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蒼路の旅人

 上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズ第6作。「虚空の旅人」に続く、チャグムがメインの物語です。


蒼路の旅人
上橋 菜穂子/偕成社/2005

 チャグムが住む新ヨゴ皇国の隣、サンガル王国は海を隔てた大陸にある大国・タルシュ帝国と戦争をしていた。そのサンガル王国の王から、新ヨゴ皇国へ手紙が届く。援軍を送ってほしいという内容の。チャグムはその手紙に疑問を抱きつつも、ある程度の援軍を送ることに決まった。その数日後、サンガル王国のサルーナ王女から、チャグム宛に手紙が届く。その手紙を読んでチャグムは、サンガル王国からの手紙や援軍の背後にあるもの、そして父である帝のチャグムに対する感情を帝にぶつけてしまう。チャグムはひとりで、サンガルへの援軍に加わることになってしまう…。


 「虚空の旅人」でチャグムと親交を結んだサンガル王国と、サンガルを飲み込みつつあるタルシュ帝国が今回の舞台。冒頭から、チャグムと父・帝の対立があらわになる。もうどうなるかとハラハラ…。冷静になりきれなかったチャグムに幼さを感じつつも、その後の展開はチャグムのさらなる成長を感じます。自分でやってしまったことは、自分で何とかする気持ちが感じられる。教育係であるシュガもいない、孤独な旅。

 南の大陸のほとんどを飲み込み、新ヨゴ皇国などがある北の大陸にも進出しつつあるタルシュ帝国。「虚空の旅人」で、タルシュ帝国がどういう国なのか書かれていますが、今回はさらに踏み込みます。ある事件をきっかけに、タルシュ帝国へ行くことになってしまったチャグム。ついにタルシュ帝国と正面から向き合うことになってしまう。勢いを増し続けるタルシュ帝国に飲み込まれるのか、抵抗するのか…。逃げたくても、皇太子として逃げることは出来ない。追い詰められつつも、その賢い頭脳で進むべき道を考えるチャグムの姿に、ずっとハラハラしてばかりいました。読み始めたら止められず、そのまま一気読みしてしまいました。

 タルシュ帝国へ向かう船の中で出会った人々も、またいい味を出している。タルシュ帝国に支配されているヨゴ枝国のヒュウゴ、若い女の船の頭であるセナ。シュガはいないけれども、何らかの形でチャグムの力になってくれる人はいる。チャグムと考え・進む道は全く同じでなくても。立場も考えも違う色々な人と出会い、少しだけでも時間を共にして、人生って進んでいくんだなぁと思う。それぞれが違う人生を、違う考えのもとで生きているだけ。それが自分にとってプラスになったり、マイナスに感じられたりすることはある。だから、絶対的にプラスの人もいないし、マイナスの人もいないんだなと、このシリーズを読んでいると思う。(そして運よくプラスの人に巡り会えたら、その貴重な縁は大事にしたいとも思う。例えば、チャグムにとってのシュガ、バルサにとってのタンダのように)

 タルシュ帝国から新ヨゴ皇国へ帰還するチャグムは、新ヨゴ皇国と北の大陸の国々を守るため、あることを思いつきひとりで行動に出る。危険な賭けだ…。続きはシリーズ最終3部作「天と地の守り人」で。続きが早く読みたいです。チャグムと新ヨゴ皇国の運命は?バルサやタンダはどうなる?気になる…!!
by halca-kaukana057 | 2009-05-19 22:48 | 本・読書

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