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 今年もやって来ました。BBC Proms(プロムス)開幕です。ロンドンのロイヤル・アルバート・ホール(RAH)を中心に、2ヶ月に渡って開催される大音楽祭。今年は、7月19日~9月14日(グリニッジ夏時間)。演奏会は全てBBC Radio3で放送、30日間のオンデマンド配信もあるので、日本からでも楽しめます。
 毎日の公演(Prom プロム)は聴いているだけでも勉強になりますが、作曲家や作品について調べてみるともっと面白い。ということで、今年も私の選んだPromについて書いていこうと思います。

BBC Proms 公式サイト

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 今年の公式ガイドブックです。今年は公演カレンダーのポスターが付いていない模様。

 今年は、プロムスの創始者、サー・ヘンリー・ウッドの生誕150年。プロムス期間中、RAHのステージに銅像があり、ラストナイトでは万歳三唱して頭を拭いてあげているあの方。記念に、ヘンリー・ウッドがイギリス初演、プロムス初演した作品が数多く演奏されます。ガイドブックに「Henry Wood Novelties」と書いてあるものがそれなのですが(公式サイトからは一部消えてしまった。なぜ)、その数の多さに驚きます。
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 ガイドブックではこんな風に書いています。蛍光オレンジの字…。

 更に今年はアポロ11号月面着陸から50年。宇宙に関係する作品も特集して演奏されます。宇宙をイメージした作品から、映画などで取り上げられた作品、SF作品の音楽まで。宇宙をテーマに新曲も作曲されています。

 日本から放送を聴く場合、公式サイト、もしくはBBC Radio3から聴けます。スマートフォンからは、「BBC iPlayer Radio」のアプリを使うととても便利です。ブラウザからも聴けますが、その場合は「BBC Media Player」のアプリが必要です。アプリストアからダウンロードしてご利用ください。これで、いつでもどこでもプロムスが聴けます。

 では、各公演(Prom プロム)を見ていきましょう。

◇7/19 Prom 1: First Night of the Proms
 ・ゾーシャ・ディ・カストリ (Zosha Di Castri) :Long Is the Journey – Short Is the Memory (世界初演)
 ・ドヴォルザーク:交響詩「金の紡ぎ車」 op.109
 ・ヤナーチェク:グラゴル・ミサ
  / アスミック・グレゴリアン(Asmik Grigorian)(ソプラノ)、ジェニファー・ジョンストン(メゾソプラノ)、ラディスワフ・エルグル (Ladislav Elgr) (テノール)、ヤン・マルチニーク(Jan Martiník)(バス)、ピーター・ホルダー(オルガン)
   BBCシンガーズ、BBCシンフォニー・コーラス、カリーナ・カネラキス:指揮、BBC交響楽団

 ファーストナイトです。今年の指揮はカネラキスさん。ファーストナイトを女性が指揮するのは初めてのことだそうです。1曲目はカナダ出身の女性作曲家による新曲。アポロ11号月面着陸50年を記念しての作品です。ドヴォルザーク、ヤナーチェクと東欧の作曲家を取り上げるファーストナイト。ヤナーチェクの「グラゴル・ミサ」はオルガンも入る大作。


◇7/20 Prom 2: Bohemian Rhapsody
 ・ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 op.53
 ・スメタナ:我が祖国
  / ジョシュア・ベル(ヴァイオリン)、ヤクブ・フルシャ:指揮、バンベルク交響楽団

 2日目も東欧もの。ボヘミアの音楽を。ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲、チェロ協奏曲の方が演奏されますがヴァイオリン協奏曲も好きです。後半は「我が祖国」全曲。指揮は日本でもお馴染みのフルシャさん。2日目からいいPromです。


◇7/21 Prom 4: The Planets
 ・ジョン・アダムズ:Short Ride in a Fast Machine
 ・バーバー:ヴァイオリン協奏曲 op.14
 ・ホルスト:惑星 op.32
  / ネマニャ・ラドゥロヴィチ(Nemanja Radulović)(ヴァイオリン)、Trinity Boys Choir、キリル・カラビッツ:指揮、ボーンマス交響楽団

 宇宙プロムです。1曲目のジョン・アダムズは、まさに未来というイメージ。バーバーのヴァイオリン協奏曲…初めて聴きます。バーバーというと、「弦楽のためのアダージョ」。「ノックスヴィル、1915年夏」も好きな作品。メインはプロムス定番曲「惑星」。毎年どこかしらのオケが演奏します。今回は最後の海王星の合唱が少年合唱団の模様。ボーイソプラノの合唱だとどんな感じになるんだろう。楽しみ。


◇7/22 Proms at … Cadogan Hall 1: VOCES8
 ・ヒルデガルト・フォン・ビンゲン Hildegard von Bingen:聖霊は生の源の火よ(Spiritus Sanctus vivificans vita)
 ・ペロティヌス Pérotin:地上のすべての国々は(Viderunt omnes)
 ・ジョスカン・デ・プレJosquin des Prez:アヴェ・マリア 清らかな乙女よ(Ave Maria … Virgo serena)
 ・ジャン・ムートン Jean Mouton:処女なる御母は男を知らず (Nesciens mater virgo virum)
 ・トマス・ルイス・デ・ビクトリア Tomás Luis de Victoria:天の女王、喜びませ(5声)(Regina coeli)
 ・ジョナサン・ダウ Jonathan Dove:私は急ぎ、市民を包囲しよう (Vadam et circuibo civitatem)
 ・ラッスス:ミサ曲「美しきアンフィトリット」より Gloria
 ・ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ Giovanni Pierluigi da Palestrina:Magnificat primi toni
 ・ウィリアム・バード:神に向かいて喜びもて歌え (Sing joyfully unto God our strength)
 ・Alexia Sloane:Earthward (世界初演)
 ・オーランド・ギボンズ Orlando Gibbons:手を打ち鳴らせ (O clap your hands together)
  / VOCES8

 ロイヤル・アルバート・ホールでの大規模な演奏会もプロムスの醍醐味ですが、室内楽や声楽アンサンブル、古楽も楽しみ。カドガンホール・シリーズの1回目はイギリスの声楽アンサンブル「ヴォーチェス・エイト」。古楽をメインにした演奏会です。現代作曲家による作品もあります。
 ちなみに、このカドガン・ホール。4月に日本フィルがヨーロッパツアーのロンドン公演を行ったのがこのホール。プロムスでの室内楽のイメージが強かったので、このホールで普通のオーケストラもコンサートできるんだ、と驚きました。


◇7/22 Prom 6: The Rite of Spring
 ・アンナ・ソルヴァルドスドッティル Anna Thorvaldsdóttir:Metacosmos (イギリス初演)
 ・ブリテン:ヴァイオリン協奏曲 op.15
 ・ストラヴィンスキー:春の祭典
  / ジェイムズ・エーネス(James Ehnes)(ヴァイオリン)、エドワード・ガードナー:指揮、Orchestra of the Royal Academy of Music and the Juilliard School

 1曲目のアンナ・ソルヴァルドスドッティル(発音が大変)はアイスランドの女性作曲家。ブリテンの協奏曲はどれも好きです。メインは春の祭典。オーケストラはイギリスのロイヤル・アカデミーとアメリカのジュリアード音楽院の学生によるスペシャルオーケストラ。


◇7/23 Prom 7: Schumann, Schoenberg & Mozart
 ・モーツァルト:ピアノ協奏曲 第15番 変ロ長調 K.450
 ・パウル・ベン=ハイム(Paul Ben-Haim):交響曲第1番
 ・シェーンベルク:5つの管弦楽曲 op.16 (1909年初稿)
 ・シューマン:交響曲第4番 ニ短調 op.120(1851年改訂稿)
  /ヨン・ソルム(Yeol Eum Son)(ピアノ)、オメール・メイア・ヴェルバー(Omer Meir Wellber):指揮、BBCフィルハーモニック

 BBCフィルの新首席指揮者が決まりました。イスラエル出身、オメール・メイア・ヴェルバーさん。2曲目のパウル・ベン=ハイムは20世紀のイスラエルの作曲家。ワルターやクナッパーツブッシュのアシスタントをしていたのだそう。シェーンベルクの「5つの管弦楽曲」は、ヘンリー・ウッドが世界初演しました。1922年に改訂されていますが、初演と同じ1909年初稿で演奏します。



◇7/24 Prom 8: Invitation to the Dance

 ・ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
 ・ペーテル・エトヴェシュ:アルハンブラ(ヴァイオリン協奏曲)(イギリス初演)
 ・バルトーク:舞踏組曲
 ・ストラヴィンスキー:火の鳥(1919年版)
  / イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)、ペーテル・エトヴェシュ:指揮、BBC交響楽団

 ダンスがテーマのこのプロム。「牧神の午後への前奏曲」「舞踏組曲」「火の鳥」どれもヘンリー・ウッドがイギリス初演しました。ペーテル・エトヴェシュ(エトヴェシュ・ペーテル)さんが自作を指揮します。


◇7/28 Prom 13: ‘From the Canyons to the Stars …’
 ・メシアン:峡谷から星たちへ…
  / マーティン・オーウェン Martin Owen(ホルン)、デイヴィッド・ホッキングス David Hockings、アレックス・ニール Alex Neal(打楽器)、ニコラス・ハッジス Nicolas Hodges(ピアノ)、サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団

 メシアンの「宇宙」を表現した大作を。メシアンは鳥類学者として鳥の声を録音し続け、それを作曲にも用いました。この作品はユタ州を旅した際に見た情景と、鳥の声と、星…宇宙を描いています。様々な打楽器が多種用いられます。こういう作品は音声だけより、映像も一緒の方がさらに楽しめるのですが…テレビ収録予定がないので映像はなさそう。

◇7/29 Proms at … Cadogan Hall 2: A Celebration of Barbara Strozzi
 ・バルバラ・ストロッツィ Barbara Strozzi:秘密の恋人 (L'amante segreto)(カンタータ、アリエッタと二重唱曲集 op.2 より 第14曲)
 ・アントニア・ベンボ Antonia Bembo:Ercole amante 'Mingannasti in verità'
 ・ストロッツィ:何ができようか (Che si può fare)(アリアとカンタータ op.8より)
 ・ベンボ:Ercole amante 'Volgete altrove il guardo'
 ・ストロッツィ:死がわれらを分かつまで (Sino alla morte)
 ・フランチェスコ・カヴァッリ Francesco Cavalli:歌劇「恋するヘラクレス」(Ercole amante)より 'E vuol dunque Ciprigna'
 ・ストロッツィ:私の涙 (Lagrime mie) (「エウテルペの遊戯」op.7 より)
  / マリアーアン・フローレス Mariana Flores(ソプラノ)、レオナルド・ガルシア・アラルコン Leonardo García Alarcón:指揮、カペラ・メディテラネア Cappella Mediterranea

 カドガン・ホール・シリーズ2回目も古楽です。このプロム、ちょっと面白い。バルバラ・ストロッツィは17世紀イタリアの声楽家で作曲家。アントニア・ベンボも17世紀~18世紀イタリアの歌手で作曲家。バロックの時代にも女性作曲家が活躍していたとは知りませんでした。作曲して自分で歌っていたらしい。今も作品が残っていて、演奏されていることが嬉しい。情報は少ないですが…。このプロムは楽しみです。


◇7/29 Prom 14: The Creation
 ・ハイドン:天地創造 Hob.XXI-2
  / サラ・ジェーン・ブランドン Sarah-Jane Brandon(ソプラノ)、ベンジャミン・ヒューレット Benjamin Hulett(テノール)、クリストフ・ポール Christoph Pohl(バリトン)、BBCプロムス・ユース合唱団、オメール・メイア・ヴェルバー:指揮、BBCフィルハーモニック

 BBCフィルとオメール・メイア・ヴェルバーさんの2回目のプロムは、大作「天地創造」。これも「宇宙」ものに入りますよね。あまり親しめていない作品なので、今回はしっかり聴きたい。
 ちなみに、ソプラノのサラ・ジェーン・ブランドンさん。イギリスの人気ドラマ「刑事モース(原題:ENDEAVOUR)」のCase2「泥棒かささぎ(Girl)」で流れた、モーツァルト:大ミサ曲 ハ短調 K427 より「キリエ」を歌っていたらしい。調べたら出てきました。でも、この曲でソプラノソロはないよなぁ…?正しい情報なのかどうかはわからないのですが、「刑事モース」の物語の中でプロムスが話題に出てくる回があります。そのプロムはちゃんと実際に行われたプログラムになっていて驚いたことがあります。ドラマと現実のプロムスで、こういう繋がりもあったとは。「刑事モース」ファンとして嬉しい。でも実際どうなのか、この情報は正しいのか?
「刑事モース」とプロムス


◇7/30 Prom 15: Bavarian Radio Symphony Orchestra – 1
 ・ベートーヴェン:交響曲第2番 ニ長調 op.36
 ・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 op.47
  / ヤニック・ネゼ=セガン:指揮、バイエルン放送交響楽団

 バイエルン放送響が2夜連続で登場です。その1日目。元々はヤンソンスさんが指揮をする予定でしたが、病気のためキャンセル。2曲目のショスタコーヴィチも、10番から5番に変更になりました。残念…。5番も大好きです。
 ベートーヴェンの2番はあまり…いや、ほとんど聴かない。なのでこの際聴きます。


◇7/31 Prom 17: Bavarian Radio Symphony Orchestra – 2
 ・シベリウス:交響曲第1番 ホ短調 op.39
 ・プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調 op.63
 ・リヒャルト・シュトラウス:ばらの騎士 組曲
  / リサ・バティアシュヴィリ(ヴァイオリン)、ヤニック・ネゼ=セガン:指揮、バイエルン放送交響楽団

 バイエルン放送響2日目。今年のプロムスで初のシベリウスが来ました(今年は全部で5作品)。シベ1も、ヘンリー・ウッドがイギリス初演した作品です。1903年のことでした。シベリウスが生きていた頃から、イギリスはシベリウス作品を積極的に演奏してきました。プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番も同じくヘンリー・ウッドがイギリス初演。プロコ作品にもっと親しみたい。最後は「ばらの騎士」。

 追記があればどんどん書いていきます(追加情報がないわけがない)。この記事は8月前半に続きます。
# by halca-kaukana057 | 2019-07-17 21:25 | 音楽

ISSと夏の小さな星座たち

 今度の20日はアポロ11号の月面着陸から50年。記念の特集が様々なメディアで組まれています。明日が満月で部分月食があります(九州・沖縄、中国地方と四国の一部で満月が欠けたまま沈みます。それより東の地域では見られません)。今夜は満月直前の大きな月がきれいに見えています。1969年7月20日の月齢を調べてみたら、5.5、ほぼ半月。月を見て、その月に初めて人類が降り立つのを、地上の人々はどんな気持ちで見ていたのだろう。まだ生まれていなかった私は、当時の記録を見たり聞いたり読んだり、想像するしかありません。でも、今、「はやぶさ2」が小惑星リュウグウにタッチダウンするのをワクワク、緊張しながら応援しているのを思うと、同じような気持ちだったのかな、と思います。

 今、人類は国際宇宙ステーションで長期滞在し、微小重力下で様々な実験をしています。そのISSを久々に見られました。ほぼ満月の光にも負けず、明るく輝いて飛んでいきました。

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 久々に解説を入れてみました。というのは、見どころがあちこちにあるから。
 ISSの軌跡のすぐ上、細長いY字の星の並びが横になっています。これが「や座」。矢座です。矢を放つ「いて座」は南の空、天の川の中にありますが、矢座は夏の大三角の中にあります。
 ISSの下に小さなひし形の星座があります。これが「いるか座」。特に好きな星座のひとつです。とても可愛らしい星座です。夏の小さな星座が2つも撮影できて嬉しい。
 わし座の一等星、彦星・アルタイルに、はくちょう座のくちばしの二重星・アルビレオも写っています。ああ望遠鏡を向けたい。アルビレオの2つの星の青とオレンジの色の対比を観たい。ISSの軌跡の辺りにはこぎつね座があるのですが、暗くて星の並びがよくわかりません…。

 南の空には木星が明るく輝いています。月がとても明るいですが、そのすぐそばにぽつんと星が。土星です。今年の夏もこの2惑星が見頃です。こっちも望遠鏡を向けたい(土星は月明かりが邪魔でうまく見られなさそう)。
# by halca-kaukana057 | 2019-07-16 21:58 | 宇宙・天文
 アニメを観ました(もう1週間経っていますが)。面白かった!!

◇アニメ公式:TVアニメ「ヴィンランド・サガ」公式サイト
◇NHK公式:NHKアニメワールド:ヴィンランド・サガ
 7月25日~27日、再放送あります!

 アニメは、原作の1話からではなく、トルフィンの幼少時代から始まります。以後、原作ネタバレありで書きます(原作の感想をずっと書いてきたんだし)。

・原作1巻(少年マガジン版):注目の漫画2選
・原作2巻(少年マガジン版/アフタヌーン版の追記あり):ヴィンランド・サガ2
・原作3巻(アフタヌーンに完全移籍):ヴィンランド・サガ 3

 連載が開始されたのが2005年。もう10年以上も前なんですか!その間ずっと読んできたのか私…。ずっと読んできた作品がアニメ化されて、全部カラーだし動くししゃべるし…感慨深いものがありました。キャラクターの動きや背景の美しさに魅了されていました。アニメ1話の冒頭、これは原作にはなかったような…。トルケルが出てくるのはまだ先ですが、ここでトルケルが出てきて嬉しかった。大塚明夫さんのトルケルを楽しみにしていました。イメージぴったりです!戦闘シーンの動きもすごい。3話一気に観られたのもよかった。1話だけだと1週間待ちきれなかったと思う。

 アイスランドの村に暮らす少年トルフィン。父トールズ、母ヘルガ、姉ユルヴァと、平和に、慎ましく暮らしていた。商人で冒険家のレイフ・エイリクソンが話してくれた「ヴィンランド」…アイスランドのように寒くなく、草木が茂る豊かな土地が海のずっと向こうにある。ヴァイキングとは違う人間が暮らしているらしい。その「ヴィンランド」に想いを馳せる。少年時代の無邪気で好奇心旺盛なトルフィンの豊かな表情がとても可愛かった。その一方で、トルフィンは何故ご先祖様たちがアイスランドに住むようになったのかをレイフのおっちゃんから聞く。寒さが厳しく、土地も痩せている。こんな厳しい島に何故住んでいるのか。重なるように、ハーフダンの屋敷から逃げてきた奴隷、父トールズの過去…ヴァイキングの戦士たちの中でも最強と呼ばれるヨーム戦士団で、最も強いと言われていた男・トールズが何故このアイスランドにいるのか。
 ヴァイキングの男は戦い、人を殺すことが美徳と北欧神話では信じられてきた(原作の感想でも書いているのですが、ヴァイキングにとって北欧神話は宗教だった)。そのヴァイキングの社会の中で、戦うこと、人を殺すことが嫌な人はどうしたらいい?できなくなった人はどうなる?
 「逃げる」のは、「弱い」から?「弱い」とは、「強い」とは?生きるために「逃げる」のか?
 現代にも通じるテーマを、もっと厳しい北欧のヴァイキングたちで描く。骨太で屈強なヴァイキングの戦士たちの戦闘シーンと、繊細だけれども芯の強さと心の奥深さを感じる内面。これがアニメでもそのまま描かれていて、「ヴィンランド・サガ」の原点に立ち返った気持ちになりました。

 父トールズの言葉「剣は人を殺す道具だ」「お前に敵などいない」「本当の戦士に剣などいらぬ」。不戦の誓いをしたトールズの信念も再確認しました。原作22巻では、トルフィンがその信念を再確認するシーンがいくつかある。ヨーム戦士団のその後も描かれる。22巻の感想になってしまうのですが、ヨーム戦士団から逃げたトールズと、そのヨーム戦士団であることをしたトルフィン。父から息子に受け継がれた想いが通じてよかったな…と、アニメを観て最新刊の深さを実感しました。

 アニメではトルフィンの幼少時代、アイスランドから物語が始まります。一方、原作の1話はその後の成長したトルフィンやアシェラッドが大暴れするところから始まります。原作の1話は、ヴァイキング、トルフィン、アシェラッドの強さを見せつけられます(まさにあのキャラクターのように呆然としてしまう)。アニメだと、「ヴィンランド」の存在と「逃げる」こと、トールズの信念が強調されているように感じます。アニメがもう少し進めば、これから長い物語、「サガ」が始まるのだと実感できると思います。もう始まっているのですが。

 アニメのよかったシーン…もう全部wヘルガさんもユルヴァちゃんもレイフのおっちゃんもイメージそのまま。あのユルヴァちゃんが動いてしゃべっている…嬉しいです。ハーフダンは以前は悪党と思っていましたが、アニメで見返して、原作も読み返すと、ちょっと違うなと。法は守る。法を貶す者は、自分の手下であっても容赦しない(このシーンも痛々しくて辛いけど割愛されなくてよかった)。とはいっても、トールズとの取引きは酷いものですが…。フローキは最新刊のイメージの方が新しかったので、始まりの頃のフローキに、そうだった…と思い出しました。そしてアシェラッド。声が軽い感じがして、あれ?と思ったのですが、それは8巻あたりのイメージだからだと思う。1巻あたりのアシェラッドはこのぐらい軽くていい。後から渋みや重み、狡賢さが加わればいい。ビョルンもいい感じです。

 原作を8巻まで読み返したのですが、最新刊に繋がるシーンが多いなと感じました。これから新キャラも出てくるのですが、どう描かれるのだろう。気になるのはクヌート。2~3話はある理由で、観ているとやきもきするんじゃないかとw

 音楽もよかった。オープニングはトルフィンの心の叫びか…トルフィンだけではないな。エンディングのAimerさんの「Torches」、とても良かった。気に入りました。CD発売を楽しみに待とう。
 
 本当にこれからが楽しみです。24話。じっくり観ます。どこまで進むのかな。

# by halca-kaukana057 | 2019-07-15 22:41 | 本・読書
 今日もこのニュースで持ちきりです。

JAXA:小惑星探査機「はやぶさ2」第2回目タッチダウン成功について

NHK:はやぶさ2 着陸成功 世界初のミッションで
NHK:はやぶさ2 研究総主幹「大成功と言っていい」
はやぶさ2 着陸に成功 「この喜び皆さんと」

毎日新聞:「100点満点の1000点」 はやぶさ2成功で関係者喜びの会見
 津田先生はじめ、プロジェクトチームの皆さんの笑顔が本当に晴れやかでいい。おめでとうございます!!着陸運用の前に、「はやぶさ2にリュウグウをもう一度触らせてあげたい」という津田先生の言葉が印象的でした。もう一度触れたよ!


アストロアーツ:「はやぶさ2」2回目のタッチダウンに向け降下中
 今回のタッチダウンは、4月にインパクタをぶつけて作ったクレーターの縁のあたりにタッチダウンし、1度目と同じようにサンプルを採取します。1度目のタッチダウンの際舞い上がった小石や塵が、光学カメラについてしまった。カメラをきれいに拭くワイパーやブラシはありません。これは考えてなかった…。カメラの性能が低下してしまったため、前回よりも低い高度で水平移動しターゲットマーカーを探します。
 2回目のタッチダウンを行うか。プロジェクトチームもかなり悩み、議論を重ねたそう。「はやぶさ2」は既に1回目のタッチダウンでサンプルを手に入れている。リュウグウはゴツゴツの岩だらけで、機体を損傷する危険性がある。機体を損傷したら帰還できなくなるかもしれない。なら、安全な方をとって2度目のタッチダウンは行わなくてもいいのではないか…。私も心配しました。が、プロジェクトチームは2度目のタッチダウンを行うと決めました。ならば、私は応援するしかありません。

 昨日の午前10時過ぎから降下開始。タッチダウンは今日の午前10時過ぎ。生中継は見られなかったので、そろそろかな…と時計を見ながら心の中で応援していました。11時前に携帯をチェックできる時間があったのでチェックしてみたら、タッチダウン成功、と。管制室の拍手によかった、よかった…本当におめでとうございます!


NHK:はやぶさ2 着陸の画像を公開 JAXA
 タッチダウンの際、小型モニタカメラ(CAM-H)で撮影した画像が届きました。もう届いたのか!まだホームポジションに戻ってないのに。早いよ!!
 タッチダウン4秒前、タッチダウンの瞬間、タッチダウン4秒後の3枚。今回も迫力のある画像です。タッチダウン前の画像を見ると、やはりここもゴツゴツしています。タッチダウン後、小石が舞い上がる…1回目のタッチダウンのものと比べると、粒が小さめで白っぽい印象。人工クレーターの内部の岩石だからなのか、リュウグウの位置によって岩石のタイプが違うのか。帰還後に1回目と2回目のサンプルを比較するのが楽しみになります。

 今回、ちょっと思ったのが、せっかくインパクタでクレーターを作ったのに、何故クレーターの中に降りないのか?縁にもインパクタをぶつけた際に吹き飛んで積もった内部の岩石があるので、縁の部分にタッチダウンする…のは理解できるのですが、クレーターの中ならもっと深いところのサンプルが採れるのでは?
 この答えは、今日の管制室生中継にありました。
小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星リュウグウへの第2回タッチダウン運用(19/7/11)ライブ配信

 1時間13分ごろです。ツイッターで寄せられた質問に答えているのですが、その質問の中に同じ質問がありました。答えは、危ないから。リュウグウは岩がゴロゴロ、ゴツゴツした地形。クレーターの深いところに降りると、「はやぶさ2」の太陽電池パネルがぶつかってしまうおそれがある。光学カメラも完全ではない状態、何が起こるかわからない。安全な道を通りつつも、でも挑戦はする。初代だけでなく、1度目のタッチダウンからも変更、進化させたところもあります。安定しているのに、冒険をしている。不思議な感じです。

 「はやぶさ2」の大きなミッションはクリアしました。あとは小型ローバーの分離などをして、11月ごろリュウグウの軌道を離れ帰途につきます。帰還するまでがミッション。今後もご安全に!

 あ、シュークリーム買ってくるの忘れた。明日買って食べよう。(1度目のタッチダウン記事参照)

 おまけ。フィンランド語で「はやぶさ2」の記事を読んでみよう。
Helsingin Sanomat : Hayabusa 2 -avaruusluotain laskeutui onnistuneesti asteroidin pinnalle
 フィンランドの最大手紙、ヘルシンギン・サノマット紙の記事です。


【はやぶさ2 過去記事】
受け継いだものと新しい試み しつこく徹底的に 祝! 「はやぶさ2」リュウグウにタッチダウン成功!
タッチダウン、舞い上がる「はやぶさ2」
リュウグウにクレーターを作れ 「はやぶさ2」の新たな挑戦
# by halca-kaukana057 | 2019-07-11 22:59 | 宇宙・天文

初夏のあじさい

 こちらは今あじさいが見頃です。
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同じ青でも色合いが違います。他にもピンクや赤、紫もそれぞれの色が違っていて、どの花も見ていて飽きません。この画像を撮った時は晴れていましたが、あじさいはやはり雨が似合います。雨のあじさいも撮りたいです。
# by halca-kaukana057 | 2019-07-09 22:21 | 日常/考えたこと
 国立天文台の縣先生の新刊です。


ヒトはなぜ宇宙に魅かれるのか ― 天からの文を読み解く
縣 秀彦/経済法令研究会、経法ビジネス新書/2019 


 宇宙・天文に関する様々な話題が増え、宇宙・天文に関心を持つ人が増えている。人類は古代から星空を見つめ、星、天体とは何なのか、宇宙とは何なのか、何があるのかと読み解こうとしてきた。20世紀になると人類は宇宙に行く手段、技術を得、無人・有人で宇宙を探査したり、宇宙空間を利用するようになった。21世紀になると、宇宙を舞台にしたビジネスも加速的に始まった。
 宇宙と人間の歴史と関わりについて、様々な視点から解説している本です。

 縣先生は国立天文台で広報やアウトリーチの活動を行っています。天文や科学を一般市民にもっと知ってもらう…というよりは、税金を使っているので「成果を還元していく」。この本では、人間が宇宙や天文、科学に対してどんなアプローチが出来るのか、様々な例を挙げています。宇宙は遠い彼方のことで、日常生活には直結しない。でも、宇宙や天文は「文化」にもなりつつあり、もっと身近にあるものなんだ。例えば、昨日は七夕(月遅れの8月7日、「伝統的七夕」もお忘れなく。新暦は邪道、というよりも、3回やってもいいじゃんと私は思います。ちなみに今年は伝統的七夕も8月7日)。他にも十五夜、十三夜もあり、日本には天文にちなんだ風習がある。流星群が見られるかもしれないとよくニュースで取り上げている。月が普段より大きいとか赤いとかというのでも話題になるし、日食、月食となればさらに話題になる。こんなに宇宙や天文が話題になりやすく、関心をもたれやすいのに、「宇宙は遠い」「身近じゃない」のだろうか…。どんどん身近になりつつあり、文化になっていっていると思う。

 私はこれまで、宇宙がもっと身近になればいいと思ってきた。このブログでも、何度も、「地上の延長線上に宇宙があって、その延長線がどんどん短くなればいい」と書いてきた。それは、主に宇宙開発でのことでした。地上とISSでの暮らしぶりだとか、意識的な距離感だとか。でも、天文でも同じことが言える。重力波やブラックホールは遠い存在のようで、原理は身近にある物理法則と変わらない。重力波やニュートリノは、私たちの身体に感じられない規模で通り過ぎ、すり抜けていっている。それが天文学的規模になると大発見になる。まだまだ分からない宇宙の成り立ちや構造の謎がひとつひとつ解き明かされれば、もっと宇宙は身近になるのではないだろうか。

 宇宙と天文の歩み、歴史、現在についての概論もあるので、宇宙の入門書にもおすすめです。ブラックホールの縁の観測までは載っていませんが、重力波観測など、新しい話題も多いです。
# by halca-kaukana057 | 2019-07-08 21:52 | 本・読書

ヴィンランド・サガ 22

 アニメ放送開始直前で新刊が出ました。アニメ開始前に感想を書いてしまおう。


ヴィンランド・サガ
幸村誠/講談社、アフタヌーンKC/2019


 ヨムスボルグでのヨーム戦士団とトルケル軍の戦いは続いていた。ヨムスボルグの要塞から逃げ出すために、パルドルを人質にとったフリをしていたトルフィン。そこにガルムがやってきてトルフィンを攻撃。矢に撃たれながらも、シグルドがパルドルを人質にとる。門の外では、味方のトルケル軍が迫ってきていた。逃げろと言うシグルドに、一緒にいたグズリーズは…。
 一方、一騎討ちになったトルフィンとガルム。ガルムの攻撃をかわし続けていたトルフィンだが、戦争をゲームだと言うガルムの言葉に、トルフィンは…。


 ヨムスボルグでの戦いもクライマックスです。まずシグやん。自らを犠牲にしてやるべきことをやろうと思ったが…グズリーズの"一発"が効きました。ここだけでなく、22巻ではちょうどいいところでグズリーズの"一発""一撃"が効きます。このグズリーズは戦士たちから見れば弱いですが、"強い"です。

 そしてトルフィンとガルムの一騎討ち。それは、ガルムとトルフィンの戦争に対する考え方の違いでもある。少年時代、多くの人を殺して、戦いのない世界を作りたい、戦いなぞ意味がないと考えるトルフィン。戦争は娯楽、ゲーム、遊び、楽しむもの。本当にトルケルと似た者、同じです。
戦争に意味とかいうなよ
命なんざぶつけ合って遊ぶ以外に使い道なんかねーんだから
(53ページ)
ガルムの言葉なのですが、ガルムにしてはシンプルで深いことを言うな…と。命を武器でぶつけ合って命そのものを賭けるのが戦争なら、トルフィンは命を武器ではない別のものでぶつけ合って、別のものに懸けることを考えているのかもしれません。11世紀、戦うことが美徳とされたヴァイキングの戦士たちには、その別のものは存在しない=意味がない…そういう社会だから仕方がない。それ以外のものを求めて、トルフィンたちはヴィンランドを目指しているのでありますが。
 この言葉の後、トルフィンが一変します。挑発的に、好戦的になります。自らを「上級者」、ガルムは「初心者くん」「お子様」とバカにする。武器なしで勝つと。どうしたトルフィン…と思いますが、答えはすぐにわかります。面白い。こんなトルフィンはあまり見たことがない(少年時代とも違う)ので、かっこいいなと思ってしまいました。

 それから、トルケル、バルドル、フローキ。トルケルは戦争を心底から楽しんでいます。もう何というか…ここまで突き抜けてくれると、逆に面白い。これが戦バカのトルケルだからいいんです。ガルムとトルケルは似た者と上述、これまでも書いてきましたが、雰囲気はちょっと違うかもしれない。トルケルはとにかく戦争が楽しくて仕方がない。ガルムも戦争が楽しくて仕方ないのは同じなのだが、青臭いところがあるというか…トルフィンが言っていた「初心者くん」「お子様」なのかもしれない。
 バルドル君は、ちょっと病んでます…。でもあのフローキの元で育てられたら、病んでしまうのも仕方がない。そしてトルケルとフローキがついに対面…と思ったら、何か出てきた。別の漫画を読んでいるのかと思ったwこんなの…いたのかな。トルケルにはいい相手です。

 そして、戦争は終わりへ…。158話冒頭の名もなき戦士2人のやりとりがいい。この戦争だけでなく、これまでの戦争でも、感じることはあったのだなと思います。トルフィンの取った言動は、まさにトルフィンのやり方。あのヨーム戦士団相手に。でも、トルフィンの立場、トルフィンの血統やクヌート王との繋がりがあったからこそ出来ることでもある。その後のバルドル君、いきいきしてます。

 160話では、「ヴィンランド・サガ」の原点に戻るシーンや言葉があってよかった。アニメ化のタイミングにちょうどいいと思う。
だーれも戦争と縁なんか切れねェよ
どこだろうと人間が3人いりゃア戦争にならァな
トルフィンよ お前の作る国…びんらんど?
そこでも戦争は起きるぜ
専門家のオレが言うんだ 間違いねェ
(174ページ)
トルフィンがヴィンランドで戦争のない国を作るという話を聞いたトルケルが言った言葉です。トルケルとガルムの違いはここなのかもしれない。どちらも戦争バカだけど、トルケルはこんな考えを持っている。戦争、とまではいかなくても、「どこだろうと人間が3人いりゃァ戦争にならァな」説得力がある。いじめ、陰口、仲間外れ、対立やケンカ、マウンティング…。このような人間関係のもつれで、命を奪う・失うことだってある。いじめられたら訴えるなり、別のコミュニティに逃げてもいい。対立やケンカをしても、話し合いで分かり合えることもある。でも、やはり人間関係で負った心の傷はなかなか癒えない。このトルケルの言葉をずっと覚えておきたいです。もちろん、今回の戦争やヨーム戦士団のこと、このトルケルの言葉を受けて、これからトルフィンがどうするのか。楽しみにしています。

 この160話で出た、グズリーズの"一発"。やっぱりグズリーズは強いです。でも、これでシグやんとトルフィンはどうなってしまうのか…いいところで23巻へ。

 その前にアニメです!7月8日、午前0時10分(関西地方は0時45分)から、NHK総合で放送です!初回は3話連続一気に放送します!NHK総合と聞いて、地方でも問題なく観られると安心しました。「プラネテス」もNHKでの放送でしたし、幸村先生の作品はNHK好みなのか。でも、この戦闘シーン、血だらけ残虐シーンばかり(しかもトルフィン少年時代は特に)の原作を公共放送でアニメ化できるんだろうか…深夜だし、手加減しないでやってほしいです。
 ちなみに、アマゾンプライムでも配信。海外からも観られるそうです。「ヴィンサガ」は海外のファンも多いとのこと。公式サイトも英語でも書いてあって、すごいなぁ。


◇アニメ公式:TVアニメ「ヴィンランド・サガ」公式サイト
◇NHK公式:NHKアニメワールド:ヴィンランド・サガ


 アニメ化のためか、幸村先生のインタビューも。
ライブドアニュース:漫画が読めるって、ありがたい奇跡! 幸村誠(『ヴィンランド・サガ』作者)が推さずにいられない、今最高に面白い漫画とは
 幸村先生が漫画への愛を熱く熱く語ります。漫画を読むのが大好きな幸村先生。イチオシの漫画は…?幸村先生のこの言葉がいいなと思いました。
漫画家に限らず、どんな人でも、それぞれ脳内に独自の世界が広がっているはず。その人だけの物語が眠っているはず。そして、それらはすべて絶対に面白い。そんな確信を僕は持っています。どんな人でも、です。

漫画家は、たまたま外にアウトプットする技術を身につけているので、頭の中の世界を形に残せます。けれど、多くの人は漫画家ではないですよね。ということは、形にならないまま失われていく素晴らしい物語が、この世にはものすごく多いんです…!

そう思うと、たまたま漫画を描ける人がいて、それを読むことができるなんて、ありがたい奇跡じゃないですか。だから、せっかく形になったのに知られないというのが、残念で仕方がないんですよね。


現代ビジネス:他人と自分を比べてつらくなったら?競争の激しい漫画家さんに聞いた
 幸村先生がとてもいい人すぎて…こんな方が描いているんだ…。幸村先生の漫画に出てくるキャラクターが、どんな人間でも憎めない理由がわかる気がします。漫画業界は競争社会。でも幸村先生は競争は嫌い。それでも漫画を描き続ける理由とは?自分と他者を比べて落ち込んだ時に読み返したいインタビューです。

ヴィンランド・サガ 21
# by halca-kaukana057 | 2019-07-03 22:22 | 本・読書
 最近フィンランドネタが続いています。夏至、夏至祭(Juhannus)だったからか?
 フィンランドが舞台の新作漫画の2巻が出ました。


ケサランなにがしとスープ屋さん 2
堀井 優 / マッグガーデン、BLADE COMICS pixiv / 2019

 フィンランドの田舎町にある一軒のスープ屋さん。店主のティナと、図書館司書の兄・ニコラス、そして冬のある夜にやって来た不思議な生物「ケサランなにがし」が穏やかに暮らしている。ケサランなにがしがやってきてから1年。ケサランなにがしは成長して大きくなった。言葉も少しずつ覚えて口にしている。
 そんなスープ屋さんに、お腹を空かせたひとりの青年がやってくる…。



 2巻も、ほんわかした日常に癒されます。こういう優しい人たちの穏やかな暮らしの日常の物語が好きです(漫画やアニメだと「日常系」というんだっけ?)。何気ない、特に大きな出来事も起こらない、普通の毎日。でも、その一日一日にはかけがえのない時間が詰まっていて愛おしい。こんな、日常の幸せを気づかせてくれる作品は、読んでいて私も毎日を大事にしようと思える。心があたたかくなり、優しくなれる。

 1巻の最後、ケサランなにがしに何が起こったのか…と思ったのですが、大きくなっただけでした。ティナのスープをお腹いっぱい食べて成長した。体だけでなく、頭脳(あるんだよね…?)や感情も発達している。ティナやニコラス、ミルッカの名前を覚えて話したり(でもまだうまく話せない)、簡単な言葉を話したり。その言葉は、フィンランド語です。この作品の舞台は日本ではない、フィンランドだ。1巻から話していましたが、すごい、素敵、いいねという意味の「Hyvää」とよく言っている。可愛い。

 2巻でも、様々なスープや料理が登場します。135ページに様々なスープが紹介されています。ベリーを使った「キーッセリ(Kiiseli)」はスープの一種なの?作ってみたいなと思いつつも作れておらず。表紙カバーを外すとレシピもあるので作ってみようかな。日本で入手しやすい材料で作れるみたいだし。今の季節、日本ではミルクや生クリームの入ったスープを作るのはちょっと難しいですが、生クリームの入っていないスープもある。サーモンスープ「Lohikeitto」以外にもフィンランドのスープを作れるようになりたいなと読みながら思っていました。クリスマスの料理もたくさん。このブログでも記事にしたことのあるホットワイン「グロギ(Glögi)」もあるよ。

 フィンランドの文化も。フィンランドでは2月14日は「友達の日(Ystävänpäivä)」。性別関係無く、友達に感謝の気持ちを綴ったカードやプレゼントを贈ります。番外編のサウナ。17話もですが、ニコラスはフィンランドの男だなと思う。言葉少なめなところが。でも、ティナやケサランのことを思っていて優しい。ケサランとニコラスと、初登場ミルッカ兄の言葉のほとんど無いサウナでのひとときは、まさにフィンランド人のコミュニケーション。日本人の温泉文化にも通じるかも。

 2巻では初登場キャラが何人か。まず、腹ペコでスープ屋さんにやってきた美青年・ヨエル。在宅で仕事をしている(IT系?デザイン系?)らしく、仕事の納期が近づくと家に缶詰状態、食事も荒れた状態に…。フィンランドにもインスタント食品はあるらしい。仕事が終わり、食べ物を求めてスープ屋さんにやってきた。ティナのスープを味わっているところへやってきたケサランなにがし。1巻から疑問には思っていたが、ケサランなにがしの存在は秘密というわけではないらしい。ただ、小さくて言葉もうまく話せないのであまり外に出せない模様。美味しいスープとあたたかな雰囲気、可愛いケサラン。ヨエルにとって、スープ屋さんは心が和む居場所になった模様。いいなぁ、こういうお店があるって。私も常連になりたい。

 更に初登場キャラ。ニコラスが勤務する図書館にやって来ていた小さな姉弟、ミンミとエウノ。ケサランはどんな人とでもすぐに仲良くなれる。人懐っこい。ケサランに出会った人は、ヨエルのように最初は驚く人もいる(これが普通の反応だと思う)が、ケサランの可愛さですぐに笑顔になってしまう。本当に不思議な生物。ミンミとエウノもケサランと友達になれたようですが、再登場はあるのかな。ちなみに、113ページの本棚に、フィンランドの児童文学「オンネリとアンネリのおうち」があるのを見逃しませんでしたよ。

 2巻の最後、27話、物語は新しい展開へ。ケサランは増殖できるのか…!?でも、ちょっと違う生物。新しい家族が増えた3巻が既に待ち遠しい。

・1巻:ケサランなにがしとスープ屋さん 1

フィンランドのホットワイン「Glögi」を作ってみた
・友達の日について:寒波の合間のISS

オンネリとアンネリのおうち
# by halca-kaukana057 | 2019-06-24 22:10 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


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