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ぼくらの中の発達障害

 先日、NHK「クローズアップ現代」でも取り上げられた発達障害。よく聞くけれども、よく知らない。話を聞くと、「これは自分にも当てはまる?」と思ってしまうこともある。そんな中で、この本を読みました。

NHK:クローズアップ現代:“大人の発達障害” 個性を生かせる職場とは?
 ↑番組の全文を掲載しています。


ぼくらの中の発達障害
青木省三/筑摩書房・ちくまプリマー新書/2012

 まず、この本で主に扱っている「発達障害」は、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群といった「広汎性発達障害」「自閉症スペクトラム障害」と呼ばれているもの。注意欠如・多動性障害(ADHD)や学習障害(LD)も少し紹介されています。

 先述した「クローズアップ現代」や、そのほかの場面で、発達障害と定型発達(障害が無い人のことを、この本では「定型発達」と表記しています)はどう違うのだろう?どこが境界なのだろう、何が障害で何が障害ではないのだろう…?と疑問に思ったことがある。

 そのことに関しての記述がとても興味深く、またわかりやすかった。人と交わることや集団に入ることがうまくできない対人関係・社会性の障害。言葉を中心としたコミュニケーションや、いわゆる「空気を読む」といったことがうまくできないコミュニケーションの障害。こだわりが強く新しいことや状況の変化に強い不安や恐怖を抱くこだわり、想像力の障害。これらを主とする障害が、強めに出ているか。発達障害と定型発達は連続しているもの、と書いているところになるほどと思った。発達障害かと思う場合でも、グレーゾーンのような場合も多いそうだ。程度の軽い人、はっきりしない人、発達障害の特徴を持っていても普通に社会生活を送っている人もいる。境目はなく連続していると著者は考えていて、「これは自分にも当てはまる?」と思ったこともこれで納得。

 しかし一方で、発達障害の人々のものの見方や考え方は、定型発達の人のものとは全く異なるということも忘れてはならない、と。「自分とは異なった思考・行動・生活の様式を持っている」という意味での「文化」という表現を使っているのにもなるほどと思えた。

 更に中身を読んでいくと、広汎性発達障害を持つ人は他者との交流を避けがち、ひとりでいるほうがいいと思っていたのだが、そうとも限らないそうだ。著者が出会った発達障害をもつ人々の例を読んでいて、痛切な気持ちになった。「いつもひとりでいるのが好き」というわけでもなく、「友達とうまく話せない、友達の中にうまく入っていけない」、ひとりでいるほうが楽という意味でひとりがいいと思う。でも実際は、学校でできた友達と音楽など好きなものを共有し楽しんだり、同級生が話している冗談が分からず苦しかったが、先生や友達のサポートで楽になり学校が楽しくなったといったように、友達との交流を発達障害を持つ人も求めていて、その交流で穏やかに生活できるようになったということもある。ただ、定型発達の人とは異なる「文化」を持っていて、友達を作りたい、友達の輪に入りたいけど、うまく出来ずに悩む。これは定型発達の人でも思い悩むこと。やはり発達障害と定型発達は連続していて、でも異なる「文化」を持っているのだなと思う。

 第6章「発達障害を持つ人たちへのアドバイス」は、発達障害を持っている人にも、定型発達の人にも読みやすくわかりやすい内容になっていて、急いでいる時はここから読むことも出来る。本当にわかりやすい。筆者がイギリスに留学した時、英語でのコミュニケーションがうまく取れなかったこと、イギリス独特の文化になかなか馴染めなかったことと発達障害を関連付けて話しているのが、身近に感じられて分かりやすい。

 読んでいて、「クローズアップ現代」でも論じられていたように、異なる「文化」として、受け入れる、そこから学ぶ、共生する姿勢が必要なのだなと感じました。異なる「文化」として捉えることは、これまでにない新しいものと考えることにもなる。実際、発達障害の人に出会ったら、最初は驚くと思う。その言動に、イライラするかもしれない。そんな時、またこの本を読んで、少しずつ異なる「文化」と共生できたらと思う。


 そういえば、Eテレ・NHK教育でも、発達障害の子どもや先生・家庭向けの番組があります。
NHK:NHK for school:スマイル!
 この番組は小学校低学年向け。中学年~中学生向けだった「みてハッスル☆きいてハッスル」、「コミ☆トレ」が終わってしまったのが残念。「コミトレ」は時々観ていたのですが、やはり「これは発達障害じゃなくても悩むことだよなぁ…」と思ったことが何度も。
 
 ちくまプリマー新書は、中学生高校生向けの新書なので読みやすいです。大人の方も是非。
by halca-kaukana057 | 2013-04-19 22:50 | 本・読書

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