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シベリウスの"光への道"

 昨日、モーツァルトのピアノ協奏曲から2作品について書いたが、似たテーマで今日はシベリウスについて書く。シベリウスの交響詩に「夜の騎行と日の出」op.55という作品がある。第4交響曲の少し前、1908年に作曲された。
 この曲は、タイトルの通り夜、馬に乗って駆けてゆき、そのうち日の出を迎えるという様を描いている。冒頭は小刻みな音が繰り返される。とても不思議な曲だと思う。でも、しばらく聴いていると暗い木管のメロディーがもの寂しく鳴り、他の楽器を巻き込んでゆく。7分30秒ごろの弦の切ない響きを経て、ホルンが夜明けを告げる。この暗闇から夜明けの描写は、何度聴いても心打たれる。

 この作品が作曲された頃、シベリウスは体調を崩していた。その後、喉に腫瘍が見つかり手術を受ける。この「夜の騎行と日の出」以前に作曲された第3交響曲でも内面的な表現が出始めているが、「夜の騎行と日の出」ではさらに内面的な表現が強くなる。作曲者自身、「闇夜の林を独り騎馬で駆け抜けていく普通の人の、内面的な(個人的で霊的な)経験が表現されている」と述べていたそうだ(ウィキペディアより)。そして、喉の腫瘍の手術を経て、さらに内面へ向かう第4交響曲。その暗闇から抜けだしたかのような第5交響曲。作曲家にとって、作品は人生を表すものなのだろうかと考えてしまう。

 私自身、今、夜明けを待っているような状態にある。暗い闇の中にいるが、夜明けの時刻はいつなのか、むしろ今の時刻すらもわからない。いつか夜は明けるだろうか。いや、明けるはず。明けない夜はない。そう思いながら、この曲を聴いている。

 聴いているのは以前「シベリウス誕生日記念、管弦楽曲特集」で書いたN.ヤルヴィ&エーテボリ響のほかに、A.ドラティ&ロンドンフィル、K.ザンデルリンク&ベルリン交響楽団も。ドラティ&ロンドンフィルは弦の美しさ、ザンデルリンク&ベルリン交響楽団はホルンの神々しさが聴きどころかな?

 ニコニコ動画にこの曲がアップされているので、聴いたことのない方は是非どうぞ。YouTubeにもあるのですが、YouTubeでは2分割になってしまっていて聴きづらい。

ホルシト・シュタイン指揮、スイス・ロマンド管弦楽団。
by halca-kaukana057 | 2009-09-25 22:17 | 音楽

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by 遼 (はるか)
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