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南極料理人

 久々に映画DVDを借りてきた。店頭で何となく気になった。きっかけはそれだけでした。


南極料理人 [DVD]
出演:堺雅人,生瀬勝久,きたろう,高良健吾,豊原功補/監督・脚本:沖田修一/バンダイビジュアル/2010


 1997年、南極観測隊の調理担当として、海上保安庁より派遣された西村。西村は7人の観測隊員と、南極大陸沿岸にある昭和基地よりも1000kmも内陸に入った「ドームふじ基地」で約1年間暮らすことになる。標高3800m,年平均気温-45度。ウィルスさえも生存できない過酷な環境で、西村はご飯を作り、食べ、隊員たちと暮らしてゆく…。


 実際に南極観測隊で調理を担当していた、西村淳さんのエッセイ「面白南極料理人」が原作。その本のことは知っていましたが、原作はまだ読んでいません。南極観測隊に関する知識もあまりありません。なので、先入観も前もっての情報も全く無しで観ました。

 とにかく面白かった!上記あらすじを読むと、シリアスな映画のように思われるかもしれませんが、基本はコメディ。とにかく笑えます。西村を含む8人の隊員たちの、南極ドタバタライフ。研究者は気象や雪氷の観測・調査をして、その他医療や通信、車両担当者はその仕事をする。また、雪の塊から水を作る。水は貴重な資源なので、無駄遣いは禁物。外は全てのものが凍ってしまう酷寒の世界。極夜の時期を迎えれば、一日のほとんどの時間は闇に覆われる…。そんな厳しい環境で、くじけてしまうこともある。離れて暮らす家族や恋人のことを思って、寂しさに襲われることもある。けれども、隊員たちは麻雀や雪上野球に興じたり、誕生日を祝ったりして楽しんでいる。毎日のちょっとした出来事を楽しんでいる姿が、とてもさわやかでコミカルだ。何度腹を抱えて笑ったことか。こんなに笑った映画は久しぶりに観た。

 そして、西村の作る毎日のご飯。南極の基地で食べるご飯は、宇宙食のようなものかと思っていた。基本は冷凍品、缶詰、乾物。でも火が使えるので、煮たり焼いたりの調理はできる。そんな食材を駆使して、西村の作る料理の美味しそうなことといったら…!!仕事の昼ごはんに食べるおにぎりと、湯気が立ち上る豚汁の温かさ。刺身や中華料理もある。また、冬至にあたる「ミッドウィンター祭」では、スーツでワインつきの高級料理を味わう。前の隊員が残していった伊勢えびをどう料理するかで揉め、その結果には…これまた爆笑。この映画の料理に関しては、フードスタイリストの飯島奈美さんが監修。あの「かもめ食堂」の料理も監修された方です。通りで美味しそうに見えるわけだ。納得です。

 食に対する隊員たちの情熱がものすごい。昼ごはんの時間、我先にと雪原を走っていく姿や、猛烈な勢いで中華料理をほおばる姿。そして、任期途中で無くなってしまったある食材で、隊員たちの心が乱れてしまうのも。日本で普通に生活していれば、スーパーやコンビニに行けば食べ物はすぐ手に入る。しかし、南極の、しかも沿岸から離れた「ドームふじ基地」ではそうはいかない。無くなってしまったらそれで終わり。人間、食べ物への情熱というか、執念には恐ろしいものがあると実感しました…。それでも、精一杯仕事をして、美味しいご飯を食べ、また元気を出して働き、生きる。それは、日本でも、南極でも、さらに南極と同じような厳しい環境である宇宙でも変わらないのではないかと感じました(それゆえ、宇宙食も「宇宙日本食」のような美味しくてバラエティに富んだものになってきていますし)。「おいしいものを食べると、元気が出るでしょ」という西村の言葉は、どこへ行っても変わらないのだろう。美味しいものの力は偉大です。

 8人の隊員たちも個性的で、観れば観るほど魅力的です。一見髪はボサボサ、髭も伸びっぱなしのおじさんたちですが、極地での仕事・観測・研究にいそしみ、時に子どものように無邪気にはしゃぐ姿は素敵です。調理担当が主人公なので、料理のシーンが多いのは仕方ないですが、氷柱のボーリング調査のシーンに釘付けになってしまいました。これで大昔の地球の環境がわかるのだなぁ…と。基地のあちこちに張ってある注意書きにも注目です。だが、元気なことばかりじゃない。心が折れる時もある。それでも、任期が終わるまで帰れない。人間の強さ、たくましさも感じました。冒頭の、「お前が強くなるしかねえんだよ!」という言葉が胸に響きました。ただ、この言葉は別の意味も含んでいるのですが…w

 何だかんだと書きましたが、言葉で説明するより、観たほうが早いです。笑えます、泣けます、お腹がすきます。ただ、空腹時や、夜、特に夕食後に観るのはオススメはできません。危険です。お腹が減って、精神衛生上よくないです。私も観ている間、お腹が減ってお菓子を食べずにはいられませんでした。


映画「南極料理人」オフィシャルサイト
ほぼ日刊イトイ新聞:堺雅人さんと、満腹ごはん
 西村役の堺雅人さんと糸井重里さんの対談。プラス、飯島奈美さんと同じくフードスタイリング担当の榑谷孝子さんが美味しい料理でおもてなし。
by halca-kaukana057 | 2010-05-10 22:56 | 興味を持ったものいろいろ

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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