人気ブログランキング |

最近、空を見上げていない

 ツイッター経由で見つけ、気になっていた本です。

最近、空を見上げていない
はらだ みずき/角川書店・角川文庫/2013

 小さな出版社の営業担当の作本龍太郎と、チェーン書店の副店長の野際は、ある日、文芸担当の書店員・保科史江は書棚の前で涙を流しているのを見てしまった。その後、保科は書店を辞めると野際に伝え、静かに書店を去っていった。野際は、ただ本を並べるのではない彼女のつくる書棚が好きだった。一体保科は何故涙をながしていたのか…。

 作本を中心に、出版社と書店、本を巡る短編が4作収められている本です。本と書店が舞台の物語…それだけで気になりました。本と書店が舞台の物語と言えば、漫画「本屋の森のあかり」(磯谷友紀)。この「最近、空を見上げていない」は、出版社の営業マンの視点が中心の作品です。本を直接人に届ける書店とは違う、本に想いを寄せ本でつながる人々が描かれます。

 本は、不思議なもの、存在だと感じる。誰かにとっては、ただの紙に何か書かれたものでしかないかもしれない。でも、その本を心待ちにして大切に読む人がいる。その本がきっかけになって、誰かと出会うこともある。書いてある内容でも、その本を書いた人でも。

 私は、本を読むの好きで、書店や図書館にいるのが好きだ。だが、その本がどうやって書かれ、どうやってつくられ、どうやって書店や図書館に並び、私の手に届くのか…それについてはよく知らない、詳しいことはわからない。そのひとつひとつの過程の中に、想いを込めながら、本を届けようとしている人がいる。作本は、出版社の営業として、そんな仕事をしている。売る、というよりも、届ける。実際、売れればそれが一番いい。売れなければ、出版社も、書店も、どんどん数が減ってしまうのだから。その分、本に出会うチャンスも少なくなる。作本たちが、本を通して、様々な想いを届け、人をつないでいる姿に、この本もそんな想いの中で私の手の中にあるのだなと思う。

 作本が、表題作でこんなことを考えているシーンがある。
簡単にあきらめてはつまらない。どこかでその本を必要としている人がいるかもしれない。
(115ページ)

 次々と新刊が出て、すぐに絶版になってしまう本も少なくないこのご時勢…なんと厳しいことか。読みたいと思っている人は少ないかもしれないけど、いるんだよ。本はただのモノじゃないなと実感する。
 そして、この言葉は、本だけに限らないな、とも思うのです。
by halca-kaukana057 | 2014-06-25 22:12 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31