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流れ行く者 守り人短編集 / 炎路を行く者 守り人作品集

 しばらく本の感想を書いていませんでした。でもその間に色々な本を読みました。少しずつ、またここに書いていこうと思います。第1弾はNHKでこの冬に実写ドラマ第2シーズンが放送された「守り人」シリーズより、番外編の2冊を。

流れ行く者 守り人短編集

上橋菜穂子/新潮社 新潮文庫/2013
(単行本は偕成社から、2008年)


 バルサとタンダがまだ10代の頃のエピソードが収められています。「浮き籾」はタンダが主人公。村で家族と暮らすタンダと、遠い親戚の「髭のおんちゃん」オンザの思い出。村と家族というコミュニティで暮らす中で、異質な者がどう扱われるか。夢見がちで、素直で、呪術師の片鱗が見え始めていたタンダの感受性の豊かさに触れられる作品です。無邪気なところもあるタンダがとても可愛らしいけれども、オンザと同じように村で「普通に」田畑で働いて暮らすこととはちょっと外れ始めている…かなしいと言えばいいのだろうか。うまい言葉が見当たらない。
 「ラフラ<賭事師>」は、ロタの酒場で働くバルサと、その酒場の賭事師「ラフラ」のアズノのお話。アズノは老いてはいるが、とても腕のいい賭事師。酒場で行われる賭け事とは別に、お金を賭けずに長年続けるものもある。アズノの腕に魅了されるバルサ。アズノが50年も続けてきたお金を賭けない賭け事は、アズノにとってライフワークのような存在だったのに…最後がさみしい。プロの賭事師だからこそ、酒場の賭け事とは違うものとして、大事にしておきたかったから、あんな最後にしてしまったのかもしれない。
 「流れ行く者」は、実写ドラマのシーズン1の中でも描かれた作品。バルサが初めて人を殺めてしまう。少女時代のバルサの危うさ、感情の起伏、大人びた冷めた考えをしつつも未熟さもある。この話を読んでから、「守り人」シリーズ本編、特に「神の守り人」を読むと、バルサの生き様、生死に対する考え方の根源に触れられる気がする。こんな辛い想いをして、それでも生き延びなくてはならない。バルサの強さと、かなしさを感じます。
 「流れ行く者」の後の「寒のふるまい」はホッとします。タンダがいて、バルサは救われているのだろうな、と。読者も。

 解説は「プラネテス」「ヴィンランド・サガ」の漫画家・幸村誠先生です。幸村先生の絵でバルサやジグロ、タンダを描いたらきっとイメージぴったりだと思う。バトルシーンも「ヴィンランド・サガ」を読めばわかりますが、きっと迫力満点だろうなぁ!

炎路を行く者 守り人作品集

上橋菜穂子/新潮社 新潮文庫/2017
(単行本は偕成社から、2012年)


 こちらは今年文庫化した作品集。「蒼路の旅人」「天と地の守り人」で登場する、タルシュ帝国の密偵・ヒュウゴの生い立ちの物語。チャグムたちの新ヨゴ皇国の元の国・ヨゴ皇国の出身ということはこの2作で触れられていますが、10代の頃、どう暮らしてきたかが明らかになります。ヨゴ皇国の帝を守る武人の一家に生まれ育ったヒュウゴ。ヨゴ皇国がタルシュ帝国に落ち、家族や親戚は皆殺されてしまう。何とか生き残ったヒュウゴが出会ったのは、不思議な女性・リュアン。ナユグが見え、タラムーと呼ばれるナユグの生き物を通じて、ヒュウゴと話ができる。「守り人」シリーズはナユグがあってこその物語だなと思います。そのリュアンに助けられ、ヒュウゴは生きていくために酒場に住み込みで働くことになるのだが…。10代のヒュウゴも、強いけれども、危ういところがあり、家族を殺された怒りや憎しみ、かなしみを抱いて、感情の起伏が激しく、賢く大人びている。ヒュウゴがどんどん変わっていってしまうのが辛い。タルシュ帝国の中でも、ちょっと異質な動きをするヒュウゴですが、その源が伺えます。とても好きな作品です。

 もうひとつ、「十五の我には」はバルサのお話。バルサの10代は本当に過酷だった。だからこその強さと優しさをを持っている。危うさを持った15歳のバルサ。成長の瞬間は簡単に捉えられないが、後から思うとわかることがたくさんある。これも好きな作品です。
 この「炎路を行く者」は「天と地の守り人」まで読み終わってから読むのをオススメします。でないと、ネタバレします。


 「神の守り人」以降は図書館から借りて単行本で読み、文庫が手もとになかったのと、実写ドラマを観て原作を思い出せなくなっていたので、「神の守り人」から再読しました。面白かった。「守り人」シリーズのワクワク感を久々に味わいました。ナユグとサグの壮大な物語。チャグムも凛々しくなっていく。
 実写ドラマの第3シーズンは、「闇の守り人」、そして「天と地の守り人」とクライマックスへ向かうそうです。「闇の守り人」をやらないと、カンバルについて何も語れませんものね。「天と地の守り人」の途中からどう「闇の守り人」を入れるのか、興味深いです。
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by halca-kaukana057 | 2017-05-09 22:51 | 本・読書

物語ること、生きること

 「守り人」シリーズ、「獣の奏者」シリーズでお馴染みの上橋菜穂子さんのエッセイが出ました。


物語ること、生きること
上橋菜穂子/瀧 晴巳:構成・文/講談社/2013

 上橋菜穂子さんの元には、子どもたちから沢山の手紙が届くという。「どうやったら物語を書けるようになりますか」「どうやったら作家になれますか」「『獣の奏者』や『精霊の守り人』みたいな話は、どうやって生まれてくるんですか」などなど。上橋さんも、子どもの頃から物語が、本を読むのが大好きで、物語をつくる人…作家になりたいと思ってきた。この本は、構成・文の瀧晴巳さんが上橋さんを取材し、語った生い立ちや作家になるまでをまとめたものです。

 上橋さんの物語は、壮大で、その世界の歴史や政治・経済・産業などもしっかりとつくられていて、でも現実世界でもありうる矛盾や闇の面もあり、それが物語に大きく関係してくる。そんな世界で自分の弱さと向き合いながら強く生きる人々の、それぞれの生きる道が細やかに描かれている。そして出てくるごはんがどれも美味しそう。こんな物語は、どうやったら書けるのだろう?私も何度も思った。文化人類学の研究者で、オーストラリアのアボリジニを研究している。「守り人」シリーズのバルサや、「獣の奏者」のエリンのように、広い世界で行動範囲の広い、視野も広い、思い切りのいい強い方なのかな、と思っていた。

 ところが、この本に書かれている上橋菜穂子さんは、子どもの頃に聞いたお婆様が語る物語や、数多の物語・本を読むのが大好きな、身体の弱い夢見がちな女の子だったのだそう。物語だけでなく漫画も大好き。学生時代ノートに漫画の落書きをしていたほど。物語と現実の境界が曖昧で、物語の世界に惹かれてばかりだった。人見知りで、小心者で、臆病で、外に出るよりも家の中で本を読んでいるほうがいい…とご自身のことを語っている上橋さん。
 驚きました。私も、その方が好きだから。外に出るのは勇気がいる。正直怖い。私も実は臆病で、心配性だ。失敗したら、傷ついたら…悪いことばかりどうしようと考えて不安になり、行動する前から心配ばかりしている。
 でも、上橋さんは、いつまでも「夢見る夢子さん」でいたくない、とえいっ!と外へ、本当の旅に出た。一歩を踏み出した。そのことが、文化人類学の研究でも、作家にも向かうことになった。この上橋さんのお話に、とても勇気づけられた。外に出てみないと、実際に行ってみないとわからないことが沢山ある。上橋さんが一歩を踏み出すために机の前に貼っていたという「言葉」には共感した。私も張っておこうかな。

 上橋さんが本を読んできて、感じたこと・考えたことに共感するところも多かった。2つ、いくつかの立場の境界に立っている人のまなざし・見方に惹かれるということ。
 特に惹かれたのが、この部分。引用します。
 境界線の向こう側には、まだ見ぬ地がある。
 もしかしたら「生きる」ということ、それ自体が、フロント=最前線に立つことなのかもしれない、と思ったりします。それぞれの生い立ちや境遇や、すごくいろんなものを抱えて、私たちは、いま、出会っている。誰もが自分の命の最前線に立っているのなら、それぞれに境界線を揺らす力、境界線の向こう側に越えてゆく力を持っているんじゃないか。
 相手を否定したり、恐れたり、あるいは自分の領分を守るために境界線を強くするのではなく、境界線を越えて交わっていこうとする気持ちを持てたら、どんなにいいだろう。
 私は、それを、子どもの頃からずっと願いつづけてきたように思うのです。
 そして、私の好きな物語に、もし共通点のようなものがあるとしたら、それは背景の異なる者同士がいかにして境界線をこえていくかを描いているところかもしれません。
(80ページ)


 この本では、上橋作品の引用も多くあります。引用されたシーンもですが、この内容ではこの作品のこのシーンかな?と自分でも他にも思い出しながら読んでいました。上橋作品の裏側、あのシーンにこんな想いが込められているとわかる本でもあります。

 また、研究職の方には、研究職の楽しみやつらさにも共感できる本かもしれません。私にとって、作家も憧れの職業ですが、研究職も憧れの職業でした。大人になって、研究職の方々の話を聞くと厳しい世界なんだなと思いますし、この本でも上橋さんが研究職も諦めそうになったエピソードは胸が痛みます。それでも、知の最前線をゆく研究職は、やはり私の中では憧れです。

 上橋さんの作品を読んだ後、その壮大さに圧倒されつつも、登場人物たちの生きる姿に清々しさを覚えるのですが、この本を読んだ後でも同じことを思いました。上橋さんご自身が、清々しく、力強く生きて、物語をつむいでいらっしゃるのだと。
 一歩を踏み出したい、広い世界を見たい。それを自分のやり方で表現したい、つくりたい。作家に限らず、そんな気持ちを呼び起こしてくれました。憧れを、形にする。自分の極限まで拡げて、掘り下げて、考えてみる。そして文章なり、何かにしてみる。
 上橋作品は、積読に何冊かあります。読みます。読むのが楽しみです。

 巻末には、上橋さんがこれまで読んできた本リストがあります。これはありがたい。

・全然関係ない(?)のですが、タイトルでこの本のことも思い出した:生きるとは、自分の物語をつくること
(小川洋子・河合隼雄)
上橋さんが、河合先生と対談したら、とても面白いことになったのではないかと思う…。
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by halca-kaukana057 | 2014-01-31 22:22 | 本・読書

獣の奏者 <Ⅲ・探求編><Ⅳ・完結編>

 NHK教育(Eテレ)で2009年に放送されたアニメ「獣の奏者 エリン」。その原作の上橋菜穂子さんの「獣の奏者」シリーズ。<Ⅰ・闘蛇編><Ⅱ・王獣編>で終わっていたのですが、アニメが放送中に続編が刊行。読みたいと思っていたのですが、やはり人気の作品、図書館にはいつも無い。昨年夏に文庫化。待ってました。
(講談社・青い鳥文庫では先に刊行されていたのですが、1・2作目も文庫で読んだので、文庫で買い揃えようと思っていたのです。)

獣の奏者 3探求編 (講談社文庫)

上橋 菜穂子 / 講談社


獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)

上橋 菜穂子 / 講談社



 あれから11年。エリンは結婚し、母親になっていた。そしてカザルムで教導師として教壇に立ち、リランたち王獣の生態を研究しながら共に生きていた。そんな時、闘蛇を育てる村で、闘蛇軍の要となる「牙」の大量死が起き、その原因究明を命じられる。エリンが子どもの頃、同じように闘蛇が大量死し、その獣ノ医術師だった母・ソヨンは死罪。その時のことを思い出しながら、エリンは大公(アルハン)・シュナンの側近で元闘蛇乗りの武人のヨハルと共に闘蛇村に赴き、死んだ闘蛇を調べる。母・ソヨンは闘蛇が死んだ理由を知っていたはず。でも、秘密にしたまま、死罪を受け入れた。その理由は何だったのか。原因を突き止めたエリンだが…

 上のあらすじは3作目のほんの一部です。

 アニメ化のために、第1・2作を読み直していた上橋さん。その時、物語に矛盾のようなものが見つかり、そこから更に物語の世界を深めていったのだそう。言われてみれば…と前作を思い出しながら読んでいました。人が作った物語が、人の手を離れてどんどん広がっていっているようだ…。この広げ方に凄いと思った。「守り人」シリーズの第1作「精霊の守り人」から、どんどん物語が広がっていったように、「獣の奏者」も、リョザ神王国の周囲の国々と、それらとの関係、国交の表と奥にある部分、国交を支える人々の物語が次々と出てくる。更に、リョザ神王国内部でも、第2作の後、真王(ヨジエ)・セィミヤと大公・シュナンが結婚したけれども、国内での不安定な動き、政情、セィミヤとシュナンを取り巻く人々の動きもまた面白い。物語は生きものだと感じる。生きもののような物語を作る…凄いことだな、と。

 アニメのラストで少しだけ出てきた母になったエリンと息子・ジェシ。そして夫・父であるイアル。アニメのラストでは、あの後エリンは家族と穏やかに暮らしているのだろうな、と思う。しかし、エリンとイアルは再び国家の危機と、急変する王獣・闘蛇のあり方に巻き込まれてしまう。そしてジェシも…。それでも、エリンは母・ソヨンの一族であり自分もその血を引いている"霧の民(アーリョ)"の王獣に関する”戒律”や王獣規範、闘蛇村での禁忌や言い伝えられてきたことを破ってでも、王獣と闘蛇の生態や、エリンのかねてからの願いである、人に育てられ保護されている王獣を野に返したい、野生の王獣のように暮らさせてあげたい…という思いを胸に突き進む。エリンを「毅(つよ)い」と言う言葉がよく出てくる。「強い」ではなく「毅い」。その通りだと思うけれども、そんな一言だけではエリンを表現しきれない、とも思う。

 物語そのものが、一言だけでは表現しきれない。この物語は、何の言葉も加えず、このままであって欲しい。文庫が出てからすぐ読み、それから何度か読み返したが、未だにこの物語についてどう語ったらいいのかわからない。思考が停止しているわけではなく、そのまま受け入れたい。

 ただ、4作目ラストのこの一節が気に入っているので、引用します。

 母の葛藤を間近でみることで、ジェシは、戦というものが、ひとりの英明な人の英雄的な行為で止められるものではないことを思い知った。
 人は群れで生きる獣だ。群れをつくっているひとりひとりが、自分がなにをしているのかを知り、考えないかぎり、大きな変化は生まれない。かつて、木漏れ日のあたる森の中で母が言っていたように、多くの人の手に松明を手渡し、広げていくことでしか、変えられないことがあるのだ。
(477ページ)

 この物語はエリンの英雄譚ではない。エリンは確かに凄い。毅い。けれどもエリンだけが活躍していたわけではない。イアル、ジェシ。真王・大公とその周囲の人々。ヨハルとその家族や周囲の人々。カザルムのエサル師をはじめとする教導師たち。エリンやイアルの友人たち。闘蛇村の人々。沢山の人がいて、各々が自分で考え行動し、生きていた。

 また、前2作でも鍵となっていた王獣規範や”戒律”が何故出来たのか。作られた理由、どんな経緯・歴史があったのか。それを隠し続けることが、考えることを停止させる。松明の火は消えてしまう。

 物語を読み終わって、色々なことを思う。思い当たる節があったり、言葉のひとつひとつを読み込んだり。でも、そんなことをする前に、物語をそのまま味わいたい。人々の生きる姿をそのまま辿りたい。そう思う続編でした。そのぐらい、大きな大きな物語でした。

獣の奏者 <Ⅰ・闘蛇編><Ⅱ・王獣編>
 前2作。
見ているだけではなく、その手を伸ばして 「獣の奏者エリン」感想
 アニメを観終わっての感想。この3・4作目のアニメ化は、難しいだろうなぁ…。
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by halca-kaukana057 | 2013-02-13 23:08 | 本・読書

見ているだけではなく、その手を伸ばして 「獣の奏者エリン」感想

 1年間にわたって放送されたNHK教育アニメ「獣の奏者 エリン」が最終回を迎えました。原作をギリギリで読み終わって、アニメではどんなエンディングになるのだろうか…と思って観ていたのですが、原作小説の魅力を映像で存分に引き出してくれたエンディングでした。原作を読み終わった後はその壮大なストーリーに圧倒されて放心状態だったのですが、アニメではひとつひとつのシーンをかみしめながら観て、そしてこれまでの物語を思い出してボロボロと涙が止まりませんでした。

 最初は(この時は原作未読)、この物語はエリンという少女の成長物語なんだろうと思った。闘蛇衆の村・アケ村で、闘蛇専門の獣ノ医術師である母・ソヨンと暮らし、闘蛇の生態に興味を持つ。いつかはソヨンのような獣ノ医術師になりたい。しかし、ソヨンとの別れで物語が一変。蜂飼いのジョウンと暮らすようになり、王獣に出会う。ジョウンとのんびりと自然と生き物たちに囲まれた暮らしをしている一方で、リョザ神王国の各地では様々な変化が起きていた。国の長である"真王"の周囲、国を護る"大公"の周囲、さらに、ソヨンが出た一族である"霧の民"の周囲。その周囲の変化が、エリンに徐々に近づいてくる。ひとりの少女の成長物語だったはずなのに、国の政治や歴史の解釈と真相、それに関わる多くの人々がエリンに大きな影響を及ぼし始める。この時、この物語はエリンというひとりの少女の視点から見た"国家"というものの姿・鳥瞰図なのかなと感じた。

 このアニメで印象に残っているのが、「何もしないで見ているだけ?」というエリンの問いだ。ソヨンが死罪になる時、"霧の民"であるナソンはその様子を見ていた。エリンはソヨンを助けようと、闘蛇のいる沼に飛びこみ母のもとへ泳いでゆく。カザルムでリランに出会ったエリンは、傷つき餌も食べないリランをどうしたら助けられるか、野生の王獣を観察した経験から独自のやり方を編み出し、リランを助け、リランと心を通わせる。王獣に関しては、"王獣規範"という王獣の育て方、世話の仕方に関する細かい決まりがある。さらに、"霧の民"も"戒律"を守って暮らしている。しかし、エリンはそれらの存在を知らないままソヨンと別れ、リランと出会った。エリンがのちにそれらの存在を知っても、それに従おうとはしなかった。"王獣規範"や"戒律"の通りに生きることで、王獣や人を決まりで縛り思考を止め、「見ているだけ」の生き方になってしまうから。ソヨンが教えてくれたことや村で育てている闘蛇に対して抱いていた想いを受け継ぎ、自分の意思で決まりに従わず、手を伸ばし行動した。エリンがリランに手を伸ばした結果、保護場にいる他の王獣とは違う成長を遂げた。それは国家を揺るがし、エリンが様々な人々の思惑に巻き込まれていくきっかけとなる。その結果、エリンとリランの間には亀裂が生じてしまう。それでもエリンはリランを、王獣や闘蛇たちを守ろうとする。勿論それはたやすいことではない。大きな責任や重圧がのしかかり、命にもかかわる。強い意志がないと行動は出来ない。でも、「見ているだけ」で後悔するよりも、自分に出来ることがあるなら手を伸ばして行動するほうがいい。最終回、エリンが選んだ行動。そして、リランがとった行動。

 「見ているだけ」ではなく手を伸ばすことは、エリンとリランという人と王獣の間だけに限ったことではない。セィミヤとシュナンも、これまで相反する生き方をしてきた。その2人が手を伸ばし、その手を結んだ。真王の護衛士"堅き楯(セ・ザン)"であるイアルも、セ・ザンの使命を果たすために心を閉ざしていたが、手を伸ばしてきたエリンに対して、手を伸ばし返した。アニメオリジナルのキャラクタであるキリク先生も。NHKのアニメ公式サイトブログで、原作者の上橋菜穂子先生がアニメへの想いを語っていますが、最終回のところにこうありました。
ちっぽけな人間の、短い人生ではありますが、わたしたちは、その道を歩きながら多くの音を奏で、多くの他者が奏でている音と、ときには共鳴し、ときには不協和音を生みながら、複雑な調べを生みだしていきます。
この世は、私たちが奏でている音が響きあって生まれている、壮大な調べなのだと、いえるかもしれません。
NHKアニメワールド+BLOG:『エリン こぼれ話――原作者のアニメ監修日誌――』(14) 第14回 エリンの香りより


 そして、最終回でも語られた、原作のこの部分。
(――知りたくて、知りたくて……)
 エリンは、心の中で、リランに言った。
 おまえの思いを知りたくて、人と獣のはざまにある深い淵の縁に立ち、竪琴の弦を一本一本はじいて音を確かめるように、おまえに語りかけてきた。
 おまえもまた、竪琴の弦を一本一本はじくようにして、わたしに語りかけていた。
 深い淵をはさみ、わからぬ互いの心を探りながら。
 ときにはくいちがう木霊のように、不協和音を奏でながら。
 それでも、ずっと奏で合ってきた音は、こんなふうに、思いがけぬときに、思いがけぬ調べを聞かせてくれる……。

 おまえにもらった命が続くかぎり、わたしは深い淵の岸辺に立って、竪琴を奏でつづけよう。天と地に満ちる獣に向かって、一本一本弦をはじき、語りかけていこう。
 未知の調べを、耳にするために。
(「2・王獣編」454~455ページより)


 手を伸ばすことで、傷つくこともあるだろう。分かり合えず、苦しい想いもするだろう。うまくいくはずがない。違う人間、違う生き物なのだから、考えが違うのは当然だ。分かり合えないことの方が多いのではないかと思う。でも、手を伸ばす。言葉・声という"音"を奏で、様々な異なる"音"が重なって"調べ"となる。私が出している"音"も、どこかで"調べ"となっているのだろうか。「見ているだけ」で、伸ばそうとした手を引っ込めていないだろうか。伸ばそうとした手を引っ込めたことは、何度もある。手を叩き返されないだろうかと恐れたり、迷惑ではないだろうかと思ったり、面倒くさくなったり。これからもそんなことはあるだろう。無くなるとは思えない。でも、手を伸ばす勇気はいつでも持っていたい。下手でも語りかけるように"音"を奏でよう。

 そんな気持ちになるアニメでした。アニメオリジナルキャラクタのヌック&モックもいい味出してた。最初はただの泥棒だったのに、とてもいい人。張りつめた空気がこの2人で緩む。また、アニメはちょっとした部分の描写が半端なかった。小さな花々や、動物たち。しかもそれらの動きが、本編に関係がある。本当にちょっとした部分なのに、手を抜かない。…参りました。キャラクターデザイン、絵に関しては、最近のアニメとはちょっと違うと感じた。でも、それがよかったと思う。異世界の不思議な雰囲気が出ていて。さらに、このアニメではソヨンの死罪のシーンや、王獣が闘蛇を襲うシーンなど、土曜夕方のNHK教育にしてはかなり悲惨なシーンも多い。そのシーンの描写も、よく考えたなと思った。子どもたちを必要以上に怖がらせず、でも恐怖や悲惨さは伝える。挑戦的なアニメだと思いました。

 アニメの最後の最後で、今年出た「3・探求編」「4・完結編」へのエピソードも。何というラストを…。続編も…読む!

 年明けからは総集編が始まります。見逃した方も1年間見続けた方も。私も記憶があいまいな部分があるので、また観ます。
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by halca-kaukana057 | 2009-12-28 22:33 | Eテレ・NHK教育テレビ

獣の奏者 <Ⅰ・闘蛇編><Ⅱ・王獣編>

 NHK教育で放送中のアニメ「獣の奏者 エリン」。その原作です。アニメが終わってから原作を読むか、アニメが終わる前に原作を読んでおくか迷ったのですが、アニメが終わる前に読んでおくことにしました。…って、もうクライマックスですが。

獣の奏者〈1〉闘蛇編
上橋菜穂子/講談社・講談社文庫/2009(単行本は2006)

 "真王(ヨジエ)"が治める"リョザ神王国"。"真王"は軍を持たず、"大公"が率いる闘蛇の軍が国を護っていた。闘蛇を育てる村に暮らす少女・エリンは、闘蛇を専門に診る獣ノ医術師である母・ソヨンとつつましくも幸せに暮らしていた。しかし、ある日、大公軍の要となる闘蛇たちが謎の死を遂げ、その担当だったソヨンは責任を問われ、死罪となってしまう。ソヨンを助けようとしたエリンだが、エリンも死の危機に。その死ぬ寸前のソヨンは不思議な指笛をふき、エリンを助け、ソヨンは帰らぬ人となる。哀しみの中、エリンは流れ着いた蜂飼いのジョウンのもとで様々な生き物たちと暮らし、そして"真王"の象徴であり闘蛇の天敵である王獣に出会う。王獣に魅せられたエリンは、母ソヨンのような獣ノ医術師を目指し、傷ついた王獣を保護し、獣ノ医術師になるための教育をするカザルム学舎に進学する。そこでエリンが出会ったのは、怪我をした王獣の子どもだった…。

 アニメは原作にほぼ忠実ですが、アニメオリジナルのキャラクタやエピソード、原作とは異なる解釈をしている部分もあります。そのため、ここでは原作のみについて書きます。

 上橋菜穂子さんの作品、「守り人」シリーズを読んでその魅力に惹かれたが、「獣の~」でもその魅力は活き活きとして、私を物語の中に引き込んでくれた。この作品はあくまでファンタジーだ。しかし、現実感・リアリティを強く感じる。この世界に闘蛇も王獣もいない。それなのに、この世界のどこかにこの物語の世界が存在するように思えてしまう。ファンタジーとは言え、人々の暮らしの様子や、そこに生きる人々の想い、国家の政治、内政干渉、政治の世界で生きる人々の野望や苦悩…私たちが生きる現実世界にある要素が、しっかりとこの物語の骨組みとなり、支えている。だからこそリアリティを感じるのだろう。

 読んでいて、エリンの生き物を観る視点・考え方の鋭さにうなってしまう。エリンは自然から、生き物から学んでのちに王獣の子ども・リランの世話へそれを反映させてゆく。誰も考え付かなかった方法を使って。傷ついた王獣・リランだけでなく、他の生き物に対しても鋭い見方で、何を施すべきか考え、決める。エリンの思慮深さと発想の豊かさ、鋭さがあればなぁと読んでいて何度思ったことか。

 王獣には「王獣規範」という王獣の育て方、世話の仕方を細かく定めたものがある。その規範が意味するもの。さらに、母・ソヨンが出た一族"霧の民(アーリョ)"が大切に守っているという"戒律"。これらの意味についても考えてしまう。「王獣規範」や「戒律」…現実世界で考えれば規律や法律、倫理等の決まりごと。それらは守られるべきものとして存在している。ただ、何故それらが存在するのか。ただ守っているだけでいいのか。それら決まりごとは、人の解釈によっても変化するし、時代によっても変化する。時代や社会に合わなくなることもあるかもしれない。それらの決まりごとについて考え、問い、それらの中で自分はどう行動するか。他にも色々な読みが出来ると思うが、私はそう感じた。

 そして、大河のような歴史・神話も、長い時間と語り継ぐ人々の感情が交じると様々な解釈が生まれる。ラストあたりではそれぞれの解釈・考えと、その先にある自分の生き方を選択する人々の想いが強く伝わってくる。私たちは、長い歴史の中で、その先へさらに歴史をつなぐように生きているんだと思うと、不思議な気持ちになる。クライマックスのシーンは言葉がない。ただひたすらにリランを想い、リランと歩み続けたエリン。人と王獣、言葉は通じない、思考も異なるけれども、それでも一緒に生きてゆきたい。その想いが溢れていて、読後ボーっとしてしまった。本当に壮大な、でも人の心、息づかいがじんわりと感じられる作品だ。

 さて、アニメは来週が最終回。アニメ感想はその後で、まとめて書きます。

 さらに、続編として<Ⅲ・探求編><Ⅳ・完結編>先日出版されました。文庫本化はいつになるかなぁ。
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by halca-kaukana057 | 2009-12-19 22:49 | 本・読書

天と地の守り人

 上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズもいよいよクライマックス。シリーズ最後にして長大な3部作「天と地の守り人」です。

天と地の守り人<第1部>
上橋 菜穂子/偕成社/2006

 新ヨゴ皇国は、南の大国タルシュ帝国との戦争に控え、隣国ロタ王国・カンバル王国との国境を閉じていた。バルサはその国境をひそかに越える者たちを助ける仕事をしていたが、その途中、サンガル王国から帰還する途中水死したというチャグムが生きていることを知らされる。そして、チャグムが新ヨゴ・ロタ・カンバルの3国をタルシュ帝国から守るために同盟を結ぶことが出来るよう、バルサはチャグムをロタ王国へ探しに向かう…。



 これまでの「守り人」シリーズの物語が、この「天と地」に全て収束している。ジグソーパズルのように、シリーズひとつひとつが大事なピースで、壮大な物語が姿を現す。カンバル・ロタ・サンガル・タルシュで出会った人々も次々と再登場。またしても一気読みしてしまいました。途中で止められない!

 「精霊の守り人」以降、バルサとチャグムが共に旅をすることはなかったのだが(「夢の守り人」で一度再会はしていた)、「天と地」でついに再会。しかし、チャグムはもう幼い子どもではありません。タルシュ帝国に屈する未来を拒絶し、祖国を守ろうと奔走する17歳の皇太子。刺客に追われ、国家間の重圧に押しつぶされそうなチャグムを、バルサが守り、後押しする。バルサとチャグムの信頼関係は、どんなに長い時間を経ても変わりはしない。絆の深さにじーん。

 新ヨゴ皇国とタルシュ帝国との戦争が迫る一方で、ナユグにも大きな変化が。その変化と戦争で大変なことに。トロガイ・タンダ・シュガも奔走します。しかし、タンダは出兵することになり、シュガもチャグムが死去したとされている宮の中では自由に身動きできない。こんな時こそタンダの出番と思ったら、戦場に向かうことに。それでも、戦場でもタンダはタンダらしく動いている。タンダに戦場は似合わないが、タンダがいたことで救われた人もいる。必要だからこそ、タンダは戦場に向かうことになってしまったのかもしれない。その後の結末も含めて。

 第3部<新ヨゴ皇国編>はほとんどチャグムの物語と言ってもいいぐらい。「精霊」以来折り合いが悪かった帝との関係にも結末がやってきます。「精霊」から読んできて、帝は父としてどうなんだと思い続けてきた。しかし、帝は自信を持って国の長であり崇められる神の子である役を果たしている、それだけなのだと感じた。決して悪い意味ではなく、帝であることに誇りを持ち、威厳ある国の長の姿を見た。チャグムは精霊の卵を抱いてしまったことでバルサに預けられ、皇族としては異例の平民の暮らしを体験したことがその後の生き方に大きく影響している。一方、宮から出ることも無く、帝としての務めを果たした帝の生き方・考え方もひとつの生き方。どちらが正解なんてない。
 前回の「蒼路の旅人」の感想でも書いたが、この物語は色々な国の、様々な立場の人々の人生が重なったり、交わったりして進んでいく。その重なったり交わったりした時々に、その登場人物にとってプラス捉えられるかマイナスに捉えられるか、その違い。絶対的にプラスの人も、マイナスの人もいない。(これは私たち現実世界の人間関係も同じだと思う。)チャグムと帝も、そういう関係だったのだと思うと、2人の別れのシーンがとても寂しく、重く、辛く感じる。

 そして壮大なフィナーレ。圧倒されました。ハッピーエンドというわけでもないが、バッドエンドでもない。物語が行き着くところに行き着いた感じ。何かが終わって、何かが始まる予感をさせる終わりが感慨深い。「精霊」からずっと一緒に旅をしてきたんだなぁという思い。これが児童文学なんだから凄い。大人も存分に楽しめる。ずっと読んできて良かったと心から思った。いい物語に出会えたな、こんないい物語が日本にあってよかったなと感じます。

 アニメ「精霊の守り人」でシリーズに興味を持った方、途中で止まっている方、是非「天と地」まで読むことをオススメします。そう言えば、バルサの幼少時代の短編集「流れゆく者」もあるのだった。こっちも読まねば!
 と言うことで、「守り人」シリーズ、まだ続きます。「獣の奏者」も読みたいが、アニメ化のために図書館では貸し出しっぱなし。アニメが終わる前に読みたいなぁ。
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by halca-kaukana057 | 2009-05-27 21:41 | 本・読書

蒼路の旅人

 上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズ第6作。「虚空の旅人」に続く、チャグムがメインの物語です。


蒼路の旅人
上橋 菜穂子/偕成社/2005

 チャグムが住む新ヨゴ皇国の隣、サンガル王国は海を隔てた大陸にある大国・タルシュ帝国と戦争をしていた。そのサンガル王国の王から、新ヨゴ皇国へ手紙が届く。援軍を送ってほしいという内容の。チャグムはその手紙に疑問を抱きつつも、ある程度の援軍を送ることに決まった。その数日後、サンガル王国のサルーナ王女から、チャグム宛に手紙が届く。その手紙を読んでチャグムは、サンガル王国からの手紙や援軍の背後にあるもの、そして父である帝のチャグムに対する感情を帝にぶつけてしまう。チャグムはひとりで、サンガルへの援軍に加わることになってしまう…。


 「虚空の旅人」でチャグムと親交を結んだサンガル王国と、サンガルを飲み込みつつあるタルシュ帝国が今回の舞台。冒頭から、チャグムと父・帝の対立があらわになる。もうどうなるかとハラハラ…。冷静になりきれなかったチャグムに幼さを感じつつも、その後の展開はチャグムのさらなる成長を感じます。自分でやってしまったことは、自分で何とかする気持ちが感じられる。教育係であるシュガもいない、孤独な旅。

 南の大陸のほとんどを飲み込み、新ヨゴ皇国などがある北の大陸にも進出しつつあるタルシュ帝国。「虚空の旅人」で、タルシュ帝国がどういう国なのか書かれていますが、今回はさらに踏み込みます。ある事件をきっかけに、タルシュ帝国へ行くことになってしまったチャグム。ついにタルシュ帝国と正面から向き合うことになってしまう。勢いを増し続けるタルシュ帝国に飲み込まれるのか、抵抗するのか…。逃げたくても、皇太子として逃げることは出来ない。追い詰められつつも、その賢い頭脳で進むべき道を考えるチャグムの姿に、ずっとハラハラしてばかりいました。読み始めたら止められず、そのまま一気読みしてしまいました。

 タルシュ帝国へ向かう船の中で出会った人々も、またいい味を出している。タルシュ帝国に支配されているヨゴ枝国のヒュウゴ、若い女の船の頭であるセナ。シュガはいないけれども、何らかの形でチャグムの力になってくれる人はいる。チャグムと考え・進む道は全く同じでなくても。立場も考えも違う色々な人と出会い、少しだけでも時間を共にして、人生って進んでいくんだなぁと思う。それぞれが違う人生を、違う考えのもとで生きているだけ。それが自分にとってプラスになったり、マイナスに感じられたりすることはある。だから、絶対的にプラスの人もいないし、マイナスの人もいないんだなと、このシリーズを読んでいると思う。(そして運よくプラスの人に巡り会えたら、その貴重な縁は大事にしたいとも思う。例えば、チャグムにとってのシュガ、バルサにとってのタンダのように)

 タルシュ帝国から新ヨゴ皇国へ帰還するチャグムは、新ヨゴ皇国と北の大陸の国々を守るため、あることを思いつきひとりで行動に出る。危険な賭けだ…。続きはシリーズ最終3部作「天と地の守り人」で。続きが早く読みたいです。チャグムと新ヨゴ皇国の運命は?バルサやタンダはどうなる?気になる…!!
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by halca-kaukana057 | 2009-05-19 22:48 | 本・読書

踊るたくみお姉さん 今週の教育テレビ

 久々に今週の教育テレビレビューします。

【おかあさんといっしょ】
 以前[「夢の中でダンス」新バージョン]の記事でダンスを頑張っているたくみお姉さんのことを書いたのだが、たくみお姉さんの挑戦はまだまだ終わりません。新クリップ「いつもいっしょに」。だいすけお兄さんとよしお兄さん&まゆお姉さんは勿論のこと、たくみお姉さんが華麗なタップダンスを披露している!思わず、「うおおおお!たくみお姉さんうめえええ!」と声に出してしまいましたw曲自体は、「ドレミファ・どーなっつ!」で歌われていたものらしい。

 さらに、こんな動画を見つけた。
はじめて はじめまして
 だいすけ・たくみのデビュー曲「はじめて はじめまして」のクリップ別バージョン。雑誌「おかあさんといっしょ」の全員応募プレゼントのDVDに収められているらしい。相当練習したんだろうなぁ。1月26日の読売新聞朝刊に載っていたインタビューによると、「フ~ララホアロハラ~」は筋肉痛になるまで練習したらしい。夏以降、たくみお姉さんのダンスを見ていると、メキメキと上達している。「もしも季節が一度にきたら」でも、ノリのいいダンスを披露していた。まさにこの上達は努力の賜物ですね。


【クインテット】
 今週から春テーマ。季節がぐるりと巡りました。コンサートにも「さくらさくら」が登場。今年は暖冬で、桜の開花も早そうです。もうこの曲を聴く季節になったんだなぁ…としみじみしてしまいます。


【味楽る!ミミカ】
 今週は「味楽る☆ウィーク」。若旦那が長崎を旅して、美味しいものを探します。その地域にしかない食べ物、その地域の特産物、郷土料理などを取材。若旦那らしいレポで、長崎に行ってみたくなりました(実は数年前に長崎に行く予定があったのですが、旅行直前に怪我をして行けなくなったのです…)。以前、かの「AERA」でミミカが取り上げられた時、「地産地消」についても取り上げたいとプロデューサーの方が話していたのを思い出した。これの全国版をやれば、後1年は番組続けられるのでは?と思ってみたり。料理実践はやらなくなったけど、やっぱり終わっちゃうのは寂しいな、ミミカ。新番組「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」でもこんな食育部分は引き継いで欲しいです。
 で、この新番組「クッキンアイドル~」ですが、実写版ミミカとか何とか。まぁ、観てみないと何とも言えません。まずはミミカの最終回だ。話はそれからだ。

<追記>
「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」の番組情報が公開されました。efさん、情報提供ありがとうございます。
プレセペ:コメント公開! 3月30日から開始の『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』主人公役は小4の福原遥!


【獣の奏者 エリン】
 最近の展開が面白くて、ハマっています。好奇心旺盛で、賢く勘が鋭い。これまで見たこと、聞いたことをフルに活かして、考える。エリン、けなげで可愛い子だなぁ。しかし、その内には処刑された母への想い、大きな哀しみを抱えている。ジョウンのもとで、その悲しみがどれだけ癒えるのだろうか。
 このアニメを観ていると、生と隣り合わせの死、そしてその死を越えた生への強い力を感じる。ソヨンが処刑の場で生への希望をエリンに託したシーンや、8話のラスト、何があるかわからないけれども生きてみようとエリンが決意するシーンなど。原作の上橋さんご自身もアニメ製作に関わり、原作に無いオリジナルストーリーも組み込むらしい。上橋さんの生へのメッセージが直接込められているようで、その強さをひしひしと感じる。

 ところで、このアニメは全50話なのだそうだ。1年間の放送予定?確かに、原作のあらすじを読むと通常の26話では消化しきれない。ETV50周年記念だけに、力が入っているなぁ。期待。
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by halca-kaukana057 | 2009-03-07 22:31 | Eテレ・NHK教育テレビ

神の守り人 <来訪編・帰還編>

 上橋菜穂子の「守り人」シリーズ。これまでは文庫版で読んできたのですが、次の文庫化は今年夏の予定。待っていられないので、図書館で借りてきた。


神の守り人<来訪編>









神の守り人<帰還編>
上橋 菜穂子/偕成社/2003


 新ヨゴ皇国の隣国、ロタ王国。そのロタ王国のシンタダン牢城で奇妙な事件が起きた。ある罪を犯した女性の処刑の際に、兵士や周りにいた多くの人びとが何者かによって惨殺された。
 一方、女用心棒バルサは、幼馴染の呪術師見習い・タンダとロタ王国の薬草市にいた。その市場で、バルサは人買いに連れられた兄妹・チキサとアスラに出会う。その市場で、チキサとアスラを売ろうとした人買い業者が惨殺された。シンタダン牢城での事件を追うロタの呪術師・スファルとシハナは、チキサとアスラが関与しているのではないかと考える。チキサとアスラに身の危険が迫っていると感じたバルサは、アスラを抱えて市場から逃げ出した…。




 前作の「虚空の旅人」でも、新ヨゴ皇国を離れて隣のサンガル王国が舞台でしたが、今作も新ヨゴ皇国を離れます。ロタ王国にも独自の歴史や神話があり、それを伝え継いでいる人たちがいる。でも、どこか根底にあるものは新ヨゴやサンガルと似ているところもあって…、この物語の世界の奥深さを感じました。

 主人公はロタ王国で、ある歴史上の事件のためにひっそりと暮らしてきた部族の娘・アスラ。このアスラが大変なことになってしまう。シリーズ第1作「精霊の守り人」と同じように、自分の中にあるものを宿してしまったアスラ。その宿してしまったものというのが、ロタ王国建国の伝説にまつわる「タルハマヤ」という神様。その神は、とても恐ろしい神だったのだ。精霊の卵を宿して(宿されて)しまったチャグムは、何故自分が、自分は一体どうなるのかと問う。一方、アスラはタルハマヤを崇め奉り、自分や兄・チキサを守ってくれる存在と考えている。例えタルハマヤが恐ろしい事件を起こしても。読みながら、チャグムとの違いについても考えていた。

 この作品でのテーマは「神」に対する「考え方」だと思う。あるひとつのものに対する、考え方の違いと言ってもいい。ロタ王国の伝説では、タルハマヤは恐ろしい殺戮の神だとされている。しかし、異なる考えを持った人がいて、そのためにアスラとアスラを助けようとしているバルサやタンダは大変なことに巻き込まれてしまう。人によって、異なる考え方を持つ。これは避けられないことだ。皆同じではないのだから。でも、その考えの違いが暴走した時、どうなるか。自分(自分たち)の考えが正しい、異論は認めないという気持ちが集まり暴走しすると、何が起こるか。この作品では「神」が主題だけれども、「神」を他の言葉に言い換えれば、現代の私たちの生活にも当てはまると思う。「守り人」シリーズの物語の壮大さには本当に驚かされるが、その視点の広さ、深さ、細やかさを味わっていると、ひとつの物語で様々な視点から物事を見ることを教えられる。それが特に強く感じられるのがこの「神の守り人」だと思った。

 今回もバルサはたまらなく強くてカッコイイ。もはや不死身。ただ、その強さの裏には、まだ昇華し切れていない抱えている過去や自己への問いがある。義父のジグロのことや、タンダへの思い。自分はこれからも用心棒として生きていくのか。その抱えているものが、物語が進むにつれて変化してゆく。この変化も見届けたい。

 今回初めて元の単行本版で読んだのですが、単行本版にはイラストも入っているんですね。職場で昼休みに読んでいたのですが、人前で読むには勇気が要りましたw「守り人」シリーズの絵は、アニメ版「精霊の守り人」のキャラクターデザインで想像してしまうのですが、原作のもともとのイラストも素敵ですね。バルサがよりたくましいです。

 さぁ、次は「蒼路の旅人」。こっちも文庫本が出る前に読んでしまえ!本当は軽装版が欲しい…。
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by halca-kaukana057 | 2009-02-06 22:13 | 本・読書

虚空の旅人

 「精霊の守り人」シリーズ第4弾。ようやく文庫版が出ました。

虚空の旅人
上橋 菜穂子/新潮社・新潮文庫/2008


 新ヨゴ皇国の皇太子・チャグムは、隣のサンガル王国の新しい王の即位儀礼に招かれ、チャグムの教育係である星読博士・シュガとサンガル王国へ向かう。その頃、サンガル王国では奇妙な出来事が起こっていた。漁師の娘が伝説の生贄となり、さらに船で暮らす"ラッシャロー"の娘・スリナァは漁の途中で家族や仲間とともに兵士に襲われ、家族と離れ離れになってしまう。スリナァが襲われた理由、生贄となった娘のこと、そしてチャグムが知ったサンガル王国の行く末とは…。



 これまではバルサが主役で、チャグムもバルサとともに出てきましたが今回は完全にチャグムの物語。舞台はお隣サンガル王国。海に面した美しい風景が読んでいて浮かんできた。だが、その美しい海を舞台に繰り広げられるのは、海にまつわる伝説と何カ国をも巻き込んだ陰謀の物語。これまで「守り人」シリーズで語られるのはチャグムの住む新ヨゴ皇国と、バルサの生まれ故郷であるカンバル王国だけだった。それが一気に世界が広がり、国ごとの伝説や考え方の違いがこの「虚空の旅人」で出てきた。作者の上橋菜穂子さんがあとがきで書いているとおり、「シリーズの流れを大きく変えた重要な1冊」となったのです。

 今回も登場人物が多いです。サンガル王国の王子・タルサン。チャグムとは正反対の気質のようではあるが、なかなかチャグムと気が合う様子。タルサン王子の兄弟である三姉妹とともに、今後チャグムと国同士の付き合いになるのだろうか。今巻は皇太子としてのチャグムの成長が見逃せません。国と国の関係についてもよく考えている。賢くなったし、大人になった。それには、シュガの役割も大きい。シュガも星読博士ではあるが、星読博士の間では忌み嫌われている呪術師トロガイにこっそり教えを請い、異世界について多方面から学んでいる。そんなシュガの成長もあったからこそ、シュガはチャグムを支えることが出来た。運命共同体となりつつある2人です。

 一方で、「精霊の守り人」からのつながりも。チャグムが「精霊の守り人」となってしまった理由もほのめかされます。国は変わっても共通する神話や伝説があり、その根底には同じものが流れているのかもしれない。ここは民族学者である上橋さんだからこそ出来ること。民衆の暮らしを味わっていて、民衆の気持ちを理解し何とかしようと全力を尽くし、国に伝わる伝説を自らの身で体験し、異世界に接したこともあり、呪術と武術をかじったこともあるチャグムは、きっと賢く視野の広い、素晴らしい帝になれると思うんだ。


 そして今回も美味しそうな物が出てくる出てくる。海の幸がどっさり。「守り人」シリーズは食べ物の描写が容赦ない。イラスト無し、文章だけでも美味しそうな料理がイメージできるのだからすごい。

 シリーズ第5弾「蒼路の旅人」は今巻の続きのお話。文庫化は来年夏…?遅すぎます。待ってられません新潮社さん。図書館で単行本借りてくる。
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by halca-kaukana057 | 2008-08-25 22:30 | 本・読書


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