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宇宙兄弟 27

 かなり前、漫画の感想は早めに書いたほうがいいと読んだ。出版社、掲載誌は発売直後の動向を見ているらしい。私ののろのろ感想では、何の力にもならないではないか…(特にマイナーな作品)。でも書く。宇宙兄弟27巻。これ、昨年出た漫画ではないか…。

宇宙兄弟 27
小山宙哉/講談社・モーニングKC/2015

 国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在ミッションを続けているせりかと絵名たち。せりかはALS治療薬の鍵となる、たんぱく質の結晶化の実験を日本実験棟「きぼう」で行っていた。しかし、なかなかうまく結晶化しない。焦るせりか。ストレス値も上昇し、NASA管制室も心配している。
 そんな中、地上ではある人物がネット上にせりかに関する"噂""疑惑"を投稿。"噂"は瞬く間に広がり、"炎上"していた。対応に追われるJAXAの職員たち。"噂"は事実ではない。だが、その疑惑は文科省をも動かそうともしていた。そしてISSのせりかや絵名にも…。


 表紙の憂いを帯びた表情が印象的なせりかさん。でも、まっすぐ見つめる眼差しは真剣。この表紙が、この27巻の重さを物語っています。
 23巻で、ISSに向かう前に、せりかさんを付け回していた製薬会社の男を覚えているでしょうか?
・23巻感想:宇宙兄弟 23
 23巻を読んだ時、この男が何もしなければいいのだが…、せりかさんが無事にISSで実験を行えればよいのだが…、と思っていたのですが、心配が現実になってしまいました。自分の会社の薬をISSに持っていってくれなかった腹いせに、デマをでっち上げ流すあの男…許せん!この一言です。そんなことしているヒマがあったら(理事長も作中で言ってます)、自分の会社の薬を何とかしろよ。本当に嫌なヤツです。
 「宇宙兄弟」では、こんな汚い人間はこれまで出てきたことがあまりありませんでした。ムッタが中学生の頃、宇宙飛行士になりたいという目標をバカにした同級生…まぁ中学生ですし。宇宙に無関心な人…まぁ仕方ない。しかし、こんな私利私欲で人を陥れようとする大人は出てきたことはありませんでした。本当の「悪役」をどう扱うか。汚い「悪役」でしかありませんでした。

 そしてその"噂""疑惑"はJAXAを巻き込み、ISSにも届いてしまう。せりかと絵名を守ろうと尽力する星加さんや理事長。しかし、文科省の役人たちにも届き、ISSで行われている実験、そしてせりかと絵名の将来にも矛先が…。"炎上"し、叩かれているのはせりかだけではない。せりかが進める実験も。実験中止を求める文科省。中止したら、「疑惑は事実と認めることになる」と抵抗する理事長たち。せりかと絵名、そして実験を守ろうとする理事長が本当にカッコイイ!言葉のひとつひとつに説得力がある。いざという時、頼りになります。しかし、JAXA内でも、管制室の管制官のひとりがせりかや絵名に対して厳しい態度をとり、辛辣な言葉を投げかけるシーンも。JAXA内にも色々な人がいる、それも管制室に…。管制とISSの飛行士の信頼関係が壊れたら一番まずいじゃないですか。もやもやしたシーンです。事の発端を特定できないことも。

 そんな逆風の中でも、実験を成功させよう、成果をあげようとするせりかと絵名。自らの判断で実験を続行。そんな時、クルーの仲間があるものを。ISSにあるかもしれないと実際に噂されているものが…いいんですかこれは。いくら漫画でもこれはちょっと…。しかもこれ、後でどう説明するつもりなんだろう…。

 せりかと絵名の味方は理事長や星加さんだけではない。月の基地に到着したムッタは、あることでせりかを励ます。せりかの宇宙飛行に盛り上がっていた地元商店街も、手のひらを返したように…でもあのコロッケ屋さんのおじさんは信じています。せりかと絵名のことをちゃんと理解して、信頼し、応援している人がいる。これは、読者へのメッセージかもしれません。ムッタがかつて宇宙飛行士になることを応援してくれる人はたくさんいたことを実感してきたように、誰にでも味方が必ずいる、ということを言いたいのかもしれません。

 そして、努力は実を結ぶということも。とはいえ、せりかさんの問題はまだ解決していません。"噂""疑惑"の決着もついていませんし、あの男は懲らしめねばならん。28巻に持ち越しの模様。続きを楽しみにしています。シリアス展開、面白かったです。

・前巻:宇宙兄弟 26
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by halca-kaukana057 | 2016-01-25 22:54 | 本・読書

冬の星座と月とISS

 今日、また国際宇宙ステーションの可視パスが。ちょうど晴れていたので見られました。
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 月が明るいですね。その月明かりに負けないぐらいの明るさで、ISSもはっきりと見えました。ISSの軌跡の上にはプレアデス星団(すばる)、下にはヒヤデス星団、おうし座の一等星・アルデバランも赤く輝いています。ちょうどおうし座を通過しているところです。

 油井亀美也宇宙飛行士が帰還してから10日ほど経ちました。ISSにはまた新しい宇宙飛行士たちが長期滞在を始めています。現在は、第46次長期滞在クルー。コマンダーのスコット・ケリー飛行士(NASA)とミカエル・コニエンコ飛行士(ロシア)はISS初めての1年間滞在中。先日ソユーズ宇宙船でISSに向かい、長期滞在を始めた3人の飛行士のうち、ティモシー・ピーク飛行士(ESA)はイギリス人で初めてのISS長期滞在。
 日本実験棟「きぼう」での実験も続いています。
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by halca-kaukana057 | 2015-12-22 23:12 | 宇宙・天文

第1段ロケット、地上に降り立つ ファルコン9の挑戦成功!

 以前こんな記事を書きました。
第1段ロケットを回収せよ 「ファルコン9」ロケットの挑戦(2015.1.11)
 今年の初めに書いた記事だったんですね。

 アメリカの宇宙ベンチャー企業・スペースX社。ベンチャーとはいえ、NASAを退職した多数の宇宙飛行士やエンジニアが会社を動かし、新しい技術を開発し続けています。主力の「ファルコン9」ロケットと、国際宇宙ステーションへの無人補給船「ドラゴン」を開発、打ち上げしています。「ドラゴン」は他の補給機と違って、大気圏再突入しても回収できるカプセルを持っています。ISSから実験で使った機器などを持ち帰ることのできる唯一の補給船。ISSへ宇宙飛行士を載せ打ち上げる有人型「ドラゴン」も開発中です。

 そのスペースX社が挑戦し続けてきた、ロケットの第1段を直立着陸させて回収するという実験。第1段を回収して、再利用する。コストを大幅に削減できます。しかし、そう簡単にはうまくいかない。ファルコン9打ち上げ(「ドラゴン」補給機ほか、ペイロードを積んでいる)の度に実験はするものの、惜しいところまで…。がんばれ、と応援していました(時にはペイロードよりもこの第1段回収実験のほうが注目されることも…)。

 しかし、6月にISSへの物資を積んだ「ドラゴン」補給機7号機を載せ、ファルコン9ロケットが打ち上げられたものの、打ち上げそのものが失敗。第1段回収実験どころではない。これまで順調だったファルコン9が失敗するなんて!しかもこの頃、他の補給船も次々と失敗…どうしたんだ一体…驚きでした(そんな中、8月、日本の補給船「こうのとり(HTV)」が無事に打ち上げ成功、ISSに到着し、物資を届けることができました)。

 その打ち上げ失敗から初めての打ち上げ。今回は通信衛星11機を積んでいます。
sorae.jp:米スペースX社の「ファルコン9」ロケット、衛星打ち上げと第1段機体の着陸に成功
NHK:米企業 切り離したロケット 地上に着陸成功
AFB BB News:スペースX、再利用ロケット「ファルコン9」着陸に成功
日本経済新聞:スペースX、ロケット初の再着陸成功 打ち上げ費削減へ前進

 とうとう成功しました!!着陸の動画はこちら
Falcon 9 First Stage Landing | From Helicopter


 第1段ロケットがまっすぐ降りてきて、着地。目標地点にピッタリと。見事です。凄い!1月に最初の記事を書いた時に、成功したら一体どんな光景が見られるのだろうと思っていたのですが、こうなるんだ…。長くて重心のバランスを取るのがとても難しそうな第1段ロケット。それが、ぐらつかずにまっすぐと。姿勢制御の高さに驚かされます。全ての技術者さんたちに大拍手です!

 ロケットの再着陸は、先月、アメリカの宇宙ベンチャー企業・ブルーオリジン社の「ニューシェパード」も成功しています。こちらは試験飛行、カプセル部分。あと、スペースX社・ファルコン9の場合は、第1段ロケットであることと、ペイロードを積んだ打ち上げの際に実験している、という違いがあります。今回も衛星は全て軌道に投入しました。本来のミッションもこなし、実験にも成功する。勿論、ここからがまたスタートです。成功を重ねて、第1段ロケットの再利用を実現させる。スペースX社ならやってくれると思っています。これからも楽しみです。

 最後に、こんなゲームがあります…(前に書いたかな?)
ガジェット通信:ファルコン9の着陸がどれだけ難しいかを体験できるミニゲーム これは無理ゲーだろ……
ギズモード・ジャパン:これ着陸できるの…? 激ムズゲー「SpaceX Falcon 9」

SpaceX Falcon 9 Lander
 ここからどうぞ。
 ファルコン9の第1段ロケットを着陸させるゲームもあります。やってみましたが、まさに「無理ゲー(クリアするのが無理と思われるゲームのこと)」。1回だけ成功しました。実際のコントロールはこんなものじゃないと思いますが、いかに難しいかは味わえると思います…。
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by halca-kaukana057 | 2015-12-22 22:53 | 宇宙・天文

ISSからみえるものを伝え続けて 油井さんおかえりなさい

 昨日記事を書くつもりが、体調が芳しくなく…。まぁ、私の書いているものは、速報的なものではなく、様々な記事のまとめや自分が思ったことなので。油井亀美也宇宙飛行士が約5ヶ月の国際宇宙ステーション長期滞在ミッションを終え、無事に帰還しました。

JAXA:油井宇宙飛行士搭乗のソユーズ宇宙船(43S/TMA-17M)の帰還について
AFPBB News:油井さんら3宇宙飛行士、無事地球に帰還 珍しい夜間の着陸
 金曜・11日夜22時12分頃帰還しました。おかえりなさい!!
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 ロシアの管制室。メインモニタに帰還後お決まりのロシア語が。この時、カザフスタンは19時12分。夜間に帰還するというのはなかなか珍しいらしい。そうなのか。
 NASATVで中継を観ていたのですが、強風のためか映像がなかなか入って来ず。音声だけ入ってきて、不思議な感じでした。12月、夜、雪も降り、強風…油井さんたちが寒くないように、まずはあたたかいところに運んであげて…中継なんてその後でいいから、なんて思ってました。
 あまりにも眠くて途中で離脱したのですが、その後映像も入ってきて、油井さんがソユーズ宇宙船の外で元気そうにお話しているのを翌日観ました。お元気で何よりです。

sorae.jp:「ソユーズTMA-17M」宇宙船、着陸に成功―油井さんら3人の宇宙飛行士が搭乗
「ただいま。体調は大丈夫です。重力を感じます。寒いけれど、みなさん大丈夫ですか?宇宙も素晴らしいけど、地球も素晴らしい。冷たい風が心地よい。ゆっくりシャワーでも浴びたいが、ツイッターをフォローしている人がたくさんいるので、発信していきたい。」

 帰還後の油井さんのコメントなのですが、記者さんたちを気遣ったり、ツイートしたい…と仰っているあたり、マメで律儀な油井さんらしいです。

 ISSから、打ち上げ前と変わらず、ほぼ毎日のようにツイートを続けた油井さん。そのツイートの数々をまとめたものがありました。
Togetter:数々の貴重な映像ありがとうございました! 宇宙飛行士・油井亀美也さんによる宇宙滞在142日間の画像ツイートまとめ
 毎日、地球やISSから見える星空、ISSでの暮らしで感じたことをツイートし続けてきた油井さん。ISSってこんなところだよ、ISSからみえる地球や星空はこんな感じだよ、と沢山の画像と文章で、多面的に伝えてくださいました。毎日油井さんのツイートを読んで、地球の美しさだけでなく、台風などの荒々しさも実感したり。
 また、宇宙開発の現実について真摯なツイートをされることもありました。日本がISS計画に参加していること、「きぼう」という実験棟を持っていてそこで様々な実験をしていること、日本の宇宙飛行士として日本の人たちに何を伝えられるか…そんなお気持ちが伝わってくるかのようでした(深読みかもしれませんが)。これを撮りたくて、皆に見せたくて…と夜更かしして撮影、ツイッターにアップしていることもしばしば。多忙なスケジュールで毎日お疲れのはずなのに…睡眠・休養第一、身体第一、健康第一でお願いします、無理はしないでください!!と思いつつ、そんな気持ちで撮影された地球の画像が自分のPCや携帯に届くことが、とてもありがたかったです。

 油井さん、ありがとうございます!

無事に地球へ着きました!着陸直後から、平衡感覚をテストする実験をしていましたので、ツイートが遅れてしまいました。でも、素晴らしいデータが取れました。今日はまず、応援して下さった方々にお礼を申し上げたいと思います。また、私と一緒に仕事をしたチームを本当に誇りに思います!
油井 亀美也 Kimiya.Yui (@Astro_Kimiya) :2015年12月12日3:09

 帰還後のツイートがこれ。やっぱり律儀です…。帰還後もツイートは続いています。現在はヒューストンに戻って医学検査などをしている模様。これからも油井さんのツイートは続きますね、帰還後編として。
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by halca-kaukana057 | 2015-12-13 22:17 | 宇宙・天文

油井さん帰還前にISSを見よう

 お天気が悪く、しばらくISS・国際宇宙ステーションを見ていませんでした。ようやく晴れました。見られました。油井亀美也宇宙飛行士のISS長期滞在中、最後のISS観望になりそうです。明日からお天気は下り坂…。

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 西の空から昇ってきました。これは15秒間の撮影。

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 北の空へ向かうISS.30秒間の撮影です。ISSの軌跡の上に、こと座があります。明るい一等星・ベガと、その下に平行四辺形に星が並んでいます。

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 りゅう座、こぐま座のあたりを通過中。右斜め上の明るい星は北極星です。

 油井さんのISS長期滞在もあっという間です。帰還は日本時間11日22時11分。カザフスタンは寒いだろうなぁ。どうぞ無事の帰還を。ご安全に!
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by halca-kaukana057 | 2015-12-09 22:48 | 宇宙・天文

「あかつき」の夢叶う、そしてここがスタートライン

 金星探査機「あかつき」が金星周回軌道に投入できたかどうか、発表の日がやってきました。18時から記者会見。さてどうなった…

JAXA:金星探査機「あかつき」の金星周回軌道投入結果について
 近金点高度約400km、遠金点高度約44万kmの楕円軌道約を、13日14時間の周期で金星の自転と同じ方向に周回する軌道に載りました!!
 投入成功です、おめでとうございます!!
 早速金星の画像も届きました。カメラも正常、きれいに撮れています。

 記者会見前にNHKで速報テロップが流れたのですが(いいのか?)、それを見て嬉し泣きしてました…。5年前の失敗、姿勢制御のスラスタで投入できるのか、機体のダメージもある、不安要素はたくさんありました。それでも、5年越しでの悲願達成。おめでとうございます!!本当に嬉しいです。

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 ということで、あかつき桃ネクターで乾杯です!
 「投入」にかけて、豆乳で乾杯、豆乳料理を食べている人もw実際、プロジェクトサイエンティストの廣瀬さんのお宅では、周回軌道投入前日の夕飯は豆乳鍋だったそうです…wこれからは豆乳も宇宙ファンの間で愛飲されそうですw

 金星に到着して、これからが本番です。ここがスタートラインです。約3ヶ月間、5つのカメラで初期観測を行い、また軌道も9日の周期で金星を周回するものに徐々に移行していくそうです。これからの運用も、どうぞご安全に!

 ちなみに、今朝は晴れていて、東の空に金星も見えました。
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 そばに月もいました。今朝は、あの金星のそばに「あかつき」がいますようにと祈る気持ちでいましたが、これからは「あかつき」があそこにいてがんばっているんだと、金星を見る度に思えます。金星は2月ごろまで、明け方に東の空に見えます。ひときわ明るいのですぐにわかります。金星を見て、「あかつき」を応援、見守り続けましょう!

 あと、この曲も…。2013年のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートで演奏されて知った曲。ヨーゼフ・シュトラウス作曲、ワルツ「金星の軌道」op.279(Hesperus-Bahnen. Walzer).
Josef Strauss - Hesperus-Bahnen, Walzer op.279

 「あかつき」が金星の周りをワルツを踊るように回っている様をイメージします。
・過去記事:ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「金星の軌道」…何故「金星」の「軌道」?
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by halca-kaukana057 | 2015-12-09 22:36 | 宇宙・天文

5年待った運命の日 「あかつき」金星周回軌道投入再挑戦

 いよいよこの日がやってきました。金星探査機「あかつき」(PLANET-C)、金星周回軌道投入再挑戦の日です。朝から祈るような気持ちでいます。5年前失敗し、メインエンジンも破損してしまったにも関わらず、5年間再挑戦できるチャンスを待ち、「あかつき」がどうやったらメインエンジンなしでもう一度金星周回軌道に入れるか、プロジェクトチームの先生方は尽力してきました。想定外の太陽を公転する軌道に入ってしまい、太陽の熱や紫外線などで機体や機器が損傷・劣化することにも気を配ってきました。どうか、どうかうまくいきますように…。「あかつき」の小型スラスタ噴射は朝8時51分から20分間。耐えてくれ。がんばれ、あかつき…!やっぱり祈るような気持ちでいました。

JAXA:金星探査機「あかつき」の金星周回軌道投入における姿勢制御用エンジン噴射結果について

sorae.jp:エンジン噴射完了! 金星探査機「あかつき」、金星をまわる軌道に入るためのエンジン噴射を実施 成否の判明は2日後
NHK:あかつき再挑戦 JAXA「大きな期待持てる」

 結果から言ってしまうと、エンジン噴射は予定通り、滞りなく完了しました。無事成功です。「あかつき」機体の状態も正常です。しかし、予定の起動に入ったかどうかわかるのは2日後。9日18時に発表します。…うまくいったかな。成功したかな。9日までドキドキは続きます…。

JAXA:金星探査機「あかつき」:「あかつき」搭載カメラによる撮像試験画像(2015年12月1日撮像)
 「あかつき」に搭載している5つのカメラのうち、 紫外線イメージャ(UVI)、1μmカメラ(IR1)、中間赤外カメラ(LIR)を12月1日に状態確認のために撮影に使ってみました。カメラも正常です。

アストロアーツ:「あかつき」、金星周回軌道に入るためのエンジン噴射を実施
 現在、金星は夜明けの東の空に輝いています。明るいのですぐに見つけられます。肉眼でOK,双眼鏡や望遠鏡があれば満ち欠けを確認できるかと思います。明日8日は、細い月との共演も見られます。今日も相模原で金星投入前に金星観望会があったとのこと。うまくいっていれば、「あかつき」は念願のこの金星の周りを周っています。晴れていたら、早起きして是非。
 当地は曇り…。雪もちらついています。

 今日は「あかつき」関連の読み物のリンクを貼っておきます。
NHK解説委員室:ここに注目! 「あかつき復活へ 最後の挑戦」
 水野解説委員による「あかつき」金星軌道投入についての解説。

ファン!ファン!JAXA:金星探査機「あかつき」の旅路 - 軌道で見るあかつきの5年間
 「あかつき」がこの5年間、何故金星よりも内側の太陽に近い軌道を周ることになってしまったのか。「あかつき」と金星のもどかしくも見える追いかけっこの軌道を解説します。とてもわかりやすい読み物です。

NEC:スペシャルインタビュー5年越しの再挑戦 「あかつき」復活のプロセス
 「あかつき」プロジェクトマネージャーの中村正人先生のインタビュー。やはり太陽に近い軌道を周り続けるのは大変なことでした。この5年間、中村先生の苦労は計り知れないものだと思います。今日の記者会見で「Our dreams will come true」と話していた中村先生。9日、夢が叶ったことが現実のものとなっていますように…!

 最後に今日の一枚。
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 「あかつき」の応援に、あかつき桃ネクターと「あかつき」君&きんせいちゃんストラップ。このストラップはずっと携帯に着けてきました。今日も、携帯を見る度にこのストラップを見て、「あかつき」のことを思わずにはいられませんでした。
 このストラップのように、「あかつき」が愛し(?)の金星の姿を見ていますように。本当に9日の発表まで祈るしかありません…。
 「あかつき」と運用チームの皆様に、引き続き toi toi toi !!
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by halca-kaukana057 | 2015-12-07 22:38 | 宇宙・天文

地球経由で長い旅へ 「はやぶさ2」地球スイングバイ

 12月は宇宙関係の大きなイベントが固まってます。まず、今日は小惑星探査機「はやぶさ2」の地球スイングバイ。打ち上げからちょうど1年。初代「はやぶさ」と同じように、地球に一旦近づいて、その引力と地球が公転する力を受けて速度を上げ、軌道を変更。地球を離れ、目標の小惑星「Ryugu(リュウグウ)」の公転軌道に乗り、小惑星を目指します。

毎日新聞:なるほドリ・ワイド:はやぶさ2、なぜ地球に接近?=回答・永山悦子
 わかりやすい地球スイングバイの解説。イラストもかわいいです。
日経ビジネスONLINE:はやぶさ2の「地球スイングバイ」に血が騒ぐ その意味と、準備を進めてきたわくわく現場(1)
 山根一眞さんによるレポート。「はやぶさ2」プロジェクトチーム、津田雄一プロマネと矢野創先生にお話を聞きながら、地球スイングバイの現場を追います。

JAXA:はやぶさ2プロジェクト:「はやぶさ2」の地球スイングバイ軌道が確定しました

 「はやぶさ2」は今日のお昼頃、日本上空を通過。地球から14万km。地球に最接近したのは、19時8分ごろ。ハワイ諸島上空、約3090km。

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 今日はお昼になった途端風が強くなり、雨も降り始め、荒れたお天気に。雲で空は見えませんが、この空を「はやぶさ2」が飛んでいったのだろうと見送りました。

JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」の地球スイングバイ実施について
 JAXAからの速報です。スイングバイの際、「はやぶさ2」は地球の影の部分に入り、バッテリーでの運転に。アンテナも、NASAの深宇宙ネットワーク局(キャンベラ局)を使っての運用でした。「はやぶさ2」の状態は正常です!よかった。
 目標の軌道に入れたかどうかの確認には1週間かかるそうです。朗報を待ちましょう。

NHK:はやぶさ2の撮影 各地で成功
 「はやぶさ2」はとても暗く、大型の望遠鏡や高感度のカメラでないと撮影、観測できません。悪天候で苦戦した天文台もあるようですが、撮影できた!という画像がTwitterにどんどん流れてきていました。すごいなぁ、撮れるもんなんだなぁ。小さいけれども颯爽と飛んでゆく「はやぶさ2」。頼もしく見えます。

 小惑星「Ryugu」に到着するのは2018年。長い旅の始まりです。どうか、元気で、ご安全に!
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 万年筆ではなむけのメッセージを。行ってらっしゃい!!

 さて、次は7日、金星探査機「あかつき」の金星周回軌道投入再挑戦です。がんばれ「あかつき」!!
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by halca-kaukana057 | 2015-12-03 23:06 | 宇宙・天文

高度化仕様でも安定の打ち上げ H2A29号機打ち上げ成功!

 昨日のことなのでもうご存知かと思いますが。

JAXA:H-IIAロケット29号機(高度化仕様)による通信放送衛星Telstar 12 VANTAGEの打上げ結果について
ファン!ファン!JAXA:H-IIAロケット29号機打ち上げ成功!新たなステージへ
sorae.jp:打ち上げ成功おめでとう! H-IIAロケット29号機、通信衛星「テルスター12ヴァンテージ」の打ち上げに成功

 初めての商業受注打ち上げ。カナダの通信衛星「Telstar 12 VANTAGE」を搭載したH2Aロケット29号機が、昨日24日午後、打ち上げられました。これまではJAXAや政府の人工衛星や探査機を打ち上げてきたH2Aロケット。大学や企業の小型衛星を「相乗り」で打ち上げることはあったのですが、今回はカナダ・テレサット社の通信衛星だけを打ち上げるため。どの衛星・探査機でも代わりはありませんが、商業受注となると、H2Aを選んでくれた信頼にも応えなければならない。

 また、この衛星を打ち上げるのに、これまでのH2Aでは足りない部分がたくさん。静止軌道に載せるための「静止トランスファー軌道」にロケットで人工衛星を載せるのには、赤道に近い射場のほうが有利。赤道に近いほうが赤道上にある静止軌道に載せやすく、また赤道に近いほど地球の自転によって重力が小さくなる=ロケットの燃料が少なくて済む。種子島は他の射場よりも緯度が高く、静止トランスファー軌道に投入するのにも、ロケットの燃料・推進力でも不利。静止軌道に遠めの静止トランスファー軌道に投入すると、静止軌道に入るまで人工衛星が軌道変更を余計に行わなければならず、その分時間もかかる、燃料もたくさん必要、寿命も短くなってしまう…。これではH2Aが商業受注を受けられない…。そこで、緯度のハンデをカバーし、人工衛星にやさしい打ち上げを目指して取り入れられたのが「高度化仕様」。普段なら打ち上げ後8分~20分程度で人工衛星を切り離してしまいますが、なるべくいい軌道に載せるまで第2段ロケットから分離しない、いい軌道まで連れて行く。その分、衛星分離まで、第2段ロケットは衛星を積んだまま約4時間飛行。その間、ロケットや人工衛星の一方だけに太陽光が当たらないように向きを変えたり、太陽光で燃料が蒸発しないようにロケットの塗装を工夫したり。一番の難所が、いい軌道に入れるために、3回にわたる第2段ロケットの再点火。一度点火し燃焼したエンジンを軌道上で再点火するのはなかなか難しいこと。「はやぶさ2」の打ち上げでも、1回再点火しましたが今度はそれ以上。

ファン!ファン!JAXA:基幹ロケット高度化とH-IIAロケット29号機への適用
マイナビニュース:世界に追いつけるか 「高度化」H-IIAロケット、ここに誕生す
 「高度化仕様」については、以上のサイトに詳しく書いてあるのでどうぞ。軌道の話は難しいですが、じっくりとイメージして読み込んでいます。

マイナビニュース:H-IIAロケット29号機現地取材 - "高度化初号機"の打ち上げを現地からレポート! 今回の注目点は?
 高度化仕様も注目ですが、今回のH2Aロケットは「204型」固体ロケットブースター(SRB-A)がいつもは2本ですが、4本ついてます。これは久しぶりのタイプ。加速の速さ、迫力にも注目です!

 さて、いよいよ打ち上げ。種子島はいいお天気。
H-IIAロケット29号機によるTelstar 12 VANTAGE打ち上げ中継 |Launch of Telstar 12 VANTAGE/H-IIA F29 Live Broadcast

 打ち上げ50秒前あたりから再生出来るようにしてあります。204型の火力、加速の速さをご覧ください!

朝日新聞:改良型H2Aロケット打ち上げ 衛星分離は4時間半後
 毎度お馴染みになりました朝日新聞による空撮動画。空から見ても迫力ある、加速も速い!あっという間に空の高いところへ行ってしまいました。行ってらっしゃい!ご安全に!

 そして、20時過ぎ、3回目の第2段エンジン点火、燃焼を行い、衛星分離!所定の軌道に投入。無事成功です。おめでとうございます!!
 高度化仕様という難しい打ち上げだったのに、安定の打ち上げ。H2Aがここまで成長するとは…嬉しいです。

 H2Aロケットの前身、H2ロケットは、純国産のロケットで、商業打ち上げを目指しました。しかし、H2ロケットは相次いで失敗。廃止になってしまいます。その苦難が、H2Aで、29号機でようやく実現しました。関係者の皆様、おめでとうございます。H2Aロケットは、まだまだここからが挑戦です。X線天文衛星「ASTRO-H」の打ち上げでは、更に人工衛星との分離の際の衝撃を和らげる改良もある予定です。
 人工衛星にやさしく、スケジュールどおりに安定に打ち上げる。この強みで、さらに商業受注が増えていって欲しいです。応援してます!
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by halca-kaukana057 | 2015-11-25 22:17 | 宇宙・天文

世界一わかりやすいロケットのはなし

 久しぶりに宇宙開発方面の本を。

世界一わかりやすいロケットのはなし
村沢譲/KADOKAWA/中経出版/2013

 1955年、糸川英夫博士によるペンシルロケットの発射試験から始まった日本のロケット開発・打ち上げの歴史。この本は、そのペンシルロケットから現在のH2A,H2B、イプシロンまで、それぞれのロケットの特徴、搭載した衛星、打ち上げがどうなったか…などの記録になっています。

 冒頭ではイプシロンロケットの森田泰弘先生、「こうのとり」4号機・有人宇宙ミッション本部・宇宙船技術センター長の田中哲夫さんへのインタビューが。イプシロンも「こうのとり」も、今、そしてこれからの日本の宇宙開発を支え、引っ張っている重要な宇宙機。それぞれ、まだまだ進化途中(イプシロンはまだ初号機しか打ち上げられていない!!)。また、過去の様々な宇宙機・技術を引き継いでいる。そんな覚悟とやる気に満ちたお話でした。

 あとは、ひとつひとつの打ち上げを解説。日本のロケットの歴史を私はまだまだ知らない。知らないことがたくさんある(年齢の問題もありますが…)と感じました。ロケット、人工衛星、それぞれの失敗も結構多い。90年代の失敗続きはリアルタイムで見ていて辛いものがあったのですが、その前にも。また、旧宇宙開発事業団(NASDA)と宇宙科学研究所(ISAS)が共同で開発。しかし莫大なコストで1号機で終わってしまった「J-1ロケット」についても。実はJ-1ロケットについて詳しいことは知らなかったので、知れてよかった。ペイロードの「HYFLEX」は覚えていたのになぁ…?

 今、H2A,H2B,イプシロン(2号機打ち上げが待たれる)は順調に打ち上げ、衛星・探査機を宇宙へ送っている。天候不順以外の延期がないオンタイム打ち上げ、飛行も順調。過去にたくさんの失敗があって、今があるのだなと本当に思う。今につながる日本のロケットの歴史を手にとれる本です。

 明後日24日には、H2Aロケット29号機が打ち上げられる予定です。ペイロードはカナダの通信衛星、商業打ち上げです。しかも、「人工衛星にやさしい」ロケットを目指して、かなり難度の高い打ち上げに挑戦します。「はやぶさ2」の打ち上げの時、第2段ロケットと「はやぶさ2」を分離しないで一度エンジンを停止し慣性飛行で地球を一周、その後第2段エンジン再点火して、「はやぶさ2」を分離、という難しい方法がとられました。今度はもっと難しいです。更なる商業打ち上げ受注を目指して、まだまだ日本のロケットは進化します!
JAXA:H-IIAロケット29号機(高度化仕様)による通信放送衛星Telstar 12 VANTAGEの打上げ時刻及び打上げ時間帯について

 ちなみにこの本は「だいち2号」、「GPM/DPR」、「はやぶさ2」打ち上げ前だったので、少し紹介している程度です。
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by halca-kaukana057 | 2015-11-22 22:58 | 本・読書


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