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僕は、そして僕たちはどう生きるか

 梨木香歩さんの作品は、出てからしばらくしてから読むことが多いのですが、この本は今年出たばかり。気になっていた(梨木さんの作品は全部気になりますが)ので、早速(というわけでもないですが)読みました。


僕は、そして僕たちはどう生きるか
梨木香歩/理論社/2011

 いつもならここであらすじを書くのですが、書けません。まとめようがありません…。植物や虫、生き物に興味があり土壌採集をしている14歳の少年の僕。「コペル」と呼ばれている。「ブラキ氏」という愛称の犬を飼っている。コペルの叔父で染織家のノボちゃん。コペルの友人で、小学6年から学校に来なくなったユージン。ユージンの従妹でひとつ年上のショウコ。ノボちゃんが染織のためのヨモギを採るために、コペルとノボちゃんはユージンの家の庭にやってきた。ユージンの家の庭はとても広く、様々な植物が生い茂っている。庭と言うよりも森。その庭で、コペルとユージンはショウコが来たことがきっかけであるものと出会う。そして4人は様々なものに思いを巡らし、考える。


 タイトルは哲学のよう。物語は、自然豊かな庭で、4人が植物に触れながら、様々なことに思いを巡らす。そして、あるものに出会う…。14歳でそれぞれの家庭の事情でひとりで暮らし、賢くもあるコペルとユージン。自然豊かなユージンの庭、染織家の叔父さんという設定に、「西の魔女が死んだ」・「からくりからくさ」か、もしくは川端裕人さんの作品の雰囲気かと(某所のレビューを読んだら、同じことを思った人がいて驚きました!)。物語は淡々と、でも何か強いメッセージが込められているのは読み取れるけど、核心がなかなか出てこない。一体どこに向かうのだろう…と思っていたら、ショウコの登場で出会うことになったあるものが更に強いメッセージを発してくる。そのものや、コペルとユージンの過去が語られ、物語の核心が。それまでばらばらに見えていた、物語のエピソード・要素の数々が最後に「ここに辿りつくのか!」と息をのみながら読み、最後の1ページで涙が止まりませんでした。

 この作品では、デリケートな話題・問題にも直球ストレートで踏み込んでいる。普段、私はこの作品に書かれているような話題・問題を語るのは避けている。語った相手や場所、内容で、場が大混乱になるのを恐れているからだ。自分の考えをはっきりと主張する自信もない。なので、書かれている内容を読んだ時はどきどきした。私の苦手なところへ、どんどん踏み込んでいく。どうしようと思いつつ、でも読むのを止められなかった。きっと、この作品の根底にある”考える”ことを、対象は何であれやめたくない、停止したくないと思ったからだろう。あと、あるものが何なのかや、4人が語ることも、気になって。

 作品全体からも、個々のエピソードやセリフからも、様々なことを読み取れる。読み取れるだけじゃない。梨木さんは、「考えてみよう」「行動してみよう」と読み手にそっと伝えようとしているのだろう。私は、時にユージンやあるもののようになってしまうが、全体的にはコペルに近い。コペルが、「カッコに括っていたもの」に気づいた時、自分も同じようなことを経験した覚えがある…といろいろと思い出してしまった。でも、そこで落ち込んでばかりもいられない。「考えてみよう」「行動してみよう」と声がする。自分の力で。でも、ひとりではない。

 今日一気読みしたのですが、何度でも読み返したい。難解なところも多いので、読み返したらまた考えることもあるだろう。また、作品全体だけでなく、個々に気になったところを抜き出して考えたい。既に考えていることがあるので、そのうち記事にすると思います。

 そういえば、タイトルと、コペルに見覚えがある…と思ったら、巻末の参考文献に「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎/岩波書店)が。これでした。ちゃんと読んだことが無いので、この際だし読もう(また読む本が増えました…嬉しい悲鳴?)。

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

吉野 源三郎 / 岩波書店



 ポプラ社から、ジュニア版も出てます。

君たちはどう生きるか (ジュニア版 吉野源三郎全集)

吉野 源三郎 / ポプラ社


君たちはどう生きるか (ポプラポケット文庫 日本の名作)

吉野源三郎 / ポプラ社


by halca-kaukana057 | 2011-11-18 22:29 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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