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飛べ!「はやぶさ」 小惑星探査機60億キロ奇跡の大冒険

 小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」帰還1周年で読んでいた本です。多種多様な「はやぶさ」本が出版されていますが、この本は児童書・小学生中学年以上向けです。大人もじっくり読めると思います。


飛べ!「はやぶさ」 小惑星探査機60億キロ奇跡の大冒険 (科学ノンフィクション)
松浦 晋也/学研/2011

 「恐るべき旅路」「スペースシャトルの落日」などの宇宙開発関連ノンフィクションでお馴染みの松浦晋也さんによる「はやぶさ」本です。松浦さんは「はやぶさ」についてはとても熱心に取材されており、その内容は松浦さんのブログにも記録されています。2005年のタッチダウン時には、公式発表よりも松浦さんのブログの方が速い、とアクセスが殺到したそう。また、後継機である「はやぶさ2」の実現へ向けても、熱心に取材、実現へ向けて声を届けようとブログで呼びかけてもいました(私も参加しました)。熱心に「はやぶさ」を取材、見守り続けてきた松浦さんが、どう「はやぶさ」について書くのか。しかも児童書で。読む前から気になっていました。

 この本の帯に、「小中学生のための宇宙工学入門!」「長い長い”はじめてのおつかい”の全記録」、帯の裏には「宇宙と探査機のひみつがよくわかる」とあります。「はやぶさ」に関する本(単行本、ムック、新書、児童書などなど)はもう何冊出ているのか数え切れませんが、それぞれ、様々な切り口から「はやぶさ」とその旅路について描いています。この松浦さんの「はやぶさ」本は、帯にある通り、「宇宙工学」「宇宙と探査機のひみつ」を中心に描いています。

 私が子どもの時よりも、宇宙や天文学、宇宙開発に関する本は一気に増え、内容も大分変わりました。つまり、それだけ、宇宙の研究・探査が進んだということ。宇宙に対する表現方法も、変わってきた、多様化してきたとも言える。もし、今自分がこの本の対象年齢の子どもで、この本を読んでいたら、太陽系の広さと、その謎、そしてそれに挑もうとしている「はやぶさ」の巧みさに驚いたと思う。「はやぶさ」が、なぜ小惑星イトカワへ”おつかい”に行くことになったのか。イトカワには何があって、”おつかい”をして何を持ち帰ってきて欲しいのか。”おつかい”に行くために、何が必要なのか。そもそも、イトカワはどこにある、どのくらい遠い星なのか。そんな疑問に、ひとつひとつ丁寧に答えてくれるように書かれています。また、登場するのは「はやぶさ」だけではありません。NASAの探査機も出てきます。巧く比較してあります。

 この「イトカワはどこにある、どのくらい遠い星なのか」。これを、この本では読んでいる子どもたちが実感できるように、図を描くことから始めます。太陽系の縮図。これが、読み進めていく途中で何度も出てきます。自分の手で図を描いて、その大きさを実感しながら、「はやぶさ」の旅路を辿る。これまでにないやり方だなぁ!と唸りました。これまで頭の中や、あちらこちらで目にした地球とイトカワ、「はやぶさ」の位置関係と軌道の図を思い浮かべて理解してきたつもりでした。しかし、これで自分はその距離、「はやぶさ」の軌道・姿勢制御で求められる精度をどれだけ理解していたのだろうか、と思わされました。軌道・姿勢制御の精度についても、詳しく書いてあります!何度も図を見ているから…と思っていても、図を実際に描いて自分で確認すること、その規模を把握することの大切さを実感しました。

 詳細に、かつ丁寧に「はやぶさ」の旅路と、「はやぶさ」が何をしたのかを辿り…最後の179ページ以降、胸が熱くなるばかりでした。先日の「はやぶさ」帰還1周年でも書いたとおり、帰還がまた新しいスタートライン。その道を今、さらに先へ進んでいる。

 残念なことに、私にはまだ子どもはなく、この本を読んで欲しい子に手渡すことができない。でも、そのうち親の立場になって、子どもがこの本を読む年頃になったら、私が見続けた・見守り続けた「はやぶさ」の7年の旅を語りつつ、一緒に読もうと思う。その頃、今は「はやぶさ」で宇宙を夢見た子どもたちが大学生や社会人になり、宇宙や科学の道に進んでいるだろう。直接、ストレートに進んでいなくても、心のどこかで「はやぶさ」のことを覚えていて、それが何かのきっかけになっているかもしれない。彼らが、今「はやぶさ」が切り拓いた太陽系・宇宙探査を、さらに先に切り拓き、さらに高みを目指していることを願いたい。その姿を見ることになる、次の世代である私の子どもは、どんな道を切り拓こう、高みを目指そうとするだろうか。”高い塔”を建てようとしているだろうか。気が早いですが(いつになるだろう…)、楽しみでもあります。

【過去関連記事】
ゴールから、新しいスタートからの1年間 探査機「はやぶさ」地球帰還1周年
 ↑この記事の中で出てきた、本の帯画像もあります。

恐るべき旅路 火星探査機「のぞみ」のたどった12年
[増補]スペースシャトルの落日
昭和のロケット屋さん ロケットまつり@ロフトプラスワン
宇宙へのパスポート3
 松浦さんの著書など。
by halca-kaukana057 | 2011-06-17 22:47 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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