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星と半月の海

 久々に川端裕人さんの作品を。

星と半月の海
川端裕人/講談社・講談社文庫/2010(単行本は2006)

 生き物・動物に関わる短編が6作品収録されています。動物園でペンギンの飼育員をしている「ぼく」が、ある一枚の古い写真から絶滅した"本物のペンギン"オオウミガラスの最後をたどる「みっともないけど本物のペンギン」。獣医でジンベイザメを専門に診ているリョウコが、オーストラリアの海でかつて水族館で飼育していたジンベエザメのことを想い、とある光景を目にする「星と半月の海」。古生物学者である野火止が、恐竜展でティラノサウルスの名前にまつわる複雑な歴史と、研究対象である古生物・恐竜に対する想いに揺れ動く「ティラノサウルスの名前」など、動物の魅力とそれに関わる人々の想いが伺える短編集です。

 読んで、一言。面白かった。前にも書いたが、私は、あまり動物には詳しくない。動物園や水族館では、彼らの生態にも興味を持つが、やっぱり「可愛い」が先に口に出てしまう。そんな私にとって、動物たちの様々な面を見せてくれたこの作品は、素直に面白かった。

 「みっともないけど本物のペンギン」では「川の名前」、動物園でのパンダの飼育に関する「パンダが街にやってくる」では「動物園にできること」、「ティラノサウルスの名前」では「竜とわれらの時代」など、川端さんの以前の作品とのつながりも見えて面白い。それらつながりのある作品では、以前に読んだ時に感じたことを思い出しながら読み、動物園の展示や飼育などについてまた考える機会になった。また、6作品は個々に異なる作品ではなく、主人公が同じだったり、別の作品で脇役だった人物が主人公になったり、他の作品の登場人物が出てきたりと6作品が関連性を持っているのも面白い。生き物たちが、自然の中(生態系)でつながりを保って命を、種を保っているのと同じような。特に、最後の「墓の中に生きている」では、それまでの5作品と合わせて、生命のつながりを感じずにはいられなかった。

 生き物を見つめることで、自分自身も、生命全体も見つめることになる。生き物(自分自身も含めて)って不思議なものだなぁと感じます。

 ちなみに、川端さんの最新作「算数宇宙の冒険」も読んだのですが、途中でギブアップしてしまいました…。展開の速さと話の複雑さに、頭がクラクラ…。機会をみて、再挑戦したいと思います。


【関連過去記事】
竜とわれらの時代
川の名前
動物園にできること
by halca-kaukana057 | 2010-05-08 22:42 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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