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音楽の旅・絵の旅

 涼しくなってきたので、読書にも集中できるようになってきました。読むのにかなりの時間がかかった本です。


音楽の旅・絵の旅 吉田秀和コレクション
吉田秀和/筑摩書房・ちくま文庫/2010

 音楽評論家の吉田秀和さんが、1976年にバイロイト音楽祭を聴きにドイツをはじめヨーロッパ各地を旅行した日記と、「音楽の光と翳」という短いエッセイ集の2部に分かれている本です。

 前半のバイロイト音楽祭。ワーグナー「ニーベルングの指輪」四部作の完全上演100年にあたる1976年。演出はシェロー、指揮はブーレーズ。このバイロイトでの演奏会の記録・日記は、私にとっては読むのは大変なことでした。ワーグナーのオペラ(楽劇)はあまり馴染みがない。序曲やアリアの抜粋ならいくつかは聴いているけれども、オペラを通して聴いたことはなく(長い、物語が難しそう、壮大過ぎる、という先入観で…すみませんワーグナーファンの皆様…)、バイロイト音楽祭も馴染みがない。NHKFMで年末に放送されていますが、聴いたことがない。
 それでも、吉田さんがどれだけワーグナーのオペラに惹かれていて、魅力的な部分をスコアつきで語るのは、半分よくわからないけど、ひきつけられるものがありました。吉田さんはプロの音楽評論家。スコア(ワーグナーのオペラはポケットスコアでも分厚いのでピアノ版のスコア)を確認しながら聴いている。音楽理論・楽典の裏づけから、あるシーンの曲の魅力を語っているのを読んでいると凄いな、と思う。そんな吉田さんですら、こんなことを書いているので驚いた。
だが、そうしてみると、今度は私の和声学の知識が不十分であり、穴があることに気づく。若い時、もっと勉強しておくのだった。だが、そういってもいられない。手もとにある武器や弾薬が不足とわかっていても、私はまだまだ、前進したい。たとえ一歩でも半歩でも。
 こう書いたら、いつか新聞でよんだ貴ノ花の言葉というのを思い出した。「もっと立合いを鋭くして、一歩踏みこまなければいけない」という解説者の註文をきいた時、この軽量の大関は「そんなことをいっても、相撲では一歩はおろか、半歩前に進むんだって、本当に大変なんだ。相手だって前に出てくるんだから」といったというのである。私の相手は音楽。それがだんだんやさしくなるどころか、これまでそう思わなかったことまで、むずかしくなるのだ。
(109ページより)

 今、私はバイロイト音楽祭ではなく、ロンドンの夏の風物詩、プロムスの各公演を手当たり次第ネットのオンデマンドで聴いている。様々な作品がある。現代作品も多い。初めて聴く作品も、今まで全く知らなかった作品、苦手だと思っている作品もある。好きな作品もあるが、指揮者やオーケストラも様々。聴いていてそれまで気がつかなかったことに気づいたり、疑問も出てきたり、余計わからなくなることもある。プロムスに限らず、普段聴く音楽でもそうだ。なので、吉田さんの仰っていることがよくわかるとも思う。それでも、音楽にもっと近づきたい。プロムスを聴き、この本を読んで、もっと音楽を楽しく聴くにはどうしたらいいのだろう?と思うようになった。知識や聴く作品を増やせばいいのだろうか。それもひとつのやり方だ。でもそれだけじゃ足りない、全てではない気がする。私の音楽の旅も、まだまだこれからだ。

 バイロイト音楽祭だけではなく、カラヤン指揮ベルリンフィルの演奏会や、黛敏郎のオペラ「金閣寺」、ポリーニのシューマン、若き日のサー・エリオット・ガーディナーの合唱つき作品の演奏会も出てくる。現代作品も出てくる。現代作品に対しての視点が興味深い。音楽だけではない。タイトルの「絵の旅」とあるとおり、美術館で絵画作品を分析しながら鑑賞している。その分析方法が本格的で、吉田秀和さんは絵画にも造詣が深かったのか!と驚かされた。音楽は総合芸術。他の分野とも繋がりが深い。美術にも通じるものがあるのだろう。

 旅はイギリス経由で、ロンドンでも美術館などをめぐる。そこでこう書かれている。
いかにイギリスという国が、イギリス人のものであると同時に、世界中の人たちの前に開放されたものであるかということが、もう一度、頭に浮かぶ。この美術館だって、いつかかよった大英博物館だって、世界中の人に無料で解放されているのだ。どんなに貧乏しようと、金をとろうとしない。それもイギリス人に対してだけでなく、世界中のどんな人に対しても同じなのだ。こういうのを見ていると、将来、もしイギリスの没落という事態が起こったとすれば、それはイギリス人にとってというだけでなく、世界中にとっての損失を意味するだろうという気がしてくる。
(197ページ)

 ここを読んで、イギリスのEU離脱への顛末を思い浮かべずにいられなかった。EUから離脱したからといって、大英博物館などが有料になるわけではないだろうが、イギリスという国の大きさを思い知る。やはり世界の「大英帝国」なんだなぁ、と。吉田さんが想像した没落、損失がないことを祈るばかりである。

 後半のエッセイ集、「音楽の光と翳」は短く、吉田さんの身近なところにある音楽から思ったことが書かれていて、読みやすかった。前半が難しいなと思ったら後半から入るのも手かも知れない。どちらにしても、吉田さんの優しく、音楽への愛情の深い文章は素敵だ。私の知らない音楽の世界を、この本で垣間見れた。音楽の世界は広いなぁ。
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by halca-kaukana057 | 2016-09-02 23:32 | 本・読書

淡くやわらかくやさしい絵を切手に

 今週も切手と特印いきます。

日本郵便:特殊切手「童画のノスタルジーシリーズ 第2集」の発行

 第1集は確かパスした記憶が…。
日本郵便:特殊切手「童画のノスタルジーシリーズ 第1集」の発行
 絵は酒井駒子さん。

 第2集いわさきちひろさん。子どもの頃、教科書や本の挿絵でよく見ました。淡く、やわらかく、やさしい水彩の絵。とても好きです。こどもたちの日常風景から幻想的な絵まで、どれも素敵です。四季それぞれの絵を採用しているんですね。

 特印はこちら。
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 切手は「こげ茶色の帽子の少女」を使いました。大人っぽい雰囲気の女の子が素敵です。
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by halca-kaukana057 | 2016-01-29 22:20 | 興味を持ったものいろいろ

愛おしい日常を愛らしいシンプルな絵で 「誕生60周年記念 ミッフィー」展

 先日、「成田亨」展に続き再び青森県立美術館へ行ってきました。今度は「ミッフィー」展。今年は「ミッフィー(うさこちゃん)」生誕60年。その企画展が全国巡回しています。

青森県立美術館:誕生60周年記念 ミッフィー展
誕生60周年記念 ミッフィー展

 この日の青森は快晴。青く青く広がる空が気持ちいい。
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 いつもの白い建物がお出迎え。青い空に映えます。…あれ、いつもと何かが違う。

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 何かある…!
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 青森県美の白い壁に、うさこちゃんの顔が!!!青森県美が真っ白な建物だったから実現できた…ということか?

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 エントランスにもうさこちゃんがいっぱい。日本とオランダで開催されている「ミッフィー・アートパレード」の一環のよう。

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 展示室に下りるエレベーターも、いつもは白いのに、ブルーナの絵本カラーに!

 ミッフィーというと、絵本やテレビのクレイアニメで少し観る程度。そんなに思い入れはない…実は。でも、シンプルな線で描かれるうさこちゃんをはじめとするキャラクタは親しみやすく、愛らしい。そんなミッフィーシリーズがどのように生まれたのか。展示を観ていたら、ミッフィーに愛着が沸いてきました。

 本国オランダでは、「Nijntje(ナインチェ)」と呼ばれているうさこちゃん。「ミッフィー」は英訳した際の愛称。1955年、ブルーナさんが息子さんに描いた小さなうさぎの絵本が、うさこちゃん・ミッフィーシリーズの始まりでした。その、1955年初版の原画は世界初公開とのこと。1963年の第2版からの現在のうさこちゃんも可愛いですが、初版「ファースト・ミッフィー」の方が愛着が沸きました。姿も丸く、素朴な、まさに手描きのイラスト。どんな絵本でも、原画を観るのは楽しいです。
 
 その後のミッフィーシリーズの原画も数多く展示されていて、ブルーナさんはこんな風に絵を描いているのだなと伺えます。そして会場には、机の上に絵本が並び、ゆっくりと読めるようになっています。原画を観て、絵本を読んで…制作途中と完成品を一緒に観られるのも楽しい。
 ブルーナさんがうさこちゃんを描いている映像を観られる展示もあるのですが、これが面白い。真っ白なうさこちゃん像がスクリーンの隣にあって、ブルーナさんが線を引くと、そのうさこちゃん像に反映される。一筆一筆、ゆっくりと描いていっています。目を描けば、うさこちゃん像にも目が描かれる。プロジェクションマッピングです。最後は、様々な模様の服を着て、うさこちゃんプロジェクションマッピングショー。NHKの人形劇「シャーロックホームズ」のオープニング映像の、ホームズ像のプロジェクションマッピング、と言えば「あれか!」とわかる方もいるかと思います。

 「ミッフィー・アートパレード」のコーナーでは、日本のアーティスト、デザイナーたちが60年のお祝いと感謝を込めて、自由なうさこちゃんを創り上げています。この展覧会は、一部は撮影可。「アートパレード」も撮影可で、気に入った作品の画像を撮ってました。

 他には、ブルーナさんの油彩や水彩画、奥様のために毎日のことなどを描いた「朝食メモ」も。「朝食メモ」…絵日記のようなものと言えばいいだろうか。これは楽しい。私も毎日じゃなくてもやってみたら楽しそうだなと感じました。

 うさこちゃんの物語は、日常のヒトコマを切り取ったものが多い。だからこそ親しみやすい。その親しみやすい物語を、親しみやすいシンプルな絵で表現している。だからこそ、子どもも大人も愛着をもてるのかもしれない。日常のヒトコマも愛おしいもの…ブルーナさんの「朝食メモ」でも、ミッフィーシリーズでもそう思える。それを伝えるには、シンプルな絵が一番ストレートな方法になるのかもしれない。展示そのものの数は多くないので、ゆっくりと絵本を読みながらそんなことを考えました。

 青森県美の特別展展示室のうちの2部屋は、物販コーナーになっていました。こんなの初めて見た。いつもならグッズはミュージアムショップにある。ミュージアムショップだと狭いからなぁ。とにかくグッズが多くて、展示でうさこちゃんに親しみを持ってしまった私には大変危険な空間でしたw物欲がw手にしていたのは、やはり初版のうさこちゃんグッズが多めでした。初版、「ファースト・ミッフィー」可愛いよ。

 今回は常設展はパス。常設展は9月までやってるので、またゆっくりと来ます。物販コーナーで一気に疲れてしまいました…。
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by halca-kaukana057 | 2015-07-12 17:26 | 興味を持ったものいろいろ

怪獣に込めた芸術 「成田亨 美術/特撮/怪獣」展に行ってきた

 もう常連の青森県立美術館。今年度の展示を見てきました。現在、開催されている特別展は「成田亨 美術/特撮/怪獣」展。青森にゆかりがあり、「ウルトラマン」シリーズの怪獣などのデザインを手がけた成田亨(なりた・とおる)。青森市内には、青森県立美術館への案内看板にウルトラマンシリーズのウルトラマンや怪獣が描かれています(開館の際、著作権の関係で色々あって、少しの間ビニルシートを被せられ公開されなかったことがありました…)。常設展でも、成田亨の怪獣スケッチの展示があり、常設展を観る度に目にしてきました。
 とは言え、私はウルトラマンシリーズはほとんど観たことがない。リアルタイム世代でもない、いわゆる「懐かしのテレビ番組特集」みたいなものでウルトラマンが怪獣と戦うシーンぐらいしか観たことがない。怪獣はバルタン星人やカネゴンぐらいは知っている…。あと、常設展で観てきたスケッチ程度。その程度ですが、この「成田亨」展の青森県美さんの宣伝がかなり力が入っていて、よくわからないけど面白そうだな、と思い前売りを買っていたのでした…。

青森県立美術館:成田亨 美術/特撮/怪獣

 普通、チラシ(フライヤー)は1種類、あっても2種類程度ぐらいだと思うのですが、
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 6種類も出している。ここがまず普通じゃない。さらに、
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 前売りで買うとシークレットフライヤーとステッカーがもらえる。さらに、会場内限定のフライヤーもある。前8種。尋常じゃない。ちなみに、ミュージアムショップにはこのフライヤーのデザインのポスターも売ってました。力の入れようがこのフライヤーを見てもわかります。

 ということで、行ってきました。
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 いつものこの白い建物。桜は満開を過ぎ散っていたのですが、新緑が爽やかな青森の春です。
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 エントランスのこの曲線もやっぱりいいなぁ…おや、何かある。
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 「ウルトラセブン」に出てくるポインター。かっこいい!

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 写真撮影可能なエントランス部分。青森県美のオリジナルフォントが、近未来的な雰囲気に合ってます。

 展示を観て…まずそのスケールと展示の多さに圧倒されました。スケッチや絵画が多く、どれも濃い。最初の展示室は成田亨初期の作品。彫刻「八咫」とそのスケッチの力強さ、勢いのある線にまず惹かれました。その次に、「ウルトラ」シリーズや特撮の仕事をしながら進めていた「モンスター大図鑑」「ナリタ・モンストロ・ヒストリカ」。古今東西の神話や伝承に出てくる神・化け物・妖怪・妖精…モンスターを描き、雑誌に掲載されたもの。成田亨自身のコメントも付いていて、絵にも、コメントもじっくり観ていました。「モンストロ・ヒストリカ」には、メソポタミア文明の神々や、古代エジプトの神々(ホルス神、アヌビス神、バステト神ほか)も。古代エジプトの絵は他の絵よりもじっくり魅入ってしまっていました。古代エジプト好きです。成田亨がホルス神を描くとこうなる、コメントからこんなことも考えていたのか…と。そして、それ以上に惹かれたのが、様々な鬼の絵や彫刻。日本のモンスターということで鬼の作品も数多く描き、彫刻にしていた。その鬼の描写が、やはり力強く、躍動感があり、肉体は美しくたくましい。でも、かなしさやさみしさ、暗さや強さで隠した弱さも感じられる。人間が持つ暗の部分が鬼に投影されていたと思うのですが、成田作品から、うめき声のような、心の叫びのようなものが感じられました。もしかしたら、これが怪獣へと繋がっていくのかな、と。怪獣もただ地球を襲いに来た悪役ではないから…。

 展示の途中のところどころに、著書やインタビューからの成田亨の言葉も掲げられていたのですが、それを読むと、仕事としてデザインしつつも、芸術とは何かと追究しようとしていたこと、様々な想いも込められていることが感じられました。

 それらを経て、「ウルトラ」シリーズや他のヒーローシリーズのデザイン画の展示へ。未発表の怪獣のスケッチ、企画案だけで終わってしまったもの、視聴率が振るわず録画も存在しない(家庭用録画機も無い時代だったが…テレビ局に何故残ってない!?)作品も。でも、有名な「ウルトラ」シリーズであろうと、そのような企画案だけで終わったもの・視聴率が振るわなかったものだろうと、成田亨の怪獣やヒーロー、メカニックの造形・デザインは「芸術」なのだなと感じました。ウルトラマンのカラータイマーには否定的だったこと、テレビ番組のためだけど商業だけを考えているわけではなかったこと…。「ウルトラ」シリーズの展示室の外に、ウルトラマンの墓と「鎮魂歌」があり、それを読んで葛藤しながらの制作だったのかな、と考えてしまいました。

 最後の展示室。90年代以降、晩年の作品です。画家になりたいと美術を志し、後に彫刻の方向へ。それが特撮美術の仕事に結びつき、数多くの怪獣やヒーローを生み出してきた。が、それらの仕事から解放され、彫刻とは何か、芸術・美術とは何か、と葛藤し始める。芸術はただの自己満足なのか。デザイナーと芸術家は違う。でも、テレビ番組のためのデザインの仕事もしてきた。そんな中、成田亨は町ですれ違った子どもが「ウルトラ」シリーズの怪獣の人形を大事そうに持っているのを見て、グッと来たのだそう。それから、それまで生み出してきた怪獣やヒーローたち、メカニックを題材にした油彩や彫刻を制作し始める。ヒーローと怪獣は、テレビ番組のように戦うことはない。ただ、そのヒーローや怪獣、メカニックそのものを描きたいように、表現したいように表現している。それらの作品を観て、葛藤はしていただろうけれども、成田亨にとって怪獣やヒーローたちは、成田亨の芸術だったのだなと感じました。精巧なメカニック。想像力の賜物である怪獣の造形、個性。ヒーローたちの肉体美、たくましさ、強さ、躍動感。それらの作品を観ていて、絵が描きたくて仕方なかった。私の描く絵はしょぼいですが…。身体の各部分の骨格や筋肉のつき方、動き。メカニックや細々した建物・風景を描くのは苦手だが、こんな風に精巧に描けたらな、と。凄い作品に圧倒され、いつしか憧れていました。

 ただかっこいいだけでも、怖いだけでもない。上述の通り、「ウルトラ」シリーズも、その他の作品もほとんど知らなかった私が、展示を観終わった時にはすっかり魅了されていました。気がついたら、ミュージアムショップで、怪獣やヒーローのポストカードを買いこんでいました…。

 開館時間直後に入ったのですが、特別展を観終わったのは2時間半ぐらい後。その後、常設展へ。常設展でも、成田亨関連の展示や、青森県美らしい個性的な芸術家達の作品を取り上げていました。絵本「11ぴきのねこ」シリーズで知られる馬場のぼるの展示も。青森出身です。以前、馬場のぼる特別展もあり、行きました(感想記事書いてなかった)。「11ぴきのねこ」シリーズは、以前読み聞かせをしていた頃、お世話になりました。大好きな絵本です。今回は展示は少なかったですが、絵本原画とその物語、漫画が展示されていました。展示を観ながら、物語を心の中で読み聞かせしていました。漫画はねことその飼い主の奥さんの四コマ漫画なのですが、馬場のぼるらしいユーモアたっぷりで、ねこが可愛い漫画。展示室に私一人でよかった。きっとニヤニヤしながら観ていたと思いますw棟方志功は鷹の絵。成田亨とタイプは違うけれども、躍動感あふれる力強い線に共通するようなものを感じました。

 この常設展を観終わって、トータル3時間半。もうお昼でした。これから行く方は、時間に十分余裕を持ってお出かけください。

 青森県美の展示は、作品との距離が近い。成田亨作品の息遣いが感じられる距離で、じっくりと観ることができて本当に楽しかった。完全に魅了されました。本当に凄い展覧会。青森県美のスタッフの方々に猛烈にお礼が言いたいです。本当にありがとうございます。凄いものを観られました。あの躍動感が、眼に、心に焼き付いています。

 最後に、ミュージアムショップには缶バッヂガシャポンもあります。オリジナルグッズもたくさんです。
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 ヒューマン1号・2号が出ました。
 あと、成田亨のサインは「Tohl NARITA」の表記なんですね。絵のサインを観て、いちいちカッコイイサインだー!と思っていました。
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by halca-kaukana057 | 2015-04-28 23:09 | 興味を持ったものいろいろ

地域の楽団を応援して伸ばす

 音楽、演奏会について、最近思ったことを。

 先日の「題名のない音楽会」は、2週に渡っての大阪市音楽団特集。この春、大阪市から独立し(3年間は市から独立のための補助は受けています)、以前から共演してきた宮川彬良さんを音楽監督に迎え、新しいスタートを切りました。
 2012年には、東京公演に行って生の演奏を聴いてくることができました。また、独立に関して、以前このブログで記事を書き言及しました。
・2012年東京公演・コンサートレポ:その1(第1部) / その2(第2部) / その3(アンコール・終演後・感想雑感)
 
↓独立とその支援に対しての私の意見記事
大阪市音楽団存続問題と「文化の空白」+存続支援運動に対して思うこと
大阪市音楽団存続問題に思うこと 続編
吹奏楽の強み 続々・大阪市音楽団存続問題に思うこと
 ↑この記事以後、静観し記事は書いていませんが、応援はしていました。

 「題名」では第1週は「出直しまっせ!」とタイトルに入れるほどの攻めの姿勢。勿論演奏は素晴らしかった。第2週は「市音の4つのS」と題して、市音の魅力を演奏で伝える形に。第1週では音楽監督である宮川彬良さんの指揮・編曲でしたが、第2週では指揮は吹奏楽ではお馴染みの丸谷明夫先生の指揮で、地元大阪の吹奏楽の名門校・淀川工科高校吹奏楽部との共演。最後は、髙谷光信さん指揮で、吹奏楽の名曲「指輪物語」(デ・メイ作曲)を。幅広く市音の魅力と精力的な活動が伝わってくる番組内容と、演奏で楽しみました。
 ここで、第2週で紹介されたのが、市音は地域に根ざした演奏活動を積極的にしていること。以前も書きましたが、無料・ワンコインコンサートや、学校での演奏会、吹奏楽部への指導などをしている。淀高も市音の指導で、力をつけてきた。淀高と市音の共演は圧巻でした。曲もカーペンターズの名曲のメドレーでとても楽しかった。

 もうひとつ、先日日曜のNHKEテレ「クラシック音楽館」。twitterでの実況も楽しく盛り上がるので、毎週楽しみにしています。いつもはNHK交響楽団の定期公演なのですが、先日日曜の放送は九州交響楽団の定期演奏会より。九州交響楽団は、九州で唯一のプロオーケストラ。しかし、先述した市音もそうですし、他の地域のプロオケもですが、財政難、演奏会に訪れる人が少なく苦しい状況…。それでも、九州響はボランティアスタッフや地域の人々の支援・応援で、地域に根ざした演奏活動をしてきた。今回、「クラシック音楽館」で全国放送されることをとても喜んでいるそうです。
 プログラムは、シューマンのピアノ協奏曲に、ブルックナーの交響曲第1番。ブルックナーの1番…あまり演奏されない曲です。お客さんを呼び込むなら、有名曲の方が呼びやすい。でも、こちらも攻めの姿勢の九州響。私はまだブルックナーはあまり親しめていないのですが、4番や9番は好きですし、重厚なオーケストラの音色、ブルックナーらしい荘厳さは1番からあったのだなぁ、と楽しめました。ちなみに、ブルックナーは交響曲0番も作曲しています…まだ聴いたことはありません…。

 この2つの番組を観て聴いて思ったのが、地域にプロの楽団があるのが羨ましい、と。もし住んでいる地域にプロの楽団があるならば、一度演奏会に足を運んで、その演奏を聴いてみて欲しい。もし気に入ったら、贔屓にして聴きに行く、定期会員になるなどして、応援してあげて欲しい、と。

 以前、市音存続問題について記事を書いた時に、もし無くなったら「文化の空白地帯」が生まれる、と書いた。クラシックなんて、吹奏楽なんて別に聴かないし、関係ないと思う人も少なくないと思う。でも、見えないところで、地域の芸術文化活動を支えている。学校や福祉施設などでの演奏会、音楽系の部活での指導。その地域での式典での演奏…知らないところで、実は耳にしていたことも少なくないかもしれない。

 先日、私も自分の地域のアマチュア楽団の演奏会に行ってきた。数年前から毎年行っている。普段馴染みのない曲も多く取り上げてくれて、こんな楽しい曲があるんだ、と演奏で教えてもらえる。アマチュアなので、仕事や学業などの合間に練習をしている。でも、毎年演奏会を開いて、地域の学校や施設に演奏会にも出かけている。演奏活動はプロと変わりない。演奏している姿が楽しそうで、また来年も来よう、と演奏会終了後に思う。毎年のように。何か気がついたことがあればアンケート用紙に書く。アマチュアでもレベルアップして欲しい。もっと音楽に惹き込んでくれる演奏を聴きたい。聴衆、ファンの存在が、その楽団を成長させると私は思う。マイナーな曲に挑戦する九州響のように。

 もう一度書きます。もし住んでいる地域にプロの楽団(オーケストラ、吹奏楽、オペラ団体)があるなら、一度演奏会に足を運んでみて欲しい。クラシックや吹奏楽曲なんて敷居が高そう…と思っても、親しみやすい有名曲を集めた親しみやすい演奏会もあるので、チェックしてみてください。そして、聴いてみて、気に入ったら、出来る範囲で構わないので聴いて応援してあげてください。コンサートを聴きにいくのが、一番の応援です。
 プロだけじゃなく、アマチュアでも同じです。

 また、団員さんやソリストさん、オペラ団体なら歌手で、気に入った演奏家がいたら、有名無名に関わらず応援してあげてください。あまり有名じゃない人、若手なら尚更、特に。有名な人、「○○コンクール優勝」などで特に売り出されている人は目立ちますが、有名じゃない、脇役でも「この人の演奏、いいな、好きだな!」と感じたらまた聴きに行ってみてください。感想はアンケートに書いたり、ブログやツイッター、FBなどでどんどん書いていいと思います。本人や関係者に読まれたら恥ずかしい…いえ、喜ぶと思います。たとえ厳しい意見だったとしても。

 楽団も、演奏家も、伸びてゆく過程を聞き続けてゆけたら…それはとても幸せなことだと思います。

 地域に根ざした楽団は、その地域にとっての財産だと思っています。
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by halca-kaukana057 | 2014-11-26 22:17 | 音楽

伝統工芸品と切手の素敵な関係

 いつもの切手と特印です。特印が私の日常の中にある、身近なものになっています。

 今回の切手は、「伝統工芸品シリーズ」。日本各地の工芸品を切手にしているシリーズです。
日本郵便:特殊切手「伝統的工芸品シリーズ 第3集」の発行
 昨日発行でした。

・以前のシリーズ(私のブログ記事はありません)
特殊切手「伝統的工芸品シリーズ 第1集」の発行
特殊切手「伝統的工芸品シリーズ 第2集」の発行

 第2集は後で買ったのですが、第1集は買えず。惜しいものを逃がした…。

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 ということで、特印。切手は三重の「伊勢形紙」にしました。どれを使おうかかなり迷いました。各1枚しかないし…。

 この切手の図案になっている伝統工芸品は、観たことあるものから全く知らないものまであります。私の地元のもの、いつも見慣れているものもあります。どれも、その地域で作られ、使われてきたもの。日常で身近に使えるものもあれば、高級で和室の床の間に飾ってありそうなものも。どちらにしろ、その地域の産業を、文化を、生活を支えてきた。そんな各地の伝統工芸品が切手になる…共通点を感じます。メールやSNSが主流になっていますが、手紙やハガキは廃れていない。寧ろ見直されている。切手は私たちの生活の身近なところにある。その切手に、各地域で身近にある伝統工芸品が。これからも、どちらも私たちの生活の中にあり、そばにある存在なんだなと思います。
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by halca-kaukana057 | 2014-10-25 22:37 | 興味を持ったものいろいろ

ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソン

 今年は、「ムーミン」の作者・トーヴェ・ヤンソン生誕100年。「ムーミン」関連の書籍が次々と出版されたりと盛り上がっています。その中からこの本を。


ムーミンを生んだ芸術家 トーヴェ・ヤンソン
冨原 眞弓/芸術新潮編集部:編/新潮社/2014

 「芸術新潮」2009年5月号のムーミン&トーヴェ・ヤンソン特集を再編集して書籍化した本です。その「芸術新潮」は読んでいたのですが、あらためて書籍化されるのは嬉しい。
 

 「ムーミン」の原画や版画、それぞれのシリーズの解説、トーヴェ・ヤンソンの生涯と、「ムーミン」以外の作品や「ムーミン」とは異なる面について。フィンランドのムーミンやトーヴェ・ヤンソンの作品に出会えるガイドにもなっています。とにかく原画やイラストが豊富で、それを眺めるだけでも楽しい本です。「ムーミン」シリーズを研究してきた冨原さんのインタビューがとても興味深いです。

 「ムーミン」やそのほかのヤンソン作品の解説でも、フィンランド人だからフィンランド語で…と思うところを、スウェーデン系フィンランド人で、「ムーミン」ももともとはスウェーデン語で出版されたので、スウェーデン語が登場してきます。ここは、フィンランドの歴史・文化の奥深く面白く、難しくもあるところなのですが、ヤンソンの中にあるスウェーデンの部分とフィンランドの部分が、「ムーミン」でも垣間見える。スウェーデン語で書かれていても、自然の描写はフィンランド的な部分もあり…。そんな部分が、「ムーミン」の面白いところでもあります。

 「ムーミン」は、9つの物語・小説だけじゃない。イギリスの夕刊「イヴニング・ニュース」に「ムーミンコミックス」を連載。このムーミンは、物語の「ムーミン」とは異なる世界、設定になっている。「コミックス」はまだ全部読めていない。ああなんて広くて深いんだ「ムーミン」の世界!(アニメ「楽しいムーミン一家」のムーミンパパ(CV:大塚明夫)風に読んでくださいw)

 以前青森県立美術館他で開催され行ってきた「フィンランドのくらしとデザイン展」。その初日のトークセッションで、ヤンソンは「ムーミン」の作者、というよりも”画家”である、という話がありました。この展覧会ではヤンソンの油絵も展示されていて、観てきました。ヤンソンがもともと画家を目指していたことは、この本でも書かれています。油絵やフレスコ画の写真もあり、その時のトークセッションの内容を更に深められました。ヤンソンの画家への道は、険しいものだった。魅入ってしまったのが、ヘルシンキのスウェーデン語系職業訓練学校のロビーにあるという2枚のフレスコ画。色鮮やか。このフレスコ画にも、ちょこんとムーミントロールがいるのには、微笑んでしまいました。

 「ムーミン」シリーズは読んでも読んでも、キリがない。終わりが無い。惹き込まれてしまう。キャラクターとしても可愛いが、物語はもっと暗いものも含んでいる。その辺は、上記「フィンランドのくらしとデザイン展」でも解説されていたのですが、戦争の影でもあり、フィンランドの暗く長い冬でもある。それでも、けなげに毎日を暮らすムーミン谷の仲間たち。ヤンソンの心や、置かれている状況を反映している部分もあるという。これから、秋も深まり、寒くなり、冬になり、私の住む地域も雪に閉ざされる。その中で、「ムーミン」の物語をまた読もうと思う。

 ヤンソンの「ムーミン」以外の作品も読んでみたいと思っている…ああ、また、まだまだ読みたい本が増え続ける!!(悲鳴

ユリイカ 2014年8月号 特集=ムーミンとトーベ・ヤンソン

トーベ・ヤンソン / 青土社


 こちらも入手しました。また読んでません。これも秋から冬にかけて、ゆっくりと読みます。

【「フィンランドのくらしとデザイン展」:過去記事】
自然と暮らしが生んだもの 「フィンランドのくらしとデザイン展」トークセッション
自然も空気も味もスオミ気分 フィンランドのくらしとデザイン展・序章
”心地よい”を求めて 「フィンランドのくらしとデザイン展」本編
この土地で生きてゆくという意志の”design” 「フィンランドのくらしとデザイン展」を観て
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by halca-kaukana057 | 2014-10-14 22:11 | 本・読書

イタリアの旅から 科学者による美術紀行

 長らく積読にしてあった本をようやく読みました…。免疫学者の多田富雄先生のエッセイは、以前「生命の木の下で」を読みました。それ以来です。しかし、今回は、イタリア美術紀行…?

生命の木の下で


イタリアの旅から 科学者による美術紀行
多田富雄/新潮社・新潮文庫/2012
(単行本は1992年誠信書房)

 以前の「生命の木の下で」でも、多田先生の多才ぶり、読みたくなる文章に凄いなぁ、いいなぁと思ったのですが、この「イタリアの旅から」でも変わりません。20年以上イタリアに通い、各地の歴史的建築や美術館、教会や寺院、神殿、遺跡などを観て歩いてきた多田先生。普通の観光地の観光スポットだけで無く、ガイドブックにも載らないようなところにも足を運び、じっくりと観て、言葉にしている。そんな科学者の視点での記述もあれば、文章がとてもきれいで、詩的なところもある。この本を読んでいたのは夏のこと。地中海の青い空と青い海、燃えるような緑、太陽の明るさとからりとした暑さ、朗らかな歌でも聞こえてきそうなイタリアの町の様子、そして歴史を伝える建築や美術作品の数々…イタリアには行った事はないですし、イタリアにもあまり詳しくない。イタリア美術も高校の世界史程度の知識しかないのですが、楽しく読みました。

 読んでいると、歴史的建築や美術品があるイタリアの町そのものが、歴史を伝えているなと感じる。そして、それらの建築や絵画を生み出した芸術家たちについての解説も面白い。イタリアの歴史の中でどう生きたのか。その歴史は決して平坦なものではなく、血や涙が流れたものもある。それらを経て、その建築や美術品も町も今に残っているんだ…と思うとその重さ・長さがとてつもないものに感じられる。少し前に読んだ小説「時の旅人」(アリソン・アトリー)で描かれた、その場所が歴史を記憶していて、何らかの拍子でその過去に触れられてしまうような。

 各地の町の描写も面白い。治安は決してよいとは言えない。「キウソ(Chiuso)」、つまり「closed」があまりにも多い。シエスタの時間もちゃんとある。日本とは全然違う、地中海文化だなぁ…と思う。いや、日本人が規律正し過ぎる、真面目過ぎるのか…?だが、町の人々との会話では、そんなことも関係ないと思ってしまう。現地の空気が伝わってくる。旅先のお料理についてもちゃんと語られます。出てくるたびに「美味しそう…」と思ってしまった。

 イタリアにもギリシア神殿がある。古代ギリシア・ローマ文化には興味があるので、じっくりと読みました。エトルリアも。謎めいていて惹かれる。サルジニアとマラリアの関係も興味深かった。ここは免疫学がご専門の多田先生だからこそ。病気は人類の歴史の中で脅威となってきましたが、こんな場合もあるんだな…。

 多田先生は2010年に他界されましたが、たくさんの著書を遺されました。また読みます。
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by halca-kaukana057 | 2014-09-14 22:39 | 本・読書

少女という文化と変遷を紐解いたら 「美少女の美術史」展に行ってきた

 いつもユニークで先駆的な企画展と、個性的な常設展、そして建物そのものが魅力的な青森県立美術館。現在、開催されている特別展が「美少女の美術史」展。2010年、「ロボットと美術」展を企画したスタッフが再び集まり、ロボットの次は美少女。美少女という言葉から、漫画やアニメなどのサブカルチャーをイメージしましたが、それだけじゃないらしい。それだけで終わるわけが無い。会期もあと少し…前売り券を買っておいたので、行ってきました。

青森県立美術館:美少女の美術史  少女について考えるための16の事柄
美少女と美術史展・公式サイト

・2010年「ロボ美」感想:”人間”を投影する、機械以上の存在 「ロボットと美術」展

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 いつもの真っ白な建物が出迎えてくれました。朝からたくさんの人が来ていました。

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obさんによるライブペインティングイベント作品。撮影・ウェブアップロード可。7月中に制作されていたそうです。

 この「美少女の美術史」展、かなり気合が入っています。いつもの常設展の展示コーナーも特別展の会場に。いつもの特別展よりもボリュームあります。あれ、いつもならここに棟方志功の作品があるはずなのに…いつもと違う意外さ、新鮮さもありました。

 展示は、江戸時代の掛け軸や屏風に描かれた浮世絵、美人画に始まり、明治に入り女性の教育環境や社会的立場の変化に合わせて女性像も変化、「女学生」「少女」の期間が生まれたこと、更に昭和に入り少女文化も発展、現在の漫画やアニメに描かれるポップカルチャーの美少女たち…そんな歴史や「少女」像の変遷から、「少女」とは何か、どんな存在なのか、を紐解いていきます。

 近年、「○○女子」「○○ガール」という言葉が増えました。それまで男性のものと思われてきた趣味を、女性たちが活き活きと楽しむ。ディープな楽しみ方もするけれど、ファッションも怠らない。「山ガール」なら、カラフルでポップな登山服や登山用品、「宙ガール」なら天体望遠鏡や双眼鏡を可愛い柄のマスキングテープで彩ったり、こちらも夜間の観測を安全に且つ可愛く楽しめるようなファッションも欠かさない。私自身「宙ガール」「天文女子」と呼ばれるのには抵抗がありますが、天文好きな女性、というところでは当てはまるかも。マイ望遠鏡に可愛いステッカーやマスキングテープで彩ってみたいとも思いますし、星や月など天文関係のアクセサリーを見つけると反応してしまいます。でも、数年前までは天文好きな女性というのは、ちょっと肩身が狭かった。男性の趣味と思われていたから。「オタク」「暗い」というイメージもつきまとっていた。それが今では、堂々と出来る。言葉の氾濫はあまり好ましくないと感じるけれども、喜ばしいことだ。

 展示の中で、明治の頃、「少女」は嫁入りまでの期間を指す、というものがあった。学校に通い、嫁入りのための教育…針仕事やお料理を覚える。良妻賢母になるために。嫁入りすると「少女」では無くなる。「少女」は通過の期間であり、結婚までの猶予期間でもあった。
 その一方で、美人画には色っぽい花魁が描かれる。禿(かむろ)もマスコット的存在として見られていたようだ。禿というと、創作も入ってますが大河ドラマ「平清盛」で出てきた禿が印象的過ぎて、それを思い浮かべました。そういえばあれも少女だ。

 それが、明治・大正・昭和に入って変わり始める。「女学生」「モダンガール」が登場する。「少女」の期間を活き活きと楽しみ始める。少女向けの雑誌も出版され、「美少女」が描かれる。松本かつぢの絵が特に好きです。「セクション7:お部屋で/お庭で」で少女たちの日常のひとコマを描いた油絵が印象的でした。でも、「少女」は楽しいことばかりじゃない。大人になることへの不安、自己に対する目線、葛藤、憂いを持った存在でもある。それを描いた太宰治原作の「女生徒」のアニメの、通奏低音のような憂いに惹き付けられました。私も「少女」というと、どちらかというと憂いの方が強いかもしれない。

 そんな活き活きとした面と、憂いの面。現代では両方を合わせ持った美少女たちが二次元で活躍する。魔法少女ものなんて、その典型だよなぁ。「ロボットと美術」展でも登場した初音ミクがここでも登場。ミクも、活き活きとした面と、憂いのある面を、歌で、表情で表現する。いまやミクは交響曲やオペラにも登場するほど。ただ、可愛いから、だけではない。

 上記展覧会紹介看板にも描かれているMr.さんの「Goin To A GO-go!」。原画で観ると、描き込みがとても細かくて驚きました。一見すると可愛らしい女の子たちのポップな絵。女の子たちの周りには、様々なものが描かれている。文字もある。”カオス”と言ってもいい。そんな”カオス”の中で、様々な表情を魅せる少女たち。同じ展示コーナーに、アニメのフィギュアもあり、モダンガールあり、美人画もあり…”カオス”でした。

 日本の美少女文化は、今に始まったものじゃない。江戸時代、いやその前から美少女文化はあった。少女たちを見つめ、描き続けてきた。少女たちの姿に、何かを投影し続けてきた。子どもの頃憧れたもの、大人になって懐かしいと思うもの、心の痛みや憂い、苦味とともに思い出すもの…。それらは、大人になった私の心の中にある。現代の漫画やアニメの美少女たちは、そんな日本文化の中で描かれ続けてきた少女たちの先にあるものだったんだ。そう強く感じました。

 美少女は理想であり、憧れであり、心の投影である。若い方からご年配の方まで男性のお客さんも多く見かけたのだが、男性のお客さんはどう観ただろう。「少年」側のアプローチもやってみて欲しいなぁ。「少女」と何が違うのか。

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 25000人達成記念ポスター。「美少女なんて、いるわけないじゃない」がこの展覧会のテーマなのですが、「美少女、いるじゃない」になっています。はい、美少女はいます。

 青森県美は9月7日まで。その後、静岡県立美術館、島根県立石見美術館も巡回します。行けない…と言う方も、図録が一般発売されています。

美少女の美術史 -浮世絵からポップカルチャー・現代美術にみる"少女"のかたち

青幻舎



 非常に面白い特別展でした。特別展の後は、いつものようにシャガール「アレコ」背景幕をのんびり観て、常設展にも。常設展も、寺山修司、棟方志功の少女・美人画でまとめてます。志功の女神の板画(志功は「版画」ではなく「板画」)、好きだなぁ…。
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by halca-kaukana057 | 2014-08-25 23:01 | 興味を持ったものいろいろ

音楽・舞台芸術をのこすこと

 昨日のNHK教育(Eテレ)「クラシック音楽館」は凄かった。
NHK交響楽団:第1780回 定期公演 Bプログラム(2014年4月23日/サントリーホール)
R.シュトラウス:祝典前奏曲 作品61
R.シュトラウス:紀元2600年祝典曲 作品84
R.シュトラウス:バレエ音楽「ヨセフの伝説」作品63
指揮:ネーメ・ヤルヴィ/NHK交響楽団


 先日生誕150年のお誕生日を迎えた、アニバーサリーイヤーのリヒャルト・シュトラウスだけを取り上げたプログラム。しかも、滅多に演奏されない曲ばかり。先日も記事に書いたとおり、これまで私はR.シュトラウスにはそんなに馴染みがない。ネーメ・ヤルヴィと言えば、シベリウスやグリーグをはじめとする北欧ものを真っ先に思い浮かべる。エーテボリ響とのシベリウスの交響曲・管弦楽曲集も愛聴している。と言うわけで、そんなパパヤルヴィのR.シュトラウス、しかも聴いたことがないマイナー曲とあって、観る・聴くのを楽しみにしていました。

 観て、たまげました。編成がとんでもなく大きい!!サントリーホールの舞台に、人がいっぱい。1曲目「祝典前奏曲」はパイプオルガンで派手にかっこよく始まる。ハープ4台、トロンボーン8本、チューバ2本…なんですかこれは!!更に、日本から依頼されて書いたという「紀元2600年祝典曲」では、お寺のお堂にある鐘が楽器になっている。こんな楽器になるとは思いもしなかった…。初演では、鐘(除夜の鐘でゴーンと鳴る大きい方?)が14個(!!?)も使われ、音程の合う鐘を探してくるのが大変だったそう…。今回だって、大きさは違えど音程の合う鐘を探してくるのは大変だったと思う。バレエ音楽「ヨセフの伝説」も、バレエ音楽とは思えない大編成。金管がバンバン鳴る豪華な演奏。これに、どんな踊りをつけるのだろう。どんなバレエになるんだろう。第一、こんな大編成がオケピットに入るのか?相当の大劇場じゃないと上演できないぞ?でも、観てみたいなぁ。音楽も、どんな踊りか想像つかなかったので、今年はアニバーサリーイヤーだし、どこかのバレエ団で上演してみてほしいなぁ。そんなことを思いながら聴いていました。

 あと、こんななかなか演奏されないマイナー曲を演奏したパパヤルヴィとN響とN響のスタッフの方々にも大きな拍手。N響は、時々演奏頻度の少ない曲を定期公演で演奏します。例えば、オルフ「カトゥリ・カルミナ」。歌詞が話題になった作品ですが、歌詞のネタ的意味ではなくて、その編成と演奏頻度。同じオルフの作品でも「カルミナ・ブラーナ」は有名だけど、「カトゥリ・カルミナ」の演奏は4台のピアノと打楽器というとても変わった編成。2人の独唱と合唱も、ちょっとしたオペラのようで面白かった。
 それから、私が行こうとして行けなかった(まだ言う)2月のオール・シベリウス・プログラムも、1曲目で「アンダンテ・フェスティーヴォ」。アンコールなどで演奏するオーケストラも少しずつ増えてきているみたいだが、まだそんなに知られていない、シベリウスの美しさがぎゅっと詰まった作品。後半も、普段は「トゥオネラの白鳥」ばかりが演奏される交響詩「四つの伝説」を全曲。CDでは全曲演奏のものを持っているけど、演奏会で全曲演奏するのはなかなかない。
 そんな演奏頻度の少ない曲を演奏し、しかもFMラジオの生中継でも、後日のテレビでも、全て放送できてしまうN響。N響の大きな強みです。どんどんマイナー曲を取り上げてほしいと思っています。

 演奏頻度の少ないマイナー曲。なかなか演奏が難しい大編成の作品。元々はバレエや劇のための音楽だった作品。音楽…舞台芸術をのこしてゆく、演奏・上演し続けることがいかに難しいか(音楽も舞台で演奏されるものと考えれば舞台芸術だと思う。室内楽やピアノやヴァイオリンなどの器楽曲、歌曲などの小さな編成の作品は別だろうか…?今回は別とします)。バレエ音楽、劇付随音楽も、後に作曲者が組曲にして、組曲ばかりが演奏されることも少なくありません。序曲や間奏曲だけがのこっている作品も。音楽だけでものこっていることは、貴重なのかもしれない。でも、時々珍しい原曲のCDを見つけて聴いてみたら、組曲では割愛されてしまった曲、歌や合唱に、こっちのほうが面白い!こういうバレエ・劇なんだ!と思う。先日、ハイライト版のCDを聴いてもよくわからず、生のオペラを観て「こういうお話でこういう歌だったんだ!!」とオペラの魅力を実感した「カルメン」のように。「カルメン」も組曲化されてましたね。
 逆に、組曲から入って、まずは音楽に親しむという方法もある。両方からアプローチ出来るんだよなぁ。それもひとつの方法。いいところ。
 でも、それでも、音楽と舞台芸術が融合しているのを観たいと思います。作品にもよりますが、オペラはまだいい方か?

 演奏頻度の少ない曲でも、演奏され続ければ徐々に知られ、広まり、じわじわとファンを集める曲になってゆくかもしれない。クラシック音楽にも”流行”はある。映画やドラマ、小説などで取り上げられたことがきっかけで、それまでそんなに注目されていなかった曲が一気に注目されることもある。演奏頻度が少ないからと言って、マニア向けとも限らない。逆に、何の予備知識がないからこそ、まっさらな状態で楽しめる。普段クラシックに馴染みのない人にとっては、大編成のオーケストラは迫力満点で、ロックのように聴こえ、新鮮に感じられるかもしれない(私もそう。大編成ものはそんなに聴かないので)。

 それから、現代作品。以前読んだベートーヴェンの四コマ漫画「運命と呼ばないで」で、ベートーヴェンの時代は音楽の転換期に合った。宮廷音楽家はリストラされ、音楽は貴族だけのものではなくなり、一般市民もピアノを習いはじめる。ベートーヴェンの音楽は、その時代の”現代音楽”だった。これまで、残ってきた作品はどのように演奏され続けてのこってきたのだろう。一方で、どれだけの作品が”消えて”いってしまったのだろう。今生まれている作品も、100年後にはどのくらい、残っているのだろうか。クラシックだけじゃなく、全ての音楽で。

 音楽、舞台芸術をのこす、演奏し続ける。そして私達聴衆も聴き続ける。両者がいなければ、成り立たない。のこすことが目的ではない、音楽を、舞台芸術をたのしむことが一番。でも、面白い作品なら、100年後も楽しめるようにしたい。出来るなら、音楽だけでなく、ひとつの舞台芸術作品として。そんなことを思った昨日の「クラシック音楽館」でした。

【過去関連記事】
R.シュトラウス生誕150年とばら
オペラ事始 その2 ビゼー「カルメン」(ハイライト)
オペラ事始 その4 生のオペラを観に行こう
運命と呼ばないで ベートーヴェン4コマ劇場
・2月のN響オール・シベリウスを聴きに行こうとしたが…:大雪の東京へ
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by halca-kaukana057 | 2014-06-16 22:16 | 音楽


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