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人間自身 考えることに終わりなく

人間自身―考えることに終わりなく
池田 晶子/新潮社/2007

 哲学者である池田晶子さんの本を、初めて読みました。雑誌に連載されていたコラム・エッセイをまとめたもので、時事の話題も多く登場します。そのため、辛口エッセイかと思ったのですが、読み進めていくうち、哲学本だと実感しました。

 哲学というと、ソクラテスや孔子、カントやヘーゲルなど、歴史上の哲学者たちがこの世の中をどう考え、どんな言葉で表現したのか、そういう学問だというイメージがある。ところが、池田さんは身近な時事問題から、世の中の、人生・命の本質について追究しようとしている。哲学は身近なところにもあるんだ。そう感じさせてくれた。文章は辛口だけど、ストレートで思い切りがいい。こういう文章を書ける人って、すごいなといつも思う。自分の思うことを余計な媚や婉曲などなしに、スパッと言葉にする。ストレートに表現することで、それをよく思わない人もいたかもしれない。でも、私は好きだ。

 この本を読んでいて、生きるとはどういうことなのか、何を大事にして生きるべきなのか、じっくりと考えさせられた。日々、生活上の様々なごたごたや憂鬱なニュースに一喜一憂する。日常の些細なことに翻弄されがちだが、本当に大切にしなくてはいけないことは何なのか。一文一文が重く、けれども目の前にある生きる上でのもやもやを晴らしてくれるよう。特に「どうすればいいのか」、その通りだと強く感じた。
 世の中これだけ情報が溢れていても、本当に必要なことを、誰も知らない。ケータイ情報の扱い方を知ってはいても、本当に必要なこと、人生の一大事、自分や家族の生きるか死ぬか、そんな時どうすればいいのかは、誰も知らないのだ。そしてうろたえ、互いに問いかけ合っている。「私は、我々は、どうすればいいのでしょうか」。
 むろん私だって、私は、我々は、どうすればいいのかを知らない。知っているわけがない。人生とは、それ自体が、知らないものを生きることだからである。それが何なのか、それがどうなるのか、自分が知らないものを生きるのが人生である。しかし、知らないのでなければ、どうして人は考えるだろうか。知らないからこそ、考えるのだ。
(66~67ページ)

 今後も池田さんの著書を読んでいきたい。若くして亡くなられたのが残念でなりません。
by halca-kaukana057 | 2009-08-26 20:52 | 本・読書

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by 遼 (はるか)
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