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虹の天象儀

 宇宙SFラノベ特集は終わりましたが、再び宇宙SF小説に。でも、今回は天文系です。

虹の天象儀
瀬名秀明/祥伝社文庫/2001

 2001年、渋谷にある五島プラネタリウムは多くの人々に惜しまれながら閉館した。そのプラネタリウムで解説員として働いていた主人公は、閉館後の後片付けの最中に不思議な少年に出会う。プラネタリウムに興味を持つ少年にこっそり解説しているうちに、少年は奇妙な言葉を口走る。「古い機械を動かすと、昔にタイムトラベルするような気がしない?」「人間だったら、誰に会いたいですか?」少年の言葉のまま、投影機のレンズに吸い込まれるように過去に遡ってしまった主人公が向かった時代は…。


 五島プラネタリウムはいつか行きたいと思っていたが、この小説の通り2001年に閉館してしまった。そんな五島プラネタリウムを舞台にした天文SFファンタジー。

 昭和20年代にタイムトラベルしてしまった主人公。そこにあったのは五島プラネタリウムでは無く、その前身となった東日天文館。そこで出会った人を手がかりに、主人公は「会いたい人」を探し始める。時代は変わっても、変わらない星空と星空に対する人々の思いがある。その「思いが残る」。

 主人公が会いたいと思った作家・織田作之助については良く分からないところが多かったのだが、織田に会うシーンはとても印象的。そして、織田の「思いが残る」という言葉、現代に戻ってきた主人公と謎の少年の会話のシーンはドキドキした。時空を越え、受け継がれてゆく「思い」。その「思い」のまっすぐな強さを感じずにはいられなかった。


 先ほど空を見上げたら、西には金星が明るく輝き冬のオリオン座やおおいぬ座のシリウスから、春のおとめ座やしし座が見え始めて来た。その星空を見ながら、宇宙を思う気持ちを大切にしたいと感じる本です。

 ところで、「ふたつのスピカ」の柳沼行先生の絵で漫画化できませんか?これ?
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by halca-kaukana057 | 2007-04-11 21:53 | 本・読書

星を見る私

 オリオン座を見ながら、昔のことを思い出した。私がかなりの宇宙オタク、ひどい宇宙バカだった頃の話だ。


 高校~大学にかけて、私はとにかく宇宙に夢中だった。天文から宇宙開発まで幅広く、宇宙に関することなら何でも来い!と言えた。かといって、天文部に入ったりとかプラネタリウムに入り浸ったりとか、そういうことはしていない。宇宙に関する本を読み、新聞記事をスクラップしてその頃使い始めたインターネットで情報収集し、夜になれば窓から星空を眺めるという実に地味な行動ばかりしていた。高校の理科は当然地学を選択し、大学でも単位に関係なく天文学の授業をとっていた。大学の時は関東に住んでいたから、三鷹の国立天文台を見学したり、都内の科学館へもよく行った。


 でも何よりも星を見るのが好きだった。寝る前に窓の外を見る。飲み会で帰りが深夜になってしまった時、歩きながら空を見上げる。夏の深夜に起きて、天の川に流れ星を見つけた時は言葉が声にならなかった。獅子座流星群の夜、携帯片手に地元の宇宙好きの友達と実況しあった。飛行中のスペースシャトルや国際宇宙ステーション、大気圏突入が迫っていたミールも見た。



 基本的に私はいつも一人で星を見ていた。天文部に入ってはいなかったし、宇宙好きな友達も殆どおらず、周りには宇宙マニアであることはあまり話していなかった。話しても話題の合う人はいなかったので「話しても無駄」と思っていた。飲み会の帰り等、たまに友達と星を見ることもあったが、一人で静かに見ている方が私には自然だった。ただ黙って静かに星を見たい。かすかな瞬きに目を凝らし、広い夜空に吸い込まれる感覚を味わいたい。そういうことがしたかった。そういうことを昨日久しぶりにやってみて、とても懐かしく、この感覚を覚えていたことが嬉しかった。

 今、私は以前よりも星を見なくなった。何故かは分からない。でも宇宙天文関係のモノへの興味は尽きないし、「ふたつのスピカ」や「宙のまにまに」なんてマンガを好んで読んで共感しているあたり、忘れている訳ではないようだ。



 また星空を眺めたい。この冬は晴れ間を狙って星見三昧でもしよう。



<追記>
「歓楽叶わぬ納骨堂庭園:今宵、旅立とう、星々の彼方へ」
 この記事を読んで、素敵な映像を付けてくださいました。驚くやら嬉しいやら恥ずかしいやら。どうもありがとうございます。
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by halca-kaukana057 | 2006-11-13 23:05 | 宇宙・天文

野は白く、星は瞬く

たまには携帯から。今日初雪が降った。本当に寒い。いよいよ冬が来る。寒いが、雪かきは大変だが冬は好きだ。凍りつく空気が好きだ。

もう一つ冬で好きなもの、それは星空だ。曇っていることが多いのでなかなか晴れないが、晴れた夜空は格別だ。今窓の外を見たら、オリオン座がとても美しく輝いている。冬は明るい星が多い上に空気も澄んでいる。田舎だが北国に住んでいてよかったと思うのはこんな時だ。


悩んでいることがあって落ち込んでいたが、冷たい風にあたりながら白くなった地面と瞬くオリオン座を眺めていたら、少し楽になってきた。まずはぐっすり眠って、また明日から現実に向き合おう。



ということでおやすみなさい。
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by halca-kaukana057 | 2006-11-12 22:55 | 日常/考えたこと

宙のまにまに



「宙のまにまに 1」(柏原麻実、講談社アフタヌーンKC,2006)

 「ダ・ヴィンチ」10月号プラネタリウム特集で紹介されていた漫画。月刊漫画誌「アフタヌーン」にこんな可愛い絵柄の漫画が連載されているなんて知らなかった。(アフタヌーンと言えば「ヴィンランド・サガ」です。私は。)しかも天文部が舞台の漫画なんて。かなり意外。


 高校入学を機に昔住んだ町に帰ってきた本好きの男子高校生・朔(さく)。だがこの町には忌まわしい思い出があった。一つ年上の星好き少女・美星(みほし)に天体観測と連れ回された挙句怪我をした思い出が。その美星と入学した高校で再会してしまった朔。超ハイテンションで周りのことを考えない美星は再会に大喜び。そして美星も所属している天文部へ勧誘される。気が進まない朔だったが紆余曲折あって入部。その天文部で繰り広げられる日々をコメディタッチで、時に真剣に描いた物語です。

 美星の強引さに少々引きつつも、読み進める内に物語に引き込まれてしまう不思議。まず登場人物たちが皆魅力的。文系メガネ男子の朔と天文一直線の美星。美星のクラスメイトの小夜に、虚弱体質で血を吐いてばかりいる(?!)部長。朔に一目惚れし、朔を追って天文部に入部した姫(ひめ)に、美星と天文部を目の敵にする文芸部員の生徒会長・文江(通称フーミン)。学校で、天文部で皆ドタバタ騒ぎつつも考え、語り合い…。ああ青春は美しい!

 天文部が舞台なので天文豆知識も諸所に出てくる。懐中電灯には赤セロファンとか、天気に左右される観測の苦労とか雨の日のプラネタリウムとか…星好きのツボを見事に射抜いてくれました。ああプラネタリウムに行きたい!

 読んでいて惹かれたのが「好きなものを皆で共有したい」という気持ち。美星にしろ朔にしろ、星であれ本であれ好きなものを紹介して、多くの人にその魅力を知ってほしいと願う。そしてそれが好きな人とその想いを共有したい。とても共感。美星はそれをストレートに表現する。その姿をとてもすがすがしく感じる。

 絵のことも少し。こういう絵柄、実は好きです。自分で描けないからこそ好きだ。女の子たちが可愛くてかわいくて。ふわふわパーマの姫ちゃんもかわいいが、実は照れ屋のクールなメガネ才女文江さんも素敵。この高校の制服もいいなぁ。ネクタイがポイント。

 装丁も凝っている。中表紙、それからカバーを外した表紙!購入したらカバーを外してみてください。素敵なおまけ付きです。最後に作者柏原麻実さんのブログカシマミはらっぱブログを紹介しておきます。まだ始まったばかりのこの作品、これからが楽しみです。
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by halca-kaukana057 | 2006-10-08 21:45 | 本・読書

冥王星雑感 ~そう言えば野尻抱影…

 冥王星外し、惑星数8に 国際天文学連合が新定義


 にぎわっている冥王星関連のニュース。詳しいことは国立天文台のサイトでどうぞ。まず、惑星の定義がこうなった。

(1) 太陽系の惑星(注1)とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、 (c) その軌道の近くでは他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった天体である。

(2) 太陽系の dwarf planet とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し(注2)、(c) その軌道の近くで他の天体を掃き散らしていない天体であり、(d)衛星でない天体である。

(3) 太陽の周りを公転する、衛星を除く、上記以外の他のすべての天体(注3)は、Small Solar System Bodies と総称する。

注1: 惑星とは、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つである。
注2:基準ぎりぎりの所にある天体を dwarf planet とするか他の種別にするかを決めるIAUの手続きが、今後、制定されることになる。
注3:これらの天体は、小惑星、ほとんどのトランス・ネプチュニアン天体(訳注1)、彗星、他の小天体を含む


 うーん、つまり小さすぎる冥王星は惑星として認められないということ。冥王星は今後「矮惑星」と呼ばれることになる。今後、この「矮惑星」にどの天体を入れるのかが大変になりそうです。 

 ところで、「冥王星」と言う名は天文(てんぶん)学者・野尻抱影(のじり・ほうえい)によるもの。冥王星が発見されてすぐ、昭和5年10月「科学画報」誌にて「冥王星」の名を提案した。その画像がこれ(Yahoo!ニュースより)。だが、「理科年表」で「冥王星」と言う名が使われたのは昭和22年。素敵な名前なのになぁ。ちなみに中国や韓国など漢字を使う国でも「冥王星」と書くのだそうだ。

 惑星から格下げはされてしまったが、冥王星の存在には何も影響しない。「さよなら冥王星」なんて言っているメディアや科学館があるらしいが、冥王星はなくなりませんから。矮惑星になっても名前はそのまま冥王星。野尻抱影の功績が変わるわけでもなし…。

 とはいえ、科学の定義が変わる瞬間に生きているのは、何だか嬉しい。



アマゾンで野尻抱影の本を検索
 

 あと、野尻抱影の本は私の愛読の書です。「新・星座巡礼」「星三百六十五夜」「星と伝説」等々。星と文学をこんなにきれいな言葉で表現できる人は野尻抱影と宮澤賢治ぐらいだと思う。







trackback for:「きゃべつ畑のかなた:☆ Demote Pluto ☆」
まぐさんよりトラックバックをいただきました。
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by halca-kaukana057 | 2006-08-25 22:11 | 宇宙・天文


好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


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