タグ:歌曲 ( 14 ) タグの人気記事

シューマンとリュッケルト

 今日は6月8日、ロベルト・シューマンの誕生日。生誕206年です。初夏、(当地では)入梅前の爽やかな季節、シューマンはとても合うと思うのです。雨の日もまた合うと思う。

 今年はこのCDから。
HMV:BBC Music Magazine 2016年5月号
f0079085_2241654.jpg BBCが出版している音楽誌。前から気になっていたのですが、この5月号の付録CDがシューマンとクララの歌曲と聴いて購入。洋書です。全部英語です。

 シューマンは様々な詩人の詩に曲をつけました。ゲーテ、ハイネ、ケルナー…そしてフリードリヒ・リュッケルト。シューマンの歌曲の代表的作品、「ミルテの花」op.25の第1曲「君に捧ぐ(献呈)/Widmung」もリュッケルトの詩。「ミルテの花」では第11曲:花嫁の歌Ⅰ、第12曲:花嫁の歌Ⅱ、第25曲:東方のバラより、第26曲:終わりに、が取り上げられています。

 op.37は全曲リュッケルトの詩の作品です。詩集「愛の春」から12曲。この歌曲集の中の3曲はクララの作曲です。歌も、ソロだけではなく、ソプラノとテノールの重唱もあります。ロベルトとクララの結婚に合わせて作曲、出版は結婚の翌年になってしまいますが、2人の愛の歌と言っていい歌曲集です。

 これまで、あまり作詞者、作詞者の個性については注目してこなかったのですが、「献呈」からもわかるように、リュッケルトの詩はロマンティックです。シューマンにぴったり。特に好きなのが、第5曲「私は自分の中に吸い込んだのだ/Ich hab in mich gesogen」.春と愛の喜びを、美しいメロディーに載せています。前奏がとても印象的。歌とピアノ伴奏が追いかけっこをしているような音楽で、穏やかな雰囲気です。第9曲「バラ、海 そして太陽/Rose,Meer und Sonne」も広い広い海原を思わせるおおらかなメロディーが美しいです。重唱の第7曲「美しいのは春の祭/Schön ist das Fest des Lenzes」、第12曲「確かに太陽は輝く/So wahr die Sonne scheinet」ソプラノとテノールのハーモニーがきれい。特に第12曲は教会で聴く賛美歌のような美しさ。詩も愛を静かに、優しく、ストレートに歌っています。小さな合唱曲です。

 シューマンの歌曲は、詩の魅力を曲が引き出し、美しく響かせているところにあるのかな、と感じました。このCD、歌もきれいでいいCDです。これが雑誌の付録とは。
[PR]
by halca-kaukana057 | 2016-06-08 22:05 | 音楽

やわらかく、やさしく、自然に、バロックのイタリア歌曲 波多野睦美:イタリア歌曲集

 声楽を始めて、イタリア歌曲集に初めて出会いました。最初は南の方の音楽・詩に馴染めない(音楽はとりわけ北…北欧が好き。ドイツあたりも日本と比べたら北だ)と感じることもあったのですが、歌ううちにこれが魅力なのかなと、徐々に好きになっていきました。

イタリア歌曲集(1)中声用 [新版] (声楽ライブラリー)

全音楽譜出版社



 作品に取り組む前に、録音を探して聴きます。動画サイトだったり、MP3販売だったり。でも、一枚ぐらいイタリア歌曲集のCDを持っていたい。日本盤の、日本語解説のついたものがいい。あと、私の声域に合ったもの…メゾソプラノがいい。そのうち、このCDが出ていることを知りました。


TOWER RECORDS ONLINE : 波多野睦美/イタリア歌曲集
 メゾソプラノ歌手の波多野睦美さんによるイタリア歌曲集。カッチーニ、A.スカルラッティ、カルダーラ、フレスコバルディ、モンデヴェルディ、ヘンデル…とイタリア歌曲集ではお馴染みの作曲家の作品が収められています(でも、私はまだ1巻)。カッチーニ「アマリッリ」やヘンデル「私を泣かせてください」、カルダーラ「つれない人よ」あたりは声楽をやったことがなくても聴いたことがあるかも。

 聴いてまず思ったのが、波多野さんの歌がとてもやわらかくてやさしい。とても穏やかでやわらかい、ゆったりと、ふわりとした、でも響くメゾソプラノ。私が歌うと力んでキンキンした声になってしまう高音(オクターブ上のミより上)も、自然で無理がなくやわらかい。無駄な力が入っていない。高音をこんな風に自然に歌いたいと思いました。フォルテも、ただ強い大きな声ではなく、表情が様々。ピアノでもそうだった。自分の声が楽器になるのだから、もっと多彩な表情を付けられるはず。付けられるようになりたい。波多野さんの歌声は、人間の声であり、管楽器のようなところもあるし、弦楽器のような響きもあります。
 あと、いつもはオペラ歌手が大舞台で堂々とアリアを歌うように私は歌っているのですが、元々オペラアリアでも「歌曲」になっているのだから、声を張り上げずに、弱音と響きを大事にした歌い方の方が自然なのかな、と感じました。

 伴奏は、バロックハープやチェンバロ、バロックチェロ、弦楽アンサンブルによるもの。ポコポコと打楽器の音もする曲もあるのだが、楽器を叩いているのだろうか。波多野さんの歌をやさしく引き立てつつ、それぞれの楽器も存在感がある。伴奏も自然で素朴でやさしい。ピアノ伴奏もいいけれど、元々はこんなバロックアンサンブルで演奏されていたのだろうなと思うと、イタリア歌曲集の深さを実感します。

 楽譜とは異なる演奏をしていたり、歌い方も楽譜と違うところも多くありました。このCDは声楽・イタリア歌曲集の「お手本」ではない。ひとつの芸術作品だ。歌そのものの「お手本」としては難しいものがありますが、発声、発音、トリルやヴィヴラート、響かせ方…たくさんの学ぶところがあります。そして、私自身、レッスンで取り組んでいる曲という考え方でいたことを思い知りました。ずっと歌い継がれてきた芸術作品であることを、少しも考えたことがありませんでした。波多野さんの歌から、これは芸術作品なんだと実感させられました。発表会で歌う歌も、普段のレッスンで取り上げられる歌も、イタリア歌曲集の楽譜に収められている曲はレッスン用の教則本(教則本であるコンコーネ50番練習曲も歌っていて楽しいです)ではなく芸術作品であるという自覚を持って取り組もうと感じました。イタリア歌曲集に対する考え方がまた変わりました。

 やっぱり声が楽器になるって面白いな、深いな。私はまだ入り口のあたりにいる。もっと先に進んでみたいです。

 試聴できます。
Le Violette (A.Scarlatti) すみれ( A.スカルラッティ) 波多野睦美 Mutsumi Hatano


Selve amiche Antonio Caldara 優しい森よ(伝カルダーラ)波多野睦美 Mutsumi Hatano

[PR]
by halca-kaukana057 | 2015-11-13 23:06 | 音楽

続・伴奏じゃない、ともに奏でること

 久しぶりに声楽レッスンで思ったこと、気づいたこと、感じたことを。

 以前書いたこの記事:伴奏じゃない、ともに奏でること
 この記事ではチェロとピアノ、「チェロソナタ」だけど、ピアノが伴奏だけになっていないことについて書きました。

 コンコーネ50番練習曲も、イタリア歌曲集でも、最近のレッスンでピアノと「一緒に歌う」ことを意識させられています。コンコーネ50番練習曲は全部で50曲あるのですが(ピアノのツェルニー100番・30番練習曲でも、ブルクミュラー25の練習曲でも、タイトルに曲数が出ていますね)、中盤に差し掛かってきました。だんだん難しくなってきています。音の跳躍やリズムも複雑。シンコペーションが苦手だったことを思い知った曲もありました。コンコーネは何が苦手なのかをあぶりだしてくれるいい曲集です(コンコーネ好きですよ~)。

 今取り組んでいる曲に共通していることは、ピアノ伴奏がない箇所が課題だということ。イタリア歌曲集の中でも、他のシューベルトやシューマンなどのドイツリート(先生の許可が下りません…)、様々な歌曲では、伴奏のメロディーと歌のメロディーが一致しない曲が多い。ピアノは休符・お休みしていたり、和音は一応歌のメロディーに合っているのだけどピアノも複雑な演奏をしていたり…。歌曲もオーケストラの協奏曲のような部分があるのだなと感じます。
 ピアノ伴奏がない箇所では、音が取りにくい。音は合っている(ドならド)けど、微妙なピッチが合っていない・揺らいでいることがよくあり、指摘されます。これまで音楽の演奏はピアノだけやってきて、ピアノはドの鍵盤を押せばドの音が出る。ひとつのピッチのドしか出ない。でも、ヴァイオリンなどの弦楽器なら、同じドでもピッチを微妙に変えられる。ドにも範囲がある。声楽も同じように、ドにも範囲があり、微妙に揺らいでいる。この揺らぎは音が不安定になるので、安定したピッチの音を出すことが求められる。ピアノ伴奏がドを出していれば、歌うほうもドの声を出しやすい。でも、苦手な音域…私の場合高い音域や跳躍する音になると、ピッチが揺らいでしまいがち。そこに伴奏がないと思い切り外してしまうこともある。自分では準備をして、「いくぞ」と心の中で思いながら臨むのですが…外してしまうと「ああ、うまく出なかった…」残念です…。

 ピアノ伴奏がない、つまり、歌手の歌のみせどころ。聴かせどころ。強調するところ。自分の声だけで、どう演出するか。どう響かせるか。課題です。
 反対に、前奏や間奏、メロディーの合間などのピアノだけの箇所も、歌っている側はお休みしているだけでない。そこもその音楽、作品。特にメロディーのちょっとした合間は大事にしたいと思っています。
 また、前の記事でも書いた通り、ピアノ伴奏も弾けなくても読めないとダメだなと実感しています。歌のリズムが難しい場合、ピアノ伴奏にヒントがあることが多い。ピアノ伴奏と歌がどう絡んでいるのかも、その曲を読み込み、どう歌うかを決めるポイントになる。ピアノをひとりで弾いてきたのとは違う感覚です。似ているけど、ちょっと違う。

 ピアノはただの伴奏じゃない。歌も伴奏に頼ってばかりでもダメ。そんな課題に今ぶち当たっています。

 あと、声楽に関して思ったことを箇条書きで。
・歌っている時、歌いながら指揮のようなことをしたくなりますwリズムが難しい曲は手で脚を軽く叩きながらリズムを取っていることも多いのですが、声の強弱や質感、雰囲気など、オーケストラの指揮者のように指揮を自分自身にしたくなります。楽譜にも書いているのですが、指揮のようなことをしたほうがわかりやすいかな、と。実際やってみるとハマる。ピアノだと両手がふさがっていたのでそんなことは出来ませんでしたが、声楽なら手は空いています。声楽をはじめて、ピアノだけではわからないことが色々と見えてきました。勿論、家での練習だけで、レッスンではやりませんw無意識に小さく振ってしまうことはあります。あと、オペラのように簡単な振り…手の動き程度のことも入れてしまうこともあります。声楽はより身体でも表現する音楽ですね。

・最近、声楽付きの交響曲や管弦楽曲を聴くことが多いです。声楽付きの交響曲…シベリウスの「クレルヴォ」交響曲(交響曲に入るのか、入らないのか、と論議はありますが)、「ルオンノタール」、マーラーの交響曲第2番や第3番(今まで敬遠してきたのですが、聴くといつの間にか楽しんでいて、聴けるようになってきました!)、グリーグの「ペール・ギュント」の「ソルヴェイグの歌」などなど。声楽付きの古楽、モーツァルトやフォーレ他の「レクイエム」のような宗教曲も。オペラ、オペラアリア抜粋とはまた違う、歌の可能性を感じます。
[PR]
by halca-kaukana057 | 2015-10-15 23:26 | 奏でること・うたうこと

シベリウスの初期作品の暗さ 歌曲集op.38より 没後58年に寄せて

 今日、9月20日はシベリウスの御命日。ちょうどお彼岸なので、毎年、アイノラにあるシベリウスのお墓にお墓参りに行きたい…と思ってしまいます。
 9月、フィンランドは秋も深まってきていると思います。そんなフィンランドの秋と、シベリウス没後58年に寄せて何を聴こう…今回も声楽・歌曲から。「5つの歌」op.38の第1曲「秋の夕べ(Höstkväll)」と第2曲「海辺のバルコニーで(På verandan vid hafvet)」。どちらもスウェーデン語の歌詞です。

 歌曲ですが、私が聴いたのは伴奏はオーケストラによるもの。なので、歌曲よりもスケールが大きく感じます。「秋の夕べ」…北欧の短い夏が終わり、陽はどんどん短くなる。暗く、雨も降り、寒く、寂しい北欧の秋。その風景の中、孤独を歌う。歌う、というよりは、語るように。作曲されたのは1905年。初期の作品ですが、後期交響曲、特に4番の頃のような暗さを感じます。「クレルヴォ交響曲」op.9の第3楽章、クレルヴォとその妹の歌の雰囲気にも似ているかもしれない。「クレルヴォ交響曲」の第3楽章は、オペラのような雰囲気もあるし、声楽つきの管弦楽作品の雰囲気もある。初期と後期で、シベリウスの作風は大きく変わりますが、この「秋の夕べ」を聴いていると、シベリウスの音楽に変わりはない、とも思います。
 
 「海辺のバルコニーで」も、内面に問いかけるような孤独を感じる歌。やはり歌うというより、語る雰囲気。海も、北欧の夏の青く爽やかな海ではない、夏が過ぎた寒々とした海を思わせます。そして孤独だけでなく、儚さも感じさせる歌詞。結局は消えてしまう。そんな暗さに病みつきになります。

 このop.38の次、op.39は交響曲第1番。そう思うと、交響曲第1番のイメージも変わってくるかも。やはり、初期と後期で作風は大きく変わるけれども、シベリウスはシベリウスなんだなと感じます。そう思わせてくれる歌曲です。
[PR]
by halca-kaukana057 | 2015-09-20 23:47 | 音楽

ドラマティックなシベリウスの歌曲op.37

 今年はシベリウス生誕150年。記念年です。先日のEテレ「らららクラシック」ではヴァイオリン協奏曲、テレ朝「題名のない音楽会」では藤岡幸夫さん指揮日本フィルで「フィンランディア」と交響曲第5番第3楽章を特集、演奏していました。Eテレ「クラシック音楽館」では、ユッカ・ペッカ・サラステ指揮N響の「クオレマ」と交響曲第2番。少し前には庄司紗矢香さんヴァイオリンソロ、パーヴォ・ヤルヴィ指揮N響のヴァイオリン協奏曲。アンコールは「水滴」(シベリウス10歳の時の、人生最初の作曲作品!元はヴァイオリンとチェロの二重奏です)。テレビ放送で確認しただけでもこんなにある。もっと盛り上がってもいいですよ!嬉しい限りです。

 今日、こんなのを見つけました。
ゴールデンタイムズ:クラシック音楽でこれだけは聴いておけ!という曲を貼っていくよ
 クラシック初心者向けの有名曲、定番曲と思いきや、マニアックな選曲、作曲家ばっかりです…。有名な作曲家でもかなりひねってます。これは面白い。知ってる曲、好きな曲、名前も初めて聞く曲・作曲家。他者の聴いている曲、おすすめを教えてもらうのもいいですね。

 この中に、シベリウスもありました。民族叙事詩「カレワラ」のクレルヴォの物語を題材にした「クレルヴォ交響曲」。初期の作品で、私はまだ馴染めていないのですが、合唱の「Kullervo,Kalervon poika(クレルヴォ、カレルヴォの息子)」の部分は何故か口ずさんでしまいます。

 そしてもうひとつ。歌曲集「5つの歌」op.37より、第4曲「あれは夢だったのか?(Var det en dröm?)」。クレルヴォ交響曲も声楽つきの交響曲ですが、再び声楽・歌曲と来ましたか。これまた渋い選曲を。動画もあるのでどんな曲かすぐ聴けます。でも、歌詞はどんな歌詞だったっけ?私、CDとか持ってたっけ?探してみたらありました。よかった…(安堵

 タイトルの通り、歌詞はスウェーデン語です。作詞はヴェクセル。
梅丘歌曲会館 詩と音楽:ジャン・シベリウス:あれは夢だったのか?
 歌詞はこちらに対訳もあります。

 聴いたのは、ソプラノのバーバラ・ボニー盤、メゾソプラノのアンネ・ソフィー・フォン・オッター盤、テノールのハンヌ・ユルム盤。
 作曲されたのは1902年。交響曲第2番と同じ年です。歌曲でも、シベリウス作品は前期と後期では雰囲気が異なる。前期に当たるこの「あれは夢だったのか?」を聴いて、まず思ったのが伴奏も歌もドラマティックな曲だな、と。歌詞も過去の恋人との思い出を情熱的に語っている。歌詞を見ずに音楽・歌だけ聴いていると、夢見るような曲想に惹かれます。短い曲ではあるけれども、エネルギーをじわじわと爆発させている。

 他にも、op.37の曲があったので聴いてみた。第5曲「逢い引きから戻った娘(Flickan kom ifrån sin älskings möte)」はシベリウスの歌曲の中でも有名だと思う。これは聴いた記憶がちゃんとあった。詩はルーネベルイ。作曲は1901年。やはりスウェーデン語の歌詞です。
梅丘歌曲会館 詩と音楽:ジャン・シベリウス:デートから戻った娘
 これまた詩も曲もドラマティック。恋をした娘の恋の成就と別れ…シューマンやシューベルトの歌曲を思います。が、曲はシベリウスだなと思うところがある。細かく刻まれる音や、歌を追いかけるようなゆるやかな伴奏。交響曲第2番でもあるようなうねうねとした部分も。伴奏を聴くのも楽しい。ピアノでも、オーケストラ伴奏でも。オーケストラ伴奏だと、よりシベリウスらしさを感じます。

 第3曲「日の出(Soluppgång)」。詩が暁、日の出、夜明けの情景を美しく描いている。となると曲も雄大で美しい。素朴さもあるのがまたいい。

 ということで、「5つの歌」op.37、いい歌曲集です。せっかく声楽やってるんだし、歌えたらなぁと思うのですが、日本語版の楽譜がない…。シベリウスの歌曲の日本語版の楽譜は悲しいことに皆無。スウェーデン語の発音もわからない。日本語版の楽譜なら、スウェーデン語の発音解説も書かれるはずなので(イタリア歌曲集にはあります)。ピアノ曲でも日本語版の楽譜は少ない。ようやく少しずつ増えてきていますが、曲の数はまだ少ない。いい曲いっぱいあるのに…。シベリウス生誕150年記念年だし、日本では著作権保護期間も切れてアマチュアでも演奏しやすくなっているので、どんどん楽譜出しましょうよ!アマチュアが演奏しやすいピアノやヴァイオリンなどの器楽曲、室内楽、声楽・合唱曲は特に。声楽・歌曲集の日本語版楽譜は本当に出しましょうよ!!

 歌曲・声楽作品もどんどん聴くことにします。
[PR]
by halca-kaukana057 | 2015-07-21 23:16 | 音楽

シューマンのもうひとつの「ライン」

 今日はロベルト・シューマンの誕生日。1810年生まれ、生誕205年です。

 シューマンの生誕記念に色々と聴いています。シューマン作品の中で特に好きなのが、交響曲第3番変ホ長調op.97「ライン」。第1楽章の冒頭は「N響アワー」のオープニングにもなり、聴くとN響アワーを思い出します。
 デュッセルドルフにやって来たシューマン。ケルン大聖堂を訪れたことが、作曲のきっかけとなったと言われています。「ライン」の副題はシューマン自身によるものではありませんが、爽やかで、時に勢いよく時にゆったりとした曲調はライン川を思わせます。そして第4楽章の荘厳な雰囲気はケルン大聖堂。生き生きとして明るく、とても好きです。

 聴いていたら、もうひとつ、「ライン」とある曲を見つけました。歌曲集「詩人の恋」op.48の第6曲「ラインの聖なる流れに(Im Rhein, im heiligen Strome)」。詩はハイネのものより。ライン川を歌っていると思いきや、ケルン大聖堂を歌っています。「詩人の恋」の前半は、愛する人への想いをロマンティックに歌っていて、本当にシューマンらしい。甘い夢見るような曲が詩を盛り上げます。が、第6曲「ラインの聖なる流れに」はそれまでと雰囲気が変わります。重くどっしりと暗い。荘厳。ケルン大聖堂の中の光、そして聖母像が愛する人にそっくりだ、と。交響曲第3番「ライン」も、ケルン大聖堂と枢機卿就任式をイメージした第4楽章は荘厳な雰囲気。似ています。どちらかと言うと、「詩人の恋」の「ラインの聖なる流れに」の方が暗く重い気はします(声域にもよる?)。そして、第7曲「恨みはしない」からは、失恋が歌われます。第6曲が転換期となっているように思えます。
 シューマンにとって、ライン川は、ケルン大聖堂と結びついているのかも。
 ちなみに、聴いたのは、フィッシャー=ディースカウ(バリトン)と、ペーター・シュライアー(テノール)。ディースカウだとよりどっしりと感じられます。

 ちなみに、この詩にはリストも曲をつけています。ただ、「ラインの美しき流れに(Im Rhein,im schönen Strome)」とタイトルは異なり、曲も優しく華麗です。同じ詩でも、曲調が全く異なる。シューマンの方が暗い雰囲気になっているのが面白いです。
[PR]
by halca-kaukana057 | 2015-06-08 23:58 | 音楽

フォーレを聴こう その4 フォーレの月の歌

 昨日11月4日はガブリエル・フォーレの御命日。1924年、今年没後90年です。フォーレシリーズが止まっていたので、昨日何か書こうと思ったのですが、聴いただけで終わってしまった…。

 今夜は、当地は快晴で月がきれいに見えている。今日は閏九月十三日で、珍しいもので「後の十三夜」とも呼ばれている。いつの間にか、何やら大げさなカタカナ語名称をつけられているのを見て、何だこれ…とも感じています(その名称については書きません触れません。普及させたくない。検索避けでもあります)
・「後の十三夜」について以前言及した記事:今年の秋はお月見三昧
↓閏九月十三日の月については、以下2サイトが詳しくわかりやすく、私の言いたいことを書いています。
アストロアーツ:11月5日は今年2度目の十三夜?
自然環境情報ひろば 丸の内さえずり館:知恵ブクロウ 天文編:月を頼りに暦は巡る

 暦と月の話はここまでにして、月がとてもきれいなので、月を眺めながら聴きたいフォーレの歌曲を今回は選んで書いてみます。フォーレは歌曲も沢山作曲しました。フォーレが活躍した近代フランスには、フランス文学を代表する詩人たちが次々と美しい詩を発表し、作曲家たちは曲をつけました。

 まず、フォーレの歌曲で月の歌と言えばこれ。「月の光(Clair de Lune)」op.46-2.詩はポール・ヴェルレーヌ。「月の光」というと、ドビュッシーのピアノ曲(「ベルガマスク組曲」より第3曲)が有名ですが、ヴェルレーヌのこの詩に影響を受けて書いたと言われています。
 物憂げなピアノの前奏が30秒ほど奏でられた後、ゆったりとした歌が。詩も、月の光の中の物憂げで儚い人々の様子を描いている。詩も曲も派手さはなくさらりとしている。人々や景色の内のかなしさが、月の光でぼんやりと浮き上がっているような詩と曲。派手でもない、濃くも無い。だからこそ、何度でも聴きたくなります。
Fauré: Clair de lune - Régine Crespin, 1966

 次は、歌曲集「優しい歌」op.61より第3曲「白い月影は森を照らし(La lune blanche luit dans les bois)」(「白い月(La lune blanche)」).これもヴェルレーヌの詩。こちらは愛の歌。白い月が森を照らす中、愛する人と一緒にいる。月が照らす森や池の情景、月の光の描写と、愛する人への想いを、言葉は少ないけれども美しく表現している。詩の中の
Rêvons,c'est l'heure. /夢見よう、今この時

C'est l'heure exquise! /今こそ至福の時!

 今しかない時間を歌う、この箇所が特に気に入っています。
Gabriel Fauré - La bonne chanson - Charles Panzéra
 この第3曲。https://www.youtube.com/watch?v=fuP-vrNP-do

 最後に、フォーレ最後の歌曲集「幻想の水平線」op.118より第3曲「ディアーヌよ、セレネよ(月の女神、セレネよ)(Diane,Séléné)」.詩はジャン・ド・ラ・ヴィルド・ミルモン。「幻想の水平線」は海と船をテーマにした歌曲集。ディアーヌ(ダイアナ)も、セレネ(セレーネ)も月の女神。日本の月探査機「かぐや」のコードネームも「SELENE」でした。月が照らす海は、静かなピアノから、凪いでいるとみえる。月も静かに輝いている。人間は疲れ、心は騒ぎ…月の静けさはそんな下界をあざ笑っているように見えるけれども、その静けさに憧れる。静かなピアノ伴奏と、語るように静かに歌う様が気に入っています。
 この曲は、何だか今日そのもののようだ。人間は何だかんだと騒ぐけれども、月はただ静かにそこで輝いているだけ。私もその静けさに憧れます。
Gabriel Fauré -- L'horizon chimérique, op.118 -- Camille Maurane
 この第3曲。

 フランス語はほとんど読めません。発音も難しい。でも、フォーレの歌曲を聴くようになって、美しいなと感じるようになりました。詩も儚さや静けさをさりげなく表現している。儚いものの美しさ…日本の美的感覚に通じるものがあるのだろうか。詳しくないのでよくわからないけれど、ゆったりと夜に聴きたいフォーレの歌曲です。
 「優しい歌」と「幻想の水平線」は歌曲集そのものも気に入ってるので、今度は歌曲集として取り上げてみたいです。

【過去記事】
・第1回:フォーレを聴こう その1「シシリエンヌ」
・第2回:フォーレを聴こう その2「ラシーヌ雅歌」
・第3回:フォーレを聴こう その3「ドリー組曲」
[PR]
by halca-kaukana057 | 2014-11-05 22:48 | 音楽

シベリウスの”心の歌”

 今日9月20日はシベリウスの御命日。日本ではお彼岸の入り。フィンランド・ヤルヴェンパーのシベリウスの家「アイノラ」にあるシベリウスのお墓にお墓参りに行けたらなぁ…と毎年思います。

 今日はがっつりシベリウスを聴こうと聴いたのですが、記事に書くのは歌曲。今年はオペラ・声楽強化中ということで、シベリウスでも声楽もの、歌曲で行きます。シベリウスはオペラは書いたけれども、とてもマイナーでまずほとんど知られていないらしい。私もよく知らない。

シベリウス:歌曲集 第2集

ハンヌ・ユルム(テノール)/ヨウニ・ソメロ(ピアノ)/ Naxos



 選んだのがこのCD.このCDを聴くきっかけになったのが、あの「フィンランディア讃歌」がテノールソロで歌われていること。「フィンランディア讃歌」は普通は合唱です。私も合唱しか聴いたことがなかった。それが、テノールだけで。ユルムさんの深く、力強く、朗々とした声がとてもダイナミック。ピアノ伴奏も迫力あり、歌に入ると静かに寄り添う。テノールだけの「フィンランディア讃歌」もいいな。いつかは「フィンランディア讃歌」を原語:フィンランド語で歌いたいと思っているのですが、こういうやり方もあるんだなとも思いながら聴いています。ただ、楽譜が無い…日本語訳付きの日本版楽譜が、合唱版ですら見つからない…。メロディー譜は持っているのだが、伴奏もついている楽譜がない…。これはどうしたことか…。

 このCD,とても面白いです。第1集はスウェーデン語での歌曲が中心なのですが、この第2集はフィンランド語の歌曲中心。しかも、歌曲だけでなく、先ほどの「フィンランディア讃歌」他、劇付随音楽「クリスティアン2世」op.27の「蜘蛛の歌」、「ペレアスとメリザンド」の「3人の盲目の姉妹」、「クレルヴォ交響曲」の「クレルヴォの嘆き」といった通常なら声楽付き管弦楽で演奏される曲が、ピアノ伴奏で歌曲のように演奏される。伴奏がピアノでシンプルになり、歌の魅力がより引き立つ。「クリスティアン2世」の「蜘蛛の歌」は元々のオーケストラでの演奏も好きなのですが、ピアノ伴奏でもとても好きです。「クレルヴォの嘆き」もより力強くドラマティックに。人間の声、歌の表現の豊かさを感じます。

 そしてこのCD,フィンランド語の歌曲が収められている…と書きましたが、マイナーな、マニアックな、珍しい曲ばかり。世界初録音の曲もいくつかあるから凄い。残念なことに、このCDには歌詞がついていない。なので、何と歌っているのかさっぱりわからないのだが、曲の雰囲気と歌う声の調子で味わえればそれでいい、とも思う。「おばあさんの誕生日の歌」JS136、という歌もある。穏やかな、ゆったりとした、優しい明るさの歌。長い人生を優しく祝福しているのだろう。
 一方で、しっとりとした曲も多い。「朝露にぬれて」JS9a、「歌いつぶした声」op.18-1、「カリオの教会の鐘」op.65-2など。歌詞はわからないのに、曲と歌声が心を打つ。「歌いつぶした声」op.18-1は、「失われた声(毀れた声)」とも訳され、カンテレ伴奏で歌い継がれてきたフィンランドの民族音楽・カンテレンタル。特に気に入っているのが「わが心の歌」op.18-6.

 歌詞がわからないと思っていたが、検索したら出てきた。とてもわかりやすい訳です。
シベリウス男声合唱曲について:Sortunut ääni(毀れた声)
シベリウス男声合唱曲について:Sydämeni laulu(わが心の歌)

 どちらもかなしみを歌った歌だった。「わが心の歌」は、亡き子を偲ぶ歌。シベリウスの葬儀でも演奏された曲なのだそうだ。歌詞の中身を知らなかったのに、御命日にぴったりな曲を選んでしまった。かなしみであふれる心の奥底から、静かに語るように歌われる歌。バリトンならもっと落ち着いた、暗さも表現されるだろうが、テノールならではのやさしさ、やわらかさもいい。亡き子を偲ぶ歌なら、女声でも歌われてもいいと思う。

 シベリウスの作品は交響曲・管弦楽曲が著名ですが、歌曲やピアノ曲も数多く、管弦楽とはまた違った面が伺える。歌曲・合唱曲もまたいいなぁ。しかし、CDもだが、楽譜が無い…。日本では著作権保護期間も過ぎたのだから、もっと出版されてもいいのに。出版されれば、アマチュアも演奏するだろうに…フィンランド語の発音・発声を教えられる先生が少ないか…。
[PR]
by halca-kaukana057 | 2014-09-20 22:37 | 音楽

オペラ(声楽)事始・番外編その2 声楽コンサートで気軽に楽しもう

 オペラ・声楽集中強化、ゆっくりと進めています。近頃はバロックオペラや、宗教曲、歌曲の方をよく聴くかなぁ…。

 そんな中、お手頃な声楽コンサートがあるので行ってきました。お手軽と書きましたが、本格的です。出演者が凄い。

<出演>
 鮫島有美子(ソプラノ)
 多田羅迪夫(バリトン)
 鈴木准(テノール)
 山岸茂人(ピアノ)

 鮫島有美子さん…!多田羅迪夫さん…!鈴木准さんも躍進中のテナー。なんですかこの豪華メンバー…。会場も室内楽やピアノソロ、器楽曲向きの中規模のホール。前回は大ホールでオペラでしたが、今回は中規模ホールで身近に楽しめる。いいですねぇ。

 タイトルはオペラと書きましたが、オペラの歌・アリアは少なく、歌曲中心。でもオペラでも活躍している声楽家のコンサートということで…。前半が日本歌曲、後半は海外作品にまとまっていました。

 さぁ開演。出演者がステージに出てくるのを拍手準備して待っていたら…なにやら花を運んできた。おいおい、舞台セッティングは開場前にやっておきなさいよ…と思ったら、正装してるしドレス着てるし…出演者でした…なんだこの登場の仕方は!?こんな登場の仕方は初めてです、見たことないw
 ちなみに、前半では多々良さんは和装。かっこよかった。

 歌は勿論惹きこまれました。ソプラノ、テノール、バリトン、ソロで歌っても、三重唱しても、人間の声ってこんなに響くんだ…と実感。声だけじゃない、身体そのものが楽器になる。聞き入るとともに、表情や体の使い方をじっと観ていました。
 特に印象的だったのが、鮫島さんは「浜辺の歌」…今の季節に合いますね。澄んだソプラノとピアノ伴奏に海を思います。サティ「ジュ・トゥ・ヴ」は振り付きで、色っぽく。まさにフランス・パリの大人の女性のイメージ。リチャード・ロジャース「サウンド・オブ・ミュージック」より「サウンド・オブ・ミュージック」「エーデルワイス」も澄んだソプラノの魅力満載でした。
 多田羅さんは滝廉太郎「荒城の月」…和装なのでますます雰囲気出てる。シューベルト「鱒」は、聴いてて感激しました。CDでも、フィッシャー=ディースカウ他様々な歌手で聴きました。釣りをする簡単な振り付きで、明るく深く、陽気でちょっとずる賢い釣り人の様を歌うその声。この歌を生で、しかも多田羅さんの歌で聴けたのに感激。
 鈴木さんは大中恩「悲しくなった時は」。詩は寺山修司。この曲は中田喜直作曲の方がメジャーらしい(歌をもう一度思い出そうと思って検索してみても、中田喜直版しか出てこない…)寺山修司の詩もすごく好みで、歌ものびやか。大中恩版をもう一度聴きたい。中田喜直作曲の作品もありました。「鳩笛の歌」。この2曲は初めて聴いたのですが、日本歌曲もいいなぁと思いました。あと、バーンスタイン「ウェスト・サイド・ストーリー」より「マリア」。「ウェスト・サイド~」はやっぱりいいなぁ。

 歌そのものも楽しんだのですが、お話と演出も楽しかった。メインMCを多田羅さんが担当。バリトン声が落ち着きます。ロジャー・クイルター「真紅のバラ」では、鮫島さんが歌った後、多田羅さん、鈴木さんが最初にステージに運んできた花から赤いバラの花をとって、鮫島さんに差し出す演出も。鮫島さん、鈴木さんのを受け取り、鈴木さんと腕を組んでステージ袖へ…残された多田羅さん…。ズィーチンスキー「ウィーンわが夢の街」ではダンスも披露。歌の背景や歌詞、鮫島さんのオーストリア暮らしのエピソードやらなにやら…お話もとても楽しく、客席からは笑いが絶えませんでしたw

 声楽コンサートでは伴奏に徹しひたすらピアノを弾くピアニスト…。そんなピアノの山岸さんにもスポットライトを。ショパン「ノクターン」第8番変ニ長調のソロが。ショパンのノクターンは全曲聴いた事が無く8番は初めて聴いたのですが、キラキラきれい。端正だけど、だんだん盛り上がってきて情熱的なところも見える、素敵な演奏でした。

 アンコールは会場の皆と一緒に「ふるさと」。この歌は私、思い入れがたくさんあるのでじわりと来ます。せっかくなので少し本気出して歌ってきました。

 歌もお話も演出も楽しいコンサートでした。クオリティの高い歌を、気楽に楽しめるプログラムでした。声楽は楽しいなぁ。ひたすらピアノを弾き続けていた山岸さん、お疲れ様です…。

 ひとつ思ったのが、客層が高かったこと。年配の方ばかりで、若い人が少ない。いないわけではない。私と同年代ぐらいの人もいたし、小中学生の子ども連れのお母さんもいた。制服姿の高校生もいた。でも、大方年齢層が高い…。若い人がクラシックに興味が無い…先日のオペラ「カルメン」では若い人も結構いた。興味が無いわけではないだろう、多分。プログラムとしてはどの年齢でも楽しめる内容のはず…うーん…そこが残念でした。アンケートに書くのを忘れたので、ここに書きます。中の人(主催者)が見てくれたらいいのですが…。

 鮫島さんのCDも買ってきてしまいました(サイン会は無し)。

千の風になって~新しい日本の抒情歌

鮫島有美子 / 日本コロムビア


f0079085_23314447.jpg

 編曲・ピアノ演奏が宮川彬良さん、という点が決め手でしたw

【オペラ強化年・これまでの歩み】
オペラ事始 その1 オムニバスから始めてみる
オペラ事始 その2 ビゼー「カルメン」(ハイライト)
オペラ事始・番外編 オペラ歌手が本気で歌のたのしみを伝える声楽アンサンブル
オペラ事始 その3 序曲・前奏曲は楽しい水先案内人
オペラ事始 その4 生のオペラを観に行こう
[PR]
by halca-kaukana057 | 2014-08-01 23:35 | 音楽

色とりどりのうた ありがとう、フィッシャー=ディースカウ

 5月18日、ドイツのバリトン歌手・ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの訃報が飛び込んできました。86歳だったそうです。またしてもクラシック界の巨匠が、逝ってしまった…。

読売新聞:おくやみ ディートリッヒ・フィッシャーディースカウさん
毎日新聞:訃報:ディースカウさん86歳=世界的なバリトン歌手

HMV:ニュース:フィッシャー=ディースカウさん死去
 詳しいプロフィールと、CDリスト。
毎日新聞:バリトン歌手・ディースカウさんを悼む:詩と音楽の緊張関係を突き詰める
 シューベルト「冬の旅」を中心にした、哀悼コラム。


 今週月曜のNHK-FM「クラシックカフェ」の後半、そして今日は追悼特番をちょうど聴けたので聴いていました。ディースカウの作品といえば、シューベルトやシューマンの歌曲。しかし、それだけではなかった。ブラームス「ドイツ・レクイエム」でデビューし、マーラーの歌曲やJ.S.バッハの宗教曲、さらにモーツァルトやヴェルディ、ワーグナーなどの歌劇・オペラもレパートリーだった。そんな普段は聴いていなかったディースカウの歌をたっぷり聴けて嬉しかったのですが、追悼特集であり…寂しいものです。

 聴いていて思うのが、ディースカウの歌声はなんて色彩豊かなんだろう、と。ディースカウの十八番であるシューベルト「冬の旅」の陰鬱さ。同じシューベルトでも、「魔王」の迫力と恐れおののく様。「ます」や「野ばら」の朗らかさ、明るさ。シューマンは、まさにシューマンが妻・クララへの愛を伝えるかのように。今日聴いたバッハや、マーラー、オペラ・歌劇の数々も、それぞれの作品の雰囲気、歌詞の内容がストレートに伝わってくる。

 私はドイツ語もイタリア語もわからない(ドイツ語は大学の時、第2外国語で学んだのだが…簡単な挨拶しかもうわからない…)。歌詞を追いつつ聴いてみても、いつの間にかどこを歌っているのかわからなくなる。それでも、発音、イントネーション、抑揚、強弱、響き、そして歌声そのものを聴いているだけでも面白い、聴き入ってしまう。

 月曜の放送では、シューベルト歌曲の代表曲「魔王」も放送していた。中学の時、音楽の時間に「魔王」を聴いた。日本語版と、ドイツ語版を聴いた覚えがある。ドイツ語版は多分ディースカウのものだったと思う(多分)。訳詩が衝撃的で、その時はそんな印象しか持っていなかった。それが先日久々に(勿論中学生以来ではない)聴いてみたら、ディースカウの表現・歌声の繊細さと鮮やかさに驚くと同時に、こんな凄い「うた」をCD・ラジオではあるけれど、聴けたのが嬉しかった。バリトンの音域の深さも魅力だ。ディースカウの歌は、「うた」だなと感じています。

 ディースカウは天国でも歌っているのだろうか、きっと歌っているだろう。歌っていてほしい。そんなことを思いながら、またシューベルトやシューマンを聴こう。ブラームスにも結構歌曲はあるし、バッハの宗教曲ももっと聴きたい。亡くなっても、ディースカウのうたは残り続ける。
 たくさんの、素晴らしいうたをありがとう。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

Fischer-Dieskau sings Gute Nacht

[PR]
by halca-kaukana057 | 2012-05-25 23:00 | 音楽


好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)

プロフィールを見る

S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

お知らせ・別サイト

管理人HN:(はるか)
 熱しやすく冷めにくい、何が好きになるかわからない好奇心のかたまり。このブログでは好きなものを、好き放題に語ってます。

プロフィール
*2014.9.5:更新
はてなプロフィール:遼(halca-kaukana)



web拍手を送る






日々のログ:今、ここ、想うこと
または:Twilog

はてなブックマーク
Mielenkiintoinen!

気になること、関心のある記事や参考にしたサイトなどのブックマーク集。コメント多め。

◆ピアノ録音置きブログ:Satellite HALCA

☆「はやぶさ2」、小惑星リュウグウ目指して順調に飛行中!☆
管理人・遼も小惑星探査機「はやぶさ2」を応援しています。



あかつき特設サイト
JAXA:金星探査機「あかつき」特設サイト

☆祝!「あかつき」は金星の衛星になりました☆
金星軌道上で観測準備中!

最新の記事

BBC Proms(プロムス..
at 2017-07-14 23:08
青い海の宇宙港 春夏篇 秋冬篇
at 2017-07-10 22:58
夏のペンギン切手&特印
at 2017-07-05 21:07
四人の交差点
at 2017-07-01 22:43
マッティは今日も憂鬱 フィン..
at 2017-06-23 22:49
イリジウムフレアを見たくて
at 2017-06-20 22:21
6月はばらの季節
at 2017-06-12 22:49
Im ~イム~ 6・7
at 2017-06-12 22:43
カリグラフィニブが楽しい
at 2017-06-10 22:49
お久しぶりISS
at 2017-06-06 22:23

カテゴリ

はじめにお読みください
プロフィール
本・読書
宇宙・天文
音楽
奏でること・うたうこと
Eテレ・NHK教育テレビ
フィンランド・Suomi/北欧
イラスト・落描き
日常/考えたこと
興味を持ったものいろいろ
旅・お出かけ
information

タグ

以前の記事

2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
more...

検索