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ムーミン谷の名言集

 昨年は「ムーミン」の作者・トーヴェ・ヤンソン生誕100年。今年は「ムーミン」シリーズ第1作「小さなトロールと大きな洪水」が出版されてから70年。2年続けてのムーミンメモリアルイヤーです。全国各地でトーヴェ・ヤンソンやムーミン関連の展覧会が開催されていたり、フィンランド発の新作映画「劇場版 ムーミン 南の海で楽しいバカンス」が公開されたりと、ムーミン尽くしです(映画は上映館があまりにも遠いため、観にいけていません…DVD待ち…)。
 そんな「ムーミン」の物語のエッセンスをぎゅっと集めたのがこの本。



ムーミン谷の名言集
トーベ・ヤンソン:文・絵/ユッカ・パルッキネン:編/渡部翠:訳/講談社・講談社文庫/2014

 タイトルの通りの「ムーミン」シリーズからの名言集です。文庫本なので、机のすぐ手に取れるところに置いておいて、ちょっとした時間にパラパラと読んでいます。「ムーミン」シリーズの小説全9作だけでなく、漫画「ムーミン・コミックス」、絵本と、「ムーミン」の世界からキャラクターたちの言葉を選りすぐりで掲載しています。ただ選んで載せているわけではなく、なるべく作品をつなげて物語の流れがわかるようにもなっています。ヤンソンによるイラストも一緒に。「ムーミン」シリーズには、ヤンソンの絵は欠かせません。

 この本が面白いところは、元はフィンランド語だったところ。「ムーミン」シリーズは、元々スウェーデン語で書かれています。ヤンソンがスウェーデン系フィンランド人だったため。しかし、この本は、フィンランド語訳の「ムーミン」から日本語訳にしてあります。なので、原語のスウェーデン語から訳した日本語訳の物語の文とはちょっと表現が異なるところがあると思います。本のタイトル、並びに各章のタイトルもフィンランド語というのが面白い。

 この、「ムーミン」とヤンソンとスウェーデン、フィンランドの関係について、以前、「ほぼ日刊イトイ新聞」にて、「ムーミン」とヤンソンについての特集がありました。
ほぼ日刊イトイ新聞:トーベ・ヤンソンの人生を、ぼくたちはもう一度生きる。
 「ムーミン」研究者の森下圭子さんに、作家の重松清さんがお話を聴いています。
 これを読んで、フィンランドにおけるスウェーデン系の人々とはどんな立場に置かれているのかを知りました。シベリウスだってスウェーデン系。スウェーデン系と言うより、「スウェーデン語系」という表現にはなるほどと思いました。

 そんな細かい話はさておき、「ムーミン」の物語の言葉は、人に寄り添う言葉だなぁ、と読んでいて感じます。読みながら、付箋をつけたり、書き出したいところがたくさんあります。その時の気分、心の状態によっても違います。「ムーミン」の世界は不思議な世界。そこで、ムーミンたちは不思議な世界の自然や動きに合わせて、その時を生きて、暮らしている。憂鬱なこと、心配なこと、困ったこと、嘆きや悲しみもあるけれど、流れに任せている。その一方で、果敢に出る時は"冒険"する。そんな「ムーミン」の世界の物語は、何度読んでも面白い。

 名言集とまとめてあるのを読んでいると、実際に自分が「ムーミン」シリーズの物語から好きな言葉、気になった言葉(センテンス)を選ぶとしたら、どれを選ぶだろう?とも思いました。しかし、小説9作でも結構あるのに、絵本と「ムーミン・コミックス」は読んだことがなく、まとめるのは大変だろうなぁ…。「ムーミン」の世界の広大さも実感する一冊です。選ぶのに、迷っただろうなぁ…。
by halca-kaukana057 | 2015-04-08 22:44 | 本・読書

好奇心のまま「面白い!」と思ったことに突っ込むブログ。興味の対象が無駄に広いのは仕様です。


by 遼 (はるか)
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