2011年 08月 27日
緑の中に、宇宙科学の最前線 JAXA・宇宙科学研究所 相模原キャンパスに行ってきた
旅行記の続きです。前回の記事の後、体調不良でブログを書けずにいました…。
東京駅で新幹線「はやぶさ」を降り、向かったのはJR淵野辺駅。新幹線「はやぶさ」に乗ったなら、その足で同じ名前の小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」に会いに行こうじゃないか!探査機「はやぶさ」を運用していたJAXA・宇宙科学研究所(ISAS)・相模原キャンパスが次の目的地です。
しかし、電車で移動中、大雨が…。大丈夫かこれは…。
東京駅から1時間15分ほどで、淵野辺駅に到着しました。
駅にはどーんと「はやぶさ」が。
(ここから、画像が非常に多くなります。ご了承ください。)
駅からバスに乗って5分ほど。市立博物館前で下車。この時、雨は小康状態でした。
おおおおお!
宇宙研は、緑の中にありました。
守衛室で受付をして、中へ。
見学者証です。はやぶさ君が。
お腹がすいたので、先に食堂でご飯にしました。12時少し前。見学の家族連れや、ISASに勤務する方々が食事中でした。思わず、どなたかISASの先生はいないだろうか…と食堂内を見回してしまいました。若い研究生さんもたくさん。この方々が、日本の宇宙科学を引っ張っているのだなと思うと、胸が熱く、心から応援したくなりました。
私がご飯を食べ終わった頃、食堂の食券券売機の前には行列が…。早めに食べてよかった。しかし、外は土砂降りの雨!とりあえず、食堂の横にある購買(売店)で、JAXA/ISASグッズを買ってきました。元々は大学生協なんです。でも、宇宙食が売っていたり、「はやぶさ」のぬいぐるみが売っていたりと、普通の大学生協じゃなくなってます…w
さて、買い物を済ませて展示室へ…行こうとしましたが、まだ土砂降り。かまわん!ダッシュ!!
研究・管理棟。ここの1階に展示室があります。入り口横には、チラシやパンフレットがあったので、とりあえず全種類もらいます。「GCOM-W1」衛星愛称募集の受付箱もありました。あと、スタンプラリーも。子ども限定ではないようなので、大きいお友達も喜んでやることにしましたw
まず出迎えてくれたのが、金星探査機「あかつき(PLANET-C)」。模型や、「あかつき」に関する説明があります。そして、目立ったのが「千のあかつき」。昨年、「あかつき」が金星周回軌道投入に失敗しましたが、「あかつき」と運用チームを応援するために、千羽鶴ならぬ「あかつき」のペーパークラフトで「千のあかつき」を作って応援しよう!という企画。1000以上集まりました。その時送れなかったので、今回作って持ってくればよかったなぁ…。現在、「ひので」とともに太陽観測をして、5年後の金星軌道再投入に向けて頑張っています。応援してるよ!
「あかつき」に搭載された、26万人のメッセージ。私のもこの中にあります。
「あかつき」コーナーの隣は、内之浦のジオラマ。後ろにも「千のあかつき」が。
「M-Vロケット」を、「ミューファイブ」ではなく、「えむご」と振り仮名がw現場では「えむご」なんです。
ソーラーセイル実証機「IKAROS」コーナー。現在もエクストラミッション続行中!
月周回衛星「かぐや(SELENE)」。展示室に入った時、J.S.バッハ「イタリア協奏曲」第1楽章などが流れていて、おや?と思っていたのですが、その音楽はここからでした。桜美林大学とのコラボ企画「宇宙と音楽の夕べ」で演奏されたものなのだそうです。「かぐや」のハイビジョンカメラで撮影した月や地球の画像も一緒に流れていました。宇宙とバッハ、ピッタリです。
また、「かぐや」の観測で作られた詳細な月面地形図、月球儀も展示されていました。
さぁ、その「かぐや」の向かいには…
小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」!!実物大の模型です。探査機としてはかなり小さめですが、いざ目の前にしてみると大きく感じます。
イオンエンジンは貸し出し中で見られず。でも、この注意書きだけは残っていましたw
「はやぶさ」模型を見たら、機体の下についているターゲットマーカーに、カメラのフラッシュをあててみましょう。フラッシュを反射して光ります。実際の「はやぶさ」も、小惑星イトカワの上に落としたターゲットマーカーにフラッシュをあて、反射した光を頼りにイトカワへ降下していきました。反射して光ったのを確かめた時、思わず「おおおおお!」と声に出しそうになりました。
「はやぶさ」関連の展示は多いです。充実しています。あまりにもたくさんあって、載せ切れません…。
イトカワ。「はやぶさ」はどこかな?
カプセルレプリカ。中の構造も。カプセルを回収する時の防護服(本物!!)もありました。
帰還1周年の時の、プロジェクトチーム集合写真!
「はやぶさ」コーナーを後にして、おや、この花のような美しいアンテナは…電波天文衛星「はるか(MUSES-B)」ではないですか!!
「はるか」のアンテナ部分カットモデル。こうなってるのか。
「はるか」のところにあった、VSOP-2(スペースVLBI-2)計画のパネル。先日、計画中止が伝えられた後継機「ASTRO-G」の名前が…。「ASTRO-G」に関しては続報があったので、別に書きます。このパネルも、そのうち撤去されるのだろうな…。
日本のロケットのはじまり、ペンシルロケット。
日本初の人工衛星「おおすみ」。このあたりには、かなりマニアックな展示もありました。載せきれない!w
おおすみ君…かわいい。グッズ化しないかな。
ここからは天文衛星3姉妹(兄弟?)行きます!
太陽観測衛星「ひので(SOLAR-B)」。
赤外線天文観測衛星「あかり(ASTRO-F)」。先日、観測終了しました。お疲れ様でした。でも、観測内容の解析・研究はまだまだこれからです。
その「あかり」のそばにこんなものが…
これは…「あかり」の薄い本!!7月末、ISAS一般公開にて、「あかり」チームが配布していた擬人化漫画です。読みたいと思っていたのですが、展示して読めるようになっていました。ありがたい!中身は、「あかり」が打ち上げられて観測をするための軌道に載るまでの物語。萌えで燃えですw販売したら買いますよw
X線天文観測衛星「すざく(ASTRO-EⅡ)」。X線天文学は日本のお家芸。その伝統を受け継ぎ、現在もがんばってます。2010年からは、ISS・国際宇宙ステーション・日本実験棟「きぼう」に取り付けられたX線天文観測装置「MAXI」と共同で観測もしています。
工学実験衛星「ひてん(MUSES-A)」。火星探査機「のぞみ(PLANET-B)」(火星周回軌道に投入できず)、「はやぶさ」、月探査では「かぐや」の先輩にあたる衛星です。月でスウィングバイ技術の習得の実験をし、孫衛星「はごろも」を月周回軌道で分離しました。
その「ひてん」の隣に…
これは、月探査機「LUNAR-A」のペネトレーターではないですか!!以前「ASTRO-G」中止の記事で書きましたが、「LUNAR-A」はこのペネトレーターの開発が一筋縄ではいかず、計画中止に。まさか、「LUNAR-A」に関する展示があるとは思いませんでした。そういえば、「のぞみ」の展示がないなぁ…。
ISASの人工衛星・探査機は、M-Vロケットをはじめとする固体燃料ロケットで打ち上げられてきました。現在はM-Vが廃止になり、後継の固体ロケットが無かったためH2Aロケットで打ち上げられています(例:「あかつき」&「イカロス」)。ですが!、M-Vの後継機となる固体燃料ロケットは現在開発中。それがこの「イプシロンロケット」です!これまでの固体燃料ロケットと同じように、内之浦からの打ち上げを予定しています。2013年、初号機打ち上げ予定。内之浦からロケットが打ち上げられる日を、日本の新しいロケットのデビューの日を、楽しみにしています!
ここで、H2AとM-Vは何がどう違うの?何故2種類あるの?等、疑問を抱く方もいるかと思います。日本のロケット開発は、糸川英夫博士をはじめとする東大で始まり、ペンシルロケットから始まりました。その後、固体燃料を使ったロケットを開発してゆき、これがISASの前身となりました。天文観測衛星などの科学衛星の打ち上げ・運用は、東大宇宙科学研究所から、文部省宇宙科学研究所へと引き継がれてゆきました。一方、液体燃料ロケットを作り、気象衛星などの実用衛星を打ち上げていたのが、宇宙開発事業団(NASDA)。このように、日本の宇宙開発は、2つの機関で別々に進んで行きました。その後、2つの機関が共同で打ち上げた衛星もあり、2003年10月、この2つの宇宙機関と「航空宇宙技術研究所(NAL)」が合併、現在の「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」になったわけです。
そんな日本のロケット開発の歴史に関する展示もあります。
さて、展示室を見学している間も、雨は勢いを増すばかり。外にはM-Vロケット(本物!)があるんだがなぁ…。しかし、止む気配は無い。既に雨でスニーカーはずぶ濡れ。ならばもう気にする必要もない。かまわん!(半分ヤケw)傘を手に、外へ出て行きました。
食堂の向い側にあたるところに、展示してありました。
おおおおおお!!本物ですよ!
先述した、計画中止になった「LUNAR-A」を載せて宇宙へ飛ぶはずだったM-V2号機。M-Vロケットは、載せる衛星に合わせて作られるため、一度作られたら他の衛星を載せることは出来ません。なので、「LUNAR-A」とともに、地上に残ることになってしまいました。でも、こうして展示して、皆に見て貰える。これもいい方法ですね。
ちなみに、あのNHK教育(Eテレ)「ピタゴラスイッチ」で、「アルゴリズムこうしん」”JAXA宇宙科学研究所のみなさんと一緒”の回を収録したのが、このM-Vロケットの前なんです。天気がよかったら、行進できたのに…wはい、NHK教育ファンとして、ばっちり踊れます。
・アルゴリズムこうしん~JAXA宇宙科学研究所の皆さんと一緒!!
・続・アルゴリズムこうしん~JAXA宇宙科学研究所の皆さんと一緒!! ver.2
こちらは、M-3SⅡロケット。世界の宇宙機関がハレー彗星を観測しようと探査機を向かわせた「ハレー艦隊」の一員である「さきがけ」「すいせい」、X線天文衛星「ぎんが」「あすか」、先程の「ひてん」などを打ち上げた、M-Vの前身にあたるロケットです。
雨のため、あまりじっくり観られなかった。残念…。展示室に戻ります。
展示室には、「JAXAさがみはら文庫」という、宇宙天文に関する本を集めた本のコーナーもあります。私も持っている・読んだ本から、宇宙を学ぶ研究生向けの専門書まで。その本棚を見ているだけでもワクワクします。
その本棚のそばにはいすがあって、休憩できるスペースがあるのですが、その窓から外を見たら、不思議なものを見つけました。
JAXAロゴ入りの自動販売機!!?
宇宙食とか某公式飲料wとかが売っているのかと思いきや、普通の自動販売機でした。すごい…。ちなみに、食堂の横にもありました。
さて、ここからは近い将来のミッションを。
まずは「はやぶさ2」。打ち上げに向け、着々と準備中です。つい先日、「はやぶさ」がイトカワから持ち帰った微粒子の分析結果(でもまだ初期段階。まだまだこれから)が出て、微粒子からここまで分かるのか!!と驚きましたが…、「はやぶさ2」は太陽系の歴史だけでなく、生命の起源も紐解くための旅に出ます。開発が順調に進むことを祈るばかりです。
ソーラーセイル将来構想。「IKAROS」の後継機は、こうなるかもしれません。これで、木星のトロヤ群にある小惑星探査をします。ソーラーセイルなら、少ない燃料で、イオンエンジンよりも速く飛行することが出来る、太陽系大航海時代を象徴する宇宙機です。「IKAROS」もフルサクセスしましたし、夢ではない、近い将来、実現されたらいいな!
水星探査機「ベピコロンボ」。ヨーロッパ(ESA)との共同ミッションです。謎の多い水星を、探査します。今のところ、2014年度の打ち上げ予定です。
見どころはもっとたくさん、画像ももっとたくさんありました。しかし、まとめ切れません…通常の展示室でもこの量ってどういうこと…!?思った以上に広く、濃い展示で驚きましたし、楽しめました。基本的に年中無休(お休みの時もあるので、確認してから行きましょう)なので、お近くの方、近くまで行く予定の方は是非どうぞ!職場で行ってきたことを話したところ、初心者向けの解説員さんがいないのがちょっと残念なところかな…。解説のパネルは多いのですが、確かに人が解説して質問もできると、もっと楽しめると思います。また、毎年7月末ごろには、一般公開といっていわゆる宇宙研のお祭りのようなものが開催されます。こちらは、各プロジェクトの職員・研究生さんたちが解説してくれたり、「あかり」の漫画のような自作パンフレットなどを配布したりと、たっぷり楽しめます。先生方の講演会もあり、普段は見られないものも展示されたり。
私としては、普段の展示は、全部をじっくり見るのも勿論いいですが、お気に入りの衛星・宇宙機・ロケットをひとつふたつ決めて、それをじっくり見るのもいいかなと思います。
◇JAXA:宇宙科学研究所
次回は晴れた日に、そして一般公開の日に、来たいです。また来るよ!雨の中、そう誓って、ISASを後にしました。次の目的地に向かいます。
【おまけ】
売店で買ったお土産~。
左から、あかつき・イカロス・はやぶさ・臼田観測所のアンテナ(通称:うすださん)の手ぬぐい、イトカワラッコのアームレストクッション、あかつき君&きんせいちゃんストラップ、「ひので」クリアファイル。イトカワラッコが可愛い…。ぬいぐるみとしてもどうぞw手ぬぐいはデザインも素敵です。
そしてイチオシがこれ!w
日本の固体ロケットの歴史が一目瞭然のマグカップ!wかっこよくて、一目惚れでしたw
イプシロンもあるよ!
東京駅で新幹線「はやぶさ」を降り、向かったのはJR淵野辺駅。新幹線「はやぶさ」に乗ったなら、その足で同じ名前の小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」に会いに行こうじゃないか!探査機「はやぶさ」を運用していたJAXA・宇宙科学研究所(ISAS)・相模原キャンパスが次の目的地です。
しかし、電車で移動中、大雨が…。大丈夫かこれは…。
東京駅から1時間15分ほどで、淵野辺駅に到着しました。
駅にはどーんと「はやぶさ」が。
(ここから、画像が非常に多くなります。ご了承ください。)
駅からバスに乗って5分ほど。市立博物館前で下車。この時、雨は小康状態でした。
おおおおお!
宇宙研は、緑の中にありました。
守衛室で受付をして、中へ。
見学者証です。はやぶさ君が。
お腹がすいたので、先に食堂でご飯にしました。12時少し前。見学の家族連れや、ISASに勤務する方々が食事中でした。思わず、どなたかISASの先生はいないだろうか…と食堂内を見回してしまいました。若い研究生さんもたくさん。この方々が、日本の宇宙科学を引っ張っているのだなと思うと、胸が熱く、心から応援したくなりました。
私がご飯を食べ終わった頃、食堂の食券券売機の前には行列が…。早めに食べてよかった。しかし、外は土砂降りの雨!とりあえず、食堂の横にある購買(売店)で、JAXA/ISASグッズを買ってきました。元々は大学生協なんです。でも、宇宙食が売っていたり、「はやぶさ」のぬいぐるみが売っていたりと、普通の大学生協じゃなくなってます…w
さて、買い物を済ませて展示室へ…行こうとしましたが、まだ土砂降り。かまわん!ダッシュ!!
研究・管理棟。ここの1階に展示室があります。入り口横には、チラシやパンフレットがあったので、とりあえず全種類もらいます。「GCOM-W1」衛星愛称募集の受付箱もありました。あと、スタンプラリーも。子ども限定ではないようなので、大きいお友達も喜んでやることにしましたw
まず出迎えてくれたのが、金星探査機「あかつき(PLANET-C)」。模型や、「あかつき」に関する説明があります。そして、目立ったのが「千のあかつき」。昨年、「あかつき」が金星周回軌道投入に失敗しましたが、「あかつき」と運用チームを応援するために、千羽鶴ならぬ「あかつき」のペーパークラフトで「千のあかつき」を作って応援しよう!という企画。1000以上集まりました。その時送れなかったので、今回作って持ってくればよかったなぁ…。現在、「ひので」とともに太陽観測をして、5年後の金星軌道再投入に向けて頑張っています。応援してるよ!
「あかつき」に搭載された、26万人のメッセージ。私のもこの中にあります。
「あかつき」コーナーの隣は、内之浦のジオラマ。後ろにも「千のあかつき」が。
「M-Vロケット」を、「ミューファイブ」ではなく、「えむご」と振り仮名がw現場では「えむご」なんです。
ソーラーセイル実証機「IKAROS」コーナー。現在もエクストラミッション続行中!
月周回衛星「かぐや(SELENE)」。展示室に入った時、J.S.バッハ「イタリア協奏曲」第1楽章などが流れていて、おや?と思っていたのですが、その音楽はここからでした。桜美林大学とのコラボ企画「宇宙と音楽の夕べ」で演奏されたものなのだそうです。「かぐや」のハイビジョンカメラで撮影した月や地球の画像も一緒に流れていました。宇宙とバッハ、ピッタリです。
また、「かぐや」の観測で作られた詳細な月面地形図、月球儀も展示されていました。
さぁ、その「かぐや」の向かいには…
小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」!!実物大の模型です。探査機としてはかなり小さめですが、いざ目の前にしてみると大きく感じます。
イオンエンジンは貸し出し中で見られず。でも、この注意書きだけは残っていましたw
「はやぶさ」模型を見たら、機体の下についているターゲットマーカーに、カメラのフラッシュをあててみましょう。フラッシュを反射して光ります。実際の「はやぶさ」も、小惑星イトカワの上に落としたターゲットマーカーにフラッシュをあて、反射した光を頼りにイトカワへ降下していきました。反射して光ったのを確かめた時、思わず「おおおおお!」と声に出しそうになりました。
「はやぶさ」関連の展示は多いです。充実しています。あまりにもたくさんあって、載せ切れません…。
イトカワ。「はやぶさ」はどこかな?
カプセルレプリカ。中の構造も。カプセルを回収する時の防護服(本物!!)もありました。
帰還1周年の時の、プロジェクトチーム集合写真!
「はやぶさ」コーナーを後にして、おや、この花のような美しいアンテナは…電波天文衛星「はるか(MUSES-B)」ではないですか!!
「はるか」のアンテナ部分カットモデル。こうなってるのか。
「はるか」のところにあった、VSOP-2(スペースVLBI-2)計画のパネル。先日、計画中止が伝えられた後継機「ASTRO-G」の名前が…。「ASTRO-G」に関しては続報があったので、別に書きます。このパネルも、そのうち撤去されるのだろうな…。
日本のロケットのはじまり、ペンシルロケット。
日本初の人工衛星「おおすみ」。このあたりには、かなりマニアックな展示もありました。載せきれない!w
おおすみ君…かわいい。グッズ化しないかな。
ここからは天文衛星3姉妹(兄弟?)行きます!
太陽観測衛星「ひので(SOLAR-B)」。
赤外線天文観測衛星「あかり(ASTRO-F)」。先日、観測終了しました。お疲れ様でした。でも、観測内容の解析・研究はまだまだこれからです。
その「あかり」のそばにこんなものが…
これは…「あかり」の薄い本!!7月末、ISAS一般公開にて、「あかり」チームが配布していた擬人化漫画です。読みたいと思っていたのですが、展示して読めるようになっていました。ありがたい!中身は、「あかり」が打ち上げられて観測をするための軌道に載るまでの物語。萌えで燃えですw販売したら買いますよw
X線天文観測衛星「すざく(ASTRO-EⅡ)」。X線天文学は日本のお家芸。その伝統を受け継ぎ、現在もがんばってます。2010年からは、ISS・国際宇宙ステーション・日本実験棟「きぼう」に取り付けられたX線天文観測装置「MAXI」と共同で観測もしています。
工学実験衛星「ひてん(MUSES-A)」。火星探査機「のぞみ(PLANET-B)」(火星周回軌道に投入できず)、「はやぶさ」、月探査では「かぐや」の先輩にあたる衛星です。月でスウィングバイ技術の習得の実験をし、孫衛星「はごろも」を月周回軌道で分離しました。
その「ひてん」の隣に…
これは、月探査機「LUNAR-A」のペネトレーターではないですか!!以前「ASTRO-G」中止の記事で書きましたが、「LUNAR-A」はこのペネトレーターの開発が一筋縄ではいかず、計画中止に。まさか、「LUNAR-A」に関する展示があるとは思いませんでした。そういえば、「のぞみ」の展示がないなぁ…。
ISASの人工衛星・探査機は、M-Vロケットをはじめとする固体燃料ロケットで打ち上げられてきました。現在はM-Vが廃止になり、後継の固体ロケットが無かったためH2Aロケットで打ち上げられています(例:「あかつき」&「イカロス」)。ですが!、M-Vの後継機となる固体燃料ロケットは現在開発中。それがこの「イプシロンロケット」です!これまでの固体燃料ロケットと同じように、内之浦からの打ち上げを予定しています。2013年、初号機打ち上げ予定。内之浦からロケットが打ち上げられる日を、日本の新しいロケットのデビューの日を、楽しみにしています!
ここで、H2AとM-Vは何がどう違うの?何故2種類あるの?等、疑問を抱く方もいるかと思います。日本のロケット開発は、糸川英夫博士をはじめとする東大で始まり、ペンシルロケットから始まりました。その後、固体燃料を使ったロケットを開発してゆき、これがISASの前身となりました。天文観測衛星などの科学衛星の打ち上げ・運用は、東大宇宙科学研究所から、文部省宇宙科学研究所へと引き継がれてゆきました。一方、液体燃料ロケットを作り、気象衛星などの実用衛星を打ち上げていたのが、宇宙開発事業団(NASDA)。このように、日本の宇宙開発は、2つの機関で別々に進んで行きました。その後、2つの機関が共同で打ち上げた衛星もあり、2003年10月、この2つの宇宙機関と「航空宇宙技術研究所(NAL)」が合併、現在の「宇宙航空研究開発機構(JAXA)」になったわけです。
そんな日本のロケット開発の歴史に関する展示もあります。
さて、展示室を見学している間も、雨は勢いを増すばかり。外にはM-Vロケット(本物!)があるんだがなぁ…。しかし、止む気配は無い。既に雨でスニーカーはずぶ濡れ。ならばもう気にする必要もない。かまわん!(半分ヤケw)傘を手に、外へ出て行きました。
食堂の向い側にあたるところに、展示してありました。
おおおおおお!!本物ですよ!
先述した、計画中止になった「LUNAR-A」を載せて宇宙へ飛ぶはずだったM-V2号機。M-Vロケットは、載せる衛星に合わせて作られるため、一度作られたら他の衛星を載せることは出来ません。なので、「LUNAR-A」とともに、地上に残ることになってしまいました。でも、こうして展示して、皆に見て貰える。これもいい方法ですね。
ちなみに、あのNHK教育(Eテレ)「ピタゴラスイッチ」で、「アルゴリズムこうしん」”JAXA宇宙科学研究所のみなさんと一緒”の回を収録したのが、このM-Vロケットの前なんです。天気がよかったら、行進できたのに…wはい、NHK教育ファンとして、ばっちり踊れます。
・アルゴリズムこうしん~JAXA宇宙科学研究所の皆さんと一緒!!
・続・アルゴリズムこうしん~JAXA宇宙科学研究所の皆さんと一緒!! ver.2
こちらは、M-3SⅡロケット。世界の宇宙機関がハレー彗星を観測しようと探査機を向かわせた「ハレー艦隊」の一員である「さきがけ」「すいせい」、X線天文衛星「ぎんが」「あすか」、先程の「ひてん」などを打ち上げた、M-Vの前身にあたるロケットです。
雨のため、あまりじっくり観られなかった。残念…。展示室に戻ります。
展示室には、「JAXAさがみはら文庫」という、宇宙天文に関する本を集めた本のコーナーもあります。私も持っている・読んだ本から、宇宙を学ぶ研究生向けの専門書まで。その本棚を見ているだけでもワクワクします。
その本棚のそばにはいすがあって、休憩できるスペースがあるのですが、その窓から外を見たら、不思議なものを見つけました。
JAXAロゴ入りの自動販売機!!?
宇宙食とか某公式飲料wとかが売っているのかと思いきや、普通の自動販売機でした。すごい…。ちなみに、食堂の横にもありました。
さて、ここからは近い将来のミッションを。
まずは「はやぶさ2」。打ち上げに向け、着々と準備中です。つい先日、「はやぶさ」がイトカワから持ち帰った微粒子の分析結果(でもまだ初期段階。まだまだこれから)が出て、微粒子からここまで分かるのか!!と驚きましたが…、「はやぶさ2」は太陽系の歴史だけでなく、生命の起源も紐解くための旅に出ます。開発が順調に進むことを祈るばかりです。
ソーラーセイル将来構想。「IKAROS」の後継機は、こうなるかもしれません。これで、木星のトロヤ群にある小惑星探査をします。ソーラーセイルなら、少ない燃料で、イオンエンジンよりも速く飛行することが出来る、太陽系大航海時代を象徴する宇宙機です。「IKAROS」もフルサクセスしましたし、夢ではない、近い将来、実現されたらいいな!
水星探査機「ベピコロンボ」。ヨーロッパ(ESA)との共同ミッションです。謎の多い水星を、探査します。今のところ、2014年度の打ち上げ予定です。
見どころはもっとたくさん、画像ももっとたくさんありました。しかし、まとめ切れません…通常の展示室でもこの量ってどういうこと…!?思った以上に広く、濃い展示で驚きましたし、楽しめました。基本的に年中無休(お休みの時もあるので、確認してから行きましょう)なので、お近くの方、近くまで行く予定の方は是非どうぞ!職場で行ってきたことを話したところ、初心者向けの解説員さんがいないのがちょっと残念なところかな…。解説のパネルは多いのですが、確かに人が解説して質問もできると、もっと楽しめると思います。また、毎年7月末ごろには、一般公開といっていわゆる宇宙研のお祭りのようなものが開催されます。こちらは、各プロジェクトの職員・研究生さんたちが解説してくれたり、「あかり」の漫画のような自作パンフレットなどを配布したりと、たっぷり楽しめます。先生方の講演会もあり、普段は見られないものも展示されたり。
私としては、普段の展示は、全部をじっくり見るのも勿論いいですが、お気に入りの衛星・宇宙機・ロケットをひとつふたつ決めて、それをじっくり見るのもいいかなと思います。
◇JAXA:宇宙科学研究所
次回は晴れた日に、そして一般公開の日に、来たいです。また来るよ!雨の中、そう誓って、ISASを後にしました。次の目的地に向かいます。
【おまけ】
売店で買ったお土産~。
左から、あかつき・イカロス・はやぶさ・臼田観測所のアンテナ(通称:うすださん)の手ぬぐい、イトカワラッコのアームレストクッション、あかつき君&きんせいちゃんストラップ、「ひので」クリアファイル。イトカワラッコが可愛い…。ぬいぐるみとしてもどうぞw手ぬぐいはデザインも素敵です。
そしてイチオシがこれ!w
日本の固体ロケットの歴史が一目瞭然のマグカップ!wかっこよくて、一目惚れでしたw
イプシロンもあるよ!
by halca-kaukana057
| 2011-08-27 22:32
| 宇宙・天文