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本屋の森のあかり 7

 書店員漫画「本屋の森のあかり」7巻出ました。出たのはもう10日も前ですが…(汗

本屋の森のあかり 7
磯谷友紀/講談社・講談社コミックスKiss/2010

 ぎっくり腰で10日間休み、職場である本屋に戻ってきたあかり。チーフを務める雑誌売り場では、緑が発案した週変わりフェアが始まっていた。週ごとにテーマを決めて本を選び、在庫を確保し、並べ、次の準備をしつつ前のを片付けて…とかなりハードな内容。あかりは週変わりではきつ過ぎると緑に言うが、緑は週変わりのペースは断固として変えないと言う。その緑に対して、あかりは自分をもっと信頼して欲しいと本音を…

 冒頭の32話は、寺田寅彦の「柿の種」が取り上げられています。おお、寺田寅彦!科学エッセイとしても面白いですし、15ページであかりが寅彦の文章に惹かれているシーンがありますが、文章そのものも面白い。科学エッセイなら、「雪は天からの手紙」の"雪の科学者"中谷宇吉郎や、天文学者(てん・ぶんがくしゃ)の野尻抱影のエッセイもいいです、大好きです。海外なら、やはりリチャード・P・ファインマンの「ファインマンさん」シリーズ。痛快です。

 話を漫画のストーリーに戻して、あかりと緑の意見の対立、そして飲みながら仕事について話すシーンはなるほどと思う。緑のようにバリバリ仕事するのもあり。あかりのように多くの人に本を読む機会を、書店員として作り続けていきたいというのもあり。書店を利用する側としては、本と出会うチャンスを作り続けていって欲しいなぁと感じます。本とはちょっと話題がそれますが、先日、大型音楽ショップHMVの主要な店舗が閉鎖されると聞きました。近隣に大型音楽ショップがないので、クラシックCDは大体ネットで買っています。店頭にはまず、メジャーなものしかないので…。でも、偶然気になっていたCDや、店頭で見て気になったCD、さらには掘り出し物に出会え購入できるのは、ネットショップではなかなかできない。直接手に取って、ジャケットやそのデザインもじっくり見て買えるのもいい。本でも同じことが言える。特に本の場合は、中身を開いて少し読むこともできるので、実物を手に取ってから買うことの「重み」が増す。そうして、出会えた本は読む時も思い入れが違う。書店員さんの工夫と苦労に感謝しています。

 一方後半は東京本店。寺山に転機が訪れます。34・35話で、書店員…というよりはサービス業全体での苦労が伺える話が。私も書店ではないですが、サービス業のバイトで、耐えるしかない状況に立たされたことが何度もあった。店ではモノを売っている。モノを買うお客さんはレジでの行動やお金の渡し方などから、モノだけ買えればいいという態度でいる人も結構いる(それが「悪い」とは言いません)。店員に対しての感謝の態度が表れている人もいるし、色々と尋ねて、頼りにしてくれる人もいる。しかし一方で、寺山とあかりが遭遇した「悪意」を持った人もいる。本当に、これは耐えるしかない。どうしようもない。そのことを思い出して、ため息をついてしまった。

 そして36・37話。寺山に転機が。誰かと一緒に、仕事をするってどういうことだろうと、考えてしまいました。私も、どちらかというと寺山に近いです。書店員は本というものだけに詳しくなり、本だけを扱えばいいのではない。共に仕事をする人々のことにも眼を配り、詳しくならなければならない。これは、書店だけではなくどんな業種でも言えること。でも、私も寺山と同じく、共に仕事をしている上司や後輩のことを見れて、わかっているだろうか…と考え込んでしまいました。

 さて、寺山が今後どうなるのか、気になります。そして、あかり、寺山、緑、潮見さんの関係も。
by halca-kaukana057 | 2010-06-22 22:58 | 本・読書

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by 遼 (はるか)
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