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歓びを歌にのせて

 めったに映画は観ないのだが、この映画は観たかった。でも公開中に映画館に行けず、DVDレンタルが始まったので借りてきた。


「歓びを歌にのせて」(公式サイト)

 世界的に有名な指揮者ダニエル・ダレウスはコンサートの最中に倒れる。心臓の病気だった。疲れ果て、指揮を辞めたダニエルは少年時代を過ごしたスウェーデンの小さな村の廃校となった小学校の建物を買い、そこに住むことにした。音楽から一線を退くつもりだったが、村の教会の聖歌隊の指揮をしてくれないかと頼まれる。聖歌隊の歌や村のスーパーの店員・レナの歌のカセットを聴いたダニエルは指揮することを決意する。
 聖歌隊はそのレナ他10名程度の老若男女がメンバーだった。ダニエルはコーラスの指導をしたことはなかったが、それぞれの声の美しさとバランスを引き出そうと熱心に指導する。そのレクチャーにメンバーは初め戸惑ったが、次第に音楽の楽しさに惹かれ歌うことに熱心になってゆく。
 だが、その聖歌隊のメンバーたちはそれぞれ様々な問題を抱えていた。例えば以前付き合っていた男に裏切られ、誰にでも優しいけれども次々と恋人を変えるレナ。夫・コニーの暴力に悩むガブリエラ。彼らは歌う中でお互いの気持ちをぶつけ合い、新たな一歩を踏み出そうとしていた。
 聖歌隊は春にコンサートを開く予定だった。ダニエルはガブリエラの歌声に魅了され、彼女がソロで歌う歌を作曲した。ガブリエラが聖歌隊で歌うことをコニーはひどく嫌っている。聖歌隊にいるのを見つかれば暴力を受ける。ガブリエラはそのことを気にやんでソロを受け持つことを拒否したが、ダニエルは彼女を励ましコンサートに向けて練習を進める。


 まず、聖歌隊のメンバーたちの気持ちのぶつけ合いについて。お互いを理解しあわずに歌ってもハーモニーは生まれない。それをダニエルに見破られてしまう。そこで胸に押し込めているものをメンバーたちが吐くのだが、その激しいこと。嫉妬、確執、非難、思い込み…。でも、それを乗り越えて声を、そして心を合わせようとするメンバーたちの成長振りが素晴らしい。何と言ってもコンサートでのガブリエラの歌。映画やドラマではめったに泣いた事がないのに、その歌を聴いて涙してしまいました。

 ダニエルの登場で村は変わる。それを好ましくないと思うものもいる。牧師のスティッグや聖歌隊メンバーのシヴ、ガブリエラの夫コニー。盛り上がる聖歌隊の一方で、私はこの3人の位置に後味を悪く感じた。ただ単にダニエルたちに嫉妬しているとしても、村八分状態というか疎外された状態に何か嫌なものを感じた。自由を感じることが出来ない・自分を解放できない者は輪に入れないというような…。

 最後のハーモニーのシーンは印象的。ダニエルの夢である「音楽を通じて、人の心を開く」ことが叶う。しかし、ダニエルが遅れてくることになった理由がよく分からない。あれでは自業自得では…?

 ガブリエラ役のヘレン・ヒョホルムはスウェーデンでは有名なミュージカル歌手らしい。とにかくその歌声に注目です。スウェーデンの映画なので言語はもちろんスウェーデン語。原題は「Så som i himmelen」。英語に近いみたい。英語のような発音がある。出来ればスウェーデン語の字幕もつけて欲しかった。スウェーデン語は分からないけれども、字幕で追えたら面白いだろうなと思って。スウェーデン語を勉強している人にとってはいいテキストになると思う。7月にはフィンランド映画「ヘイフラワーとキルトシュー」がDVDで出るのですが、そっちはフィンランド語字幕を…無理か。


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「スウェーデン不定期通信でした:歓びを歌にのせて」 
 スウェーデンに留学している方が、現地での評判や現地ならではの視点で感想を述べています。
by halca-kaukana057 | 2006-06-23 21:45 | 興味を持ったものいろいろ

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by 遼 (はるか)
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