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日本の美を求めて

 久々に東山魁夷のエッセイです。これまで、東山魁夷のエッセイは北欧ものを中心に読んできましたが、今回は日本がメインです。

日本の美を求めて
東山 魁夷/講談社・講談社学術文庫/1976

 東山画伯の少年時代から唐招提寺の障壁画を描くまで、日本の風景を見て感じたこと、その特色と美しさについて語るエッセイと講演が収録されています。少年時代からどう日本の風景を見つめてきたのか。そして、作品で何を表現しようとしたのか。読んでいるとその風景が目に浮かぶようです。

 唐招提寺の障壁画は、東山画伯の代表的作品。だが、私はこれまでその障壁画がどんな作品なのか良く知らずにいた。なので新潮文庫から出ている「東山魁夷小画集 唐招提寺全障壁画」で観てみた。森の緑の柔らかな質感から、森の空気を感じるような「山雲」。波の白と海の緑がかった青に惹かれる「濤声」。まさに日本の風景だと感じた。鑑真が晩年をすごしたこのお寺。鑑真が命がけで唐から日本へやって来た時、鑑真は失明していたという。その鑑真が見たかったであろう日本の風景を、この障壁画に描いたのだそうだ。

 東山魁夷の描く風景は、珍しい風景でもない、どこにでもありそうな風景に感じる。代表作の「道」も、北欧やドイツの風景も、その国のどこかにありそうな風景が描かれている。でも、東山画伯によって"風景画"として切り取られると、その風景・自然の美しさが際立つと思う。唐招提寺の障壁画も、日本のどこかにありそうな身近に思える風景なのだけれども、清々しく美しい。色の使い方だろうか、構図のとり方のためだろうか。ひとつ言えることは、東山画伯がその風景をじっくり観て、その風景を愛しているからなんじゃないか。それをこの本を読んでいて感じた。

 この本の後半で、日本の美について語った講演が2篇収録されている。日本の文化はこれまで、海外文化と出会い融合して、新しい文化を作り上げてきた。中国や欧米の文化が次々とやってきても、それを積極的に取り入れて、新しい日本文化を作り上げてきた。日本の文化には柔軟性とたくましさ・力強さがある、と。そのたくましく、やさしくおおらかな日本文化の根元には、変化に富んだ美しい自然がある。その自然があるから、日本文化はどんな外の文化と出会ってもうまく融合していっているのではないかと感じた。この本を読んで、日本の自然と文化を大事にしたくなる気持ちがいっそう強くなった。


 少し前に読んだ「木のいのち 木のこころ 天・地・人」とあわせて、京都奈良にますます行きたくなった。日本の美と文化の原点へ。でも、今のところ旅行の予定はたっていないので、その内だな。
 それにしても、東山魁夷の作品に触れると、心が洗われる気持ちになります。
by halca-kaukana057 | 2009-06-19 21:16 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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