2013年 07月 10日
チェロの木
久しぶりに絵本です。
チェロの木
いせ ひでこ:著・イラスト/偕成社/2013
「わたし」のおじいさんは、森の木を育てる仕事をしていた。とうさんはヴァイオリンやチェロをつくる職人。少年時代の「わたし」は、とうさんのつくったチェロを弾くチェリストに出会った。また、「わたし」はおじいさんが木を育てていた森に行くのが好きだった。そこで、森の音を聞くのが好きだった。
表紙の絵で引き込まれました。そして、中を観てますます引き込まれました。透明でやわらかい絵から、音楽が聞こえてくるようです。
触ったことはないのですが、ヴァイオリンやチェロ、ヴィオラ、コントラバスなどの弦楽器には憧れます。その形も美しいし、音色も煌びやかなヴァイオリンから、甘くあたたかいヴィオラ、渋く時につややかなチェロ、オーケストラをその低音で支えるコントラバス。クラシック音楽だけでなく、ジャズやポップス、民族音楽でも幅広く活躍する。そして、その音色の元となる、木の色、艶。ストラディヴァリウスのように、何百年経っても、むしろ時が経てば経つほどその音色に深みが出る。弦楽器の魅力です。チェロは、楽器を抱くように演奏するスタイルが、また魅力です。ピアノにはそこまでの「近さ」はないなぁ…。
ヴァイオリンやチェロの職人である「わたし」の父。祖父は森で木を育てる人。そして、父がつくったチェロを演奏するチェリスト。「わたし」は、森に行き、森の木々や風の音、鳥の声などを聞く。そして、森は天候や四季でその表情を変える。そんな森で育った木が、加工されてヴァイオリンやチェロ等の楽器になる。楽器になって、森で聞いた音を歌っているのかもしれない…その部分でハッとしました。何百年経っても、音色に深みが出るのはそこなのかもしれない。樹齢の分聞いた音を、楽器になっても音色として歌い続けているのかもしれない。
音楽は自然から生まれる。音楽の先生は自然。それは誰もが会うことができる。…これは、宮川彬良さんの言葉なのですが、これも思い浮かべました。
(参照過去記事」:音楽が生まれて、還るところ 「宮川彬良のショータイム」第8回(最終回)
この最後「風のオリヴァストロ」の部分。「コンチェルタンテⅡ」のテーマ曲でもある「風のオリヴァストロ」。新日本フィルとのコンサートでは、森の演出の中でこの曲が演奏されます。生で聴きたい…!)
そして、祖父、父、チェリスト、「わたし」と、森と木とチェロと音楽、そして人は、繋がって続いてゆく。後半の流れがいいなと何度も読み返しました。
チェロが聴きたくなる、特にJ.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲」が聴きたくなります。もしくは、森に行きたい。自然に触れたいです。
少し前から波の音や、森の中の小川のせせらぎの音、小鳥のさえずり、雨の音など自然音を聴くのが多いのですが、この本を読んで、自然の音楽なんだなと感じています。
チェロの木
いせ ひでこ:著・イラスト/偕成社/2013
「わたし」のおじいさんは、森の木を育てる仕事をしていた。とうさんはヴァイオリンやチェロをつくる職人。少年時代の「わたし」は、とうさんのつくったチェロを弾くチェリストに出会った。また、「わたし」はおじいさんが木を育てていた森に行くのが好きだった。そこで、森の音を聞くのが好きだった。
表紙の絵で引き込まれました。そして、中を観てますます引き込まれました。透明でやわらかい絵から、音楽が聞こえてくるようです。
触ったことはないのですが、ヴァイオリンやチェロ、ヴィオラ、コントラバスなどの弦楽器には憧れます。その形も美しいし、音色も煌びやかなヴァイオリンから、甘くあたたかいヴィオラ、渋く時につややかなチェロ、オーケストラをその低音で支えるコントラバス。クラシック音楽だけでなく、ジャズやポップス、民族音楽でも幅広く活躍する。そして、その音色の元となる、木の色、艶。ストラディヴァリウスのように、何百年経っても、むしろ時が経てば経つほどその音色に深みが出る。弦楽器の魅力です。チェロは、楽器を抱くように演奏するスタイルが、また魅力です。ピアノにはそこまでの「近さ」はないなぁ…。
ヴァイオリンやチェロの職人である「わたし」の父。祖父は森で木を育てる人。そして、父がつくったチェロを演奏するチェリスト。「わたし」は、森に行き、森の木々や風の音、鳥の声などを聞く。そして、森は天候や四季でその表情を変える。そんな森で育った木が、加工されてヴァイオリンやチェロ等の楽器になる。楽器になって、森で聞いた音を歌っているのかもしれない…その部分でハッとしました。何百年経っても、音色に深みが出るのはそこなのかもしれない。樹齢の分聞いた音を、楽器になっても音色として歌い続けているのかもしれない。
音楽は自然から生まれる。音楽の先生は自然。それは誰もが会うことができる。…これは、宮川彬良さんの言葉なのですが、これも思い浮かべました。
(参照過去記事」:音楽が生まれて、還るところ 「宮川彬良のショータイム」第8回(最終回)
この最後「風のオリヴァストロ」の部分。「コンチェルタンテⅡ」のテーマ曲でもある「風のオリヴァストロ」。新日本フィルとのコンサートでは、森の演出の中でこの曲が演奏されます。生で聴きたい…!)
そして、祖父、父、チェリスト、「わたし」と、森と木とチェロと音楽、そして人は、繋がって続いてゆく。後半の流れがいいなと何度も読み返しました。
チェロが聴きたくなる、特にJ.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲」が聴きたくなります。もしくは、森に行きたい。自然に触れたいです。
少し前から波の音や、森の中の小川のせせらぎの音、小鳥のさえずり、雨の音など自然音を聴くのが多いのですが、この本を読んで、自然の音楽なんだなと感じています。
by halca-kaukana057
| 2013-07-10 22:49
| 本・読書