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視野が増え広がれば、この世の中はつまらないものじゃない 人形劇「シャーロックホームズ」第1話

 始まりました。人形劇「シャーロックホームズ」(脚本:三谷幸喜)、レギュラー本放送。これまで3月、8月に先行放送されてきましたが、今日からNHK教育(Eテレ)で毎週放送です。第1話からやります。
NHK:シャーロックホームズ
 ↑第1話から最終回・第18話までのタイトルリストもありますよ。第5話までと第11話が先行放送で放送したもの、第6話から完全新作です。


 放送の前に、お昼前の「NHKとっておきサンデー」で、人形劇の魅力、と題してNHKで現在放送している人形劇の制作舞台裏などを紹介していました。学校放送・小学校低学年道徳番組の「ざわざわ森のがんこちゃん」、新しく始まった「銀河銭湯パンタくん」、そして「シャーロックホームズ」。全部スタジオ・ノーヴァの制作です。躍動的なシーンの演出・魅せ方、小道具や美術、セット、印象的な場面にするための工夫…前回の記事でも書きましたが、少し人形劇に関わったことがある者としても、純粋に観ても、人形劇って楽しいなぁ、面白いなぁ、奥が深いなぁ、と感じました。
・前回の記事・直前SP&公式ガイド:
NHK人形劇「シャーロックホームズ」本放送直前特番&「冒険ファンブック」



 前置きが長くなりました。第1話「最初の冒険」(前編)。ホームズとワトソンの出会い、ワトソンから見た奇妙な学校・不思議なホームズ、ワトソンが巻き込まれた事件をきっかけにワトソンが目の当たりにしたホームズの推理力を中心に描いていきます。先行放送を観た時は、原作(正典)を読んだことも知識も一切無く、そんな状態で楽しみました。今日までの間に、原作を読み、他の映像化作品(グラナダ「シャーロック・ホームズの冒険」、BBC「SHERLOCK」)を観て、基礎知識もある程度仕入れてきました。その状態で観ても面白い。原作のこの点を用いて応用しているのか、ここは原作をちょっと変えてる、そんな見方が増えました。

 勿論、純粋にこの人形劇としての、ホームズやワトソンが15歳の少年で学園ものとしての「シャーロックホームズ」そのものも楽しめる点がたくさんある。ホームズの美少年っぷり。山寺宏一さんの声もかっこいい。変わり者でクールだけれども、真実を追究する熱さを内に抱き、それを鋭い推理で放つ。例え相手がモリアーティ教頭だったとしてもひるまない。強い。そんなホームズに惹き込まれます。

 一方のワトソン。オーストラリアからはるばる転校してきて、入った寮の変わり者と有名なルームメイトに、何も話してないのに全て見抜かれる。前の学校ではラグビー部に所属し、ラグビー選手を目指していた(ワトソンがラグビー選手だったというのは、原作で出てきます。「サセックスの吸血鬼」をどうぞ)。しかし、足の怪我で引退。ラグビーの道を絶たれ、失意と自暴自棄の毎日。この失意のワトソンが、本当に辛い。似たような挫折を経験したことがあるので、傷が疼きます…。そこに現れたホームズ。鋭い観察眼で世の中を、学校での出来事を見て、奇妙で面白い、と楽しんでいる。ワトソンの視点に、ホームズが見ているもの、ホームズの視点が加わり、ワトソンの視野が広がる。将来への希望を失い、失意の中にいる前半、ホームズの視点が加わり、ラグビーとは異なる道を見出した後半。このワトソンの変化は、何度観ても励まされます。ワトソンの無罪が晴れた後の、ホームズの言葉も励まされます。
「君が思っているほど、この世の中はつまらないものじゃない」

 一面しか見ていなければ、その一面が「つまらない」と感じたら終わりだ。でも、ホームズには、多面に、多層に見えている。これから、ワトソンもそのホームズの視点を一緒に見ていくことになる。今回は、まだ入り口、まだ始まり。221Bに駆け込んできたレストレード。次の事件の始まりです。

 今回の原作は「緋色の研究」+「六つのナポレオン」。ただ、次回、「最初の冒険」(後編)でもまだ続きます。ベッポが石膏像を壊した理由、レストレードが依頼にやってきた事件。まだ解決してません。本題はここからです。

 しかし、ホームズvs.モリアーティは見どころです。2人の迫力が凄い。モリアーティ教頭の生徒はフルネーム呼び(ワトソンも、ミドルネームの「ヘイミッシュ」を略さず言う)、影のように覆ってくるような静かな迫力の声、話し方。それに対するホームズも、鋭さと真実を貫く強さで対抗する。このシーンがたまらないです。そして、221Bを出た後のモリアーティ教頭の表情…!!先行放送でもまだわからない、今後のモリアーティ教頭。どう化けるのか…。

 ひとつ疑問。指輪を探してほしいと依頼にやってきた女子が、字幕放送では「アガサ」になっていたのですが…6話以降に出てくる新キャラのアガサなのか?石膏像を割るシーンでも、字幕放送で、犯人がわかってしまう罠…。

 以前も書きましたが、この人形劇版を観て面白い!!と思ったら、原作も勿論ですが、人形劇ノベライズも出ているので、全力でおすすめします。本編にはないシーン・台詞、ビートン校の詳しい設定も読めます。そして原作と同じように人形劇本編以上のワトソン視点で楽しめます。ひとつひとつの描写が丁寧です。イラストも、人形のデザインをうまくデフォルメして親しみやすいです。是非どうぞ!
・ノベライズ1巻(1~3話収録)感想:[NHK人形劇小説版]少年シャーロック ホームズ 15歳の名探偵!! +NHK人形劇版

 以前書いたのですが、1~3話にも原作解説とクイズのミニコーナー「シャーロッQ!」をつけてほしいと書いたのですが、無かったですね…。残念。あのアニメが可愛くてだな…。

 以上、今後こんな風に感想を書いていきます。

【追記】
後編・第2話感想書きました+オマケ:終わりと始まり、失意と希望 人形劇「シャーロックホームズ」第2話
 長文です、長いです。オマケも本編です。
by halca-kaukana057 | 2014-10-12 23:20 | Eテレ・NHK教育テレビ

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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