人気ブログランキング |

水のように音楽を

 先日亡くなられた音楽評論家の黒田恭一さんの本が読みたくなって、借りてきた。

水のように音楽を
黒田 恭一/新潮社/1995

 雑誌「小説新潮」で「ポケットの中に」というタイトルで連載されたコラムをまとめたのがこの本。黒田さんと言えばクラシックと思っていたのだが、クラシック音楽以外にも様々な音楽が話題に上る。ジャズ、歌謡曲、さらにはヘヴィメタまで(黒田さんはヘヴィメタ雑誌で、クラシックのコラムを執筆されていたことがあるそうだ。ヘヴィメタには詳しくないのでよく知らないのだが、クラシックが元の曲が結構あるらしい)。そんな数々の音楽と、その作品や演奏家にまつわるエピソードや思い出が綴られている。

 読んでいて、黒田さんは本当に純粋に音楽を愛していたのだなと感じた。本当に純粋に、真っ直ぐに。その音楽を演奏する人の上っ面だけを見ず、音楽や演奏の深いところを見ようとしている。小難しい論議や批評など無しに、音楽を楽しもうとしている。「はじめてのクラシック」でも感じたけれども、その黒田さんの音楽への純粋な気持ちは、読んでいてとても清々しい。黒田さんの文章を読んでいると、音楽っていいものだな、素敵なものだなと思う。もっと沢山の音楽を聴いて楽しみたい。クラシックに限らず、ジャズも面白いかもしれないと思った。それと、オペラや声楽も。特にオペラは抜粋でしか聴いたことがないので、CDで構わないから今度こそ全曲聴いてみようかな…。

 この本で、エストニアの指揮者・ネーメ・ヤルヴィも紹介されていた。好きな指揮者のひとりなので、取り上げられていて「おっ」と思った。プロコフィエフのあまり有名でない作品に取り組む姿勢を評価した話なのだが、私にとってN.ヤルヴィと言えばシベリウスとショスタコーヴィチだ。と言うことで、今、ヤルヴィ&エーテボリ響のシベリウスを聴きながらこの記事を書いている。ながら聴きは良くないとおっしゃっていた黒田さんには怒られるかもしれないが…。

 クラシックを聴き始めた頃、「はじめてのクラシック」を読んで本当に良かったと思っている。そして今、それなりにクラシックに親しむようになって、この本を読んでまた原点に戻れた。作曲家、年代、ジャンルに関わらず、聞きたい音楽をどんどん聴いて、好きな曲がどんどん増えていった楽しみ。そんな気持ちを子どもの頃から持ち続け、聴くだけでなくそれを文章にして、人々にその楽しみを紹介することが出来た黒田さんは本当に凄いと思う。しかも優しく、温かい文章で。心からありがとうと言いたい。

・以前の記事
黒田恭一さん死去…
はじめてのクラシック

はじめてのクラシック (講談社現代新書)

黒田 恭一 / 講談社


by halca-kaukana057 | 2009-07-07 21:52 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31