「刑事モース ~オックスフォード事件簿~」(原題:Endeavour)を観て、元々の「主任警部モース」シリーズ原作に興味を持ち、読みました。


ウッドストック行最終バス
コリン・デクスター:著、大庭忠男:訳 / 早川書房、ハヤカワ・ミステリ文庫

 夕闇に包まれたオックスフォード。ウッドストック行きのバスを待つ若い女性2人。バスはなかなか来ない。2人の女性のひとりはヒッチハイクすることを提案した。その夜、その2人の女性のうちのひとり、シルビア・ケイがウッドストックにあるバー「ブラック・プリンス」で殺されていた。捜査を始めた刑事部長のルイスと主任警部のモース。もうひとりの女性は一体誰なのか。ヒッチハイクで2人を乗せたのは誰なのか。そして犯人は誰なのか…。

 まずはじめに書いておくと、私は若いモース、ドラマ「刑事モース」から入りました。「主任警部モース」のドラマは観ていません。なので、モースのイメージは、若いモース(ショーン・エヴァンスさんの演じる)しかありません。
 若いモースが将来(実際には、主任警部になったモースが元で、そこから派生したのが前日譚の若い「刑事モース」)こうなるのか…と思いながら読んでいました。クロスワードとクラシック音楽(特にワーグナー)が好きなのは変わらない。若い頃も飲酒はしていましたが、将来はそれ以上に。タバコも吸うようになった。そして未婚だが、女好き、女性を口説くようになった。このあたりは情報は仕入れていましたが、実際に小説で読むとちょっとショック…。特に酒の量はかなり増えている。しかも、捜査中、モースは飲んでおいて、ルイスは仕事中だからと飲ませない。何て奴だと思ってしまった。
 その一方で、推理の鋭さは増したと感じます。若いモースも鋭いけれども、思い込みの激しいところもあり、その思い込みのまま突っ走って、犯人じゃない人を犯人だと言ってしまうこともある。主任警部のモースは、複雑な事件で数多くの証言者の言葉に翻弄されかかることもありますが、落ち着いて、そして一気に犯人をあぶりだしていく。この過程にはしびれました。集まってきた事件の断片をひとつひとつ繋ぎあわせて、そこからひらめいて次の断片もイメージできるようになる。クロスワードパズルと同じだなと思いました。

 事件の関係者たちが嘘をついている。誰かを守るために。どの証言が嘘なのか。それの裏を想像しながら読むのは難しかったですが面白かった。モースとルイスは関係者たちとじっくり話をして、誰が嘘をついているのか見破ろうとする。捜査の過程で、明らかになっていく事件当日の殺されたシルビアと関係者たちの足取り。シルビアと一緒にいたもうひとりの女性は誰なのか。これが本当に最後の最後までわからなくて、明かされた時はそうだったのか!と衝撃を受けました。

 捜査の途中で、事件が急展開する。シルビアの殺人も惨劇だが、その急展開の事件も惨劇で、胸が痛む。事件の結末を知ると、その惨劇が本当に残念に思う。

 モースの推理も面白いが、モースのアシスタントとして動くルイスも魅力的だ。モースに翻弄され苛立つこともあるが、モースと同じように聞き込みを丁寧にしていて、仕事熱心で家族思いでもある。奇人?変人?なモースに対して、堅実なルイスはいいコンビだと思う。

 若い「刑事モース」でも描かれる、オックスフォードの町並み。自然と大学。映像はないけれど、描写は美しいなと感じました。
 「刑事モース」と関係はないのかと思ったら、ほんの少しだけですがありました。「刑事モース」に出てくるある人の将来。「刑事モース」の話の流れから納得はできますが、そうなのかと。今後の原作にも出てくるのかなぁ。今回は本当にチョイ役なので、今度はもっと出番が増えて欲しいな。

 「刑事モース」同様(「刑事モース」の脚本は、必ずデクスター氏に読んでもらっていて、カメオ出演もしていた)、人間関係が複雑で、誰が誰なのか、誰と誰がどんな関係なのか、わからなくなることがしばしば…。ドラマだとそのまま流して最後まで観てしまっていたりしますが、本だと自分のペースで何度も読み返せていいです。「主任警部モース」シリーズも、これからも読み続けたい、シリーズ読破したいです。

 なのですが、シリーズ2作目以降はほぼ絶版で入手困難。古本屋を探してみたがない。この本は2018年に新版が出版され、著者紹介の下の「コリン・デクスターの本」には、この「ウッドストック~」しかない。早川書房の公式サイトで検索してみても、やっぱり「ウッドストック~」しか出てこない。早川さん、2作目以降、「主任警部モース」シリーズはどうするつもりなんでしょう?全部新版をこれから出す予定なのだろうか。出してください、読みたいんです。買いますから、読みますから。

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# by halca-kaukana057 | 2018-11-18 22:36 | 本・読書

不思議なシベリウス2番

 秋も深まり、冬の入り口。そろそろ初雪も降りそうです。シベリウスをもっと聴きたくなる季節がやって来ました(1年中聴いてますが)。
 BBC Radio3のオンデマンドに、シベリウス:交響曲第2番の演奏があったのですが、いつものシベ2と少し違います。
BBC Radio3 : Radio3 in Concert : Nordic Summer Nights
 Tristan Gurney(トリスタン・ガーニー):ヴァイオリン、指揮、Royal Northern Sinfonia(ロイヤル・ノーザン・シンフォニア)による演奏。ロイヤル・ノーザン・シンフォニアはイギリスの室内オーケストラ。1曲目が「アンダンテ・フェスティーヴォ」、スヴェンセンやニールセンといった北欧の作曲家のプログラムです。

 メインがシベリウス2番(上記リンク先1時間7分過ぎから)なのですが、聴いてみると、普段のオーケストラ編曲とは違う。調べると、Iain Farrington(イアン・ファリントン)という方が編曲している。ファリントンさんはピアニスト。オルガン演奏や作曲、編曲活動もしている。ファリントンさんのホームページに編曲作品リストがありました。
Iain Farrington : Arrangements
Sibelius, Jean: Symphony No. 2 - flute, oboe, clarinet, bassoon, horn, trumpet, trombone, timpani, strings (minimum 2, 2, 2, 2, 1)
 シベリウスの交響曲第2番についても載っています。こちらが編成。チューバがいない。管楽器はそれぞれ1人ずつ。弦楽器はコントラバス以外は最低2人いればよい。コントラバスは1人。シベリウスの交響曲は番号が進むにつれてどんどん編成が小さくなりますが、2番は大きい方。弦楽器はそれぞれ10人ぐらいはいるし、管楽器はホルンは4人。トランペットとトロンボーンは3人。第4楽章の大円団は、編成が大きい方で聴いた方が迫力もあるし、華やか、煌びやかでのびのびとしている。一方このファリントンさんの編曲はとても小さい。シベリウスの後期作品よりも小さい。室内オーケストラのための編成です。そのため、通常の演奏とは楽器の使い方が違う箇所がいくつもある。最初はあれ?と思いながら聴いていたのですが、だんだんハマってきました。

 シベリウスの2番はシベリウス作品の中でも明るく迫力があって華やか。でも、第1楽章は小川、というよりは雪解けの水がちろちろと小さく流れるようなささやきで始まる。そして、暗と明、陰と陽を繰りかえしながら大円団の第4楽章へ進む。大円団とは言え、第4楽章でも最後は金管の朗々とした歌で盛り上がって締めくくられ、胸も熱くなるが、途中ではやっぱり陰影が感じられる。この陰影や、寂寥感を表現するのに、この小さな編成は向いているんじゃないかなぁと思いながら聴いていました。3番以降からの編成の小ささへの経過も感じられます。

 編成が小さくても、シベリウスの音楽に聴こえるのは、シベリウスの個性だからかもしれない。編成は小さいけれども、描いているものはもっとスケールの大きな普遍的なもの…様々な自然の姿やその変化。身近にあるけど、大きな世界に繋がっているような。よくフィンランドの自然を描いているとも言われますが、それは地球全体に繋がっていた、ような(よくわからない)。

 ファリントンさんは5番も同じ編成に編曲しています。5番は2番よりも編成が小さいので、違和感はなさそう。ホルンが1人となると、第3楽章の白鳥の飛翔のホルンはどうするんだろう。あれは4人いるからこそ演奏できるんだけど…。

 シベ2だけじゃなくて、上記の他のプログラムもいいです。「アンダンテ・フェスティーヴォ」はいつ聴いてもいいです…。オンデマンド配信は11月29日あたりまでです。
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# by halca-kaukana057 | 2018-11-15 22:15 | 音楽
 NHKBSプレミアムでの第3シリーズを観たのがきっかけでハマったドラマ「刑事モース ~オックスフォード事件簿~」。第1シリーズはGYAO!で配信されたのを観たのですが、第2シリーズは?近場のレンタル店ではDVDレンタルがない。どうやって観る?と思っていたのですが、第2シリーズもGYAO!で配信されていました。よかった!またモースが観られる。

GYAO!:海外ドラマ:刑事モース~オックスフォード事件簿~ シーズン2
 第2シリーズは全4話。Case6「消えた手帳(Trove)」、Case7「亡霊の夜想曲(Nocturne)」、Case8「黒の絞殺魔(Sway)」、Case9「腐った林檎(Neverland)」。11月24日(土)までの配信です。
 まずCase6を観ました。前回負傷し、怪我の療養のため別の警察署で働いていたモースがカウリー署に戻ってくるところから始まります。同時期に起こった3つの事件の捜査をするモース。これまで通り仕事熱心で、地道に聞き込みをし、鋭い観察眼もひらめきも健在なのですが、どこか雰囲気が違う。負傷のショックか。サーズデイが「目に光がない」と。サーズデイのサンドイッチネタにも食いついてこない…なんてこった…。元々明るい性格ではないですが、更に心の奥に暗さが深まっていくモース。そんなモースを支えるある人が登場。おや?あと、捜査の途中でモースの得意分野のシーンでは、やっぱりこういうところは変わってないなと安心しました。ラスト、犯人がモースに言った言葉とラストシーンが気になりました。現場にあったはずなのに消えた手帳。これが、第2シリーズの鍵?まさかあのCase9に繋がるのか?とにかくCase9が観られるのが楽しみ、だけど怖い。先にCase10を観てしまっているので、Case9が本当に気になります。

 サーズデイはモースの体調を心配して、休め、酒を減らせと世話を焼いてくれる。仕事ではいい上司、仕事を離れたら父親のよう。愛妻家のサーズデイですが、家庭を大事にしていると感じられるシーンがあってよかった。エプロン、前から見たかったな。

 カウリー署の人々の、モースに対する態度が少し変わってきた感じはあります。ブライト警視正やジェイクスにはまだ煙たがられている、手の焼ける新米という感じはあるのですが、負傷での心身へのショックを気遣っているかのよう。ストレンジの行動にちょっと「?」でした。裏があるような?犯人逮捕の鍵となったヒントはストレンジのある行動にあった。そのストレンジへのモースの言葉がよかった。

 WOWOWで無料放送していたCase14も観ました。Case13で昇進試験を受けていましたが、その結果に「はぁ!?」と言わずにはいられなかった…。WOWOWでは第5シリーズも放送…。NHKさんもお願いしますよ…。

 「主任警部モース」シリーズ原作の第1作「ウッドストック行最終バス」も読みました。面白かった。感想はまた後日。

【過去記事】
「刑事モース」が面白い!
「刑事モース」とプロムス

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# by halca-kaukana057 | 2018-11-14 23:25 | 興味を持ったものいろいろ
 今朝、起きてこのニュースが気になっていました。
JAXA:宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機(HTV7)の大気圏への再突入完了について

sorae:「こうのとり7号機」再突入ルートは日本上空を通過予定。11月8日にはISS分離ライブ中継も
sorae:宇宙から帰還。小型回収カプセルを無事回収完了

「こうのとり」カプセル 太平洋に着水後回収 「計画は成功」


 9月下旬に打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)に到着、物資を運んだ「こうのとり」7号機。ISSのバッテリーとなるリチウムイオン電池や、生鮮食品などを運びました。8日にISSから分離した「こうのとり」。これまでは、汚れた衣服などの不要物を積んで、大気圏で燃え尽きるだけ…(切ない)。しかし、今回は地球に帰還することのできるカプセルを搭載。大気圏再突入しても燃え尽きず、「きぼう」で実験した試料を持ち帰るミッションが追加されました。

 また、今回の大気圏再突入のコースは日本上空を横切るコース。もしかしたら火球かなにか見えるかも…と期待されていましたが、既に明るい時間帯、雲などで見えなかったとのこと。私も見ようとしましたが、雲であきらめました。それ以前に私の地域からは遠い。

 カプセルは予定通りにパラシュートを開き、太平洋上に着水。カプセルは無事に回収されました。おめでとうございます!カプセルは外から見たところでは、特に問題はない模様。13日に筑波宇宙センターに到着し、中身を確認します。中身も無事だといいなぁ。中には、タンパク質の実験資料が入っています。

 「こうのとり」が打ち上げられ、ISSに到着し、中身を取り出し整理するまでの読み物がありました。
三菱電機 from ME : DSPACE 読む宇宙旅行:「こうのとり」7号機に見る『宇宙の宅配』事情
 今回は打ち上げが何度も延期されました。バルブのトラブルで中止になったのは、本当に珍しいことでヒヤヒヤしました。ISSに物資を届けるために打ち上げ成功は絶対条件。その後の打ち上げは安定の打ち上げ成功。カプセル回収まで、無事に成功して本当によかった。

・打ち上げの時の記事:祝・「はやぶさ2」MINERVA-II1着陸成功! & H2B/「こうのとり」7号機打ち上げ成功!

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# by halca-kaukana057 | 2018-11-11 21:41 | 宇宙・天文
 9月に青森県立美術館でのコンサートに行ってきたのですが、このコンサートは全3回のシリーズ。2回目のチェロに引き続き、3回目のヴィオラにも行ってきました。ヴィオラ2艇とピアノ。ヴィオラですよヴィオラ!

青森県立美術館:アレコホール定期演奏会2018「Attitude~2台の弦楽器とピアノで紡ぐ音の絵~」
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 夕暮れ時の青森県立美術館。ライトアップがきれいです。

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 開演前。前回は、第3幕の前にピアノとチェロの席が用意され、客席は第1幕の前にひな壇設置して作っていました。今回は、ピアノとヴィオラ席はアレコホール中央、客席は第1幕と第4幕の前にL字に設置されていました。客席を高くするひな壇よりも、こちらの方がリラックスして聴ける感じです。それとも、ひな壇を設置するのと、客席数は変わらないのだろうか。ヴィオラだけに客席が減ったとかないよね…。

 プログラムはこちら。
・ヘンデル:オラトリオ「ソロモン」より「シバの女王の到着」
・パッヘルベル:カノン
・カール・シュターミッツ:2つのヴィオラのための6つの二重奏曲 第1番 ハ長調
・ジェレミー・コーエン:タンゴ8
・アントン・ルビンシュタイン:ソナタ ヘ短調 op.49 より 第2楽章 Andante
・J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲 第6番 変ロ長調 BWV1051
 /三戸誠、梯孝則(ヴィオラ)、佐藤慎悟(ピアノ)
 ヴィオラの梯さんはご存知元N響のヴィオラ奏者。

 ヴィオラ好きにはたまらない演奏会でした。ヴィオラはオーケストラでは地味、目立たない存在と言われますが(実際にネタにされていました)、こんなにもヴィオラの魅力を堪能できる作品があり、演奏を楽しみました。ルビンシュタインは三戸さんと佐藤さんの演奏です。
 プログラム最初の2つはお馴染みの曲で。超有名曲のパッヘルベルの「カノン」も、実際に演奏しているところを見ると、追いかけっこをしているのがよくわかります。

 前半の途中、ヴィオラの楽器紹介もありました。ヴァイオリンとチェロも用意して、大きさを比べます。また、オーケストラでヴィオラがどんな演奏をしているのかを、モーツァルト:交響曲第40番とラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番の冒頭を少し演奏して説明します。モーツァルトの40番は、まずヴィオラパートだけを演奏します。配布されたプログラムの裏に、譜面が書いてあるのでそれも見ながら。ひたすら同じ音を繰り返す。次にヴァイオリンとチェロのパートをピアノで弾いて、一緒に演奏すると、あのモーツァルトの40番の冒頭に。梯さんも「目立たないですね」と一言…。一方、ラフマニノフではメロディーを担当しているヴィオラ。あのピアノの冒頭を聴いて、ゾクゾクしました。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、まだ生では聴いたことがない。冒頭だけですが生で聴けて嬉しかった。実際は弦楽器は何十人といるのを、ヴィオラ2人だけで演奏したのですが、よく響いていました。すごいなぁ。

 このヴィオラ紹介だけでなく、曲の合間にも三戸さんのトークがあるのですが、よくしゃべるwあの「ヴィオラジョーク」も登場しました。「ヴィオラの方が長く燃えます」のアレ…wヴィオラの皆さんはたくましく生きているのだなぁと思ってしまいました…。

 初めて聴いたカール・シュターミッツのヴィオラ二重奏曲第1番。こんな曲です。
Duo de Violas - Stamitz - Duos nº 1
 ナクソス・ミュージック・ライブラリーにはなくて探すのに一苦労しました。YouTubeには少しありました。CDもなかなかない珍しい作品みたいです。ヴィオラのあたたかな音色に、ハ長調の朗らかさ、素直さが加わって、とても楽しい演奏でした。掛け合いももちろんのこと、2艇あるのでボウイングを見るのも楽しい。いい作品です。もっと演奏機会が増えればいいのに。

 もうひとつ気に入ったのが、アントン・ルビンシュタインのソナタ。
Rubinstein: Sonata for Viola & Piano, Op. 49. 2nd mvmnt, Andante — Camerata Pacifica
 今回は第2楽章だけでしたが、ヴィオラの落ち着きのある音色にぴったりな曲想。ピアノとの掛け合いもしっとりと。一方で、ヴィオラが饒舌にロマンティックに歌うところも。内に秘めた情熱という感じ。素敵な曲です。全曲聴いてみましたが、全曲もよかった。ヴィオラソナタにこんな素敵な作品があったんだ。嬉しい発見です。
 現代の作曲家、コーエンの「タンゴ8」は、リズミカルなタンゴ。お二人ともとても活き活きしていました。

 最後はヴィオラが主役の作品といえば、バッハのブランデンブルク協奏曲第6番。普通はチェロやヴィオラ・ダ・ガンバもありますが、今回はヴィオラ2艇とピアノの編成。この曲も、パンフレットの裏に譜面が書いてありました。カノンと同じように追いかけっこをしたり、ユニゾンで演奏したり、この曲もヴィオラがどんな動きをしているのか見て聴くのが楽しい曲でした。第2楽章のヴィオラの歌にはじんわりとした気持ちになりました。元々好きな曲ですが、ますます好きになりました。

 アンコール(三戸さん曰く「計画的アンコール」w)はこちら。
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・ショスタコーヴィチ:ジャズ組曲 第2番 より 第2ワルツ
 大好きな曲です。ほの暗いメロディーにヴィオラの音色がよく合う。沁みる…。哀愁に満ちた曲ですが、どこか明るさも感じられる曲。演奏後、舞台袖(常設展の入り口)に戻る際、佐藤さんがピアノの蓋を閉めていた。これで終わりだよ、という合図でしたw
 バロックから現代まで、本当に楽しい演奏会でした。ヴィオラは素敵な楽器です。

・チェロ回:チェロ2挺の知らない世界
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# by halca-kaukana057 | 2018-11-08 22:51 | 音楽
 前の記事でフィンランドの「SISU(シス)」について書いた際、デンマークの「Hygge(ヒュッゲ)」にも言及しました。というのは、「Hygge」に関する本も読んでいたのです。
・前の記事:フィンランドの幸せメソッド SISU(シス)

日本とデンマークの150年切手&特印
 「Hygge(ヒュッゲ)」という言葉を初めて知ったのはこの記事を書いた時。日本・デンマーク国交樹立150年記念切手のテーマが「Hygge(ヒュッゲ)」でした。

HYGGE ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方
マイク・ヴァイキング:著、ニコライ・バーグマン:解説、アーヴィン香苗:訳/三笠書房/2017

 巷には「ヒュッゲ」に関する本が次々と出ていますが、その火付け役になったのが多分この本じゃないでしょうか。本屋で「Hygge」のタイトルのついた本で、この本を一番最初に見た記憶があります。
 「Hygge(ヒュッゲ)」とは、「人との温かいつながりをつくる方法」「心の安らぎ」「不安がないこと」「心地よい一体感」…この本でも日本語に定義、言い換えるのが難しいようです。何か存在する「もの」ではなく、「その場の空気や経験」が「ヒュッゲ」に近いのだそう。

 「Hygge」の言葉が生まれたと推測されるのは1800年頃。当時、デンマークとひとつの国だったノルウェー語の「Hug(フーグ:抱きしめる)」から派生した言葉と考えられています。デンマーク語もいくらでも単語を付け足して複合語を作ることのできる言語。「ヒュッゲな~」というように、「Hygge」から派生した言葉が沢山あるそうだ。

 「ヒュッゲ」な幸せを感じるために必要なことは、シンプルさ、公平・平等や調和、一体感、平和や安らぎ、「今」「ここ」など。そんな「ヒュッゲ」をつくるために、デンマークの人たちがしていることを紹介しています。料理やファッション、インテリア、身近にあるもの、季節ごとの過ごし方、シンプル、お手軽でお財布にもやさしく「ヒュッゲ」を感じられる方法。北欧の人たちが特に大切にしているクリスマスと夏の過ごし方。この本の著者のヴァイキングさんはコペンハーゲンにあるリサーチ会社のCEO。ヴァイキングさんの会社がデンマークの人々に、「ヒュッゲ」について調査した結果も多く載っています。著者の主観だけじゃない。

 前の記事のフィンランドの「SISU」に共通するものが多いなと感じました。シンプルさ、自分でつくること、ウェルビーイング(心身の充足感)に気を配ること、持続可能性、「今」「ここ」に集中する「マインドフルネス」を大事にしていること。毎日少しずつ感じる幸せ。デンマークとフィンランドは民族的にも言語でも異なる国。でも、共通するものがあるのは、北欧諸国が大事にしているものが似ているのかもしれないと感じました。

 この本では、デンマークの人たちが「ヒュッゲ」を感じるためにしていることが紹介されます。でも、私はこれはあくまで一例だと思いました。これを日本で全く同じように実践しようとしても無理。デンマークでこれができるのは、こういう伝統・文化・ライフスタイルがあるから。例えば北欧デザインの家具を日本で揃えようとしたら大変なことになるが、デンマークなら身近にある。それがデンマークの文化であり歴史だから。それらを揃えたからといって「ヒュッゲ」を感じられるとは限らない。先述したとおり、何か存在する「もの」ではなく、「その場の空気や経験」が「ヒュッゲ」だから。

 興味深い一節がありました。
 デンマーク人にとってはヒュッゲがすべて。場所も値段も品質も、この際、関係ありません。
 私の住むコペンハーゲンはカフェが多く、マンションの向かいにも1軒あります。そこのコーヒーはじつにひどくて、魚くさい味がするうえに1杯5ユーロ(約650円)もします。それでも、私はこのカフェの常連です。なぜなら、囲いのない暖炉があって、ヒュッゲな場所だからです。(25ページ)
 さらに、こんな言葉も。
 ヒュッゲボクサー(Hyggebukser)
人前ではけっしてはけないズボンのこと。ただ、はき心地は最高なので、こっそり愛用することも。
 1日中ひとりきりで過ごす時間がどうしても必要だったから、ヒュッゲボクサーをはいて家にこもり、すっぴんで朝から晩までひたすらシリーズものの映画を見ていたわ(38ページ)
日本で言ったら、着古した愛用のジャージかスウェットを着て、という感じでしょうか。「ヒュッゲ」は誰かと一緒に過ごす、人と人の繋がりからうまれるものと解釈されているようですが、1人でもヒュッゲを感じられればそれでいいみたいです。

 というように、立派な、高価なものに囲まれてなくてもいい。自分で、これが心地いい、「ヒュッゲ」なんだと思えばそれでいいのだと思います。日本なら、畳やカーペット、ソファの上でごろごろして、日本茶を飲んでてもいい。和食を食べてもいい。
 「Chapter14 ヒュッゲと幸福」を読むと、幸せ、「ヒュッゲ」を感じる条件が大体わかってきます。シンプルであること。「今」「ここ」で前向きであること。
 現実を直視すると、私たちの生活はバラ色の天国というわけではありません。しかしヒュッゲとは、むずかしい状況の中でも、今持っているものを上手に活かすことであり、日々の生活にしっかりと根を下ろすことなのです。(281ページ)
 困難があっても、毎日の生活を大事にして前向きに暮らしたい。フィンランドは「SISU」でしなやかに強く立ち向かっていきますが、デンマークは「ヒュッゲ」でやわらかいあたたかさを誰かと一緒に心に保つ。やり方は少々違いますが、北欧の2国のライフスタイルには共通するものがあるようです。

 これから寒い冬になります。私の住む地域は深い雪に閉ざされます。そんな冬の楽しみは、自分なりにいくつか持っているのですが、「Hygge」と「SISU」、フィンランドとデンマークのやり方も参考にしたいと思っています。フィンランドは天候に関係なく外に出て行く、デンマークはあたたかい家の中で心地よいと感じるものに囲まれて引きこもる…この対比が面白い。

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# by halca-kaukana057 | 2018-11-06 22:37 | フィンランド・Suomi/北欧
 この本が出版されると知って、絶対読もうと思いました。
 このブログでも、フィンランドの話になるとよく出てくるフィンランドの言葉「Sisu(シス)」についての本です。でも、「シス」が「幸せメソッド」?北欧の幸せになる考え方といえば、デンマークの「ヒュッゲ(Hygge)」が有名。「シス」はちょっと違うんじゃないの?と思いながら読み始めました。


フィンランドの幸せメソッド SISU(シス)
カトヤ・パンツァル:著、柳澤はるか:訳 / 方丈社 / 2018

 原題は、「Finding Sisu: In Search of Courage, Strength and Happiness the Finnish Way」
 著者のパンツァルさんは、両親はフィンランド人、フィンランド生まれだが、両親がカナダに移住し育ちはカナダ。カナダでは、マスコミの仕事をしていたが、20代の時にうつ病と診断される。元々健康には無頓着、生活習慣も食生活も乱れ気味で、運動や自然に触れることはほとんどしなかった。ダイエットをしようとすると「話題の○○ダイエット法」「セレブに人気の美容法」などを探した。アメリカのテレビドラマや映画のような、モノに囲まれ、キラキラした生活を望む一方で、
「どんなに痩せても、どんなにきれいになっても、どんなにお金持ちになっても、永遠に満足できないのではないか―――。」(19ページ)
そんな不安を抱えていた。
 そんなパンツァルさんは、フィンランドでの仕事を見つけ、ルーツであるフィンランドで暮らすことになる。そこで出会ったのが、「SISU」という言葉、考え方。さらに、雪の降る冬の初めに、ヘルシンキでバスローブを羽織った青年たちが海に向かって走り、その海で泳ごうをするのを見る。寒い冬の海で泳ぐなんて信じられないと思ったパンツァルさん。しかし、「SISU」とフィンランドの人々が日常楽しんでいる様々な行動に関係があると思い始める。パンツァルさんはこの本で、「SISU」について様々な人、友人や各方面の専門家に話を聞いて、「SISU」とは何か探ります。

 「SISU(シス)」とは、逆境から立ち直る力「レジリエンス」や困難に直面してもくじけない「強い心」を意味する。「大和魂」のように「フィンランド魂」と日本では説明されている。フィンランドの歴史は、「SISU」の連続だった。帝政ロシアからの独立運動、小国のフィンランドが大国ソ連と戦うことになってしまった冬戦争、第二次世界大戦で敗戦後の暗い時代と復興。現代では、福祉大国、教育大国と呼ばれる。それも、戦後の復興期、資源が少ない国であるフィンランドにとって最大の資源は「人」であるという考えに基づいてのことだった。ここにも「SISU」が感じられる。そんな国の歴史や制度といった大きいところだけでなく、先述した冬の海や湖でも泳ぐ「アイススイミング」やサウナ、森の中を歩くこと、食事や運動、まずは何でも自分でやってみること、シンプルとミニマリズムなどフィンランドの日常生活の中にある「SISU」を見つけ、「SISU」について考えています。

 「SISU」は我慢強さとも考えられますが、日本での「我慢強さ」…どんなに困難でも気合や根性を持ってじっと我慢する、また、それを人にも強要する(「がんばれ」「我慢しなさい」などの言葉のような)ものとは違うのだそうだ。例えば、フルマラソンを完走するためにトレーニングを積んで、完走するのも「SISU」だし、健康のために毎日歩く時間を10分でも増やすのも「SISU」。壊れたものを自分で修理しようとやってみるのも「SISU」。程度は関係なく些細なことでいい。自分でこれをやろうと思ってやり遂げることが「SISU」。困ったら人に助けを求めてもいい。不安を人と共有するのも「レジリエンス(立ち直る力)」であり「SISU」。今の状況がもし不幸だとしたら、勇気を持って手放すのも「SISU」。自分で決めること、逆境でもやりとげること、心身の状態や健康、ウェルビーイング(心身の充足感)に気を配ること、シンプルであることが「SISU」なのだそう。特に、ウェルビーイングに気を配ること、シンプルさ、持続可能であることはどの項目においても共通していると思います。

 食生活と運動、健康については、よく食べてよく運動するという考え方がシンプル、潔くていいなと思った。フィンランドにもジムはありますが、それ以前にフィンランドの人々はとにかく歩く、または自転車に乗るらしい。ここがポイントなのだが、どんなに悪天候でも。アイススイミングだって冬の海や湖で泳ぐ。自然の厳しいフィンランドだからこそ、悪天候は存在しないのだそうだ。雨や雪が降っているなら、服装をそれに合わせたものにすればいい、と。フィンランドほどではないが雪の多い寒い地域に住んでいる私にとって、冬になると雪が多いし寒いからあまり外は歩きたくないと思っている。下手すると街中でもホワイトアウトに遭うし、除雪が行き届いていない道は歩きにくいし…と不満ばかりである。一方フィンランドでは、冬でも道路の整備が行き届いているという点があるが、子どもの頃からどんなに寒くても外へ出るのだそうだ。冬は日照時間が短く暗いところから、リフレクター(反射板)も生まれた。厳しい環境でも、くじけないし工夫をして適応していると思う。

 「SISU」は育てられるものである。また、精神的なものだけでなく、肉体的なものでもある。心身が繋がっているという考え方だろう。読書も困難や逆境を乗り越え解決するための力になるので、「SISU」につながり、「SISU」を育てるものなのだそうだ。
 
 「できない」と思わず、「できる」と信じて踏み出してみる。できたらもう一歩進んでみる。
 今までの北欧の幸せになる方法は、シンプルな衣食住環境やライフスタイルを整える、ゆったりと暮らす(何年か前に流行った「スローライフ」のような)、かつ、おしゃれである、だったと思う。この本でもそれらはある(おしゃれは除く。おしゃれ、というよりは、ウェルビーイング、快適さ、実用面を重視している。北欧のものは、日本から見ると「おしゃれ」に見える)。プラス、「SISU」。この本に書いてあることは、日本でできることもあるし、難しいこともある。冬の海で泳ぐのはちょっと…。森へ行くのが難しいなら、緑に触れられる近くの公園でもいい。自分にとって、乗り越えて気持ちよくなりたいものが「SISU」なのだ。

 この本を読んで、今まで運動を増やしたいとか、心身のストレスを減らしたいとか、住環境を心地よいものにしたいなどと思ってきました。休みの日に公園でウォーキングをしたり、スナック菓子を減らしたりしています。アイススイミングはできないけど、お風呂に入ったら、冷たいシャワーを浴びるのもやってみています。最初は冷たいのだが、徐々に気持ちよくなる。パンツァルさんやフィンランドのアイススイミング愛好家の気持ちってこれか?と思ってみたり。今はまだいいが、これから冬になって、真冬でもやれるか。冷たいシャワーの後は、湯船に入ってあたたまります。今度温泉に行ったら、サウナにも入りたいな。今、日本でもフィンランド式のサウナが増えてきています。フィンランド式のサウナ愛好家も増えているんだとか。

 ウェルビーイングに気を配り、「今」に目を向けるのは「マインドフルネス」の考え方にも繋がっているなと感じました。「SISU」もマインドフルネスかもしれない。

 この本はパンツァルさんの体験を元に書かれていますが、会った各方面の専門家の話や参考文献も多い。「SISU」をただの「幸せメソッド」としてではなく、学術的な面からもアプローチした自分をよい状態にしてくれるものと考えているのがいいです。

 パンツァルさんのインタビューがありました:ハフポスト:フィンランドにも「根性論」があった。世界一幸せな国で「頑張る」ことの意味とは


 これも、「SISU」?:クーリエ・ジャポン:フィンランド発の新たなるマインドフルネス「パンツ一丁で飲酒」が幸せを呼ぶ


【関連過去記事】
物語 フィンランドの歴史 北欧先進国「バルト海の乙女」の800年
 フィンランドの「SISU」な歴史を読みたいならこれ。

マッティは今日も憂鬱 フィンランド人の不思議
マッティ、旅に出る。 やっぱり今日も憂鬱 FINNISH NIGHTMARES 2
 内気でシャイ、無口な典型的なフィンランド人・マッティにとっての憂鬱な出来事、「フィンランド人あるある」を描いたコミック。どんなに憂鬱なことが続いても、くじけないマッティにも「SISU」がある…?訳者は同じ柳澤さん。

 そういえば、この本では「ムーミン」の物語や作者のトーベ・ヤンソンの暮らしにも「SISU」が感じられるとあります。フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」にも「SISU」なところがあるなぁ。「SISU」は1500年前からあるそうです。あと、フィンランドが舞台のアニメ「牧場の少女カトリ」のカトリも、「SISU」を持っているなぁ。働いているお屋敷でどんなことがあってもめげないし、学校に行けないので独学で「カレワラ」を読めるようになるし。
 シベリウスが「『シス』とは、不可能を可能に変える力をくれる、強心剤のようなもの」と言っていたそうなのですが、初めて聞きました。シベリウスの「SISU」…作曲家人生は「SISU」の連続だし、健康と仕事のために静かなヤルヴェンパーの「アイノラ」に引っ越したのも、悪い環境を断ち切る「SISU」だなぁ。
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# by halca-kaukana057 | 2018-11-03 23:27 | フィンランド・Suomi/北欧

ヴィンランド・サガ 21

 そろそろこの間読んだ「ヴィンランド・サガ」最新刊の感想を書こうかな…と思ったら、発売したのは8月下旬だったことに驚きました。そんなに前だったっけ?!本を買っても読まずに積んでおくことを「積読」と言いますが、私の漫画の場合、読んだ後そのまま積んでおいてます…。


ヴィンランド・サガ 21
幸村誠/講談社、アフタヌーンKC/2018

 戦いの中にある、ヨーム戦士団の本拠地、ヨムスボルグ。砦から脱出する途中に傷を負ったレイフ。レイフを戦場から遠ざけるためトルフィンとエイナルはトルケルに話すが、相手にしてもらえない。砦の中にはグズリーズが取り残されている。グズリーズを助けるために再び秘密の井戸の通路から砦に侵入するトルフィンとエイナル、ヒルド。その後を、トルケルの手下であるアスゲートに命じられ、シグルドが追っていた。砦の中に侵入したトルフィンたちとシグルド。トルフィンたちはバルドルのもとへ案内され、グズリーズと再会する。どうやって砦を抜け出すか…そこへ、フローキがやって来る。一方、シグルドは…。砦の外では、ガルムが…。


 21巻の山場はトルフィンとフローキの対面。トルフィンは19巻で、父・トールズを殺したのはフローキだと知ります。トルフィンの表情、感情が一気に変化する。もう自分から人を殺す戦はしない。仲間を守るためであっても人を殺すことはしない。どんな時も、そういう立場だったトルフィンですが…。アシェラッドのもとでトールズの仇を討とうとしていた少年の頃のトルフィンとも違う。あの頃も殺気に満ちていたが、このフローキに会ったトルフィンは全然違います。これまで積もり積もった父への想い、真実を知った衝撃。その全てが、恨み、怒りとして暴走している。こんなトルフィンは初めて見る。バルドルの言葉も重い。まだ少年だというのに、祖父がどんな人間か知っている。知っているからこそ、バルドルも戦士団を継ぎたくないし、戦もしたくないのだと思う。

 「元気君」シグルドは、トルフィンの後を追って砦の中へ。しかし、兵士に見つかってしまい大変なことに。コミカルな部分もあるのですが、かなりやばい状況です。そんな状況で、シグルドの手下の太っちょさん(名前がわからない…すみませんw)が、鋭い質問を。シグルドは本当はグズリーズのことを好きではないと指摘。それに続く言葉。
シグやんが本当に望んでいることはなに?
本当に望んでいることをしなよ
そのほうがグズリーズさんもシグやん自身も幸せになれるよ
たぶんね
(78ページ)
 この言葉が、後半、終盤のシグルドを変えた、のか…?

 砦から脱出する方法を探り、ある手に出たトルフィンたち。砦の中は大変なことに。でもうまくいくんじゃ…と思っていたら、この人の登場…ガルムです。本当にタイミング悪い奴だな!シグやんピンチ。どうなる!

 シグルドへの鋭い質問もそうですが、砦の中で処刑された名もなきヴァイキングの兵士の会話もポイントです。20巻同様、ヴァイキングたちの中にも、自分たちの生活、生き様について、「これでいい」と思っていない者もいる。これが、トルフィンたちをヴィンランドへ向かわせる動機となるはずなのですが…まだまだ長そうです。まずは、ヨムスボルグを無事に脱出できるのか?21巻に続く。

・20巻:ヴィンランド・サガ 20

 ところで、帯にも書いてあるのですが、「ヴィンランド・サガ」アニメ化決定です!!
コミックナタリー:「ヴィンランド・サガ」WIT STUDIO制作でTVアニメ化、幸村誠も歓喜
◇アニメ公式サイト:アニメ「ヴィンランド・サガ」
 いつかはアニメ化するだろう…でも、血がいっぱい流れる、残虐なシーンが沢山、物語も長い(トルフィンの少年時代だけで終われない)ので、アニメ化は難しいだろうと思っていたのですが…本当にアニメ化しますか!来年放送予定。動くトルフィンやアシェラッド、少年時代の美少年クヌートを観たいです!ユルヴァちゃんも観れますね!
 アニメ公式サイトでは、幸村誠先生と、籔田修平監督の釣りをしながらの対談が面白いです。

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# by halca-kaukana057 | 2018-10-31 22:47 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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