました。

 その照明も、ただ明るくすればいいというものではない。日本のような蛍光灯の白い明るさの強い照明で部屋を均一に明るく、というのはない。間接照明でやわらかく、本を読む時など明るい照明が必要な時はライトでそこだけを明るくする。闇を全否定しない。暗い冬の長い夜、光で闇を一切なくすのではなく、共存している感じがある。グラデーションを大事にしている。

 フィンランドの人々との出会いや彼らの暮らしにも書かれています。サウナや、家で食事に頻繁に友人たちを招く。現在と同じように、1960年代から既にフィンランドは女性の社会進出が盛んな国だった。また、スウェーデン語系フィンランド人についても触れています。あと、旧ソ連との関係も。1960年代、冷戦真っ只中です。

 30年後に石井さんがフィンランドを訪れて向かったのは、フィンランディアホール。アルヴァ・アアルト設計のヘルシンキの名所です。かつてはフィンランド放送響、ヘルシンキフィルの拠点となっていましたが、音響が悪いとずっと言われてきました…。そこで現在は、サントリーホールの音響も手がけた永田音響設計による、ヘルシンキ・ミュージック・センターが出来、2つのオーケストラの拠点であり、シベリウス音楽院でも利用し、ヘルシンキの演奏会・音楽界の拠点になっています。とはいえ、やはりアアルト設計のあの白い内壁のデザインは美しいなと思います。照明の関係で譜面台にひとつずつライトが付いているのも、演奏する側からはどうかわからないのですが素敵。まさに光と暗さを共存させている。この2つのホールの証明の使い方を見ると、とても対照的だなと感じます。

 石井さんは旅の締めくくりにロヴァニエミ、ラップランドへ。オーロラを見て、「光のシンフォニー」と。フィンランドはやわらかな光と共に暮らしている。そんなフィンランドに、またさらに惹かれました。
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by halca-kaukana057 | 2016-03-23 22:27 | 本・読書

少女ソフィアの夏

 「ムーミン」シリーズの作者・トーベ・ヤンソンのムーミン以外の作品をあまり読んだことがなかったので読んでみました。タイトルと、簡単なあらすじに惹かれました。


少女ソフィアの夏
トーベ・ヤンソン:作/渡部翠:訳/講談社/1991

 フィンランド湾には、たくさんの島がある。その島のひとつに、少女ソフィアとおばあさん、パパが4月から8月まで住む家があった。ソフィアは母親を亡くしたばかり。70も年齢が異なるソフィアとおばあさん。島には様々な人が訪れ、ソフィアとおばあさんも誰かを訪ねることもある。主に2人の島暮らしは続いてゆく。

 トーベ・ヤンソンさんが、夏の間を過ごす島の話は何度も読んだことも、聞いたこともあります。岩の小さな島に、小さな家がある。そこでヤンソンさんは夏の間、海とともに過ごし、ムーミン物語もその暮らしの中から生まれることもあった、と。この「少女ソフィアの夏」は、ヤンソンさんの周囲に人々をモデルに描かれています。おばあさんはヤンソンさんの母。ソフィアのパパは、ヤンソンさんの弟ラルスさん。そしてソフィアはラスルさんの娘、ヤンソンさんの母の本当の孫娘なのだそうです。ラルスさん一家も、夏の間は島で暮らし、ヤンソンさんの島とも近かったので交流もあったようです。物語も、おばあさんとソフィアの間に実際に起こった出来事を、フィクションも交えて書かれたもの、と。

 まず読んでいて思うのが、ソフィアとおばあさんを取り巻く自然が豊かに描かれていること。ヤンソンさんが暮らしていた島は岩だらけのゴツゴツした、小さな島ですが、おばあちゃんとソフィアが暮らしていた島はある程度大きく、緑も多いとわかります。島の樹木や草花…フィンランドを思わせる白樺やナナカマド、コケモモ、キノコ。森。森に棲む鳥などの生き物。天候に左右される海。凪や嵐。その自然は豊かだが、厳しくもある。生き物も可愛いだけではない。野生の荒々しさを見せ付けられることもある。その豊かで厳しい自然の中で、ソフィアは成長する。おばあさんはさすが年の功、厳しさをわかっていて、自然を冷静に見つめ、なすがままに身をゆだねる。そんなおばあさんを見て、ソフィアは自然の中で生きることを学んでゆく。時にはソフィアが島の中を冒険することもある。それに付き合うおばあさんは、体力面では劣る。自然の中で人間がどう生きるのか。それをそのまま描写している。

 また、自然だけでなく、ボートのエンジンの音、夏至祭を祝うロケット花火の音など、音の描写もいい。物語が五感に語りかけてくる。

 そして、ソフィアとおばあさんの関係。母親を亡くしたばかりで、その死を改めて実感するシーンや、母親のことを思い出しながら、ごっこ遊びをするシーンもある。でも、母親についての言及はそれほど多くない。
 それよりも、おばあさんとソフィアの関係。祖母と孫…孫を可愛がり甘やかすなんて描写は一切ない。おばあさんもおばあさんで自己主張し、体力は衰えているが気はしっかりしている。寧ろ強い。ソフィアはまだまだ少女だけれども、彼女なりにおばあさんにぶつかっていく。また、島の暮らしはあまり他の人に会わないので、おばあさんはソフィアの社会性を心配する箇所もある。おばあさんのソフィアを見守る視線、姿勢、距離感。あたたかく思いやるが、冷静で、あまり深く干渉しない。個として、しっかりと立ち、助け合う時は助け合う。この生きる様はムーミン物語のムーミン谷の仲間たちにも通じるところがある。これが、ヤンソンさんの原風景、ヤンソンさんに見えていた風景と人々の姿なのだなと思う。
 パパはあまり出てこないが、パパのものが鍵になることもある。

 この本全体に流れる静けさや、どこかかなしい、寂しい雰囲気は何だろう。決して冷たい、冷徹ではないけれど、個が個であることを強調しているからだろうか。

 ヤンソンさんによるイラストもところどころに描かれています。この本は児童書扱いになっていますが、ムーミン物語と同じように、どんな人が読んでも、惹かれる部分があると思います。
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by halca-kaukana057 | 2016-02-22 22:59 | 本・読書

[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?

 年が明けてしまいましたが、「シベリウス生誕150年記念」シリーズで続けます。シベリウス「クレルヴォ交響曲」op.7の様々な演奏を聴こう不定期連載。前のものから間が空いてしまいました。その間に、ユニークな「クレルヴォ」を見つけました。

ARTE Concert:Tero Saarinen inszeniert Jean Sibelius' "Kullervo" in Helsinki
(言語はドイツ語かフランス語。右上にどちらかを選択するボタンがあります。ページに飛ぶと動画が再生されるので注意してください。また、重めなので、再生が始まったら一度一時停止して数分待ってから再生するとスムーズに再生されます)
※3月1日まで公開です※

フィンランド国立歌劇場:シベリウス「クレルヴォ」
ヨハンナ・ルサネン=カルタノ(ソプラノ)、ヴィレ・ルサネン(バリトン)
フィンランド国立歌劇場合唱団
ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団

テロ・サーリネン:振付
ダンサー:
Terhi Räsänen(テルヒ・ラサネン):クレルヴォの妹、Samuli Poutanen(サムリ・ポウタネン):クレルヴォ、David Scarantino(デイヴィッド・スカランチノ):キンモ
フィンランド国立バレエ、テロ・サーリネン・カンパニー


 2015年、フィンランド国立歌劇場で上演された、シベリウスの「クレルヴォ」バレエ付きです。「クレルヴォ」を聴いていると、踊りたくなるような箇所がある。バレエとは面白いかもしれない。と思って観てみました。

 一言で言うと、不思議です。そして、謎です。
 謎に思った点について先に書くことにします。シベリウスは各楽章にこう副題をつけています。
第1楽章:序章(導入部)
第2楽章:クレルヴォの青春
第3楽章:クレルヴォとその妹
第4楽章:クレルヴォの出征(戦場に赴くクレルヴォ)
第5楽章:クレルヴォの死

 リョンロットが編纂した新「カレワラ」のクレルヴォの章に基づき、その詩・物語通りの展開です。しかし、このバレエ版では、副題が異なる楽章があります。第1楽章から、「クレルヴォと彼の同志キンモ(Kullervo und sein kamerad KImmo/Kullervo et son compagnon Kimmo)」(動画のサイトがドイツ語とフランス語だけなので、両方表記しておきます。英語、フィンランド語がないのが困る)。キンモって誰?岩波文庫の「カレワラ」小泉保訳版の、下巻巻末の用語集には、「牛の名、kimmoは跳ねることの意」「恐ろしい悪霊で石の主の名」とある。クレルヴォの章には出てきません。第4楽章の前に「クレルヴォの出征(Kullervo zieht in den krieg)」とダンスだけの箇所があり、第4楽章は「キンモの狂気(Kimmos wahnsinn)」。第5楽章の前でも女性ダンサーが曲なしで踊る「das schweigen der frauen:女性の言及」というシーンが。でもフランス語だと「le silence des femmes:沈黙の女性」(ドイツ語、フランス語共にわからないので機械翻訳です、すみません)言及なのか沈黙なのか、どっちなの?
 キンモという存在と、副題も変えられている。シベリウスの交響曲「クレルヴォ」は演奏、独唱・合唱はそのままですが、副題や演出は変えている模様。
 調べてみたら、以前ちょっと紹介したサッリネンのオペラ「クレルヴォ」にクレルヴォの子ども時代の友達としてキンモが出てきます。「カレワラ」のクレルヴォの章とは、あちこち物語を変えています。もしかして、サッリネンのオペラでの物語、演出を混ぜているのだろうか…?
 これが謎の部分です。

 バレエ・ダンスは抽象的です。クレルヴォを象徴する振り付け…腕からひじへ、もう片方の手でなぞる振り付けがよく出てきます。クレルヴォの力を表現しているのでしょうか。衣装は現代的。クレルヴォ役のダンサー・ポウタネンさんの肉体美には見惚れます。クレルヴォの妹役・ラサネンさんも美しい。でも、どこか不思議です。

 第3楽章、男声合唱とソプラノ・バリトン独唱が入ってくる演出はかっこよかった!声楽陣は衣装が違います。声楽陣の衣装の方が好みです。ソプラノのルサネン=カルタノさん、バリトンのルサネンさん…実際にごきょうだいです。ソプラノのルサネン=カルタノさんは2015年Proms、フィンランド・ラハティ・シベリウス音楽祭でもソプラノソロを務めた方。クレルヴォの妹が今までのことを告白する箇所の痛切な歌い方が印象的です。その後の、バリトンソロのクレルヴォの嘆きもずしりと来る。合唱はオペラ、歌劇場の合唱団。簡単な動きや演技をしながらの「クレルヴォ」の合唱はなかなかない、これだけだと思います。第5楽章も合わせて「クレルヴォ」の男声合唱はとても好きです。

 オーケストラ演奏は、バレエに合わせているのか、バレエが演奏に合わせているのか、どちらなのだろう?ただ、踊りやすいテンポにはしてあるように感じました。第3楽章で、金管がアクセントをつけるようにフォルテになるところがあるのですが、クレルヴォと妹の危険を予感させるような音でした。バレエをしっかりと支えるような演奏です。

 バレエがなくても、「クレルヴォ」は物語がドラマティックで情景が浮かぶのですが、フィンランドを代表する振付師が振り付け、演出するとこうなるのか…。また別の「クレルヴォ」で、謎もありましたが楽しみました。

 次回からはCDでリリースされている演奏に戻ります。あと、「カレワラ」やクレルヴォの章、リョンロットが「カレワラ」をどう編纂したのか、ちゃんと勉強しないとわからないことも多いと感じました。持っている資料をもう一度読み返して、またCDも聴いていきます。

【追記】
 バレエ付き「クレルヴォ」の映像が再び公開されています。
Sibelius : Tero Saarinen: Kullervo (2015)
 各楽章の副題の表記が、フィンランド語に変わりました。以前のドイツ語、フランス語の時より、私にはフィンランド語の方がわかるのは何故だ…。
 2017年にはフィンランド独立100年記念で、ハンヌ・リントゥの指揮で再演されたそうです。


【これまでの記事】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 ベルグルンド指揮ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ指揮ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
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by halca-kaukana057 | 2016-02-21 23:13 | 音楽

カエデ騎士団と月の精

 フィンランドの児童文学を読みました。図書館で探すと結構出てきます。翻訳が増えてきて嬉しいです。


カエデ騎士団と月の精
リーッカ・ヤンッティ(Riikka Jäntti):作・絵/末延弘子:訳/評論社/2010(フィンランド語原書は2005)

 リスのノコと兄のヴィリ、ハリネズミのトイヴォはカエデの木の家に住んでいる。大きなカエデの木にくっついて建っている。ヴィリは家のリフォームに、ネズミのイーリスをお手伝いに雇い、どこかへ行ってしまった。家に残った3匹は、掃除の途中、台所のオーブンが気になった。ヴィリが以前、オーブンを開けないようにとノコとトイヴォに強く言っていた。何故オーブンを開けてはいけないのか。でも、大掃除をするならオーブンも開けて掃除しようと3匹はオーブンを開ける。すると中には書類の包みがあり、さらに壁に小さな扉がついていてほら穴があった。3匹は調べてみようと秘密結社・カエデ騎士団を結成する。帰って来たヴィリは、ノコとトイヴォに明日はウサギおばさんの家に泊まるように告げる。誰かお客が来るらしい。隠してあった書類と何か関係があるはず。さらに、ウサギおばさんからカエデの木の過去とある秘密を聞く。3匹は再びカエデの木に行き、オーブンの中で見つけたほら穴に入り、ヴィリとお客の様子を伺う。お客はごろつきと噂のネズミやモグラだった。そして、彼らはドブネズミ主人の何かを狙っているらしい…。3匹もドブネズミ主人の屋敷へ行くことにした…。


 挿絵がとてもきれいだったのが、この本を手に取ったきっかけです。薄めの本ですが、物語はそれなりにボリュームがあります。森に住んでいる動物たち。秘密があるらしいカエデの木の家。湖のそばのウサギおばさんの家。ベリーが沢山採れる川辺の茂み。フィンランドの自然を感じられます。

 物語はどんどん大きくなっていきます。3匹がたどり着いたのは、「ヒーリヴオリ伝説」という村に伝わる伝説。ウサギのおばさん、ドブネズミ主人が真相を知っている。その伝説に関して、ヴィリはごろつきたちと悪だくみをしている。3匹は、伝説が悪だくみに使われないように奔走する。可愛い絵の、最初はのんびりとした雰囲気の物語が、一気にスリリングなファンタジーに。ドブネズミ主人が伝説にどんな関わりがあるのか。さらに物語は急展開。この急展開が、とても辛い。本当に急過ぎて…。3匹にもピンチが。「伝説」は本当に起こるのか…。最後まで手に汗握るように読みました。

 「伝説」という本当にあるのかないのか不可解なもの、見えないものを信じること。自分にとって何が大事なのか。大切な人たちのために何が出来るのか。「伝説」は心に問いかける。私欲に走らず、皆の、大切な人たちとの幸せを大事にする。自己犠牲のようにも読めます。フィンランドにも人のためなら自分のことは犠牲にする、自己犠牲の精神はあるのだろうか。日本の自己犠牲とはちょっと違うのだろうな。もっと、ちょっと失うものはあるけど自分は幸せ、皆も幸せという意味なんだろうな。

 児童文学ではありますが、深いです。多分、子どもが考えながら読むお話なんだろうかなぁ。自分で考えることを大事にするフィンランドの教育のような。

 この本は、フィンランドでは「カエデの木の仲間たち」というシリーズになっているそうです。これが1作目なのかな?翻訳されていたら読みたいです。
 あと、ウサギおばさんの家でパイを食べた…とあるのですが、挿絵ではカレリアパイが描かれています。フィンランドの伝統的なパイ・カレリアンピーラッカ(karjalan piirakka)のこと。ミルクかゆ(お米を使います)のパイ。ミルクでお米を炊くって美味しいのだろうか…といつも思ってしまいます。フィンランドらしいレモンケーキやベリーのパイも出てきます。

 少し前から、フィンランド語を少しは読めるようになりたいと思っているのですが、なかなかわからない。単語すら覚えられない。もっと簡単なフィンランド語の絵本を英語のリーダー教材のように和訳して読んでみたい(出来れば日本語訳も出ている本がいい)のですが、フィンランド語の絵本の原書はなかなかないですね。「カレワラ」はフィンランド語、日本語訳(岩波文庫の。またはシベリウスのカレワラ由来の声楽作品の対訳付きのもの)もありますが、難し過ぎる…。「牧場の少女カトリ」で、カトリが「カレワラ」で読み書きを学んだ(しかも独学!)のを思い出します。フィンランド語ネイティヴとはいえ、凄いよカトリ…。
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by halca-kaukana057 | 2016-02-05 22:28 | 本・読書

フィンランド語マグボトル

 イオンに行ったのですが、食器・調理道具売り場で動けなくなりました。水筒、マグボトルの棚に、こんなデザインのマグボトルが…気がついたら手にとってレジに向かっていました。

 これは回避不能です!!
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 フィンランド語がデザインされてます!他に480mlのものもありました。

 中身を開けて見ましょう…
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 全面フィンランド語です!!フィンランド語の挨拶や単語が書かれています。
 色も青に白。フィンランド国旗カラーじゃないですか!!(青というより紺色に近いけど…)

 「Moi!」や「Hei!」、「Kiitos!」、「Mitä kuuluu?」「Nähdään!」といった定番の挨拶から、「Hyvää ruokahalua!(召し上がれ!)」「Hei ystävä!(Hello friend…うまい日本語にどう訳そう?)」といったものも。
 単語は「Siili(ハリネズミ)」、「Teetä aikaa(お茶の時間)」「Piknik puistossa(公園でピクニック)」「Mehu(ジュース)」などなど。フィンランド語の勉強になります。そして何より、フィンランド好き、スオミスキーを主張できます。今の季節、飲み物は出来るだけ長い時間あたたかさを保っておきたい。家で、出先で使えます。マイボトル、タンブラー持参OK、しかも割引になるカフェで使うとお得。まだまだマイナーなフィンランド語の普及にも繋がる、はず。というお得だらけのこのフィンランド語デザインマグボトル。愛用します。
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by halca-kaukana057 | 2016-01-29 22:52 | フィンランド・Suomi/北欧

もうひとつの「クレルヴォ」

 シベリウス生誕150年記念(2016年になっちゃいましたが続けます)、「クレルヴォ交響曲」を聴こうシリーズの途中ですが、今回はシベリウスから離れて、別の作曲家の「クレルヴォ」を聴こうと思います。フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」の中でもドラマティックな悲劇の英雄・クレルヴォをテーマにした作品は、シベリウス以外のフィンランドの作曲家も書いています。

 先日、BBC Radio3の北欧特集のオンデマンドを聴いて見つけたのが、レーヴィ・マデトヤ(Leevi Madetoja : 1887-1947)の交響詩「クレルヴォ」op.15.15分程度の管弦楽曲です。

Leevi Madetoja Kullervo (1913)

 指揮演奏のクレジットがないのでどこのオーケストラの演奏なのか不明。ただ、調べてみたらCDはセーゲルスタム指揮フィンランド放送響、ストゥールゴールズ指揮ヘルシンキフィルぐらいしかない模様…フィンランドでも滅多に演奏されないのか!?
 ちなみにそのBBCで配信されていたのは、Jurjen Hempel(ジュリアン・ヘンペル)指揮BBCスコティッシュ響の演奏でした。さすがシベリウス、北欧もの大好きイギリスオケ。

 重々しく曲は始まりますが、金管のファンファーレがヒロイック。前半はシベリウスよりも明るめ?な感じ。弦も雄大でヒロイック、勇ましい英雄クレルヴォを強調しているかのよう。マデトヤはシベリウスよりも少し年下。シベリウスに師事したこともありました。シベリウスとは違う方向からクレルヴォの物語を描いているよう。金管に強さを感じます。過酷な運命に次々と立ち向かうクレルヴォの姿でしょうか。
 ただ、ラスト、クレルヴォが何もかも失い、自害するのを描いたと思われる部分は一気に暗くなります。そして静かに終わる。孤独なクレルヴォの最期のように。シベリウスの、クライマックスは主題に男声合唱も入れてフォルテで劇的に終わるのと対照的です。マデトヤの終わり方は好みです。曲の展開も。

 大体同じ時代に、同じテーマを、違う作曲家が書く(シベリウス、フォーレ、ドビュッシーの「ペレアスとメリザント」とか)…他にも様々な例がありますが、「クレルヴォ」もそういう楽しみ方が出来るんだなと思うと、また聴く楽しみが増えます。作品を聴く際の視点も増えます。マデトヤのも聴けてよかった。願わくばCD,録音、演奏機会が増えて欲しいところですね…。

 「クレルヴォ」は他にも、フィンランドの現代の作曲家・アウリス・サッリネン(Aulis Sallinen)による歌劇もあるそうで。
Kullervo 2014 Savonlinna Opera Festival

 サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル2014のオペラ「クレルヴォ」ダイジェストがありました。歌詞はカレワラから取っているようですが、現代的な演出?不思議な感じ。
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by halca-kaukana057 | 2016-01-19 22:56 | 音楽

2015.12.8 Sibelius 150 !!

 この日を待っていました。本日、2015年12月8日は、フィンランドの作曲家・ジャン・シベリウスの生誕150年…150回目のお誕生日です。1865年12月8日、フィンランドのハメーンリンナ生まれ。おめでとうございます!!

 ということで、12月に入ってからは「まいにちシベリウス」(某元テニスプレーヤーの日めくりカレンダーから連想しましたw)と自分で勝手に題して、毎日何かしらシベリウス作品を聴いています。ちょうどNHKFMのラジオでも、先日記事を書いたハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送響の来日公演の他、シベリウスの交響曲・管弦楽曲を日本に紹介した指揮者・渡邉暁雄先生のご子息のピアニスト・渡邉規久雄さんのオール・シベリウス・ピアノ作品の演奏会、そして今週は9月のラハティ・シベリウス音楽祭から、ユッカ=ペッカ・サラステ指揮ラハティ響、レイフ・セーゲルスタム指揮ヘルシンキフィル、オッコ・カム指揮ラハティ響の回、木曜にはサイモン・ラトル指揮ベルリンフィルのシベリウスを放送とのこと。今年のラハティ・シベリウス音楽祭は過去記事でも書きましたが、毎日演奏を聴くのが楽しかった。オンデマンドでたっぷり楽しみましたが、また聴けるとは嬉しい。そして木曜のラトル&ベルリンフィルも楽しみです。あと、4日のBSプレミアムで放送していた「クラシック倶楽部」シベリウスのピアノ曲、歌曲、ヴァイオリン曲もよかった。シベリウスというと交響曲にまず目がいってしまいますが、器楽曲・歌曲も特集してくれて嬉しい。この放送のラストは舘野泉さんの左手のための「フィンランディア賛歌」(吉松隆:編曲)舘野さんもシベリウスのピアノ作品を日本に紹介し続けている方。吉松先生の編曲はじわりと来ます。

 今日は手当たり次第シベリウス作品を聴きまくっています。交響曲、管弦楽曲、声楽付き管弦楽曲、器楽曲、編曲もの…。一日じゃ勿論聴ききれない。シベリウス作品の幅の広さを実感します。

 シベリウスの音楽に出会って、好きになって、ハマって、あれこれと聴いて…約10年。まだまだシベリウスの世界は広くて深いです。しかも、シベリウス作品を演奏するフィンランド指揮者・フィンランドオーケストラ・フィンランド演奏家とフィンランドは音楽家にも恵まれている。勿論フィンランドだけではない、国籍関係なく心に残る演奏はたくさんあります。まだまだシベリウスを聴いていきたいと思っています。

 今日がシベリウスの生誕150年のお誕生日…つまり、厳密には生誕150年は今日から…?まだまだ聴き足りないので、来年の12月7日までシベリウスイヤー延長してもよろしいでしょうか?(勝手にやりなさいw)「クレルヴォ」を聴こうシリーズはまだ始めたばかり、絶対来年になってもやってるなぁ…。

 ちなみに、シベリウス没後60年は2017年(1957年没)。またシベリウス記念年演奏会などありそう。あと、2019年は日本とフィンランドの国交樹立100年だそうで、フィンランドオケ来日とかありそうだなぁ。楽しみにしておきます。

 今日聴いたシベリウス作品をメモしておきます。
・カンタータ「わが祖国(Oma maa)」op.92 / アカデミー合唱協会、パーヴォ・ベルグルンド指揮ヘルシンキフィル
・火の起源 op.32 / ヨルマ・ヒュンニネン(バリトン)、ソヴィエト・ロシア国立アカデミー・エストニア男声合唱団、ヘルシンキ大学男声合唱団、パーヴォ・ベルグルンド指揮ヘルシンキフィル
・5つの小品op.75「樹の組曲」 / マリタ・ヴィータサロ(ピアノ)
・カレリア組曲op.11(ピアノ、ヴァイオリン、チェロ編曲版) / スザンナ・ミエスコネン-マッコネン(Vn)、ユッシ・マッコネン(Vc)、Nazig Azezian(P)
・アリオーソ op.3 / ソイレ・イソコスキ(ソプラノ)、ハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送響
・タピオラop.112/
・ルオンノタールop.70/アヌ・コムシ(ソプラノ)
・レンミンカイネン組曲(四つの伝説)op.22
/レイフ・セーゲルスタム指揮ヘルシンキフィル
・クッレルヴォ交響曲op.7 /Marianne Rörholm(メゾソプラノ)、ヨルマ・ヒュンニネン(Br)、ヘルシンキ大学男声合唱団、エサ=ペッカ・サロネン指揮ロスアンジェルス・フィル
  /フィンランド国営放送YLEのクラシック専門ラジオ「YLE Klassinen」でちょうど放送していました。第2楽章の途中から聴いたのですが、よかった、いい演奏でした。今日はシベリウスやフィンランドの作曲家が多めです。そのまま聴いてしまって、フィンランドの18世紀の作曲家・ベルンハルト・クルーセルのクラリネット協奏曲第3番変ロ長調op.11(カリ・クーリック(Cl)、サカリ・オラモ指揮フィンランド放送響)まで聴いてしまいました。シベリウス以前のフィンランドの作曲家。朗らかでいい曲でした。
・ルオンノタールop.70/アヌ・コムシ(ソプラノ)、サカリ・オラモ指揮フィンランド放送響
  /同じくYLE Klassinenから。今日2回目の「ルオンノタール」、しかもソプラノソロも同じくアヌ・コムシさん。今度はオラモ&FRSOで(調べてみたらこのお二人はご夫婦、夫婦共演です!)。
・交響曲第5番 変ホ長調 op.82(初稿) / ユッカ=ペッカ・サラステ指揮フィンランド放送響
 /今日は、交響曲第5番(初稿)の初演の日でもあります。100年前、シベリウス50歳の誕生日に。ご存知の通り、この初演に満足できなかったシベリウスは、曲を改訂、1919年に現行版の5番を出版します。これまで5番初稿はオスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ響のCDでしか聴いてこなかった。いち資料としか聴いてこなかったのですが(おい)、初稿も何度かあちこちのオーケストラで演奏されてきました。時々聴くと、新鮮な気持ちになります。この曲を100年前に聴いていたんだなぁ…と。
・水滴 / ヤーッコ・クーシスト(Vn)、タネリ・トゥルネン(チェロ)
・アンダンテ・カンタービレ ト長調
・ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調
/ヤーッコ・クーシスト(ヴァイオリン)、フォルケ・グレースベク(ピアノ)
・響け、神への栄誉を讃えて op. 23-6a
・吹け、風よもっと優しく op.23-6b
/エルッキ・ポホヨラ指揮タピオラ合唱団、ヨルマ・パヌラ指揮タピオラ・シンフォニエッタ
・アンダンテ・フェスティーヴォ / オスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ響
・フィンランディア賛歌 / フィンランドの皆さん
 /YLE Uutiset:Näin huikeasti Sibeliuksen Finlandia kajahti Helsingin Senaatintorilla – video
 ヘルシンキ大聖堂の前で、1000人以上で「フィンランディア賛歌」を合唱。皆さん一般の方々なんですよね…?声が美しい。さすがは北欧合唱大国…!!

 以上です。日付が変わってしまいました…。勿論、明日も、来年も聴きますよ。聴けば聴くほどたくさんの発見がある、フィンランドの森のような奥深さと、フィンランドの湖のような澄んだ美しさ。シベリウス作品に出会えて本当によかったなぁと思う一日でした。

 最後に、こんなものを書いてみた。
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 フィンランド語でバースデーカード。おめでとうございます。

【過去関連記事】
Proms2015 シベリウスプログラム&シベリウス音楽祭 まとめ
受け継がれるオーケストラの音 フィンランド放送響来日公演(テレビ・ラジオ放送)
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by halca-kaukana057 | 2015-12-09 00:27 | 音楽

受け継がれるオーケストラの音 フィンランド放送響来日公演(テレビ・ラジオ放送)

 一昨日、Eテレ(NHK教育テレビ)「クラシック音楽館」で、そして今日はNHKFM「ベスト・オブ・クラシック」で放送された、ハンヌ・リントゥ指揮フィンランド放送交響楽団来日公演のオール・シベリウス、ライヴ録音を聴きました。テレビとラジオの両方で放送って気合入っていますねNHKさん。

 シベリウス生誕150年アニバーサリーイヤーで、フィンランドからはフィンランド放送響とラハティ響が来日。勿論指揮者はフィンランド人(フィンランドの指揮者の充実っぷりは相変わらず…むしろ更に勢い増してる!!)。リントゥも2013年からフィンランド放送響の首席指揮者に。フィンランド国営放送・YLEの映像オンデマンドサイトにはコンサート映像がたくさんありますが(後でリストアップします)、そんなに聴いてこなかった。なので、今度はどんな指揮者さんなのかな、どんな演奏なのかなと楽しみにしていました。ちなみに1967年生まれ、今年で48歳。背がとても高い…180、190cmあるのか…?

 プログラムは「フィンランディア」、ヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン:諏訪内晶子)、交響曲第2番のシベリウスの代表的名曲。これはサントリーホールでの公演でしたが、その前にすみだトリフォニーホールで交響曲第5番、7番、「タピオラ」をやっていたので、せっかくテレビとラジオの両方で放送するなら、ラジオではこっちのほうを聴きたかった…。

 「フィンランディア」の最初の音…吼える金管を聴いた瞬間、ああ!フィンランド放送響の音だ!と感じました。フィンランド放送響は、実演を聴きに行ったことはありませんが(涙)、CDやラジオ放送、オンデマンドで結構聴いてきた、親しんできたフィンランドのオーケストラです。前の前の首席指揮者のユッカ=ペッカ・サラステ、前の首席指揮者のサカリ・オラモ。指揮者は変わっても、オーケストラのメンバーも変わったはずなのに、ほぼ同じ音がする。指揮者それぞれの個性やアプローチ、解釈は異なりますが、根底にあるもの、オケの伝統のようなものは変わってないのかも、と感じました。
 ちなみに、フィンランド放送響の「フィンランディア」は、最後一瞬弱音にして一気にクレッシェンドしてジャン!と終わるのが伝統のようです。サラステでも、オラモでもそうでした。そして今回リントゥでも。この終わり方が爽快で好きです。

 ヴァイオリン協奏曲…思えば、フィンランド放送響でシベコンはあまり聴いたことなかった、かも…?いや、ラジオで放送されたものを録音したとか、図書館から借りてきたMDとか、どこかにあるかもしれない。探してみます(大丈夫かw)
 今回のヴァイオリンソロは諏訪内晶子さん。溜めるところは溜めて、さらっと流すところは流して、オケともいい感じだったと思います。テレビでは演奏前にリントゥさんおインタビューがあったのですが、第3楽章を「白熊のポロネーズ」と表現していました。独特の表現ですね…

 で、本題。シベリウス2番。今回のリントゥ指揮のを聴く前に、CDでサラステ盤(93年サンクトペテルブルクでのライヴ盤)、オラモ盤(2006年ノルウェー・ベルゲンでのライヴ盤)を聴いて、聴き比べしてみた(全部ライヴ録音だ!)。
 冒頭の雪解け水のせせらぎのような弦…微妙なニュアンスや強弱は異なりますが、澄んだ、清々しい音色は変わっていませんでした。背が高くて大柄、振りも大きめのリントゥの指揮では、ダイナミック、迫力満点でした。第2楽章、弱音とフォルテの幅がとても大きい。第2楽章・第3楽章は明と暗で揺れ動くのですが、その差が激しい。ダイナミックだけれども、繊細なところは繊細。第3楽章もメリハリが強く、そのまま第4楽章へ。弦も管も打も一緒にあのメロディーを歌い上げる。シベリウスの交響曲は後期作品、特に4番、6番、7番が好きですが(あと、今は「クレルヴォ」も好き!)2番もやっぱりいいなぁ~と思える演奏でした。
 テレビでは、「日本では2番が何故こんなに人気があるのかわからない…」と仰っていたリントゥさんw私もなぜかはわかりません。でも、美しくて崇高で、冷たいけれども情熱を内に秘めていて、荒々しく野生的なところもあり、厳しくて、優しくて、最後は高らかに大円団で終わる。そんなシベ2が好きです。そしてぶれることのないフィンランド放送響のシベ2も好きです。ああ、だから5番7番タピオラも聴きたいですよ!

 現在のフィンランド放送響には、日本人演奏者が4人いらっしゃいます。フルートの小山裕幾さん、トランペットの櫻木厚子さん、ティンパニの森田和敬さん、打楽器の安田直己さん。安田さんはこの日の演奏会にはいらっしゃいませんでしたが、小山さん、櫻木さん、森田さんは大活躍。アンコール「ベルシャザールの饗宴」第3曲「夜想曲(ノクターン、NHKでは「夜の音楽」)」はフルートがメイン、ソロで活躍する曲。小山さんの美しいフルートに聞き惚れました。「フィンランディア」での櫻木さんもかっこよかった。フィンランド放送響で日本人奏者が活躍している、とても嬉しく思いました。
 もうひとつのアンコール、「四つの伝説(レンミンカイネン組曲)」より第4曲「レンミンカイネンの帰郷」も疾走感あふれるダイナミックな演奏にテンションが上がりました。いい演奏でした!!

 日本ではテレビとラジオで放送されましたが、本国フィンランドでもラジオ放送されました。フィンランド国営放送・YLEのオンデマンドでまだ聴けます。
YLE Areena Radio:Radion sinfoniaorkesteri ja Hannu Lintu konsertoivat Japanissa
 11月4日放送なので、多分12月4日までだと思います。公開終了が近くなると赤文字で「○h(○時間)」とあと何時間か表示されるので注意してください。

 シベリウスイヤーに、本場フィンランドのシベリウスを届けに来てくださったリントゥさんとフィンランド放送響の皆さんに感謝です!ありがとう、Kiitos!
 リントゥさんは首席指揮者になってまだ2年。これからもっと関係も深まって、演奏も変わっていくはず。見守りつつ、応援したいです。
 フィンランド放送響も勿論、ヘルシンキフィルにラハティ響、フィンランドにはたくさんのオーケストラがあります。フィンランド指揮者もそこで活躍しています。同じく見守りつつ応援したいです。

 さて、先述したフィンランド国営放送にあるリントゥ指揮のシベリウス作品のコンサート映像をまとめました。PCからはこのまま観られますが、スマホからは「YLE Areena」というアプリを入れてくださいね。
フィンランディア
 混声合唱付きです。合唱はタピオラ室内合唱団。
ヴァイオリン協奏曲
 今シーズン初めの演奏会より。ヴァイオリンは、先日オスモ・ヴァンスカ指揮読売響と共演したエリナ・ヴァハラ。
大洋の女神(波の娘)
 これも今シーズン初めの演奏会より。
ポホヨラの娘
四つの伝説(レンミンカイネン組曲)
歌曲集
 夕べに(Illalle)op.17-6、春はすばやく過ぎ去る(Våren flyktar hastigt)op.13-4、でも私の鳥は帰ってこない(men min fågel märks dock icke)op.36-2、それは夢か?(Var det en dröm?)op.37-4 
 /ソプラノ:ソイレ・イソコスキ
 歌曲をオーケストラ伴奏で。
アリオーソ op.3
 同じく、イソコスキのソプラノで。初期のマイナーな作品です。

 ついでに、歴代首席指揮者のシベリウスも。
交響曲第5番(初稿)
 つい先日の演奏会より。サラステがFRSOに帰って来ましたよー!しかも、5番の初稿!!フィンランド放送響も5番初稿やりました!

森の精(The Dryad) op.45-1
 1月の演奏会より。オラモも帰ってきましたよー!交響曲第2番の後、徐々に後期作品に移りゆくマイナーな作品。この曲でもフルート小山さんが活躍してます。

 ちなみに、メロドラマ版が元となったop.15も「森の精(The Wood Nymph)」と訳され、ややこしいです…。声楽独唱版、語りの入ったメロドラマ版、オーケストラ演奏だけの交響詩版と奥の深い作品です。
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by halca-kaukana057 | 2015-12-02 23:36 | 音楽

[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1

 もう11月も終わり…。12月…2015年が終わってしまう。今年はシベリウス生誕150年記念年。CDに加え、オンデマンドのライヴ録音も色々と聴いています。シベリウスの誕生日の12月8日も近い。
 来年になっても、シベリウスは聴く気満々なのですが(むしろ12月8日で150年。来年の12月7日まで延長でもいいんじゃないかと前にも書きましたが、本当そう思ってます…w)、何か特集企画をやりたい。

 ということで、「クレルヴォ交響曲」op.7の聴き比べをやります!

 これまで、シベリウス作品の中でもとっつき難いと感じていた「クレルヴォ」。交響曲なのか、どうなのかともよく議論になるみたいですが…。演奏時間は大体70分(ベートーヴェンの第九と同じぐらいと考えればそれほどでもないか)。ソプラノ(またはメゾソプラノ)とバリトンの独唱と男声合唱が入る、声楽つきの規模の大きな曲。シベリウスというと私は4番以降の後期の交響曲を真っ先に思い浮かべるので、初期の、しかも規模の大きな曲はなかなか親しめずにいたのです。シベリウスイヤーなのに、この「クレルヴォ」はあまり演奏されていないし…(フィンランド語の声楽ソロと男声合唱が難しいのかなぁ。フィンランドは声楽・合唱も強いんだけどなぁ)
 それが、今年のPromsとラハティ・シベリウス音楽祭で演奏された「クレルヴォ」を聴いて、この曲いい!もっと聴きたい!と思うようになり、持っていてもあまり聴かずにいたCDを聴き始めました。

 第1回、取り上げるのは、
パーヴォ・ベルグルンド指揮ボーンマス響
ライリ・コスティア(ソプラノ) 、ウスコ・ヴィータネン(バス・バリトン)、ヘルシンキ大学男声合唱団


 フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」の「クレルヴォ」の章に基づく作品。クレルヴォはカレルヴォの息子。父の兄・ウンタモに一族を滅ぼされ、幼い頃から復讐を誓う。力も精神力も強い。成長したクレルヴォは、鍛冶師のイルマリネンの家で働くことになるが、イルマリネンの妻の悪戯に激怒して殺してしまう。その後、クレルヴォは死んだはずの両親と再会、妹も生きていると聞かせれる。両親と暮らし、ある日、森の中で可愛らしい少女と出会う。その少女はクレルヴォの妹だった。それを知らず…。真実を知ったクレルヴォの妹は自殺。クレルヴォも激しく後悔、自分を責め、ウンタモ一族を滅ぼす旅に出る。ウンタモ一族を滅ぼしたものの、両親も亡くなり、家もなく…クレルヴォはこれまでの人生を振り返り、自殺する。

 この救いようのない物語も、「クレルヴォ」は親しみにくいと感じていた理由だったと思います。悲劇の英雄。英雄扱いになっていますが、実際にフィンランドの人々はクレルヴォをどんな人物と見ているのだろう?第3楽章「クレルヴォとその妹」で男性合唱とソプラノ・バリトン独唱、第5楽章「クレルヴォの死」で男声合唱が入ります。

 シベリウスの出世作になったのに、シベリウスは演奏されることを嫌がり、スコアも出版しない。シベリウスが死去した後に全曲演奏され、1970年、このベルグルンド&ボーンマス響盤が初めての録音になりました。今私が接することのできる最初の「クレルヴォ」がこのCDというわけです。さすがはベルグルンド先生。

 第1楽章「序章」、第2楽章「クレルヴォの青春」と重々しい音楽が続きます。第2楽章の静かな雰囲気は、やわらかさもあるが、やはり緊迫している。そして第3楽章。「カレワラ」をカンテレで歌う「カンテレンタル」と同じように5拍子で、軽快に明るめに始まり、「Kullervo Kalervon poika」と男声合唱が。このヘルシンキ大学男声合唱団の歌が、人の声の呼吸、やわらかな「人間の声」を感じられていい。それでいて、クレルヴォとその妹の悲劇を語る険しさ、迫力や緊張感も十分。フィンランド語の歌詞も聴きやすい。「カレワラ」は元々韻を踏むように書かれているのですが、その韻のリズムが心地いい。いい合唱だなと思いながら聴いています。

 声楽ソロの2人もいい。妹役のソプラノは甘さも持ちつつも、悲しみに。バリトンの「クレルヴォの嘆き」の部分の重さ、迫力もたまりません。

 この合唱が、第5楽章ではただならぬ雰囲気に。冒頭、オケの音は小さくひっそりとしていて、合唱がメインで聴こえる。幼い頃から誓っていた復讐を果たしたのに、何もかも失ってしまったクレルヴォの計り知れない悲しみがストレートに伝わってきます。徐々にクレッシェンドしてゆき、クレルヴォの最期が…。とても重い。重い演奏です。聴いた後、ぐったりとしてしまいます。いい意味で。クレルヴォの悲劇は救いようがないけれども、救いがなくても、過酷な運命を背負っていても、歯を食いしばり生き、そして劇的な最期を迎えるクレルヴォの生涯をちゃんと聴きたいと思う。やはり「クレルヴォ」はオペラのような部分があります。

 第4楽章「クレルヴォの出征」も、颯爽としているけれども突き刺さるような鋭さがある。弦のざわめきがいいです。シベリウスの弦のざわめき(ささやき)はいい。角笛のようなホルンや、ファンファーレのような金管もアクセントになっている。

 あと、打楽器陣も、迫力があり、演奏をビシッと引き締めている。

 「クレルヴォ」という作品を世に広めることになったこの録音に感謝です。この後に続く録音もどんどん聴いていきます。そのうち聴きどころや魅力をどんどん見つけられたらいいな。
 ちなみに、ベルグルンドはヘルシンキフィルとも「クレルヴォ」を録音しています。こちらも聴けたらいいな。

・関連記事:Proms2015 シベリウスプログラム&シベリウス音楽祭 まとめ
 このPromsとシベリウス音楽祭で演奏された、サカリ・オラモ指揮BBC響の演奏が「クレルヴォ」をもっと聴きたいと思ったきっかけでした。迫力と疾走感満点のいい演奏です。声楽陣もいい。この記事のリンク先(「動画その2」)、まだ聴けます。(BBC Radio3のは11月29日まで。中身は同じです)
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by halca-kaukana057 | 2015-11-28 23:20 | 音楽

オンネリとアンネリのおうち

 久々にフィンランドの児童文学を読みたくなりました。

オンネリとアンネリのおうち
マリヤッタ・クレンニエミ:作/マイヤ・カルマ:絵/渡部翠:訳/プチグラパブリッシング/2005

 小学生の女の子、オンネリとアンネリはとても仲が良いお友達。オンネリの両親は別々に暮らし、アンネリは9人きょうだいの5番目。夏休みに入った朝、2人がバラ横町の道を歩いていると、「正直なひろいぬしさんにさしあげます。」と書かれた封筒を拾う。交番に持って行き、中を見るとたくさんのお金が。おまわりさんは封筒に書いてある通り、このお金は2人のものだと言って手渡すが、困った2人は元あったところに戻すことに。封筒が置いてあった家の門の前に、こっそりと置こうとすると、家の主・バラの木夫人がその家に「売家」の張り紙を。2人に気付いたバラの木夫人は2人を呼び、この家は「ふたりの小さな女の子」が住む家として建てられてしまったものだと説明する。2人も、お金の入った封筒のことを話すと、そのお金でこの家が買える。この家が欲しくない?と聞かれてしまう。2人は家を買うことにする。2人だけで住むお家は、とても素敵なお家だった…

 物語の内容からずれるのだが、フィンランドには「レイキモッキ(Leikkimokki:「レイッキモッキ」の方がフィンランド語の発音に近い?)」というものがある。日曜大工で子どものために庭に作ってあげる小さな家のこと。主にお父さんが娘に作ってあげるらしく、男の子は自分で隠れ家を作るそうだ。そこに子どもたちで集まって、おやつを食べておしゃべりをしたり、パーティを開いたり…。子どもたちは自分で家の中を装飾する。私も子どもの頃、友達と秘密基地を作ったことがあるが、フィンランドでは親公認だけど子どもたちのプライバシーが守られる隠れ家がある。これを知った時、いいなぁと感じました。
All About:フィンランド発!子どものための家「レイキモッキ」

 読んでいて、その「レイキモッキ」を思い浮かべました。自宅の庭に小さな家…ではなくちゃんとした一戸建てですが。フィンランドは家族を大事にする…とはいえ離婚率も高い(日本とは考え方が違う)。アンネリの両親は別居中ということなのだろう…。オンネリも家に居場所がない。そんな2人が買ってしまった家。家の中も、2人が住むことを予想?して何もかも用意されている。バラの木夫人は魔法使いか何かなんだろうか…と思ってしまう。素敵なおばあさんです。
 家に帰っても、アンネリの両親はそれぞれ旅行に行ってしまったし、オンネリの家は相変わらずきょうだいがたくさんで、オンネリはその中に馴染めない。夏休みの間、2人は自分たちの「家」で暮らし、様々なご近所さんに出会う。このご近所さんたちがいい。

 冒頭で出てきたおまわりさんも再登場し、かなり重要な登場人物になります。お隣さんのロシナおばさん…児童文学で、こんな細やかに心の傷と喪失、再生を描くなんて、とても素敵なお話だなと読んでいてやさしい気持ちになりました。そして何よりも、最後が…。やっぱり「家族」なんですね…。

 まだ小学生ですが、オンネリとアンネリは料理もうまいようで、食事も自分たちでつくります。フィンランドの料理が次々と出てくるので、フィンランドの食文化の雰囲気を味わえる物語でもあります。

 この「オンネリとアンネリのおうち(Onnelin ja Annelin talo)」には続編があるということ。「オンネリとアンネリの冬(Onnelin ja Annelin talvi)」、「オンネリとアンネリとみなし子たち(Onneli, Anneli ja orpolapset」、「オンネリとアンネリと眠り時計(Onneli, Annelin ja nukutuskello)」と全4作あるとのこと。読みたいと思って探したら、ない。日本語訳なんて出てない。この「オンネリとアンネリのおうち」も絶版。とても残念です…。

【追記】
 この本も絶版…と思ったら、復刊されてました!!
福音館書店:オンネリとアンネリのおうち
 せっかくなので、全4作日本語訳出版を希望します!続編も読んでみたい。
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by halca-kaukana057 | 2015-11-15 23:09 | 本・読書


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