2014年 01月 11日
吹雪の中で 冬の青森県立美術館
久々に行きたくなったので行きました。青森県立美術館。昨年夏の「種差」展以来です。
現在開催中の特別展「日本の民家」展。常設展も今日は観ます。
あの白い建物が、真っ白な雪原の中に。全部白。
美術館に向かって歩いていると、徐々に吹雪いてきた。建物の屋根の雪が吹き飛ばされている。
美術館入り口も風が強く、吹雪に。寒いけど見惚れてしまった。
◇青森県立美術館:日本の民家 一九五五年 二川幸夫・建築写真の原点
まずは特別展の「日本の民家」展。建築写真家・二川幸夫と、建築史家・伊藤ていじによる、1950年代の日本各地にある古い・歴史的な民家の写真を集めた「日本の民家」全10巻。それを元にした展覧会。
中に入って驚きました。写真の展示の仕方が斬新!普通は壁に一枚ずつかけていくのですが、ワイヤーで天井から吊るしてそのまま床に固定し、写真は宙に浮いているかのよう。しかも、整列させてではなく、迷路のように展示してあるのでますます不思議な空間。青森県美の特別展展示室の土の壁と、モノクロの写真がよく似合っていた。
1950年代は、戦争からの復興と、1960年代からの高度経済成長期の狭間の時代。そういえば、この時代のことをよく知らなかった。高度経済成長期に向けて、都市部は大きく変化していったであろう時代。一方で、地方、農村には、昔ながらの民家が残っていて、人々が暮らしていた。戦争の被害も無く、よく残っていてくれたなぁと思った。人々の生活の様子が写っている写真もあるが、民家だけの写真も多く、当時ここでどんな暮らしをしていたんだろうと思いながら観ていました。
そして、これらの民家を探しに全国各地を歩いた二川氏と伊藤氏の2人。時代の流れとは正反対の民家を見たい、その姿を残したいと撮影して歩いた。その情熱も感じました。写真がとにかく美しかった。
特別展の後、常設展へ。常設展も、弘前市出身の工藤甲人の特集をしていました。幻想的な鮮やかな絵から、モノクロな絵まで。冬を始まりとして、春を描く作品に、まさに今の季節、外の吹雪を思い出しました。この冬、吹雪の中でも何かをあたためて、春を待つ。北国の精神だなと感じました。
展示室に、千住博さんの著書があったので少し読んだのですが、千住さんは藝大時代工藤氏の指導を受けたことがあったのだそう。その時、工藤氏の絵を幻想的と皆言うけれど、工藤氏にとっては「幻想」ではなかった、「現実」のものだったと話していたことが書かれていて、そんな視点でこれらの絵は描かれたのかと感じました。「幻想」と思うことも、その人にとってはそうじゃないかもしれない。絵に描いてしまえば「現実」になる。絵画、芸術って不思議だな、魅力的だなと感じました。
棟方志功も、いつもと違う展示が。ヨーロッパ、アメリカ旅行に行った時に制作された板画(棟方志功は「版画」ではなく「板画」と表記しました)が展示してある!棟方志功が見た、そして板画で表現したヨーロッパ。フランス・パリもスペイン・マドリッドもあの志功の板画になっている。これは初めて観ました。棟方志功の板画といえば、仏教にもとづいたものが多いので、意外でした。「賜顔の柵」はルーブル美術館に展示してあったニケ像からイメージした板画。志功のニケ像はこうなるのか!ととても面白く観ました。これは面白かった!
青森県美といえば、奈良美智「あおもり犬」。雪が降る中、静かに、雪の帽子を被ってたたずんでいました。この雪の帽子は、これから積雪が増えればまた形が変わります。
最後はシャガール「アレコ」をゆっくり観て、外へ。
思い切り吹雪いてました。視界真っ白。いや、この真っ白な中の真っ白な建物がいいんですよ!そして、吹雪の中で春を待ちながら育てるものがある。吹雪の中だからこそ見えるものもある。そんなことを考えながら歩いてました。
でも、やっぱり寒かったw防寒対策はばっちりしていきました。
現在開催中の特別展「日本の民家」展。常設展も今日は観ます。
あの白い建物が、真っ白な雪原の中に。全部白。
美術館に向かって歩いていると、徐々に吹雪いてきた。建物の屋根の雪が吹き飛ばされている。
美術館入り口も風が強く、吹雪に。寒いけど見惚れてしまった。
◇青森県立美術館:日本の民家 一九五五年 二川幸夫・建築写真の原点
まずは特別展の「日本の民家」展。建築写真家・二川幸夫と、建築史家・伊藤ていじによる、1950年代の日本各地にある古い・歴史的な民家の写真を集めた「日本の民家」全10巻。それを元にした展覧会。
中に入って驚きました。写真の展示の仕方が斬新!普通は壁に一枚ずつかけていくのですが、ワイヤーで天井から吊るしてそのまま床に固定し、写真は宙に浮いているかのよう。しかも、整列させてではなく、迷路のように展示してあるのでますます不思議な空間。青森県美の特別展展示室の土の壁と、モノクロの写真がよく似合っていた。
1950年代は、戦争からの復興と、1960年代からの高度経済成長期の狭間の時代。そういえば、この時代のことをよく知らなかった。高度経済成長期に向けて、都市部は大きく変化していったであろう時代。一方で、地方、農村には、昔ながらの民家が残っていて、人々が暮らしていた。戦争の被害も無く、よく残っていてくれたなぁと思った。人々の生活の様子が写っている写真もあるが、民家だけの写真も多く、当時ここでどんな暮らしをしていたんだろうと思いながら観ていました。
そして、これらの民家を探しに全国各地を歩いた二川氏と伊藤氏の2人。時代の流れとは正反対の民家を見たい、その姿を残したいと撮影して歩いた。その情熱も感じました。写真がとにかく美しかった。
特別展の後、常設展へ。常設展も、弘前市出身の工藤甲人の特集をしていました。幻想的な鮮やかな絵から、モノクロな絵まで。冬を始まりとして、春を描く作品に、まさに今の季節、外の吹雪を思い出しました。この冬、吹雪の中でも何かをあたためて、春を待つ。北国の精神だなと感じました。
展示室に、千住博さんの著書があったので少し読んだのですが、千住さんは藝大時代工藤氏の指導を受けたことがあったのだそう。その時、工藤氏の絵を幻想的と皆言うけれど、工藤氏にとっては「幻想」ではなかった、「現実」のものだったと話していたことが書かれていて、そんな視点でこれらの絵は描かれたのかと感じました。「幻想」と思うことも、その人にとってはそうじゃないかもしれない。絵に描いてしまえば「現実」になる。絵画、芸術って不思議だな、魅力的だなと感じました。
棟方志功も、いつもと違う展示が。ヨーロッパ、アメリカ旅行に行った時に制作された板画(棟方志功は「版画」ではなく「板画」と表記しました)が展示してある!棟方志功が見た、そして板画で表現したヨーロッパ。フランス・パリもスペイン・マドリッドもあの志功の板画になっている。これは初めて観ました。棟方志功の板画といえば、仏教にもとづいたものが多いので、意外でした。「賜顔の柵」はルーブル美術館に展示してあったニケ像からイメージした板画。志功のニケ像はこうなるのか!ととても面白く観ました。これは面白かった!
青森県美といえば、奈良美智「あおもり犬」。雪が降る中、静かに、雪の帽子を被ってたたずんでいました。この雪の帽子は、これから積雪が増えればまた形が変わります。
最後はシャガール「アレコ」をゆっくり観て、外へ。
思い切り吹雪いてました。視界真っ白。いや、この真っ白な中の真っ白な建物がいいんですよ!そして、吹雪の中で春を待ちながら育てるものがある。吹雪の中だからこそ見えるものもある。そんなことを考えながら歩いてました。
でも、やっぱり寒かったw防寒対策はばっちりしていきました。
by halca-kaukana057
| 2014-01-11 23:06
| 興味を持ったものいろいろ