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 今年もこの季節がやってきました。ペルセウス座流星群。

アストロアーツ:【特集】ペルセウス座流星群 2019年

 今年の極大は13日。しかし、お天気がよくなかった。しかも、今年は月明かりがあり条件が悪い。諦めて寝ていました。

 今日未明、夜中に目が覚めた。もしかしてと外を見たら、晴れている。快晴。満月直前の月も大分西に傾いて、東の空なら大丈夫そう。極大は過ぎてしまったが、やっぱり今年もペルセ群が観たい。ということで、月明かり等が目に入らないようにして、東の空を中心に、午前2時半頃~3時半過ぎまで観測することにしました。

 東の空には、おうし座が大きく見えました。「すばる」プレアデス星団もはっきりと見えました。徐々にオリオン座、ふたご座も上ってきています。本当に快晴で空も澄んでいて、観測には申し分ない夜空でした。これで月明かりがなかったら、もっとたくさんの星が見えただろうに…。
 極大を過ぎたため、なかなか流れないなと観ていたら、オリオン座で火球クラスの明るい流星が。とても明るかったです。その後はぽつぽつ小さいのが流れていました。多分どれもペルセ群の流星だったと思う。もうひとつ明るい流星も観られました。
 約1時間で5個程度。流れ星の観測も楽しかったですが、徐々に上ってくるオリオン座やふたご座を観るのが楽しかった。地球は自転しているのだなと実感しました。3時半を過ぎると、東の空がぼんやりと明るくなってきた。昼間のためにもう一眠りしようとここで切り上げ。流星観測はどこで切り上げるかに迷います。あと1個流れたら…を繰り返すw

 今年はふたご座流星群も月明かりで条件が悪いらしい…。ペルセ群よりも、ふたご群の方が見やすいのだが…。
# by halca-kaukana057 | 2019-08-15 21:34 | 宇宙・天文
 ロンドンで絶賛開催中の「BBC Proms」。8月後半の私が選んだプロムリストです。8月後半も盛りだくさんです。そろそろ、オンデマンドを聴くのに遅れが出てきました…。
 7月はじめの頃のプロムのオンデマンド配信が終わりに近づいているものもあります。聴き逃しのないよう確認を。バイノーラル・サウンド配信の楽曲も増えています。


・7月の各プロムの記事BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その1 [7月] (随時追記中)
・8月前半BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その2 [8月前半] (随時追記中)


 今年の大きなテーマのひとつが、プロムスの創始者、サー・ヘンリー・ウッドの生誕150年。それを記念して、ウッドが初演(世界初演、イギリス初演、プロムス初演など)した作品を数多く取り上げています。公式サイトでは、ウッドの初演した作品には「Henry Wood Novelties」と表記があります。とにかく多いです。
 もうひとつの大きなテーマが宇宙。アポロ11号月面着陸から50年を記念してのプログラムです。宇宙に関する作品も多く演奏されます。

 プロムスの全公演は、BBC Radio3で放送されます。生放送を聴けなくても、30日間のオンデマンド配信があるので時間のある時にゆっくり楽しめます。再生はBBC Radio3の各プロムのページでどうぞ。今年はプロムス公式サイトで再生できない、リンクもないので、Radio3へのリンクを貼っておきます。
 パソコンからはそのままブラウザで。スマートフォンからは「BBC iPlayer Radio」のアプリを使うと便利です。無料でダウンロードできます。
 通常の放送だけでなく、Radio3の番組「Afternoon Concert」はプロムス期間中、各プロムの再放送をしています。オンデマンドの配信が期限切れで聴き逃してしまった、日本時間の22時からの放送でちょうど聴ける、という方はこちらもどうぞ。放送されないプロムもあるので注意。
BBC Radio3:Afternoon Concert

 今年も、バイノーラル・サウンドでの配信もしています。一部公演ですが、立体音響で楽しめます。普通のヘッドホンで構いませんので聴いてみてください。随時追加されていくと思います。配信公開期限はいつまでなのかわかりません。通常のオンデマンド公開期限の30日を一応目安にしておくと安心かと思います。
BBC Proms:Binaural Proms 2019

 去年のバイノーラル・サウンド配信もまだ残っているのでリンクしておきます。
BBC Proms 2018:Immerse yourself in music with spatial headphone mixes from the Proms

 では、8月後半の各プロムを見ていきましょう。

◇8/16 Prom 40: Queen Victoria's 200th Anniversary
   ◇(Prom40:Radio3)
 ・アーサー・サリヴァン:バレエ音楽「ヴィクトリア朝とメリー・イングランド」組曲
 ・メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲 第1番 ト短調 op.25
 ・サクス=コバーグ=ゴータ公子アルバート:歌曲集
 ・メンデルスゾーン:交響曲第3番 イ短調 op.56「スコットランド」
  / アレッサンドロ・フィッシャー(テノール)、スティーヴン・ハフ(ピアノ)、アダム・フィッシャー:指揮、エイジ・オヴ・インライトゥンメント管弦楽団

 ヴィクトリア女王生誕200年を記念してのプロムです。サリヴァンはオペレッタ「ミカド」の作曲家。ヴィクトリア女王はメンデルスゾーンがお気に入りでした。ピアノ協奏曲1番と、「スコットランド」交響曲を。ヴィクトリア女王の夫、プリンス・コンソート・アルバートは作曲もしていました。その作曲した歌曲も。プロムスのメイン会場、ロイヤル・アルバート・ホールは、アルバート公に捧げられたホール。2017年のラストナイトのテレビ放送で、ロイヤル・アルバート・ホールの歴史を紹介していましたね。


◇8/17 Proms at … Holy Sepulchre London
   ◇(Proms at … Holy Sepulchre London:Radio3)
 ・ウォルトン:Where does the uttered music go? 絶対音楽はどこへ行くのか
 ・ブリテン:Sacred and Profane op.91 神聖と世俗
 ・アイアランド:聖なる少年
 ・シア・マスグレイヴ Thea Musgrave:Rorate coeli
 ・エリザベス・マコンキー Elizabeth Maconchy:Three Donne Songs – No. 1: A Hymn to God the Father
 ・ヴォーン=ウィリアムズ:真理のために勇敢に Valiant for truth
 ・ジュディス・ウィアー Judith Weir:Missa del Cid エル・シッドのミサ
 ・ジョアンナ・リー Joanna Lee:At this man’s hand (世界初演)
  / ソフィ・イェアンニン Sofi Jeannin:指揮、BBCシンガーズ

 BBCシンガーズの無伴奏合唱プロム。イギリスの宗教合唱曲を集めています。


◇8/17 Prom 41: Rimsky-Korsakov, Rachmaninov, Lyadov & Glazunov
   ◇(Prom41:Radio3)
 ・リムスキー=コルサコフ:歌劇「ムラダ(Mlada)」組曲
 ・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番 嬰ヘ短調 op.1 (1891年初稿)
 ・リャードフ:バーバ・ヤガー op.56、キキーモラ op.63、ヨハネの黙示録より op.66
 ・グラズノフ:交響曲第5番 変ロ長調 op.55
  / アレクサンドル・ギンジン Alexander Ghindin (ピアノ)、ウラディミール・ユロフスキ:指揮、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

 ユロフスキさんとロンドン・フィルのオール・ロシア・プロムです。しかも、全曲ヘンリー・ウッドが初演しました。リムスキー=コルサコフとラフマニノフは世界初演。リャードフとグラズノフはイギリス初演。すごい。
 ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番は1917年に改訂されています。今回演奏するのは初稿です。ラフマニノフが卒業試験のために作曲しました。
 Prom18でも書きましたが、ロンドン・フィルの次期首席指揮者が、エドワード・ガードナーさんに決定しました。


8/18 ◇Prom 42: Youthful Beginnings
   ◇(Prom42:Radio3)
 ・ベートーヴェン:交響曲第1番 ハ長調 op.21
 ・クララ・シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.7
 ・ソフィア・グバイドゥーリナ Sofia Gubaidulina:おとぎ話の詩
 ・ショスタコーヴィチ:交響曲第1番 ヘ短調 op.10
  / マリアム・バタシヴィリ(ピアノ)、ラファエル・パヤーレ:指揮、アルスター管弦楽団

 作曲家たちの若き日の作品を集めました。ベートーヴェンの1番は、全音のソナチネアルバム1巻に第2楽章が収録されていますね。注目はクララ・シューマンのピアノ協奏曲。ロベルト・シューマンの妻で、ピアニストとして活躍したクララ。作曲作品も残っています。ロベルトのピアノ協奏曲と同じイ短調。ピアノソロのバタシヴィリさんは先日来日してましたね。ショスタコーヴィチも交響曲第1番。


◇8/19 Proms at … Cadogan Hall 5: Louise Alder
   ◇(Prom CH5:Radio3)
 ・シューベルト:糸を紡ぐグレートヒェン D118、夜と夢 D827、ます D550
 ・メンデルスゾーン:歌の翼に op.34-2、月 op.86-5、新しい恋 op19a-4
 ・ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼル:山の喜び op.10-5、なぜばらはこんなに青ざめているの op.1-3、南へ op.10-1
 ・リスト:喜びでいっぱい、そして悲しみでいっぱい S.280、おお愛せよ、お前が愛しうるかぎり S.298、もし素敵な芝生があれば FWV.78、おお!私が眠る時 S.282、「どうやって」彼らは尋ねた S.276
 ・ショパン:願い op.74-1、素敵な若者 op.74-8
 ・ロッシーニ:スペインのカンツォネッタ
  / ルイーズ・オルダー(ソプラノ)、ゲイリー・マシューマン(ピアノ)

 カドガンホールシリーズ、5回目はロマン派の歌曲を。ファニー・メンデルスゾーンはフェリックスの姉。リストやショパンの歌曲はあまり聴かないので聴いてみる。ドイツリートは今私も取り組んでいるものがあるので、作品は違いますがドイツリートの発音や歌の雰囲気などを学べたら。


◇8/19 Prom 43: Beethoven’s Ninth Symphony
   ◇(Prom43:Radio3)
 ・ジョナサン・ダウ:We Are One Fire (世界初演)
 ・ディーター・アマーン Dieter Ammann:ピアノ協奏曲 (世界初演)
 ・ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125「合唱付き」
  / アヌ・コムシ(ソプラノ)、ヒラリー・サマーズ(コントラルト)、ミカエル・ヴェイニウス Michael Weinius(テノール)、ミカ・カレス Mika Kares(バス)
アンドレアス・ヘフリガー(ピアノ)
BBCシンフォニーコーラス
ネイル・フィリス、サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団

 8月19日は声楽回か。第九も毎年どこかのオケが演奏するプロムス定番曲。今年はオラモさん指揮、BBC響です。その前に世界初演作品を2つ持ってくるのがプロムスらしい。1曲目のダウさんの作品は合唱曲。BBC響の合唱監督のフィリスさんが指揮します。アマーンさんのピアノ協奏曲新曲と第九はオラモさん。昨年のロイヤル・ストックホルム・フィル来日(日本・スウェーデン国交樹立150年記念演奏会)で、第九もあり、聴きに行きたいなと思ったのですが行けず。オケは違いますが(あと、プロムスという舞台も特殊だと思う)オラモさんが指揮する第九を聴いたことがないので聴いてみたい。


◇8/20 Prom 44: Belshazzar’s Feast
   ◇(Prom44:Radio3)
 ・シャルル・ケクラン Charles Koechlin:レ・バンダール・ログ
 ・ヴァレーズ:アメリカ(1921年初稿)
 ・ウォルトン:ベルシャザールの饗宴
  / ジェラルド・フィンリー(バリトン)、Orfeó Català、Orfeó Català Youth Choir、ロンドン・シンフォニー・コーラス、サイモン・ラトル:指揮、ロンドン交響楽団

 ラトルさんとロンドン響の登場です。1曲目のケクランについては初めて知りました。小説「ジャングル・ブック」を基に作曲されたそう。ヴァレーズの「アメリカ」は初稿。現行版は何度か聴いたことがあるのですが、初稿は初めて。メインはウォルトンの方の「ベルシャザールの饗宴」。シベリウスではない。バリトンソロは、昨年のラストナイトで大活躍したフィンリーさん。


◇8/22 Prom 46: City of Birmingham Symphony Orchestra
 ・ドロシー・ハウエル Dorothy Howell:交響詩「ラミア」
 ・エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 op.85
 ・オリヴァー・ナッセン:ヤンダー城への道 op.21a
 ・ヴァインベルク:交響曲第3番 (ロンドン初演)
  / シェク・カネー=メイソン(チェロ)、ミルガ・グラジニーテ=ティーラ:指揮、バーミンガム市交響楽団

 グラジニーテ=ティーラさんとバーミンガム市響(CBSO)の登場です。1曲目、ドロシー・ハウエルはイギリスの女性作曲家。バーミンガムの生まれだそうです。この「ラミア」は、ウッドが世界初演しています。どんな曲だろう。エルガーのチェロ協奏曲のソロは、ヘンリー王子の結婚式で演奏したことで有名になったカネー=メイソンさん。昨年プロムス直前に亡くなったナッセンさんの作品も取り上げます。メインは再び登場ヴァインベルク。これもロンドン初演。


◇8/23 Prom 47: Leipzig Gewandhaus Orchestra
   ◇(Prom47:Radio3)
 ・J.S.バッハ:幻想曲とフーガ ト短調 BWV542
       :カンタータ147番 BWV147「心と口と行いと生活で」
       :前奏曲 BWV552 「聖アン」
       :シュープラー・コラール集 第1曲「目覚めよと呼ぶ声あり」 BWV645
       :フーガ BWV 552 「聖アン」
 ・ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 (1890年版 ノヴァーク版)
  / ミヒャエル・シェーンハイト Michael Schönheit(オルガン)、アンドリス・ネルソンス:指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

 ネルソンスさんとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の登場です。前半はバッハの作品を。後半はブルックナー8番。Prom31でも書きましたが、今年のプロムスは、演奏する版・稿を明記しています。


◇8/24 Prom 48: Rachmaninov, Prokofiev & Silvestri
   ◇(Prom48:Radio3)
 ・コンスタンティン・シルヴェストリ Constantin Silvestri:弦楽オーケストラのための3つの小品
 ・プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ト短調 op.16
 ・ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 op.27
  / チョ・ソンジン(ピアノ)、クリスティアン・マチェラル:指揮、BBC交響楽団

 1曲目のシルヴェストリ。シルヴェストリはルーマニアの指揮者で作曲家。今年、没後50年です。ボーンマス響の首席指揮者で、イギリスに帰化しました。2曲目からはロシアの作曲家たちを。


◇8/26 Proms at … Cadogan Hall 6: Amatis Trio
   ◇(Prom CH6:Radio3)
 ・シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調 op.70
 ・クララ・シューマン:3つのロマンス op.22
           :ピアノ三重奏曲 ト短調 op.17
  / Amatis Piano Trio

 シューマン夫妻の室内楽作品を。元々はピアニストを目指したシューマン、ピアニストのクララ。ピアノとは相性がいい2人です。クララの「3つのロマンス」はピアノとヴァイオリンのための作品。


◇8/26 Prom 50: Orchestre de Paris
   ◇(Prom50:Radio3)
 ・シューマン:ゲノフェーファ 序曲 op.81
 ・イェルク・ヴィトマン Jörg Widmann:バビロン組曲 (ロンドン初演)
 ・ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 op.68 「田園」
  / ダニエル・ハーディング:指揮、パリ管弦楽団

 ハーディングさんは先日パリ管の首席指揮者を退任。でも、パリ管とプロムス登場です。2曲目のヴィトマンは、作曲家で指揮者でクラリネット奏者。今回演奏するのは、自作のオペラ「バビロン」からの組曲。ロンドン初演です。メインは「田園」。来日公演でも演奏していましたね。


◇8/27 Prom 51: The Magic Flute
   ◇(Prom51:Radio3)
 ・モーツァルト:歌劇「魔笛」 K.620
  / デイヴィット・ポーティロ David Portillo(タミーノ)、ソフィア・フォミナ Sofia Fomina(パミーナ)、ビョルン・ブルガー Björn Bürger(パパゲーノ)、アリソン・ローズ Alison Rose(パパゲーナ)、ブラインドリー・シャラット Brindley Sherratt(ザラストロ)、Caroline Wettergreen(夜の女王)、イェルク・シュナイダー Jörg Schneider(モノスタトス)、他
Glyndebourne Chorus、ライアン・ウィッグルスワース:指揮、エイジ・オブ・エンライトゥメント管弦楽団

 今年のプロムスのオペラ1作品目。聞き所がたくさんの「魔笛」。楽しみたいと思います。


◇8/28 Prom 52: Mozart, Tchaikovsky, Stravinsky & Ryan Wigglesworth
   ◇(Prom52:Radio3)
 ・モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K.365
 ・チャイコフスキー:組曲第4番 ト長調 op.61 「モーツァルティアーナ」
 ・ウィッグルスワース:ピアノ協奏曲 (世界初演)
 ・ストラヴィンスキー:妖精の口づけ
  / マルカンドレ・アムラン(ピアノ)、ライアン・ウィッグルスワース:指揮・ピアノ、Britten Sinfonia

 ウィッグルスワースさんが2日連続の登場。モーツァルト「魔笛」の翌日は、モーツァルトと、モーツァルトに影響を受けたチャイコフスキー、チャイコフスキーに影響を受けたストラヴィンスキーというインスパイアの連鎖プログラムです。面白い。ストラヴィンスキーはバレエ音楽。
 ウィッグルスワースさんは作曲家でもあり、ピアニストでもあります。1曲目のモーツァルトの協奏曲、3曲目のウィッグルスワースさん自身のピアノ協奏曲でソロを務めます。モーツァルトでは、アムランさんが共演。元々はポール・ルイスさんでしたが変更です。


◇8/29 Prom 53: Elgar's The Music Makers
   ◇(Prom53:Radio3)
 ・ヴォーン=ウィリアムズ:トマス・タリスの主題による幻想曲
 ・ヒュー・ウッド Hugh Wood:コーモスからの場面 op.6
 ・エルガー:ミュージック・メイカーズ op.69
  / ステーシー・タッパン Stacey Tappan(ソプラノ)、サラ・コノリー(メゾソプラノ)、アンソニー・グレゴリー Anthony Gregory(テノール)、BBCシンフォニーコーラス、アンドリュー・デイヴィス:指揮、BBC交響楽団

 アンドリュー・デイヴィスさんとBBC響のイギリスプログラムです。ヒュー・ウッドもイギリスの作曲家。ジョン・ミルトンの詩を、ソプラノとテノールが歌います。デイヴィスさんとBBC響でCDが出ています。
 エルガー「ミュージック・メイカーズ」はメゾソプラノと合唱と管弦楽のための作品。エルガーの過去の作品がいくつも引用されます。


◇8/30 Prom 55: Handel's Jephtha
   ◇(Prom55:Radio3)
 ・ヘンデル:イェフタ HWV70
  / アラン・クレイトン(イェフタ:テノール)、Jeanine De Bique(イフィス、ソプラノ)、ヒラリー・サマーズ(ストルゲ、メゾソプラノ)、ティム・ミード(ハモル、カウンターテナー)、コーディ・クアトルバウム(ゼブル、バスバリトン)、ローワン・ピアース(天使、ソプラノ)
 スコティッシュ室内合唱団、リチャード・エガー:指揮、スコティッシュ・室内管弦楽団

 ヘンデルのオラトリオ。初めて知る作品です。聖書の「士師記」(ヨシュアの死後、サムエルが登場するまでのイスラエル人の歴史の物語。他民族に侵略されるイスラエル人を救済する英雄たちが登場する)第11章のエフタの話に基づいています。エフタもその英雄の一人。アンモン人に虐げられてきたイスラエル人を救おうとするイェフタ、娘のイフィスが犠牲となるのか…というお話。


◇8/31 Prom 56: Henry Wood Tribute
   ◇(Prom56:Radio3)
 ・ラヴェル:スペイン狂詩曲
 ・ジョン・アイアランド:ピアノ協奏曲
 ・ドブリンカ・タバコヴァ Dobrinka Tabakova:Timber & Steel (世界初演)
 ・ドビュッシー(ウッド:編曲):前奏曲 第1巻 第10曲「沈める寺」
 ・グラナドス(ウッド:編曲):12のスペイン舞曲
 ・ワーグナー(ウッド:編曲):ヴェーゼンドンク歌曲集 より第5曲:夢
 ・グレインジャー(ウッド:編曲):ストランド街のヘンデル
 ・ラヴェル:ラ・ヴァルス
  / ナサニエル・アンダーソン=フランク Nathaniel Anderson-Frank (ヴァイオリン)、レオン・マッコウリー Leon McCawley (ピアノ)、ブラムウェル・トヴェイ Bramwell Tovey:指揮、BBCコンサートオーケストラ

 ヘンリー・ウッド生誕150年を記念してのプロム。ラヴェルはイギリス初演、アイアランドは世界初演でした。さらに、ウッドが編曲した作品も並びます。ウッドはどのような音使いをしていたのだろう。グレインジャーの「ストランド街のヘンデル」は、木靴踊りを模して作曲された、元はピアノ曲。


Online ジャーニー:世界最大級の音楽の祭典 BBC Proms、今年の見どころは?
 何故かこの8月後半からのプロムが多めのプロムス紹介記事です。

 9月に続きます。もう9月…。
# by halca-kaukana057 | 2019-08-12 21:43 | 音楽

ユルスナールの靴

 須賀敦子さんの作品を。生前最後の作品だそう。


ユルスナールの靴
須賀敦子/ 河出書房新社、河出文庫/1998(単行本は1996)


 20世紀フランスの女性作家、マルグリット・ユルスナール。「ハドリアヌス帝の回想」、「アレクシス、あるいは虚しい闘いについて」、「黒の課程」、「東方綺譚」、「なにを?永遠を」などの著作がある。第二次世界大戦の前にパートナーの女性に誘われアメリカへ渡った。ユルスナールの作品を愛する須賀さんが、ユルスナールの足跡を追い、須賀さん自身の人生に重ね合わせる。

 マルグリット・ユルスナールのことはこの本で初めて知りました。どんな作家なのか、どんな小説なのか、さっぱりわからないので読んでもよくわからないところがたくさんあった。でも、須賀さんがユルスナールのことが好きで、ユルスナールの文章、作品が好きで、それを追いかけていきたい、というのが伝わってくる。

 この本はこのように始まる。
 きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私はこれまで生きてきたような気がする。行きたいところ、行くべきところぜんぶにじぶんが行っていないのは、あるいはあきらめたのは、すべてじぶんの足にぴったりな靴をもたなかったせいなのだ、と。
(9ページ)

 わかる、と思った。「靴」は実際の靴そのものでもあるし、機会、チャンスとか、様々な手段、境遇、環境…様々なものに置き換えることができると思う。ユルスナールについての本なのに、何故こんな文章から始まるのか。靴の話からユルスナールの話にどうつながるのか。そう思って読んでいくと、ユルスナールは須賀さんにとってとても大きな存在なのだと思う。須賀さんにとって目標であり、理想であり、深く深く共感できる存在なのだと思う。
 とは言え、須賀さんがユルスナールの作品に出会ったのは、そんなに昔ではなかった。

 だれの周囲にも、たぶん、名は以前から耳にしていても、じっさいには読む機会にめぐまれることなく、歳月がすぎるといった作家や作品はたくさんあるだろう。そのあいだも、その人の名や作品についての文章を読んだり、それらが話に出たりするたびに、じっさいの作品を読んでみたい衝動はうごめいても、そこに到らないまま時間はすぎる。じぶんと本のあいだが、どうしても埋まらないのだ。
(31ページ)

 ユルスナールはそんな存在だったという。でも、読んだらぐいぐいと惹かれていった。ユルスナールを追って、イタリアやギリシア、アメリカも訪れる。自身とユルスナールを重ね合わせる須賀さん。様々なものごとを消化(昇華)できなかった須賀さんの過去を、ユルスナールが紡いだ言葉がほどいていく。本を読んで、自分の過去や境遇と重ね合わせることは私もある。何かを経験した後、あの本のようだなと思うこともある。でも、須賀さんがユルスナールの作品に思うことはもっと深い。須賀さんとユルスナールが静かに対話しているように思う。

 須賀さんは、ユルスナールを追うだけでなく、「ユルスナールのあとについて歩くような文章を書いてみたい」(256ページ)とこの本につながった。同じ作家、物書き、言葉で生きている2人だからこそできることだ。本文中でユルスナールの各作品の一節が引用されていて、雰囲気は感じられる。でも、ユルスナール作品を読んだらもっと楽しめるし、深みを感じられるのだろうなと思う。日本語訳が結構出ているので読んでみたい。上記引用のように、なかなかたどり着けないかもしれないけれど…。須賀さんの本は読んでいて、静かな、凪いだ気持ちになれる。私も、そんな文章を書くなり、歌を歌いたい。
# by halca-kaukana057 | 2019-08-09 22:48 | 本・読書

真夏の夕涼みのISS

 夏真っ盛りです。当地も昼間は暑いですが、朝夕は涼しい風が心地よく感じます。そんな夕涼みのISSです。
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 まだ空が明るい時間だったので、30秒の撮影だと長かった。ISSは、うしかい座のアルクトゥールスの下を通過。アルクトゥールスから上へ、ネクタイのような形に星が並んでいるのがうしかい座。うしかい座は春の星座ですが、この時間にはまだ見えています。この後、南の空に明るく輝く月、木星、土星のそばを通り過ぎて行きました。


 今の季節になると、気になるのがペルセウス座流星群。お天気がよくなさそうなのと、月明かりで条件が悪いので、あまり期待できなさそう。台風が3つも…被害が何もないことを祈ります。

 明日、8月7日は伝統的七夕です。
国立天文台:ほしぞら情報:スター・ウィーク、伝統的七夕(2019年8月)
アストロアーツ:【特集】七夕/伝統的七夕

 今年は仙台の七夕祭りに代表される月遅れの七夕と同じ日にちになりました。7月の七夕と違って、夜の早い時間に織姫(こと座ベガ)と彦星(わし座アルタイル)が見えます。月が沈んで暗くなれば、空の暗いところでは天の川も見えるかもしれません。


# by halca-kaukana057 | 2019-08-06 21:31 | 宇宙・天文

天文台の古切手

 先日、アンティークもののイベントでこれを見つけました。
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 東京天文台…国立天文台の前身です。その創立75周年の記念切手。天文台の切手だ、と惹かれてそのまま買いました。

 1953年10月に発行されたものだそうです。図案は、国立天文台三鷹キャンパスにある、「第一赤道儀室」。
国立天文台:第一赤道儀室
ドーム内にあるのは口径20cmの望遠鏡。黒点のスケッチ観察のために使われました。もう10何年も前に、三鷹キャンパスに見学に行ったことがあるのですが、その時にこの建物を見た記憶があります。また行きたいなぁ。

 図案は、天文台側は電波望遠鏡を候補に挙げたらしいのですが、当時の一般市民にはわかりにくいというので却下。さらに、星座も描いてほしいという要望もあり、北斗七星、カシオペア座、北極星が描かれています。

 現在のカラフルでかわいい切手もいいですが、このモノクロでシンプルな古い切手も味があって素敵です。古い切手はハードルが高いように思っていたのですが、チャンスがあればまた探してみようと思います。
# by halca-kaukana057 | 2019-08-04 22:25 | 宇宙・天文

ある一生

 よく、本屋や図書館で偶然目にした本を読んでみたら面白かった、ということはあります。ネットではそういうことがない、と。でも、ネットでも、たまたま見つけた本が気になって、読んでみたら面白かった、ということもある。そんな本です。


ある一生
ロベルト・ゼーターラー:著、浅井晶子:訳/新潮社、新潮クレスト・ブックス/2019

 20世紀初頭、アルプスのふもとの村。アンドレアス・エッガーは私生児として生まれ、母親はエッガーが幼い頃に亡くなった。4歳ぐらいのエッガーを引き取った農場主のクランツシュトッカーは、エッガーに厳しい労働を課し、事あるごとに体罰を与えてきた。その体罰が原因で、エッガーは右の脚が不自由になってしまう。それでも、エッガーはたくましく成長し、18歳の時農場を出て一人で暮らすようになった。その後、29歳になった頃、エッガーは山の中に小さな小屋つきの土地を買い、そこに住んでいた。吹雪のある日、エッガーはヤギ飼いの老人「ヤギハネス」の小屋に立ち寄り、ヤギハネスが瀕死の状態にあるのを見つける。村にヤギハネスを運ぼうとするが、その途中、ヤギハネスは「死ぬ時は氷の女に会う」と言い残し、吹雪の雪山へ向かってしまう。その後のエッガーは…。


 そんなに長くない物語です。でも、とても濃い。「ある一生」のタイトルのとおり、エッガーの生涯について語られる。恵まれない…と思うのは、エッガーにとってはどうなんだろう。エッガーは「恵まれない」と思っていたようには思えない…。過酷な環境で育った少年時代。虐待により、脚に障碍を負ってしまう。でも、この物語は「障碍者」としてのエッガーの物語ではない。あくまで、ひとりの人間としてのエッガーという男の物語だ。だから、エッガーを「恵まれない」「かわいそう」とは思ってしまうが、それはエッガーにとっては本望ではない。

 エッガーはとてもたくましい、力強い男で、どんな過酷な仕事もする。エッガーの住む村・山を観光のために開発していた会社で仕事をする。不平不満を一言も言わず、黙々と仕事をする。山で仕事をするには過酷な冬でも仕事をする。それは、愛する妻のため。素直で、朴訥で、仕事以外の面では不器用なエッガーのけなげさがまっすぐ伝わってくる。そんな、エッガーのある喪失。素直でけなげだからこそ、そのかなしみもまっすぐ伝わってくる。

 エッガーの生涯は、20世紀の歴史そのものでもある。第二次世界大戦が始まり、エッガーもナチス・ドイツ軍に召集される。戦場での出来事。戦時中でも、エッガーの生き方は変わらない。やれと言われた任務を遂行し、環境の厳しさに辛さを覚えることはあるが、置かれた環境では文句ひとつ言わない。ただ、時代、世の中の流れに乗って、その時その時を生きている。エッガーの住む山もどんどん変わっていく。でもエッガーは一歩一歩、ゆっくりと歩いていく。

 エッガーの生涯は、自然とともにあった。育ったアルプスのふもとの村の自然は、刻々と移り変わる。山は人間にはどうしようもない試練を与える。その厳しい自然はむごい結果を生む。エッガーもその被害に遭っているのに、山や自然を恨むことはしない。自然と一緒に生きている。戦争から帰って来たエッガーは、観光客と接することになるが、その観光客とエッガーが自然に何を感じるかの対比を描いたシーンが印象的だ。
「どこもかしこもこんなにきれいなのに、あんたには見えてないのかい!」エッガーは幸福感で歪んだ男の顔を見つめて、言った。
「見えてるが、すぐ雨になる。地面がぬかるんできたら、きれいな景色もなにもあったもんじゃない」
(111~112ページ)

 あと、134ページも、エッガーの生き様をよく語っている。長く、実際に読んで味わって欲しいので引用はしません。

 ひとりの男の生涯。この物語そのものも、エッガーのように無駄なことを一言も話さない。エッガーは、環境を、時代を、境遇をそのまま受け入れた。ごまかすことも、誇張することもしない。私も、過去も今もそのまま受け入れる…読後、そんな気持ちでいた。
# by halca-kaukana057 | 2019-08-01 21:18 | 本・読書
 8月のBBC Proms (BBC プロムス)の私が選んだプロムリストです。8月は多いので前半と後半に分けます。8月はバラエティに富んだプロムが続きます。毎日聴くので大変というか、いやいや楽しみというか…。

・7月の各プロムの記事:BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その1 [7月] (随時追記中)


 今年の大きなテーマのひとつが、プロムスの創始者、サー・ヘンリー・ウッドの生誕150年。それを記念して、ウッドが初演(世界初演、イギリス初演、プロムス初演など)した作品を数多く取り上げています。公式サイトでは、ウッドの初演した作品には「Henry Wood Novelties」と表記があります。とにかく多いです。
 もうひとつの大きなテーマが宇宙。アポロ11号月面着陸から50年を記念してのプログラムです。宇宙に関する作品も多く演奏されます。

 プロムスの全公演は、BBC Radio3で放送されます。生放送を聴けなくても、30日間のオンデマンド配信があるので時間のある時にゆっくり楽しめます。再生はBBC Radio3の各プロムのページでどうぞ。今年はプロムス公式サイトで再生できない、リンクもないので、Radio3へのリンクを貼っておきます。
 パソコンからはそのままブラウザで。スマートフォンからは「BBC iPlayer Radio」のアプリを使うと便利です。無料でダウンロードできます。
 通常の放送だけでなく、Radio3の番組「Afternoon Concert」はプロムス期間中、各プロムの再放送をしています。オンデマンドの配信が期限切れで聴き逃してしまった、日本時間の22時からの放送でちょうど聴ける、という方はこちらもどうぞ。放送されないプロムもあるので注意。
BBC Radio3:Afternoon Concert

 今年も、バイノーラル・サウンドでの配信もしています。一部公演ですが、立体音響で楽しめます。普通のヘッドホンで構いませんので聴いてみてください。随時追加されていくと思います。配信公開期限はいつまでなのかわかりません。通常のオンデマンド公開期限の30日を一応目安にしておくと安心かと思います。
BBC Proms:Binaural Proms 2019

 去年のバイノーラル・サウンド配信もまだ残っているのでリンクしておきます。
BBC Proms 2018:Immerse yourself in music with spatial headphone mixes from the Proms

 では、8月前半の各プロムを見ていきましょう。

◇8/1 Prom 18: Mahler & Britten
   ◇(Prom18:Radio3)
 ・ブリテン:ピアノ協奏曲 op.13(1945年版)
 ・マーラー:大地の歌
  / レイフ・オヴェ・アンスネス(ピアノ)、クラウディア・マーンケ Claudia Mahnke(メゾソプラノ)、スチュアート・スケルトン Stuart Skelton(テノール)、エドワード・ガードナー:指揮、BBC交響楽団

 どちらも、ヘンリー・ウッドが初演した作品です。ブリテンのピアノ協奏曲は、1938年のプロムス(8月18日)で、ブリテン自身のピアノ、ウッド指揮BBC響による世界初演でした。当時のプロム記録:Proms 1938: Prom11 その後改訂され、今回演奏されるのは1945年版です。今回のピアノソロはアンスネス。先日の来日の際は故障していましたが、もう大丈夫なのかな。
 マーラー「大地の歌」は、1914年ウッドがイギリス初演しました。
 ちなみに、エドワード・ガードナーさんはロンドン・フィルの次期首席指揮者に決まりました。おめでとうございます!と言うことは、同じロンドンに本拠地があるBBC響を指揮することはなくなるのかなぁ。


◇8/2 Prom 19: Strauss, Schumann & MacMillan
   ◇(Prom19:Radio3)
 ・リヒャルト・シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき op.30
 ・シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54
 ・ジェイムズ・マクミラン James MacMillan:イゾベル・ゴーディの告白
  / アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)、トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団
 
 ダウスゴーさんとBBCスコティッシュ響の2日連続プロムの1日目。秋の「BBC Proms JAPAN」で来日するコンビです。
 「ツァラトゥストラはかく語りき(こう語った)」と言えば、「2001年宇宙の旅」。宇宙をイメージする音楽の代表的存在です。2曲目のシューマンのピアノ協奏曲は、「ウルトラマンセブン」の最終回で印象的に使われており、これも宇宙をイメージしますが…通じるのは日本だけか…?ピアノソロはメルニコフさん。
 マクミランの「イゾベル・ゴーディの告白」は、宗教改革以後のスコットランドで行われた魔女狩りによって、多数の女性が犠牲となった史実に基づく作品。1990年のプロムスで初演されました。

◇8/3 Prom 20: Pekka Kuusisto and the BBC SSO
   ◇(Prom20:Radio3)
 ・シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47
 ・シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調 op.82(1915年初稿)
  / ペッカ・クーシスト(ヴァイオリン)、タイト・ホフレン Taito Hoffrén(歌)、イロナ・コルホネン Ilona Korhonen(歌)、ミンナ・リーサ・タンメラ Minna-Liisa Tammela(歌)、ヴィルマ・ティモネン Vilma Timonen(カンテレ)、ティモ・アラコティラ Timo Alakotila(ハルモニウム)、トーマス・ダウスゴー:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団

 ダウスゴーさんとBBCスコティッシュ響(BBCSSO)の2日目はオール・シベリウス・プログラム。ヴァイオリン協奏曲はペッカ・クーシストさんがソロ。続くシベリウス5番は初稿です!プロムスでもシベリウス5番初稿が演奏されるとは感慨深い。ちなみに、今年のプロムスではシベ5は現行版、1919年版も演奏されます(9月8日、Prom67)。初稿、現行版、どちらも聴けます。
 シベコンやシベ5にはない歌やフィンランドの民族楽器・カンテレなどがあるのは…前奏曲のようにフィンランド民謡を演奏するのだと思います。ペッカ・クーシストさんは2016年、プロムスデビューの際、アンコールにフィンランド民謡を演奏、観客をリードして歌いました。プロムスではありませんが、ダウスゴーさんとBBCSSOは「クレルヴォ(交響曲)」の演奏前にフィンランド民謡と「クレルヴォ」のモティーフをミックスした前奏曲のようなものを演奏したことがあります。多分それと似ているはず。予測ですが…。
 ・その「クレルヴォ」の記事:まだまだ、シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ダウスゴー & BBCスコティッシュ響


◇8/4 Prom 21: Olivier Latry
   ◇(Prom21:Radio3)
 ・ハチャトゥリアン(キヴィニエミ:編曲):「ガイーヌ」より「剣の舞」
 ・ファリャ(ラトリー:編曲):「恋は魔術師」より「火祭りの踊り」
 ・ベートーヴェン:からくり時計のためのアダージョ ヘ長調 WoO 33-1(オルガン編)
 ・J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV 565
 ・ウジェーヌ・ジグー Eugène Gigout:Air célèbre de la Pentecôte
 ・リスト:バッハの名による幻想曲とフーガ S.260
 ・シャルル=マリー・ヴィドール Charles-Marie Widor:バッハの思い出 より 第4曲:Marche du veilleur de nuit
 ・サン=サーンス(ルメア:編曲):死の舞踏
  / オリヴィエ・ラトリー(オルガン)

 ロイヤル・アルバート・ホールの大きなオルガンの演奏会です。演奏するのは、ノートルダム大聖堂のオルガニストのラトリーさん。ノートルダム大聖堂…4月に火災が起きましたが、このプロムはその火災が起きる前に決まっていたもの。今年のプロムスのプログラム発表は火災の直後だったはず。まさかの事態になってしまいました。ノートルダム大聖堂のことを思わずにいられないプロムになりそうです。


◇8/4 Prom 22: Rachmaninov, Shostakovich & Outi Tarkiainen
   ◇(Prom22:Radio3)
 ・ラフマニノフ:死の島 op.29
 ・オウティ・タルキアイネン Outi Tarkiainen:Midnight Sun Variations(世界初演)
 ・ショスタコーヴィチ:交響曲第11番 ト短調 op.103 「1905年」
  / ヨン・ストルゴールズ:指揮、BBCフィルハーモニック

 フィンランド出身、ストルゴースさん(いつも日本語表記に悩む)とBBCフィルです。ラフマニノフ「死の島」はヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。2曲目のタルキアイネンさんはフィンランドの女性作曲家。新作を演奏します。メインはショスタコ11番。ラフマニノフもショスタコーヴィチも死をイメージさせるプロムです。タルキアイネンさんはどんな作品だろう。好みのプロムです。


◇8/5 Prom 23: Swan Lake
   ◇(Prom23:Rsdio3)
 ・アーノルド:ピータールー 序曲 op.97
 ・ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 op.43
 ・チャイコフスキー:白鳥の湖 (抜粋)
  / フアン・ペレス・フロリスタン Juan Perez Floristan(ピアノ)、ベン・ジャーノン:指揮、BBCフィルハーモニック

 BBCフィル2日連続、2日目はベン・ジャーノンさん。ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」のソロはガヴリリュクさん…でしたが、いつの間にか変更。スペイン出身のフロリスタンさん。初めて聞きます。どんなラフマニノフになるか楽しみ。組曲版の「白鳥の湖」はヘンリー・ウッドが1901年にイギリス初演しました。

 ラフマニノフとチャイコフスキーは、8月6日のProm24:Relaxed Promと同じプログラム、出演者です。解説などがあり、小さな子どもも、様々な障碍がある方も一緒に楽しめるプロムです。今年もあります。


◇8/6 Prom 25: Tchaikovsky, Sibelius & Weinberg
   ◇(Prom25:Radio3)
 ・シベリウス:カレリア組曲 op.11
 ・ヴァインベルク:チェロ協奏曲 ハ短調 op.43(ロンドン初演)
 ・チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 op.74「悲愴」
  / ソル・ガベッタ(チェロ)、ダリア・スタセヴスカ:指揮、BBC交響楽団

 指揮のスタセヴスカさんは、キエフ出身のフィンランドの女性指揮者(シベリウス・アカデミーで学び、夫はシベリウスの曾孫でベーシストのラウリ・ポッラ Lauri Porra)。今年、BBC響の首席客演指揮者に就任しました。BBC響は、首席指揮者も首席客演指揮者もフィンランド(フィルハーモニア管もですが)。そのスタセヴスカさんのプロムスデビューです。
 カレリア組曲は1906年、ヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。2曲目のヴァインベルク。ポーランド出身のユダヤ人で、旧ソ連で活躍した作曲家。ショスタコーヴィチによって旧ソ連へ。私はあまり聴いたことがありません。しかも、今回演奏するチェロ協奏曲はロンドン初演。どんな作曲家、作品、作風なんだろう。ソロはガベッタさん。メインはチャイコ6番「悲愴」。


◇8/7 Prom 26: Mozart's Requiem
   ◇(Prom26:Radio3)
 ・ブラームス:悲劇的序曲 op.81
 ・ワーグナー:トリスタンとイゾルデ 前奏曲と愛の死
 ・モーツァルト:レクイエム ニ短調 K626
  / ファトマ・サイード Fatma Said(ソプラノ)、キャスリン・ラッジ Kathryn Rudge(メゾソプラノ)、サニーボーイ・ドラドラ Sunnyboy Dladla(テノール)、デイヴィッド・シップリー David Shipley(バス)、BBCウェールズ合唱団、ナタリー・シュトゥッツマン:指揮、BBCウェールズ交響楽団

 コントラルトのナタリー・シュトゥッツマンさんが歌わず、指揮します。3曲とも死をイメージする作品。


◇8/8 Prom 28: Rachmaninov, Borodin & Huw Watkins
   ◇(Prom28:Radio3)
 ・武満徹:Twill by Twilight(トゥイル・バイ・トワイライト)
 ・ヒュー・ワトキンス Huw Watkins:The Moon(世界初演)
 ・ラフマニノフ:合唱交響曲「鐘」 op.35
 ・ボロディン:「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」
  / ユーリ・サモイロフ(バリトン)、Natalya Romaniw(ソプラノ)、オレグ・ドルゴフ Oleg Dolgov(テノール)、BBCウェールズ合唱団、フィルハーモニア合唱団、尾高忠明:指揮、BBCウェールズ交響楽団

 尾高忠明さんがプロムスに帰ってきました。春からがんの治療のため休養していましたが、先日公演活動に復帰されたとこのこと。よかった!尾高さんの演奏をプロムスで聴きたいです。
 1曲目は武満徹の1988年の作品。2曲目は月をイメージした新曲。3曲目のラフマニノフは、あの前奏曲の方ではなく、合唱交響曲。歌詞はエドガー・アラン・ポーの詩をロシアの詩人、コンスタンチン・バリモントがロシア語に訳したものが元になっています。1921年、ヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。最後の「だったん人の踊り」もウッドが1897年にイギリス初演。合唱つきのはかっこよく、楽しみ。


◇8/10 Prom 31: Brahms, Bruckner & Strauss
   ◇(Prom31:Radio3)
 ・ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 op.56a
 ・リヒャルト・シュトラウス:4つの歌 op.27
 ・ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調 「ロマンティック」(1878/1880年稿ノヴァーク版)
  / リゼ・ダヴィドセン(ソプラノ)、エサ=ペッカ・サロネン:指揮、フィルハーモニア管弦楽団

 サロネンさんとフィルハーモニア管です。R.シュトラウスの「4つの歌」は、4曲目が「明日!(明日の朝!)」の歌曲集。「明日!」は大好きなのですが、他の3曲をあまり聴いてないかも…聴きます。サロネンさんがブルックナーの4番を。しかも、今年のプロムスはブルックナーの版・稿が明記されています(今までは何も書いていなかった)。
 ちなみに、Prom25で書きましたが、フィルハーモニア管も首席指揮者も首席客演指揮者もフィンランド。その首席客演指揮者のサントゥ=マティアス・ロウヴァリ(フィンランド語に近い発音だと「サンットゥ」)さんが次期首席指揮者に決まったとのこと。2代続けてフィンランド。


◇8/11 Prom 33: Mahler, Schubert & Glanert
   ◇(Radio3:Prom33)
 ・デトレフ・グラナート Detlev Glanert:Weites Land ('Musik mit Brahms' for orchestra)(イギリス初演)
 ・シューベルト(グラナート:編曲):孤独に D620(ソプラノとオーケストラのための)
 ・マーラー:交響曲第4番 ト長調
  / クリスティーナ・ガンシュ Christina Gansch(ソプラノ)、セミヨン・ビシュコフ:指揮、BBC交響楽団

 1曲目のグラナートの作品は、ブラームスの作品を元にしたもの。CDがオラリー・エルツ:指揮ヘルシンキフィルで出ています。2曲目もグラナート編曲。シューベルトの「Einsamkeit」は「冬の旅」の12曲目かと思ってましたが違いました。訂正します。D620の「Einsamkeit/孤独に」です。演奏時間も原曲と同じです。
 メインはマーラー4番。1905年にウッドがイギリス初演しています。その頃、マーラーは生きていたから、その演奏を聴いたのだろうか。


◇8/12 Proms at … Cadogan Hall 4: Aris Quartet
   ◇(Prom CH4:Radio3)
 ・シューベルト:弦楽四重奏曲 第1番 ハ短調 D18
 ・マッダレーナ・ラウラ・ロンバルディーニ=ジルメン Maddalena Laura Lombardini-Sirmen:弦楽四重奏曲 第5番 ヘ短調
 ・ハイドン: 弦楽四重奏曲 第78番 変ロ長調 op.76-4 Hob.3-77 「日の出」
  / アリス四重奏団 Aris Quartet

 カドガン・ホール・シリーズ4回目は弦楽四重奏。シューベルトとハイドンに挟まれているのは、18世紀のイタリアの女性作曲家でヴァイオリニストのロンバルディーニ=ジルメン(シルメン)。弦楽四重奏を6つ、その他ヴァイオリン・ソナタや協奏曲などを残しています。


◇8/12 Prom 34: West–Eastern Divan Orchestra
   ◇(Prom34:Radio3)
 ・シューベルト:交響曲第7(8)番 ロ短調 D.759 「未完成」
 ・チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ長調 op.23
 ・ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲
  / マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)、ダニエル・バレンボイム:指揮、ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団

 お馴染み、バレンボイムさんとウェスト=イースタン・ディヴァン管。今年はアルゲリッチさんと共演です。メインのルトスワフスキ、Lutosławskiの綴りがいつも読めない…。演奏頻度は多いのですが、私はあまり聴いたことがない。聴きます。


◇8/13 Prom 35: Enigma Variations
   ◇(Prom35:Radio3)
 ・カレヴィ・アホ、サリー・ビーミッシュ、ハリソン・バートウィッスル、リチャード・ブラックフォード、ギャヴィン・ブライアーズ、ブレット・ディーン、藤倉大、ウィム・ヘンドリックス、コリン・マシューズ、アンソニー・ペイン、ジョン・ピッカード、デイヴィット・ソウワー、イリス・テル・シフォルスト、ジュディス・ウィアー
   :Pictured Within: Birthday Variations for M. C. B. (世界初演)
 ・ヴォーン=ウィリアムズ:音楽へのセレナード
 ・ブラームス:運命の歌 op.54
 ・エルガー:エニグマ変奏曲 op.36
  / Idunnu Münch(メゾソプラノ)、William Morgan(テノール)、Nadine Benjamin(ソプラノ)、David Ireland(バスバリトン)、イギリス国立オペラ合唱団、BBCシンガーズ、マーティン・ブラビンズ:指揮、BBCスコティッシュ交響楽団

 この8月13日は、マーティン・ブラビンズさんの60歳のお誕生日。その記念に、世界初演の新曲をプレゼント。存命の14人の作曲家が、エルガーの「エニグマ変奏曲」をもとにブラビンズさんの変奏曲を合作しました。14人の現代作曲家、何人わかるか…書きながらチェックしていました。藤倉大さんも参加しています。どんな曲になるんだろう。
 ヴォーン=ウィリアムズ「音楽へのセレナード」はお気に入りの曲。1938年、ウッドが世界初演しました。最後には「エニグマ変奏曲」原曲も演奏します。


◇8/14 Prom 37: The Childhood of Christ
   ◇(Prom37:Radio3)
 ・ベルリオーズ:キリストの幼時 op.25
  / ジュリー・ブーリアンヌ Julie Boulianne(メゾソプラノ)、アラン・クレイトン Allan Clayton(テノール)、ロデリック・ウィリアムズ(バリトン)、ニール・デイヴィス(バス)、Britten Sinfonia Voices、Genesis Sixteen、マキシム・パスカル Maxime Pascal:指揮、ハレ管弦楽団

 今年アニバーサリーイヤーのベルリオーズ。この「キリストの幼時」、一度聴いたことがあります。もう一度聴こう。
 メゾソプラノはサラ・コノリーさんでしたが、ブーリアンヌさんに、指揮はマーク・エルダーさんでしたが、マキシム・パスカルさんに変更になりました。


◇8/14 Prom 38: Solomon’s Knot
   ◇(Prom38:Radio3)
 ・J.S.バッハ:カンタータ 第130番 「主なる神よ、われらはみな汝をたたえん」 BWV130
      :カンタータ 第19番 「いさかいは起れり」 BWV19
      :カンタータ 第149番 「人は歓びもて勝利の歌をうたう」 BWV149
      :カンタータ 第50番 「いまぞ救いと力は来れり」 BWV 50
  / Solomon's Knot

 8月14日はもう1公演。夜遅い時間にバッハのカンタータをどうぞ。


◇8/15 Prom 39: Elgar, Errollyn Wallen, Mendelssohn & Mussorgsky
   ◇(Prom39:Radio3)
 ・メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟 序曲 op/26
 ・エルガー:海の絵 op.37
 ・エロリン・ウォレン Errollyn Wallen:THIS FRAME IS PART OF THE PAINTING (世界初演)
 ・ムソルグスキー(ラヴェル:編曲):展覧会の絵
  / Catriona Morison(メゾソプラノ)、エリム・チャン 陳以琳 Elim Chan:指揮、BBCウェールズ交響楽団

 前半は海がテーマのような選曲。いや、情景を「絵」のように描くプロムだろうか。「フィンガルの洞窟」は「ヘブリディーズ諸島」が原題。交響曲第3番「スコットランド」を着想したスコットランド旅行中に、嵐の夜、ヘブリディーズ諸島へ。そこでフィンガルの洞窟を見て、この曲を着想したのだそう。エルガーの「海の絵」。メゾソプラノのための連作歌曲。声域がメゾなのがいい。
 「展覧会の絵」はラヴェル編曲で。調べてみたら、ヘンリー・ウッドも編曲しているらしい。今年はウッド生誕150年のプロムスなのに…?この機会だからウッド編曲版を演奏したらいいのに。最近だと2010年のプロムスで演奏しています(ロト指揮BBCウェールズ管)。他に「展覧会の絵」の編曲というと、プログレのエマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)とか、冨田勲さんのシンセサイザー版とか。


 追記事項があれば随時追記します。8月後半に続きます。

・8月後半BBC Proms ( プロムス ) 2019 私選リスト その3 [8月後半] (随時追記中)
# by halca-kaukana057 | 2019-07-30 22:07 | 音楽
 福岡伸一訳の文庫版が出たので、河合祥一郎訳の方も「月3部作」と合わせて読みました。久々の「ドリトル先生」シリーズ。



新訳 ドリトル先生航海記
ヒュー・ロフティング:著、河合祥一郎:訳、patty:イラスト/アスキー・メディアワークス、角川つばさ文庫/2011


 「航海記」の前に第1作「アフリカ行き」も再読すればよかった。アフリカに帰ったオウムのポリネシアとサルのチーチー、アフリカからオックスフォード大学に留学しているバンポ王子、彼らのアフリカでのことが繋がってくる。ムラサキ極楽鳥のミランダと、この「航海記」のキーパーソンとなるロング・アローのことも。でも、そういう細かい部分が分からないままでも、「航海記」は面白い。靴屋の息子のトミー・スタビンズがドリトル先生に怪我をしたリスを診せることで、助手になることに。この「航海記」からトミーが語り手になる。「月3部作」ではもう立派な博物学者、獣医の助手になっているが、「航海記」では博物学のこともよくわからない。でも、海を越えて遠くへ行きたい、冒険したいという少年の純粋な好奇心に、読んでいる側もワクワクする。海を越えて遠くの国へ行きたい…日本と同じ島国のイギリスだからこそ、わかる気がします。知らない世界は陸続きではなく、海の向こうという考え方にワクワクします。

 ちなみに、「アフリカ行き」での最大の問題、井伏鱒二訳の「オシツオサレツ」を新訳ではどうしたか。それは読んでのお楽しみ。やっぱり「アフリカ行き」も読まないと…。

 航海に出るまでの話が長いが、重要な要素だと思う。ドリトル先生が動物と話ができるというだけでなく、とても人道的で親切で、正義感があり、動物の命と同じように人間も大事にする。航海に出て、クモザル島での話にも関わってくるが、権力にひれ伏したり権力を強引に行使するのではなく、人間も動物も皆平等な命であり、権利を持っていると考えている。その一方で、私利私欲、我がままを押し通そうとするものや、動物を大事にしないものにはとても厳しい。欲がない、利益を求めないので、お金には困ってばかりだが、それでもうまい具合に進んでしまう。人徳のあるドリトル先生だからこそなのだなと思う。

 トミーの両親とドリトル先生のシーンもいい。大人同士の話になりがちだが、子ども、トミーのことを両者ともよく考えている。ドリトル先生は音楽も好きでフルートが得意というのもいい。ドリトル先生、不足しているところは何もないじゃないですか。お金には縁がない、ぐらい…?

 ドリトル先生は常に新しいことを学ぼうとしている。「月3部作」では昆虫の言葉を研究していたが、「航海記」は海らしく貝の言葉。ドリトル先生は様々な動物、生物の言葉を研究し、学び、習得する。外国語を学ぶのは難しい。文法もだし、発音も難しい。フィクションとはいえ、ドリトル先生はそれを独学でやってのけてしまう。トミーも、ポリネシアに教えられて、まずは英語の読み書き(トミーは貧乏なので学校には通えなかった)、そして動物の言葉を学び始める。「月3部作」ではもう動物の言葉を自在に話せるようになっている。ドリトル先生もだが、トミーも学ぶことを怠らない。お手本にしたい。

 井伏訳でも書いたが、「航海記」で明らかになるドリトル先生の名前の秘密…「Do little」(ドリトル)。クモザル島で、それはドリトル先生の功績に似合わないので、「シンカロット(Think a lot)」に変えられてしまう。「Do little, Think a lot」…やっぱりドリトル先生は、「Do a lot, Think a lot」だと思うけどなぁ。本の上だけで終わらず、必ず旅に出て現地で学び、実行に移す。こんな人物が、第一次大戦後に描かれていた。当時はさぞかし斬新に見えたと思う。

 あとがきで、井伏訳との違いについて書かれています。井伏訳では、イギリスの文化・生活についての理解が不十分で削られたところがあったという。イラストは可愛い、今の子どもたちに親しみやすいけれども、訳は手を抜いていないところはいいと思う。でも、ロフティング自身のイラストもやはり魅力的なんだよなぁ…。この河合訳のトミーのキャラデザはとても可愛らしく、利口で利発な少年という感じがする。いきいきしていていい。

 ドリトル先生の旅は結構長い。この「航海記」も1年は旅に出ているし、「月3部作」もドリトル先生は1年月に滞在した。さて、9歳半だったトミーはいくつになっているんだ…?ドリトル先生年表とかないのか。

・井伏鱒二訳、岩波少年文庫:ドリトル先生航海記
# by halca-kaukana057 | 2019-07-26 22:40 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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