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つらい時、いつも古典に救われた

 昨年読んだ本の感想を書ききれてない…読書カテゴリでは、しばらくは昨年読んだものについて書く予定です。昨年は大河ドラマ「平清盛」を1年通して観ていたのですが、観て古典文学にも興味を持った。高校の時の教科書や資料・参考書を引っ張り出して読んでいたが、もっと読みたい。教科書には出てこなかった作品も読みたい。でも、古典文学の世界は広大…さてどうしよう…と思っていた時に、本屋さんで見つけた本です。
・音楽中心に書きましたが「清盛」話:音楽で語る・振り返る「平清盛」


つらい時、いつも古典に救われた
清川 妙/早川茉莉:編/筑摩書房・ちくま文庫/2012

 著者の清川妙さんは古典文学に関するエッセイや、「万葉集」「枕草子」などの講座、講演活動をされている方。子どもの頃から古典文学に親しんでこられたそう。きっかけは百人一首。子どもの頃から親しんでいれば、古語にも抵抗なくどんどん読んでいけるのかなぁ。古語の響きはとても好きですし、口語とは異なるニュアンスも、これが日本古来のもの、”日本人の心”と感じて好きなのですが、文法に慣れないと難しいと感じてしまう。中学・高校の古典の授業は、受験向け文法の問題を解くのも多くて、そこはあまり楽しくなかったなぁ…。それを思うと、今は小学校から古典文学に”親しむ”ようになっていて、NHK教育で「おはなしのくに クラシック」という小学生向け古典文学番組(学校放送なので学校で教材として使われることを前提としています)もある。時代は変わったなぁ。私もこんなところから古典文学を始めたかった。

 本のことから話がそれました。この本では、清川さんのこれまでの著作から、「枕草子」や「徒然草」「万葉集」を中心に紹介、現代に生きる私たちにも描かれている情景や心情、心の持ち方は通じるということが書かれています。

 この本でなくても、古典作品を読んでいると「昔の人も、今と同じようなことを考えていたんだな…」と思うことがよくある。季節の移り変わり、自然、天候、人々の姿、人との関わり、恋愛、生きること…。全く同じではないけれど、根底にあるものは同じなんだなと思う。そのような身の回りのことを和歌に詠んだり、随筆や日記として書く。その視点・目のつけ方、著者が感じたこと、考えたことが、今の自分にも「わかる」と思える。「いいな」「いいよね」と同意、納得する。

 また、その目の付け所に驚かされる。科学技術が発達し便利になった現代では見落としてしまいがちな、ささやかな四季の移り変わり、身近な光景、夜の暗さと月・星の明るさ(これは、一度でいいからこの時代の夜空を観てみたいと思う。光害が全く無い夜空の星と月…どんな風に見えるだろう)。小さな発見に心から驚き、喜び、楽しんでいる様。「枕草子」の清少納言の、好奇心と繊細で機敏な感覚に溢れる文章は、確かに読んでいる側も楽しくなってしまう。

 楽しさだけではない。かなしさ、さみしさ、わびしさ、むなしさ…そんな場面や心情も豊かに表現される。ここも、「今と同じだなぁ」と思うところがたくさんある。

 読んでいて、古典文学をますます読みたくなる本でした。私も、古典にもっと親しみたい。音楽ならクラシック音楽に親しんでいるのに(でも、「クラシック音楽」と一言で言っても、古典文学に当たる「クラシック音楽」はどの時代までだろう?バロック、古典派あたり?ロマン派も入るかなぁ?時代は19世紀と、古典文学から見ると随分新しいけど…わからなくなってきた…)。まずは親しみやすいものから、色々読んでみよう。

・NHK教育(Eテレ)「おはなしのくに クラシック」について:学校放送注目の新番組2選 「おはなしのくに クラシック」&「メディアのめ」
by halca-kaukana057 | 2013-01-08 22:46 | 本・読書

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by 遼 (はるか)
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