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[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう リントゥ&フィンランド放送響

 シベリウス「クッレルヴォ」第2シリーズは今回が最後。第1シリーズの記事でも触れていたのですが、この演奏会に行きたかった。
都響:第842回 定期演奏会Aシリーズ
 東京都交響楽団の11月8日の演奏会。ハンヌ・リントゥ:指揮で「クッレルヴォ」。フィンランド独立100年記念です。男声合唱はポリテク合唱団。日本のプロオケが「クッレルヴォ」を演奏するなんて何十年ぶり?アンコールには「フィンランディア」の男声合唱つき!行きたかったのですが、都合が合わず行けませんでした。

 でも、オーケストラは違いますが聴けます。12月6日、フィンランド放送交響楽団の独立記念日コンサートで、声楽ソロ、男声合唱は同じで演奏されました。フィンランドYLEのオンデマンド配信で聴けます、観られます。
ハンヌ・リントゥ:指揮、フィンランド放送交響楽団
ニーナ・ケイテル(メゾソプラノ)、トゥオマス・プルシオ(バリトン)
ポリテク合唱団
◇音声のみ(1月6日ごろまで公開):YLE Areena:Radio:Konsertteja : RSO:n itsenäisyyspäivän konsertissa Sibeliuksen Kullervo sekä Wennäkosken ja Lindbergin teosten kantaesitykset
◇映像:YLE Areena:TV:RSO Musiikkitalossa : Itsenäisyyspäivän konsertti
 演奏会前半はフィンランドの現代作曲家、ロッタ・ヴェンナコスキとマグヌス・リンドベルイの作品。後半が「クッレルヴォ」です。最後は「フィンランディア」男声合唱つきもあります。独立100年の「フィンランディア」、感慨深いです。休憩時間には、「クッレルヴォ」の解説があります。フィンランド語で何を言っているのかわからないのが残念ですが、ピアノで「クッレルヴォ」を弾いているのは新鮮でした。「クッレルヴォ」ピアノ版を演奏、録音を出しているピアニストっていないのだろうか。大変だろうけど。
 「クッレルヴォ」演奏後、案内役のアナウンサーさんが都響に触れていました。


 フィンランド放送響は、弦の高音がスカッと軽やかなのが印象的なオーケストラ。今回の「クッレルヴォ」では、重厚な音を出しています。高音はスカッと響かせるのですが、低音部はずっしりと太く重い。フィンランドの100年の節目の演奏会。気合や想いがこもらずにはいられません。管もバリバリ吹いていて、聴いていて気持ちがいいです。

 男声合唱のポリテク合唱団。映像を観て驚いた。随分多い。日本に来たのはもっと少ない人数だったらしいけど…。これがフルメンバーなのでしょうか。やわらかく、ハーモニーが心地いいです。今回のクッレルヴォの妹役、ケイテルさんはメゾソプラノ。ソプラノ音域もきれいで、メゾソプラノならではの低音もしっかりしている。クッレルヴォの妹だと明かす部分は、ソプラノとメゾのバランスがいい。不穏なオケに合います。バリトンのプルシオさんは、やわらかめの、テノール寄りな感じ。「クッレルヴォの嘆き」の部分はその前までのクッレルヴォの様子と打って変わって、ゆっくりと、ずっしりと重いです。「クッレルヴォの嘆き」に入る前、かなり休符を取りました。シベリウスは静寂を大事にしたという話が残っていますが、そんな静寂であり、嘆きへの緊張感が湧き上がる静寂だと思います。
 ケイテルさんもプルシオさんも初めて聴きました。また若い「クッレルヴォ」歌いが増えました。
 合唱と声楽ソロは、映像を観ると、歌詞の字幕が入っています。「Kullervo Kalervon poika」と最初は一緒に口ずさんでしまうのですが、この歌詞字幕を見ながら歌えませんでした。フィンランド語難しい!

 第4楽章、金管が大活躍、バリバリとものすごい勢いで吹いています。これ息大変だろう…音程を当てるのも大変だろう…すごいなと聴いていました。弦も負けてはいない。まさに、狂ったように戦に赴くクッレルヴォです。途中、かなしげな部分があるのを、印象的に聴かせています。

 第5楽章、徐々に感情を込めて盛り上がる男声合唱が心を打ちます。いい演奏です。生で聴きたくなるなぁ…。
 フィンランド放送響には日本人楽団員が4人いますが、映像で観ると活躍しているのがわかります。フィンランド独立100年のお祝い演奏会に、日本人も参加できたのは嬉しいことです。都響での公演と同じく、「フィンランディア」も是非聴いてくださいね。

 「クッレルヴォ」は、救いようのない悲劇で、シベリウスは好きでもずっと敬遠していました。でも、そんな悲劇だからこそ伝えられるものがある。そう思いました。
 出来るだけ、色々な指揮者やオーケストラで聴こうと思ってシリーズにしてきましたが、やはりフィンランドがメインになってしまった(フィンランド指揮者が多過ぎる!w)これからも、色々な演奏を聴いていこうと思います。ということで、第2シリーズはこれまで。


【これまでのの「クレルヴォ」特集まとめ】
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その1
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ボーンマス響盤
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その2 P.ヤルヴィ盤
 パーヴォ・ヤルヴィ:指揮、ロイヤル・ストックホルム・フィル盤
もうひとつの「クレルヴォ」
 番外編:レーヴィ・マデトヤの交響詩、アウリス・サッリネンのオペラ
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その3 バレエのクレルヴォ?
 ユッカ=ペッカ・サラステ:指揮、フィンランド国立歌劇場管弦楽団、バレエ付き。
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その4 ヴァンスカ盤
 オスモ・ヴァンスカ:指揮、ラハティ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その5 N.ヤルヴィ盤
 ネーメ・ヤルヴィ:指揮、エーテボリ交響楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その6 パヌラ盤
 ヨルマ・パヌラ:指揮、トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団
[シベリウス生誕150年記念]クレルヴォ交響曲を聴こう その7 ベルグルンド&ヘルシンキフィル盤
 パーヴォ・ベルグルンド:指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう スロボデニューク&ラハティ響
 ディーマ・スロボデニューク:指揮、ラハティ交響楽団 (2017年 シベリウス音楽祭より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう ロウヴァリ&エーテボリ響
 サンットゥ=マティアス・ロウヴァリ:指揮、エーテボリ交響楽団 (2017年の演奏会より)
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう サロネン&ロスフィル
 エサ=ペッカ・サロネン:指揮、ロスアンジェルス・フィルハーモニック
[フィンランド独立100年記念]続・シベリウス クレルヴォ交響曲を聴こう オラモ&BBC響
 サカリ・オラモ:指揮、BBC交響楽団(2015年プロムスでのライヴ録音)

by halca-kaukana057 | 2017-12-20 22:51 | 音楽

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