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オペラ事始 その1 オムニバスから始めてみる

 昨年末と、年初めに、今年はオペラを聴く、と書いた。少しずつ聴いています。これまでクラシック音楽は聴いてきたけれど、オペラは敬遠してきた。有名な作品の序曲は何となく知っている程度、アリアもわからないものが多い。歌手・声楽家も名前は聞いたことがあっても歌はあまり聴いたことがなかった。声楽は歌曲ばかり聴いてきたからなぁ…。というわけで、オペラ分野に関しては全くの初心者。クラシック音楽を聴き始めたころのことを思い出す。手当たり次第、図書館でCDを借りて聴いてみる。今また同じようなことをしています。

 1作品丸ごと聴くのがいいのだろうけど、まずはオペラの歌・歌い方に慣れるつもりで、オムニバスCDから始めています。

清きアイーダ (不滅のオペラ・アリア集)〔男声篇〕

オムニバス(クラシック)/ EMIミュージック・ジャパン


 まずこれ。ヴェルディ「アイーダ」より「清きアイーダ」や、「リゴレット」より「女心の歌」、ビゼー「カルメン」より「闘牛士の歌」や「花の歌」、モーツァルト「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」「魔笛」、ロッシーニ「ゼビリャの理髪師」より「何でも屋の歌」、そして「プッチーニ」より「誰も寝てはならぬ」などなど、「これなら知ってる」「聴いたことがある」という曲ばかり。歌詞はあまり見ずに、まずは歌声そのものを楽しんでいます。
 この中に、ワーグナー「タンホイザー」より「夕星の歌」があるのですが、歌っているのはご存知名バリトン、フィッシャー=ディースカウ。フィッシャー=ディースカウと言えば、シューマンやシューベルトの歌曲でばかり聴いてきました。そうか、オペラも歌うんだ(当たり前だ)。新鮮でした。

 こんなCDもありました。

テノール御免! バリトン&バス名デュエット集

トーマス・ハンプソン(Br),サミュエル・レイミー(B)/ミゲル・ゴメス=マルティネス指揮ミュンヘン放送管弦楽団/ ダブリューイーエー・ジャパン


 タイトルで惹かれて聴いてしまったwテノールは一切出てこない、バリトンとバスだけのオムニバス。テノールの伸びやかな歌声も好きですが、渋く物語を引き立てるバリトンとバスが好きです。楽器でも低音の楽器の方が好みなのですが、声域でも低音が好きらしい。こちらは知っている曲はあまりありませんが、聴いてみていいなと思う作品はありました。

 ちなみに、どちらも男声だけ。そういえば、合唱曲はこれまでそれなりに聴いてきましたが、男声合唱が好きだったなぁ…。可憐なソプラノ、迫力のあるメゾソプラノや落ち着いたコントラルト(アルト)の女声も好きですが、どうしても低い方に惹かれがちです。

 ここから、気になる作品を全曲で聴いてみることにします。有名な歌オムニバスから始められるのは、オペラの入りやすい点かも知れないなと思っています。交響曲も有名な楽章だけ聴いて、その後全楽章聴いてみるという手もありますが、私はあまりやらなかったなぁ。ピアノソナタや管弦楽組曲ならその手も使っていたのに、交響曲だけは最初から全曲聴くスタイルでした。何故だろう。
 オペラでクラシック音楽を聴こうとした初心に戻ってみる。いい機会です。
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by halca-kaukana057 | 2014-02-03 23:02 | 音楽

森のうた 山本直純との芸大青春記

 お友達に教えていただいて、興味を持ったので読みました。


森のうた ―山本直純との芸大青春記
岩城宏之/講談社・講談社文庫/2003
(単行本は1987年朝日新聞社、1990年朝日文庫で文庫化)

 昭和27年、東京藝術大学の器楽科の2年生で打楽器を専攻していた岩城宏之さんは、作曲科の1年生にすごいのがいる、とその男を紹介された。初対面の挨拶は「イヨーッ」となれなれしく、服装もちょっと変わっていた。しかし、凄い才能の持ち主だという。それが、山本直純さんだった。

 親しくなった岩城さんと山本さんは、副科で指揮を選択する。その先生はあの渡辺暁雄さん。学内オケで実際に指揮をする授業もあったが、勉強不足で臨んでしまい、渡辺先生に怒られてしまう。そして何とか指揮がしたい、指揮をする機会をつくろうと、学内の有志のオーケストラ「学響」を立ち上げることに。最初は練習に誰も来ず、もどかしい想いをしていた2人だったが、徐々にメンバーも集まり始める。渡辺先生のもとでの勉強、2人で意見を出し合い批判しあったこと、「学響」での練習・指揮、恋の思い出、N響やカラヤン指揮のコンサートにもぐりこんだこと、「学響」の演奏会。2人の友情と音楽の日々が綴られています。

 岩城宏之さんに関しては、「フィルハーモニーの風景」などを読んでいた(感想を1記事も書いていないことに気がついた)。山本直純さんに関しては、以前読んだ「やわらかな心をもつ ぼくたちふたりの運・鈍・根」(小澤征爾・広中平祐)で「オーケストラがやってきた」で山本直純さんにも触れていた。とは言え、「オーケストラが~」を私は観たことが無く、岩城宏之さんの指揮した演奏もそんなに聴いたことがなく…世代なのかタイミングなのか、残念だなと思う。

 それでも、この本を読んでいて、一昔前の音大生のいい青春だな、と思う。お2人とも、こんな青春時代があって、この時期に沢山の音楽を吸収して、その後活躍していったのだから。山本直純さんがやりたい放題な性格で、岩城さんは少し冷静ではあるけれども、2人がとても痛快で笑える。いい学生の青春時代だ。

 一方、音楽ともなれば2人とも熱心。スコアはなかなか手に入らないけれども、有志オケを立ち上げて、最終的にはショスタコーヴィチの大作「森の歌」を演奏するまでにもなる。それまでの過程がとても熱い。いい熱さだ。渡辺暁雄先生が出てきたのにも驚いた。渡辺暁雄先生のシベリウスは愛聴しているので、こんな先生だったんだと一面に触れることも出来ました。

 そんな岩城さんが、音楽の道を志した経緯も語られます。戦時中、身体が弱かった子どもの頃。その頃ラジオで聴いた木琴奏者の平岡養一さんの演奏を聴いて、おもちゃの木琴から始まり、だんだん本格的に。高校生の頃からオーケストラで演奏もするほどになり、芸大を受験した。この芸大の受験の経緯やエピソードもまたとんでもない。今の時代では考えられない…。

 この本のあとがきで、岩城さんがこの本を書く経緯についても語っている。平成14年、山本直純さんは亡くなり、追悼番組も多かった。映画の音楽や、テレビ番組でも活躍した山本さん。それを観た岩城さんはこう書いている。
どれも確かにナオズミだった。でも、それは一面でしかない。ぼくは、この本を通してナオズミの音楽家としての本質、彼の指揮法への真摯な探究心を、今の人たちにも知ってもらいたいと考えたのだった。
(221ページ)

 私は残念なことにテレビで活躍する山本さんを知らない。もしかしたら、知らなくてよかったのかもしれない。今後、山本さんの生前の映像に触れることがあったら、この本のことを思い出したい。その山本さんは、この本に書かれた学生時代があったということを。

・関連:やわらかな心をもつ ぼくたちふたりの運・鈍・根
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by halca-kaukana057 | 2014-01-27 21:48 | 本・読書

初夢がんじつクインテット 「ニューイヤイヤコンサート」&「ぼくのカゲ」再放送

 昨日元日のNHK教育(Eテレ)「クインテット」リクエスト再放送。番組の放送は終わったのに、年初めから40分間も、普段の4倍も「クインテット」を楽しめて最高でした!
・予告記事:【予告】2014年は「クインテット」ではじめよう 再放送決定!

NHK:Eテレ:お願い!編集長:「クインテット」どうしても見たいものがあります!シャープ君の声を担当されている大澄賢也さんが振り付けし、人形のシャープ君とアリアさんがダンス(タンゴだったかと思います)を踊ったドラマ。「乾杯の歌」で、メンバーが酔っ払ったまま演奏をしているコンサート。…
NHK:Eテレ:お願い!編集長:「クインテット」 「クインテット」と「ハッチポッチステーション」のコラボがあった「ニューイヤイヤコンサート」の再放送をお願いします!…

 この2件の再放送リクエストに応えての再放送でした。「ニューイヤイヤコンサート」は2009年の放送。当時まだVHSビデオで、HDに保存できたのが嬉しい。
 放送されたのは、予告どおり2009年1月2日放送の新年特番「ニューイヤイヤコンサート」(30分)と、2010年6月21日放送のドラマ「ぼくのカゲ」回。「ぼくのカゲ」はお願いどおり、ドラマで来ました。パート3の歌PV版ではありません!リクエストどおりの再放送、ありがとうございます!

・「ニューイヤイヤコンサート」当時の感想記事:あけましてクインテット ニューイヤーコンサート
・「ぼくのカゲ」は新作の回でした(この感想は翌週の再放送の時のものです):チャレンジング・クインテット&レイア様SP! 今週の教育テレビ


 まず、「ニューイヤイヤコンサート」。上にも書きましたが、1月2日の放送だったんです。元日ではなかった。でも、今回元日に再放送。この再放送の後に、本家ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートもあり、「クインテット」とウィーンフィルの両方を元日に楽しめることになりました。元日に「クインテット」の新年特番があればいいなぁと思っていたんです。それが、放送が終了した再放送で実現するとは…!まさに初夢です!

 オープニングはいつものテーマ曲ではなく、コンサート形式で「一月一日」(作詞:千家 尊福、作曲:上 真行)。コンサート形式で歌うのも珍しい。歌は、1893(明治26)年に文部省より出た「小学校祝日大祭日歌詞並楽譜」に掲載されたもの。作詞の千家尊福(せんげ・たかとみ)は出雲大社の宮司さんだったそう。そんな歴史のある歌なんですね。まさに元日にぴったりな歌。

 新春時代劇「鞠と殿様」。歌はCD「エッ!センス?」にも収録されています。冒頭、「ていへんだていへんだー!」と走ってくるシャープ君の背景、「五人囃し」とある。「クインテット(Quintet)」は日本語訳すると「五重奏」ですが、より日本語らしく「五人囃子」…おお!これには初めて気がつきました!「鞠と殿様」のインパクトのある低音が好きです。アコーディオンもいい。
 更に新春大神楽、新春かくし芸、クインテットかるたとミニコーナーと、フラットさんの寝正月など寸劇も盛りだくさん。クインテットかるたでは、フラットさんの口笛「口笛吹きと犬」、シャープ君のにらめっこも。おおう…!パート3の各キャラクターコーナーが。特にシャープ君のにらめっこは久しぶり、放送終了前でもあまり放送されてなかったはず。また、アリアさんがベートーヴェン「交響曲第7番」第1楽章から一部分を披露。全曲聴きたい!と思う華麗な、つややかな音色でした。さすがアリアさん!アキラさんはピアノで新年のご挨拶。このアキラさん・宮川彬良さんがピアノ演奏だけで表現していた「クインテット」、今となっては貴重になったのかなぁ。音楽担当舞台では演奏に徹しているから、そこでは観られるか。ただ、全国区のテレビ放送という場の影響力は大きいからなぁ。

 コンサートは4曲。当時新曲だったヴィヴァルディ「四季」より「冬」第2楽章、チャイコフスキー「くるみ割り人形」、ヨハン・シュトラウス2世「トリッチ・トラッチ・ポルカ」、「美しく青きドナウ」。「くるみ割り人形」は獅子舞付きの特別バージョンです。また、舞台にもお花を飾っている(ように見せて)、ウィーン・フィル・ニューイヤーを完全に意識。「美しく青きドナウ」を本家の前に聴けるなんて、何たる至福。元日から「クインテット」コンサートを4曲も堪能して、幸せだ幸せだ…とひたすらつぶやいてましたw(元日のツイート参照)

 最後は、これも当時新曲「ことしこそ」。元日からこの歌詞wこの「クインテット」のノリ、ユーモア、「あるあるw」というところをついてくる痛切さが大好きです。「目はおこってる」「おわびのスキャット」「ただいま考え中」などなど。脚本・作詞の下山啓さんのセンスが大好きです!

 そしてこの「ニューイヤイヤコンサート」の見どころは、あの「ハッチポッチステーション」との夢の共演。普段からもハッチポッチメンバーからお花が届いたり、影がうつったりしていましたが、はっきりと確認できるほどに出演したのはこの回ぐらい(クリスマス回などでちらりとうつったりもしてましたが)。「ハッチポッチ」も作・脚本は下山啓さん。そして数々の教育テレビの子ども向け番組を生み出した近藤康弘プロデューサーも、「ハッチポッチ」、「クインテット」で下山さんとタッグを組み続けました。このお二方の存在無しに、「ハッチポッチ」も「クインテット」は生まれませんでした。伝説とも言えるこの2作品を生み出してくださったことに、感謝感謝です。

 エンディングは冬テーマ。1月の放送なので冬テーマです。でも、映像は今回のダイジェスト。スタッフエンドロールの仕方もいつもと違います。ここ重要。

*****

 さて、もう1本。ドラマ「ぼくのカゲ」回。上記当時の感想では、ドラマのことについては詳しく書いてなかった。再放送2年間の間も、ドラマは再放送されなかったので。書いておきます。
 手影絵をして遊んでいるクインテットメンバーたち。フラットさんもスコアさんもアリアさんも、手で色々な動物の影絵を作って遊んでいる。アキラさんも真似をしてみている(この表情がコミカル)。シャープ君は感心して見ている。シャープ君の作った影絵は…巨人。スクリーンに近づくと普通の大きさなのに、ライトに近づくとシャープ君の影が大きくなって巨人のよう。影って面白い!と話す4人。
 ここで「巨人」に吹きましたwはい、巨人…「進撃の巨人」。前日の紅白で主題歌のLinked Horizon「紅蓮の弓矢」が歌われたばかり。紅白は完全にアニメ「進撃の巨人」の演出・アニメ映像でしたね。シャープ君が巨人化…シャープ君なら立体機動に最初は苦戦してもいつの間にか器用に操ることが出来そうw巨人化しても結構強そうな気がする。「クインテット」メンバーで一番強そうなのは、怒ったアリアさんだと思う…w(但し人類側にも被害が及ぶ危険性大)すみません「クインテット」から脱線しました!!w

 話を「クインテット」に戻して、歌。オリジナル曲「ぼくのカゲ」、映像はシャープ君振り付けのダンス。シャープ君が振り付けしました。そして踊るシャープ君。間奏ではアリアさんも一緒に踊ります。楽器演奏の操演だけでもリアリティを追及している「クインテット」ですが、ダンスでも操演の巧みさはリアル。歌詞も何度聴いても深い、哲学的だと感じます。自分本体と影。両方があって存在する。この存在とは何だろう、と。

 パート3は、「ニドネノサンバ」アニメ。シャープ君の歌を堪能できます。こちらはゆったりと。二度寝、お正月にぴったりですね。アニメではピンクのくまさんが踊っていますが、この歌でもシャープ君振り付けのダンスが観たいと思いました。

 そしてパート3もう一本。おたよりイラスト紹介コーナー「展覧会の絵」。えっ!!再放送で「展覧会の絵」!!?再放送2年間の間、ルールが2つありました。ひとつ、「展覧会の絵」は無い。ふたつ、エンディング無しの回も無い。その法則が破られました!放送終了したから法則なんて無いけど…でも驚きです。「クインテット」のイラスト紹介は、絵も得意なシャープ君がトランペットで「展覧会の絵」プロムナードを演奏しながら、届いたイラストを紹介する。シャープ君がしゃべることは無い。朗々としたトランペットの演奏と、最後に「素敵な絵をありがとう!」と言わんばかりのジェスチャーのみ。そう、アキラさんと同じ。言葉を言わず、言葉を使わず、音楽だけで表現し伝えようとする音楽番組である「クインテット」ならでは、「クインテット」らしい演出に、いいなぁと思っていました。他の番組では絶対に真似できない。

 コンサート前、鏡の前にいるフラットさんとシャープ君。フラットさん、「痩せていい顔になったと思わない?」と話しかけてくる。いや、いつもと同じだと思う…。シャープ君もいぶかしげ。そんな態度に怒ったフラットさん、ならば多数決。「フラットさんが痩せていい顔になったと思う人~!」と聞いて、自分で手を挙げる。ひとり、ふたり…鏡に映ったフラットさんも入れて2人。えええ!?wそんなの無いですよフラットさん!wしてやったり、ドヤ顔なフラットさんでした…。

 コンサートはグリーグ「ペール・ギュント」第1組曲より「山の王の宮殿で」。おお、久しぶりです。イプセンの戯曲「ペール・ギュント」の劇付随音楽として作曲され、後に組曲に。「山の王の宮殿で」は、魔王の娘に結婚を申し込んだ主人公ペール・ギュントが、魔王に合うために山の宮殿に行くのですが、そこで魔王の手下のトロル(北欧神話に出てくる妖精…風貌は怖い)たちに追われ、娘に結婚を申し込んだことで魔王は怒り…大変なことに。劇付随音楽原曲では、男声合唱が入ります。
 「クインテット」版も、緊迫感のあるピアニッシモからフォルテシモへ、おどろおどろしいメロディーが迫力満点で演奏されます。この緊張感、迫力、グロテスクでダークな雰囲気にビリビリ来ます。殺気、狂気に満ち溢れたフォルテシモの部分はスリルも満点。管弦楽版の迫力にも劣らない。「クインテット」コンサートの本気です。

 エンディングは無しのまま終了。えっ!上述した再放送の法則、二つ目も破られました。異例。本当に珍しい形の再放送です。驚きました。せっかくだからエンディング(6月なので夏テーマ)も聴きたかったのですが…仕方ないので自分で歌ってましたw


 あっという間の40分でした。40分も観られると思っていたら、あっという間だった。音楽も演奏も歌も寸劇も次々とやって来て、密度の高い40分でした。ああもっと観たい。また再放送してください!
NHK:Eテレ:お願い!編集長:クリスマスプログラムの集中再放送(もちろん12月に)があったらとてもうれしいです。「リトル・ドラマー・ボーイ」「サンタさんへの手紙」をぜひ。
 クリスマス回「リトルドラマーボーイ」の再放送要望が、まだ検討中なんですね。これの実現をお願いします!投票、応援コメントはまだまだ受付中です!

 あと、コンサートでは、ああこのヴァイオリンが、チェロが、クラリネットが、そして表にはいないけど裏にいるコントラバスが…とアンサンブル・ベガのコンサートのことを思い出していました。放送は終わったけど、「クインテット」の元であり、演奏にメンバー数人が参加している「宮川彬良&アンサンブル・ベガ」のコンサートは今年も各地で開催予定。まずは明日3日、兵庫でニューイヤーコンサート。5日日曜にも新潟であります。今度は生で、リアル「クインテット」ミュージック(サウンド)を楽しんでみてね。

 本当にいい初夢でした。いや、夢じゃないね現実だったね。この”夢のつづき”また観たいなぁ。観たい。また再放送してください。このままお蔵入りなんて、残念過ぎます。
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by halca-kaukana057 | 2014-01-02 23:09 | Eテレ・NHK教育テレビ

2014年 あけましておめでとうございます

 あけましておめでとうございます

 新しい年を穏やかに楽しく迎えることが出来ました。毎年恒例の夜中の初詣は雨でしたが、清々しい気持ちになれるものでした。
 そして、NHK教育(Eテレ)「クインテット」2009年新年特番「ニューイヤイヤコンサート」&「ぼくのカゲ」回再放送、ウィーン・フィル・ニューイヤーコンサートをたっぷりと楽しみました。「クインテット」とウィーンフィルニューイヤーの両方を楽しめる元日なんて夢のようです。幸せな新年です。ウィーンフィルは、「ラデツキー行進曲」のバレンボイム氏のまさかの行動に驚いたり笑ったりでした。いやはや…初めてだあんなラデツキー…w

 皆様にとって、よい一年でありますように。私にとっても、よい変化をしていける年でありますように。

 と言うわけでご挨拶状。
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 昨年撮影したバラの花。空に向かって咲く姿が美しいです。

 万年筆で書き初め。
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 ろうそくの灯のように、明るさ、光のある一年でありますように。

 「クインテット」再放送感想は明日書きます。
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by halca-kaukana057 | 2014-01-01 22:18 | 日常/考えたこと

天にひびき 8

 今年読んだ漫画の感想を今年中に書く…まだあります。こちらは割と最近の「天にひびき」8巻。


天にひびき 8
やまむら はじめ/少年画報社・ヤングキングコミックス/2013

 成田空港。ひびき、梶原と同期の指揮科・大場がウィーンに留学するのを見送っていたひびき、秋央たち。ちょうど同じ時、成田に降り立った2人…ドイツから来た女と男。ひびきたちが帰ろうとするところで、その女と如月はぶつかってしまう。それを見ていた男に、如月は見覚えがあった…いや、よく知る男だった。翌日、大学で練習している秋央と南条の話に割って入ってきたその男・桂木和弥。音大生だった頃、如月とカルテットを組み、そのリーダーだった。ヴァイオリンの腕前はかなりのもので、卒業後はカルテットを引きつれヨーロッパへ。しかし、如月はその直前に腕を故障、渡欧せず演奏活動から離れていた。如月にも、秋央や南条にも厳しい言葉を投げつける桂木。如月も南条も憤るが、演奏家としては一流。数日後、3人は桂木のコンサートへ向かう。そこで3人が聴いた桂木の演奏は…。


 7巻から打って変わって、新キャラ登場です。そしてこれまで少しずつ話に出てきた如月先生の過去も語られます。桂木さん…全く遠慮も気遣いもしない、キツイ、口が悪い、オレ様人間です。でも、ヴァイオリニストとしては一流。秋央もそれをちゃんと理解してて、
できる人ってのは大抵みんな強気だったり押しが強かったり
まァ あれだけ口の悪い人も滅多にいないと思うけど
でもああいう人達ほど 人一倍努力してるし
自分に厳しいってのもわかってきたから
(25~26ページ)
と言っている。そして、リサイタルの演奏で、圧倒される3人。特に南条君。如月先生のことが気になっていて、その如月先生と過去に何かあったと思わせるような雰囲気。前の7巻、コンクールで自分の課題も自覚し、如月先生のもとでうまくなろう、うまくなろうと努力している…。それなのに、世の中にはとてつもなく巧く才能のある人がいて、海外でも活躍している。桂木の演奏を聴きながら涙し、その後また大学にやってきた桂木に演奏の際のコツを(半強制的に)教わった南条君。如月先生とのこと、性格の悪さで認めたくは無いけれど、その腕前も、演奏の際のコツも巧みなことに触れて成長しようとしている。7巻に続けて、南条君を応援したくなります。がんばれ南条君!

 そして、如月先生も、桂木と組んでいたカルテット、腕の故障、ヨーロッパへ行けなかったこと…そんな過去のしこりを乗り越えました。桂木は成功したが、渡欧したあとの3人のその後は知れないまま。そんな厳しい世界。そこへひとつの提案をした桂木…これが如月先生も、特に南条君も揺るがすわけですが、如月先生が桂木とカルテットを組んでいた時のことを冷静に見つめ、出した答えがとてもよかった。清々しい。桂木に当たっているスポットライトを、カルテットのメンバーとして一緒に浴びていただけ。その夢は、桂木のものであって、自分の世界のものじゃない。それよりも、自分は今ここで大切にしているやるべきことを、やりたいことをやる。如月先生の手紙の部分を、何度も何度も読みました。桂木だってただ巧いだけじゃなく、ちゃんと努力もしている。だから、南条君に的確なアドバイスもできた。桂木は桂木で、如月先生は如月先生で、それぞれの音楽の世界で生きてゆく。如月先生、素敵です。

 後半は、文化祭の2つの学内オーケストラを、ひびきと梶原がそれぞれ指揮をすることに。ひびきにとっても、梶原にとっても、オケを指揮するチャンスがめぐってきました。梶原が指揮するAオケ、ひびきが指揮するBオケ、指揮科の2人の対決…と梶原は意識している模様。今までオケを指揮できる機会が無かったからねぇ…。がんばれ梶原!普段はチャラいですが、3巻で苦学生であることも判明し、それを周囲にわからないように努力を続けてきた。梶原もがんばって欲しいです。

 一方のひびき。これまでの21cオケなどでの指揮の反省から、指示も明確に的確に、わかりやすくオケと曲をまとめあげてゆく。ひびきも成長したか…と思えたのですが、一緒に演奏している秋央から見ると「ドキドキしない」。何が出てくるかわからない、ひびきもコンサートマスター(21cオケの時の友田さん)もオケも必死でドキドキしてて…それがない。そしてついに秋央が、驚くべき行動に。何とコンマスに!?最初の頃の秋央くんを思うと、本当に思い切った、大それたことを…。秋央の目標、夢に向かっての第1歩と思ったが…そうは簡単にいかない。

 如月先生と桂木さんが組んでいたカルテットの話で、桂木に当てられたスポットライトを浴びていただけ、という話をしましたが、秋央くんもそうなりそうだったのかもしれない。指揮者としてまだまだ未熟なところがあるひびき。それでも、小学生の時にプロオケ相手に天才的な指揮をして、セミプロオケの公演も成功させた。才能はじゅうぶんにある。その音楽をずっと追いかけてきた、そしていつかコンマスとして一緒に演奏したいと思ってきた。そしてそのチャンスがめぐってきたけれども、秋央はひびきへ当てられたスポットライトを一緒に浴びたかっただけな感じになってしまった。

 普段、オーケストラを聴いていて、コンサートマスターの役割というのは、実際にコンサートに行くかテレビなどの演奏の映像を観ないとわからない。CDではわからない(わかる人はいるんだろうなぁ)。有名であればあるほど、指揮者に目が耳がいってしまうが、オーケストラのまとめ役はコンサートマスター・コンマス。指揮者の指示を、やろうとしていることを、オケ全体に伝える。言葉ではなく、その動き、演奏で。思い悩んだ秋央が友田さんからコンマスについて聞くシーン、勉強になります。そうか、オーケストラ内では楽器や奏者の位置によって届く音の速度が異なる…確かに。舞台の範囲じゃそんなに影響ないだろうと思っていたが、相手は秒単位で刻々と変化する音楽。しかも、その速度が違っても音を、演奏を合わせることが基本中の基本。オーケストラも物理だなぁ。
 その友田さんと秋央が話しているシーンで、ひびきについて友田さんが語る部分が気になりました。何かのフラグですかこれは?いや、これは1巻から出てきていることではあるけれども…。

 ひびきへ当てられているスポットライトを一緒に浴びる、のではなく、ひびきに、そしてオケ全体にスポットライトが当たるように…秋央の挑戦、奮闘は続きます。がんばれ!8巻は応援してばかりだなw

 ちなみに、冒頭に出てきたドイツ人女性…ひびきと少し話をし、そしてひびきの父とも会い、何かを決めていた…。一体何が始まるのでしょう…?ひびきに何が起こる?気になる。

 8巻の吉松隆先生のコラムは、才能について。音楽の話ですが、音楽に関わらず、才能や努力について悩んでいる人に読んで欲しい内容です。私も、読んでいて納得しました。

・7巻:天にひびき 7
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by halca-kaukana057 | 2013-12-30 20:25 | 本・読書

【予告】2014年は「クインテット」ではじめよう 再放送決定!

 10月の再放送がまだ記憶に新しい「クインテット」。年末年始、特番か何かあればいいのにな…と思っていたら、来ましたよ、来ますよ!!「クインテット」の再放送が来ます!
・10月の再放送:【祝・再放送】今日の朝、「クインテット」が帰って来たよ ~また会えた、そしていつかまた会えるよね

 しかも、来年、2014年元日です!

NHK:Eテレ:お願い!編集長:「クインテット」どうしても見たいものがあります!シャープ君の声を担当されている大澄賢也さんが振り付けし、人形のシャープ君とアリアさんがダンス(タンゴだったかと思います)を踊ったドラマ。「乾杯の歌」で、メンバーが酔っ払ったまま演奏をしているコンサート。…
NHK:Eテレ:お願い!編集長:「クインテット」 「クインテット」と「ハッチポッチステーション」のコラボがあった「ニューイヤイヤコンサート」の再放送をお願いします!…

 この2本を、2014年1月1日、17時から再放送します!!やりました!
 まずは、2009年に放送された新年特番「ニューイヤイヤコンサート」。
・その時の記事(ネタバレしたくない人は読まないでくださいね):あけましてクインテット ニューイヤーコンサート
 「クインテット」の初めての新年特番でした。これが最初で最後だったのですが…。新年の放送は、10分間コンサートだけというものも合ったのですが、通常放送の枠の中。30分も「クインテット」を堪能できたのはとても嬉しかったです。しかもコンサートの新曲も。新年らしい演出や楽曲、正月も相変わらずな5人が楽しかった。

 次に、「ぼくのカゲ」の回。上記Eテレのサイトでは「タンゴダンス」と書かれてます。さて、どの回の再放送だろう?「ぼくのカゲ」の部分だけの放送にはならないだろうし…。あれ、これは、「ぼくのカゲ」のドラマの回ですよね?まさか、パート3で歌の部分だけのものにはならないですよね…?「ドラマ」とお願いにも書かれているので、きっと大丈夫なはず…。きっと…。信じてますNHKさん、Eテレさん!
 ちなみにこのお願いでは、コンサート「乾杯の歌」の最初のバージョン…メンバーがワインを片手にほろ酔い(一部泥酔?)で演奏、中間部でしゃっくりが入るものもリクエストされていたのですが、通らなかった模様。残念。一度後期でも放送されたが、お蔵入りしてしまったので、また観たい。ほろ酔い気分で演奏なんて、お正月に合うと思います。

 しかも、この放送時間が17時から。夕方5時。「クインテット」のある夕方が久々に帰ってきます!!テーマ曲・五重奏団名が「ゆうがたクインテット」であり、ずっと夕方5時台に放送されてきた「クインテット」。2011年度からの再放送でも、最初の頃は夕方にもちゃんと放送があった。その後朝だけの放送に。何故夕方放送を無くした。でも、この元日の放送は夕方。「ゆうがたクインテット」が帰ってきます。久々に夕方に観られます。とても嬉しい!!

 ちなみに、このEテレの「お願い!編集長」枠で、残る「クインテット」の再放送検討中のお願いがこれ。
NHK:Eテレ:お願い!編集長:クリスマスプログラムの集中再放送(もちろん12月に)があったらとてもうれしいです。「リトル・ドラマー・ボーイ」「サンタさんへの手紙」をぜひ。
 クリスマス回「リトルドラマーボーイ」の再放送要望。「クインテット」のクリスマス回は、どれもいい。
 「アキラさんのピアノ・クリスマスメドレー」はダブルアキラさんが華麗にクリスマスソングを演奏する。これを観ないとクリスマスが来た気がしない!(本気です)
 「しあわせクリスマス」は皆であたたかなクリスマスを迎えることが出来たよろこびを、アリアさんが優しく歌います。この歌が大好きだ。
 「きよしこの夜」は、ノリノリでゴージャスなアレンジと歌が魅力。
 クリスマス後も、「サンタさんへの手紙」…これは名作です。クリスマスプレゼントを貰ったフラットさんが、サンタさんへお礼とあるお願いのお手紙を書くのですが、これがまた素敵なんだ。
 そして「リトル・ドラマー・ボーイ」は、クリスマスなのに誰もいない、シャープ君がひとりドラムを叩いているところへ…「クインテット」らしい音楽・演奏、言葉は無くても表現できるものでクリスマスの幸せを味わえる。「クインテット」のクリスマス回は、音楽で笑顔になれる。素敵過ぎる!
 ということで、是非このお願いも実現お願いします!!投票・応援支援コメントもまだまだ募集中です!

 もう元日が楽しみです。「クインテット」のニューイヤイヤコンサートと「ぼくのカゲ」を堪能して、その後ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートも。今から楽しみなお年玉です。
 録画予約はお忘れなく!HDD残量のチェックもお忘れなく!!
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by halca-kaukana057 | 2013-12-19 21:36 | Eテレ・NHK教育テレビ

”主張”と”和”の生きている”音楽” 宮川彬良&アンサンブル・ベガ@岩手矢巾 全体感想

 これまで、覚え書きを前編(第1部メイン)と後編(第2部メイン)に分けて書いてきた、”宮川彬良&アンサンブル・ベガ”岩手・矢巾公演。では、全体感想を。
・覚え書き前編:宮川彬良&アンサンブル・ベガ @岩手矢巾 覚え書き・前編(第1部)
・覚え書き後編:宮川彬良&アンサンブル・ベガ @岩手矢巾 覚え書き・後編(第2部)

 その前に、覚え書きではざーっと書いてしまったプログラムを、ちゃんと書きます。

【プログラム】
○第1部
・F.デーレ/宮川彬良:すみれの花咲く部屋
・ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番
・J.S.バッハ(ペツォールト):バッハのメヌエット(ラヴァーズ・コンチェルト)
・ルロイ・アンダソン:プリンク・プランク・プランク
・ルロイ・アンダソン:ワルツィング・キャット
・宮川彬良:パーセルの主題によるフーガ
 (”アン・ベガ名物「音符の国ツアー」~必ず良い大人になるための音楽入門!”)
・ジョン・レノン、ポール・マッカートニー/モーツァルト:抱きしめたい with MOZART

○第2部
・ロッシーニ:弦楽のためのソナタ 第1番ト長調
 (第1・第2ヴァイオリン、チェロ、コントラバス)
・ヴェルディ:女心の歌(歌劇「リゴレット」より)
・プッチーニ:私のお父さん(歌劇「ジャンニ・スキッキ」より)
・宮川彬良:室内楽のためのソナタ「ブラック・ジャック」

○アンコール
・宮川彬良:ゆうがたクインテット テーマ
・宮川彬良:サヨナラの星(作詞:ヒビキトシヤ)
・ジョン・レノン、ポール・マッカートニー:P.S. I Love You
(編曲:宮川彬良 ※ロッシーニ「弦楽のためのソナタ」を除く)

第1ヴァイオリン:辻井 淳、第2ヴァイオリン:藤村 正芳(客演)、ヴィオラ:馬渕 昌子、チェロ:近藤 浩志、コントラバス:新 眞二、クラリネット:鈴木 豊人、ファゴット:星野 則雄、ホルン:池田 重一
音楽監督・作編曲・ピアノ・司会:宮川 彬良
構成・脚本:響 敏也

********


 聴いていてまず思ったのが、意外と各パートがはっきりと、”主張”するように演奏していたことでした。皆でハーモニーを保って、きれいに合わせているだけではなかった。でも、「我が我が」という”主張”ではない。”個”を”主張”しつつも、楽曲とアンサンブル両方の”全体”の”和”が保たれている。これまで、オーケストラよりも器楽(ソロ、デュオ、トリオ、カルテット)を聴くことが多かったのだが、各々の楽器・パートがこんなに”主張”しつつも”和”のハーモニーになっていると思ったことはあまりなく、驚いた。それぞれの楽器・パートの特性・個性・音色と、メンバー各々の個性・性格。それらが絶妙につりあっていて、でもここぞと言う時に雄弁に”語る””歌う”。主旋律だけが目立っているわけでもなく、伴奏・内声・低音パートも主旋律を支えつつ、存在感を示ししっかりしている。メロディーをより際立たせるための、安定した土台。その土台にまわることの多い第2ヴァイオリンやヴィオラ、コントラバス、ファゴットにも、土台であっても主旋律を受け持つことがあっても「魅せ場」がある。室内楽としては大人数なアンベガ。彬良さんのピアノも入れると9人。大人数、楽器が多いからこそ、より鮮やかで陰影も深い演奏になるんだな、と思った。そのためには、やはり”個”の”主張”と”全体”の”和”をバランスよく保つことが大事なんだと。アンベガの個々の力量・表現と、チームワーク・一体感。後で詳しく書きますが、CDには収まりきれなかった音・雰囲気がありました。

 アンベガでの、彬良さんの存在も絶妙で、ちょっと不思議だと感じました。司会として、MCになると相変わらずのトークで目立つ。でも、演奏だとそんなに目立っているわけでもない。ピアノパートがない曲も少なくない。音楽監督・指揮ではある…のだけど…。アンベガとしてのリーダーはコントラバスの新さんだし、コンサートマスターは第1ヴァイオリンの辻井さん。”絶対的な頭”がいない?でも、演奏もコンサートそのものもまとまっている。室内楽としては人数多めなのに。8人各々が、それぞれのリーダーシップを発揮している?不思議な感じがしました。

 この”絶対的な頭”もいない?こともそうだし、他の点でも、アンベガには「”境界”がない」と感じるところが多々あります。宮川彬良さんの他のコンサート、音楽作品でもこれは感じていることなのですが、まず音楽のジャンル・分類という”境界”がない。クラシックのようだけど、ビートルズのようなポップス・ロックも演奏する。「ライト・クラシック」なんて言葉もあるけど、そんなやわい、甘いものでもない。
 そして、アンサンブル・ベガというアンサンブルも、室内楽に分類されるのだろうけど、オーケストラのような音色・迫力・深みがある。これも、室内楽・アンサンブル…?
 もはや分類できない。ただ、「音楽」である、「音楽」なんだ、これだけははっきりしている。コンサートの最初、彬良さんが「音楽家がニヤニヤして音楽をしているところを見て、聴いていって欲しい」と仰ってましたが、まさにその通りです。

 そして、もうひとつの「”境界”がない」と感じたところは、ステージと客席の間の「”境界”がない」。どういうことかというと、身近で親しみやすい。コンサートの規模や、響さんの構成・脚本(特に「音符の国ツアー」)、彬良さんのMCで、親しみやすくなっている。でもそれだけじゃなくて、ホール全体が、演奏者とっての公演の場になっているように感じた。客席の聴衆が、何かするわけでもない。手拍子とか(一部の曲でしている人はいたけど、自然に出てきたもので舞台上から促されたものじゃない)、質問に答えるとか、そんなものはない。演奏者はステージの上にいて、演奏している。それだけなのに、演奏を遠くに感じなかった。メンバーひとりひとりの演奏が、語りかけてきているような。私の席の位置がどちらかと言うと前の方だったから、かもしれない。でも、その演奏が、あの田園ホール全体を、場を「音楽」そのものにしてしまったように思える。しかも聴衆がいるからこそ、また音楽に、演奏に変化が生まれたような。
 カーテンコールでのフレンドリーな感じも、そう思わせる要因でもありました。

 これまで、CD/DVDでアンベガの音楽・演奏を聴いてきた。NHK教育(Eテレ)「クインテット」は、ベガメンバーも演奏に参加、クレジットでも「アンサンブルベガ+フレンズ」と表記され、それをずっと放送を観て、聴いてきた(でもイコールアンベガじゃない)。
 それなのに、生で聴いたら、「CDと全然違う!!別物だ!!」と感じた。CDには収まりきらなかった音、迫力、雰囲気、空気感がとても強烈だった。覚え書き後編の「ブラック・ジャック」で特に感じたのだが、生のアンベガはもっと荒削りだった。雑という意味ではなく。CDではきれいに収まっているのが、生だともっと、弾力があって、大きな音から小さな音・強い音からかすかな音までダイナミックで、立体的で、勢いがあって、躍動感に溢れていて、もっと自由にのびのびしている。そして、”全体”の”和”を保ちながらも、各々が”個”を”主張”してもいる。ああ、これがライヴ、LIVEだと思った。LIVE=生きている、命がある。「ブラック・ジャック」のテーマではあるけれど、「ブラック・ジャック」だけじゃなくて全部。結成して15年。その間に育ててきた調和の様なんだろう。生きているから、また次の公演(12日・長崎)では同じ曲を演奏しても、違う演奏・音楽にもなるだろう。長崎公演では、第2ヴァイオリンはアンベガ通常メンバーの日比浩一さんに戻ります。今回の岩手公演では、客演の藤村さんで、いつもとはまた違ったアンベガを聴けた…これはこれでおいしいなと思う。

 この公演の日の朝、ラジオで彬良さんがビートルズの話をしていました。次々とヒットを飛ばしてゆく中、アイドル視されることに抵抗があった。録音技術の発達により、全員がその場にいなくてもレコーディングしてひとつの作品をつくれるようになった。ジョンとポールも音楽性が異なり、解散はまだしないけれども、それぞれが違う雰囲気の音楽を製作、発表していった。その後、ビートルズはこのままでいいのかと、4人で最後のライヴをする。色々あっだだろうけれども、音楽は4人を繋ぎとめていた。

 この話を聴いて、その後アンベガのコンサートを聴いて…何かを思わずにはいられなかった。私の身の回りには、全員がその場にいなくても、別々にレコーディングしても、最後にはひとつの楽曲になっている音楽がたくさんあると思う。それはそれで、完成度が高くなる。納得がいくまでレコーディングして、納得のいく部分を切り取って…。
 でも、生のコンサート、ライヴでしか出来ない音楽、その時、その瞬間にしか生まれない演奏、一体感もある。だから、「ライブ(LIVE)」=「生もの」。その時が過ぎれば、消えてしまう。私が今、思い出しながら書いている間、もうこの時の演奏を聴くことは出来ないけれども、頭の中にあの演奏が蘇ってきている。その迫力、勢い、音色、響きに、その時の感情のうねりも同時に蘇ってくる。いつまでこの感覚を保っていられるだろう?心には残る、忘れない。でも消えない…とは断定出来ない。薄れてしまうかもしれない。人間はそういう生き物だから。だからこそ、また新しい、その時その場でこそ生まれる演奏が出来るんだと思う。
 でも、あの時は、ずっとこの音の余韻に浸っていたくて、ホールをなかなか出たくありませんでした。何とも言えない心地よさを思い出します。

 ここには書かないのですが、個人的に抱えていたことに関して、今回の公演でひとつの答えを出せたこともある。意外な、思わぬ発見で、自分でも驚いている。驚くと同時に、決意も固まった。
 念願の生のアンベガの公演を、聴きに行けて本当によかった。素晴らしい演奏を、楽しい音楽のひとときを、本当にありがとうございました!カーテンコールで、何度ありがとうと言っても足りないと心の中で思っていたのですが、今もそんな気持ちです。感謝するばかりです。アンベガが大好きです!

 今度は、日比さんがいるアンベガを聴きたい。そしていつかは、ホームの宝塚ベガホールに行って聴いてみたいなぁ。
 最後にもう一度、ありがとうございました!!

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おふぃすベガ:レポート:宮川彬良&アンサンブル・ベガ:11月30日(土)岩手・田園ホール(矢巾町)
 アンベガ事務局・おふぃすベガさん公式の、公演レポートです。
 「ブラック・ジャック」に関して、とても興味深いことが書かれています。…えっ!?じゃぁ、私が聴いた「ブラック・ジャック」は…「CDと全然違う!別物だ!」と感じたのは…はて…?

 尚、来年の公演予定ももう決まっています。詳しくは上記おふぃすベガ公式サイトで!

【追記】
Facebook:おふぃすベガ Office VEGA Ltd.:*大長編レポート
 おふぃすベガさんの公式フェイスブックにて、当ブログの岩手公演レポ記事を紹介していただきました。紹介のお言葉を読んで、驚くとともに大変光栄です。どうもありがとうございます!!
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by halca-kaukana057 | 2013-12-07 17:26 | 音楽

宮川彬良&アンサンブル・ベガ @岩手矢巾 覚え書き・後編(第2部)

 前編に引き続き、”宮川彬良&アンサンブル・ベガ”岩手矢巾公演、コンサートの覚え書きの後編です。休憩後、第2部がメインです。
・前半(第1部メイン):宮川彬良&アンサンブル・ベガ @岩手矢巾 覚え書き・前編(第1部)


 休憩の間、ステージでは椅子の配置を変えています。第2部最初の曲のため。そして第2部へ。
○第2部
【ロッシーニ:弦楽のためのソナタ 第1番 ト長調】
 アンベガは宮川彬良さんによる編曲作品、もしくは作曲作品ばかり演奏しているわけではありません。プログラムには、必ず純クラシック音楽も入れてきます。この夏の公演では、ベガメンバー8人で純クラシック音楽だけのコンサートも開催しました。

 今回は、ロッシーニの「弦楽のためのソナタ第1番ト長調」。ロッシーニと言えばオペラですが、弦楽室内楽?しかも、編成が第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、コントラバス、と少し変わっています。弦楽三重奏(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ)でもなく、弦楽四重奏でもなく、この編成。こんな曲があったんだ。元々はこの編成ですが、ヴィオラも加えた弦楽四重奏版、弦楽オーケストラ版もあります。全曲演奏で15分ほどの曲です。ちなみに、ロッシーニ12歳の時の作品だそうです。まだオペラ作曲家となる前の、子どもの頃の作品。
 今回の配置は、ヴァイオリンの2人が向かい合うように、第1ヴァイオリンの隣にチェロ、その隣にコントラバス。その隣が第2ヴァイオリン。
 第1、第2ヴァイオリンがともに華麗で、チェロとコントラバスもそれぞれ違う声部で演奏しています。明るく、朗らかな、かつやさしげな曲。どのパートもよく歌う。もしかして、ヴァイオリンはソプラノ(第2ヴァイオリンはメゾソプラノ?)、チェロはテノール、コントラバスはバリトンと、声部を意識していたのかもしれない。あくまで予測ですが…。これが、後に数々のオペラに繋がっていったのだなとも思えてしまいます。第2楽章はゆったりとした歌。そして第3楽章、華やかで弾むようなメロディー。ここで、第2ヴァイオリンがメロディーを奏でる部分があるのですが、その部分にはっと息を飲みました。第2ヴァイオリンと言うと第1ヴァイオリンの裏で伴奏というイメージがあるのですが、その第2ヴァイオリンがここぞとばかりにのびのびと歌っている。しかも藤村さんの演奏がとてもきれい。その後、同じメロディーを第1ヴァイオリンも奏でます。同じヴァイオリンでも、辻井さんの演奏・歌い方はまた違う。2人のヴァイオリンに聞き惚れました。チェロ近藤さんも渋く、コントラバス新さんも低音で支えつつ歌ってくる。いいなぁこの曲、この演奏!素敵な曲に出会えました。
 調べたら、ロッシーニの弦楽のためのソナタは、全部で6曲あるそうです。CDでも色々聴いてみたいです。でも、このアンベガ版もいい…!

 演奏後、また椅子を元の形に戻している間、彬良さんが語ります。ロッシーニということで、オペラの話を。9月に初演、彬良さん初のオペラ作品となった「あしたの瞳 ~もうひとつの未来」のことです(この時の彬良さんのお話ではタイトルは出てきませんでしたが、ここに書くには、作品のことも書かないわけにはいきません。脚本は、アンベガ構成の響敏也さん)。
 ”舞台音楽家”として、数々の演劇作品やミュージカル、バレエなどの音楽を手がけてきたけれども、オペラには抵抗、苦手意識があった彬良さん。オペラを聴くよりも他の歌を聴いてきたし、聴いてもあの歌い方が不自然に感じていたのだそう。ところが、オペラを書くことになり、3年かかって書き上げた。いざ書いてみたら、面白い!もしかして、オペラは自分に合っているんじゃないのか!とても楽しかった、と。
 この岩手公演のリハーサルをして、新大阪を通った時、関西の人々の話が聞こえてきた。関西・大阪ならではのマシンガントーク。よくしゃべる。このおしゃべりを聞いていて、これもオペラに通じるのではないか、と。このおしゃべりに、美しい旋律をつけて、歌ったらオペラになる。オペラは会話・おしゃべりを歌で表現する。これが面白い、と。今後もオペラの作曲をしたい、と…是非是非!楽しみにしています!

 ちなみに、来年には彬良さんのオペラ第2作の公演も予定されています。
浜松文化振興財団:【出演者募集】第7回浜松市民オペラ ガラコンサート ソリスト募集
 脚本は「あしたの瞳」と同じく響敏也さん。題材は、手塚治虫「ブラック・ジャック」。おおお…楽しみです。浜松の市民オペラ…浜松がかなり羨ましい。
 「あしたの瞳」も、是非とも再演お願いします!ラジオ版聴いて、ドツボでした。(過去記事参照)


【女心の歌(歌劇「リゴレット」より)】
 オペラの話になったので、オペラ作品から2曲。まずはヴェルディの「リゴレット」より「女心の歌」。鈴木さんのクラリネットが、主旋律・歌を演奏します。クラリネット=テノールなんですね。CDでは何となく聴いていたけど、生で聴いてそういうことだったんだと気づいた。女性のころころ変わる心はわからない…と能天気に歌う感じが、クラリネットの音色によく似合う。鈴木さんのクラリネットは、表情が豊か。こんな朗らかな曲も、落ち着いた曲も、かなしげな曲も。ホルンやファゴットも歌を引き立てます。

【私のお父さん(歌劇「ジャンニ・スキッキ」より)】
 次はプッチーニの「ジャンニ・スキッキ」より、この歌を。辻井さんのヴァイオリンが主旋律・歌です。ヴァイオリン=ソプラノですね。ゆったりと甘い歌を、辻井さんのヴァイオリンが艶やかに歌います。伸びやかなソプラノの歌が聴こえてきそう。弦も管もピアノも、そんな歌をやさしく包んでいます。きれいだ…。

 さて、いよいよプログラム上最後の曲。そしてこの曲を聴かずに帰れるか!帰れない!!という曲…彬良さん作曲のこの曲です。
【室内楽のためのソナタ「ブラック・ジャック」】
 いつかこの曲を生で聴きたいと思ってきました。CDで、何度も何度も聴いてきました。
 15年前(今年で15周年!)、アンサンブル・ベガが結成され、アンベガで演奏する曲を作曲したいと思っていた彬良さん。ホームの宝塚は、手塚治虫が暮らした町でもある。手塚治虫記念館を観ていたら、「ブラック・ジャック」に惹かれて、この曲を作曲した。テーマは、「命」。その後吹奏楽編曲もされ、今では学生・社会人吹奏楽部も演奏している曲になりました。
 そしてついに、手塚プロダクション公認になったそうです。手塚先生のお嬢さんと会って話をした彬良さん。手塚先生は、クラシック音楽のレコードをかけ、クラシック音楽を聴きながら数多くの漫画を描いていた。もし、手塚治虫が作曲家だったら、こんな曲を書いたのではないかと、話していたそうです。おおお…!
 手塚治虫は、「命」をテーマにたくさんの作品を描いた。「ブラック・ジャック」もそうですし、「鉄腕アトム」や「火の鳥」も。「命」というものを、漫画で表現しようとした。それを彬良さんは、音楽で表現し、この作品になりました。

 演奏なのですが…魂もっていかれました。第1楽章の冒頭から、心を揺さぶられる…心の表面だけではなく、奥底に沈んでいるもの、表面に出てこないように沈めているものまで、心の中を全てかき混ぜられたような気持ちになりました。この曲を、今回聴いた演奏を、どう言葉で表現したらいいか…いい言葉が見当たらなくて、ただ演奏に聴き入り、のまれていました。かなしい、つらい、苦しい、せつない…そんな言葉を並べても足りない。喜怒哀楽…これでも足りない。言葉は出てこないけど、この演奏に反応している自分の感情はある。演奏を聴いていて、そんな感情が表面に出てくる。ただ、出てくるのを受け止めるしかありませんでした。

 演奏は美しいけれども、所々にうめき声や心の叫びのような音も出てくる。汚い音、なのではない。どのパートの音も強さを持って、迫力があって、ビシバシ響いて迫ってくる。その迫力が、リアルさが、きれいなだけじゃない。第2楽章「命」の中間部の後、ピアノを合図に一気に盛り上がる部分があるのですが、そのあたりの迫力がただものじゃなかった。ただ迫力がある、大きな音ではなく、ずしりと重く重く響いて押し寄せてくる音。その中に、命の叫び、うめき声がある。CDで聴いていたのとは全く別物だ!!このコンサートでしかできない・出てこない演奏であり、生で、目の前でだからこそ聴ける・触れられる、CDには収まりきれなかったであろう音・演奏である。

 辻井さんのヴァイオリンが、か細いようで、痛切で、でも切れない。この音色も凄かった。鈴木さんのクラリネットが表情が豊か、と上記しましたが、この曲のクラリネットはまさに叫び声だった。近藤さんのチェロは流暢だけど深く唸っているし、第2ヴァイオリン藤村さんも第1ヴァイオリンとは違う痛切な声を。内声の馬渕さんのヴィオラと低音の星野さんのファゴット&新さんのコントラバスは、心の奥底に沈めていたものだった。それぞれのパートがそれぞれの音色・音域で強く自己主張しつつも、和を保っている。それが、心身の各器官が、独立して機能しつつも全体として動き、命を支えているように思えた。
 第1楽章「血と、汗と、涙と…」、第2楽章「命」、第3楽章「生きて生きて息る」と副題が付いているのですが、第1楽章は鼓動、第2楽章は血液、第3楽章は呼吸…そんな風にも感じました。

 聴きながら、数ヶ月前、体調を崩して病院通いしていたことを思い出していた。毎日のように点滴を打って、「しんどい、つらい」が口癖の日々を過ごしていた。また、何年も前、病気でよく寝込んでいたことも思い出した。その寝込んでいた時、聴いていたの音楽のひとつが、このアンベガの「ブラック・ジャック」だった。心身ともに沈んだ状態で聴いていると、つらい気持ちも和らぐ。そんな過去を思い出し、今、私はその時聴いていた「ブラック・ジャック」を目の前で、生演奏で聴いている。私は今生きている。アンベガメンバーも生きて演奏している。この演奏が、アンベガの「命」の「表現」なんだ。もう泣きそうでした。泣けなかったのが逆につらい。泣いたら少しは楽になったのに。
 演奏中、ずっと舞台を見つめていました。耳だけじゃない。視覚でも、空気の振動という触覚でも、五感でこの演奏を受け止めていたかった。

 演奏後は、ただ大きく拍手をしていました。手が痛い…この痛みも、「命」の表現・証拠なんだと。


 その興奮が冷めないまま、再びステージに戻ってきたアンベガメンバー。彬良さんの「ワン、ツー、スリー、フォー」カウントとともに始まったのは…

【アンコール:ゆうがたクインテット テーマ】
 きたああああ!!「クインテット」だあああー!!!
 前編の冒頭で書いたとおり、NHK教育(Eテレ)「クインテット」で、彬良さんのことも、アンベガのことも知りました。「クインテット」が好きになるにつれて、アンサンブル・ベガのことも気になり、CDが出るとすぐに買って聞きました。「クインテット」が始まった時は、まだアンベガは宝塚を中心に関西ローカル。それが一気に全国区に。そして全国各地でコンサートも開催されるようになりました。この日も、「クインテット」世代の子どもたちがたくさん聴きに来ていました。対象年齢外ですが、私も生の「ゆうがたクインテット テーマ」の冒頭、♪はにほへといろ…のメロディーを聴いた瞬間、こみ上げてくるものがありました。今年3月、番組は終了。でも、その音楽は生きている。それが本当に嬉しかった!
 「ブラック・ジャック」の後で聴いたせいか、アンベガバージョン(番組で放送された編曲とは違います)で聞いたせいか、子ども向け番組のテーマ曲には聴こえなかった。それだけで楽しい音楽。演奏時間は約1分。短い、もっと聴きたかった!
 ちなみに、番組にはアンベガメンバーが演奏に関わっています(特にコンサートパート)。それでアンベガのことを知ったのです。アリアさんのヴァイオリンは辻井さん。スコアさんのチェロは近藤さん。フラットさんのクラリネットは鈴木さん。表には出てきませんが、コントラバス新さんも、実は演奏に加わっています。ピアノは言うまでもなく彬良さん。トランペット、打楽器はアンベガメンバー外なので今は割愛します。

 大喜びの客席。アンコール2曲目は、調子に乗った彬良さんが歌います!
【サヨナラの星】
 響敏也さん作詞、彬良さん作曲の児童向け合唱曲。CD「アキラさんのソングブック」(伴奏楽譜も出ています)に収録されている歌です。とても好きな歌です。一緒に口ずさみそうになりました。
 「サヨナラするからまた会える」…また会えるよね、会おうね。そんな気持ちで聴いていました。ベガメンバーは伴奏…じゃありません、それぞれの楽器で「歌っている」んです、きっと。彬良さんの歌も、とてもやさしい。

 客席からは拍手が鳴り止まない。アンコール3曲目。
【P.S. I Love You】
 ビートルズの名曲を。この曲には、ピアノパートがありません。ベガメンバー8人のために、彬良さんが編曲しました。彬良さんは、ピアノの椅子に座って、メンバーの演奏を後ろで聴いています。その表情が、とても幸せそうだった。彬良さんは、アンベガの音が、音色が、このアンサンブルが大好きなんだな…きっと。タイトルの通り、最後に「愛してる」と…コンサートの最後にピッタリな曲です。
 アンベガが大好きだ、彬良さんも大好きだ…!穏やかな愛が満ち溢れた演奏。大好きだ!(もう一度叫ぶ)

 大きな拍手の中、最後のカーテンコール。メンバーの皆様が、客席に向かって笑顔で手を振ってくれてました。勿論振り替えしました。(でも手を振ると拍手を止めなければならないという…どっちにしたらいいんだ!と迷ってたw)ホールの規模からも、演奏者を身近に感じられます。フレンドリーで、いいなぁ!

 拍手をして、手を振りながら、心の中で何度もありがとう、ありがとう!と叫んでいました。本当に、素敵なコンサート、演奏をありがとうございました!!
 最後、小さな男の子が彬良さんに小さな花束を手渡していました。可愛い!いいなぁいいなぁ!
 ちなみに、カーテンコールでは、新さんはずっとコントラバスを持って舞台を行ったり来たり。コントラバス奏者は大変だ…。

 第2部は、笑える派手なネタやアクションは無しに、音楽そのもので楽しみました。この第1部と第2部の差がいいなぁ。
 ますますアンベガが好きになる、魅了されたコンサートでした。しばらく、ホールを出たくなかった。音の余韻、空気に浸っていたかった。でも、帰るか…。

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 ホール入り口には、こんなイルミネーションが。きれいでした。

 帰り道も余韻に浸り、満ち足りた気持ちでした。コンサートを聴いていた方と、帰り道話す機会があり、彬良さんトークで盛り上がりましたwリアルで彬良さんトーク出来るなんて嬉しい!wありがとうございました!

 電車の中で、ふと我に返り、コンサートのことをどこかで書き留めておきたい、じゃないと詳しいところを忘れる!起きて、寝ている間に見た夢のことを覚えていないように…。盛岡駅で、カフェに入りノートに公演のことを思い出すまま書きまくっていました。それから帰途へ。

 最後に、物販で買ったお土産。アンベガのCD/DVDは全て持っているので、違うものを。(CDはサイドバーに表示しています)
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 昨年、大阪市音楽団(市音)東京公演で買いそびれた「大ラッパ供養」CD,1年越しで買いました!これで心置きなく聴ける。
 ヴィオラ馬渕さんのソロCD。ヴィオラが好き、ヴィオラスキーの私にとっては欲しかったCD.ヴァイオリン辻井さん、チェロ近藤さん、ホルン池田さんのソロCDもあった。今思うと欲しかった…(何枚買う気ですか)
 アンコールの「サヨナラの星」が収められた「アキラさんのソングブック」に収録されている「空のわすれもの」の楽譜。楽譜そのものは使うことは無いのですが(ピアノ伴奏…厳しい)、好きな曲なので。「クインテット」より「歩く歩く歩く」などの楽譜もあった。そっちも買ってくればよかったか…。
 コンサートの物販は危険ですね、”沼”ですね…。だからいくら買うつもりですか…w
 ちなみに、公演後のサイン会は無く。残念。

 覚え書きは以上。次回、コンサート全体を通した感想を書きます。まだ続きます。
・続き:コンサート全体感想:”主張”と”和”の生きている”音楽” 宮川彬良&アンサンブル・ベガ@岩手矢巾 全体感想
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by halca-kaukana057 | 2013-12-03 22:05 | 音楽

宮川彬良&アンサンブル・ベガ @岩手矢巾 覚え書き・前編(第1部)

 NHK教育(Eテレ)「クインテット」でその存在を知り、生でその音楽を聴きたい…と思ってきた”宮川彬良&アンサンブル・ベガ”(略称:アンベガ)。念願のアンベガのコンサートに、行ってきました!初アンベガです。宮川彬良さんのコンサートは昨年の大阪市音楽団東京公演以来2度目。今年はアンベガです!

 コンサートのことを書こうと思うのですが、例のごとく長文、てんこ盛りになること必至。なので、先に公演地のことや、コンサートのプログラムに沿って内容や思ったことを、覚え書きとして記事にします。アンベガ恒例のネタバレな内容は詳しく書きません(実際にコンサートに行ってのお楽しみということで)。全体の感想は次の記事で。

おふぃすベガ:11月30日(土)岩手・田園ホール(矢巾)
田園ホール 矢巾町文化会館
 この田園ホール、以前NHKのニュースで観たことがありました。農家の方がオーケストラを結成して演奏する「田園フィルハーモニーオーケストラ」が取り上げられていました。ああ、あのオケのホールがここなのか、と。

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 チケット買っちゃったよ…(行くのがちょっと信じられない)

 さて当日。まずは盛岡駅にて。
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 南部鉄器の大鉄瓶。でかい。

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 岩手と言えば、今年は「あまちゃん」。こんなパネルが。お土産屋さんにも「あまちゃん」便乗(?公認ではあると思う)グッズが並んでいました。

 盛岡駅から東北本線に乗って、矢幅駅へ向かいます。
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 駅の改札を出たら、彬良さんのポスターがお出迎え。

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 駅には、こんな鍵盤型の看板が。音楽ホールがある音楽の町を押し出しています。いいぞいいな。

 駅から歩いて田園ホールに向かいます。冷たい雨が降ってました…予報では雨は降らないはずだったのに…。歩けば暖かくなるだろうと歩く歩く歩く。
♪歩く歩く歩く~ 町を森を山を~
ここは初めて歩く道~歌って歩こう
 「クインテット」より「歩く歩く歩く」(作詞:下山啓、作曲:宮川彬良)

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 ホールに向かう道には、こんな街灯が並んでいました。これに沿って歩けばホールに着くのか。親切だ!

 駅から歩いて約15分~20分。
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 着きました~。
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 田園ホールのエントランス。しっかりと公演看板が。小ぢんまりとしたホールですが、とてもきれいなホールです。アンベガのサイズにちょうどいい。
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 こんな詩がありました。
 席に着きます。前過ぎず後ろ過ぎず、ステージ全体をはっきりと見ることの出来るいい席でした。いい席取れてよかった。田園ホールの職員の方、ありがとうございます!


 さて、いよいよ開演です。
【アンサンブル・ベガ メンバー】
・第1ヴァイオリン:辻井 淳
・第2ヴァイオリン:藤村 正芳(客演:通常メンバーの日比浩一さんは所属オケ・名古屋フィルの公演の為お休みです)
・ヴィオラ:馬渕 昌子
・チェロ:近藤 浩志
・コントラバス:新 眞二(アンベガのリーダーであり、発起人がこの新さん)
・クラリネット:鈴木 豊人
・ファゴット:星野 則雄
・ホルン:池田 重一
・音楽監督・作編曲・ピアノ・司会:宮川 彬良

・構成・脚本:響 敏也(彬良さんとはこれまで大阪フィルポップスや、児童合唱曲の作詞、そして9月に初演、その後ラジオミュージカルになったオペラ「あしたの瞳」の脚本でコンビを組んできました。ラジオミュージカルに関しては、過去記事で大いに語ってます…)

 ホール内も、ステージも暗いまま、メンバーがステージへ。辻井さんがピアノでチューニング。後から彬良さんもステージへ。揃ったところで、まだ暗いまま、演奏が始まります。

○第1部
【すみれの花咲く部屋】
 アンベガのテーマ曲。宝塚生まれ、宝塚がホームなので、宝塚歌劇団の「すみれの花咲く頃」のメロディーを使っています。クラリネットから始まり、他のパートも入ってきて、ピアノで一気に曲も舞台も明るくなる。
…目の前に、アンベガがいる…!!目の前で、演奏してる…!!!
 当たり前ではあるのですが…、一瞬パニックになりかけました。この音だ、この演奏だ、このアンサンブルだ。これを聴きたかった、目の前で聴きたかったんだ私は。そのためにここに来たんだ…演奏中、感激しっぱなしでした。
 コンサートの始まりにふさわしい華やかな曲。生だと、弦(特にチェロとコンバス)のピッツカートもはっきりと、立体感をもって聴こえてくる。それから、ここはヴィオラがメインだったんだ、ファゴットがここでこう入るんだ、と視覚的な情報もある。CD・DVDで聴いていたものが、更にはっきりと、鮮やかになりました。

 演奏後、彬良さんの挨拶。アンベガでも彬良さんのトークが炸裂しますw岩手初公演!(北東北初公演でもあります!アンベガ北限があがりました!)
 画家は、絵を描き、描いたら完成。一方音楽家、作曲家は、作曲する。譜面を書く。曲は出来てもそこで完成…じゃない。演奏されて、音楽になる。その音楽をやってきた音楽家たちが、ニヤニヤしながら音楽をしている。それを見て、聴いていって欲しい。
 メンバー紹介後、次の曲へ。

【ハンガリー舞曲第5番】
 お馴染みのこの曲。ピアノは無し。演奏しているメンバーの後ろで、彬良さんが何やら怪しい動きを…w演奏後、中間部のゆっくりとした部分で自転車の空気を入れているような感じになる、と。そこで、彬良さんの動き(踊りw)に合わせてもう一度。緩急のメリハリがはっきりと、強弱もはっきり。しかも演奏しているメンバーの前に出てきて踊るw踊りが可笑しくて、演奏をまともに聴けないwww
 今回、客演の第2ヴァイオリン藤村さんが、笑いをこらえているのが必死そうな表情をしていましたwいつものベガメンバーは、笑いつつも慣れてしまっている感じ。あんな踊りを目の前でやられて、まともに演奏できるのかw演奏できるベガメンバー凄いw藤村さんがんばれ…と笑いつつ心の中で応援せずにはいられませんでした。藤村さんがんばれ。
 ちなみに、藤村さんは東京フィル第2ヴァイオリン首席。「題名のない音楽会」のブルグミュラー回、ルロイ・アンダソン回で彬良さんと共演されてました。録画を観直して、「第2ヴァイオリンを映せ!第2ヴァイオリンを!!」と思ったのは初めてです。

【バッハのメヌエット(ラヴァーズ・コンチェルト)】
 気を取り直して、次もお馴染みの曲。今度は彬良さんもピアノを演奏します。この曲の彬良さんアレンジが大好きです。「クインテット」版もアンベガ版も。アンベガ版は池田さんのホルンが伸びやか。おおらかな気持ちになれる。彬良さんのピアノも、テレビで聴くとおりの美音です。たまらない…。
 彬良さん曰く、パフォーマンスをしなくても、楽曲のよさは演奏そのものでも伝わる。

【プリンク・プランク・プランク】
 ここからはルロイ・アンダソンの2曲。まずは弦楽器はピッツカートだけで演奏するこの曲。弦楽器隊は弓を床や楽譜立てに置いてます。ピッツカートでも、響く弦。管楽器3人が柔らかさを加えます。
 ここで、また彬良さんはピアノを弾かず、怪しい動きを…w彬良さんにかかれば、楽器じゃないものも楽器になる。チェロ近藤さんと、コントラバス新さんとの掛け合いが楽しいパフォーマンスです。この低音2人がカッコイイ!
【ワルツィング・キャット】
 「躍る子猫」と日本語訳される曲。猫の鳴き声の弦(特に馬渕さんのヴィオラ)ポルタメント、鈴木さんのクラリネットのやわらかさ。ワルツのリズムが楽しい。と、思っていると…ラストにまたしてもw

【アンベガ名物”音符の国ツアー”必ず良い大人になるための音楽入門!】
「パーセルの主題によるフーガ」
 アンベガと言えば、この「音符の国ツアー」。音楽を楽しくやさしく紐解きます。音楽とはどのように出来るのか、アンサンブルとは何か。彬良さんの語りにのせて、アンベガメンバーが”演じます”。アンベガメンバーは芸人集団なのか…と思ってしまうのですがw、演奏になると真剣です。クールそうな1stヴァイオリン辻井さんのキャラ設定がw似合っている、まさしくそんな感じ。2ndヴァイオリン藤村さんも、客演だろうとアンベガファミリー、ばっちり決めてます。ハマってるwヴィオラ馬渕さんの扱いがwチェロ近藤さんとクラリネット鈴木さんの”設定”が凄くハマっている。ファゴット星野さんは、控えめそう…だけどしっかりちゃっかりw大きなコントラバスを持って小走りで登場する新さん。コントラバス持って歩くだけでも大変なのに、小走りなんて凄い。そして最後、ホルン池田さんが…例のアレとはこれかー!!w
(すみません、ネタバレしませんので、是非ともコンサートでこの楽しさを味わってください)
 最後に、全曲通して。アンサンブルって、凄いな。本当に楽しい。アンベガというこのアンサンブルも楽しい。
 私はピアノで、いつもソロなので、アンサンブルっていいなと思わずにはいられません。

【抱きしめたい with Mozart】
 第1部最後は、ビートルズの「抱きしめたい」。でも、そのままで終わりません。いわゆる「混ぜるな危険」いや、「混ぜるな自然」。原曲なんだっけ…原曲どこ行った!?w

 最初、「すみれの花~」で生アンベガに感激して涙出そうになったのに、その後は、笑って涙出そうになりましたwもうどうしようこのアンサンブル…でも、演奏は真剣、それぞれのパートの絡みが絶妙で立体的。アンベガの音楽にすっかり魅了されてました。
 休憩を挟んで第2部へ。

 長くなりそうなので、覚え書きも第2部と分けます。…自分でもどこまで詳しく書こうか、書きながら悩んでます。別に割愛してもいいんじゃないか…いやいやこれを外してアンベガは語れない…葛藤しつつ書いてます…。
 ということで、続く!→ 後編
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by halca-kaukana057 | 2013-12-02 21:15 | 音楽

今の積み重ねの先に「見える」もの ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」全体感想

 感想記事がシリーズになってしまっています…。
ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」(作曲:宮川彬良、脚本:響敏也、演出:佐久間広一郎、演奏:セントラル愛知交響楽団)。
 後編の放送からも1週間過ぎました。そろそろ全体の感想を書きたいと思います。
◇番組公式&全編丸ごと聴けます:FM AICHI:ラジオミュージカル「あしたの瞳」
 以下思い切りネタバレしますので、ネタバレしたくない人はまず公式で全編聴いてね~

【これまでのシリーズ記事】
・前編・作品概要の感想:「見える」とは何だ? ラジオミュージカル「あしたの瞳」前編
 ↑前編で流れた歌リストあり。
・前編の覚え書き: ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」前編 覚え書き
・後編の覚え書き:ラジオ・ミュージカル「あしたの瞳」 後編 覚え書き
 ↑後編で流れた歌リストあり。

 前置きとして、他の本や音楽などの作品の感想記事でも、「自分はどう読んだか」について書いてきたのですが、今回はその色を濃くしようと思います。というのは、この作品のテーマは”「見る」「見える」とは何か?”前編の感想記事でも書いたのですが、前編の冒頭での語りにこうあります。
見るものは同じであっても、
見る人間によって、見る環境によって、その見方によって
それは様々に変化してしまう
ならば、人はたとえそれが歓喜の時であったとしても、苦渋の時であったとしても
その見方次第で違った光景を、自らにもたらすことになるだろう

 この「あしたの瞳」というひとつの作品も、「見る人間によって、見る環境によって、その見方によって それは様々に変化してしまう」。
 元々はオペラの作品で、ラジオでは「見えない」けれども、私がこの作品をどう「見た(聴いた・読んだ・感じた・考えた)」のか、この作品から何を思ったのか。私の「見る」「見える」こととは何か?そんな”私の視点”で書きたいと思います。

 まず、この作品には3つ、テーマがあると読みました。
○「見る」「見える」とは何か
○つくること。何かをつくることへの情熱・よろこび

 この2つを元に、もうひとつ
○時間の中で、人間が生きるということ

 ひとつずつ、いきましょう。

○「見る」「見える」ということ…何を「見る」?どう「見る」?…「見方」
 いきなりメインの、結論となるテーマに入り…ませんw結論までの過程にある「見る」ことについて。冒頭で書いた見方について。

 主人公・常一にとって、大きな意味を持つ「見た」もの…戦中・終戦直後のこと。常一は戦中・終戦直後にあったことを、前編で忘れようにも忘れられない辛い思い出と振り返る。
 戦時中、学徒動員で兵器の部品を作っていた常一と、先輩の坂本。作っているものが、兵器になり、人を殺す、命を奪うものとなる。そんな現実に向き合い、ショックを受ける常一に、坂本はこう言う。
心ない技は、世の中を住みづらくする。
心ある技は、世の中に笑顔を運ぶ。
技術のよしあしを見分ける方法は、それに尽きるだろう。
その技術が人によりよい未来を運ぶかどうかだ。

 この坂本の言葉が、後の常一に影響を与える。坂本のこの言葉と考えは、当時の日本の社会情勢では公には言えないこと。元々手先が器用で、旋盤の技術もすぐ習得してしまった常一にだけは話せたことだと思う。常一のその高い技術を認めていたから、その技術が世の中に、人に笑顔を運ぶ未来がいつか来ることを信じていたのだろう。だから常一には伝えたかった。常一もその坂本の「見ていた」であろうものを、その言葉で受け取った。そして、その技術・腕を磨き、その後の常一に繋がってゆく。

 終戦後の混乱期、飢えた人々が食料を奪い合っている。その様を「見て」、その奪い合っている人々は自らの姿を見失っている、と。これも、後に関わってくる「見方」。
 そして、コンタクトレンズという”眼に入れるレンズ”の存在を知り、でも実物を見られなかったので自分で作ろうと決意し、作り始めた常一。このコンタクトレンズを作るために手に入れたアクリル板。これは、戦闘機の部品・窓の部分だった。
 戦争の部品を作ることで更に磨いた技術。そして、戦争のために使われた兵器の部品。それを使って、平和な時代、平和な世界を「見る」ためのもの…コンタクトレンズを作る。

 先日聴いた、NHKオーディオドラマ「天空の道標」でも、戦時中、戦場に向かうために星を使って現在位置を調べていた。星も戦争の道具だった…と振り返る老いた男に対して、その男の無事を祈り続けていた少女にとって星は希望の象徴だった。戦時中、ある場所・ある人にとっては戦争の道具だったとしても、同じ時代の同じ状況に置かれていたとしても他の場所・他の人にとっては全く異なるものとなる。

 常一にとっての、自分自身の手先の器用さ・技術も、戦時中に戦闘機の部品だったアクリル板も、戦後、コンタクトレンズを作ることで全く違うものになってしまった。「見方」が変わった。坂本の言葉の通りに。

○つくること。何かをつくることへの情熱・よろこびと”今・この時”
 次、つくること。先にも述べたように、常一はとにかく手先が器用。つくることが好きで、老いて現場を離れても、何かをつくっていないと気が済まない。
 戦後、働いていた眼鏡店で知り合ったアメリカ人から、コンタクトレンズの存在を知る。しかし、見せてはもらえない。見たい、でも見られない…ならば、自分で作ればいい!と、コンタクトレンズの資料も何もないのに、作り始めてしまう。手探り、試行錯誤の先の「見えない」作業のはずなのに、連日徹夜してでもただ作りたい。作ることの疲れなら、苦労だと感じない。つくることはよろこびだ。歌「光と歓びを作る歌」で、そう穏やかに歌われている(この歌が好きだ)。レンズ作りに没頭する毎日…常一は”今・この時”に集中していた。
 なにかを「作ること」は、”今”に集中することだと思う。目の前にあるもの・レンズに向かう。作っている”今”は、”今”でしかない。”今”以外の何物でもない。どうやっても、二度と同じものは作れない。だから、たのしいのだろう、きっと。常一にとってはそれはレンズでもあるし、ヒロイン・君代に語る言葉
今日、いまこの瞬間が明日に繋がる。明日を作るのは僕自身だ。
僕は、僕を信じてくれるきみのためにも、きみが信じてくれる僕を、僕自身を作り続けるよ

 常一自身をもつくり続けていた。その作り続けていた自分自身は、どこへ向かうのか。次に続きます。

○過去・現在・未来を「見る」
 3つ目のテーマに行く前に、ここまでの2つのものを組み合わせてみます。
 まず、過去を「見る」こと。常一は常一自身の視覚的記憶の化身「眼球の記憶」とともに、自身の過去を遡る。そこで見た過去は、先にも書いたとおり辛い、残酷なものだった。しかし、常一はその過去から目をそらしていない。それを表しているのが、「過去を見続けるために」の歌詞のここ。
過去の記憶を消そうとするから 過ちをまた繰り返す
過去を見続けるために これでレンズを作ろう

 よく、「~があったから今の自分がある」と言うことがある。よく使われる言葉・表現だ。常一も、戦時中の学徒動員が無かったら、戦争を「見て」いなかったら、コンタクトレンズ開発に繋がらなかったかもしれない。

 次、現在を「見る」こと。レンズ作りの過程で、出来たレンズを自分の眼に入れて確かめてみようとする常一。しかし、常一に恋する君代は、心配して止めてしまう。そんな君代に、常一はこう言う。
眼に入れて確かめてみなくちゃ、一体どんな風に見えるのか、それとも見えないのか
何もわからないじゃないか。
自分のこの眼で確かめてみなくちゃ何もわからない。
痛いとしたらどれほど痛いのか、そういう痛さなのか知っておきたい。いいや、知らなきゃいけないんだ。

 レンズを作っている”今”を、自分自身の眼で「見よう」としている。見えないかもしれないことも、痛みも。

 そして未来。続けて、常一は君代にこう語る。
僕は、人が見たいものを見る時に、役立つものを作りたい。
これまで自分の目で見ることができなかった人も、
不自由なく見たいものが見えるようになる。
そんな新しい世界が見たいんだ。

 コンタクトレンズ開発の先にある未来の世界。自分が今何を作っていて、それがどうなるのか。それが「見えて」いた。そのために、自分自身を作り続けていた。

 これを踏まえて、最後
○時間の中で、人間が生きるということ…過去の積み重ねの先の今と未来
 後編の最初、眼球の記憶の語り
人に何かが見えているとしたら、一体何が見えているのだろうか。
人が見る記憶の積み重ねは、人生をつくり、時に進む道を左右してしまう。


 そして、過去を遡る旅の終わり、「見る」ことの真実をいつ見せてくれるのか?と問う常一にこうも語る。コンタクトレンズを開発した常一に。
新しい見え方、新しい光を世の中に与えたのだ。
見るとは何だ。見えているとはどういうことなのか。
見ることの真実。それはお前自身の中に存在するものだ。
自らの明日の希望を見ることができるのは己のみ。
人は自らの道を切り拓く力を持っている。
それこそが、お前が生み出した、本当の”あしたの瞳”

 「目には見えない。しかし、そこに確かに存在するものが、ある。」
 コンタクトレンズの存在を知ったが、見たいのに見られない若き日の常一の姿に対する、眼球の記憶の語りですが、見えないけれども存在するもの…未来、未来の希望もそのひとつだと思う。はっきりとした未来の希望・夢を持っている人は別だが、未来は「見よう」としてもよく「見えない」もの。何となく「見えている」ような気もする。私はずっとそう感じてきた。この先、近い将来、自分が何をしているのか、何をしたいのか、あまりよく「見えない」。「見えない」ことにずっと不安を感じてきた。ここ数日、未明の空に「見たい」と探した淡い彗星のような、先日読んだ「夜明けのカノープス」(穂高明:著)で出てくる、空低くある星・カノープスのような。コンタクトレンズも、眼鏡も、彗星を観るための双眼鏡・天体望遠鏡も、ピントが合わなければ「見えない」。でも、ピントが合えば、暗い天体も観やすい暗い条件のよい空、カノープスがもっと高い空に見える位置に移動すれば、はっきり見えてくる。人間は、自らピントを合わせられる、移動することが出来る。積み重なった過去…たとえ辛くても肯定する見方を持ち、”今”に集中して、自分をつくり続ける。その中で見えてくる希望…その希望を見い出すことこそが、”あしたの瞳”だと。

 最後に歌われる「フィナーレ」を聴いていると、この物語は閉じて終わっていない、開かれた物語なんだと思う。眼球の記憶が「見ることの真実。それはお前自身の中に存在するものだ。自らの明日の希望を見ることができるのは己のみ。」と語るように、明確な答えは出していない。”あしたの瞳”という表現も、(いい意味で)曖昧で開かれている(それゆえ、わかったと思ったら、しばらくするとわからない…と揺れ動いていますw)。それを表現しているのが、「フィナーレ」で坂本→常一→君代の順にそれぞれの見い出した希望を歌っている。そして、その希望は、各々一人だけで見い出したものではない。後編で常一と君代の恋物語も描かれるが、ラブロマンスで流して…流せなかった。ああ、関係あったんだ!また、前編覚え書きの、冒頭の部分で老いた常一と坂本が対照的だと書いた。対照的なようではあるけれども、それは、坂本と常一が「見ている」ものが、置かれている状況が異なるから。坂本は、家族との中で希望を見い出したから。これに対になるのが、終戦直後の混乱期、食料を奪い合う人々が自分自身を見失っていた…他の人はどうでもいい、と思っていたからだろう。
 「フィナーレ」を何度も何度も聴いていると、開かれた物語の先に向かおうという気持ちになってきます。この物語の先に、自分自身の物語もある。最近自分の周りで「見た」こと、体験したこと、思ったことも、この物語に繋がってきて、それも交えて書きました。壮大になったな…(したのは私かw)

 あと、この物語は戦争も描いているし、常一のコンタクトレンズ開発の過程も想像以上に大変なものだったかもしれない。でも、物語全体には”光”があって明るい。前編の戦中・終戦後の混乱期のあたりは影がありますが、それを後編でそれらを”光”に変えるような力強さ、まっすぐさ、熱さがある(「過去を見続けるために」のあたりではっきりとする)。きっと、物語のどこに光を当てて、どう「見せる」か、どう見せようとしたかったのか。そんな「見方」もこの物語は含んでいると思います。

 物語の面の感想ばかり書いてしまいましたが、宮川彬良さんの音楽もどれもツボです。ハマってます。常一のテーマともいえる「もう一つの瞳」が様々な形に変奏されて、音楽も紡ぎだされているのもいい。それが、最後にはあの「フィナーレ」になる…胸が熱くなる。歌ももう暗記して歌えそうです…(実際、部屋にひとりでいると口ずさんでますwただ、歌詞がわからないところが少なくないので、そこらへんは曖昧。)
 あと、キャストの皆さんの声がハマっていて、特に安冨さんの若い常一。爽やかな好青年っぽさがよく出ているなぁと感じました。眼球の記憶の塚本さんも、惹かれる声です。…声フェチか私は?w

 先述しましたが、このラジオ版の元はオペラ。
◇オペラ公式:メニコンスーパーコンサート2013:歌劇「あしたの瞳」
 演奏は新日本フィルハーモニー交響楽団。オペラとは変えてある部分がかなりあるようです。特に「フィナーレ」を聴いていて、オペラを観たいと思いました。再演希望です!

 オペラの再演もですが、その前に、劇中の楽曲を生で聴けるコンサートもあります!
新日本フィルハーモニー交響楽団:特別演奏会コンチェルタンテ・スーパー宮川彬良vs新日本フィル☆チョー年越しコンサート2013→2014
 毎年恒例の彬良さん&新日本フィルの年越しコンサート。ここで、劇中の曲も演奏、オペラのソリストも登場とのこと。どの曲なのか、出演者は不明。気になる…。

 以上、長くなりました。どうしてこんなに長くなる…。

【2013.12.20 追記】
 上記オペラ公式サイトに、公演の模様がアップされていました!
メニコンスーパーコンサート2013:歌劇「あしたの瞳」:当日の風景

 公演のダイジェストムービーを観て、驚きました。ラジオ版と全然違う…全くの別物じゃないか!!!
オケも違うし編曲も違う、演奏もたっぷりと抑揚・強弱をつけていて、熱い。彬良さんの指揮が熱い。これがライヴ、初演の熱さか。これに、物語そのものも熱さ・情熱がこもっているのだから、これは劇場で観たら自分どうなるかわからない…。ラジオ版は随分とすっきりさせていますね。舞台での生の演奏・演技と、ラジオ放送が目的の録音では鳴らし方、響かせ方、歌い方、語り方も異なりますね。
 公演の画像がほとんどなかったので、キャストのビジュアルもはっきりとわかりました。ラジオ版で映像・画像無しでずっと楽しんできたので、オペラはオペラ、ラジオ版で想像した自分のイメージは自分のイメージでたのしむことにします。
 ダイジェストムービーだけでなく、作品紹介、登場人物紹介、物語についても詳しく書かれています。しかし…、「作品紹介」で、この記事も含むこれまでの関連記事で、考えて書いてきたことがあっさりと数行で書かれてしまった…ちょっとしょんぼりです。まぁ、答えあわせという訳ではないし、自分なりの読解はこれなので、これはこれ、公式の作品紹介は作品紹介で割り切ります。
 「ストーリー」も、ラジオでは断片的にしかわからなかった情報が書いてあるなぁ。オペラでは語られた(ラジオでは省略された)のかなぁ。やっぱりオペラとラジオ版は別物な作品であると感じます。ほぼ同じなんだけど、また違う。まず、オペラとラジオ版で編曲が違う、編曲を2種類用意していたことに驚きです。とても手が込んでる。脚本も書き直したところがあるだろう。
 最後に、ダイジェストムービーで、”舞台音楽家”の彬良さんを初めて観たと感じました。テレビとも、コンサートとも違う、舞台作品の指揮をしている彬良さん。当然あの軽快でユーモアたっぷりのトークは無し。彬良さんの音楽で、その舞台の作品の世界がつくられる。その様を少し垣間見た気がしました。

 ということで、再演お願いします!馳せ参じます!
以上、長い追記ここまで。
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by halca-kaukana057 | 2013-11-19 23:33 | 音楽


好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


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