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Sweep!! 3 (最終巻)

 お待たせしました。待ってました。カーリングシーズン真っ盛りに、カーリング漫画「Sweep!!」3巻です。そして、最終巻、完結です。


Sweep!! 3
小橋ちず/幻冬舎・幻冬舎コミックス・バーズコミックス/2011

 里子たち見並チームは4人の気持ちを受け止めあい、作戦を練り、恵介率いる紀田チームとの後半戦へ。前半里子たちの息が合っていなかったため攻め込まれたが、このままでは負けられないと気合を入れる4人。亜由美とまつりも、英子のアドバイスどおりにショット、波に乗り始める。これまでボロボロだった見並チームが、紀田チームと互角の戦いをしている。と、そこへ、恵介が里子に近づき、ある提案をする。見並チームのスキップは英子だが、里子がスキップをやってみてはどうか、と…。


 まず、この表紙を。笑顔の4人。書店でこの本を手に取り、表紙を見たとたん、とても嬉しくなりました。2巻でこれまで全くのカーリング入門者だった4人が、恵介のアドバイスで徐々にコツやゲームの流れの読み方を覚えていった。その恵介が、実は紀田チームのメンバーだった。恵介とはいとこ同士である英子も知らずにいた。しかし、4人がそれぞれの想いを打ち明けあい、チームを立て直す。亜由美とまつりのセリフにもありましたが、英子はちょっと離れた場所にいるような感じだったのに、ちゃんと見ていた、つまり、4人でチームであることをしっかりと意識していたのです。

 亜由美やまつりと共にカーリング入門者だった里子。しかし、家が風呂屋で滑る床に慣れているせいか、ショットの精度は抜群。さらに、囲碁が得意で戦況を読むのも得意。ひとり浮いていた英子にも当たり前のように声をかけ、困った状況になっても落ち着いて行動し、マイペースなようでチームをまとめている。そんな仙人のような、何かを悟ったような里子ですが、この3巻ではこれまで描かれなかった(描かれてはいたがあまり表には出さなかった)里子の一面も見え始めます。落ち着いてはいるものの、第14話のように、動揺する場面も。とはいっても、13話のように周りの考えすぎ(…。)もあるのですが。

 試合のシーンには思わず興奮してしまいました。脳内でストーンのぶつかる音が再生されたり。里子にしろ、恵介にしろショットのシーンの迫力に惹き込まれました。特に、最終ショットのシーンは。

 そして、試合終了。恵介の裏で動いていたものは、丸く収まったようですw恵介も、実は素直でいい子でした。 最終話、いつもの日常へ。でも、これまでとは異なる日常。確実にやってくる未来に、進もうとするが、そこでまた里子がいつもと違った面を。1巻冒頭でもそんな面がちらりと見えていたのですが、里子もまだ高校生。何かを悟っているように見えても、その内面はまだ成長過程にある。変わりゆくもの、変わらないもの、変わっていないようにみえるもの。その里子が一歩を踏み出す瞬間が、とても清々しかったです。カーリングを通して、4人はチームとして、そして個々人も成長した。自分では変わっていないように見えても、奥底で何かが小さくでも変わり始めている。その小さな変化に、里子が気づいた、言葉に出した瞬間が、これまでの里子とは違うなと感じました。里子は本当に不思議な、魅力的な女の子です。

 そしてラスト。そう来ましたか。こんな日が、いつか来るといいなと思います。昨年のオリンピック以後、日本女子カーリング界には大きな変化が次々と起こっています。それが日本カーリングの更なる飛躍になればと思っています。女子だけでなく、男子もがんばれーっ!恵介のように。

 今回も、読み終わったらカバーを外して見てください。読み終わってからです。読む前に外しちゃいけません!!

 短かったですが、カーリングの面白さを味わえるいい作品でした。この冬、まだカーリング場に行ってないや。行って、観戦してこよう。

【これまでの感想】
Sweep!! 2
Sweep!! 1

【関連リンク】
作者の小橋ちず先生のtwitter:小橋ちず(@kohasichizu)
by halca-kaukana057 | 2011-01-30 22:54 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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