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聴く、観る、読む、楽しむ音楽 「動物の謝肉祭」

 パラボラアンテナが付いてから、BSのある生活を満喫しています。「コズミックフロント」や「宇宙からウェイクアップコール」など(宇宙番組ばっかりじゃないかw)、お目当ての番組も楽しみなのですが、音楽番組、特にクラシック音楽番組が充実していて、放送されているとつい観てしまいます。

 そのNHKBSプレミアムのクラシック音楽番組「特選オーケストラ・ライブ」で先月26日に放送されていたのが、サン=サーンス「動物の謝肉祭」(チョン・ミョンフン指揮、フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団)。「動物の謝肉祭」を全曲通して聴いたことがなかったので、これはいい機会だと録画しておいたのですが、観て驚いた。ただのクラシック音楽番組じゃない!

 元々は、フランスのテレビ局による音楽番組です。
 フランスの、とある家庭の父と子。夜、子どもが眠る前に、父と一緒に絵本を読んでいる。読んでいるのは、「動物の謝肉祭」。動物の絵と、楽譜が書いてある絵本。その絵本を見ながら、父が動物たちの短いお話を語る。語った後、映像はスタジオへ。チョン・ミョンフンとフランス国立管のメンバーが演奏を始める。しかし、その演奏の映像には、動物達のアニメーションが合わせられている。その動物達は演奏者の間を歩いたり、走り回って楽譜を落としてしまったり。演奏者たちも、その場にその動物たちがいるかのように微笑みかけたり、視線を合わせたり、とても楽しそうだ。アニメーションも、それぞれの動物の特徴を生かしている。時々、物語を語っていた父がスタジオに紛れ込んで、チョン・ミョンフンの代わりに指揮をすることも。これがとにかく楽しい。第11曲「ピアニスト」では、2人のピアニストが真っ向対決(でもわざとヘタクソ演奏)。第13曲「白鳥」は、枕投げをして枕から出てきた白鳥の羽毛が、スタジオに舞い、降ってくる。白鳥の羽毛が舞う中で、チェロのあの音色とメロディー。ああ、こんな表現もあるんだな、できるのだなと魅入り、聴き入りました。そして「終曲」。全曲聴いた後で聴く「終曲」は、単曲で聴くのと印象が全然違う。これまでの各曲のモチーフが現れ、全ての楽器がフルスロットル。ああ、もっと早く全曲通して聴けばよかったと痛感。

 そして、各曲の前の親子の会話とお話、アニメなどの演出がうまい。巧すぎる。観ていて、とても楽しかった。「動物の謝肉祭」の楽しげな雰囲気が、さらに感じられた。演奏そのものは原曲そのまま。編曲はない。でも、映像の演出でこんな楽しい、魅力的な作品にできるなんて…。日本にはこんな音楽番組はない。親子で、家族で、原曲のままで楽しめる…。コンサートならあるけれども、一般家庭で日常的に観ることのできるテレビ番組では、無い。私は、とても巧い表現・趣向のものを観たり聴いたりした時、凄いな、巧いな!と感激するのですが、それと同時にこんな手を使うなんて…悔しい、と思うことがあります。この「動物の謝肉祭」は、まさに感激しつつも悔しさを感じる音楽番組でした。

 全曲通しても25分程度。なので、動画サイトなどで他の演奏も聴いてみています。「ラバ」の飛び跳ねる音、「亀」の静けさとユーモア、「象」のコントラバスの音色はまさに象が歩く音。「水族館」の不思議な雰囲気、「森の奥のカッコウ」のクラリネット、「化石」の緊張感。色々な作品が混ぜてあるのがまた面白い。やっぱり全曲通して聴かないとわからないものがあるんだな。以前から、サン=サーンスが気になっていましたが、ますます好きになりました。好きな作曲家が増えるのは嬉しいな。

 過去記事を探してみたのですが、サン=サーンスに関する記事を今まで書いていなかった!交響曲第3番「オルガンつき」も好きでよく聴いているのに。今度書きます。
by halca-kaukana057 | 2011-07-01 22:12 | 音楽

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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