人気ブログランキング | 話題のタグを見る

[原作小説]魔女の宅急便 5 魔法のとまり木

 読み進めています「魔女の宅急便」原作、5巻です。

・1巻:魔女の宅急便 (原作)
・2巻:[原作小説]魔女の宅急便 2 キキと新しい魔法
・3巻:[原作小説]魔女の宅急便 3 キキともうひとりの魔女
・4巻:[原作小説]魔女の宅急便 4 キキの恋

魔女の宅急便 5 魔法の止まり木
角野栄子/講談社・講談社文庫/2013
(単行本は2007年福音館書店、2013年福音館文庫)

 19歳になったキキ。これまで通り、コリコの町でお届けもの屋さんを続けている。とんぼさんも学校で昆虫や生き物の勉強を続けている。キキはとんぼさんからの手紙をたのしみにしているけれども、好きな昆虫の話ばかり。会えない日々も続いていて、不満を抱えていた。キキは新婦さんのためにベールのお届けものをしたり、町長さんに恋するウイさんの町長さんへのプレゼントを届けたり、そんなことをしているうちにキキととんぼさんの将来のことも考えてしまう。
 そんな中、ジジも白猫に恋をする。その頃から、キキとジジの関係、そしてとある出来事からキキの空飛ぶ魔法にも変化が…。

 キキが19歳、10代最後の年を迎えました。表紙も、扉絵イラストも、大人っぽくなりました。しかし、おてんばでやきもち焼きなところはまだまだ変わっていません。とんぼさんからの手紙は、相変わらず昆虫や生き物のことばかり。一方、キキは…女心ってやつですねぇ…。

 4巻の副題が「キキの恋」。5巻も恋・恋愛がテーマかと思いきや、それだけではありませんでした。キキの魔法に変化が起こります。まず、ジジとの会話。キキとジジは魔女猫言葉で会話している。ジジの声は、普通の人には猫の鳴き声にしか聞こえないが、キキはジジの言葉がわかるし、ジジもキキの言葉がわかる。しかし、ジジに恋人(恋猫?)ができ、ジジは魔女猫言葉で話しているのを普通の猫語に直そうとしている。普通の猫から聴くと、ジジの鳴き声は異なるものだった。魔女猫であるジジを、普通の猫の視点から見たら、聴いたらどう感じるのか。これが面白い。普通の猫とも違うものなのか…。キキがとんぼさんのことを想うのを時に冷ややかに見ていたのに、恋人の猫に惚れるジジもまた、恋は盲目状態。ジジ、人のことを言えない…w

 もうひとつの変化…キキがうまく飛べなくなってしまった。飛べないことは無いのだが、思い通りに高く飛ぶことができない。その原因はこの5巻の冒頭から出てくるのだが、「ほうきにおまかせ」のところで決定的になる。魔女にとって魔法とは何なのか。そして、思い通りに飛べなくなった理由の解釈も面白い。それが、5巻の副題の「魔法のとまり木」。

 私たち一般人も、様々な分野の第一線で活躍する人も、どんなに得意なことがあっても、スランプに陥ることがある。なぜかうまくいかない。いつも通りにやっているはずなのに、手応えがないと感じたり、不調に陥る・失敗ばかりしたりする。何とかしようと焦り、もがけばもがくほど蟻地獄のように更なるスランプにはまってゆく…。そんな時、原因は何だろう、どうしたらいいだろうと悩む。基本に立ち返ったり、開き直って休んだり、いつもと違うことをして息抜きをしたり。しばらくすると、あのスランプはなんだったんだろうと思うほど、元に戻って驚くことがある。もしかしたら、「魔法のとまり木」のようなことがあるのかもしれない。自分自身を省みる、見つめなおすために。長い目で見るために。

 そんな中でキキはひとつの仕事を引き受ける。デザイナーのサヤオさんのファッションショーを手伝うことに。このサヤオさん、とてもキザ。その態度に反感を抱くキキだが、話を聞くうちにサヤオさんの考えとキキ自身の考えが似ていることに気付く。魔女は、この世界に不思議があることを感じてもらう存在でもある。そしてサヤオさんのデザインしたドレスの色が、そんな世界の不思議と美しさを表現していて…この部分にとても惹かれました。
 あと、「海のかぎ」も。解明されない不思議があると謎を解きたくなりますが、そのまま不思議にしておくのもいいのかもしれない。

 そして、キキは20歳に。とんぼさんも学校を卒業し、卒業後の進路も決定。キキとの未来も…。

 次はいよいよ最終巻。15年後に一気に飛びます。
by halca-kaukana057 | 2014-05-02 21:46 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31