2010年 06月 11日
帝政ローマの鮮やかな文化 「古代ローマの遺産」展
先日、またしても青森県立美術館へ行ってきました。お目当ては現在開催中の特別展「古代ローマ帝国の遺産 -栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ」。古代ローマ帝国を創建した皇帝アウグストゥスの時代を中心に、彫刻や壁画、工芸品などから当時の政治や文化に触れようという企画展です。
◇青森県立美術館:古代ローマ帝国の遺産 -栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ
美術館の看板。
この独特の白い建物…いつ見ても素敵です。惹かれます。
古代ローマについては、高校の時世界史で学んだ程度の知識しかありません。その高校の時に使った世界史の資料集はちゃんと本棚にあるのですが、特に予習(復習?)もせず、行きました。それでも、圧巻でした。
まず、彫刻。皇帝アウグストゥスの胸像と座像がありますが、その様式はそれまでのローマ(共和政)の伝統的なものではなく、ギリシアの様式も取り入れたものだったそう。それまでの共和政とは違う国・政治を創ろうとしたアウグストゥス。その想いを、自身の像の様式にも反映させていたのです。ひとつの国を作ろうとする強い意志を感じます。座像がとにかくかっこよかったです。また、中学高校と美術部だったのですが、胸像を観て「デッサンやったな~」と当時を思い出していましたw実際、スケッチブックと鉛筆があればスケッチしていたかもしれませんw(下手ですがwwwそれ以前に何十分も像の前に立ってスケッチするのは邪魔ですね…)
次に観たのが、西暦79年、ヴェスヴィオ火山の噴火で火山灰に埋もれてしまったポンペイの街から出土した遺産の数々。なんといっても見どころは、ポンペイの邸宅のひとつである通称「黄金の腕輪の家」の、モザイク壁画。噴水のある食堂の、青いガラスと貝殻で装飾された美しいモザイク。近づいて見ると、本当に貝殻が何個も使われているのです。このモザイクに使うために、浜辺で貝殻を拾ってきたのかなと思うと、ちょっと微笑ましいです。また、その隣にある「庭園の風景」フレスコ画。庭の緑と鳥たちが活き活きと描かれています。実際、ローマ・ポンペイの街にはこんな美しい緑の草木が生い茂り、鳥たちが飛んでいたのだろう。それを、邸宅の壁画にしてしまった。自然を愛していたのだろうなと思います。
そして、それ以上に、この壁画・モザイクが一般家庭の邸宅の壁画であることに驚きました。身分の高い家なのかもしれませんが、個人の家。個人の家に、こんな美しい壁画が描かれていたなんて!帝政ローマの文化の高さと豊かさ、人々が豊かな文化を楽しみ、愛していた様が伺えます。いかに帝政ローマが豊かで、文化を大切にしていた国家であったかも伺えます。凄いです。そして、火山の噴火という自然災害が、逆に豊かな文化遺産を現代にまで遺してくれていたことも驚きです。その時、尊い沢山の命が奪われてしまったことも事実ですが…。美しさ、鮮やかさの奥に、災害の哀しさ、容赦ない残酷さも含まれている。複雑な想いです。
古代ローマといえば、神話も有名です。神話をモチーフにしたフレスコ画も多いです。ローマ神話とギリシア神話は、その名前は違えど神々は同じものをさしていることが多いです。例えば、大神ユーピテル(ジュピター)は、ギリシアではゼウス。愛と美の女神ウェヌス(ビーナス)は、ギリシアではアプロディーテー。しかし、同じ神をさしていても、その意味合いが違うのだそうです。また、古代ローマ独自の神々も存在し、その神々の加護を得ようとお守りを身に付ける習慣もあったのだそう。場所も時代も異なるので、意味合いも違う。なるほど勉強になりました。
特に眼を引くのが、「アレッツォのミネルウァ」像。ローマ神話では技芸の女神ですが、ギリシア神話のアテナと結びついて戦いの女神ともなりました。そのため、このミネルウァ像は鎧を着て、兜をかぶっています。胸には、怪物メデューサの顔がバッヂのように付いている。メデューサを倒した…と解説には書いてあったが、メデューサを倒したのは勇者ペルセウスでは?(「ペルセウス座」の神話から)。ペルセウスはアテナの助けを得てメデューサを倒したからか。星座の神話を復習しつつ見れました。ちなみに、ミネルウァ(ミネルヴァ)と言えば、もうすぐ帰還の小惑星探査機「はやぶさ」で、小惑星イトカワ表面を探査するために搭載された小型ローバーと連想するのは私だけではないはずです。
装飾品のゾーンも、ヨーロッパ各地の鉱山から採取された金などで作られた装飾品や金貨が展示してありました。金貨の発掘場所が居酒屋と書いてあって、当時の生活ぶりを想像せずにはいられませんでした。今も昔も、酒場で飲みつつ、人々が色々な話をしているのには変わりは無いようです。2000年も昔から変わっていない酒場文化…滑稽ですwさらに、帝政ローマは水道技術に長けていましたが、水道の弁も展示されていました。「黄金の腕輪の家」の食堂にも噴水がありましたし、街には公衆浴場も多くあったそう。帝政ローマの人々の豊かさは、治水のおかげもあったのだと感じました。
2000年も前に、こんな豊かな、活き活きとした文化、人々の暮らしがあったなんて。本当に驚きでいっぱいでした。
お土産に絵葉書を。「庭園の風景」に描かれている、鳥たちが好きです。気に入りました。
◇青森県立美術館:古代ローマ帝国の遺産 -栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ
美術館の看板。
この独特の白い建物…いつ見ても素敵です。惹かれます。
古代ローマについては、高校の時世界史で学んだ程度の知識しかありません。その高校の時に使った世界史の資料集はちゃんと本棚にあるのですが、特に予習(復習?)もせず、行きました。それでも、圧巻でした。
まず、彫刻。皇帝アウグストゥスの胸像と座像がありますが、その様式はそれまでのローマ(共和政)の伝統的なものではなく、ギリシアの様式も取り入れたものだったそう。それまでの共和政とは違う国・政治を創ろうとしたアウグストゥス。その想いを、自身の像の様式にも反映させていたのです。ひとつの国を作ろうとする強い意志を感じます。座像がとにかくかっこよかったです。また、中学高校と美術部だったのですが、胸像を観て「デッサンやったな~」と当時を思い出していましたw実際、スケッチブックと鉛筆があればスケッチしていたかもしれませんw(下手ですがwwwそれ以前に何十分も像の前に立ってスケッチするのは邪魔ですね…)
次に観たのが、西暦79年、ヴェスヴィオ火山の噴火で火山灰に埋もれてしまったポンペイの街から出土した遺産の数々。なんといっても見どころは、ポンペイの邸宅のひとつである通称「黄金の腕輪の家」の、モザイク壁画。噴水のある食堂の、青いガラスと貝殻で装飾された美しいモザイク。近づいて見ると、本当に貝殻が何個も使われているのです。このモザイクに使うために、浜辺で貝殻を拾ってきたのかなと思うと、ちょっと微笑ましいです。また、その隣にある「庭園の風景」フレスコ画。庭の緑と鳥たちが活き活きと描かれています。実際、ローマ・ポンペイの街にはこんな美しい緑の草木が生い茂り、鳥たちが飛んでいたのだろう。それを、邸宅の壁画にしてしまった。自然を愛していたのだろうなと思います。
そして、それ以上に、この壁画・モザイクが一般家庭の邸宅の壁画であることに驚きました。身分の高い家なのかもしれませんが、個人の家。個人の家に、こんな美しい壁画が描かれていたなんて!帝政ローマの文化の高さと豊かさ、人々が豊かな文化を楽しみ、愛していた様が伺えます。いかに帝政ローマが豊かで、文化を大切にしていた国家であったかも伺えます。凄いです。そして、火山の噴火という自然災害が、逆に豊かな文化遺産を現代にまで遺してくれていたことも驚きです。その時、尊い沢山の命が奪われてしまったことも事実ですが…。美しさ、鮮やかさの奥に、災害の哀しさ、容赦ない残酷さも含まれている。複雑な想いです。
古代ローマといえば、神話も有名です。神話をモチーフにしたフレスコ画も多いです。ローマ神話とギリシア神話は、その名前は違えど神々は同じものをさしていることが多いです。例えば、大神ユーピテル(ジュピター)は、ギリシアではゼウス。愛と美の女神ウェヌス(ビーナス)は、ギリシアではアプロディーテー。しかし、同じ神をさしていても、その意味合いが違うのだそうです。また、古代ローマ独自の神々も存在し、その神々の加護を得ようとお守りを身に付ける習慣もあったのだそう。場所も時代も異なるので、意味合いも違う。なるほど勉強になりました。
特に眼を引くのが、「アレッツォのミネルウァ」像。ローマ神話では技芸の女神ですが、ギリシア神話のアテナと結びついて戦いの女神ともなりました。そのため、このミネルウァ像は鎧を着て、兜をかぶっています。胸には、怪物メデューサの顔がバッヂのように付いている。メデューサを倒した…と解説には書いてあったが、メデューサを倒したのは勇者ペルセウスでは?(「ペルセウス座」の神話から)。ペルセウスはアテナの助けを得てメデューサを倒したからか。星座の神話を復習しつつ見れました。ちなみに、ミネルウァ(ミネルヴァ)と言えば、もうすぐ帰還の小惑星探査機「はやぶさ」で、小惑星イトカワ表面を探査するために搭載された小型ローバーと連想するのは私だけではないはずです。
装飾品のゾーンも、ヨーロッパ各地の鉱山から採取された金などで作られた装飾品や金貨が展示してありました。金貨の発掘場所が居酒屋と書いてあって、当時の生活ぶりを想像せずにはいられませんでした。今も昔も、酒場で飲みつつ、人々が色々な話をしているのには変わりは無いようです。2000年も昔から変わっていない酒場文化…滑稽ですwさらに、帝政ローマは水道技術に長けていましたが、水道の弁も展示されていました。「黄金の腕輪の家」の食堂にも噴水がありましたし、街には公衆浴場も多くあったそう。帝政ローマの人々の豊かさは、治水のおかげもあったのだと感じました。
2000年も前に、こんな豊かな、活き活きとした文化、人々の暮らしがあったなんて。本当に驚きでいっぱいでした。
お土産に絵葉書を。「庭園の風景」に描かれている、鳥たちが好きです。気に入りました。
by halca-kaukana057
| 2010-06-11 23:43
| 興味を持ったものいろいろ