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魔女の宅急便 (原作)

 ジブリアニメで、特に好きな作品は?と聞かれたら、「魔女の宅急便」は必ず入ります。キキが奮闘し、悩みながらもお届けもの屋さんの仕事をし、壁にぶつかり、成長してゆく姿は何度観ても素敵ですし、感動します。「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」(調べて、このキャッチコピーが糸井重里さんによるものだと初めて知りました!)の言葉も大好きです。

 と書いておいて、今まで角野栄子さんの原作を読んでいなかった。読もう読もうと思いつつ。そしたら、角川文庫から文庫版が。いい機会だから読もう。


魔女の宅急便
角野栄子/角川書店・角川文庫/2013(単行本は福音館書店・1985)

 13歳の少女、キキ。キキのかあさん・コキリさんは魔女。とうさん・オキノさんは普通の人間、魔女や妖精のことを研究している民俗学者。3人は小さな町で暮らしていました。魔女になる少女は、13歳の満月の夜、ひとり立ちをして、魔女のいない町でひとりで暮らし始めます。キキも相棒の黒猫・ジジと一緒に、満月の夜ほうきに乗って旅立ち、コリコという大きな海辺の街にたどり着きました。キキが使える魔法はほうきで空を飛ぶことだけ。ひとり立ちした魔女は、自分の魔法で人の役に立ち、少しものをわけてもらうおすそ分けで暮らしていかねばならないのです。キキは、親切にも泊まるところも分けてもらったパン屋さんの粉置場で、お届けもの屋さんを始めます。

 …こう書くと、ジブリアニメとあらすじは大体同じに見えますが…結構違います。旅立った後、キキがどうやってコリコの街にたどり着いたか、コリコの街でお届けもの屋さんを始めて、どんな仕事をするか…。あと、キキのキャラクターデザインが、原作ではロングヘアです。ジブリ版のショートカットも可愛いけど、原作のロングヘアも可愛い。

 原作は、ジブリアニメ版よりも、ユーモラスでゆったりとしていると感じました。「まにあわせ屋さん」のすみれさんの歌や雰囲気、毛糸の腹巻きのお話、コリコの街の大晦日のある大イベントなど。これは原作の物語だからこそ味わえる(アニメにしたら、この味がうまく出ないような)お話だなと感じました。

 その一方で、「魔女」であるキキに対しての、コリコの街の人々の視線や、13歳の少女でもあるキキの一面にも惹かれるものがあります。
 「魔女」に初めて出会うコリコの街の人々。その「魔女」のイメージは、不思議な魔法で悪いことをするようなもの。また、大きな街では、人々は忙しく、魔女だろうとなんだろうと構っていられない。コリコの街に降り立ったキキが、街の人々から投げつけられた言葉が、私もショックに聞こえました。それでも、パン屋のおソノさんをはじめ、キキのことを好きになってくれる人もいる。キキが使える魔法は空を飛ぶことだけ。その空を飛ぶことも万能ではなく、ドジをしたり、困ったことに巻き込まれたり。キキは「魔女」だけど、特別過ぎない「魔女」だと感じられる。これに関しては、キキがひとり立ちして1年目、里帰りできる時になり、里帰りをしてコキリさんに話した言葉が印象的です。
 そして、13歳の少女としてのキキ。空を飛ぶ研究をしている少年・とんぼさんに出会い(その出会いは散々でしたが)、あるとんぼさんの一言が頭から離れなくなる。その一方で、あるお届けものを頼みに来た少女・ミミに対してのキキの感情の揺れが、13歳なのだなと感じます。いや、大人になっても同じ。ただ、キキとミミの素直さ、正直さがとても清々しいです。

 原作、とても面白いです。これは全巻読みます。文庫は第3作まで出ています。第2作はもう読みました。第3作はまだ読み始めです。

魔女の宅急便 2キキと新しい魔法 (角川文庫)

角野 栄子 / 角川書店



魔女の宅急便 3キキともうひとりの魔女 (角川文庫)

角野 栄子 / 角川書店




 ちなみに、もともとの福音館の単行本も、イラストが可愛いです。文庫版のイラストは現代っぽいですが、単行本のイラストも可愛いです。

魔女の宅急便 (福音館創作童話シリーズ)

角野 栄子 / 福音館書店


by halca-kaukana057 | 2013-09-24 22:34 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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