2019年 04月 10日
[アニメ コミカライズ]宇宙よりも遠い場所 3
アニメが放送されてから1年経ちました。コミック版も完結を迎えます。
宇宙よりも遠い場所 3
よりもい:原作 / 宵町めめ:漫画 / KADOKAWA メディアファクトリー、MFコミックス アライブシリーズ / 2019
南極・昭和基地に到着した「南極チャレンジ」一行。快適な基地での滞在に心躍らせるキマリたち。到着後、結月は母からのメールを受信し、その内容をキマリたちに伝える。出発前に受けたドラマのオーディションに合格し、役をもらえた。日本に帰って、ドラマの撮影が始まればキマリ、報瀬、日向と会えなくなる…。そんな結月にキマリが言った一言「もうみんな親友なんだし」結月はいつから親友になったのか、何をもって親友になったのか、わからず混乱してしまう。考えた末、結月はあるものをキマリたちに差し出した…。
アニメだと10話~13話(最終回)。2巻では語られなかった6話のエピソードもあります。この辺りは毎回ボロ泣きしていたのですが、漫画で読んでもボロ泣きでした。南極で、4人がそれぞれ過去や悩んできたことと向き合う。報瀬が南極を去る際のスピーチで話していた「すべてがむきだしの場所」。押し込めていた感情や想いをさらけ出して向き合った。それには4人の友情が不可欠だった。友情に支えられ、後押しされ、でも最終的に決着をつけるのは自分自身。その様は痛みを伴い辛い。でも、決着をつけた4人の姿はとても爽やかだ。
4人が過去や悩みと決着をつけられたのは、長い旅をしてきたからだと思う。目指すのは南極という地球の果てにある場所。基地の中にいれば基本的に快適だが、極地の自然は日本とは大きく違う。基地を離れ内陸へも旅をしたが、内陸は基地のあるところよりも寒さが厳しく、激しいブリザードに襲われる。そこで、報瀬の母・貴子は消息を絶った。厳しい環境で生きるには、協力し支えあわなければならない。ケンカをしていがみ合っていたら危険な状況になった際、命を落としかねない。また、集団生活で行動も制限される。同じ基地で生活している人とは協調しなければならない。その一方で、協調が大事だから不満や本音があっても心の中に押し込んでいよう…と思っても、イライラが溜まって爆発してしまっては意味がない。相手を思いやり受け止められるように、不満や本音の言い方を工夫して伝えていく。
脱線するが、極地での生活は宇宙での生活と似ている。国際宇宙ステーションで生活し日々のミッションをこなす宇宙飛行士も、一緒に滞在する他の仲間のやり方に疑問や改善点があれば伝えていく。対話の時間を重視する。そうしないと、半年にもわたる閉鎖環境での生活に耐えられない。
キマリたち4人も相手に対して疑問や言いたいことがあれば伝えていく。10代ゆえ、そのやり方は少し乱暴だったり、ぎこちなかったりする。でも、相手を思いやる気持ちは通じているので分かり合える。友情に悩む結月、高校在学時代の陸上部のチームメイトに対するわだかまりを抱えている日向、母・貴子への想いを確かめに南極にやってきた報瀬。キマリはめぐみのこと、青春することそのものだろうか。それぞれの問題に対して思うことを伝える。長い旅をして、南極に滞在し、長い時間を一緒に過ごしてきた。日本を経つ前にも、事あるごとに4人で集まった。長い時間一緒にいることで、よりお互いに思うことを伝えやすくなったのだろう。たとえ、報瀬の母の死という重い問題でも、重いからこそ一緒に報瀬の気持ちを汲み取ろうとした。南極に着いて、母が消息を絶った場所に行っても何も変わらなかったら…と不安になる報瀬の気持ちを汲み取っていたからこそ、キマリたち3人はあの行動に出られたのだと思う。
そんな4人の友情ですが、いいなと思うのは、必要な時はひとりにしてあげること。ひとりで考える時間が持てるように放っておけること。日向の「何かをするのが思いやりではない 何もしないのも思いやりである!」(100ページ)の名言や、弓子さんの「お互いほっとけるっていうのは いい友達の証拠だよ」(101ページ)のように。最終的には自分で結論を出せるように。それがあのラストシーンに繋がったのだと思う。
キマリたち4人もいいのですが、吟さんやかなえさん、弓子さんなど大人たちもいい。吟も報瀬と一緒に貴子への想いを抱え、もがいている。内陸への出発前のバーベキューで、2人で静かに一緒にいるシーンがすごくいい。
どのシーンがいいとかを語ろうとすると、全て挙げたくて止まらないのでこのぐらいにしておきます。よりもいはいい作品です。
この漫画版では、アニメでは出てこなかったシーンが特別編と、ラストに追加されています。どちらもじんわりとする内容でした。
これで、漫画も完結…終わってしまって寂しい…。でも、この余韻のまま終わってよかったなと思うので、私は続編はなくてもいいかなと。4人はまた旅に出るのでしょう。それだけで十分です。素晴らしい作品をありがとうございました!
・2巻:【アニメ コミカライズ】宇宙よりも遠い場所 2
宇宙よりも遠い場所 3
よりもい:原作 / 宵町めめ:漫画 / KADOKAWA メディアファクトリー、MFコミックス アライブシリーズ / 2019
南極・昭和基地に到着した「南極チャレンジ」一行。快適な基地での滞在に心躍らせるキマリたち。到着後、結月は母からのメールを受信し、その内容をキマリたちに伝える。出発前に受けたドラマのオーディションに合格し、役をもらえた。日本に帰って、ドラマの撮影が始まればキマリ、報瀬、日向と会えなくなる…。そんな結月にキマリが言った一言「もうみんな親友なんだし」結月はいつから親友になったのか、何をもって親友になったのか、わからず混乱してしまう。考えた末、結月はあるものをキマリたちに差し出した…。
アニメだと10話~13話(最終回)。2巻では語られなかった6話のエピソードもあります。この辺りは毎回ボロ泣きしていたのですが、漫画で読んでもボロ泣きでした。南極で、4人がそれぞれ過去や悩んできたことと向き合う。報瀬が南極を去る際のスピーチで話していた「すべてがむきだしの場所」。押し込めていた感情や想いをさらけ出して向き合った。それには4人の友情が不可欠だった。友情に支えられ、後押しされ、でも最終的に決着をつけるのは自分自身。その様は痛みを伴い辛い。でも、決着をつけた4人の姿はとても爽やかだ。
4人が過去や悩みと決着をつけられたのは、長い旅をしてきたからだと思う。目指すのは南極という地球の果てにある場所。基地の中にいれば基本的に快適だが、極地の自然は日本とは大きく違う。基地を離れ内陸へも旅をしたが、内陸は基地のあるところよりも寒さが厳しく、激しいブリザードに襲われる。そこで、報瀬の母・貴子は消息を絶った。厳しい環境で生きるには、協力し支えあわなければならない。ケンカをしていがみ合っていたら危険な状況になった際、命を落としかねない。また、集団生活で行動も制限される。同じ基地で生活している人とは協調しなければならない。その一方で、協調が大事だから不満や本音があっても心の中に押し込んでいよう…と思っても、イライラが溜まって爆発してしまっては意味がない。相手を思いやり受け止められるように、不満や本音の言い方を工夫して伝えていく。
脱線するが、極地での生活は宇宙での生活と似ている。国際宇宙ステーションで生活し日々のミッションをこなす宇宙飛行士も、一緒に滞在する他の仲間のやり方に疑問や改善点があれば伝えていく。対話の時間を重視する。そうしないと、半年にもわたる閉鎖環境での生活に耐えられない。
キマリたち4人も相手に対して疑問や言いたいことがあれば伝えていく。10代ゆえ、そのやり方は少し乱暴だったり、ぎこちなかったりする。でも、相手を思いやる気持ちは通じているので分かり合える。友情に悩む結月、高校在学時代の陸上部のチームメイトに対するわだかまりを抱えている日向、母・貴子への想いを確かめに南極にやってきた報瀬。キマリはめぐみのこと、青春することそのものだろうか。それぞれの問題に対して思うことを伝える。長い旅をして、南極に滞在し、長い時間を一緒に過ごしてきた。日本を経つ前にも、事あるごとに4人で集まった。長い時間一緒にいることで、よりお互いに思うことを伝えやすくなったのだろう。たとえ、報瀬の母の死という重い問題でも、重いからこそ一緒に報瀬の気持ちを汲み取ろうとした。南極に着いて、母が消息を絶った場所に行っても何も変わらなかったら…と不安になる報瀬の気持ちを汲み取っていたからこそ、キマリたち3人はあの行動に出られたのだと思う。
そんな4人の友情ですが、いいなと思うのは、必要な時はひとりにしてあげること。ひとりで考える時間が持てるように放っておけること。日向の「何かをするのが思いやりではない 何もしないのも思いやりである!」(100ページ)の名言や、弓子さんの「お互いほっとけるっていうのは いい友達の証拠だよ」(101ページ)のように。最終的には自分で結論を出せるように。それがあのラストシーンに繋がったのだと思う。
キマリたち4人もいいのですが、吟さんやかなえさん、弓子さんなど大人たちもいい。吟も報瀬と一緒に貴子への想いを抱え、もがいている。内陸への出発前のバーベキューで、2人で静かに一緒にいるシーンがすごくいい。
どのシーンがいいとかを語ろうとすると、全て挙げたくて止まらないのでこのぐらいにしておきます。よりもいはいい作品です。
この漫画版では、アニメでは出てこなかったシーンが特別編と、ラストに追加されています。どちらもじんわりとする内容でした。
これで、漫画も完結…終わってしまって寂しい…。でも、この余韻のまま終わってよかったなと思うので、私は続編はなくてもいいかなと。4人はまた旅に出るのでしょう。それだけで十分です。素晴らしい作品をありがとうございました!
・2巻:【アニメ コミカライズ】宇宙よりも遠い場所 2
by halca-kaukana057
| 2019-04-10 21:57
| 本・読書