2012年 06月 14日
本屋の森のあかり 11
この漫画も、1ヶ月ぐらい前に買って読んだのに、今頃になりました…。
本屋の森のあかり 11
磯谷友紀/講談社・KC KISS/2012
潮見からの告白は断ったものの、名古屋では潮見との噂が流れ、それを知ったあかりからの「お祝いメール」に動揺する杜三。そんな中、杜三の実家・青森から電話がかかってくる。父が倒れた、と。命に別状はなく、元気にしているとの話に安心するが、帰って来ないのかと言われ、見舞いに行くことに。
一方、名古屋支店では、あかりたちの「カルロス会」が主催するイベントについての話し合いが行われていた。一般の売り場ではなく、イベントスペースを使って、絵本の原画展をやりたいと提案するあかりたち。しかし、潮見に現在の「カルロス会」の力量では難しい、まだ早い、と反対される。そんな話し合い中に、水原店長は賛成意見を。潮見は反対意見を通そうとするが、水原は思い切った発言を。驚き、憤った潮見は水原に本音をぶちまけてしまう。
あかり、杜三、緑、水原店長、潮見。この5人が、それぞれの岐路に立つ11巻。読み応えがありました。まず、あかり。あかりは、書店員として自分の幅を広げたい、他の書店も見てみたい、書店員としてもっと成長したい…そんな想いを持って転職したい、好きではあるけれども須王堂という枠から出て行きたいと思っている。そんなあかりの想いと模索、転職活動に、共感し励まされました。というのは、私も今あかりと似たような状況にあるから。あかりが緑と転職について話しているシーンでの言葉、ユカリに転職活動をしていて思ったことを話しているシーン、この2つの場面でのあかりの言葉に心から共感しました。
本当に、「できる人」はいっぱいいるし、「できる人」はどんどん上へ行ける。先へ進める。「中途半端な」あかりも、自分も、中途半端だからこそ、進む道という”可能性”を広げたい。”可能性”を広げて、進む道を見出したい。そんなあかりが出会った山川書店。小さな書店だが、小さな書店だからこそ出来る本の分類、棚作り、店作りに、私もいいなぁ!いいなぁ!!と唸ってしまった。図書館での本の分類・並べ方ともちょっと違う(もしかしたら、こんな並べ方をしている図書館派は全国を探せばあるかもしれない)。本との出会いが楽しくなる、次々と色々な本と出会い、自分の世界が広がってゆく本屋さん。あかりが感激する、憧れるのがわかります!
この11巻で大きな岐路に立ったのが、潮見さんと水原店長。特に水原店長。「名古屋支店の店長」というよりも、「須王堂の社長の孫」として見られることが多く、特に本屋が好きだというわけでもないのに世襲で店長…でしかない自分に自信が無い。そんな水原店長に、潮見さんが「苦労知らずの社長の孫」と噛み付いてしまう。仕事は出来る、店長への道もそう遠くない潮見。のんびりおっとりしていて、テキパキと仕事をこなすわけではないけど店長である水原。この2人が、「苦労知らずの社長の孫」の一言で、揺れ動き、でも方位磁針の針が左右に振れつつも最終的には北の方角を差すように、それぞれの方向を見出す。潮見さんの言葉にはハラハラ、それは言っちゃだめだろうと私も思いましたが、落ち込みつつもさらりと水原店長のこと、水原が店長であることを認めている…。凄い人だなと思う。
一方の水原店長も、「社長の孫」だからこそ…出来る仕事もある。世襲の暗い部分と明るい部分。それをどう捉えるか。また、「社長の孫」を抜きにした「水原店長」としての仕事・役割もある。ほんわかした店長は好きですし、頑張っている姿は応援したくなります。この回で出てきた「ものぐさドラゴン」(ケネス・グレアム)、読んでみたいなぁ。
緑は、あかりに振られたけれども…本音は諦め切れていない。でも、あかりは杜三を想っている。緑の本音の言葉にグッと来ました。そして杜三。父との会話で、自分自身の位置を確かめている模様。父もその変化に気づいて…でもそれが「最後」だった…。物語(とりわけ古典や近代の名作)も、人間関係・誰かの言葉も、迷いつつ、理解するまで時間がかかる。本当はすぐに理解したいけど、時間が必要なこともある。だからこそ、名作は読み継がれるし、人間関係も続いてゆくのかな。
56話の青森での、津軽弁の表記に「巧い!!」と唸りました。津軽弁の雰囲気のまま、標準語との同時通訳(…と書けばいいのだろうか…)を可能にしてしまったこの表記。素晴らしいです。杜三が話す津軽弁も読みたかったなぁ…。
さて、本誌ではクライマックスを迎えている模様。次の12巻が最終巻になるのかな。1巻から読み続けた物語も、もうすぐフィナーレ。あかりたちが、どこへ辿り着くのか楽しみです。
…でも、愛読している漫画が終わってしまうのは、さみしくもある。
いや、この漫画で出てきた本で、読みたいと思って読んでない本がいっぱいあるじゃないか!この11巻に出てきた本も、殆ど読んでない…。読みます。読みます!
・10巻:本屋の森のあかり 10
本屋の森のあかり 11
磯谷友紀/講談社・KC KISS/2012
潮見からの告白は断ったものの、名古屋では潮見との噂が流れ、それを知ったあかりからの「お祝いメール」に動揺する杜三。そんな中、杜三の実家・青森から電話がかかってくる。父が倒れた、と。命に別状はなく、元気にしているとの話に安心するが、帰って来ないのかと言われ、見舞いに行くことに。
一方、名古屋支店では、あかりたちの「カルロス会」が主催するイベントについての話し合いが行われていた。一般の売り場ではなく、イベントスペースを使って、絵本の原画展をやりたいと提案するあかりたち。しかし、潮見に現在の「カルロス会」の力量では難しい、まだ早い、と反対される。そんな話し合い中に、水原店長は賛成意見を。潮見は反対意見を通そうとするが、水原は思い切った発言を。驚き、憤った潮見は水原に本音をぶちまけてしまう。
あかり、杜三、緑、水原店長、潮見。この5人が、それぞれの岐路に立つ11巻。読み応えがありました。まず、あかり。あかりは、書店員として自分の幅を広げたい、他の書店も見てみたい、書店員としてもっと成長したい…そんな想いを持って転職したい、好きではあるけれども須王堂という枠から出て行きたいと思っている。そんなあかりの想いと模索、転職活動に、共感し励まされました。というのは、私も今あかりと似たような状況にあるから。あかりが緑と転職について話しているシーンでの言葉、ユカリに転職活動をしていて思ったことを話しているシーン、この2つの場面でのあかりの言葉に心から共感しました。
きっと 緑くんは どこにいたって どんどん色んなこと身につけて 上に行ける人だけど
わたしはこのままだと ここ止まりな気がするんだよ―――
たぶん わたし もっとちゃんと成長したいんだなぁって
(58話 83ページより)
(あかり)世の中には できる人なんて山ほどいるよねー
わたし めっちゃ中途半端だと思い知らされ……
(ユカリ)えー だからこその転職なんでしょ
(59話 109ページ)
本当に、「できる人」はいっぱいいるし、「できる人」はどんどん上へ行ける。先へ進める。「中途半端な」あかりも、自分も、中途半端だからこそ、進む道という”可能性”を広げたい。”可能性”を広げて、進む道を見出したい。そんなあかりが出会った山川書店。小さな書店だが、小さな書店だからこそ出来る本の分類、棚作り、店作りに、私もいいなぁ!いいなぁ!!と唸ってしまった。図書館での本の分類・並べ方ともちょっと違う(もしかしたら、こんな並べ方をしている図書館派は全国を探せばあるかもしれない)。本との出会いが楽しくなる、次々と色々な本と出会い、自分の世界が広がってゆく本屋さん。あかりが感激する、憧れるのがわかります!
この11巻で大きな岐路に立ったのが、潮見さんと水原店長。特に水原店長。「名古屋支店の店長」というよりも、「須王堂の社長の孫」として見られることが多く、特に本屋が好きだというわけでもないのに世襲で店長…でしかない自分に自信が無い。そんな水原店長に、潮見さんが「苦労知らずの社長の孫」と噛み付いてしまう。仕事は出来る、店長への道もそう遠くない潮見。のんびりおっとりしていて、テキパキと仕事をこなすわけではないけど店長である水原。この2人が、「苦労知らずの社長の孫」の一言で、揺れ動き、でも方位磁針の針が左右に振れつつも最終的には北の方角を差すように、それぞれの方向を見出す。潮見さんの言葉にはハラハラ、それは言っちゃだめだろうと私も思いましたが、落ち込みつつもさらりと水原店長のこと、水原が店長であることを認めている…。凄い人だなと思う。
一方の水原店長も、「社長の孫」だからこそ…出来る仕事もある。世襲の暗い部分と明るい部分。それをどう捉えるか。また、「社長の孫」を抜きにした「水原店長」としての仕事・役割もある。ほんわかした店長は好きですし、頑張っている姿は応援したくなります。この回で出てきた「ものぐさドラゴン」(ケネス・グレアム)、読んでみたいなぁ。
緑は、あかりに振られたけれども…本音は諦め切れていない。でも、あかりは杜三を想っている。緑の本音の言葉にグッと来ました。そして杜三。父との会話で、自分自身の位置を確かめている模様。父もその変化に気づいて…でもそれが「最後」だった…。物語(とりわけ古典や近代の名作)も、人間関係・誰かの言葉も、迷いつつ、理解するまで時間がかかる。本当はすぐに理解したいけど、時間が必要なこともある。だからこそ、名作は読み継がれるし、人間関係も続いてゆくのかな。
56話の青森での、津軽弁の表記に「巧い!!」と唸りました。津軽弁の雰囲気のまま、標準語との同時通訳(…と書けばいいのだろうか…)を可能にしてしまったこの表記。素晴らしいです。杜三が話す津軽弁も読みたかったなぁ…。
さて、本誌ではクライマックスを迎えている模様。次の12巻が最終巻になるのかな。1巻から読み続けた物語も、もうすぐフィナーレ。あかりたちが、どこへ辿り着くのか楽しみです。
…でも、愛読している漫画が終わってしまうのは、さみしくもある。
いや、この漫画で出てきた本で、読みたいと思って読んでない本がいっぱいあるじゃないか!この11巻に出てきた本も、殆ど読んでない…。読みます。読みます!
・10巻:本屋の森のあかり 10
by halca-kaukana057
| 2012-06-14 22:59
| 本・読書