Im ~イム~ 9

 新刊として出たのは1月だったか…春になる前に感想を書きましょう。


Im ~イム~ 9
森下 真/ スクウェア・エニックス、ガンガンコミックス / 2018

 人間をマガイ化する黒アザの出る薬を仕込まれ、アメン神官団本部の街は大混乱に。それぞれが戦う中、イムは「記憶抹消大魔法(ダムナティオ・メモリアエ)」を使い、街もマガイ化した人々も元通りにする。イムを「救世主」と崇める人々たち。だが、その後イムは倒れ、眠り続けてしまう。再び目覚めたイムを待っていたのは、知らない間に元通りになった街と、イムを「救世主」と呼び讃える人々だった。イムは3000年前、ジェゼルを助けようとした際、「記憶抹消大魔法」を使ったが、それ以後は使わないと決心していた。イムが眠り、記憶を失っている間、何が起きたのか。イムが覚えているのは、九柱神(エネアド)のアトゥムの「器」と会っていたこと。イムは九柱神に会いに行く。そこで、世界創世の神話の真実を知ったイムは…


 9巻も展開が早く、次々と新しい情報が出てきます。一度読んだだけでは覚えきれない、過去のエピソードや伏線を、なんだったっけ…と思い出すのも必要。濃いです。

 イムのおかげで、街も人々も救われた。「何も無かった」ことになった。その結果はよいことですが、イムにとっては信じられない、納得できないこと。イムも覚えていない。記憶に無い。「記憶抹消大魔法」を使ったのは誰…?ということで、その謎解きの旅に。
 その前に、イムはその謎を陽乃芽に話す。もうひとりの自分がいて、それが「記憶抹消大魔法」を使ったのではないか。また、何かが起き、皆の記憶どころか、皆の存在も消されてしまったら…そんな不安を、陽乃芽が吹き飛ばし、背中を押します。大神官で、誰よりも賢く、誰よりも強いイムにも弱みや悩みがあって、それを信頼している人に話すことが出来るようになった。いい友情です(陽乃芽にとっては「友情」ではなく…?)。そして、イムの本心。ジェゼルと仲直りがしたい。これらについては、9巻終盤でも出てきます。

 九柱神と会ったイム。そこで語られるのは、九柱神以前の創世神話。「混沌の八柱神(オグドアド)」、その守護神アポフィスと「記録者」月の神トト。あのアポフィスも神なのか…。そして、「記憶抹消大魔法」の本当の使い道も明かされます。淡々と語るアトゥムに、「神」であるアトゥムに対して怒りをぶつけるイムの言葉がすごくいい。
 イムは今度はトト神に会いに月の宮殿へ。トト神のこれまでと、イムやファラオたちに宰相として仕えていた大神官たちが何なのかが明かされます。そう来たか…。トト神と、イムの対峙。トト神は、あくまで中立で、世界を記録する。しかし、イムホテプは、「親友」ジェゼル王のために、「記憶抹消大魔法」を使った。中立になりきれてなかった…。イムが「お祓い箱」と呼んでいる「月光の魔水晶」の秘密も明かされます。たくさんの謎が明かされるのに、更に新たな謎、情報が出てくる。すごいなぁこの創作世界…。
 再びアポフィス登場。アポフィスがトト神に語ったのは、トト神には信じられないこと。トト神は中立の立場とはいえ、人間と同じように、人格、感情を持っている。イムとジェゼル、トトとアポフィス。「友達」のための戦いが始まります。

 読んでいる側も、イムの真実に混乱しますが、イムの周囲の人々も大混乱。ユート君ですら理解しきれない…。稲羽くんの言う通りなら(これが真実なのですが)、どうやってアポフィスを倒すんだ…?何かアポフィスの弱点、バグでもあるのか?
 そして、上述した、イムの本心、ジェゼルと仲直りしたい、ということも伝えられます。しかし、マガイに肉親を殺された稲羽くんや晴吾たちにとって、それは許せることではない。いくらジェゼルではなくアポフィスの仕業だったとしても、ジェゼルもマガイに関係していた。稲羽くんにとってジェゼルは許すことのできる人ではない。でも、信頼しているイムのことも思うと…。反発しても、「仲間」というつながりがそれを超えていく。かつては晴吾と対立していたイムですが、稲羽くんとも対立し、理解し合えた。ひとりひとりと、こういうシーンがあるのがいいですね。

 ラスト、また非常事態発生。ついにあの人が…!!この人にも悲しい思いのまま終わってほしくない。どうするんだ。10巻を待ちます。ついに10巻まで来たんですねぇ。

・8巻:Im ~イム~ 8
 この9巻は、さらに遡らないとイムの真実や本心にたどり着けません。本当に9巻は濃いです。
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by halca-kaukana057 | 2018-03-23 22:27 | 本・読書

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