2014年 01月 16日
[原作小説]魔女の宅急便 3 キキともうひとりの魔女
小説「魔女の宅急便」シリーズ、読み続けています。3作目です。2作目から間が開いてしまいました。
・1巻:魔女の宅急便 (原作)
・2巻:[原作小説]魔女の宅急便 2 キキと新しい魔法
魔女の宅急便 3 キキともうひとりの魔女
角野栄子/角川書店・角川文庫/2013
(単行本は2000年・福音館書店より。その後2006年福音館文庫に)
キキがコリコの街にやってきて4年目。キキは16歳に。お届けもの屋さんも、くしゃみの薬も、コリコの街の人々にすっかり馴染んでいた頃。ある日、おソノさんのパン屋さんに不思議な、変わった少女がやって来る。黒い服を着た少女。それから、キキやおソノさんの周りで不思議なことが起き始める。そしてその黒い服の少女…ケケという12歳の少女が、キキが住む部屋に転がり込んできた。ケケは自分を魔女だといい、キキの「魔女のしるし」は何だと問う。更に、魔女はひとつの街にひとり、ということも昔からの決まりとは何なのかと問う。困惑しつつもケケと暮らすことになったキキ。更に、奇妙な依頼で「おわりのとびら」という謎めいた本を預かることになってしまった。ケケは、キキの暮らしの中で天真爛漫に動き、ジジやおソノさんやとんぼさんたちとも親しくなり、不思議なことが起こる。キキはケケが何者なのか、そして何をしようとしているのかわからず心が乱れてゆく…。
2巻で魔女としてもっと成長したいと思い、くすりぐさを育て、くしゃみの薬をつくり人々に配りはじめたキキ。それから1年後、キキも16歳になりました。そんなキキの前に現れたケケという12歳の女の子。この3巻は最初読んで、ケケが一体何者なのか、ケケに振り回されるキキを見ているのがつらくて、よくわからなかった。その後何回も再読して…未だにケケが何者なのか、ケケは「魔女」なのか、魔女だとしたらどんな魔法を使えるのか、謎の本「おわりのとびら」は一体何なのか、「おわりのとびら」の言葉は何を言おうとしているのか…わからないことだらけなのだが、わからないままでもいいのかもしれない。
どこからやってきたのかもわからない。神出鬼没、天真爛漫、キキしか知らないようなことも何故か知っている。そして、ジジやおソノさんやとんぼさん、飛行クラブの人たちなどキキと親しい人々とも親しくなり、コリコの街の人々の間でももうひとりの魔女がいると評判になる。ケケがいると何か不思議なことが起こり、それがケケの魔法なのかもよくわからない。魔女かと問えば、逆にキキの魔女のしるしは何なのかと聞かれてしまう。ケケの存在そのものが、キキの暮らしや仕事にも影響を及ぼし、キキは困惑するばかり。キキはケケのことが気になり、落ち込みがちになる。そんなキキの不安を見抜いたジジとも大喧嘩をしてしまう。ケケが許せないのか、まだ12歳のケケに振り回されていると思っているキキ自身が許せないのか…。どんどんネガスパイラルに落ち込んでいくキキを見ているのがつらかった。このキキの気持ちはわかる。いきなり出てきて、人の部屋に居候し、それまで順調だった仕事や毎日の生活がその存在で変わっていき、親しい人とまでいつの間にか親しくなっていて、自分がそれまで誇りと思っていたものに口を出す、文句を言う…。随分と酷く書いてしまいましたが、最初読んだ時はそんな風に感じてしまいました。たとえ年下だろうと何だろうと、こんな存在が自分の前に現れるのは御免だ。厄介だ。
と、読んでいたのですが、何回か再読して、ケケの視点だったら、と考えるようにもなりました。ケケ自身、自分が何者なのかよくわからない。はっきりと自分が魔女だとわかっている。親しい人も沢山いる。その魔法で街の人々の役に立っているキキが羨ましくもある。サバサバと気ままにやりたい放題やっているように見えるけど、その心の中では何を思っているのか。見えてこないところが、さみしい、もの悲しくもある。
キキとケケは、お互い鏡のような存在だったのかもしれない。キキはケケに出会って、それまで出したことのない自分の一面を出してしまった。疑いや嫉妬、欲、競争心。ケケはキキの仕事熱心で素直な面、そしてケケにないある存在のことで、キキを羨ましいと思っていた。
そして、キキが悩みに悩んで掴んだひとつの結論。ケケに振り回されていると思っていたが、それはキキ中心の考え方。そのキキ中心の考え方から解放され、キキが自分の本当の気持ち…コリコの街、コリコの人々、そしてとんぼさんへの想いをはっきりと自覚したシーンは印象的です。
2巻までの雰囲気とは少し違うのに私が困惑しましたが、ケケという存在でキキがまた大人になってゆくことが、愛おしく思えます。嫉妬や疑い、競争心や欲、不安、暗さ…思春期から大人になる過程できっと通る道をキキも通っていたんだな。
私は大人になった今も、そんな通る道を行ったり来たりすることがたびたびあります。年齢はいい大人なのに。こんな気持ちになりそう、なってしまった時、またこの本を読もうかと思います。「おわりのとびら」のように。
あと、この3巻の鍵になるのが、歌手のタカミ カラさん。カラさんの歌も思い出したい。カラさんの歌に曲がつくならどんなだろう、カラさんはどんな歌声をしていのだろう。そんなことも想像しました。
・1巻:魔女の宅急便 (原作)
・2巻:[原作小説]魔女の宅急便 2 キキと新しい魔法
魔女の宅急便 3 キキともうひとりの魔女
角野栄子/角川書店・角川文庫/2013
(単行本は2000年・福音館書店より。その後2006年福音館文庫に)
キキがコリコの街にやってきて4年目。キキは16歳に。お届けもの屋さんも、くしゃみの薬も、コリコの街の人々にすっかり馴染んでいた頃。ある日、おソノさんのパン屋さんに不思議な、変わった少女がやって来る。黒い服を着た少女。それから、キキやおソノさんの周りで不思議なことが起き始める。そしてその黒い服の少女…ケケという12歳の少女が、キキが住む部屋に転がり込んできた。ケケは自分を魔女だといい、キキの「魔女のしるし」は何だと問う。更に、魔女はひとつの街にひとり、ということも昔からの決まりとは何なのかと問う。困惑しつつもケケと暮らすことになったキキ。更に、奇妙な依頼で「おわりのとびら」という謎めいた本を預かることになってしまった。ケケは、キキの暮らしの中で天真爛漫に動き、ジジやおソノさんやとんぼさんたちとも親しくなり、不思議なことが起こる。キキはケケが何者なのか、そして何をしようとしているのかわからず心が乱れてゆく…。
2巻で魔女としてもっと成長したいと思い、くすりぐさを育て、くしゃみの薬をつくり人々に配りはじめたキキ。それから1年後、キキも16歳になりました。そんなキキの前に現れたケケという12歳の女の子。この3巻は最初読んで、ケケが一体何者なのか、ケケに振り回されるキキを見ているのがつらくて、よくわからなかった。その後何回も再読して…未だにケケが何者なのか、ケケは「魔女」なのか、魔女だとしたらどんな魔法を使えるのか、謎の本「おわりのとびら」は一体何なのか、「おわりのとびら」の言葉は何を言おうとしているのか…わからないことだらけなのだが、わからないままでもいいのかもしれない。
どこからやってきたのかもわからない。神出鬼没、天真爛漫、キキしか知らないようなことも何故か知っている。そして、ジジやおソノさんやとんぼさん、飛行クラブの人たちなどキキと親しい人々とも親しくなり、コリコの街の人々の間でももうひとりの魔女がいると評判になる。ケケがいると何か不思議なことが起こり、それがケケの魔法なのかもよくわからない。魔女かと問えば、逆にキキの魔女のしるしは何なのかと聞かれてしまう。ケケの存在そのものが、キキの暮らしや仕事にも影響を及ぼし、キキは困惑するばかり。キキはケケのことが気になり、落ち込みがちになる。そんなキキの不安を見抜いたジジとも大喧嘩をしてしまう。ケケが許せないのか、まだ12歳のケケに振り回されていると思っているキキ自身が許せないのか…。どんどんネガスパイラルに落ち込んでいくキキを見ているのがつらかった。このキキの気持ちはわかる。いきなり出てきて、人の部屋に居候し、それまで順調だった仕事や毎日の生活がその存在で変わっていき、親しい人とまでいつの間にか親しくなっていて、自分がそれまで誇りと思っていたものに口を出す、文句を言う…。随分と酷く書いてしまいましたが、最初読んだ時はそんな風に感じてしまいました。たとえ年下だろうと何だろうと、こんな存在が自分の前に現れるのは御免だ。厄介だ。
と、読んでいたのですが、何回か再読して、ケケの視点だったら、と考えるようにもなりました。ケケ自身、自分が何者なのかよくわからない。はっきりと自分が魔女だとわかっている。親しい人も沢山いる。その魔法で街の人々の役に立っているキキが羨ましくもある。サバサバと気ままにやりたい放題やっているように見えるけど、その心の中では何を思っているのか。見えてこないところが、さみしい、もの悲しくもある。
キキとケケは、お互い鏡のような存在だったのかもしれない。キキはケケに出会って、それまで出したことのない自分の一面を出してしまった。疑いや嫉妬、欲、競争心。ケケはキキの仕事熱心で素直な面、そしてケケにないある存在のことで、キキを羨ましいと思っていた。
そして、キキが悩みに悩んで掴んだひとつの結論。ケケに振り回されていると思っていたが、それはキキ中心の考え方。そのキキ中心の考え方から解放され、キキが自分の本当の気持ち…コリコの街、コリコの人々、そしてとんぼさんへの想いをはっきりと自覚したシーンは印象的です。
2巻までの雰囲気とは少し違うのに私が困惑しましたが、ケケという存在でキキがまた大人になってゆくことが、愛おしく思えます。嫉妬や疑い、競争心や欲、不安、暗さ…思春期から大人になる過程できっと通る道をキキも通っていたんだな。
私は大人になった今も、そんな通る道を行ったり来たりすることがたびたびあります。年齢はいい大人なのに。こんな気持ちになりそう、なってしまった時、またこの本を読もうかと思います。「おわりのとびら」のように。
あと、この3巻の鍵になるのが、歌手のタカミ カラさん。カラさんの歌も思い出したい。カラさんの歌に曲がつくならどんなだろう、カラさんはどんな歌声をしていのだろう。そんなことも想像しました。
by halca-kaukana057
| 2014-01-16 22:39
| 本・読書