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電波天文観測衛星「はるか」に想う

 先日のTRMMゲーム記事の最後にちょっと予告した、電波天文観測衛星「はるか」について今日は書こうと思います。結論を先に言ってしまいますと、既に運用の終了した過去の衛星ですが、とても強い思い入れのある衛星のため、思う存分語らせていただきます。なお、プロフィールにも書いておりますが、私のハンドルネーム・遼(はるか)は、この衛星「はるか」に由来しています。その「はるか」のアルファベット表記は「HARUKA」ではなく、「HALCA("Highly Advanced Laboratory for Communications and Astronomy"の頭文字をとった略)」になっているので、同じように「HALCA」のアルファベット表記を使わせていただいております。蛇足でした。

これが「はるか」。
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(C)JAXA/ISAS

■「はるか」とは何ぞや?
 "電波天文観測衛星"と呼ばれるように、電波を使って天体観測をすることを目的とした衛星です。簡単に言うと、宇宙にパラボラアンテナの電波望遠鏡を打ち上げてしまったのです。ただ、「はるか」は同時に"工学試験衛星(MUSESシリーズ)"の衛星でもあります。この"工学試験衛星"は、新しい技術の実験のために開発され、打ち上げられます。「はるか」は2番目の工学実験衛星。だから、"MUSES-B"とも呼ばれます。ちなみに、MUSES-Aは月でスイングバイの実験をした「ひてん」、MUSES-Cはあの小惑星探査機「はやぶさ」。「はるか」にどんな新技術が積まれ、実験したのか。以下続きます。


■「はるか」ここがすごい!
◇ここがすごい!その1:折り紙のアンテナ?
 まず、長方形の紙をご用意ください。メモ帳でもチラシでも何でもいいです。その紙を、まず縦方向に蛇腹のように折ります(折り目は偶数になるように)。
↓こんな感じ
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次に、横方向に同じように、蛇腹のように折ります。この時も折り目は偶数になるようにしてください。
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折れたら、折った紙の隅の2点を持ち、横にパッと引っ張ってください。
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――2点しか引っ張っていないのに、一瞬で紙を広げることが出来ました!はい、拍手!
*見にくい画像でごめんなさい。詳しくは「ミウラ折り」考案者の三浦公亮先生のインタビューに載っていますので、リンク先をごらんください。

 これが「ミウラ折り」と呼ばれる折り方です。人工衛星には電源を得るための、太陽電池パネルが欠かせませんが、開いたままではロケットに載せることができません。かといって、適当な折り方では宇宙でうまく開かない。この「ミウラ折り」なら、スムーズに広げることが出来ます。また、この「ミウラ折り」はものの強度も上げることが出来ます。簡単に折りたたみ出来、スムーズに広げることが出来る。その上強度も増す。苛酷な環境の宇宙空間を飛ぶ人工衛星にはうってつけの技術です。
 「はるか」の特徴と言えば、花びらのように開いた金色のアンテナ。電波望遠鏡に必須の、パラボラアンテナとなる部分。ここに、「ミウラ折り」が採用されています。「はるか」がアンテナを開くと8メートルにもなります。このアンテナで、宇宙からやってくる電波をとらえているのです。
 「ミウラ折り」の技術は「はるか」だけでなく、身近なところでは缶コーヒーやチューハイの缶にも使われています。


【追記080111】
 「はるか」のアンテナには、「ミウラ折り」とは別物だということに今頃気がつきました。三浦公亮先生が考案したことに変わりはありませんが、「ミウラ折り」ではありません。記事内に間違いがあったことをお詫び申し上げます。
 詳しくは、「はるか」プロマネである平林久先生の著書星と生き物たちの宇宙―電波天文学/宇宙生物学の世界 (集英社新書)(平林久・黒谷明美/集英社/2000)にありますのでそちらをお読みください。



◇ここがすごい!その2:口径3万キロ、地球より大きな望遠鏡?!
 「はるか」は宇宙に打ち上げられた電波望遠鏡。…電波望遠鏡なら地球にもいっぱいあるのに、何故宇宙に打ち上げる必要があるのか。それは、電波望遠鏡の仕組みに関係があります。
 電波望遠鏡は、パラボラアンテナのお皿が大きければ大きいほど性能(分解能:細かいものもはっきりと見ることが出来る精度)が良くなります。しかし、パラボラアンテナの大きさにも限界があり、あまりにも大きなものは作れません。
 そこで、いくつかのパラボラアンテナを組み合わせると、その大きさ分の仮想のアンテナを作ることが出来ます。この仕組みを「干渉計」と言います。よく同じ大きさのパラボラアンテナが幾つも並んでいる光景を目にしますが、並んでいるのはこのためです。

 でも、パラボラアンテナを並べるにも場所の限界があります。ならばアンテナを宇宙に打ち上げて、地球のアンテナを連動させればいいじゃないか!そうやってできたのが「スペースVLBI」、略して「VSOP」です。
(この「VSOP」という略称は、どうしてもブランデーのVSOPにかけたいと考えた酒好きの科学者たちによるものだったりします。実話です)

 「はるか」は地球から一番遠いところで、21600キロ離れます。その離れた分と地球の大きさだけの口径の望遠鏡になるので、なんとその口径は3万キロ!!超巨大望遠鏡が実現してしまったのです。こうなると遠くの宇宙も観放題。普通の望遠鏡では観ることの出来ない、ブラックホールから飛び出すジェットも詳しく観測しました。

 「はるか」は予想されていたよりも長く観測を続け、2005年に運用を終了しました。高度が高いため地球に落ちることは半永久的に無く、今も地球の周りを回り続けています。


■「はるか」に続け、「ASTRO-G」
 大きな成果を残した「はるか」。そして、その「はるか」の後継機、「ASTRO-G」が現在開発されています。「はるか」で見えてきたブラックホールの謎をさらに詳しく観測することなどを目的としています。アンテナは「はるか」のものとはちょっと異なり、「きく8号」のアンテナを採用しています。打ち上げ予定は2012年。ただ…、打ち上げるロケットが決まっていないという話も…。H2Aじゃダメなの?開発中のH2Bに、M-V後継機の新型固体燃料ロケットは?行く末がとても心配です。「はやぶさ2」の現在の状況と似ているような…。応援します!


■で、「はるか」のどこが面白いのよ?
 長々と説明してきましたが、何が面白いのか。やはりVSOPの発想がすごい。遠くの宇宙を、もっと細かく詳しく観たい。地球上の望遠鏡じゃもの足りない!そんな天文学者たちの声を、スケール大きく実現してしまった「はるか」。「はるか」の成果は日本だけではなく、世界中の天文学者たちの研究にいかされています。人の声から生まれる新技術と、そこから新しい発見が生まれて研究や学問に還元される。さらにその成果を天文学者ではない私たちも知ることが出来る。ひとつの人工衛星からこんな風に学問が、人の輪が広がっていくって面白い。私はそう感じます。これは勿論「はるか」だけではなく、全ての科学衛星に言えること。すごいなぁ。ただ衛星を作って飛ばすだけが宇宙開発じゃない。奇抜な発想と技術で人の願いを叶えていくところに、面白みを感じます。


■「はるか」のことをもっと知りたいあなたにリンク集
ISAS:電波天文観測衛星「はるか」
 JAXA宇宙科学研究本部の公式サイト。
国立天文台 スペースVLBI推進室ホームページ
 天文衛星と言うからには国立天文台もプロジェクトに関わっています。
「はるか」の成果と運用終了について
 まとめPDFあります。
「はるか」で覗く宇宙の果て―電波天文衛星の試み
 プロジェクトマネージャー・平林久先生のインタビュー。
ISASメールマガジン 2005年12月20日号 「はるか」の最終運用
 その平林プロマネによる、「はるか」最期の日の手記。胸にじんわりと来ます。
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by halca-kaukana057 | 2007-12-16 22:39 | 宇宙・天文

宙のまにまに 3

 天文部が舞台の青春コメディ、3巻です。2巻の展開があまり好きではなかったのですが、宇宙・天文好きとして読むしかあるまい。

宙のまにまに 3
柏原 麻実/講談社・アフタヌーンKC/2007

 美星・朔の高校は文化祭を控え、天文部もプラネタリウム製作に大忙し。しかし、朔は文江のいる文芸部の手伝いをしていて、天文部の作業に参加せずにいた。そんな朔に、美星も姫も複雑な感情を抱く。朔は忙しく文芸部の手伝いをしているが、そんな朔に文江が声をかける…。

 


 まずは前半・文化祭編。朔がいないまま進む天文部のプラネタリウム製作。寂しいと言葉に出来ず、とっさの行動をとってしまい(また騒動を起こした)美星。同じく寂しいと言えないが、彼女なりの方法で「皆で星を見たい」と朔に気持ちを伝える姫。伝え方は異なるが、同じ星を見るのでもメンバーが変わると見方も変わる。そして、過去や抱えるものは違っても、それに流されて自分を見失わないこと。それを朔に気付かせたフーミンの眼がとにかく素敵で…。いつもは美星・天文部を目の敵としているフーミンだけど、2巻に続きいいことを言う時は言います。



 そして3巻のメインは後半・「高校天文ネットワーク」編。朔たちの天文部に届いた一通のビデオレター。それは野木城高校天文部部長・近江あゆみから届いた「県内高校天文ネットワーク」へのお誘いだった。県内の高校の天文部が集まって観測会を行うというこの「高天ネット」。部長のあゆみさんはじめ"星猛者"が終結。美星たちも負けじと張り切るが、野木城高校にはとんでもないモノが…。

 この初登場のあゆみさんがなかなかいい味を出しているキャラ。眼の描き方がボンヤリとして表情が読みにくく、更に朔に急接近してみたり最初はハラハラさせられたのですが、第21話であゆみさんの本心が語られます。考えていることは美星たちと同じ。"皆に星を見てもらいたい"。持っている・使っている機材は違っても、部員の数に差はあっても、見ているものは一緒。全ては真上の星空にある。今まではバラバラに活動していても、その星空があれば、感動を、想いを共有できる…。この作品の幹、テーマとも言えるのではないかな?

 私はずっとひとりで星を見てきたので、大勢で星を見ることに憧れている。今この作品を読んでいて、ちょっとうらやましい。高校生という時期に、星好きが集まって同じ星空を見上げることが出来た美星・朔たちが。ただそばにいて、データや感想を言いあっているだけなのに。"想いを共有する"ことが加わるだけで、星空がもっと輝いて見える。私が"理系に憧れている文系"であるせいもあるかもしれないけど、人間の気持ちが絡むとものの見方も、印象も変わる。もっとこの宙を見上げたいと思う。宙を見上げている時間はひとりでも勿論素晴らしいけど、今度は誰かと。もっとかけがえの無い時間に、星空にしたいから。

 そしてこのあゆみさん。我らが路万(ろま)部長と接点があったのです。3巻では、いつもは血を吐いて倒れてばかりいる路万部長のいいシーンも。特に122ページ。いつもはメガネに隠れて見えない、路万部長の眼が描かれているのに驚いた。秋の夜空を想う路万部長の表情…とてもいい表情です。あゆみさんとの出会いが描かれている巻末のおつまみおまけまんがも必読。路万部長をもっと活躍させてもいい、そう感じた3巻であります。



【追記】
 「天文ガイド」2007年10月号に作者・柏原麻実さんのインタビューが載っていると聞いたので読んでみた。柏原さんは天文好きだが、これまで天文部には入ったことがなく一人で星空を見上げていたのだそう。…もしかして私と似てる?
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by halca-kaukana057 | 2007-09-26 21:56 | 本・読書

今夜は皆既月食

 今夜は待ちに待った皆既月食の日です。私の住む地域は運よく晴れました。ありがとうお天気さま!

 18:50から観始めたのですが、東から昇ってきた月がだんだん欠けてゆく。以前も、部分だったか皆既だったか忘れたが月食を観た事はあったが、この欠けてゆく過程にドキドキする。

 そして19:00近くなって皆既。月が赤い。神秘的、としか言いようがない。月の赤さは地球の影。そう思うと宇宙の中にいるんだなと感じる。

 頑張って写真を撮ってみた。
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 普通のデジカメじゃ無理です…。

 今はもう元に戻ってしまった月。短い間の天文ショーでもいいから、夜空を見上げた時に観えたもの、観た時の感情を共有できたらいいなと思う。

 いつか皆既日食を観に行きたいです(`・ω・´)
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by halca-kaukana057 | 2007-08-28 22:10 | 宇宙・天文

虹の天象儀

 宇宙SFラノベ特集は終わりましたが、再び宇宙SF小説に。でも、今回は天文系です。

虹の天象儀
瀬名秀明/祥伝社文庫/2001

 2001年、渋谷にある五島プラネタリウムは多くの人々に惜しまれながら閉館した。そのプラネタリウムで解説員として働いていた主人公は、閉館後の後片付けの最中に不思議な少年に出会う。プラネタリウムに興味を持つ少年にこっそり解説しているうちに、少年は奇妙な言葉を口走る。「古い機械を動かすと、昔にタイムトラベルするような気がしない?」「人間だったら、誰に会いたいですか?」少年の言葉のまま、投影機のレンズに吸い込まれるように過去に遡ってしまった主人公が向かった時代は…。


 五島プラネタリウムはいつか行きたいと思っていたが、この小説の通り2001年に閉館してしまった。そんな五島プラネタリウムを舞台にした天文SFファンタジー。

 昭和20年代にタイムトラベルしてしまった主人公。そこにあったのは五島プラネタリウムでは無く、その前身となった東日天文館。そこで出会った人を手がかりに、主人公は「会いたい人」を探し始める。時代は変わっても、変わらない星空と星空に対する人々の思いがある。その「思いが残る」。

 主人公が会いたいと思った作家・織田作之助については良く分からないところが多かったのだが、織田に会うシーンはとても印象的。そして、織田の「思いが残る」という言葉、現代に戻ってきた主人公と謎の少年の会話のシーンはドキドキした。時空を越え、受け継がれてゆく「思い」。その「思い」のまっすぐな強さを感じずにはいられなかった。


 先ほど空を見上げたら、西には金星が明るく輝き冬のオリオン座やおおいぬ座のシリウスから、春のおとめ座やしし座が見え始めて来た。その星空を見ながら、宇宙を思う気持ちを大切にしたいと感じる本です。

 ところで、「ふたつのスピカ」の柳沼行先生の絵で漫画化できませんか?これ?
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by halca-kaukana057 | 2007-04-11 21:53 | 本・読書

星を見る私

 オリオン座を見ながら、昔のことを思い出した。私がかなりの宇宙オタク、ひどい宇宙バカだった頃の話だ。


 高校~大学にかけて、私はとにかく宇宙に夢中だった。天文から宇宙開発まで幅広く、宇宙に関することなら何でも来い!と言えた。かといって、天文部に入ったりとかプラネタリウムに入り浸ったりとか、そういうことはしていない。宇宙に関する本を読み、新聞記事をスクラップしてその頃使い始めたインターネットで情報収集し、夜になれば窓から星空を眺めるという実に地味な行動ばかりしていた。高校の理科は当然地学を選択し、大学でも単位に関係なく天文学の授業をとっていた。大学の時は関東に住んでいたから、三鷹の国立天文台を見学したり、都内の科学館へもよく行った。


 でも何よりも星を見るのが好きだった。寝る前に窓の外を見る。飲み会で帰りが深夜になってしまった時、歩きながら空を見上げる。夏の深夜に起きて、天の川に流れ星を見つけた時は言葉が声にならなかった。獅子座流星群の夜、携帯片手に地元の宇宙好きの友達と実況しあった。飛行中のスペースシャトルや国際宇宙ステーション、大気圏突入が迫っていたミールも見た。



 基本的に私はいつも一人で星を見ていた。天文部に入ってはいなかったし、宇宙好きな友達も殆どおらず、周りには宇宙マニアであることはあまり話していなかった。話しても話題の合う人はいなかったので「話しても無駄」と思っていた。飲み会の帰り等、たまに友達と星を見ることもあったが、一人で静かに見ている方が私には自然だった。ただ黙って静かに星を見たい。かすかな瞬きに目を凝らし、広い夜空に吸い込まれる感覚を味わいたい。そういうことがしたかった。そういうことを昨日久しぶりにやってみて、とても懐かしく、この感覚を覚えていたことが嬉しかった。

 今、私は以前よりも星を見なくなった。何故かは分からない。でも宇宙天文関係のモノへの興味は尽きないし、「ふたつのスピカ」や「宙のまにまに」なんてマンガを好んで読んで共感しているあたり、忘れている訳ではないようだ。



 また星空を眺めたい。この冬は晴れ間を狙って星見三昧でもしよう。



<追記>
「歓楽叶わぬ納骨堂庭園:今宵、旅立とう、星々の彼方へ」
 この記事を読んで、素敵な映像を付けてくださいました。驚くやら嬉しいやら恥ずかしいやら。どうもありがとうございます。
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by halca-kaukana057 | 2006-11-13 23:05 | 宇宙・天文

野は白く、星は瞬く

たまには携帯から。今日初雪が降った。本当に寒い。いよいよ冬が来る。寒いが、雪かきは大変だが冬は好きだ。凍りつく空気が好きだ。

もう一つ冬で好きなもの、それは星空だ。曇っていることが多いのでなかなか晴れないが、晴れた夜空は格別だ。今窓の外を見たら、オリオン座がとても美しく輝いている。冬は明るい星が多い上に空気も澄んでいる。田舎だが北国に住んでいてよかったと思うのはこんな時だ。


悩んでいることがあって落ち込んでいたが、冷たい風にあたりながら白くなった地面と瞬くオリオン座を眺めていたら、少し楽になってきた。まずはぐっすり眠って、また明日から現実に向き合おう。



ということでおやすみなさい。
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by halca-kaukana057 | 2006-11-12 22:55 | 日常/考えたこと

宙のまにまに



「宙のまにまに 1」(柏原麻実、講談社アフタヌーンKC,2006)

 「ダ・ヴィンチ」10月号プラネタリウム特集で紹介されていた漫画。月刊漫画誌「アフタヌーン」にこんな可愛い絵柄の漫画が連載されているなんて知らなかった。(アフタヌーンと言えば「ヴィンランド・サガ」です。私は。)しかも天文部が舞台の漫画なんて。かなり意外。


 高校入学を機に昔住んだ町に帰ってきた本好きの男子高校生・朔(さく)。だがこの町には忌まわしい思い出があった。一つ年上の星好き少女・美星(みほし)に天体観測と連れ回された挙句怪我をした思い出が。その美星と入学した高校で再会してしまった朔。超ハイテンションで周りのことを考えない美星は再会に大喜び。そして美星も所属している天文部へ勧誘される。気が進まない朔だったが紆余曲折あって入部。その天文部で繰り広げられる日々をコメディタッチで、時に真剣に描いた物語です。

 美星の強引さに少々引きつつも、読み進める内に物語に引き込まれてしまう不思議。まず登場人物たちが皆魅力的。文系メガネ男子の朔と天文一直線の美星。美星のクラスメイトの小夜に、虚弱体質で血を吐いてばかりいる(?!)部長。朔に一目惚れし、朔を追って天文部に入部した姫(ひめ)に、美星と天文部を目の敵にする文芸部員の生徒会長・文江(通称フーミン)。学校で、天文部で皆ドタバタ騒ぎつつも考え、語り合い…。ああ青春は美しい!

 天文部が舞台なので天文豆知識も諸所に出てくる。懐中電灯には赤セロファンとか、天気に左右される観測の苦労とか雨の日のプラネタリウムとか…星好きのツボを見事に射抜いてくれました。ああプラネタリウムに行きたい!

 読んでいて惹かれたのが「好きなものを皆で共有したい」という気持ち。美星にしろ朔にしろ、星であれ本であれ好きなものを紹介して、多くの人にその魅力を知ってほしいと願う。そしてそれが好きな人とその想いを共有したい。とても共感。美星はそれをストレートに表現する。その姿をとてもすがすがしく感じる。

 絵のことも少し。こういう絵柄、実は好きです。自分で描けないからこそ好きだ。女の子たちが可愛くてかわいくて。ふわふわパーマの姫ちゃんもかわいいが、実は照れ屋のクールなメガネ才女文江さんも素敵。この高校の制服もいいなぁ。ネクタイがポイント。

 装丁も凝っている。中表紙、それからカバーを外した表紙!購入したらカバーを外してみてください。素敵なおまけ付きです。最後に作者柏原麻実さんのブログカシマミはらっぱブログを紹介しておきます。まだ始まったばかりのこの作品、これからが楽しみです。
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by halca-kaukana057 | 2006-10-08 21:45 | 本・読書

冥王星雑感 ~そう言えば野尻抱影…

 冥王星外し、惑星数8に 国際天文学連合が新定義


 にぎわっている冥王星関連のニュース。詳しいことは国立天文台のサイトでどうぞ。まず、惑星の定義がこうなった。

(1) 太陽系の惑星(注1)とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、 (c) その軌道の近くでは他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった天体である。

(2) 太陽系の dwarf planet とは、(a) 太陽の周りを回り、(b)十分大きな質量を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し(注2)、(c) その軌道の近くで他の天体を掃き散らしていない天体であり、(d)衛星でない天体である。

(3) 太陽の周りを公転する、衛星を除く、上記以外の他のすべての天体(注3)は、Small Solar System Bodies と総称する。

注1: 惑星とは、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つである。
注2:基準ぎりぎりの所にある天体を dwarf planet とするか他の種別にするかを決めるIAUの手続きが、今後、制定されることになる。
注3:これらの天体は、小惑星、ほとんどのトランス・ネプチュニアン天体(訳注1)、彗星、他の小天体を含む


 うーん、つまり小さすぎる冥王星は惑星として認められないということ。冥王星は今後「矮惑星」と呼ばれることになる。今後、この「矮惑星」にどの天体を入れるのかが大変になりそうです。 

 ところで、「冥王星」と言う名は天文(てんぶん)学者・野尻抱影(のじり・ほうえい)によるもの。冥王星が発見されてすぐ、昭和5年10月「科学画報」誌にて「冥王星」の名を提案した。その画像がこれ(Yahoo!ニュースより)。だが、「理科年表」で「冥王星」と言う名が使われたのは昭和22年。素敵な名前なのになぁ。ちなみに中国や韓国など漢字を使う国でも「冥王星」と書くのだそうだ。

 惑星から格下げはされてしまったが、冥王星の存在には何も影響しない。「さよなら冥王星」なんて言っているメディアや科学館があるらしいが、冥王星はなくなりませんから。矮惑星になっても名前はそのまま冥王星。野尻抱影の功績が変わるわけでもなし…。

 とはいえ、科学の定義が変わる瞬間に生きているのは、何だか嬉しい。



アマゾンで野尻抱影の本を検索
 

 あと、野尻抱影の本は私の愛読の書です。「新・星座巡礼」「星三百六十五夜」「星と伝説」等々。星と文学をこんなにきれいな言葉で表現できる人は野尻抱影と宮澤賢治ぐらいだと思う。







trackback for:「きゃべつ畑のかなた:☆ Demote Pluto ☆」
まぐさんよりトラックバックをいただきました。
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by halca-kaukana057 | 2006-08-25 22:11 | 宇宙・天文


好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)

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