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食べること、料理すること、生きること

 昨日、BSプレミアムで放送されていたドキュメンタリー「初女さんのおむすび ~岩木山麓・ぬくもりの食卓~」。青森県岩木山麓に、「森のイスキア」(「イスキア」とは、イタリアの裕福な家庭の息子が、贅沢三昧の生活から自分を静かに振り返ることを学んだという島の名前に由来)という家(滞在施設)がある。その主宰者である佐藤初女さんは、若い頃病気になったことで食の有難さ・大切さを実感し、悩みや不安を抱える人々を迎え、話を聞き、美味しい料理を食べて心の問題を身体から改善していこうと実践している。佐藤初女さんのお名前は聞いたことはあったが、何をしているのかよく知らずにいた。何となく観ていたのが、いつの間にか見入ってしまっていた。今回、この番組を観て、感じたのは「食べることがいかに大切か」ということだった。

 初女さんの料理の素材は、岩木山麓の森で採れた季節の山菜やきのこ、野菜や魚など。そして、丸いおにぎり。それらを素材の持ち味を生かして料理している。この番組は初女さんが87歳の時に取材された(2008年)。現在、90歳となっても変わらずお元気で、傷ついた人々を迎え、自ら献立を考え「イスキア」のスタッフと共に料理を続けているそうだ。漬物や梅干も手作り。「イスキア」を訪れた人々は、これまでのことや心の内を初女さんに語り、一緒に食卓を囲む。抱えている問題もそれぞれ。心の内を話す時は、悲痛な表情・声でも、食卓を囲んで食事を取ると、徐々に顔色・声のトーンが良くなっているのが感じられた。10代の頃から10年間、大した食事もできなかった女性が、「10年ぶりに食べられた」と料理をゆっくりと、食べられる喜びも一緒にかみ締めるように食事を口に運ぶシーンが印象的だった。また、ガンと闘う若いお母さんも、食べて、病気を治す、と、とても力強い。

 私自身、食べることを、これまであまり意識してこなかった。以前は料理もよくしていたが、面倒になりスーパーのお惣菜で済ませてしまうことが多い。食べる時も、とにかく食べられればいい、と。体調が悪く、食欲が無い・食べても美味しく感じられない時も、無理してでも食べる。でも、そんな食生活は味気なくむなしい。そう感じていたところでした。

 初女さんは、食材も命であること、その命をいただいて自分の命にすることを強調している。だから、調理する時も食材の気持ちに配慮した調理をするように、と。(食材の気持ち…と言うと何か奇妙に感じるが、食材・命を無駄にしない、と解釈すればいいのかな)

 私も、今様々な問題にぶち当たったり、先が見えなくなったりしている。そんな時、立ち向かう、日々コツコツと進む力を与えてくれるものは何だろう。答えは、食事だろう。美味しいものを食べれば元気が出てくる、元気になる。初女さんのように一から手作りするのは難しいけれど、もっと自分の食を、食に対する考え方を見直そうと思っている。料理する機会をもっと増やそう。美味しく食べるためでもあるし、食材の命を考えることにもなる。そして、食べて、生きてゆくためでもある。簡単に言えば、食べるなら健康的な美味しいものを食べたい。味だけでなく、四季と豊かな自然によってもたらされた食材を心から「美味しい」と思って、ゆっくりと味わいたい。

 生きる基本は、食べること。それを大事にしようと思う。

 初女さんの著書も読んでみようかな。

おむすびの祈り「森のイスキア」こころの歳時記 (集英社文庫)

佐藤 初女 / 集英社


いまを生きることば「森のイスキア」より (講談社+α文庫)

佐藤 初女 / 講談社


 入手しやすい文庫版から。

 あと、観ていて感じたのですが、雰囲気が、映画「かもめ食堂」、ならびに「西の魔女が死んだ」(映画版も、梨木香歩さんの原作小説も)のようだなと思った。「かもめ食堂」は、シンプルだけど美味しそうな味わい深い料理と、色々な人がやってくる「かもめ食堂」の様子が。「西の魔女が死んだ」のおばあちゃんは、初女さんのような人だなぁと(あくまで、私の所感です)。料理も、自然のものを活かした料理だった。食べることの大切さという意味では、「南極料理人」もかな。どれもまた観たくなった。観よう。
by halca-kaukana057 | 2012-01-11 23:28 | 興味を持ったものいろいろ

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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