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マイマイ新子

 昨年、アニメ映画化された作品の原作です。映画は観ていませんが気になっているので、まずは原作を読んでみた。


マイマイ新子
高樹のぶ子/新潮社・新潮文庫

 時は昭和30年、1950年。周防の国の国衙に暮らす青木新子(しんこ)は、9歳、小学3年生の女の子。感情が昂ったり、考え込んだりすると額の上にある「マイマイ」と呼んでいるつむじの前髪が跳ね上がる。大好きな祖父の小太郎や妹の光子、転校生の貴伊子(きいこ)他の友達と、新しい発見や冒険に溢れる毎日を描いています。

 昭和30年という年を、私は知らない。生まれていない。このあたりの時代を描いた映画や小説、漫画はあるけれども、あまり観る事も読むことも無い。どうも自分には関係のない世界だと感じてしまっている。両親は生きていた時代だが、地方が違うので全く同じとは言えない。それ以上に、「昔はよかった」という雰囲気がどうも苦手だった。もう体験することが出来ない、「知る」ことしか出来ない、過ぎ去ってしまった時代のことを「よかった」と言われても、後の時代を生きる私はどうすることも出来ないから。

 この「マイマイ新子」もそんな作品なのかなと思った。しかし、読んでいて私も新子と一緒にワクワクドキドキの日々を過ごしているかのようだった。小太郎の話してくれる不思議で面白い体験談。国衙を流れる「直角の川」の秘密。大学の先生をしている父・東介が教えてくれる自然のこと。貴伊子との出会いと、他の友達との友情。子どもの世の中への素直な疑問と、大人の世界を垣間見た時の言葉にできない想い。子どもの頃に体験することは、時代によって異なる。今の時代、新子と男子の友人たちが洞窟探検をしたり、「カタキウチ」をしに殴りこみに行くなんてことはあまりできないと思う。でも、その根底にある想いは変わらないのかもしれないと、読んでいて思った。素朴な疑問を抱き、それに対して必死に答えを出そうとするところ。また、大人の世界を垣間見て、疑問やもどかしさ、切なさを感じたり。そして、家族への想い。大好きだけれども、けんかもする。楽しいことも、言葉にできないような難しいことも、不安も辛いことも、経験して成長してゆく。勿論、成長の過程は皆異なるが、根底にある要素に共通点はあるのかもしれないなと感じました。

 自分がどうやって成長してきたのか、振り返りたくなりました。いい思い出だけではないけれども、それも含めて、今の私にどう繋がっているのかを確かめてみたい。

 映画公式サイトはこちら:「マイマイ新子と千年の魔法」公式サイト
 早くDVD化しないかな。
by halca-kaukana057 | 2010-02-28 22:20 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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