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月へ行きたい (「たくさんのふしぎ」2011年2月号 第311号)

 今日は、十三夜・栗名月。昨日は台風で雨。今日も降ったりやんだりの雨の一日。でも夜になって、晴れてくれました。山では雪が降った寒い夜の空に、月齢12の満月に向かう月が輝いています。

 そんなお月見の日に、この本を。再び福音館書店「たくさんのふしぎ」からです。

福音館書店:たくさんのふしぎ 2011年2月号
「月へ行きたい」(松岡徹:文・絵)
満月の夜、男の子は、月へ行く方法を、あれこれと考えはじめました。巨大な橋を月へわたすのもいいし、風船でとんで行くのもいいなぁ……。さてさて、そんなことで、男の子は月へ行けるのでしょうか? 人類が旅したいちばん遠い場所、月まで38万キロの旅へ、いざ出発!


 月を観て、きれいだなぁと思う人。もっと月をよく見てみたいなぁと思う人。そして、月には何があるんだろう、どうなっているんだろう、行ってみたい、と思う人。この本は、月への行き方について書かれた絵本です。

 月へ行くには、まず地球の重力を振り切って、宇宙へ出なければならない。宇宙へ出るにはどうしたら?すぐさま「ロケット」という答えが返ってきそうですが、何故ロケットでなければならないのか。そんな疑問にも、やさしく答えてくれます。宇宙に行くには、ロケットの仕組みについて、子どもにもわかりやすく解説した本といえば、あさりよしとお「まんがサイエンス2 ロケットの作り方おしえます」「なつのロケット」ですが、この本もいい。漫画と絵本、両方から、ロケットについてアプローチできるので、是非両方とも。

 そして、地球と月の距離も問題。38万km…遠いですが、どのくらい遠いかを身近な単位や乗り物で換算した例えも面白い。発想がユーモラスで、これは子どもたちも楽しめそう。

 地球の重力を振り切って宇宙へ飛び出し、人を乗せて38万kmの距離を往復できるロケット…アポロ宇宙船のサターンV型ロケット。その大きさ、どれだけ燃料が必要なのかを解説したページが、とてつもなく巨大だと思わせてくれる工夫をしていて、私もこんなに大きいんだよなぁ…と思う。そして、ロケットの中身のそのほとんどが燃料であることも。

 これまで月に人を乗せて行ったことのある乗り物はロケットだけ。でも、まだ研究中だけど、別の方法もあるんじゃないか。
1.重力をふりきって地球からとびだせる
2.きびしい宇宙の環境から身を守れる
3.宇宙でもすすむ力をつくれる

 この3つの条件を満たせば。そんな未来の乗り物も紹介しています。「イカロス」のソーラーセイル(宇宙帆船)も出てきます。研究中・試験中の乗り物から、SFの世界のものまで。一見へんてこで「こんなものもあるのか」とちょっと笑ってしまったものもある。ソーラーセイルも元々はSFの世界のもの。だから、今はへんてこだなぁと思っていても、100年、200年後にはもしかしたら実現しているかもしれない…。

 著者の松岡徹さんは、画家・芸術家。宇宙工学方面の方ではない。勿論、宇宙工学を専門としている企業・大学・JAXAの先生方の協力も得ている。描いた人が宇宙工学の専門、もしくは宇宙工学にとても詳しい人ではないからこそ、こんな楽しい発想の絵本を描けたのかもしれない。巻末の言葉を少し引用します。
あの頃より便利な暮らしができるようになったけど、ぼくたち大人はすてきな未来の話をあまりしなくなってしまいました。心配なことはたくさんあるけれど、未来をほんとうにすてきで平和なものにできる第一歩は、やっぱり楽しい想像をたくさんすることだと、ぼくは今も思っています。

 ロケットで宇宙に行くことも、最初は想像の中のものでしかなかった。それを、想像を膨らませ、研究と技術開発を続け、ロケットは宇宙への輸送手段となった。ソーラーセイルも同じく。「イカロス」は技術実証機だけれども、近いうちにもっと大きな、遠くまで行けるソーラーセイルが出来るだろう。楽しい想像をしながら、今日の月を眺めようと思う。

【過去関連記事】
中秋の名月 かつ 満月

まんがサイエンス2 ロケットの作り方おしえます
なつのロケット
by halca-kaukana057 | 2013-10-17 22:01 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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