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物語を語るように、楽譜を読み解く 「樅の木」譜読み中

 シベリウス「樅の木」op.75-5の譜読みを少しずつ進めている。

・以前の記事(「樅の木」に取り組むことにしたきっかけと、決意表明):「わからない」と放り投げる前に

 約1年前は指が届いてもぎりぎりで辛い、指使いがよくわからない、音を読むのが大変…とすぐに諦めてしまったのですが、今回はなぜか続いています。「演奏すること」ではなく、あくまで「譜読みしてわからないことを無くすこと」を目標にしているからだろうか。

 今は譜読みするのがとても面白い!気づくこと、発見することは沢山。CDなどで演奏を聴いて、「こんな曲だ」とわかってはいる。でも、譜読みをするとさらに「樅の木」の魅力に気づいて、ますます好きになった。アルペジオの部分も音を読んでみて、あの嵐もこんな一つ一つの音から構成されていたんだと思うと、構えていた気持ちが少しほぐれる。音の塊になっていると沢山の情報が一気に頭の中になだれ込んできて圧倒され、難しい!と感じるけど、一つ一つに分けてほぐしてみると「こうなっていたのか」と冷静に、親しみをもって音をなぞることが出来る。自分の指でそれを奏でることは置いておいて、曲に対して感じていたことを譜読みしながら整理する。そして曲を読み解いて、構成や曲の流れ等を確認する。そこから、なぜ自分がこの作品に惹かれ続けているのか…わかると思う。実際、ずーんと響く低音が作る静けさ、奥深さがこの作品の魅力だと思っているが、そのカギになるんじゃないかと思う音・メロディーはこれかな?と楽譜を見ながら考えている。

 譜読みがこんなに面白いものだと、今まで知らずにいた。今まで譜読みは演奏するためにしなくてはならないものと考えていた。不可欠なんだけど、正直面倒。私は楽譜を読むのが本当に遅くて鈍い。楽譜に対して苦手意識を持っていた。オーケストラのスコアを読めたらいいなぁと思ったことが以前あったが、ピアノの楽譜もロクに読めないのに、オケのスコアなんて…と思っていた。ところが、今「樅の木」を譜読みしていて、楽譜には大切なことが、面白いことが沢山隠れているんだと実感した。本を音読する時、ただ文章をそのまま読むのでは味気ない。でも、その本をじっくり読んで、登場人物のキャラクターや声色、彼らの感情やその変化、場面の雰囲気やそれを表すもの、物語の山場などを考えて、語るように音読するとただ読むのとは全く違う作品に思えてくる。実は私は、昔子どもを対象に読み聞かせをしていたことがあって、読み聞かせをする時はそうやって作品を読み込んで、何度も練習して読み聞かせをしていた。どんなに面白い作品でも、作品の読み込みと練習が足りないと、子どもたちは話を聞こうとしない。でも、作品を読み込んで山場で声色を変えてみたり、本のページのめくり方を工夫すると、子どもたちは物語に夢中になる。読んで聞かせていると言うよりも、一緒にその本を楽しんでいるような気持ちになった。本当に楽しかった。

 楽譜はその作品の根幹となるもの。なくてはならないもの。だから、しっかりと読み込んで大切にしなければ。絵本を読み聞かせするように、ピアノにも取り組もう。

 …つか、読み聞かせと楽譜・ピアノの関係にもっと早くに気づくべきだった…。読み聞かせの経験があるのに、それを思い出さないなんて、気が付かないなんて…orz


 それと、「樅の木」に取り組むにあたって、もうひとつ感じたことがある。

 時々、他のピアノ関係ブログ・サイトを覗くと、劣等感を感じる。その進度の速さや挑戦意欲の高さ、練習している作品の難易度に圧倒されて、自分を見失ってしまう。弾きたい曲を弾いている人がいても、自分にはまだ無理、そんなレベルじゃない、と。軽々と譜読みして、演奏しているのを見ると、焦りと悔しさとため息ばかりが募っていった。ピアノへの意欲が薄れていくこともあった。自分には、しっかりとした基礎も技巧も、不可能を可能にするような強いモチベーションもない。

 そんな中で、自分は何を大事にして演奏したいかを考えるようになった。私に技巧はない。技巧が追いつかないんだったら、その作品の背景や込められたもの、自分なりの表現を大切にしたいと思った。そうやって考えて、「この鍵盤の向こう側」の記事に至った。だが、この自分なりの答えを出しても、劣等感や焦り、ため息は消えなかった。消えなかった理由は、ロクに譜読みもせず、「自分にはまだムリ」と挑戦する前から諦めていた自分のままだったからだ。私にとって「弾けることがゴールじゃない」のであれば、それを実践して自分で確かめるべきだった。

 今、私は「この鍵盤の向こう側」で書いたことを、「樅の木」の譜読みで実践している。この「樅の木」だけは、どんなに時間がかかっても焦らず諦めず、他者と比べず、取り組むと決めている。この作品だけは、自分が今まで感じてきた劣等感や、周りのペースから守り抜いて、自分の力で形にするんだ。私にとって「樅の木」は、だれが何と言おうと特別な作品だ。自分のペースで、「樅の木」への道を模索して進もう。
by halca-kaukana057 | 2009-11-16 21:16 | 奏でること・うたうこと

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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