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シューマンの二面性 ピアノソナタ第1番

 今年はシューマンイヤーということで、シューマン作品をいつも以上に聴きまくります。よく聴いているピアノ曲は勿論のこと、交響曲・管弦楽曲、協奏曲、室内楽、声楽…よく考えてみるとシューマンの作品の幅は結構広い。ただ、ある時期はピアノ曲、またある時期は歌曲、とひとつのジャンルを一時期で集中して作曲している。シューマンの「こだわり」「凝り性」の表れであるとも言えるし、それだけ集中力・作品を追求する気持ちがあったんだろうとも伺える。ということで、シューマンの作品は幅広くて、まだ親しめていない作品・ジャンルも少なくない。

 私は時折、短調作品が無性に聴きたいと思うことがある。シューマンでも同じだ。しかし、ここでよく考えてみるとシューマンの短調作品って何だっけ?ピアノ協奏曲がイ短調。交響曲第4番がニ短調。ピアノ作品は小品集に短調作品が紛れ込んでいる。私のシューマンのイメージは、短調よりも長調。と言っても「子供の情景」の「見知らぬ国々と人々」のような陽気な明るい、朗らかでのびのびとした長調だけでなく、明るいんだけどどこか狂気を感じる、朗らかで優しいんだけどどこか憂いを感じる。そんな二面性のある長調が多いような気がする。いわゆる"オイゼビウス"と"フロレスタン"のような。

 前置きがかなり長くなりましたが、そんなこんなで選んだ短調作品が、「ピアノソナタ第1番」嬰へ短調 op.11.
 この作品も二面性のある作品だなぁと思う。ほの暗い第1楽章の序章からはじまり、感情の起伏の激しい第1主題。短調と長調が交錯する。穏やかになったり、思いの丈をぶつけるようなメロディーになったり。第2楽章はゆっくりとしたアリア。瞑想するような音楽の中に、暗がりへ沈むような低音…。第3楽章はスケルツォ。でも中間部にはポロネーズ風のメロディーも出てくる。そして第4楽章はロンドだけど、いろいろな要素が次々と出てきて、幻想的な音楽の森に迷い込んだかのよう。華やかだけれども、やっぱり陰影を感じる。

 シューマン自身、この作品を自己批判しているそうだ。確かに、ソナタと思うと不思議な曲だ。でも、シューマンの作品と思うと、これもありだと思う。シューマンのピアノ作品はソナタのようなかっちりとした枠があるものよりも、「謝肉祭」や「クライスレリアーナ」、「子供の情景」「森の情景」などの小品集ものか、「幻想曲」のような型にはまらない大規模な作品のほうが音楽への自由を感じられていいなぁと思う。勿論、このピアノソナタ第1番も好きだ。枠の中でどれだけ自由にやれるかを模索している様を、シューマンの二面性、多面性を感じられるところが。

 様々なことを考えて頭の中が混乱している時、感情の起伏が激しくなっている時、この曲を聴きたいと思うのです。


 聴いたのはポリーニ盤と、アンスネス盤。どちらもおすすめです。
by halca-kaukana057 | 2010-01-06 23:07 | 音楽

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by 遼 (はるか)
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