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ムジカ 2 [完結]

 今年読んだ漫画の感想です。秋ごろに出ていたこの漫画。えっ、これが最終巻?


ムジカ 2
かかし 朝浩/幻冬舎・バーズコミックス/2013

 ヴィーク家で、相変わらず厳しいピアノのレッスンと家事に追われているロベルト・シューマン。クララはますますピアノの腕をあげていた。シューマンの親友となったメンデルスゾーンも、作曲に演奏活動に邁進している。シューマンはそんな中で、自分がどんな音楽家になりたいのかを考えていた。
 家事を追え、メンデルスゾーンとクララの演奏会に走る途中、シューマンは風変わりなフランス人に会う。当時のフランスは革命直後、音楽どころではないのでドイツに来た…と話すその男。ベルリオーズ。「幻想交響曲」を発表したが、パリでも意見が真っ二つ。ドイツ公演を望み、メンデルスゾーンのもとにやってきたが、断られてしまう。ベルリオーズがドイツで音楽活動を出来るため、何故かシューマンも巻き込まれ、道を探す2人だが…。


 2巻、強烈な音楽家が2人登場します。まず前半はベルリオーズ。ロックンローラーのようなキャラクターデザイン。台詞も音楽観も強烈です。「幻想交響曲」そのものが強烈ですからね…。そしてもうひとり、後半では18歳のワーグナーも登場します。まだ楽劇を書きはじめる前のワーグナー。こっちも強烈です。もう自分の世界に完全に入ってしまっています。

 こんな強烈な音楽家2人と出会い、シューマンもクララも影響を受けないわけがありません。音楽が好きで、音楽は楽しい、そう思っているシューマン。しかし、ベルリオーズも若きワーグナーも、それぞれの音楽観を持って、孤高でいる。そんな2人に、シューマンは様々な手で近づこうとする。まだ、作曲家としてのシューマンは描かれていない(描かれずに終わった…)のですが、このロマン派の音楽界を俯瞰するように評論活動もしていたシューマンらしい一面がうかがえます。クララも、そんなシューマンとともに、ピアニストとして成長してゆく様が一途でみずみずしい。時に一途過ぎるところもあるけれど、素直で情熱家なシューマンとちょうどいい。

 さて、シューマンとクララの物語はこれから…と思っていたら、ここで完結です。えっ、作曲家となり、苦難の末にクララと結婚。ショパンは?ブラームスは?ダヴィド同盟、評論活動は…?シューマンの人生はこれからが面白い、どう描くのか気になっていたのですが…残念です。
 ただ、ベルリオーズと若きワーグナー。特に楽劇を書き始める前のワーグナーの話は興味深かった。こんな方向から見るシューマンの人生も、面白いかもしれない。勿論フィクションはかなり入ってます。史実も入ってます。
・1巻:ムジカ 1
by halca-kaukana057 | 2013-12-27 21:20 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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