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宇宙はなぜ「暗い」のか?

 この本は面白かった。

宇宙はなぜ「暗い」のか? オルバースのパラドックスと宇宙の姿
津村 耕司/ベレ出版/2017


 宇宙は何故暗いのか。夜空は何故暗いのか。え?太陽の光が当たってないから?宇宙は真空だから、光が大気で拡散しないから?星が沢山あるのに…星(恒星)はそんなに密集していないから…?宇宙は広過ぎるから…?違うの?この本を読み始めた時、そう思っていました。わからない。考えたこともない。当然じゃないの?と思っていたら、当然ではないらしい。宇宙はなぜ「暗い」のか?何だか、某テレビ番組でそのうち取り上げられそう、そして答えられない出演者が「叱られ」そうな…。
(【追記 2019.4.5】本当に取り上げられましたよ…「夜はなぜ暗いの?」この本は取り上げられなかったですが、この本の通りの答えでしたよ…答えられましたよ…)

 この本のサブタイトルに、「オルバースのパラドックス」とある。「無限の空間に無限の恒星が一様に散らばっているとしたら、空は太陽面のように明るいはず」ちょっとよくわからない。この本では、森の中の木々に例えて説明している。森の中の木が全て同じ、同じ種類で同じ太さと仮定すると、手前の木は大きく見え、その木の間に奥の木が見えて、その奥の木の間には更に奥の木が見えて…どこまでも木々が、全ての方向に見える。宇宙も同じで、手前の星は明るく見えて、その間にその奥にある星が見え、その奥の星々の間にはさらに遠くの星が見えて、どこまでも、どの方向にも星が埋め尽くされているように見えるはず。
 でも、実際にはそうではない。これが「オルバースのパラドックス」。こういう謎があったのか。

 このオルバースのパラドックスを解明していくのですが、解明する途中で物理学や天文学の様々な法則や知識、歴史を用いて、宇宙や天文の仕組みをひとつひとつ学べるようになっている。これが面白かった。今まで私も学んできたことを確認しながら読みました。金星の満ち欠けが地動説の証拠になったというのは知らなかった。天動説での金星の満ち欠けと、地動説での金星の満ち欠けの仕方は違う。天動説での金星の満ち欠けがどのようなものか知らなかった(天動説でも金星は満ち欠けするという説自体はあったのに驚いた)。皆既・金環日食や金星の日面通過など、ここ数年の天文現象を振り返りながら解説があるのも興味深い。天文現象が何を意味するのか。天文現象を観測した先人はそこから何を見つけたのか。天文現象があると私も宇宙に生きているのだなと思うが、それだけでなく、天文現象の観測はは宇宙と地球の仕組みの解明の鍵になっている。観測にかける研究者の気持ちはいかばかりかと思う。

 オルバースのパラドックスの謎解きまで、近くの宇宙から遠くの宇宙の謎へと移っていくのも面白いが、可視光線や赤外線、紫外線、X線、電波など様々な波長の電磁波から解明していくのも面白い。人間が夜空や宇宙を見て「暗い」と思うのは可視光線だけだが、他の波長で「見たら」どうなるのか。その波長における仮説を解きながら、その波長で「見える」宇宙の姿も明らかにしていきます。その波長を観測できる人工衛星も登場します。

 「オルバースのパラドックス」を紐解く過程で、ブラックホールや重力波、ビッグバンまで出てくる。宇宙、天文学の1から10が学べてしまう。いくつもの謎解きを経て、ついに「オルバースのパラドックス」の謎が解ける箇所はそうだったのか!とスッキリしました。本の中では、結論を先に読みたい人のためにどこを読めばいいかも書いてありますが、最初からひとつひとつ謎解きしていって読むと達成感も味わえる。推理小説のようでもある。実際は、数学的に計算して求めることができるという。それを一般向けに分かりやすく、様々な天文学の知識も吸収しながら読めるのはありがたい。

 「オルバースのパラドックス」がなく、夜空がもし星々で埋め尽くされ、明るかったら、星座も生まれなかっただろう。今の季節なら、オリオン座の雄姿やギラギラと輝くシリウスを楽しめるのは、宇宙が暗いおかげだったんだ。宇宙が暗いことによって、多種多様な恒星や、星雲、銀河の研究も進んだはず。私の中では、宇宙が暗くてよかったという結論になった。宇宙をいつもと違う方向から、一から学べる本です。

by halca-kaukana057 | 2019-01-26 21:59 | 本・読書

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by 遼 (はるか)
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