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【映画】劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス

 昨年公開された映画「劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス」(原題:Moomins on the Riviera/Muumit Rivieralla)をようやく観ました。劇場では観れず、DVD待ちでした。

劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス[通常版] [DVD]

バップ



◇公式サイト:映画『劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス』公式サイト
◇原作本公式サイト:筑摩書房:映画『劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス』特設サイト
 原作は、ムーミン・コミックス第10巻「春の気分」に収録されている「南の島へくりだそう(Familjen Lever Högt)」.

ムーミン・コミックス(10) 春の気分

トーベ・ヤンソン、ラルス・ヤンソン:著/冨原眞弓:訳/筑摩書房


南の海で楽しいバカンス

トーベ・ヤンソン:原作/末延弘子:訳/冨原眞弓:監修/筑摩書房


 原作を元に、映画を絵本化。2014年、フィンランドで刊行されたものの日本語版。

 これまで、ムーミンの物語はフィンランド本国ではアニメ化されていませんでした。今回、初めてフィンランドでアニメ化。全編手描きです。手描きでこそムーミンです。音楽もとてもいいです。サントラあるといいのにな。

 ムーミン谷の近くの海。ある日、海賊船が難波しているのをムーミンたちが見つけます。船から逃げ出した捕虜のミムラ、ミィ姉妹に出会い、船の中には何があるだろう…ムーミンとムーミンパパ、ムーミンママは船の中へ。熱帯植物の種や花火を見つけます。
 一方、フローレン(スノークのお嬢さん)は南の海のリゾート・リヴィエラについての記事を雑誌で読み、行きたいと言い出します。行くことに決めたムーミン一家とミィは、ボートに乗りリヴィエラを目指します。途中嵐に遭いながらも、何とかリヴィエラに着いた一行。ムーミン谷とは全く異なるリゾートに、ムーミン一行は…。

 まず、アニメの絵。日本のアニメ「楽しいムーミン一家」のようなカラフルなパステル調とも違う、あたたかな、幻想的な色遣い。ムーミンたちのキャラクターデザインは原作のムーミンコミックスを再現しているので、アニメのムーミンと言えば「楽しいムーミン一家」の私は慣れるまで時間がかかりました。

 物語は不思議です。海賊の箇所など、原作のムーミン・コミックスにはないところもあります。ミィとミムラとの出会いも、何故こんなところで、こんな時に…?ストーリーで、首を傾げたくなるところは少なくありません。そう、この何かズレてる不思議な感覚が、この映画ムーミンの持ち味なのだと思います。ムーミン谷を出て、全く違う世界にやって来たムーミン一行。リヴィエラでのヴァカンスを楽しむフローレン、友・モンガガ侯爵という話し相手が出来たムーミンパパ。一方で、ムーミンママは部屋や食事などで、豪華なホテルでの暮らしに馴染めない。ムーミンも、フローレンが金持ちのクラークと仲良くしていたり、大女優・オードリー・グラマーに夢中なのに納得がいかない。ミィはいつものマイペースです。ムーミンパパがモンガガ侯爵と飲みながら過去の冒険を語り合ったりしているのはいつものムーミンパパだなとは感じるのですが、フローレンが何かズレている。金持ちたちの中に入ろうと、華やかな服を買おうとしてあることをしたり、クラークとの付き合いが何か合わない。「ムーミン」の物語の世界は、ムーミン谷。ムーミン谷で「イモを育て、平和に暮らしている」。自給自足で、(北欧がモデルの舞台?の)ムーミン谷の自然の中で、様々な人々や動物たちと気ままに暮らしている。一方、リヴィエラはお金が無いと何も出来ない。ホテルや金持ちたちとの社交パーティでは、そのコミュニティでのルールがある。ムーミンママはチップのルールも知らない。知らなくて当然、そんな世界とは無関係に暮らしてきたのだから。ムーミン視点で見ると、リヴィエラは何か違う、何かズレた世界。

 クラークやオードリー・グラマーはリヴィエラの世界の住人。モンガガ侯爵がキーパーソンになります。金持ちの貴族だけれども、質素で自由なボヘミアンな生活に憧れている。実は芸術家。ムーミンパパとの出会いで、自分もムーミンパパのように暮らしてみたいと、邸宅から離れて、芸術に没頭する暮らしを始めるが…。それから、もうひとり(人ではないが)キーパーソンが犬のピンプル。ピンプルも原作には出てこないキャラクタです。犬だけど、ネコしか好きになれない。ムーミンママはそんなピンプルの友達を探し、あることを思いつきます。

 そのコミュニティ(リヴィエラ)に馴染んでいる、そこでの生活が当たり前だと思っている人。一方で、今いる場所に違和感を覚え、違う世界で生きたいと思っている人。リヴィエラで、ムーミンたちはそんなふたつのタイプの人たちに出会います。違う世界で生きたいと思っている人はどうするか。それは映画を観てのお楽しみ。特にピンプルは深いキャラクタです。

 これまで様々な媒体で、「ムーミン」の物語とトーヴェ・ヤンソンの想いに触れてきましたが、この映画でもヤンソンの想いが反映されていました。反映されてなければ「ムーミン」じゃない。「ムーミン・コミックス」は「たのしいムーミン一家」が英訳され、イギリスで人気が出た後に、ロンドンの夕刊紙「イブニング・ニュース」に連載されたもの。「ムーミン・コミックス」では一気に世界的作家となったヤンソンの心の内を垣間見ることができます。この原作「南の海にくりだそう」でも、人気作家ヤンソンの心の内が表現されているのかな、と思ったりもしました。

 可愛いアニメのムーミン…と思って観ると、ちょっと拍子抜け、もしくは違和感を覚えるかもしれません。是非原作もお供に、「ムーミン」とヤンソンの独特の世界に触れられるアニメです。

 最後に、映画の中では問題発言?も出てきます。それ言っちゃイカンだろ!wとツッコミたくなるセリフがいくつか。元のフィンランド語、英語版でも同じなんだろうか…。こんなシニカルさもムーミンの持ち味です。
 あと、フローレンですが、この名前は日本語版での名前。アニメ「楽しいムーミン一家」がベースになっています。フィンランド語ではNiiskuneiti(ニース(フィンランド語版でのスノーク)のお嬢さん)、英語ではSnorkmaiden(スノークのお嬢さん)です。
◇英語版ウィキペディア。日本語版はない!:Wikipedia:Moomins on the Riviera
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by halca-kaukana057 | 2016-06-20 21:59 | フィンランド・Suomi/北欧

[アニメ映画]言の葉の庭

 先日小説版を読んだ「言の葉の庭」。早速DVDを観ました。
・小説版感想:小説 言の葉の庭

劇場アニメーション『言の葉の庭』 DVD

新海誠:監督/東宝



言の葉の庭:公式サイト
 ↑サイトにジャンプすると、映画の予告動画が再生されるので、音量にご注意ください。

 小説は、結構な長さがあった。それが、元のアニメになると上映時間45分程度。物語はタカオとユキノを中心に進み、小説で登場したタカオとユキノの周囲の人々は、そんなに出てこない。小説が先か、アニメが先かわからないのだが、どちらにしてもあの物語をこんな短い時間にぎゅっと凝縮して、素晴らしい魅せ方をしているなぁと思いながら観ていました。

 予告編映像を観て、この映画が気になったのですが、本編も映像がきれい。美しい。最初は実写かと思った。映像特典のスタッフ・キャストインタビューで色の塗り方について監督が仰っていたのだが、技法についてはよくわからないのですが、美しく魅せることを徹底しているなぁと、そのインタビューから感じました。舞台は東京のど真ん中の公園。東京のど真ん中、周囲には高層ビルが立ち並び駅は人でごった返しているけれども、公園に入れば緑。そして雨。その対比も美しい。高層ビルや駅の人混みまで、違う何かに見えてしまうのだから凄い。
 そして、その公園にいるユキノさん…美しい…。小説でもユキノさんがいかに美しいかについて書かれていましたが、絵で観ると一目瞭然。緑と、雨と、美しい女性。これは惹かれる。

 でも、ユキノは心に傷を負い、暗さ、憂い、脆さ、弱さを抱えている。そのユキノはタカオと出会い、何かが変わりだす。独りで思い悩み、独りで抱え込み、独りうずくまっている。独りで「歩こう」としても、うまく「歩けない」。そんなユキノさんの姿を観て、心が揺さぶられる。心が痛む。一方のタカオ君は、15歳だけれどもとてもしっかりしている。靴職人になりたくて靴を自作し、靴作りのため、進学のためにバイトも頑張る。独りで「歩こう」と前を向いている。ユキノにとって、タカオは希望だったのだろうな。「こんな風に歩けたら」という理想であり、希望である。

 そして、タカオがユキノが何者なのかを知り、クライマックスシーンでは涙腺崩壊。小説ではじんわりとは来たけど、感極まることはなかった。ユキノは、不器用でもある。料理も苦手だが、人と話す、自分の気持ちを伝えるのも思ったようにできない…。そんなユキノがタカオに想いをぶつけるシーン…不器用な伝え方だけど、それが心を打つんだよなぁ…共感しました。もし私がユキノの立場だったとしても、私もユキノと同じような言動、不器用さでタカオに向かってしまうだろう。

 タカオもしっかり者でいい子(でも雨の午前中は学校をサボる)だけれども、ユキノの前では少しその鎧をとっているようにも感じました。ユキノが何者か、ユキノの今後を知って、その原因となった者のところに立ち向かう…あまりに無防備で、無謀で、まっすぐ過ぎる。普段のタカオとは違うタカオの面。ユキノと出会って、逢瀬を重ねるうちに出てきたタカオの一面なのだろうか。

 小説は物語を楽しみ、アニメ映画は映像とタカオとユキノの心の揺れ動き、シーンを楽しむ。同じ「言の葉の庭」という作品なのに、メディアで異なる楽しみ方が出来ていい。アニメ映画はドビュッシーやラヴェル、フォーレなどのフランス近代印象派の音楽のような雰囲気かなと感じました。どこか曖昧で、揺らいでいて、儚くて、美しい。

 音楽も、ピアノをメインに静かで、そっとそれぞれのシーンに寄り添うような形でよかった。

 小説だけ読んで終わらなくてよかった。アニメ映画を観て本当によかった。雨のように、心を潤す作品です。私もうまく「歩けない」状態だけど、不器用でも「歩きたい」。
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by halca-kaukana057 | 2014-09-07 22:21 | 興味を持ったものいろいろ

小説 言の葉の庭

 公開された時から気になっているアニメ映画「言の葉の庭」。気になってるのに、上映館が当地には無く、そしてまだDVDで観てない…。と思っていたら、新海誠監督自らによる小説版を見かけたのでまず小説を読むことにしました。

言の葉の庭:公式サイト
 ↑サイトにジャンプすると、映画の予告動画が再生されるので、音量にご注意ください。

小説 言の葉の庭
新海 誠 /KADOKAWA/メディアファクトリー(ダ・ヴィンチブックス)/2014

 高校生の秋月孝雄は、雨が降ると午前中は学校をサボって、国定公園に向かう。ある日、公園内の東屋にスーツを着た女性がいた。午前中から缶ビールを飲んでいる。孝雄はその女性…雪野にどこかで会っている様に感じる。それから、雨の日になると孝雄と雪野はその東屋で会う。孝雄は母の靴の手入れをしているうちに、独学で靴を手作りしている。そして、いつか靴職人になれたら、と雪野に話してしまった。一方、雪野は「うまく歩けなくなっちゃったの」と孝雄に語る。

 アニメの予告の絵がとてもきれいで印象的だったのですが、小説でもそのきれいな絵が思い浮かぶような物語、文章でした。雨の日、公園の東屋で会う孝雄と謎の女性・雪野。普段ならその雪野について詳しく書こうとするところなのだが、あまり書きたくない。ネタバレ阻止の意味もあるし、私が語るよりも小説で、アニメでその美しさを味わって欲しい、という想いがある。儚く、弱く、傷や陰を抱えている。それが、美しく感じられる。

 孝雄は靴職人を志し、独学で靴を作っている。自分で作った靴を履き、歩いてみてまた改良する。この物語の鍵になるのは、その「靴」、そして「歩く」ことだと思う。外を歩く時、靴を履く。靴を必要としない人もこの世界にはいるが、現代の日本では靴を履かないととても外を歩くことは出来ない。硬いアスファルトは素足では痛い、尖った石ころやガラスの破片などの危険物もある。雨が降れば尚更。靴は歩くための足を守り、体を支え、遠くまで行けるようにしてくれるもの。
 この物語に出てくる人々は、壊れかけの「靴」でうまく「歩けない」人たちばかりだ。表向きは歩いているようでも、心の中、ひとりになると傷や陰が出てくる。壊れかけの「靴」でも歩いていけるように自分の足を強くするか、「靴」を鎧のように頑丈にするか…それが本当に頑丈かどうか、頑丈に見せているだけのこともあるけれども…。または、「靴」も自分も強く「つくっていく」か。その時、一緒に「歩く」「歩きたい」と思う人がいるか。一緒に「歩きたい」と思う人がいれば、そうストレートに簡単にはいかないけれども、「靴」も自分も強く「つくって」いける。孝雄も、雪野も、ひとりで歩こうと思いながら、お互いを気にしている。その想いも簡単には届かない、叶わないが…。

 人と人はどこで繋がっているかわからない。そしてその想いも錯綜する。あちらこちらで絡まり、衝突する。それでも、美しい物語だなぁと思いながら読んでいました。物語に散りばめられた和歌が、その美しさを引き立たせているのかもしれない。

 美しくて、儚くて、辛いけれどもやさしさがある物語。これはアニメも観るしかない。
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by halca-kaukana057 | 2014-08-28 22:09 | 本・読書

映画「はやぶさ 遥かなる帰還」(東映版)を観てきた

 小惑星探査機「はやぶさ」を描いた映画の第3作目(劇場上映されたので、「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」も含む)、「はやぶさ 遥かなる帰還」(東映、監督:瀧本智行、主演:渡辺謙)を観てきました。

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チラシとパンフレット。

映画「はやぶさ 遥かなる帰還」公式サイト

 まだ公開中の作品なので、ネタバレしないように控えめに書きます。あと、昨年10月に公開された「はやぶさ」映画第2作目、20世紀フォックス「はやぶさ/HAYABUSA」と比較してしまうところもあります。先に観たものがあると、どうしても、ね。

 私の観た感想を一言で書くと、”「はやぶさ」プロジェクトチームとその周囲の人々の、苦悩と葛藤、挑戦、そして情熱の物語”でしょうか。20世紀フォックス版よりも、人間ドラマ色が強いです。「はやぶさ」よりも、人々に焦点が当てられます。なので、人間の喜怒哀楽の表現も強いです。

 観始めて、なかなか物語に入り込めませんでした。「はやぶさ」の運用の流れと時間の流れがつかみにくく、また人間に焦点が当てられているので、その時「はやぶさ」はどこにいて何をしているのかわかりにくいところも少なくない。また、この時その場所にはないものが写っていたり。でも、観ていて徐々に物語に入り込めました。

 予告編などを観てのとおり、渡辺謙さんが演じるプロマネは、クールで、口調も穏やかだけれども、その内には熱いものをもっている。「やりましょう」の一言も、穏やかなようで、熱い。しかし、渡辺謙さん以上に、NECでイオンエンジンを開発し、運用にも関わっている吉岡秀隆さん演じるエンジニアや、「はやぶさ」の部品の試作品を作った町工場の社長・職人役の山崎努さんの存在が良かった。「はやぶさ」のプロジェクトチームのメンバーは、JAXAの中の先生方だけじゃない。メーカーさん、外部のエンジニア、町工場の職人さん…「はやぶさ」に関わった全ての人がチームの一員なんだ。そして、チームの一員として、意見もはっきり言うし、その意見が対立することもある。沢山の人が関わっているプロジェクトだから、皆がすぐに納得して、気持ちをひとつにやりましょう…とすんなりとはいかない。そんな様も描いていて(実際あった)、いいな、と思いました。

 セットや小道具をよく観ると、細かい描写があって、リアルだなぁと感じました。打ち上げの際の、管制室の中の様子は特に。

 「はやぶさ」の機体の一部を随所で写すのはうまいなぁと感じました。冒頭のものは、そういう意味だったのか…。あと、この作品も、エンドロールの左側に注目です。説明が無いけど、わかってもらえるはず。このエンドロールで流れる、辻井伸行さんのピアノ・音楽もよかった。広い宇宙を飛ぶ孤独な「はやぶさ」と、広がる宇宙、そして人々の思いの強さも感じました。ちなみに、編曲・音楽監督は山下康介さんです。

 twitterの宇宙ファンの間で「先生、帰る方向はそっちじゃない」との話があったのですが、理解しましたw確かに、そっちじゃない!気になる方は、JAXA・宇宙科学研究所(ISAS)相模原キャンパスへ!見学できますよ。
・昨年夏行ってみた記事:緑の中に、宇宙科学の最前線  JAXA・宇宙科学研究所 相模原キャンパスに行ってきた

 一度観ても、まだ物語を飲み込めていない部分もあるので、DVDでまた観ます。その時、おやつにかりんとうを準備しなくてはw

【過去関連記事】
小惑星探査機 はやぶさの大冒険
 ↑この映画の原作である、山根一眞さんのノンフィクション。現在「はやぶさ」関連本は数えられないぐらい出ていますが、「はやぶさ」本第1作目です。
「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」劇場上映を観てきた
 ↑映画第1作目「HBTTE」。これは本当にいい作品です。
映画「はやぶさ/HAYABUSA」(20世紀フォックス版)を観てきた
 ↑昨年10月公開の20世紀フォックス版。3月にブルーレイ・DVDが出ます。ブルーレイBOXを注文しちゃいました。届くのが楽しみ。


 

***
 この記事を書いている途中、ちょっとしたことで、書きかけの記事が全部きえてしまいました…orz 一度書いた文章が思い出せないこの辛さ、かなしさ、悔しさ…。思い出したら、追記します。
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by halca-kaukana057 | 2012-02-25 00:24 | 宇宙・天文

ヤコブへの手紙

 少し前に、面白そうなフィンランドの映画を見つけました。私の地域では上映されなかったのでDVD待ち。ようやく観ました。

ヤコブへの手紙(原題:postia pappi Jaakobille) [DVD]

監督・脚本:クラウス・ハロ/出演:カーリナ・ハザード,ヘイッキ・ノウシアイネン,ユッカ・ケイノネン,エスコ・ロイ/ネエプコット/2011(フィンランドでの公開は2009)



 1970年代のフィンランド。終身刑で12年間刑務所にいたレイラは、恩赦で釈放される。釈放されても行くあてもないレイラだが、勧められしぶしぶ年老いた盲目の牧師・ヤコブのもとで住みこみで働くことに。仕事は、ヤコブに届いた手紙を読み、返事を代筆すること。ヤコブに届く手紙には、人々の悩みや相談、祈っていて欲しいということが書かれている。レイラはその手紙を読みつつも、内容やヤコブの話すことに理解を示さず、ヤコブや郵便配達人と距離を置いていた。
 そんな中、ヤコブのもとに手紙が一通も届かなくなってしまう。落ち込むヤコブ。そんなことは自分には関係ない、どうでもいいと思いつつも、レイラは…。

 75分と短めの映画です。牧師さんがメインキャストであること、タイトルの「ヤコブへの手紙」も新約聖書の「ヤコブ書」を意識していることなど、キリスト教の思想が根幹にある作品です。なので、キリスト教に疎い私が観ても大丈夫だろうか…と思っていたのですが、観て、キリスト教というひとつの宗教に限定されない、「生きること」全てに共通するものを感じました。

 終身刑という重い罪(何の罪なのか、何を犯したのかはネタバレになるので伏せます。物語の最後で出てきます)を負い、人と距離を置き分かり合おうとはせず、いつも周囲を警戒し、威嚇しているレイラ。更に大柄で恐そうな顔。一方、年老いて盲目ではあるけれども、人々から毎日手紙が届き、相談にのっている心優しいヤコブ牧師。全く正反対の2人。レイラが刑務所を出て、ヤコブの住む牧師館へやってきた時も、ヤコブは歓迎するが、レイラは何故自分はこんなところに来なければいけないのだと言わんばかりの態度。手紙を届けに来る郵便配達人も、ヤコブを慕う一方で、レイラは終身刑だった女だと知っており、恐れてなるべく関わらないようにしている。レイラからすれば、わけのわからない老牧師と、どうでもいい手紙を読み、郵便配達人にもイライラする。レイラは何か事件を起こすんじゃないかとハラハラしていました。

 しかし、時間は淡々と流れる。牧師館の周囲は、白樺の林が美しい。まさにフィンランドの田舎だ。レイラとヤコブの食事やお茶の時間も、ぎくしゃくしているようでどこかゆるやかな空気が流れている。そして、”静か”だ。レイラがどんなにイライラしていても、雨で牧師館のあちらこちらで雨漏りがしていても。この静けさに、レイラの凍りついた心の奥にある何かが見えてくるようだ。

 そして、突然来なくなったヤコブ牧師への手紙。手紙を心待ちにしていたヤコブにとってはショックである。自分はもう必要となくなってしまったのではないか。レイラも、ドアの前で郵便配達人を待つが、素通りしてしまう。来なくなった手紙、そしてレイラの一言が、今度はヤコブ牧師を変えてゆく。牧師ではなく、ひとりの人間として。

 ヤコブにとって、手紙は何だったのか。牧師であることは、どんなことだったのか。そして、レイラも恩赦で釈放されたが、”元終身刑”であることを引きずっている。本当は終身刑の受刑者のままでいい、そうあるべきだとさえ思っている。2人を取り巻いていたもの、支えていたものが無くなり、孤独な2人の人間が、肩書きの無い人間として「生きること」「生きてゆくこと」を語り始める。誰からも必要とされなくなっても、孤独でも、生きる。生きる道はある。生きる意味はある。レイラからヤコブへの”手紙”、ヤコブに届いたある人からのレイラへの手紙。その深みが、じわりじわりと心に届きます。

 レイラは来るべくしてヤコブのところへ来たのだろうし、ヤコブもレイラが来なければ気づけないことがあった。人間が「生きる」ことを、控えめに、ひっそりと、でも崇高な思いを持って伝えようとしたこの作品に、静かに拍手を贈りたいです。音楽もいい。

「ヤコブへの手紙」オフィシャルサイト (*ジャンプすると予告動画が自動再生されるので、注意してください)

 ところで、この公式サイトに、「郵便配達人を巡るギモン」というのがあった。ん…確かに、郵便配達人の視点からこの物語を観ると、全然違った物語になる。郵便配達人の行動も、謎めいているところがあるし…。郵便配達人は、一体何者なんだ?何なんだ、この映画…。

 ちなみに、この映画から生まれたサイドストーリー絵本「シニッカさんどうしたの?」(絵・文:七字由布)も出ているとのこと。アマゾンにはないようだが、読みたいなぁ。
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by halca-kaukana057 | 2012-01-16 23:40 | フィンランド・Suomi/北欧

雨の中でも、歌おう、踊ろう 映画「雨に唄えば」

 休みだった昨日、NHK-BSプレミアムでお昼に映画「雨に唄えば(原題:Singin' in the Rain)」が放送されていました。気になっていて、いつか観ようと思っていたので観ることに。はい、白状します。今まで観たことがありませんでした…。

 「雨に唄えば」と言えば、「♪I'm singing in the rain~」の陽気な歌が真っ先に思い浮かびます。原曲もそうですし、「クインテット」でアキラさんがトリプル(ピアノ・カスタネット・ピアニカの三役を同時に!)で、この曲を演奏したバージョンも。大好きな編曲です。でも、もともとの映画を観たことが無い。どんな経緯で、どんなシーンで歌われていたのか、観たことが無い。今回観て、魅了されました。「雨に唄えば」のシーンだけでなく、映画全編で。

 この映画はミュージカル映画。ミュージカルを映画で上演したといえばいいかな。歌と軽快なダンスがちりばめられていて、魅入ってしまいます。時は1920年代アメリカ。俳優のドンは、音楽担当の相棒コズモと地道に歌とダンスのショーを積み、今や知らない人はいない映画スターになった。このドンとコズモのダンスが凄い。下積み時代の回想でも、軽やかに、俊敏に踊る。今、こんなに踊れる俳優さんはいるのだろうか…と思うほど。ドンは女優・リナと組んで主演している。2人は実生活でもカップルと噂されているが、ドンにその気は全く無い。あくまで仕事だけでの相手。そんなドンが、ひょんなことから駆け出しの女優・キャシーと出会う。ドンはキャシーの歌とダンスに魅了され、惹かれてゆく。キャシーのダンスも素晴らしい。ドン・コズモ・キャシーの3人で踊るシーンがあるのですが、圧倒されました。人間、ここまで踊れるのだと。しかも笑顔で、心から楽しそうに。私も踊りたくなるほど。

 その時代の映画はサイレント映画だったが、映画界に激震が起きる。トーキー映画の登場だ。他の会社が作ったトーキー映画が大ヒット。サイレント映画の時代は終わった。ドンとリナの最新作もトーキーで撮影・録音するが…うまくいかない。しかも、リナは元々酷い声。試写会でも悪評ばかり。どうしよう…と頭を抱えるドン。そこで、コズモがミュージカル映画にしたらどうかと提案する。それはいい案だ!とドンもキャシーも喜んで同意する。しかし、リナは酷い声、歌も下手。どうする…。この後の展開は、観てのお楽しみで。

 そしてこの後で、「雨に唄えば」のシーンが出てきます。キャシーと会った帰り道、雨の中、ドンが歌い踊る。ここで、日本語訳の歌詞に初めて出会いました。ああ、こんな意味だったんだ。…僕は雨雲に笑いかける。雨が降っても僕は笑顔でいる。サイレント映画からトーキー映画の時代へ。その奔流に飲み込まれそうになっているダン。でも、大丈夫。キャシーがいる。コズモもいる。そして、歌とダンスがある。今の社会、時代、そして私自身が置かれている状況に重ね合わせて観ていました。こんなに深い歌だったんだ。

 雨の中でも、笑顔で楽しく歌い、踊ろう。自分の心の中にある幸せを、雨も嵐も消せやしない。そう、雨が降ろうと嵐だろうと、心の中に幸せを持ち続けよう。そんなメッセージが込められていたんだ。この映画、歌に出会えただけでも幸せな気持ちになれました。

 「クインテット」のトリプルアキラさんバージョンの「雨に唄えば」も、何故あんなに楽しそう、聴いているだけで幸せになれるのか。その理由がわかった気がしました。音楽そのものも素晴らしい。でも、この音楽に込めたメッセージが、あの編曲とアキラさんの表情に詰まっていたんだ、と。あれ、また放送してくれませんかね。DVDにもCDにも入っていないし…。

 録画もしたので、何度でも観たいミュージカル映画です。古い映画ですが、何十年経っても見続けられている理由もわかりました。ああ、踊るって、唄うって、いいなぁ!
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by halca-kaukana057 | 2011-12-07 22:58 | 興味を持ったものいろいろ

はやぶさ/HAYABUSA (角川つばさ文庫 ジュニア向けノベライズ版)

 1年前の今日は、小惑星探査機「はやぶさ」のカプセルに入っていた微粒子が、小惑星イトカワ由来のものだと発表された日でした。「はやぶさ」はイトカワのサンプルを回収できていた、ミッションフルコンプリートした…その喜ばしい報せに、歓喜、感激、感涙の一日でした。

・1年前の今日の記事:祝・500点満点達成! 「はやぶさ」カプセルの微粒子はイトカワ由来
・2010年11月16日の私のtwitterログ:Twilog:遼(@halcakaukana)/2010年11月16日

 と言うわけで、今日は「はやぶさ」関連の本を。しかし、これまでの本とは、ちょっと趣向が違います。

はやぶさ/HAYABUSA
鷹見 一幸:著/かしわ:絵/角川書店(角川グループパブリッシング)・角川つばさ文庫/2011

 10月に公開され、私も観に行った映画「はやぶさ/HAYABUSA」(20世紀フォックス版)。そのノベライズが角川文庫から出ているのですが、もう一つ、角川のジュニア向け新書「角川つばさ文庫」から、ジュニア向けノベライズが出ています。映画のノベライズが出ることは多いですが、通常版とジュニア向け版が同時に出ることは珍しい。なので、ジュニア向け版を買って読んでみました。

 小学2年生の隼人は、鹿児島から神奈川に転校して来た。しかし隼人は、鹿児島弁で話すことを変だとクラスの子たちから思われていて、友達が出来ずにいた。ある日、クラスの男子たちがロケットの話で盛り上がっていた。背が高くサッカーが得意なケンジが、学校の近くにロケットの研究所があって本物のロケットを見たと騒いでいる。その話を聞いて、隼人は鹿児島で見たロケットの打ち上げを懐かしく思い出していた。その隼人にいきなり話題が振られ、隼人は本物のロケットの打ち上げを見たことがあると言う。皆に嘘だと言われ涙を流す隼人。そんな隼人に、ケンジはその研究所に行って聞いてみようと言い出す。放課後、その研究所…宇宙科学研究所・相模原キャンパスに向かった2人。展示室で相談員をしている水沢恵に話しかける。隼人が見たというロケットは、内之浦から打ち上げられたM-Vロケット5号機。搭載されていたのは、MUSES-C・小惑星探査機「はやぶさ」。”恵お姉さん”から「はやぶさ」のことを教えてもらった隼人は、「はやぶさ」や宇宙に興味を持ち、研究所に通うようになった…。


 映画本編の話とは、ちょっと違う物語です。映画のスピンオフと言えばいいかな。映画の物語も語られますが、このジュニア向け版での主人公は隼人。小学生としての、いち「はやぶさ」ファンとしての視点をメインにして物語は語られます。映画本編の主人公・恵は展示室の相談員(主に)として、隼人たちに「はやぶさ」や宇宙のことを教え、また隼人から学校や勉強、人間関係のことなどの相談を受ける立場になっています。隼人から見れば”お姉さん”なので、映画よりしっかりしている気がしていますw勿論、映画に登場した運用チームの先生方も登場します。が、隼人との接点がそんなに無いので、恵の視点から語られます。

 これまでの「はやぶさ」関連本は、当然だけれども「はやぶさ」そのものについて書かれているものばかりだった。私も出る度に読んだ。立場が違えば見方が変わる。書かれていることも、当然起こったことはどれも同じ。でも、立場が変われば視点が異なり、表現が異なる。その違いや、どんな読み手を想定して書かれてあるか、著者の性格・傾向の違いもあって、出る度に読んでしまう(まだ読んでいないもの、読む予定のないものもありますが…)。映画だって、「はやぶさ」そのものがいつどうなるか、何が起こるかは知っている。それなのに、誰が主人公で視点のメインはどこなのか、演じる俳優さん、コンセプト、雰囲気、監督の伝えたいこと…それらの違いがあるので、この20世紀フォックス版だけでなく、来年公開の東映版、松竹版も観たいと思っている。要するに私は、ただの宇宙ファン、「はやぶさ」ファンなんだろうと言われれば認めざるを得ない、その通りなのですが、ひとつの探査機から、たくさんの書籍や映像作品などが生まれたことが、嬉しいですし驚いてもいます。

 しかし、このジュニア向けノベライズは、これまでの「はやぶさ」本とはちょっと違う。「はやぶさ」そのもののことは、確かに書かれています。所々に”恵お姉さん”が「はやぶさ」や宇宙のことを解説するミニコラムがあり、また物語本文にも小学生にもわかりやすいように解説風の文章があります。でも、メインは隼人と「はやぶさ」の関わり。隼人が「はやぶさ」から学んだこと、「はやぶさ」に教えてもらったこと。映画では、恵は様々な実在するスタッフの寄せ集めのような存在。完全なフィクションではない。だが、このジュニア向けノベライズの隼人は完全なフィクション。そして、”宇宙研・運用チームの中の人”ではない。外から、小学生としての、いち「はやぶさ」ファンとしての視点で、「はやぶさ」の旅路を見つめ、見守っている。こんな物語も、私は読んでみたかった。SF小説で、現実のプロジェクト、もしくは現実のプロジェクトのモデルと、それに関わる人・見守る人の物語がよくありますが(例えば、野尻抱介「ロケットガール」シリーズの「魔法使いとランデヴー」。これは「はやぶさ」がモデル)、現実の「はやぶさ」でもそんな物語が出ないかなぁと思っていたのです。現実の出来事にフィクションをつける必要はない…と言われるかもしれません。が、ひとつの探査機(宇宙機・人工衛星)と人間の関わりを、”中の人”だけでなく、直接関わっていない人からの視点で語ったらどうなるだろう。それを読んでみたかったのです。特に「はやぶさ」は、そのドラマティックな旅路、何が起こっても諦めない運用チームの根性と驚きの技術に励まされた、元気をもらったという声が多い。その声の中のあったかもしれないひとつを、物語・小説にしたら、どうなるだろうか。ひとつの探査機・人工衛星・宇宙機が、誰かの生き方・人生に影響を与える。その人にとって、その宇宙機は人生のヒトコマに刻まれるかけがえの無い、大きな存在になる。この物語では「はやぶさ」だけど、他の宇宙機(人工衛星・探査機・宇宙プロジェクト)でも、現実に隼人と同じような体験をしている人がいるだろう。ならば、宇宙・宇宙開発・宇宙プロジェクトは決して遠くにあるものではない。”遠い”存在ではない。

 子どもを主人公にすれば、主人公の子と「はやぶさ」が同時に成長してゆく。その子にとって、「はやぶさ」は一緒に成長し、歩んできた友達のような存在になる。その子が、この物語では隼人です。

 隼人はケンジや恵お姉さんと一緒に「はやぶさ」を見守り続け、成長してゆく。一方で、学校では隼人を標的にいじめも起こる。このいじめが何とも古風な(?)小学生男子(実際はどうなんだろう?)によるもので、微妙だなとも思うのですが、隼人が「はやぶさ」を思って賢く、強くなってゆく様に、子どもって凄いなと思います。

 映画本編には出てこない・出てきて欲しかったのに割愛されてしまったこともこのジュニア向けノベライズには書かれていて、嬉しかったです。このノベライズだけを読んでも、映画本編が全部語られているわけではないので、ネタバレにはならないと思います…多分。所々はネタバレしますw映画を観てから、もうひとつの「はやぶさ/HAYABUSA」の物語を楽しみたい方におすすめします。ジュニア向けですが、大人も楽しめます。「はやぶさ」や宇宙、探査機運用の素朴な疑問についての答えもわかりやすく書かれています。親子でなら、全力でおすすめします!

 と言うことで、映画の公開は終わってしまったので、ブルーレイ・DVD待ちです。また観たい。今度は家で、元ネタを確認しつつゆっくりじっくり観たい。買う予定ではいます。いつ出るかな。2月11日の東映版「はやぶさ 遥かなる帰還」の公開とどっちが早いかな。

【過去関連記事】
・映画「はやぶさ/HAYABUSA」(20世紀フォックス版)私の感想:映画「はやぶさ/HAYABUSA」(20世紀フォックス版)を観てきた

・「はやぶさ」をモデルにしたSF小説:ロケットガール4 魔法使いとランデヴー

【関連サイト】
角川つばさ文庫:はやぶさ/HAYABUSA
 ↑角川つばさ文庫の特設サイト。
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by halca-kaukana057 | 2011-11-16 23:30 | 本・読書

映画「はやぶさ/HAYABUSA」(20世紀フォックス版)を観てきた

 10月1日から公開が始まった映画「はやぶさ/HAYABUSA」(20世紀フォックス・監督:堤幸彦、主演:竹内結子、西田敏行)を観てきました。

映画「はやぶさ/HAYABUSA」公式サイト
 ↑ジャンプすると予告動画が自動再生されるので、音にご注意ください

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 パンフレットとチラシ。ISAS・相模原キャンパスに行った時に買った日本固体ロケットの歴史マグカップ&宇宙機手ぬぐいと一緒に。

 まだ公開中なので、あまりネタバレしないように書きます。

 私の観ての感想は、「はやぶさ」という探査機と、探査機とともに年月を生きた人々の物語、といえばいいかなぁ。探査機そのものにも、人間ドラマの面にも、作品に感情移入しつつ、自分の”その時”も振り返りながら観ました。「はやぶさ」が開発されていた頃、「星の王子様に会いに行きませんかキャンペーン」(ターゲットマーカーに、私と私の家族を含めた88万人の名前が刻まれ、今も小惑星イトカワの上にあります)に応募した時のこと、打ち上げの頃…そして帰還のあの日…と、自分自身と「はやぶさ」の関わりと、私自身「はやぶさ」が開発・運用されていた年月の中でどう生きてきたか、自分自身の変化を思いました。

 「はやぶさ」が開発され、打ち上げ、運用、帰還までの長い年月の中で、作品の中の登場人物たちはそれぞれの人生のヒトコマを生き続ける。嬉しいことも、悲しいこともある。いいことも、悪いこともある。どうしようもない現実を突きつけられることもある。過去を振り返ることもある。挑戦もする、変化もする。成長もする。まっすぐには進めずに、壁にぶち当たったり立ち止まることもある。
 それでも、進む。「はやぶさ」とともに。

 観ていて、スケールの大きな世界初の偉業の宇宙探査プロジェクトの全ての物語とも感じたのですが、それ以上に、探査機「はやぶさ」のため、夢や目標(「はやぶさ」での目標・個々人の目標)のために悩みもがきながら今を生きる人たちの懸命な姿の方が脳裏に焼き付いています。探査機も、けなげで懸命です。

 人工衛星・探査機の開発や運用は、応援はしているし身近に感じることもあるけど、やっぱり私にとっては雲の上のような存在と感じてしまいます。でも、誰か人がいて、「はやぶさ」という探査機も存在したのだなぁと感じました。この「人」というのは、勿論運用チームやプロジェクトに関わった全ての人々のことですが、応援しているファンも含みます。探査機「はやぶさ」は、人工衛星・探査機・宇宙開発・宇宙科学プロジェクトが科学者・技術者だけのものではないと教えてくれた探査機だったと、再認識しました。

 面白かったです。
 私は、宇宙ファン・「はやぶさ」ファンじゃない人に、寧ろオススメしたいです。
 専門用語もバンバン出てきますが、人間ドラマに重点を置いて観ることも出来るので、そんなに気にしなくてもいいかと思います。勿論、探査機「はやぶさ」プロジェクトそのものの物語としても楽しめます。本で読んだり、講演会で聞いたささやかなエピソードがあちらこちらにちりばめられていて、「これは!!w」とニヤニヤしてしまいましたwあらゆる意味で、再現率の高さに驚きました。

 あと、twitterの宇宙ファンの間で話題になっていたのですが、「エンドロールは左側に注目」と。注目しました。これは…!!感激しました。堤監督、ブラボー!!と言いたいです!
 このエンドロールを観て、ひとりでも多くの人が宇宙科学プロジェクトのこれまでとこれからに興味を持って欲しいな、と思いました。全ては、繋がってきたんだ、と。

 映画は、ISAS・宇宙科学研究所相模原キャンパスで撮影されました。8月に行ったのですが、行ったところが何度も出てきて嬉しくなりました。映画を観て興味を持った方でお近くの方は、是非足を運んでみてくださいね。遠くの方も、機会があれば是非どうぞ!
・私の行ってみたレポ:緑の中に、宇宙科学の最前線  JAXA・宇宙科学研究所 相模原キャンパスに行ってきた

 あと、この20世紀フォックス版の原案となった「はやぶさ君の冒険日誌」。以前も書きましたが、ネットでダウンロードも出来ますし、書籍化もされてます。

はやぶさ君の冒険日誌

小野瀬 直美 / 毎日新聞社


 私の行った映画館では、売ってませんでした。売ればいいのに…。はやぶさ君下敷きとかはありました。
 「はやぶさ君の冒険日誌」は、JAXA公式「はやぶさ」帰還特設サイトでダウンロードできます。また、映画の中でも出てきたエピソードの元が「関係者からのメッセージ」にあるので、読み返しています。
はやぶさ、地球へ! 帰還カウントダウン
はやぶさ、地球へ! 帰還カウントダウン:関係者からのメッセージ

 JAXA公式の「はやぶさ物語 祈り」、プラネタリウムで上映され、その後映画館でも上映された「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」と、これまでも探査機「はやぶさ」をテーマにした映像作品がありました。どちらも大好きな作品です。特に「祈り」は音楽も含めて、私がますます探査機「はやぶさ」に興味を持つきっかけとなった作品です。そしてこの20世紀フォックスによる「はやぶさ/HAYABUSA」。人間ドラマとしての切り口もいいなと思いました。

 しかし…、まだ終わらんよ!来年2月11日には、東映版「はやぶさ 遥かなる帰還」(監督:瀧本智行、主演:渡辺謙)、来年3月10日には、松竹版「おかえり、はやぶさ」(監督:本木克英、主演:藤原竜也、杏、三浦友和)と2作品も。なんだこりゃぁ…!
映画「はやぶさ 遥かなる帰還」公式サイト
「おかえり、はやぶさ」オフィシャルサイト←予告が自動再生されます。
 ちなみに、上映前の予告で、東映版の予告が流れて驚きましたw渡辺謙さんがプロマネ役なのですが…ビックリしました。この20世紀フォックス版のプロマネ役・佐野史郎さんがあまりにも似過ぎでしたが、渡辺謙さんも本気の模様です…。
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 東映版のチラシもあったので、もらってきました。表はいつもの渡辺謙さんですが…。

 これ以上書くと、ネタバレするのでこの辺にしておきます。DVD・ブルーレイが出たら、もう一度ゆっくりじっくり観たいです。今回とは違うことを感じる、思うかもしれない。

 最後に、JAXAによる、堤監督へのインタビューを紹介します。
JAXA:インタビュー:堤幸彦 「はやぶさ」を成功へと導いた 真実の人間ドラマを見てほしい
 カメラチームのリーダー・坂上さん(高嶋政宏さん)を助演にしたのがよかったなぁと感じました。
 あと、「JAXA's」40号に、的川泰宣先生と、的川先生がモデルの役を演じる西田敏行さんの対談が載っています。こちらもどうぞ。
JAXA:機関紙 JAXA's
 PDFで読めます。JAXA事業所、科学館などで配布もしていますし、配送サービスもやってます。パンフレットで宣伝があってニヤリとしましたw

 ネタバレしないように…と思って書いたのに、どうしてこんなに長くなったんだろう…?
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by halca-kaukana057 | 2011-10-10 23:12 | 宇宙・天文

「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」劇場上映を観てきた

 現在全国(上映されていない県もありますが…本当の意味での”全国ロードショー”をしてよ!)の映画館で上映されている「はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH」(以下略して「HBTTE」).元々プラネタリウムで上映されてきた作品ですが、この度晴れて映画館でも上映されることになりました。身近に上映しているプラネタリウムがない地域に住む身としては、とても嬉しいことです。有り難いです。大スクリーンでHBTTEを観れるチャンス。観てきました。

角川映画:はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH
↑上映館もこちらでチェックできます。

ワーナー・マイカル・シネマズ:はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH
↑ページを開いてしばらくすると、予告動画が再生されるので、音量にご注意ください。

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 ちらし。
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 映画館の入り口ロビーには、このような「はやぶさ」の旅路を紹介する大きなポスターが貼られていました。ロビーには他にもポスターが何枚も。他の映画作品より多かった。映画館側も総力を挙げてイチオシしてます!

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 こんな手作り「はやぶさ」模型もありました。誰が作ったんだろう?映画館のスタッフさんたちかな?手作り感がいい味出してます。

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 上映館は主にワーナーマイカルシネマズですが、ワーナーマイカルだと先着3万名様にオリジナル記念カードのプレゼントがあります。公開初日から数日でなくなっているだろうと思ったのに、貰えました。これは…喜んでいいのか、どうなのか…。

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 裏は「はやぶさ」の地球ラストショット画像です。ちなみに、後ろにあるのはパンフレット。買っちゃいました。


 さて、ここからが本題。上映されているのは、昨年の「はやぶさ」帰還後に元のバージョンにシーンを追加した”帰還バージョン”。プラネタリウムでも、この”帰還バージョン”が上映されています。プラネタリウムだと全天周、映画館だと平面。元のバージョンをブルーレイで、そして”帰還バージョン”は映画館で観たため、観ていないプラネタリウム版と比較することが出来ません。平面版だけの感想です。

 …いやぁ、冒頭から圧倒されました。大スクリーンにちりばめられた星々。その向こうの闇。そこに、青い地球が見えてくる。その地球の迫力にまず圧倒されました。そして始まる「はやぶさ」の長い旅路。ブルーレイで観た時も感じたのですが、解説がうまい。「はやぶさ」とはどんな小惑星探査機なのか、「はやぶさ」の仕組み、スウィングバイとは何か、何故小惑星イトカワに向かうのか、イトカワの大きさ、構造…。上映時間は約1時間。この短い間に、これらを観てわかるように解説し、そして「はやぶさ」の旅路を追う。このバランスがうまいなぁと、映画館でも心の中で唸っていました。

 「はやぶさ」は打ち上げられた後、地球の公転軌道のそばを飛び、約1年後(7年前の今日、2004年5月19日)に再び地球に追いついて、「はやぶさ」の軌道の向きと速度を変えるための「スウィングバイ」を行いました。このスウィングバイをする時、地球が見えてきたところのナレーションがとても好きです。私も、「はやぶさ」と一緒に大きな宇宙を見て来たのだなぁ。でも、この小さく見える地球で、生きているのだなぁ、と。

 そして小惑星イトカワへ。以前HBTTEサントラの記事で書きましたが、この作品は音楽もお気に入りです。映画館だと音楽もとても響きが良く、迫力満点で聴けます。イトカワに着いた後の音楽は好きなものが多いので、音楽も楽しみました。

 その後のイトカワへのタッチダウン、不時着、再挑戦と離着陸成功、燃料漏れのため姿勢制御できず行方不明に…。このあたりはドラマに惹き込まれます。「はやぶさ」の科学・技術的な部分と、数々の困難を乗り越え続けるドラマ的な部分。HBTTEはこのバランスも取れていて、やっぱりうまいなぁと唸ってしまうのでした。

 さて…、初見となる、”帰還バージョン”で書き換えられ、付け加えられた部分。どんなシーンになるのかは全く知らずに観ました。帰還の6月13日夜以降にネットやテレビ、新聞で観たものが鮮やかに蘇ってきました。このシーンで流れる「宙よ」の歌がまた、じわりじわりとシーンを、感情を盛り上げてくれる。やっぱり目に涙をためてしまいました。詳しいシーンの内容は伏せます。実際に観てください!

 身近なところでの上映が無いのが悲しいのですが、プラネタリウム版も観てみたくなりました。

 上映は14日から始まり、2週間の予定なので、27日ごろまで。映画館によっては、異なることがあると思うのでご確認ください。「はやぶさ」に関してよく知らない…方も大丈夫。上述の通り、科学・技術的な面の解説はうまいです。この映画をきっかけに、「はやぶさ」、更には宇宙工学・宇宙科学に興味を持つ人が増えたらいいなと思います。心からオススメします。お近くに上映館がありましたら、是非どうぞ!!ちなみに、ワーナーマイカルだと500円、ワンコインです!(ワーナーマイカルの回し者ではありませんw)

【関連リンク】
シネマトゥデイ:「はやぶさ」への熱い思い…ドキュメンタリー製作の監督が吐露「自分の身を焼きながらカプセルを地球に落とす姿に感動」
 ↑試写会での上坂浩光監督トークショーの模様を。
マイコミジャーナル:あの「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」がついに劇場に - 14日より全国公開
 ↑大塚実さんによる試写会・トークショーレポ。映画を観たら、エンドクレジットにもご注目ください。

【過去関連記事】
翼を広げた「IKAROS」と、まさかの公式アニメ &HBTTE BD版を観た
 帰還直前に届いたブルーレイ(帰還前の元のバージョン)を観た感想を少し。BDで観た細かいところまで精巧な描写は、映画でもはっきりと観られました。

音楽で辿る「はやぶさ」の旅路 「HAYABUSA -Back to the Earth-」オリジナルサウンドトラック
 HBTTEサントラ感想。音楽が気に入ったら、こちらも是非どうぞ!
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by halca-kaukana057 | 2011-05-19 22:02 | 宇宙・天文

「はやぶさ」の旅路のはじまり 祝・打ち上げ8周年

 今日5月9日は小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」が内之浦から打ち上げられた日です。2003年、8年前のことでした。おめでとうございます!

 8年前を振り返ろうと、当時の日記帳を引っ張り出してきました。新しい職場で仕事に打ち込む毎日でした。慣れない環境で、試行錯誤し悩み、大好きな宇宙の話題も追えないほど忙しい時期でした。日記にも仕事で悩んでいること、その一方で手ごたえややりがいを感じたことも書かれていたのですが、最後にMUSES-C「はやぶさ」打ち上げ成功のことが書かれていました。当時のISAS・宇宙科学研究所(今の統合したJAXAの形ではない)は、打ち上げが成功するまでは探査機の愛称を発表せず、コードネームで呼んでいました。なので、私もずっとMUSES-Cと呼んでいました。打ち上げの前に、探査機に名前を載せて一緒に小惑星へ行こうというキャンペーンをやっており、自分と家族の名前を申し込んでおきました。このブログで何回も取り上げたとおり、今その名前の刻まれたプレートが貼ってあるターゲットマーカーは、小惑星イトカワの上にあります。そのことももちろん覚えていて、日記には打ち上げ成功を喜ぶ言葉と共に、「私と家族の名前、小惑星へ行ってらっしゃい!」と書かれていました。
 それから、MUSES-C「はやぶさ」の旅路は始まりました。この時、こんな困難に満ちた旅路になろうとは予想もしていませんでしたし、出来ませんでした。

 打ち上げ8周年に寄せて、川口淳一郎プロマネのコラムが、ISASのサイトにアップされています。
ISAS・宇宙科学研究所:「はやぶさ」打上げ8周年にあたり

 ちょうど1年前の今頃は、地球帰還へ向けて軌道制御(TCM)を行っていました。その時の裏話が。イオンエンジンが起動しなかったことがあったそうです。「はやぶさ」のイオンエンジンといえば、帰還の前年、4基あるエンジンが全て故障し、大ピンチに陥りました。しかし、動いている部品を組み合わせるという裏技で再起動成功。この時は本当にハラハラドキドキ、祈るばかりの日々でした。再起動できたとはいえ、不安は残る。その不安が残ったままのTCMだったのです。それでも、地球帰還を目指してありとあらゆる方法を試してみる。「はやぶさ」のプロジェクト・技術そのものにも興味がつきませんが、それを運用している人々の想いがあってこそ宇宙機は宇宙を飛んでいる。それを「はやぶさ」の旅路で実感しました。

 最後の部分も、川口先生の「はやぶさ」への今の想いが伝わってきます。

 そして、6月13日の帰還。もうすぐ1年です。早かったような、短かった、まだ1年しか経っていない、不思議な感覚です。あの日のことは忘れることが出来ない、出来る筈がありません。今もはっきりと覚えています。

*****

 さて、「はやぶさ」をテーマにした映画が、現在何本も製作中です。今名乗りを挙げているのが、東映、松竹、20世紀フォックス。角川映画はプラネタリウムで上映している「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」(帰還バージョン)を劇場上映します。
角川映画:はやぶさ HAYABUSA BACK TO THE EARTH
 もうすぐ、5月14日から公開です。

 20世紀フォックスは堤幸彦監督、竹内結子さん、西田敏行さん主演で。
シネマトゥデイ:竹内結子主演で『はやぶさ』20世紀フォックスが映画化!JAXAの上司役に西田敏行!奇跡の帰還に「今の日本の夢や希望となれたら…」

 東映は瀧本智行監督、渡辺謙さん主演。渡辺さんは川口先生がモデルのプロマネ役を演じます。おお。
シネマトゥデイ:渡辺謙主演で映画『はやぶさ』が始動!プロジェクト・マネージャー役に!映画のプロジェクト・マネージャーも兼任!
毎日新聞:渡辺謙:映画「はやぶさ」主演!企画段階で快諾
 毎日新聞の記事によると、渡辺さんは川口先生とお酒を飲みながら話したそう。…すごいコンビです。

 松竹はなんと3Dの予定。どの作品も詳細はまだ未定・未発表の部分が多いですが、今後楽しみです。
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by halca-kaukana057 | 2011-05-09 22:55 | 宇宙・天文


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