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エンジェル エンジェル エンジェル

 梨木香歩作品で文庫化されている作品の中で、何故かこれだけは読んでいなかった。なので読んでみた。


エンジェル エンジェル エンジェル
梨木 香歩/新潮社・新潮文庫/2004

 コウコは熱帯魚を飼いたがっていたが、母に反対される。ある日、同居している寝たきりに近いおばあちゃん・さわちゃんの深夜のトイレ当番を引き受け、熱帯魚を飼うことを許された。熱帯魚を飼い始め、おばあちゃんのトイレ当番を引き受けた時、おばあちゃんはこれまでにない不思議な反応をとる。深夜のおばあちゃんとの会話と、熱帯魚たちの異変。それに対してコウコは…。


 150ページ程度のとても短いお話です。しかし、その短さの中に物凄い密度の物語が詰め込まれていました。あらすじを書いてはみたが、うまく表現しきれていない。読んだ後も「これはどういう物語だったのだろうか」という気持ちで、放心してしまった。

 物語は、コウコとおばあちゃんの会話、おばあちゃんの回想、熱帯魚を軸に回る。さらに聖書も重要な鍵。私はキリスト教徒ではないし、聖書もほとんど読んだことがないのでその方面から考えることが出来ないのが残念なのだが、人間のネガティヴな感情とは、何故あるのだろうと思ってしまった。少女時代のおばあちゃんのある一人の少女への感情や、エンゼルフィッシュに対するコウコの気持ちのように、人間は誰でも妬みや憎しみのようなネガティヴな感情を抱えていると思う。たとえ表に出さなくても。ポジティヴな感情だけで生きるのは無理だ。時にそのネガティヴな感情で誰かや自分自身を傷つけたり、否定したり、責めたりしてしまう。それでも、人生は続いてゆく。朝は来る。ネガティヴな感情を抱えながらも生きていく私たち。それをゆるしてくれる人がいたら…。抱えているものを、優しくほぐしてくれる人がいてくれたら、どんなに心休まるだろう。そんな時空を越えたおばあちゃんの抱えていたものがほぐれた瞬間が優しくて、温かかった。

 人間は寛大でポジティヴな存在にはなかなかなれない。だからこそ、信頼しあえる人や信じられる存在と一緒にいたくなるのではないのかな、と感じた。ひとりでは生きていけない。マイナスの意味ではなく、プラスの意味で。

 感想を書いてはみたが、やっぱり消化しきれていない。読み込めばまだまだ何かありそうなのだが、これ以上奥に進める気もしない。不思議な物語だなぁ。
by halca-kaukana057 | 2009-06-23 22:01 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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