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「シンフォニック・マンボNo.5」を聴き比べてみた

 宮川彬良さんの代表作(?)「シンフォニック・マンボNo.5」.ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」第1楽章と、ペレス・プラード「マンボNo.5」をまさかのミックス。大阪フィル・ポップスコンサートの時代から演奏され続け、現在では新日本フィル「コンチェルタンテⅡ」の目玉楽曲に。以前、千葉少年少女オーケストラ演奏で「題名のない音楽会」でも放送され、動画サイトを通じて南米で話題になっている…など、密かに(?)注目されている作品です。アキラさんの編曲センス、遊び心満載。でもオケの魅力も満載。

 これまで、大阪フィル演奏のCDが出ていたのですが、先日、新日本フィル演奏のも発売されました。

アキラさんの大発見オーケストラ!!

宮川彬良/大阪フィルハーモニー交響楽団/Columbia Music Entertainment,inc.


 ↑こちらが大阪フィル盤

コンチェルタンテII マンボver.

宮川彬良/新日本フィルハーモニー交響楽団/フォンテック


 ↑こちらが新しい新日本フィル盤

 「シンフォニック・マンボNo.5」の2度目の録音。ということで、聴き比べてみた。

 まず、大阪フィル盤。中盤での「ジャジャジャジャーン!!」が物凄く力強い。全力フォルテッシモ。全体的に流れるよう、流暢で、ゆったりと踊るよう。弦の表情が豊か、聴かせるなぁと感じました。最初は重く、徐々に軽やか、滑らかに。打楽器、特にティンパニもアクセントを強く、力強い。

 新日本フィル盤。大阪フィルと比べると、キレがある。若干速め。管楽器がメリハリのある音を出している。踊るよう。金管が特にノリがいい気がする。1分45秒ぐらいで、ピッコロ(フルート?)の下降フレーズがはっきりと聞き取れる。大阪フィル盤ではそんなにはっきりとは聞こえなった。
 そして、大阪フィル盤にはなかった歌も入ってます。これは歌ってるところ観たいぞw

 この種の楽曲が複数録音されることはあまりないと思ったので聴き比べてみました。両方の録音を交互に聴いていると、とにかく楽しくなりますwどうやったらあの「運命」第1楽章とマンボNo.5が融合するんだよwとわかっていてもツッコまずにはいられない。とにかく聴いて楽しむ。演奏している方も楽しいだろうなぁ。「コンチェルタンテⅡ」ではもっとはっちゃけているらしいので、いつか生演奏、コンサートに行って聴けたらなぁ。

 ちなみに、「どれみふぁワンダーランド」にはじまり、「題名のない音楽会」で完成(?)した、「運命」第1楽章の歌詞。聴いていると、この歌詞も脳内で再生されます。「運命」第1楽章を聴くたびに、脳内で自動的に再生されてしまって困っていますw「クインテット」でスコアさん(故・斎藤晴彦さん)が「ドイツじーん!ド・イ・ツ・じーん!!」と歌っていたのも覚えていて、もうどうしたらいいのだろうか…。

交響曲第5番「運命」第1楽章(作詞:宮川彬良)
 ↑その放送での歌詞書き起こし。


 ちなみに、新日本フィルの新CDは、彬良さんの舞台音楽を組曲化・オーケストラ編曲した「音楽劇『ハムレット』より5つの主題」も聴かせます。シリアスでドラマティックな6曲…聴けば聴くほど様々な想いがこみ上げてきます。これはまた別記事で書ければ書きます。これ以上の言葉にできるかどうかわからない。音楽そのものを聴き、味わう、自分の中で反芻する。胸の中にしまっておく。そんな音楽があってもいいのかな、と。

 「サンダーバード」のテーマはとにかくカッコイイ。以前、「ショータイム」で聴いた時、これはカッコイイ!!と感激した演奏なのですが、CDに収録されて嬉しい。これでいつでも聴ける!!
・「ショータイム」第5回で放送、その感想:その想いをミュージカルで代弁します 「宮川彬良のショータイム」第4・5・6回感想まとめ
 ↑映像もかっこよかったんだよなぁ~。
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by halca-kaukana057 | 2014-09-05 22:43 | 音楽

”主張”と”和”の生きている”音楽” 宮川彬良&アンサンブル・ベガ@岩手矢巾 全体感想

 これまで、覚え書きを前編(第1部メイン)と後編(第2部メイン)に分けて書いてきた、”宮川彬良&アンサンブル・ベガ”岩手・矢巾公演。では、全体感想を。
・覚え書き前編:宮川彬良&アンサンブル・ベガ @岩手矢巾 覚え書き・前編(第1部)
・覚え書き後編:宮川彬良&アンサンブル・ベガ @岩手矢巾 覚え書き・後編(第2部)

 その前に、覚え書きではざーっと書いてしまったプログラムを、ちゃんと書きます。

【プログラム】
○第1部
・F.デーレ/宮川彬良:すみれの花咲く部屋
・ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番
・J.S.バッハ(ペツォールト):バッハのメヌエット(ラヴァーズ・コンチェルト)
・ルロイ・アンダソン:プリンク・プランク・プランク
・ルロイ・アンダソン:ワルツィング・キャット
・宮川彬良:パーセルの主題によるフーガ
 (”アン・ベガ名物「音符の国ツアー」~必ず良い大人になるための音楽入門!”)
・ジョン・レノン、ポール・マッカートニー/モーツァルト:抱きしめたい with MOZART

○第2部
・ロッシーニ:弦楽のためのソナタ 第1番ト長調
 (第1・第2ヴァイオリン、チェロ、コントラバス)
・ヴェルディ:女心の歌(歌劇「リゴレット」より)
・プッチーニ:私のお父さん(歌劇「ジャンニ・スキッキ」より)
・宮川彬良:室内楽のためのソナタ「ブラック・ジャック」

○アンコール
・宮川彬良:ゆうがたクインテット テーマ
・宮川彬良:サヨナラの星(作詞:ヒビキトシヤ)
・ジョン・レノン、ポール・マッカートニー:P.S. I Love You
(編曲:宮川彬良 ※ロッシーニ「弦楽のためのソナタ」を除く)

第1ヴァイオリン:辻井 淳、第2ヴァイオリン:藤村 正芳(客演)、ヴィオラ:馬渕 昌子、チェロ:近藤 浩志、コントラバス:新 眞二、クラリネット:鈴木 豊人、ファゴット:星野 則雄、ホルン:池田 重一
音楽監督・作編曲・ピアノ・司会:宮川 彬良
構成・脚本:響 敏也

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 聴いていてまず思ったのが、意外と各パートがはっきりと、”主張”するように演奏していたことでした。皆でハーモニーを保って、きれいに合わせているだけではなかった。でも、「我が我が」という”主張”ではない。”個”を”主張”しつつも、楽曲とアンサンブル両方の”全体”の”和”が保たれている。これまで、オーケストラよりも器楽(ソロ、デュオ、トリオ、カルテット)を聴くことが多かったのだが、各々の楽器・パートがこんなに”主張”しつつも”和”のハーモニーになっていると思ったことはあまりなく、驚いた。それぞれの楽器・パートの特性・個性・音色と、メンバー各々の個性・性格。それらが絶妙につりあっていて、でもここぞと言う時に雄弁に”語る””歌う”。主旋律だけが目立っているわけでもなく、伴奏・内声・低音パートも主旋律を支えつつ、存在感を示ししっかりしている。メロディーをより際立たせるための、安定した土台。その土台にまわることの多い第2ヴァイオリンやヴィオラ、コントラバス、ファゴットにも、土台であっても主旋律を受け持つことがあっても「魅せ場」がある。室内楽としては大人数なアンベガ。彬良さんのピアノも入れると9人。大人数、楽器が多いからこそ、より鮮やかで陰影も深い演奏になるんだな、と思った。そのためには、やはり”個”の”主張”と”全体”の”和”をバランスよく保つことが大事なんだと。アンベガの個々の力量・表現と、チームワーク・一体感。後で詳しく書きますが、CDには収まりきれなかった音・雰囲気がありました。

 アンベガでの、彬良さんの存在も絶妙で、ちょっと不思議だと感じました。司会として、MCになると相変わらずのトークで目立つ。でも、演奏だとそんなに目立っているわけでもない。ピアノパートがない曲も少なくない。音楽監督・指揮ではある…のだけど…。アンベガとしてのリーダーはコントラバスの新さんだし、コンサートマスターは第1ヴァイオリンの辻井さん。”絶対的な頭”がいない?でも、演奏もコンサートそのものもまとまっている。室内楽としては人数多めなのに。8人各々が、それぞれのリーダーシップを発揮している?不思議な感じがしました。

 この”絶対的な頭”もいない?こともそうだし、他の点でも、アンベガには「”境界”がない」と感じるところが多々あります。宮川彬良さんの他のコンサート、音楽作品でもこれは感じていることなのですが、まず音楽のジャンル・分類という”境界”がない。クラシックのようだけど、ビートルズのようなポップス・ロックも演奏する。「ライト・クラシック」なんて言葉もあるけど、そんなやわい、甘いものでもない。
 そして、アンサンブル・ベガというアンサンブルも、室内楽に分類されるのだろうけど、オーケストラのような音色・迫力・深みがある。これも、室内楽・アンサンブル…?
 もはや分類できない。ただ、「音楽」である、「音楽」なんだ、これだけははっきりしている。コンサートの最初、彬良さんが「音楽家がニヤニヤして音楽をしているところを見て、聴いていって欲しい」と仰ってましたが、まさにその通りです。

 そして、もうひとつの「”境界”がない」と感じたところは、ステージと客席の間の「”境界”がない」。どういうことかというと、身近で親しみやすい。コンサートの規模や、響さんの構成・脚本(特に「音符の国ツアー」)、彬良さんのMCで、親しみやすくなっている。でもそれだけじゃなくて、ホール全体が、演奏者とっての公演の場になっているように感じた。客席の聴衆が、何かするわけでもない。手拍子とか(一部の曲でしている人はいたけど、自然に出てきたもので舞台上から促されたものじゃない)、質問に答えるとか、そんなものはない。演奏者はステージの上にいて、演奏している。それだけなのに、演奏を遠くに感じなかった。メンバーひとりひとりの演奏が、語りかけてきているような。私の席の位置がどちらかと言うと前の方だったから、かもしれない。でも、その演奏が、あの田園ホール全体を、場を「音楽」そのものにしてしまったように思える。しかも聴衆がいるからこそ、また音楽に、演奏に変化が生まれたような。
 カーテンコールでのフレンドリーな感じも、そう思わせる要因でもありました。

 これまで、CD/DVDでアンベガの音楽・演奏を聴いてきた。NHK教育(Eテレ)「クインテット」は、ベガメンバーも演奏に参加、クレジットでも「アンサンブルベガ+フレンズ」と表記され、それをずっと放送を観て、聴いてきた(でもイコールアンベガじゃない)。
 それなのに、生で聴いたら、「CDと全然違う!!別物だ!!」と感じた。CDには収まりきらなかった音、迫力、雰囲気、空気感がとても強烈だった。覚え書き後編の「ブラック・ジャック」で特に感じたのだが、生のアンベガはもっと荒削りだった。雑という意味ではなく。CDではきれいに収まっているのが、生だともっと、弾力があって、大きな音から小さな音・強い音からかすかな音までダイナミックで、立体的で、勢いがあって、躍動感に溢れていて、もっと自由にのびのびしている。そして、”全体”の”和”を保ちながらも、各々が”個”を”主張”してもいる。ああ、これがライヴ、LIVEだと思った。LIVE=生きている、命がある。「ブラック・ジャック」のテーマではあるけれど、「ブラック・ジャック」だけじゃなくて全部。結成して15年。その間に育ててきた調和の様なんだろう。生きているから、また次の公演(12日・長崎)では同じ曲を演奏しても、違う演奏・音楽にもなるだろう。長崎公演では、第2ヴァイオリンはアンベガ通常メンバーの日比浩一さんに戻ります。今回の岩手公演では、客演の藤村さんで、いつもとはまた違ったアンベガを聴けた…これはこれでおいしいなと思う。

 この公演の日の朝、ラジオで彬良さんがビートルズの話をしていました。次々とヒットを飛ばしてゆく中、アイドル視されることに抵抗があった。録音技術の発達により、全員がその場にいなくてもレコーディングしてひとつの作品をつくれるようになった。ジョンとポールも音楽性が異なり、解散はまだしないけれども、それぞれが違う雰囲気の音楽を製作、発表していった。その後、ビートルズはこのままでいいのかと、4人で最後のライヴをする。色々あっだだろうけれども、音楽は4人を繋ぎとめていた。

 この話を聴いて、その後アンベガのコンサートを聴いて…何かを思わずにはいられなかった。私の身の回りには、全員がその場にいなくても、別々にレコーディングしても、最後にはひとつの楽曲になっている音楽がたくさんあると思う。それはそれで、完成度が高くなる。納得がいくまでレコーディングして、納得のいく部分を切り取って…。
 でも、生のコンサート、ライヴでしか出来ない音楽、その時、その瞬間にしか生まれない演奏、一体感もある。だから、「ライブ(LIVE)」=「生もの」。その時が過ぎれば、消えてしまう。私が今、思い出しながら書いている間、もうこの時の演奏を聴くことは出来ないけれども、頭の中にあの演奏が蘇ってきている。その迫力、勢い、音色、響きに、その時の感情のうねりも同時に蘇ってくる。いつまでこの感覚を保っていられるだろう?心には残る、忘れない。でも消えない…とは断定出来ない。薄れてしまうかもしれない。人間はそういう生き物だから。だからこそ、また新しい、その時その場でこそ生まれる演奏が出来るんだと思う。
 でも、あの時は、ずっとこの音の余韻に浸っていたくて、ホールをなかなか出たくありませんでした。何とも言えない心地よさを思い出します。

 ここには書かないのですが、個人的に抱えていたことに関して、今回の公演でひとつの答えを出せたこともある。意外な、思わぬ発見で、自分でも驚いている。驚くと同時に、決意も固まった。
 念願の生のアンベガの公演を、聴きに行けて本当によかった。素晴らしい演奏を、楽しい音楽のひとときを、本当にありがとうございました!カーテンコールで、何度ありがとうと言っても足りないと心の中で思っていたのですが、今もそんな気持ちです。感謝するばかりです。アンベガが大好きです!

 今度は、日比さんがいるアンベガを聴きたい。そしていつかは、ホームの宝塚ベガホールに行って聴いてみたいなぁ。
 最後にもう一度、ありがとうございました!!

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おふぃすベガ:レポート:宮川彬良&アンサンブル・ベガ:11月30日(土)岩手・田園ホール(矢巾町)
 アンベガ事務局・おふぃすベガさん公式の、公演レポートです。
 「ブラック・ジャック」に関して、とても興味深いことが書かれています。…えっ!?じゃぁ、私が聴いた「ブラック・ジャック」は…「CDと全然違う!別物だ!」と感じたのは…はて…?

 尚、来年の公演予定ももう決まっています。詳しくは上記おふぃすベガ公式サイトで!

【追記】
Facebook:おふぃすベガ Office VEGA Ltd.:*大長編レポート
 おふぃすベガさんの公式フェイスブックにて、当ブログの岩手公演レポ記事を紹介していただきました。紹介のお言葉を読んで、驚くとともに大変光栄です。どうもありがとうございます!!
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by halca-kaukana057 | 2013-12-07 17:26 | 音楽

宮川彬良&アンサンブル・ベガ @岩手矢巾 覚え書き・後編(第2部)

 前編に引き続き、”宮川彬良&アンサンブル・ベガ”岩手矢巾公演、コンサートの覚え書きの後編です。休憩後、第2部がメインです。
・前半(第1部メイン):宮川彬良&アンサンブル・ベガ @岩手矢巾 覚え書き・前編(第1部)


 休憩の間、ステージでは椅子の配置を変えています。第2部最初の曲のため。そして第2部へ。
○第2部
【ロッシーニ:弦楽のためのソナタ 第1番 ト長調】
 アンベガは宮川彬良さんによる編曲作品、もしくは作曲作品ばかり演奏しているわけではありません。プログラムには、必ず純クラシック音楽も入れてきます。この夏の公演では、ベガメンバー8人で純クラシック音楽だけのコンサートも開催しました。

 今回は、ロッシーニの「弦楽のためのソナタ第1番ト長調」。ロッシーニと言えばオペラですが、弦楽室内楽?しかも、編成が第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、コントラバス、と少し変わっています。弦楽三重奏(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ)でもなく、弦楽四重奏でもなく、この編成。こんな曲があったんだ。元々はこの編成ですが、ヴィオラも加えた弦楽四重奏版、弦楽オーケストラ版もあります。全曲演奏で15分ほどの曲です。ちなみに、ロッシーニ12歳の時の作品だそうです。まだオペラ作曲家となる前の、子どもの頃の作品。
 今回の配置は、ヴァイオリンの2人が向かい合うように、第1ヴァイオリンの隣にチェロ、その隣にコントラバス。その隣が第2ヴァイオリン。
 第1、第2ヴァイオリンがともに華麗で、チェロとコントラバスもそれぞれ違う声部で演奏しています。明るく、朗らかな、かつやさしげな曲。どのパートもよく歌う。もしかして、ヴァイオリンはソプラノ(第2ヴァイオリンはメゾソプラノ?)、チェロはテノール、コントラバスはバリトンと、声部を意識していたのかもしれない。あくまで予測ですが…。これが、後に数々のオペラに繋がっていったのだなとも思えてしまいます。第2楽章はゆったりとした歌。そして第3楽章、華やかで弾むようなメロディー。ここで、第2ヴァイオリンがメロディーを奏でる部分があるのですが、その部分にはっと息を飲みました。第2ヴァイオリンと言うと第1ヴァイオリンの裏で伴奏というイメージがあるのですが、その第2ヴァイオリンがここぞとばかりにのびのびと歌っている。しかも藤村さんの演奏がとてもきれい。その後、同じメロディーを第1ヴァイオリンも奏でます。同じヴァイオリンでも、辻井さんの演奏・歌い方はまた違う。2人のヴァイオリンに聞き惚れました。チェロ近藤さんも渋く、コントラバス新さんも低音で支えつつ歌ってくる。いいなぁこの曲、この演奏!素敵な曲に出会えました。
 調べたら、ロッシーニの弦楽のためのソナタは、全部で6曲あるそうです。CDでも色々聴いてみたいです。でも、このアンベガ版もいい…!

 演奏後、また椅子を元の形に戻している間、彬良さんが語ります。ロッシーニということで、オペラの話を。9月に初演、彬良さん初のオペラ作品となった「あしたの瞳 ~もうひとつの未来」のことです(この時の彬良さんのお話ではタイトルは出てきませんでしたが、ここに書くには、作品のことも書かないわけにはいきません。脚本は、アンベガ構成の響敏也さん)。
 ”舞台音楽家”として、数々の演劇作品やミュージカル、バレエなどの音楽を手がけてきたけれども、オペラには抵抗、苦手意識があった彬良さん。オペラを聴くよりも他の歌を聴いてきたし、聴いてもあの歌い方が不自然に感じていたのだそう。ところが、オペラを書くことになり、3年かかって書き上げた。いざ書いてみたら、面白い!もしかして、オペラは自分に合っているんじゃないのか!とても楽しかった、と。
 この岩手公演のリハーサルをして、新大阪を通った時、関西の人々の話が聞こえてきた。関西・大阪ならではのマシンガントーク。よくしゃべる。このおしゃべりを聞いていて、これもオペラに通じるのではないか、と。このおしゃべりに、美しい旋律をつけて、歌ったらオペラになる。オペラは会話・おしゃべりを歌で表現する。これが面白い、と。今後もオペラの作曲をしたい、と…是非是非!楽しみにしています!

 ちなみに、来年には彬良さんのオペラ第2作の公演も予定されています。
浜松文化振興財団:【出演者募集】第7回浜松市民オペラ ガラコンサート ソリスト募集
 脚本は「あしたの瞳」と同じく響敏也さん。題材は、手塚治虫「ブラック・ジャック」。おおお…楽しみです。浜松の市民オペラ…浜松がかなり羨ましい。
 「あしたの瞳」も、是非とも再演お願いします!ラジオ版聴いて、ドツボでした。(過去記事参照)


【女心の歌(歌劇「リゴレット」より)】
 オペラの話になったので、オペラ作品から2曲。まずはヴェルディの「リゴレット」より「女心の歌」。鈴木さんのクラリネットが、主旋律・歌を演奏します。クラリネット=テノールなんですね。CDでは何となく聴いていたけど、生で聴いてそういうことだったんだと気づいた。女性のころころ変わる心はわからない…と能天気に歌う感じが、クラリネットの音色によく似合う。鈴木さんのクラリネットは、表情が豊か。こんな朗らかな曲も、落ち着いた曲も、かなしげな曲も。ホルンやファゴットも歌を引き立てます。

【私のお父さん(歌劇「ジャンニ・スキッキ」より)】
 次はプッチーニの「ジャンニ・スキッキ」より、この歌を。辻井さんのヴァイオリンが主旋律・歌です。ヴァイオリン=ソプラノですね。ゆったりと甘い歌を、辻井さんのヴァイオリンが艶やかに歌います。伸びやかなソプラノの歌が聴こえてきそう。弦も管もピアノも、そんな歌をやさしく包んでいます。きれいだ…。

 さて、いよいよプログラム上最後の曲。そしてこの曲を聴かずに帰れるか!帰れない!!という曲…彬良さん作曲のこの曲です。
【室内楽のためのソナタ「ブラック・ジャック」】
 いつかこの曲を生で聴きたいと思ってきました。CDで、何度も何度も聴いてきました。
 15年前(今年で15周年!)、アンサンブル・ベガが結成され、アンベガで演奏する曲を作曲したいと思っていた彬良さん。ホームの宝塚は、手塚治虫が暮らした町でもある。手塚治虫記念館を観ていたら、「ブラック・ジャック」に惹かれて、この曲を作曲した。テーマは、「命」。その後吹奏楽編曲もされ、今では学生・社会人吹奏楽部も演奏している曲になりました。
 そしてついに、手塚プロダクション公認になったそうです。手塚先生のお嬢さんと会って話をした彬良さん。手塚先生は、クラシック音楽のレコードをかけ、クラシック音楽を聴きながら数多くの漫画を描いていた。もし、手塚治虫が作曲家だったら、こんな曲を書いたのではないかと、話していたそうです。おおお…!
 手塚治虫は、「命」をテーマにたくさんの作品を描いた。「ブラック・ジャック」もそうですし、「鉄腕アトム」や「火の鳥」も。「命」というものを、漫画で表現しようとした。それを彬良さんは、音楽で表現し、この作品になりました。

 演奏なのですが…魂もっていかれました。第1楽章の冒頭から、心を揺さぶられる…心の表面だけではなく、奥底に沈んでいるもの、表面に出てこないように沈めているものまで、心の中を全てかき混ぜられたような気持ちになりました。この曲を、今回聴いた演奏を、どう言葉で表現したらいいか…いい言葉が見当たらなくて、ただ演奏に聴き入り、のまれていました。かなしい、つらい、苦しい、せつない…そんな言葉を並べても足りない。喜怒哀楽…これでも足りない。言葉は出てこないけど、この演奏に反応している自分の感情はある。演奏を聴いていて、そんな感情が表面に出てくる。ただ、出てくるのを受け止めるしかありませんでした。

 演奏は美しいけれども、所々にうめき声や心の叫びのような音も出てくる。汚い音、なのではない。どのパートの音も強さを持って、迫力があって、ビシバシ響いて迫ってくる。その迫力が、リアルさが、きれいなだけじゃない。第2楽章「命」の中間部の後、ピアノを合図に一気に盛り上がる部分があるのですが、そのあたりの迫力がただものじゃなかった。ただ迫力がある、大きな音ではなく、ずしりと重く重く響いて押し寄せてくる音。その中に、命の叫び、うめき声がある。CDで聴いていたのとは全く別物だ!!このコンサートでしかできない・出てこない演奏であり、生で、目の前でだからこそ聴ける・触れられる、CDには収まりきれなかったであろう音・演奏である。

 辻井さんのヴァイオリンが、か細いようで、痛切で、でも切れない。この音色も凄かった。鈴木さんのクラリネットが表情が豊か、と上記しましたが、この曲のクラリネットはまさに叫び声だった。近藤さんのチェロは流暢だけど深く唸っているし、第2ヴァイオリン藤村さんも第1ヴァイオリンとは違う痛切な声を。内声の馬渕さんのヴィオラと低音の星野さんのファゴット&新さんのコントラバスは、心の奥底に沈めていたものだった。それぞれのパートがそれぞれの音色・音域で強く自己主張しつつも、和を保っている。それが、心身の各器官が、独立して機能しつつも全体として動き、命を支えているように思えた。
 第1楽章「血と、汗と、涙と…」、第2楽章「命」、第3楽章「生きて生きて息る」と副題が付いているのですが、第1楽章は鼓動、第2楽章は血液、第3楽章は呼吸…そんな風にも感じました。

 聴きながら、数ヶ月前、体調を崩して病院通いしていたことを思い出していた。毎日のように点滴を打って、「しんどい、つらい」が口癖の日々を過ごしていた。また、何年も前、病気でよく寝込んでいたことも思い出した。その寝込んでいた時、聴いていたの音楽のひとつが、このアンベガの「ブラック・ジャック」だった。心身ともに沈んだ状態で聴いていると、つらい気持ちも和らぐ。そんな過去を思い出し、今、私はその時聴いていた「ブラック・ジャック」を目の前で、生演奏で聴いている。私は今生きている。アンベガメンバーも生きて演奏している。この演奏が、アンベガの「命」の「表現」なんだ。もう泣きそうでした。泣けなかったのが逆につらい。泣いたら少しは楽になったのに。
 演奏中、ずっと舞台を見つめていました。耳だけじゃない。視覚でも、空気の振動という触覚でも、五感でこの演奏を受け止めていたかった。

 演奏後は、ただ大きく拍手をしていました。手が痛い…この痛みも、「命」の表現・証拠なんだと。


 その興奮が冷めないまま、再びステージに戻ってきたアンベガメンバー。彬良さんの「ワン、ツー、スリー、フォー」カウントとともに始まったのは…

【アンコール:ゆうがたクインテット テーマ】
 きたああああ!!「クインテット」だあああー!!!
 前編の冒頭で書いたとおり、NHK教育(Eテレ)「クインテット」で、彬良さんのことも、アンベガのことも知りました。「クインテット」が好きになるにつれて、アンサンブル・ベガのことも気になり、CDが出るとすぐに買って聞きました。「クインテット」が始まった時は、まだアンベガは宝塚を中心に関西ローカル。それが一気に全国区に。そして全国各地でコンサートも開催されるようになりました。この日も、「クインテット」世代の子どもたちがたくさん聴きに来ていました。対象年齢外ですが、私も生の「ゆうがたクインテット テーマ」の冒頭、♪はにほへといろ…のメロディーを聴いた瞬間、こみ上げてくるものがありました。今年3月、番組は終了。でも、その音楽は生きている。それが本当に嬉しかった!
 「ブラック・ジャック」の後で聴いたせいか、アンベガバージョン(番組で放送された編曲とは違います)で聞いたせいか、子ども向け番組のテーマ曲には聴こえなかった。それだけで楽しい音楽。演奏時間は約1分。短い、もっと聴きたかった!
 ちなみに、番組にはアンベガメンバーが演奏に関わっています(特にコンサートパート)。それでアンベガのことを知ったのです。アリアさんのヴァイオリンは辻井さん。スコアさんのチェロは近藤さん。フラットさんのクラリネットは鈴木さん。表には出てきませんが、コントラバス新さんも、実は演奏に加わっています。ピアノは言うまでもなく彬良さん。トランペット、打楽器はアンベガメンバー外なので今は割愛します。

 大喜びの客席。アンコール2曲目は、調子に乗った彬良さんが歌います!
【サヨナラの星】
 響敏也さん作詞、彬良さん作曲の児童向け合唱曲。CD「アキラさんのソングブック」(伴奏楽譜も出ています)に収録されている歌です。とても好きな歌です。一緒に口ずさみそうになりました。
 「サヨナラするからまた会える」…また会えるよね、会おうね。そんな気持ちで聴いていました。ベガメンバーは伴奏…じゃありません、それぞれの楽器で「歌っている」んです、きっと。彬良さんの歌も、とてもやさしい。

 客席からは拍手が鳴り止まない。アンコール3曲目。
【P.S. I Love You】
 ビートルズの名曲を。この曲には、ピアノパートがありません。ベガメンバー8人のために、彬良さんが編曲しました。彬良さんは、ピアノの椅子に座って、メンバーの演奏を後ろで聴いています。その表情が、とても幸せそうだった。彬良さんは、アンベガの音が、音色が、このアンサンブルが大好きなんだな…きっと。タイトルの通り、最後に「愛してる」と…コンサートの最後にピッタリな曲です。
 アンベガが大好きだ、彬良さんも大好きだ…!穏やかな愛が満ち溢れた演奏。大好きだ!(もう一度叫ぶ)

 大きな拍手の中、最後のカーテンコール。メンバーの皆様が、客席に向かって笑顔で手を振ってくれてました。勿論振り替えしました。(でも手を振ると拍手を止めなければならないという…どっちにしたらいいんだ!と迷ってたw)ホールの規模からも、演奏者を身近に感じられます。フレンドリーで、いいなぁ!

 拍手をして、手を振りながら、心の中で何度もありがとう、ありがとう!と叫んでいました。本当に、素敵なコンサート、演奏をありがとうございました!!
 最後、小さな男の子が彬良さんに小さな花束を手渡していました。可愛い!いいなぁいいなぁ!
 ちなみに、カーテンコールでは、新さんはずっとコントラバスを持って舞台を行ったり来たり。コントラバス奏者は大変だ…。

 第2部は、笑える派手なネタやアクションは無しに、音楽そのもので楽しみました。この第1部と第2部の差がいいなぁ。
 ますますアンベガが好きになる、魅了されたコンサートでした。しばらく、ホールを出たくなかった。音の余韻、空気に浸っていたかった。でも、帰るか…。

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 ホール入り口には、こんなイルミネーションが。きれいでした。

 帰り道も余韻に浸り、満ち足りた気持ちでした。コンサートを聴いていた方と、帰り道話す機会があり、彬良さんトークで盛り上がりましたwリアルで彬良さんトーク出来るなんて嬉しい!wありがとうございました!

 電車の中で、ふと我に返り、コンサートのことをどこかで書き留めておきたい、じゃないと詳しいところを忘れる!起きて、寝ている間に見た夢のことを覚えていないように…。盛岡駅で、カフェに入りノートに公演のことを思い出すまま書きまくっていました。それから帰途へ。

 最後に、物販で買ったお土産。アンベガのCD/DVDは全て持っているので、違うものを。(CDはサイドバーに表示しています)
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 昨年、大阪市音楽団(市音)東京公演で買いそびれた「大ラッパ供養」CD,1年越しで買いました!これで心置きなく聴ける。
 ヴィオラ馬渕さんのソロCD。ヴィオラが好き、ヴィオラスキーの私にとっては欲しかったCD.ヴァイオリン辻井さん、チェロ近藤さん、ホルン池田さんのソロCDもあった。今思うと欲しかった…(何枚買う気ですか)
 アンコールの「サヨナラの星」が収められた「アキラさんのソングブック」に収録されている「空のわすれもの」の楽譜。楽譜そのものは使うことは無いのですが(ピアノ伴奏…厳しい)、好きな曲なので。「クインテット」より「歩く歩く歩く」などの楽譜もあった。そっちも買ってくればよかったか…。
 コンサートの物販は危険ですね、”沼”ですね…。だからいくら買うつもりですか…w
 ちなみに、公演後のサイン会は無く。残念。

 覚え書きは以上。次回、コンサート全体を通した感想を書きます。まだ続きます。
・続き:コンサート全体感想:”主張”と”和”の生きている”音楽” 宮川彬良&アンサンブル・ベガ@岩手矢巾 全体感想
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by halca-kaukana057 | 2013-12-03 22:05 | 音楽

宮川彬良&アンサンブル・ベガ @岩手矢巾 覚え書き・前編(第1部)

 NHK教育(Eテレ)「クインテット」でその存在を知り、生でその音楽を聴きたい…と思ってきた”宮川彬良&アンサンブル・ベガ”(略称:アンベガ)。念願のアンベガのコンサートに、行ってきました!初アンベガです。宮川彬良さんのコンサートは昨年の大阪市音楽団東京公演以来2度目。今年はアンベガです!

 コンサートのことを書こうと思うのですが、例のごとく長文、てんこ盛りになること必至。なので、先に公演地のことや、コンサートのプログラムに沿って内容や思ったことを、覚え書きとして記事にします。アンベガ恒例のネタバレな内容は詳しく書きません(実際にコンサートに行ってのお楽しみということで)。全体の感想は次の記事で。

おふぃすベガ:11月30日(土)岩手・田園ホール(矢巾)
田園ホール 矢巾町文化会館
 この田園ホール、以前NHKのニュースで観たことがありました。農家の方がオーケストラを結成して演奏する「田園フィルハーモニーオーケストラ」が取り上げられていました。ああ、あのオケのホールがここなのか、と。

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 チケット買っちゃったよ…(行くのがちょっと信じられない)

 さて当日。まずは盛岡駅にて。
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 南部鉄器の大鉄瓶。でかい。

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 岩手と言えば、今年は「あまちゃん」。こんなパネルが。お土産屋さんにも「あまちゃん」便乗(?公認ではあると思う)グッズが並んでいました。

 盛岡駅から東北本線に乗って、矢幅駅へ向かいます。
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 駅の改札を出たら、彬良さんのポスターがお出迎え。

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 駅には、こんな鍵盤型の看板が。音楽ホールがある音楽の町を押し出しています。いいぞいいな。

 駅から歩いて田園ホールに向かいます。冷たい雨が降ってました…予報では雨は降らないはずだったのに…。歩けば暖かくなるだろうと歩く歩く歩く。
♪歩く歩く歩く~ 町を森を山を~
ここは初めて歩く道~歌って歩こう
 「クインテット」より「歩く歩く歩く」(作詞:下山啓、作曲:宮川彬良)

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 ホールに向かう道には、こんな街灯が並んでいました。これに沿って歩けばホールに着くのか。親切だ!

 駅から歩いて約15分~20分。
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 着きました~。
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 田園ホールのエントランス。しっかりと公演看板が。小ぢんまりとしたホールですが、とてもきれいなホールです。アンベガのサイズにちょうどいい。
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 こんな詩がありました。
 席に着きます。前過ぎず後ろ過ぎず、ステージ全体をはっきりと見ることの出来るいい席でした。いい席取れてよかった。田園ホールの職員の方、ありがとうございます!


 さて、いよいよ開演です。
【アンサンブル・ベガ メンバー】
・第1ヴァイオリン:辻井 淳
・第2ヴァイオリン:藤村 正芳(客演:通常メンバーの日比浩一さんは所属オケ・名古屋フィルの公演の為お休みです)
・ヴィオラ:馬渕 昌子
・チェロ:近藤 浩志
・コントラバス:新 眞二(アンベガのリーダーであり、発起人がこの新さん)
・クラリネット:鈴木 豊人
・ファゴット:星野 則雄
・ホルン:池田 重一
・音楽監督・作編曲・ピアノ・司会:宮川 彬良

・構成・脚本:響 敏也(彬良さんとはこれまで大阪フィルポップスや、児童合唱曲の作詞、そして9月に初演、その後ラジオミュージカルになったオペラ「あしたの瞳」の脚本でコンビを組んできました。ラジオミュージカルに関しては、過去記事で大いに語ってます…)

 ホール内も、ステージも暗いまま、メンバーがステージへ。辻井さんがピアノでチューニング。後から彬良さんもステージへ。揃ったところで、まだ暗いまま、演奏が始まります。

○第1部
【すみれの花咲く部屋】
 アンベガのテーマ曲。宝塚生まれ、宝塚がホームなので、宝塚歌劇団の「すみれの花咲く頃」のメロディーを使っています。クラリネットから始まり、他のパートも入ってきて、ピアノで一気に曲も舞台も明るくなる。
…目の前に、アンベガがいる…!!目の前で、演奏してる…!!!
 当たり前ではあるのですが…、一瞬パニックになりかけました。この音だ、この演奏だ、このアンサンブルだ。これを聴きたかった、目の前で聴きたかったんだ私は。そのためにここに来たんだ…演奏中、感激しっぱなしでした。
 コンサートの始まりにふさわしい華やかな曲。生だと、弦(特にチェロとコンバス)のピッツカートもはっきりと、立体感をもって聴こえてくる。それから、ここはヴィオラがメインだったんだ、ファゴットがここでこう入るんだ、と視覚的な情報もある。CD・DVDで聴いていたものが、更にはっきりと、鮮やかになりました。

 演奏後、彬良さんの挨拶。アンベガでも彬良さんのトークが炸裂しますw岩手初公演!(北東北初公演でもあります!アンベガ北限があがりました!)
 画家は、絵を描き、描いたら完成。一方音楽家、作曲家は、作曲する。譜面を書く。曲は出来てもそこで完成…じゃない。演奏されて、音楽になる。その音楽をやってきた音楽家たちが、ニヤニヤしながら音楽をしている。それを見て、聴いていって欲しい。
 メンバー紹介後、次の曲へ。

【ハンガリー舞曲第5番】
 お馴染みのこの曲。ピアノは無し。演奏しているメンバーの後ろで、彬良さんが何やら怪しい動きを…w演奏後、中間部のゆっくりとした部分で自転車の空気を入れているような感じになる、と。そこで、彬良さんの動き(踊りw)に合わせてもう一度。緩急のメリハリがはっきりと、強弱もはっきり。しかも演奏しているメンバーの前に出てきて踊るw踊りが可笑しくて、演奏をまともに聴けないwww
 今回、客演の第2ヴァイオリン藤村さんが、笑いをこらえているのが必死そうな表情をしていましたwいつものベガメンバーは、笑いつつも慣れてしまっている感じ。あんな踊りを目の前でやられて、まともに演奏できるのかw演奏できるベガメンバー凄いw藤村さんがんばれ…と笑いつつ心の中で応援せずにはいられませんでした。藤村さんがんばれ。
 ちなみに、藤村さんは東京フィル第2ヴァイオリン首席。「題名のない音楽会」のブルグミュラー回、ルロイ・アンダソン回で彬良さんと共演されてました。録画を観直して、「第2ヴァイオリンを映せ!第2ヴァイオリンを!!」と思ったのは初めてです。

【バッハのメヌエット(ラヴァーズ・コンチェルト)】
 気を取り直して、次もお馴染みの曲。今度は彬良さんもピアノを演奏します。この曲の彬良さんアレンジが大好きです。「クインテット」版もアンベガ版も。アンベガ版は池田さんのホルンが伸びやか。おおらかな気持ちになれる。彬良さんのピアノも、テレビで聴くとおりの美音です。たまらない…。
 彬良さん曰く、パフォーマンスをしなくても、楽曲のよさは演奏そのものでも伝わる。

【プリンク・プランク・プランク】
 ここからはルロイ・アンダソンの2曲。まずは弦楽器はピッツカートだけで演奏するこの曲。弦楽器隊は弓を床や楽譜立てに置いてます。ピッツカートでも、響く弦。管楽器3人が柔らかさを加えます。
 ここで、また彬良さんはピアノを弾かず、怪しい動きを…w彬良さんにかかれば、楽器じゃないものも楽器になる。チェロ近藤さんと、コントラバス新さんとの掛け合いが楽しいパフォーマンスです。この低音2人がカッコイイ!
【ワルツィング・キャット】
 「躍る子猫」と日本語訳される曲。猫の鳴き声の弦(特に馬渕さんのヴィオラ)ポルタメント、鈴木さんのクラリネットのやわらかさ。ワルツのリズムが楽しい。と、思っていると…ラストにまたしてもw

【アンベガ名物”音符の国ツアー”必ず良い大人になるための音楽入門!】
「パーセルの主題によるフーガ」
 アンベガと言えば、この「音符の国ツアー」。音楽を楽しくやさしく紐解きます。音楽とはどのように出来るのか、アンサンブルとは何か。彬良さんの語りにのせて、アンベガメンバーが”演じます”。アンベガメンバーは芸人集団なのか…と思ってしまうのですがw、演奏になると真剣です。クールそうな1stヴァイオリン辻井さんのキャラ設定がw似合っている、まさしくそんな感じ。2ndヴァイオリン藤村さんも、客演だろうとアンベガファミリー、ばっちり決めてます。ハマってるwヴィオラ馬渕さんの扱いがwチェロ近藤さんとクラリネット鈴木さんの”設定”が凄くハマっている。ファゴット星野さんは、控えめそう…だけどしっかりちゃっかりw大きなコントラバスを持って小走りで登場する新さん。コントラバス持って歩くだけでも大変なのに、小走りなんて凄い。そして最後、ホルン池田さんが…例のアレとはこれかー!!w
(すみません、ネタバレしませんので、是非ともコンサートでこの楽しさを味わってください)
 最後に、全曲通して。アンサンブルって、凄いな。本当に楽しい。アンベガというこのアンサンブルも楽しい。
 私はピアノで、いつもソロなので、アンサンブルっていいなと思わずにはいられません。

【抱きしめたい with Mozart】
 第1部最後は、ビートルズの「抱きしめたい」。でも、そのままで終わりません。いわゆる「混ぜるな危険」いや、「混ぜるな自然」。原曲なんだっけ…原曲どこ行った!?w

 最初、「すみれの花~」で生アンベガに感激して涙出そうになったのに、その後は、笑って涙出そうになりましたwもうどうしようこのアンサンブル…でも、演奏は真剣、それぞれのパートの絡みが絶妙で立体的。アンベガの音楽にすっかり魅了されてました。
 休憩を挟んで第2部へ。

 長くなりそうなので、覚え書きも第2部と分けます。…自分でもどこまで詳しく書こうか、書きながら悩んでます。別に割愛してもいいんじゃないか…いやいやこれを外してアンベガは語れない…葛藤しつつ書いてます…。
 ということで、続く!→ 後編
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by halca-kaukana057 | 2013-12-02 21:15 | 音楽

今の積み重ねの先に「見える」もの ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」全体感想

 感想記事がシリーズになってしまっています…。
ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」(作曲:宮川彬良、脚本:響敏也、演出:佐久間広一郎、演奏:セントラル愛知交響楽団)。
 後編の放送からも1週間過ぎました。そろそろ全体の感想を書きたいと思います。
◇番組公式&全編丸ごと聴けます:FM AICHI:ラジオミュージカル「あしたの瞳」
 以下思い切りネタバレしますので、ネタバレしたくない人はまず公式で全編聴いてね~

【これまでのシリーズ記事】
・前編・作品概要の感想:「見える」とは何だ? ラジオミュージカル「あしたの瞳」前編
 ↑前編で流れた歌リストあり。
・前編の覚え書き: ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」前編 覚え書き
・後編の覚え書き:ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」 後編 覚え書き
 ↑後編で流れた歌リストあり。

 前置きとして、他の本や音楽などの作品の感想記事でも、「自分はどう読んだか」について書いてきたのですが、今回はその色を濃くしようと思います。というのは、この作品のテーマは”「見る」「見える」とは何か?”前編の感想記事でも書いたのですが、前編の冒頭での語りにこうあります。
見るものは同じであっても、
見る人間によって、見る環境によって、その見方によって
それは様々に変化してしまう
ならば、人はたとえそれが歓喜の時であったとしても、苦渋の時であったとしても
その見方次第で違った光景を、自らにもたらすことになるだろう

 この「あしたの瞳」というひとつの作品も、「見る人間によって、見る環境によって、その見方によって それは様々に変化してしまう」。
 元々はオペラの作品で、ラジオでは「見えない」けれども、私がこの作品をどう「見た(聴いた・読んだ・感じた・考えた)」のか、この作品から何を思ったのか。私の「見る」「見える」こととは何か?そんな”私の視点”で書きたいと思います。

 まず、この作品には3つ、テーマがあると読みました。
○「見る」「見える」とは何か
○つくること。何かをつくることへの情熱・よろこび

 この2つを元に、もうひとつ
○時間の中で、人間が生きるということ

 ひとつずつ、いきましょう。

○「見る」「見える」ということ…何を「見る」?どう「見る」?…「見方」
 いきなりメインの、結論となるテーマに入り…ませんw結論までの過程にある「見る」ことについて。冒頭で書いた見方について。

 主人公・常一にとって、大きな意味を持つ「見た」もの…戦中・終戦直後のこと。常一は戦中・終戦直後にあったことを、前編で忘れようにも忘れられない辛い思い出と振り返る。
 戦時中、学徒動員で兵器の部品を作っていた常一と、先輩の坂本。作っているものが、兵器になり、人を殺す、命を奪うものとなる。そんな現実に向き合い、ショックを受ける常一に、坂本はこう言う。
心ない技は、世の中を住みづらくする。
心ある技は、世の中に笑顔を運ぶ。
技術のよしあしを見分ける方法は、それに尽きるだろう。
その技術が人によりよい未来を運ぶかどうかだ。

 この坂本の言葉が、後の常一に影響を与える。坂本のこの言葉と考えは、当時の日本の社会情勢では公には言えないこと。元々手先が器用で、旋盤の技術もすぐ習得してしまった常一にだけは話せたことだと思う。常一のその高い技術を認めていたから、その技術が世の中に、人に笑顔を運ぶ未来がいつか来ることを信じていたのだろう。だから常一には伝えたかった。常一もその坂本の「見ていた」であろうものを、その言葉で受け取った。そして、その技術・腕を磨き、その後の常一に繋がってゆく。

 終戦後の混乱期、飢えた人々が食料を奪い合っている。その様を「見て」、その奪い合っている人々は自らの姿を見失っている、と。これも、後に関わってくる「見方」。
 そして、コンタクトレンズという”眼に入れるレンズ”の存在を知り、でも実物を見られなかったので自分で作ろうと決意し、作り始めた常一。このコンタクトレンズを作るために手に入れたアクリル板。これは、戦闘機の部品・窓の部分だった。
 戦争の部品を作ることで更に磨いた技術。そして、戦争のために使われた兵器の部品。それを使って、平和な時代、平和な世界を「見る」ためのもの…コンタクトレンズを作る。

 先日聴いた、NHKオーディオドラマ「天空の道標」でも、戦時中、戦場に向かうために星を使って現在位置を調べていた。星も戦争の道具だった…と振り返る老いた男に対して、その男の無事を祈り続けていた少女にとって星は希望の象徴だった。戦時中、ある場所・ある人にとっては戦争の道具だったとしても、同じ時代の同じ状況に置かれていたとしても他の場所・他の人にとっては全く異なるものとなる。

 常一にとっての、自分自身の手先の器用さ・技術も、戦時中に戦闘機の部品だったアクリル板も、戦後、コンタクトレンズを作ることで全く違うものになってしまった。「見方」が変わった。坂本の言葉の通りに。

○つくること。何かをつくることへの情熱・よろこびと”今・この時”
 次、つくること。先にも述べたように、常一はとにかく手先が器用。つくることが好きで、老いて現場を離れても、何かをつくっていないと気が済まない。
 戦後、働いていた眼鏡店で知り合ったアメリカ人から、コンタクトレンズの存在を知る。しかし、見せてはもらえない。見たい、でも見られない…ならば、自分で作ればいい!と、コンタクトレンズの資料も何もないのに、作り始めてしまう。手探り、試行錯誤の先の「見えない」作業のはずなのに、連日徹夜してでもただ作りたい。作ることの疲れなら、苦労だと感じない。つくることはよろこびだ。歌「光と歓びを作る歌」で、そう穏やかに歌われている(この歌が好きだ)。レンズ作りに没頭する毎日…常一は”今・この時”に集中していた。
 なにかを「作ること」は、”今”に集中することだと思う。目の前にあるもの・レンズに向かう。作っている”今”は、”今”でしかない。”今”以外の何物でもない。どうやっても、二度と同じものは作れない。だから、たのしいのだろう、きっと。常一にとってはそれはレンズでもあるし、ヒロイン・君代に語る言葉
今日、いまこの瞬間が明日に繋がる。明日を作るのは僕自身だ。
僕は、僕を信じてくれるきみのためにも、きみが信じてくれる僕を、僕自身を作り続けるよ

 常一自身をもつくり続けていた。その作り続けていた自分自身は、どこへ向かうのか。次に続きます。

○過去・現在・未来を「見る」
 3つ目のテーマに行く前に、ここまでの2つのものを組み合わせてみます。
 まず、過去を「見る」こと。常一は常一自身の視覚的記憶の化身「眼球の記憶」とともに、自身の過去を遡る。そこで見た過去は、先にも書いたとおり辛い、残酷なものだった。しかし、常一はその過去から目をそらしていない。それを表しているのが、「過去を見続けるために」の歌詞のここ。
過去の記憶を消そうとするから 過ちをまた繰り返す
過去を見続けるために これでレンズを作ろう

 よく、「~があったから今の自分がある」と言うことがある。よく使われる言葉・表現だ。常一も、戦時中の学徒動員が無かったら、戦争を「見て」いなかったら、コンタクトレンズ開発に繋がらなかったかもしれない。

 次、現在を「見る」こと。レンズ作りの過程で、出来たレンズを自分の眼に入れて確かめてみようとする常一。しかし、常一に恋する君代は、心配して止めてしまう。そんな君代に、常一はこう言う。
眼に入れて確かめてみなくちゃ、一体どんな風に見えるのか、それとも見えないのか
何もわからないじゃないか。
自分のこの眼で確かめてみなくちゃ何もわからない。
痛いとしたらどれほど痛いのか、そういう痛さなのか知っておきたい。いいや、知らなきゃいけないんだ。

 レンズを作っている”今”を、自分自身の眼で「見よう」としている。見えないかもしれないことも、痛みも。

 そして未来。続けて、常一は君代にこう語る。
僕は、人が見たいものを見る時に、役立つものを作りたい。
これまで自分の目で見ることができなかった人も、
不自由なく見たいものが見えるようになる。
そんな新しい世界が見たいんだ。

 コンタクトレンズ開発の先にある未来の世界。自分が今何を作っていて、それがどうなるのか。それが「見えて」いた。そのために、自分自身を作り続けていた。

 これを踏まえて、最後
○時間の中で、人間が生きるということ…過去の積み重ねの先の今と未来
 後編の最初、眼球の記憶の語り
人に何かが見えているとしたら、一体何が見えているのだろうか。
人が見る記憶の積み重ねは、人生をつくり、時に進む道を左右してしまう。


 そして、過去を遡る旅の終わり、「見る」ことの真実をいつ見せてくれるのか?と問う常一にこうも語る。コンタクトレンズを開発した常一に。
新しい見え方、新しい光を世の中に与えたのだ。
見るとは何だ。見えているとはどういうことなのか。
見ることの真実。それはお前自身の中に存在するものだ。
自らの明日の希望を見ることができるのは己のみ。
人は自らの道を切り拓く力を持っている。
それこそが、お前が生み出した、本当の”あしたの瞳”

 「目には見えない。しかし、そこに確かに存在するものが、ある。」
 コンタクトレンズの存在を知ったが、見たいのに見られない若き日の常一の姿に対する、眼球の記憶の語りですが、見えないけれども存在するもの…未来、未来の希望もそのひとつだと思う。はっきりとした未来の希望・夢を持っている人は別だが、未来は「見よう」としてもよく「見えない」もの。何となく「見えている」ような気もする。私はずっとそう感じてきた。この先、近い将来、自分が何をしているのか、何をしたいのか、あまりよく「見えない」。「見えない」ことにずっと不安を感じてきた。ここ数日、未明の空に「見たい」と探した淡い彗星のような、先日読んだ「夜明けのカノープス」(穂高明:著)で出てくる、空低くある星・カノープスのような。コンタクトレンズも、眼鏡も、彗星を観るための双眼鏡・天体望遠鏡も、ピントが合わなければ「見えない」。でも、ピントが合えば、暗い天体も観やすい暗い条件のよい空、カノープスがもっと高い空に見える位置に移動すれば、はっきり見えてくる。人間は、自らピントを合わせられる、移動することが出来る。積み重なった過去…たとえ辛くても肯定する見方を持ち、”今”に集中して、自分をつくり続ける。その中で見えてくる希望…その希望を見い出すことこそが、”あしたの瞳”だと。

 最後に歌われる「フィナーレ」を聴いていると、この物語は閉じて終わっていない、開かれた物語なんだと思う。眼球の記憶が「見ることの真実。それはお前自身の中に存在するものだ。自らの明日の希望を見ることができるのは己のみ。」と語るように、明確な答えは出していない。”あしたの瞳”という表現も、(いい意味で)曖昧で開かれている(それゆえ、わかったと思ったら、しばらくするとわからない…と揺れ動いていますw)。それを表現しているのが、「フィナーレ」で坂本→常一→君代の順にそれぞれの見い出した希望を歌っている。そして、その希望は、各々一人だけで見い出したものではない。後編で常一と君代の恋物語も描かれるが、ラブロマンスで流して…流せなかった。ああ、関係あったんだ!また、前編覚え書きの、冒頭の部分で老いた常一と坂本が対照的だと書いた。対照的なようではあるけれども、それは、坂本と常一が「見ている」ものが、置かれている状況が異なるから。坂本は、家族との中で希望を見い出したから。これに対になるのが、終戦直後の混乱期、食料を奪い合う人々が自分自身を見失っていた…他の人はどうでもいい、と思っていたからだろう。
 「フィナーレ」を何度も何度も聴いていると、開かれた物語の先に向かおうという気持ちになってきます。この物語の先に、自分自身の物語もある。最近自分の周りで「見た」こと、体験したこと、思ったことも、この物語に繋がってきて、それも交えて書きました。壮大になったな…(したのは私かw)

 あと、この物語は戦争も描いているし、常一のコンタクトレンズ開発の過程も想像以上に大変なものだったかもしれない。でも、物語全体には”光”があって明るい。前編の戦中・終戦後の混乱期のあたりは影がありますが、それを後編でそれらを”光”に変えるような力強さ、まっすぐさ、熱さがある(「過去を見続けるために」のあたりではっきりとする)。きっと、物語のどこに光を当てて、どう「見せる」か、どう見せようとしたかったのか。そんな「見方」もこの物語は含んでいると思います。

 物語の面の感想ばかり書いてしまいましたが、宮川彬良さんの音楽もどれもツボです。ハマってます。常一のテーマともいえる「もう一つの瞳」が様々な形に変奏されて、音楽も紡ぎだされているのもいい。それが、最後にはあの「フィナーレ」になる…胸が熱くなる。歌ももう暗記して歌えそうです…(実際、部屋にひとりでいると口ずさんでますwただ、歌詞がわからないところが少なくないので、そこらへんは曖昧。)
 あと、キャストの皆さんの声がハマっていて、特に安冨さんの若い常一。爽やかな好青年っぽさがよく出ているなぁと感じました。眼球の記憶の塚本さんも、惹かれる声です。…声フェチか私は?w

 先述しましたが、このラジオ版の元はオペラ。
◇オペラ公式:メニコンスーパーコンサート2013:歌劇「あしたの瞳」
 演奏は新日本フィルハーモニー交響楽団。オペラとは変えてある部分がかなりあるようです。特に「フィナーレ」を聴いていて、オペラを観たいと思いました。再演希望です!

 オペラの再演もですが、その前に、劇中の楽曲を生で聴けるコンサートもあります!
新日本フィルハーモニー交響楽団:特別演奏会コンチェルタンテ・スーパー宮川彬良vs新日本フィル☆チョー年越しコンサート2013→2014
 毎年恒例の彬良さん&新日本フィルの年越しコンサート。ここで、劇中の曲も演奏、オペラのソリストも登場とのこと。どの曲なのか、出演者は不明。気になる…。

 以上、長くなりました。どうしてこんなに長くなる…。

【2013.12.20 追記】
 上記オペラ公式サイトに、公演の模様がアップされていました!
メニコンスーパーコンサート2013:歌劇「あしたの瞳」:当日の風景

 公演のダイジェストムービーを観て、驚きました。ラジオ版と全然違う…全くの別物じゃないか!!!
オケも違うし編曲も違う、演奏もたっぷりと抑揚・強弱をつけていて、熱い。彬良さんの指揮が熱い。これがライヴ、初演の熱さか。これに、物語そのものも熱さ・情熱がこもっているのだから、これは劇場で観たら自分どうなるかわからない…。ラジオ版は随分とすっきりさせていますね。舞台での生の演奏・演技と、ラジオ放送が目的の録音では鳴らし方、響かせ方、歌い方、語り方も異なりますね。
 公演の画像がほとんどなかったので、キャストのビジュアルもはっきりとわかりました。ラジオ版で映像・画像無しでずっと楽しんできたので、オペラはオペラ、ラジオ版で想像した自分のイメージは自分のイメージでたのしむことにします。
 ダイジェストムービーだけでなく、作品紹介、登場人物紹介、物語についても詳しく書かれています。しかし…、「作品紹介」で、この記事も含むこれまでの関連記事で、考えて書いてきたことがあっさりと数行で書かれてしまった…ちょっとしょんぼりです。まぁ、答えあわせという訳ではないし、自分なりの読解はこれなので、これはこれ、公式の作品紹介は作品紹介で割り切ります。
 「ストーリー」も、ラジオでは断片的にしかわからなかった情報が書いてあるなぁ。オペラでは語られた(ラジオでは省略された)のかなぁ。やっぱりオペラとラジオ版は別物な作品であると感じます。ほぼ同じなんだけど、また違う。まず、オペラとラジオ版で編曲が違う、編曲を2種類用意していたことに驚きです。とても手が込んでる。脚本も書き直したところがあるだろう。
 最後に、ダイジェストムービーで、”舞台音楽家”の彬良さんを初めて観たと感じました。テレビとも、コンサートとも違う、舞台作品の指揮をしている彬良さん。当然あの軽快でユーモアたっぷりのトークは無し。彬良さんの音楽で、その舞台の作品の世界がつくられる。その様を少し垣間見た気がしました。

 ということで、再演お願いします!馳せ参じます!
以上、長い追記ここまで。
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by halca-kaukana057 | 2013-11-19 23:33 | 音楽

ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」 後編 覚え書き

 3日の前編に引き続き、10日に後編が放送された、ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」(作曲:宮川彬良、脚本:響敏也、演出:佐久間広一郎、演奏:セントラル愛知交響楽団)。
◇番組公式:FM AICHI:ラジオミュージカル「あしたの瞳」
 ↑前編も後編も、公式サイトに丸ごとアップされてます。通して聴けます。

 (放送の都合上)前編と後編に分かれてはいけれど、元はひとつの作品(元は3時間にもわたるオペラ)。なので、前編・後編に分けて感想を書くのはおかしいような気もします。が、後編を聴いて自分の中で感想が”更新”される前に前編の感想・覚え書きを書きました。後編も放送され、全体の感想を書きたいところなのですが、まだ自分の中で考え中のことも多く、まとめきれない。あと、歌の歌詞が聴き取れず、悩んでいるところも。こんなに耳を澄ましてラジオ番組を聴いたのは初めてかもしれない(しかも何回聴いてるんだってぐらい…)

 ということで、前置きが長くなりましたが、後編の覚え書きです。全体の感想はまた後日。

・前編・覚え書き編:ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」前編 覚え書き
・前編の感想というか…概要の感想?:「見える」とは何だ? ラジオミュージカル「あしたの瞳」前編

 まず、後編の歌のリストを。放送局のオンエア曲リストに題名が載っていたものから。括弧内は役名です。
1.どう作る?(レンズの歌):安冨泰一郎(田宮常一)・コロス
2.光と歓びを作る歌:安冨泰一郎(田宮常一)・コロス
3.あんな人:楠永陽子(花井君代)
4.透明で光を通し:安冨泰一郎(田宮常一)、楠永陽子(花井君代)
5.過去を見続けるために:安冨泰一郎(田宮常一)、楠永陽子(花井君代)
6.磨き歌:コロス
7.磨き歌:コロス
8.なぜ何故なぜ:安冨泰一郎(田宮常一)、楠永陽子(花井君代)
9.磨き歌:コロス
10.Hi! Joe!:松波千津子(シンディー・フェルダー)
11.サリヴァンの歌:塚本伸彦(アンソニー・サリヴァン)、安冨泰一郎(田宮常一)
12.自転車ソング:安冨泰一郎(田宮常一)、コロス
13.二人で観る:安冨泰一郎(田宮常一)、楠永陽子
14.フィナーレ:安冨泰一郎(田宮常一)、塚本伸彦(眼球の記憶)、楠永陽子(花井君代)、松本千津子(シンディー・フェルダー)、安田旺司(坂本義三) ほか

 後編は歌が増えました。更に、ヒロイン・君代の登場で、前編と歌の雰囲気も変わっています。

・オープニング:「眼球の記憶」の語り
 後編でも鍵となる言葉を語っていたので、書き起こしておきます。
人に何かが見えているとしたら、一体何が見えているのだろうか。
人が見る記憶の積み重ねは、人生をつくり、時に進む道を左右してしまう。

 BGMは前編ラストの「もうひとつの瞳」。常一のものづくりへの情熱のテーマとも言える曲。
 前編のおさらいなのですが、ただのリプレイになってないところがいい。眼球の記憶の語り、前編のラストから続いている音楽を引き継ぎ、前編のラストでこの手でコンタクトレンズを作りたいと決意する常一の情熱がじわじわじわじわと盛り上がってゆき、そのまま後編に入れます。熱いです。


・♪「どう作る(レンズの歌)」
 暗い、切迫した短調曲。コロスも迫り来る。見たことも無い(見せてもらえなかった)、ただ「眼に入れるレンズ」という情報だけでコンタクトレンズの姿、作り方を必死に考えている常一。そのうち、ひらめいて少し長調へ。でも、まだ何か不安定さがある。
 歌の後も、歌の内容と同じことを考え込む常一。黒目を覆う…というところまでは答えは出たけど、それをどう作る?
「えーい!くどくど考えるのは性分に合わない!」考えるより実践の人。
 この常一がひとり考えているシーン、BGMが鳴っている(曲名不明)。後編は台詞部分のBGMが増えます。

・レンズを作ってみている常一。前編のシンディー登場前に流れていた、あの明るいBGMが。これはやはり働く常一のテーマか。そしてこの曲、「もうひとつの瞳」、オープニング・エンディングに流れていた曲であり、最後に出てくる「フィナーレ」である曲の変奏だった!
 徹夜でレンズを作り、朝になってお隣のおばあちゃんと話す常一。徹夜明けなのに、常一は爽やかな好青年。
♪「光と歓びを作る歌」…穏やかな歌。作るたのしみ、よろこび、心から作りたいと思っているだけ。
眼に入れるレンズを作れば
お前には ものを作り出す歓び
人々には 新しい瞳のよろこび
試行錯誤のはずなのに、たのしくて仕方ない。作る先にはよろこびがある、と。常一自身にも、世の中にも。

・君代登場。常一に恋心を抱いている。でも、常一は仕事、レンズばかり…何がたのしいの?わからない。自分のことを見て欲しい…。そう思いつつも、
あの人の瞳は、まっすぐ何かを見つめている。
あのまっすぐな瞳で、一体何を見つめているのかしら。
せめて、あの人と同じものを見れたらいいのに。

♪「あんな人」
 常一との心の距離を嘆く…遠い。走っても、遠い。(切ないなぁ…。)
 一転して長調、ここからは常一のどこに惹かれているのか。純朴な常一の姿。
 でも、あの人のどこがいい?忘れたい…揺れ動く恋心。最後の音が可愛らしいのが、恋する乙女ですね。

(※追記
 この、君代がひとり常一のことを想うシーン…常一は「見ていない」はず。勿論、君代の心の内をこの時知る由も無い。常一の視覚の記憶に無い、はず=眼球の記憶も再現できない。…あれ。あれ…あれ…!!?
 常一がどこからか見ていたなんて、この常一の性格からは想像できないし、後で君代から聞いて知ったとしても、それは常一のこの時の視覚的記憶ではない。君代の記憶から借りてきた…いやいや眼球の記憶はあくまで常一の記憶。後で出てくるけど、「それ以上でもそれ以下でもない」。…!!?)

・君代の前に常一登場。常一が欲しがっていたものを持ってきた。(前編でもそうだったが、驚き、興奮する常一のストレートな感情表現がいい。爽やか。)
♪「透明で光を通し」
 (オペラの公演前、彬良さんがラジオでオペラのことを話していて、この歌が流れました。「合成樹脂~」…合成樹脂なんて言葉がオペラの歌詞になるんかい!?と思っていた歌…という印象が強くてどうしようw)
 レンズの材料になる合成樹脂を手にした、希望が見えてきたものの、
一体いつになったら 人のレンズに生まれ変わるのか
常一もまだ不安なのか…最後の音が不安定。

・君代が持ってきた合成樹脂、アクリル板。これをどこから?→君代の父が軍の関係者から特別に分けてもらった (←君代は、結構いいところのお嬢さん?)
 これは元々、戦闘機・爆撃機の風防…”瞳”だった…。
 特攻兵たちは、このアクリル板を通して、何を見ていた?ふるさとを、自分の行く末を…。
 米兵は、日本の町をこれを通して見ていた…。
 (昨日の記事で書いた「天空の道標」を思い出します。)
♪「過去を見続けるために」
過去の記憶を消そうとするから 過ちをまた繰り返す
過去を見続けるために これでレンズを作ろう
(この歌詞がグッと来ます。)

 眼球の記憶の語り:常一がその手先の器用さを培ったのは、学徒動員で兵器の部品を作っていた時。
そんな常一が、戦争で培った技術と道具で、戦後の平和な時代、平和な世の中を見るための道具を作ろうとしている。
 人間とは面白いと笑う眼球の記憶…(眼球の記憶は、常一の見たものの記憶。でも、立ち位置は常一そのものとは少し違う位置にいるようだ。)

・♪「磨き歌」(1:前奏あり)
 リズム、音色が、”ブンチャカヤマト(「ヤマト2199」劇判「ヤマト渦中へ」の俗称)”ですね…ブンチャカいってます(何故この発想になるw)
 働く常一のテーマを短調にしたものだ、これ。
 まさに研ぎ澄まされるような、鋭さが印象的な曲。

 レンズが出来たのでつけてみよう! …止める君代。
 その君代に覚悟を語る常一。自分のこの目で確かめてみなきゃ、何もわからない。痛いとしたらどれくらい、どんな痛さなのか。(常一は理工系ですな)
 自信はある! 完全にレンズ作りを楽しんでいる。
♪「磨き歌」(2回目)同じ歌なのに、1度目よりも更に強さを増したような気がする。

・常一を心配する君代。
 君代に、このレンズを作ることで何をしたいのか語る常一。BGM:「二人で見る」(後で出てきます)
 人が見たいものを見る時に役に立つものを作りたい。自分の目で見ることが出来なかった人も見たいものが見られる。そんな新しい世界が見たい…君代さんと一緒に。(告白来た!!)
 君代:何故?理由は? …!!? この2人のやり取りが微笑ましいw
♪「なぜ何故なぜ」2人のラブソングです。ちょっと論理的、でもファンタジック。君代がリードしつつ、常一も追いつく。幸せな、ロマンティックな、きれいな音だ…。

 ↑これに対する眼球の記憶の反応がw(一番恥ずかしがっているのは眼球の記憶の気がするw)
  このシーンでいつも笑ってしまいますw
 ”恋は盲目”自分も相手も「見えていない」 …見えていないとこうなる、と。
 共に見ている、現在の老いた常一にも「しっかり見ておけよw恥ずかしくて見てられないかwww」
 この時の常一の反応は無し(というよりも、ずっと出てこない)実際の反応は?さて。

♪「磨き歌」(3回目)
 今度は出来た!君代も止めない。つけてみた…見える、痛くない!
BGM:もう一つの瞳…出来上がったよろこびの表現。
 でも、まだやることはある。様々な条件下で使ってみなくては。(やはり理工系)

 眼球の記憶の語り…その努力はすさまじい、どこまでも一途。
 シンディーからコンタクトレンズの話を聞いてから、3ヶ月足らずで作ってしまった…それマジですか、史実ですか!!?…調べてみよう…。事実だとしたら、とてつもないぞ……!!
【追記 2013.11.23】
 調べました。

人工臓器物語―コンタクトレンズから人工心臓まで (ポピュラー・サイエンス)

筏 義人 / 裳華房


 この本に書いてありました。常一のモデルである田中恭一氏が、コンタクトレンズを作ろうと取り掛かってから、3ヵ月後に角膜コンタクトレンズを作った、と。事実でした…!!!
 他にも本を探して読んだりしたのですが、日本のコンタクトレンズ開発史は紐解くととても興味深い、面白いです。(一番最初の前編・概要の感想参照)
 <追記ここまで>

・BGM:働く常一のテーマ(もう勝手に題名つけました)
♪「Hi! Joe!」シンディー再登場。相変わらずのテンションw
 コンタクトレンズの専門家の医師、サリヴァン先生を連れてきた…もう自分で作っちゃいました。
 サリヴァン先生、非常に上から目線。これがコンタクトレンズ?しかも医師でもない素人が作った?
♪「サリヴァンの歌」1950年代アメリカの雰囲気の曲。コミカル。
 ※サリヴァン先生役は、眼球の記憶役の塚本さんが2役でやってます。眼球の記憶と声の感じが全く違う。ノリは似てはいますね。オレ様の雰囲気がw
 完全に上から目線。医師として、コンタクトレンズの専門家としてのプライドなのだろう。戦争に勝った国としてのプライドも。この当時、まだGHQ統治下。

 でも常一はぶれません。間違ってない、このコンタクトレンズは譲れない!
 実力を見せてあげましょう!全く引かない。
♪「自転車ソング」…「磨き歌」と同じメロディー。だけどテンポが少しゆっくり。
 コンタクトをつけたまま、自転車に乗っても大丈夫か…大丈夫!間奏から長調へ。自転車で走る。
 爽快なまま、ラスト「瞳の上にレンズはあるよ 希望があるよ」

・これが僕のコンタクトレンズだ!! BGM:「なぜ何故なぜ」サリヴァン先生の頭の中で何故、Why!?と止まらないのでしょう…。
 でも謙虚な常一。まだ完成品じゃない。むしろこれから。お互いの道を進み、学びあいましょう、と。(どこまで好青年なんですか常一…!)
 ところで、サリヴァン先生が「こんな魚のうろこみたいなレンズ」と言ってましたが、サリヴァン先生が開発・研究していたのは「角鞏膜コンタクトレンズ」だと思われる。角膜(黒目)の部分だけでなく、強膜(白目)の部分も覆う形のコンタクトレンズ。一方、常一がつくっていたのは、角膜(黒目)だけを覆う「角膜コンタクトレンズ」。大きさが違ったのですね。
◇参考資料:ウィキペディア:コンタクトレンズ
(この物語のおかげで、コンタクトレンズの歴史・仕組みに詳しくなっている気がする…。コンタクトは勿論、眼鏡とも縁は無いのですが…)


・常一と君代。BGM:もうひとつの瞳
 これからの生涯をコンタクトレンズにかける…なら私は、この人生をあなたにかける。
君代さん、きみは本当に素敵なんだ。僕に無限の明日を見せてくれる。
今日、いまこの瞬間が明日に繋がる。明日を作るのは僕自身だ。
僕は、僕を信じてくれるきみのためにも、きみが信じてくれる僕を、僕自身を作り続けるよ
鍵となる言葉です。

♪「一緒になろう」プロポーズソングです。

・そして現代へ戻る…常一「おい、目玉幽霊」←結局「目玉幽霊」呼ばわりで終わってしまった…w
 見ることの真実とやらを、いつ見せてくれるのか?
眼球の記憶:オープニングの語りで言った言葉をもう一度。
ここで、眼球の記憶が語るバックで、コロスがアカペラコーラス。とてもきれい。賛美歌のよう。ただ、歌詞が全部わからない…聞き取れない。
 眼球の記憶が語りかけた言葉…何故常一の記憶を遡り、常一と見てきたのか。常一に見せたのか。
 つまり、常一の記憶の中に、「見ることの真実」がある…。このあたりは全体の感想で。

♪「フィナーレ」 何度聴いても気持ちがいい、声も音楽も心も広がる歌。
坂本→常一→君代とソロ。それぞれの「希望」を歌う。
これも歌詞がわからないところが多い…。わかる範囲では、歌詞は凄く好き。高揚感がすごい。
そして、このフィナーレを聴いて、「オペラを観たい!!」と強く思った。ガツンと来た。
このあたりに関しても全体の感想で。

・後編は、常一のコンタクトレンズ作りにかける情熱が、とにかくまっすぐで、一途で、ひたむきで、ぶれない。熱い!爽やかな熱さ。しかも作ることは苦労なんて全く言わない。ラジオだから表情は見えないけれど、真摯で穏やかな表情が見えるよう。
 1度目を聴いた後、しばらくその熱さにやられてました。今も何度聞いても熱いなと思う。

・元はオペラのこの作品、歌はオペラ。前編でも思ったのですが、歌っているのはプロの声楽家・オペラ歌手。なのに、一緒に歌いたくなる、口ずさんでしまう(周囲に誰もいなければ)。歌いたくなる。歌詞も可能なかぎり覚えましたw覚えてしまいましたw
 脳内リピート率も高いです。仕事している時、常一の働くテーマとか、「磨き歌」が出てくるw「もうひとつの瞳」はとても好きな曲・歌ですし、「フィナーレ」も病み付きになる。

 以上。覚え書きでした。

【続きの記事】
・いよいよ、全体感想へ:今の積み重ねの先に「見える」もの ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」全体感想


2013.11.14:君代のシーンのほか、あちこち追記
2013.11.23:コンタクトレンズの歴史について追記
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by halca-kaukana057 | 2013-11-13 23:18 | 音楽

ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」前編 覚え書き

 先週前編が放送された、ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」(作曲:宮川彬良、脚本:響敏也、演出:佐久間広一郎、演奏:セントラル愛知交響楽団)。今日、後編の放送です。
・前編…というか概要の感想(?):「見える」とは何だ? ラジオミュージカル「あしたの瞳」前編

◇番組公式:FM AICHI:ラジオミュージカル「あしたの瞳」
 ↑公式に、放送された前編が丸ごとアップされてます。今からでも聞けます!後編もアップされる予定です。

 さて、後編を聴く前に、前編を聴いての感想や気づいたことをメモしておこうと思う。上記した前編の感想も、物語の概要の感想になってしまい、音楽や歌のことは書いていなかった…(それだけ物語に圧倒されたというか、ドツボだったというか。)
 後編を聴いたら、前編で思ったことが上書きされてしまう。その前に、書いておきます。
 以下箇条書き。

・オープニング、眼球の記憶によるナレーション(中身は上記前編感想に書き起こししてます)
 BGMはこの後で常一と坂本が歌う「あの空を観ていた」の演奏だけヴァージョン。(歌われた曲名についても、前編感想を参照ください)
 ナレーション後、序曲らしい曲。前編の最後に常一が歌う「もう一つの瞳」のワルツバージョン?

・舞台は現代、常一と坂本。
 常一と坂本の老後が対照的。常一は会長になったのに、現場にいたいと思っている。手を動かして何かを作っていないと気が済まない。手先の器用さを保っていたい。自分が年寄りだという気がしない。
 ものを作ることに対して、楽しみ、誇り、自信、情熱を持っている。
 一方の坂本は、「いいおじいちゃん」。完全に引退。

・戦中、戦後間もない頃のことを思い出す2人。
♪「あの空を観ていた」…穏やかな曲なのに、歌われる中身はつらいもの。戦争と、その道具を作っていた2人。
・「何を見て、何を見ずにいたのか」
 「あの日の青い空」…晴れた青い空、一方で晴れない、沈む2人の心。

・ノイズのように入ってきて、現れる眼球の記憶。
 ♪「わしはお前だ」…ド派手w堂々と力強く、のびのびと。(この歌大好きだw)
 後で気がついたが、眼球の記憶が歌うのは、この歌だけだった。(後編で出てくる?)

・眼球の記憶のことを認められない、信じられない常一。2人のやりとりがコミカル。
 眼球の記憶は、常一が見たものの記憶…2人は似たところがあるかも。2人ともどこかとぼけている。自信家なところもある。眼球の記憶は「オレ様」だが…w
 
・♪「音が見える」常一の息子・友則。他の人には見えていないものが、見えている…OPのナレーションを思い出させる。
  息子の昔を思い出す。その息子は今?

・何故眼球の記憶がやってきたのか…ものが見えることについて考えてもらいたい。コンタクトレンズを開発し、人に見える喜びを与え、それが人々の暮らしの中に生きている…という革命を成し遂げた常一に。
 ここのBGM:「もう一つの瞳」オーケストラのみ…「もう一つの瞳」、常一のテーマか。
♪「みるみる見える」…壮大なコーラス。コンタクトレンズの普及と喜びを表現。

・「目玉幽霊」…ここでいつも吹くw
 眼球の記憶は、このあと常一にちゃんと呼んでもらえるのだろうか…?w

・「見る」ことについて考えるため、常一の記憶の旅へ。
 まずは戦後間もない頃。
♪「焼け跡タンゴ」…飢えた人々、食料の奪い合い。
 最初に常一と坂本が思い出し、語っていたもの。ここではリアルに、生々しく、おぞましく。「見た」強烈な記憶の再現。
 「あの空を見ていた」で、「何を見て、何を見ずにいたのか」…このことはちゃんと「見ていた」。目を背けていなかった。

 ここで、常一、「やはりこの旅のお供はお前…」と認めるが、「目玉幽霊」w

・次の旅:戦中。
♪「見えるぜ、俺たちゃ」…空襲、燃える街を「見ている」…バス・低音のうなりの強さ。彬良さんのこういう激しい短調曲が好き。
♪「旋盤ソング」…学徒動員の工場。ハーモニーの中から突出するソプラノ…戦争の狂気?
 工場の若き坂本と常一。
 戦争の、命を犠牲にする道具を作ることに対して、常一は認めている。坂本は認めていない。
以下坂本の台詞。
心ない技は、世の中を住みづらくする。
心ある技は、世の中に笑顔を運ぶ。
技術のよしあしを見分ける方法は、それに尽きるだろう。
その技術が人によりよい未来を運ぶかどうかだ。
 (この台詞が印象的、好きだ…。)
♪「ワザワザの技」…歌の後のコーラス部分が不思議。
 心ある技。常一のものづくりの原点に。
 「見る」「見える」というメインのテーマのほかにもう一つのテーマ「技・つくること」

・次の旅:戦後、常一は眼鏡店で働いている。
明るいBGM、働く常一の様子?
♪「Hi! Joe!」…シンディー登場。コミカルな、ハイソプラノ。眼球の記憶と同じぐらい強烈な個性w
 常一の技術を認めている。一方の常一:楽しくて仕方ない。手先指先を使っていると、新しい考えも浮かんでくる…コンタクトレンズ開発フラグ?
 そして、コンタクトレンズの存在を教えるシンディー。
♪「眼に入れるレンズ」…眼鏡は友達、コンタクトレンズは恋人。
 存在は教えても、見せられない、詳しいことは教えない。 (この時、まだGHQの統治下)
 「未来のレンズ。未来は、誰でも簡単に見られるものじゃありません」…と言いつつも、もしかしたら常一なら作れるかも…と期待していた?

・コンタクトレンズについて一人考える常一。見たくてたまらない。見たい、でも見られない…ならば自分で作ればいい!!
 ここの眼球の記憶ナレも重要。
♪「もう一つの瞳」常一の静かな情熱…徐々に盛り上がる。何度聴いてもグッと来る。心揺さぶられる歌。
 ピアノの高音が、憧れの音?
 コンタクトレンズを作ると、決意。 >後編へ!

・全体的に…音楽で金管が印象的。朗々と歌っている。
 弦が内面を語っているような。

・エンディング:これも序曲?「音が見える」ワルツバージョン→OPの序曲のような曲へ「もう一つの瞳」と「音が見える」が混ぜてある?…常一と友則、親子の繋がり、絆?

 以上。さて、後編は19時から、JFN各局で!
(放送局によって時間が異なるので、お聞きの放送局の番組表をチェックしてくださいね。でも、公式にアップされる予定なので、聞き逃しても大丈夫…だと思います。)

【記事も続く!】
・後編の覚え書き:ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」 後編 覚え書き
・全体感想:今の積み重ねの先に「見える」もの ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」全体感想
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by halca-kaukana057 | 2013-11-10 17:47 | 音楽

「見える」とは何だ? ラジオミュージカル「あしたの瞳」前編

 9月に初演された、宮川彬良さんの初オペラ「あしたの瞳」(脚本:響敏也、演出:佐久間広一郎、演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団)。観に行きたかったのですが行けず…しかし、昨日3日、そして来週10日の2回に分けて、ラジオミュージカル版として放送、上演です。

メニコンスーパーコンサート2013:歌劇「あしたの瞳」
 3時間にもわたる歌劇だったそうです。

FM AICHI:ラジオミュージカル「あしたの瞳」
 ラジオミュージカル版は、演奏はセントラル愛知交響楽団。前編・後編に分けて、それぞれ55分の放送(CMも入るので実質50分ぐらい)。ラジオで聞き取りやすくするために、セリフの部分は変えてあるようです。歌の部分も多少変更があるようです。歌つきのラジオドラマ、ですね。
 昨日の放送を聞きそびれた、聞けなかった方も、リンク先でフルでアップされています。聞けますよ!

 あらすじは、メニコンの創業者・現会長で国産コンタクトレンズを開発した田中恭一氏をモデルとした、田宮常一の半生を通して、「見える」とは何かを問う…というお話。

※常一は田中恭一氏をモデルとした人物、というところが抜けていました。上記訂正しました。ノンフィクションのフィクションの物語。失礼いたしました…。
 たとえると、小惑星探査機「はやぶさ」とプロジェクトチームを描いた映画が3本も公開されましたが、その3作も登場人物は実在するプロジェクトチームや関わった人々をモデルとしたフィクションの人物、でしたね。
 史実・コンタクトレンズ開発の歴史、田中恭一氏のコンタクトレンズ開発の経緯は以下リンク先でどうぞ
(これって、ネタバレ…?w史実なんだから仕方ない…歴史ものの映画やドラマ・大河ドラマと同じだ)
NAVERまとめ:日本初のコンタクトレンズは深い愛情と意地で誕生
かねやんの起業かわら版:田中恭一
ナゴヤラジオ:田中恭一(全8回)
 ↑田中氏のインタビューを音声でどうぞ。物語に関係があるのは第1・2回の部分。その後も聴いてみたが面白い。
読売新聞:地域:愛知:メニコン会長 田中恭一さんと父
読売新聞:マネー・経済:企業ナビ:七転八起:レンズ開発 自ら実験台
 ↑読売新聞に2本も記事がありました。お父様の話も。この前編で触れられますね。開発物語はまさにこの作品のモデルです。

 話をもとに戻しまして、物語は、こんなナレーションで始まりました。長いですが、書き起こし引用します。(違っているところがあればご指摘ください)
人に何かが見えているとしたら、果たして何が見えているのだろうか
何をもって、人は見えると感じるのだろうか
見える、とは一体どういうことなのか
視覚的には見えているつもりでも、本質的には見えていないこともあれば
たった一瞬の視覚的記憶が生涯を通して目に焼きつき
人生を左右してしまうこともある
見るものは同じであっても、
見る人間によって、見る環境によって、その見方によって
それは様々に変化してしまう
ならば、人はたとえそれが歓喜の時であったとしても、苦渋の時であったとしても
その見方次第で違った光景を、自らにもたらすことになるだろう
そして、誰しもが持つもうひとつの未来が目覚めて開ける
これは、そんな見ることの真実を
ものづくりに情熱を捧げた、ある男の瞳からつむぎだす物語である


 もうこれだけで引き込まれました。心臓わしづかみにされました。このナレーションとともに流れる音楽も、聴いた瞬間、彬良さんの音楽だ…!とここでも一気にわしづかみ。
 物語の中でも、主人公・常一と、常一が眼にしてきたものの記憶「眼球の記憶」が、ともに常一が見てきたものを振り返る中で、同じものを見ているのに人それぞれ感じ方が違う、自分で自分の姿を見ることは出来ない。そんなことが語られます。
 この「眼球の記憶」(塚本伸彦)がいい役、いい立ち位置にいる。最初は常一とのやりとりでコミカルなところも出しつつ、「見ること」とは何か、と常一と聞いている側に問いかけてくる。

 また、「見える」「見えない」…このテーマは、宮川彬良さんの作品ではよく出てくる問いかけです。NHK教育(Eテレ)「クインテット」でも、ピアノと管弦楽のための作曲作品である「風のオリヴァストロ」(新日本フィルとのコンサートシリーズ「コンチェルタンテⅡ」のテーマ曲とも言える作品)でも、「見えないけれども、ある」ということが「音楽」で語られます。
・参考過去記事(「クインテット」の放送の感想):見えないけれど、ここにある 今週の「クインテット」

 この物語でも、常一の息子・友則のエピソード・歌で「見えないけど、ある」ものについて語られます。これは私にとってドツボでした。

 以前、偶然ツイッターでこんなツイートを見かけました。引用します。
音楽が入ってくるのは耳からだけど、音楽を聴いているのはどこだろう。
彩季 (@hazure_o) 2013.10.31


 耳と音楽も興味がありますが、この耳を目に、音楽をものに変えると…この物語の問いにもなります。
 ものを見る時は目で見ている。でも、目だけでは見ることは出来ない。神経を伝って脳へ送られ、見ているものが何かわかる。記憶する。目の前にあっても、気にしなければ記憶に残らない、「見ていなかった」ことになる。物語の中で、「眼球の記憶」を幻覚だと常一が思うシーンがありますが、幻覚も、実際には無いものでその人にしか見えていないものだけれども、見えているのだから、見えるものなのかもしれない。
 また、見方でも異なる。人間の目は皆同じ…ようで視力も、色覚も異なる。上記の「クインテット」感想でも書きましたが、人間が見えるのは可視光線。それ以外の波長…紫外線や赤外線、X線や電波で見えるように、機器を使えば、普通では見えないものも見えてくる。レントゲン画像や、様々な波長で撮影した天体画像のように。

 そんなことを思いながら、冒頭のナレーション、そして物語を聞いていくと、「見る」「見える」「見ている」こととは何なのか…考えはじめると止まりません。
 とはいえ、前編はまだ物語の始まり。常一がコンタクトレンズを開発するまでの経緯、見てきたもの、経験したこと、そして眼鏡職人をしているうちにコンタクトレンズの存在を知ったところまで。目に入れるレンズ・コンタクトレンズの存在を知ったけれども、実物を見せてもらえない。コンタクトレンズを見たい、でも見れない。見れないならば、作ればいい…。常一がコンタクトレンズに対する情熱を語り、歌うところで、胸が一杯になりました。この時、常一にはコンタクトレンズはどんなものか、見えていなかった。でも、そんなものがある。どんなものかわからないけど、つくりたい。つくって、実物を見たい。後半、どうなるのか楽しみです。

 見られない、見えないことが、逆に想像力をかきたてる。「見ること」がテーマの作品なのに、音でしか聴こえない、その様子を見ることは出来ないラジオというメディアで放送したのも、深いなと感じました。どんなシーンか、想像する。9月の歌劇を観た方はイメージがあると思うのですが、逆に観てなくても楽しめる、というのが凄い。やられました。聞きながら、頭の中では自分なりのイメージがどんどん展開されていました。聴きながらイメージしていくのが楽しい。アニメとか漫画にしても面白そう…なんて思ったり。

 個人的なツボとして、常一が「眼球の記憶」のことをなかなか認めようとせず、しまいには「目玉幽霊」と呼ぶところで吹きましたwアメリカ人の友人・シンディー女史もコミカルです。でも歌うとハイソプラノ。セリフではコミカルなところはあるのに、歌になるとのびのびと、ふくよかに歌う。このギャップも聴きどころです。
 あと、「眼球の記憶」が、「上の命令」と話していたのですが、上…誰のことだろう?脳?神様とか?これも後半で出てくるのかどうなのか。そして、最後には「眼球の記憶」はどうなってしまうんだろう…。

 後編は、10日(日曜)夜7時から。地域によっては、放送時間が異なりますので、上記公式サイトとお聞きの放送局のサイトでチェックしてくださいね。聞き逃しても、また後編もアップされると思います。後編の前に、何度も聴いてしまいそうです。聴いてまた気づいたことや深読みしたことがあれば、加筆(または別記事に)します。
 ちなみに私は、MDラジカセ、PC,携帯(スマートフォンのアプリ)の3メディアで録音しましたw全部ばっちりです。しかも、放送局によって放送時間が異なるので、ラジオアプリを使って一番早い放送を聞いていました。後編は、アップもされるのでそこまでしなくてもいいかな…。早く続きを聴きたいので、聴いてしまいそうな気もします…w

 最後に、放送局のオンエア曲リストで、歌の題名も明かされていたので、引用しておきますね。括弧内は役名です。
1.あの日の空を観ていた:安冨泰一郎(田宮常一)・安田旺司(坂本義三)
2.わしはお前だ:塚本伸彦(眼球の記憶)・コロス
3.音が見える:伊藤佑悟(田宮友則)
4.みるみる見える:コロス
5.焼け跡タンゴ:コロス
6.見えるぜ、俺たちゃ:コロス
7.旋盤ソング:コロス
8.ワザワザの技:安冨泰一郎(田宮常一)、安田旺司(坂本義三)、コロス
9.Hi! Joe!:松波千津子(シンディー・フェルダー)
10.眼に入れるレンズ:松波千津子(シンディー・フェルダー)
11.もうひとつの瞳:安冨泰一郎(田宮常一)、コロス

 「コロス」はオペラのコーラスのことです。オペラのことはあまりわからず、調べました。モーツァルトやヴェルディ、プッチーニなど、オペラも聴いていきたいなぁ…。

【まだ続きます…続きの記事】
・前編の気づいたこと、思ったことを箇条書きしてみた:ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」前編 覚え書き
・後編の覚え書き:ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」 後編 覚え書き
・全体感想:今の積み重ねの先に「見える」もの ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」全体感想


※2013.11.6:加筆修正しました。
2013.12.20:新聞記事関係資料、続編記事へのリンクを加筆しました
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by halca-kaukana057 | 2013-11-04 23:37 | 音楽

私の音楽・ピアノの原点:「ブルグミュラー25の練習曲」をオーケストラで

 6月9日放送「題名のない音楽会」は、宮川彬良さんを迎えての回。ピアノ練習曲の定番中の定番「ブルグミュラー25の練習曲」特集。先月もルロイ・アンダソン特集をやっていましたが、今回はさらにパワーアップしたと私は見ました。なにせタイトルが
「バカにするなよブルグミュラー」

 なんと挑戦的で直球ストレートなタイトル。このタイトルを見て、「そうだそうだ!!」と拳を突き上げて全面同意しましたw

 観ていて、NHK教育「クインテット」のコンサートを思い浮かべていました。「クインテット」でも、「ブルグミュラー25の練習曲」の曲目がいくつも演奏されています。第2曲「アラベスク」、第14曲「スティリアの女」&第23曲「帰途」、第15曲「バラード」、第25曲「貴婦人の乗馬」。今回はこの中から、「帰途」以外を、オーケストラ編曲(+ピアノ)で演奏。「クインテット」コンサートをオーケストラ編曲にしちゃった!そんな感じで、嬉しくてたまりませんでした。「クインテット」が帰ってきたような気がして。3月末に終了して以来、思い出しては「終わっちゃって寂しい、残念、惜しい番組を…」と思ってきました。今回の番組を観ている間、何度「クインテット」カムバック…!と思ったことか。

 今回のオーケストラ編曲版、そしてアキラさんやブルグミュラーに詳しい音楽学者・西原稔さん、そして佐渡裕さんのお話を聞いていて、あらためてブルグミュラーの凄さ、楽しさ、魅力を実感しました。お話のあらゆるところで、「わかる、それわかる!」「そこ魅力ですよね」と相槌を打ってしまう。初心者向けだけどかっこよく聞こえる(簡単そうに見えるけど実は深い…これは私の視点)、曲が立体的、歌心がある、全ての曲にタイトルが付いていて親しみやすい・イメージしやすい…。
 また、アキラさん視点では、オーケストラをイメージして作曲したのでは、と推測。私も練習していて、この部分は弦(高音・内声・低音)、木管、金管、打楽器…とイメージすることが多かった。イメージすると、演奏しやすい。佐渡さんの音楽の基礎が詰まっている、にも同感。楽譜から音楽を読むことも、技巧も表現も、このブルグミュラーには詰まっている。

 お話のあらゆるところで「わかる!」と頷いてばかりだったのですが、「クインテット」では、編曲と演奏以外、説明は一切何もない。自分で練習した時は、楽譜などの解説も読みましたが、「クインテット」版の編曲や楽譜そのものから読み取れることを頼りに、どう弾いたらいいか、どう弾きたいかイメージして演奏していた。「クインテット」の、演奏・音楽そのものだけで、その楽曲の魅力や聴きどころを伝える力に、あらためて驚き、感服し、素晴らしい、本気の音楽番組だったのだなと実感しました。「クインテット」カムバック…!(2度目…って、これ「クインテット」の感想じゃない、「題名のない音楽会」の感想だ、自分よw)

 以前も書きましたが、私が「ブルグミュラー25の練習曲」と出会ったのは大人になってから。友人が弾いているのを聴いて気になり、その後「クインテット」で聴いて好きになり、自分でも演奏してみたいとピアノを再開。ピアノを再開したきっかけであり、私のピアノの原点である「ブルグミュラー25の練習曲」(+「クインテット」)。子どもも、大人も、初心者も、難曲を弾きこなすプロも、それぞれの立場で、それぞれのイメージで向き合い、進んでいける。それぞれの解釈がある。ブルグミュラーの魅力に再会、再発見した30分でした。



 以下、各曲の感想を。

○「アラベスク」
 ブルグミュラー25の練習曲で人気ナンバー1の第2曲。25曲ある曲集の第2曲でいきなり短調、しかも左手でメロディーを弾く部分もある、難しい曲でもあります。
 編曲は「クインテット」版と大体同じ。速いテンポで、ドラマティックに展開する音楽がかっこいい。冒頭「剣の舞」っぽいところがあると感じました。
 そういえば、同じく宮川彬良さん音楽担当で、同じ日曜の番組である(放送局は違いますが)アニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」の戦闘曲「ヤマト渦中へ」もこんな雰囲気。アキラさんはこういう編曲が結構得意なんだなぁと感じます(「クインテット」の「マイムマイム」の編曲も凄かった)

○「清い流れ」
 この曲はピアノソロ、原曲そのまま。アキラさんのピアノソロ…これはあまりお目にかかれない。貴重です、保存版です。感激して聴いていました。カメラもっと手を写して!!と連呼もしていましたw
 アキラさんが仰っていた通り、この曲は本当に立体的。メロディーがいくつも存在する。どれがメロディーか自分で決めて、オーケストラや室内楽のような編成・編曲をイメージして演奏するのも楽しい。
 アキラさんの演奏は、テンポ遅め。楽譜の指定ではもう少し速いです。でも、ゆっくりめでも、清らかに流れる小川がイメージできる。テンポの速さで、どんな小川か変えることが出来る。遅くしても違和感がない。すごいなと思います。私はこのアキラさん演奏のテンポが好きです。

○「貴婦人の乗馬」
 演奏前の解説で出てきたアキラさんの歌…どうしてくれるんですか! もう「♪上下動~上下動~私は貴婦人~」にしか聞こえなくなっちゃったじゃないですか!!w「クインテット」のベートーヴェン「交響曲第5番」”運命”第1楽章(これは「どれみふぁワンダーランド」も)といい、モーツァルト「フィガロの結婚」序曲といい…まともに聴けなくなった曲が増えてしまった…しかもブルグ25…。
 これも「クインテット」版とほぼ同じ。トランペットも、シャープ君のあのまんま。オーケストラだと音色も多彩です。

○「スティリアの女」
 「クインテット」版では「帰途」と一緒に演奏されていましたが、今回は単曲で。ピアノもなしで。「クインテット」版とアレンジも色々と異なります。クラリネットの部分が弦になっていたり。そんな違いが、またちょっと違う味わいに。
 アキラさんの妄想想像が楽しい曲です。

○「バラード」
 トリは人気ナンバー2の「バラード」。私も大好きな曲です。解説で、「ピンクパンサーみたい」というのに笑いましたwでも、「葛藤し、自問自答する」…同感です。ブルグミュラーがどんな作曲家だったのかの解説で、シューマンが出てきましたが、シューマンのような狂気、と以前私はこの曲を読みました。シューマンの二面性を象徴する、活発で行動的な「フロレスタン」と物静かで瞑想的な「オイゼビウス」のような。
 「クインテット」版よりもゆっくりめ。「クインテット」版の方が少しテンポが速く、メリハリがあってよりドラマティックです。オーケストラなら、そのドラマ性をもっと劇的に表現できるのに、抑え目にしたのがまた面白い。抑え目にした方が内面の葛藤が感じられる、かな?
 最後の音も、楽譜では「sf(スフォルツァンド)」。強い音でジャーン!と終わるのですが、このオーケストラ版でも同じように。一方、「クインテット」版は弱音で消え入るように。「クインテット」版の終わり方が、張り詰めた緊張感を表しているようで好きだったのですが、オーケストラだとジャーン!と強い音で終わっても劇的。室内楽とオーケストラでの違いが面白いなぁ。


 観ていて、一緒に音を口ずさんだり、指を動かしたりしてしまいました。ブルグミュラー25を、ピアノを弾きたくなった。ずっと離れているのに。そんな気持ちにさせてくれるブルグミュラー25(+アキラさん編曲+「クインテット」)は、やはり私のピアノの、音楽そのものの原点です。

f0079085_2303381.jpg

私のブルグ25楽譜。まだ手をつけていませんが、「18の練習曲」も持ってます。いつか演奏したいです。

◇番組公式サイト:テレビ朝日:題名のない音楽会
 今回の裏話もあります。
 ちなみに来週は、ストラヴィンスキー「春の祭典」特集。今年初演から100年を迎えたバレエ「春の祭典」。初演後、その音楽や振付の前衛さ・斬新さに、パリの聴衆が大騒ぎ・大乱闘になったという「ハルサイ」。ちょうど100年にあたる5月29日、TwitterでNAXOS公式さんを中心に「ハルサイ」祭り(+中二病音楽祭り)をやっていたのですが、楽しかったです。
 ゲストに池辺晋一郎先生…ダジャレ警報発令ですw(…先生、どんどんやっちゃってくださいw

【過去関連記事】
ブルグミュラーと共に歩んで
ブルクミュラー25「バラード」を読む

・演奏録音置き場ブログ:Satellite HALCA:カテゴリー:ブルクミュラー25の練習曲
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by halca-kaukana057 | 2013-06-10 23:09 | 音楽

続々・「ヤマト」音楽・宮川音楽は偉大 「ヤマト音楽団大式典」ライヴCD&「ヤマト2199」TV放送感想

 この4月から始まりました、アニメ「宇宙戦艦ヤマト2199」のテレビ放送。第3話まで放送されましたが、毎週観てます、録画も勿論しています。放送を観ながらtwitterで実況ツイートもしてしまったりwっ放送時間、私のタイムラインが「ヤマト2199」で盛り上がっていて楽しいですw劇場上映の第3章・10話まではDVDで観ているので、テレビ放送ではもう一度楽しむ形で観ています。第4章・11話以降も観なくては!
 第5章・15話~18話は、現在上映中!(私はDVD待ちです)

宇宙戦艦ヤマト2199 公式サイト

 放送を観ていて、リアルタイム世代ではないのですが、「宇宙戦艦ヤマト」がテレビアニメシリーズとして放送されていることが凄いなと感じました。「2199」はリメイクではありますが、1974年に放送されたオリジナルを基にしている。放送当時は裏番組の「アルプスの少女ハイジ」に押されていたとのこと。それでも本放送でもその後の再放送でも、テレビの前で毎週ワクワクドキドキしながら観ていた約40年前と同じような感覚を味わえるのが、不思議な感じもしますし、こんな面白い作品を世代を越えて観られる嬉しさも強く感じます。

 DVDで観られるのもいいのですが、やっぱりテレビの放送で観られることは大きいなと感じます。

 と、昨年から「ヤマト2199」に注目しているのですが、注目するきっかけになったのが、音楽が宮川彬良さんであること。私にとっては、NHK教育・Eテレ「クインテット」のアキラさん(このあたりは「クインテット」タグで熱弁してます…w)。ここから、アンサンブル・ベガをはじめとする演奏活動、メインの舞台作品の音楽と広がり、「ヤマト2199」にたどり着きました。
 「ヤマト」シリーズの音楽を担当し続けたお父様・宮川泰さんの後を継ぎ、彬良さんご自身も「ヤマト」シリーズで演奏(「さらば~」の「白色彗星」のパイプオルガンの話には驚きました…)や、一部作曲も担当。何よりオリジナルの「ヤマト」の大ファンでもある。今回の「2199」のために、楽譜も残ってない、テープはのびてしまったオリジナルの音楽を、耳コピして再現。名作を盛り上げた名曲の数々を引き継いだ、しかも親子で。感慨深いです。アニメのオープニングでの親子連名表記を観る度に、また感慨深くなります。

 「ヤマト2199」に合わせて「ヤマト」音楽を中心に宮川泰作品を特集した、昨年の大阪市音楽団東京公演にも行き(個人的メインは後半の「欲望という名の電車」だったのですが、前半もたまらなくよかった!)、更に既に出ているサントラ第1弾も堪能。現在のテレビ放送を観ていて、音楽にもますます注目しています。

 その昨年の大阪市音楽団の公演前半で特集された「ヤマト」音楽。彬良さんお得意の軽快で楽しく、かつ興味深い、笑いながらいつの間にか音楽にも詳しくなれるトークと、市音の素晴らしい演奏を楽しんだのはいいのですが、また聴きたい…と思います。
 そんな中、昨年開催されたイベント「ヤマト音楽団大式典」。彬良さんの指揮とトークと、大阪市音楽団&土気シビックウィンドオーケストラの演奏、ささきいさおさんをはじめとする歌をたっぷり楽しめるイベントだったのですが、行けず。行った方のレポートを読んで、市音公演のものとはまた違っていて、CDとかDVDが出ないかなと思っていたのですが、出ました、CDが!

「宇宙戦艦ヤマト2199」ヤマト音楽団大式典2012

宮川彬良 / ヤマト音楽団 / 日本コロムビア


 CDジャケットのイラストについては後ほど…w

 彬良さんのトークも収録しています!楽曲解説と演奏、どちらも堪能できます!市音東京公演を思い出しつつ、市音公演では語られなかったことや演奏されなかった曲も楽しめる。また、この「ヤマト音楽団大式典」は吹奏楽なので、サントラ(管弦楽)との違いも楽しめます。ヤマト音楽団全演奏者名簿もライナーノートに記載されているのですが、編成が凄い。トランペット10人…!?ホルン9人…!?トロンボーン7人…!?大編成過ぎる…!会場の舞浜アンフィシアターが大きな会場だったので、会場に合わせた部分もあるそうなのですが、吹奏楽で126名もの大編成はさぞ凄い大音量・大迫力だっただろう…。やはり会場で、直にその響きを感じてみたかったけど、CDが出ただけでも嬉しいです。

 市音公演では語られなかったことで興味深かったのが、「地球を飛び立つヤマト」の上昇する音階の低音。上昇する音階=上昇、飛び立つヤマト。名シーンを盛り上げる音楽には、こんな秘密があったのかと納得です。しかし、この曲の冒頭、上昇し下降するメロディーにつけた歌詞が…噂どおりで困りました…w

 演奏されなかった曲では、「ガミラス国歌」と「銀河航路」。これは一緒に歌いたくなります。「2199」の新曲「ヤマト渦中へ」も何度聴いても燃える、熱くなれる曲。先日の第3話の木星・浮遊大陸でのガミラスとの決戦シーンで流れた曲です。これも吹奏楽版とサントラの違いも楽しめる。そしてワンダバつきの「新コスモタイガー」。サントラともまた違うのがいい。トークの部分では爆笑ですw

 所々で、天国の泰さんに語りかけるように話す彬良さんが印象的です。ジョークも交えながらというのが、また宮川親子らしい。

 そしてこのCDで強く印象に残ったのは、スキャットを担当しているYuccaさんの歌声。なんと美しいソプラノ。「無限に広がる大宇宙」、「大河ヤマトのテーマ」、最後の「宇宙戦艦ヤマト」でも存在感が凄い。そして「ラブ・シュープリーム~至上の愛~」…ため息ものです。Yuccaさん凄い…。

 このイベントは3部構成で、第3部は「ヤマト」で歌われた数々の歌が披露されたのだそうですが、このCDに収録されているのは「ラブ・シュープリーム」と「宇宙戦艦ヤマト」だけ。ここが残念。せめて「真赤なスカーフ」は入れて欲しかったな。

 このCDで、更に「ヤマト2199」テレビ放送を楽しめます。サントラ第2弾も5月29日発売予定。収録して欲しい、CDで聴きたい曲がいっぱいあるので、収録されることを楽しみにしています。
Amazon:宇宙戦艦ヤマト2199 オリジナルサウンドトラック Vol.2

 で、「音楽団大式典」のCDジャケットのイラストですが…。イベントの時からこのイラストが使われていて、目にする度に驚き、笑いが…(ごめんなさいごめんなさい)。まさかCDジャケットにもなるとは思いもしませんでしたw(ちなみに、このイベントで演奏された曲の吹奏楽スコアの表紙もこれです…!w)
 でも、特徴をよく捉えていて、似ている。せっかくだから30秒ぐらいの演奏風景アニメを作って、CMとして流せばよかったのに…なんて思ってしまっていますwせっかくだからこの絵・キャラデザで動くのを観てみたいですw

【過去関連記事】
「ヤマト」音楽・宮川音楽は偉大! 宮川彬良と大阪市音楽団 コンサートレポその1
 昨年の市音東京公演(東京芸術劇場)の前半・第1部のレポ感想。

「ヤマト」音楽・宮川音楽は偉大、再び 「ヤマト2199」サントラ&「題名のない音楽会」
 サントラ第1弾&ほぼ「ヤマト」特集だった「題名のない音楽会」宮川泰特集回の感想。ここで、「「ヤマト2199」の、吹奏楽版アルバムCDも出たらいいな。勿論、彬良さん指揮大阪市音楽団で。」と書いたのですが、このCDである程度実現ですね。

 最後に関連リンク。
そこ☆あに:「宇宙戦艦ヤマト2199 音楽編」 #245
 上記記事内にも書きましたが、ネットラジオで彬良さんが「ヤマト」音楽、更には楽器編成の変遷、音楽業界の変遷、舞台音楽について語ってます。まだまだ聴けるので聴いてない方は是非。
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by halca-kaukana057 | 2013-04-22 23:53 | 音楽


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