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NHKスペシャル 宇宙の渚―上空400kmの世界

 昨年9月にISSから生中継、その後「コズミックフロント」「NHKスペシャル」でシリーズ放送された「宇宙の渚」。番組は全部観ました。Nスペのシリーズものは大体書籍も出るのですが、「宇宙の渚」でも出てました。

NHKスペシャル 宇宙の渚―上空400kmの世界
NHK取材班/NHK出版/2012

 国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙用超高感度ハイビジョンカメラを持っていって、これまでのカメラでは撮影できなかった「宇宙飛行士しか観ることができなかった光景」を撮影し、地球と宇宙のつながりを追ったこのシリーズ。「宇宙」と呼ばれる高度は大体100kmぐらいから。でも、そこにはっきりとした境界線があるわけではない。番組では、飛行機では飛べない高度20km(成層圏に当たる)よりも上の辺りから「宇宙の渚」として、宇宙と地球大気が混じりあい、宇宙から様々なものがやってくる領域である。このネーミングは、詩的かつ宇宙と地球は完全に区切られているわけではないんだというイメージもつきやすく、いいなと思っている。

 この番組では、ただ宇宙から見た美しい地球の姿を撮影していたわけではない。雷とは逆、上空に向かって閃光が昇る「スプライト」の姿を捉え、まだあまり知られていない謎に迫った。オーロラも、美しいだけではなく、太陽風と地球大気のせめぎあいの姿を映し出した。そして流星。地球へ落ちる・吸い込まれるように見える流星の姿は新鮮だったし、宇宙塵で様々なものを運んでいたことも新鮮な驚きだった。そして、それらをISSからハイビジョンカメラを操作し、撮影していた古川聡宇宙飛行士。このカメラはNHKのカメラマンでもなかなか使いこなせるまでには時間がかかるカメラだそうだが、古川さんは訓練の合間に練習し、そしてISSでもミッションの合間に撮影したそうだ。スプライトもオーロラも、流星もいつ見えるかわからない。地上から見えそうなチャンスを予測して、ISSの古川さんに送り、その時間帯を狙ってもらうことも多かったそうだ。そんな撮影の裏話も書かれていて、撮影されたものはとても有難い映像だと感じる。

 内容は番組とほぼ同じですが、上記のように番組には出てこなかった裏話なども出てきます。放送された番組よりも、スプライト、オーロラ、流星、それぞれを追い続ける研究者たちのドキュメントと、科学的なことのほうに重点が置かれている内容です。各章の最後で、その専門家の寄稿文が載っていて、それが面白い。カラー写真も多数。映像と同じように見惚れてしまう。

 この本を読んで、また番組の録画を見直したくなったし、番組では語られなかったことも書かれていて興味深い本でした。巻末には古川さんのインタビューもあります。

 宇宙もまだまだ解明できていないことがたくさんありますが、地球、宇宙と地球の間の「宇宙の渚」で起こっていることにも、まだまだ解明できていないことがたくさんある。ISSには、このハイビジョンカメラは今も設置してあります。また、その謎の解明のヒントになるような映像が撮れればいいなと思います。

・「宇宙の渚」生放送の時の記事:宇宙と地球の間のグラデーション 「宇宙の渚」
by halca-kaukana057 | 2012-08-20 23:49 | 本・読書

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by 遼 (はるか)
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